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タイトル:特許公報(B2)_Post−プロリン開裂酵素の擬ペプチド性阻害剤
出願番号:2003547426
年次:2011
IPC分類:A61K 31/69,A61K 45/00,A61P 3/04,A61P 3/06,A61P 3/10,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

ウィリアム ダブリュー.バショフシン JP 4771661 特許公報(B2) 20110701 2003547426 20021126 Post−プロリン開裂酵素の擬ペプチド性阻害剤 トラスティーズ オブ タフツ カレッジ 303043726 アクシス国際特許業務法人 110000523 ウィリアム ダブリュー.バショフシン US 60/333,519 20011126 US 60/405,530 20020823 20110914 A61K 31/69 20060101AFI20110825BHJP A61K 45/00 20060101ALI20110825BHJP A61P 3/04 20060101ALI20110825BHJP A61P 3/06 20060101ALI20110825BHJP A61P 3/10 20060101ALI20110825BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110825BHJP JPA61K31/69A61K45/00A61P3/04A61P3/06A61P3/10A61P43/00 111 A61K 31/69 特表平07−504158(JP,A) 国際公開第98/050046(WO,A1) 国際公開第00/071135(WO,A1) 国際公開第99/038501(WO,A1) 国際公開第00/061789(WO,A1) 国際公開第95/034538(WO,A1) 国際公開第95/029691(WO,A1) JOURNAL OF ENZYME INHIBITION,1997年,11(3),P.151-169 JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTY,1996年,39(10),P.2087-2094 JOURNAL OF AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,1994年,116(24),P.10860-10869 BIOCHIMICA BIOPHYSICA ACTA,1996年,1290,P.76-82 16 US2002038053 20021126 WO2003045977 20030605 2005514377 20050519 46 20051109 福井 悟 本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤等のpost−プロリン開裂酵素の阻害剤、及びその医薬組成物、並びにそれら阻害剤の使用方法に関する。特に、本発明の阻害剤は、阻害剤のP1及び/又はP2位の側鎖に特定の種類を選択することにより公知技術を改良するものである。本発明の化合物の顕著な特徴として;毒性の減少及び/又は標的プロテアーゼへの特異性の改良に一部起因する優れた治療指数;優れた経口投与可能性;長期の貯蔵寿命;及び/又は作用持続期間の長期化(例えば4時間を超え、好ましくは8、12又は16時間を超えて効能を示す一回経口投薬量の配合物)が挙げられる。 プロテアーゼは、一箇所の特定のペプチド結合で蛋白質を開裂する酵素である。プロテアーゼは、セリン系、チオール又はシステイニル系、酸又はアスパルチル系、及び金属系プロテアーゼの、4つの一般的種類に分類できる(Cuypersら、J.Biol.Chem.257:7086(1982))。プロテアーゼは、消化、血液凝固(血栓)の形成及び溶解、生殖並びに異物細胞及び有機体に対する免疫反応等の様々な生物学的活性に必須のものである。異常な蛋白質分解は、ヒト及び他の哺乳動物の多くの病状に関係する。例えば、それは動物の治療において、1以上の蛋白分解酵素の機能を乱すのに好適である。 ペプチド基質の結合部位は、酵素表面に存在する一群の「特異的サブサイト」から構成される。「特異的サブサイト」は、酵素に対する基質の一部と相互作用をすることのできる酵素上のポケット又は他のサイトを言う。例えばセリン及びシステインプロテアーゼ(proteinases)等のペプチドのプロテアーゼとの相互作用に関して、本件では、Schechter及びBerger[(1967)Biochem.Biophys.Res.Commun.27:157−162)]の専門用語を使用する。基質又は阻害剤の個々のアミノ酸残基は、開裂反応で生成したカルボキシ末端残基から数え初めてP1、P2等と表され、対応する酵素のサブサイトはS1、S2等と表される。基質の開裂しやすい結合は基質のS1−S1’間のアミド結合である。従って、Xaa3及びXaa4残基間で開裂するペプチドXaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4では、Xaa3残基は、P1残基と言われ、酵素のS1サブサイトへ結合し、Xaa2はP2残基と言われS2サブサイトへ結合し、以下同様である。 例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPIV)は、セリンプロテアーゼであり、P1位等の末端から2番目の位置のプロリン残基を好ましく含むペプチド鎖からN−末端ジペプチドを開裂する。DPIVは細胞膜−関連のペプチダーゼ群に属しており、細胞表面ペプチダーゼの大部分の様に、そのシグナル配列により形質膜に結合されるII型必須の膜蛋白質である。DPIVは様々な分化した哺乳動物上皮、内皮及びhemapoetic細胞及び組織に存在し、CD4+T細胞表面上に特異的に存在するリンパ(球)起源のものも含む。DPIVは白血球分化マーカーCD26として特定されている。 本発明は、式Iで表されるプロテアーゼ阻害剤を提供する:但し、AはN及びCα炭素原子を含む3〜8員複素環を表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R2は存在しないか、環Aに対する1個以上の置換基を表し、そのそれぞれは独立してハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6でもよく、R3aは水素又は結合している窒素原子の電子対を共役しない置換基を表し;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノ基を表し(但しR4a及びR4bの両方が水素であるかいずれも水素でない);R4cはハロゲン、アミン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノを表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;zは0又は1〜3の整数であり;mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 又、本発明は式IIIで表されるプロテアーゼ阻害剤を提供する:但し、Rは水素、ハロゲン、又は分岐状又は非分岐状C1〜C6アルキルを表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R3aは水素、又は結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノ基を表し(但しR4a及びR4bの両方が水素であるかいずれも水素でない);R4cはハロゲン、アミン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノを表し;zは0又は1〜3の整数である。 更に本発明は、式IVで表されるプロテアーゼ阻害剤を提供する:但し、AはN及びCα炭素原子を含む3〜8員複素環を表し;BはC3〜C8員環、又はC7〜C14員の縮合された二環式若しくは三環式系を表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R2は存在しないか、環Aに対する1個以上の置換基を表し、そのそれぞれは独立してハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6でもよく;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 更に本発明は、式VIで表されるプロテアーゼ阻害剤を提供する:但し、BはC3〜C8員環、又はC7〜C14員の縮合された二環式若しくは三環式系を表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し;Rは水素、ハロゲン、又は分岐状又は非分岐状C1〜C6アルキルを表し;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表す。 本発明のWは、好ましくは−CN、−CH=NR5、及び下式で表される群から選ばれた一種を表し;但し、Y1及びY2はそれぞれ独立して、−OH、又は水酸基へ加水分解されることが可能な基であり、Y1及びY2は環構造中に5〜8原子を有する1の環を介して結合されている環状誘導体を含む基を表し;R5は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6、−C(O)C(O)NH2、−C(O)C(O)OR7を表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;R7はそれぞれの存在について独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは複素環成分を表し;R50はO又はSを表し;R51はN3、SH2、NH2、NO2又は−OR7を表し;R52は水素、低級アルキル、アミン、−OR7、又は医薬的に許容できる塩を表すか、R51及びR52が結合しているリン原子と共に環構造中に5〜8員環を有する複素環を形成してもよく;X1はハロゲンを表し;X2及びX3はそれぞれ水素又はハロゲンを表し;mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 本発明の阻害剤のWは、好ましくは下式を表す:但し、Y1、Y2、R5、は上記と同様である。更に好ましくは、Wは−B(OH)2、又はin vivoで−B(OH)2へ加水分解されるそのプロドラッグを表す。更に好ましくは、Wは−C(=O)−R5(但しR5は水素又は−C(X1)(X2)X3であり、X1はフッ素であり、X2及びX3がハロゲンの場合はやはりフッ素である。)を表す。例えば本発明の阻害剤では、R4a、R4b及びR4cはそれぞれ独立してハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル及び低級アルキニルの群から選ばれる小さな疎水性基を表してもよい。例えば本発明の阻害剤では、R4a及びR4bはそれぞれ水素を表し、R4cは小さな疎水性基を表してもよい。例えば本発明の阻害剤では、R4a及びR4bはそれぞれ水素を表し、R4cはシクロアルキル、複素環アルキル、アリール及びヘテロアリールの群から選ばれた一種を表してもよく、好ましくはC3−C8シクロアルキルを表してもよい。例えば本発明の阻害剤では、R2は存在しないか−OHを表してもよい。例えば本発明の阻害剤では、R3aは水素でありR3bは存在しなくてもよい。例えば本発明の阻害剤では、R1はプロテアーゼの基質であるアミノ酸残基又はペプチジル成分であってもよい。例えば本発明の阻害剤では、プロテアーゼ阻害剤は50nm以下のKiでDPIVを阻害してもよい。例えば本発明の阻害剤では、阻害剤は経口的に活性であってもよい。例えば本発明の阻害剤は、ヒトにおけるグルコース代謝調節用治療係数等の、少なくとも2、更に好ましくは5又は10を超え、特に好ましくは100を超える、治療係数を有してもよい。 又本発明は、医薬的に許容できるキャリア及び1以上の本発明のプロテアーゼ阻害剤、又は医薬的に許容できる塩若しくはそのプロドラッグを含有する医薬組成物を提供する。 更に本発明は、in vivoでのpost−プロリン開裂酵素阻害用治療薬の製造における1以上の本発明の阻害剤の使用方法を提供する。例えば、本発明の阻害剤は、post−プロリン開裂酵素(DP−IV等)により処理された1以上のペプチドホルモンの血漿中濃度を増加させるための治療薬の製造に使用できる。治療薬は、グルカゴン類似ペプチド、NPY、PPY、セクレチン、GLP−1、GLP−2、及びGIP等のホルモン等の血漿中濃度の増加に使用できる。 更に好ましくは、本発明の阻害剤は、II型糖尿病、インシュリン耐性、グルコース不耐性、高血糖症、低血糖症、過インシュリン症、肥満症、高脂質血症、又は高リポ蛋白血症等の患者治療で使用される、グルコース代謝調節用治療薬の製造に使用できる。 更に本発明は、1以上の本発明のプロテアーゼ阻害剤の製剤;医薬的に許容できるキャリア;並びに、グルコース代謝調節等の、in vivoでのpost−プロリン開裂酵素阻害用製剤の使用方法を文章で記載し及び/又は図示して示す使用説明書:を含む包装医薬製品を提供する。 上記包装医薬製品は、プロテアーゼ阻害剤が、インシュリン及び/又はインシュリン分泌活性化剤と共に配合されていてもよく、又は単に共に包装されているものでもよい。 上記包装医薬製品は、プロテアーゼ阻害剤が、M1受容体拮抗薬、プロラクチン阻害剤、β−細胞のATP−依存性カリウムチャネルに作用する薬剤、メトホルミン、及び/又はグルコシダーゼ阻害剤と共に配合されていてもよく、又は単に共に包装されていてもよい。 本発明は、短期間投与される治療プログラムを基礎とする1以上の上記症状を長期間減少させ停止させる改良された方法に関する。 本発明は、更にヒトを含む脊椎動物の、グルコース及び脂質生成反応を長期間にわたり調節し変化させる方法を提供する。 特に、本発明の化合物は;インシュリン(インシュリン耐性の低下)、血中インシュリン量、過インシュリン症、血中グルコース量、体脂肪貯蔵量、血中リポ蛋白質量;へのある(動物)種の細胞性応答感受性;の1以上の長期に渡る好ましい変化を生じる方法を提供するために使用され、従って糖尿病、肥満症及び/又はアテローム性動脈硬化症の有効な治療のために使用できる。I.概説 本発明の化合物は、DPIVにより仲介される様々な障害/症状の治療の一部として使用できる。例えば、本発明の阻害剤は、インシュリン耐性の軽減;高血糖症、過インシュリン症、肥満症、高脂質血症、高リポ蛋白血症(カイロミクロン、VLDL及びLDL等)の治療;体脂肪、更に一般的に脂質蓄積の調節等の、グルコース量の調節及び/又は代謝の治療の一部として、更に一般的に、特に糖尿病、肥満症及び/又はアテローム性動脈硬化症に関係する代謝障害の改善の治療の一部として、GIP及びGLP−1活性反応の増強に(例えばこれらホルモンの半減期を延長することにより)使用できる。 特定の理論で本発明を限定するものではないが、DPIVを阻害する化合物は、それ自体DPIV阻害を含む機構を通るとは限らないけれど、相関的にグルコース耐性を改善できる(実施例2及び4参照)ことが確認された。実際、本件出願人は、以前受容体欠落マウスにおける効果を示し、GLP−1が他の受容体を有する可能性は否定しないが、本発明の方法はGLP−1自身を直接含む作用機構を含まない可能性を示唆した。しかし、DPIV阻害との相関関係の観点から、本発明の方法は、DPIV阻害のKiが好ましくは50.0nm以下、更に好ましくは10.0nm以下、更に好ましくは1.0nm以下、特に好ましくは0.1nm以下、最も好ましくは0.01nm以下の薬を使用する。実際には、ピコモル及び更にフェムトモルの範囲のKi値を有する阻害剤が考えられる。従って、ここで記載される作用薬は便宜上「DPIV阻害剤」というが、この専門用語が本発明を特定の作用機構に限定するものではないことは当然である。 本発明の化合物のいくつかは、長い持続期間を有する。従って、配合された阻害剤量が、好ましくは1回の投与で4時間以上、更に好ましくは1回の投与で8時間以上、特に好ましくは12時間以上、最も好ましくは16時間以上、血清PPCE(DPIV等)レベルを50%以上阻害できる投薬量を提供するために、阻害剤を選択できる。 例えば、本発明の方法は、好ましくは24時間、所定時間(回数)に、グルコース代謝障害(グルコース不耐性、インシュリン耐性、高血糖症、過インシュリン症並びにI及びII型糖尿病等)に関する1以上の異常指数を改善するために有効な量でDPIV阻害剤を投与することを含有してもよい。 更に、本発明の方法は、肥満症に関する異常指数を改善する有効量のDPIV阻害剤投与を含んでも良い。脂肪細胞は、ホルモンレプチンを分泌し、レプチンは、脳への血流により移動し、そこにあるレプチン受容体を介してGLP−1.GLP−1の製造を刺激して、満腹感を生じる。主流な理論によると、多くの肥満者の脂肪細胞は、多分、充分なレプチンを製造するが、レプチンが適切に脳中のレプチン受容体に結合できず、GLP−1の製造を刺激しない。従って、食欲抑制剤としてのGLP−1の製剤の使用に対する研究が非常に行なわれている。本発明の方法は、肥満症関係の障害の治療において、内因性及び異所性の両方で添加されたGLP−1の半減期を延長する手段を提供する。 又、本発明は、DPIV又は他の幾つかの蛋白分解活性により1以上のペプチドホルモンの蛋白質分解を阻害することにより、様々な異なるポリペプチドホルモンの薬物動態を変えるための方法及び組成物を提供する。Post−分泌代謝は調節ペプチドの全体のホメオスタシスでの重要な要素であり、これらプロセスに含まれるその他の酵素は、本発明の方法による薬物動態的介入のための適切な標的となりえる。 例えば、本発明の方法は、グリセンチン(PG1−69に対応する)、オキシントモジュリン(PG33−69)、グリセンチン−関連膵臓ポリペプチド(GRPP、PG1−30)、介在ペプチド−2(IP−2、PG111−122アミド)、及びグルカゴン−類似ペプチド2(GLP−2、PG126−158)等の他のプログルカゴン−由来ペプチドの半減期を延長させるために使用できる。 例えば、GLP−2は腸内上皮の増殖を誘起する因子として特定されている。例えば、Druckerら(1996)PNAS93:7911参照。本発明の方法は、例えばクローン病又は炎症性腸疾患(IBD)等の治療における、腸内粘膜上皮の増殖及び補修の補強が求められる場合の腸内組織の損傷、炎症又は切除の処置用治療プログラムの一部として使用できる。 DPIVは又、成長ホルモン分泌因子(GHRF)の代謝及び不活性化に関与する。GHRFはホモログペプチドファミリーの一員であり、グルカゴン、セクレチン、血管作動性腸内ペプチド(VIP)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、ペプチドを活性化する脳下垂体アデニル酸シクラーゼ(PACAP)、胃抑制性ペプチド(GIP)及びヘロデルミンを含む。Kubiakら(1994)Peptide Res、7:153参照。GHRFは、視床下部から分泌され、脳下垂体前方からの成長ホルモン(GH)の分泌を刺激する。従って、本発明の方法は、ある種の成長ホルモン欠乏児童の治療法並びに栄養摂取を改善して体の組成(筋肉対脂肪比)を変化させるための成人の治療法を改善するのに使用できる。本発明の方法は又、例えば、少ない飼料でも高い牛乳生産性及び高い肥育率を達成するための獣医学的適用に使用できる。 同様に、本発明のDPIV阻害剤は、セクレチン、VIP、PHI、PACAP、GIP及び/又はヘロデルミンの血漿(中の濃度)半減期を変化させるために使用できる。更に、本発明の方法は、ペプチドYY及びニューロペプチドYの薬物動態を変化させるために使用でき、それらペプチドは両方とも膵臓のポリペプチドファミリーのメンバーであり、DPIVは受容体選択性を変化させる態様でそれらペプチドを処理することに関係する。 更に、本発明の阻害剤は、血液造成を刺激するために使用できる。 更に、本発明の阻害剤は、トランスフォーム(細胞形質変換)された細胞/組織の成長又は血液新生の抑制、例えば腫瘍増殖及び転移に関する細胞増殖の抑制、異常な増殖性細胞塊中の血管形成の抑制、のために使用できる。 更に、本発明の阻害剤は、例えば免疫抑制剤等として免疫学的反応を減少させるために使用できる。 更に本発明のDPIV阻害剤は、発作、腫瘍、虚血、パーキンソン病、記憶障害、聴覚障害、視覚障害、偏頭痛、脳損傷、脊髄損傷、アルツハイマー病及び筋萎縮性側索硬化症(CNS構成要素を有する。)等のCNS疾患の治療に使用できる。更に、本発明のDPIV阻害剤は、多発性硬化症及び糖尿病性末梢神経障害(ニュロパシー)等のより末梢的な性質を有する障害の治療に使用できる。 本発明は更に本発明のpost−プロリン開裂酵素阻害剤、特にDPIV阻害剤の医薬組成物、並びにペプチドホルモンのホメオスタシスを変化させることにより改善できる障害の治療及び/又は予防に関するそれらの使用に関する。好ましくは、阻害剤は低血糖性及び抗糖尿病性活性を有し、異常なグルコース代謝(貯蔵症等)に特徴を有する障害の治療に使用できる。特に、本発明の方法の組成物は、インシュリン分泌活性化剤として使用でき、これらGLP−1等の分子のインシュリン分泌活性効果を高める。この観点から、本発明の組成物は、1以上の;高脂質血症、高血糖症、肥満症、グルコース耐性機能不全、インシュリン耐性及び糖尿病性合併症を含む、様々な障害の治療及び/又は予防にも使用できる。 一般に、本発明の方法の阻害剤は、小分子であり、例えば7500amu未満、好ましくは5000amu未満、更に好ましくは2000amu未満、特に好ましくは1000amu未満の分子量を有する。好ましくは、阻害剤は経口的に作用する。II.定義 ここで使用される「高親和性」は、1μM以下の解離定数KDを有する分子間同士の強い結合親和性をいう。好ましくは、KDは100nM未満、10nM未満、1nM未満、100pM未満、更に好ましくは10pM以下である。好ましくは、2つの分子は共役結合されていてもよい(KDは実質的に0である。)。 「boro−Ala」は、カルボキシル基(COOH)がボロニル基(B(OH)2)で置換されているアラニンのアナログを言う。同様に、「boro−Pro」は、カルボキシル基(COOH)がボロニル基(B(OH)2)で置換されているプロリンのアナログを言う。一般的に、「boro−Xaa」(但し、Xaaはアミノ酸残基である。)は、カルボキシル基(COOH)がボロニル基(B(OH)2)で置換されているアミノ酸のアナログを言う。 本発明の方法で治療される「患者」又は「被検体」は、ヒト又は非ヒト被検体のいずれをもいう。 「ED50」は患者の50%で、グルコース応答性、ヘマトクリット値の増大、腫瘍体積の減少等の生理学的測定での、臨床的に適切な改善又は変化を示す薬の投与量を言う。 「IC50」は生物活性の50%を阻害する薬の投与量、例えばin vivoでのDPIV(又は他のPPCE)活性の少なくとも50%を阻害するために必要な素材剤の量、を言う。 化合物は、それがホルモンインシュリンの合成又は発現を刺激し、又はその刺激を誘起することが出来る場合、「インシュリン分泌活性」を有するという。 ここで使用される「相互作用」は、蛋白質−蛋白質、蛋白質−核酸、核酸−核酸、蛋白質−小分子、核酸−小分子又は小分子−小分子相互作用等の、分子間の全ての相互作用(生化学的、化学的、又は生物物理学的相互作用等)を含むものである。 「LD50」は、試験被検体の50%に致命的である薬の投与量を言う。 「予防的又は治療的」治療は、当業者で使用されており、例えば1以上の本発明の組成物をホストへ投与することが挙げられる。望ましくない症状(ホスト動物の病気又は他の望ましくない状態等)が臨床的に発現する前にそれが投与された場合、その処置は予防的なものであり、それはホストを望ましくない症状の進行から保護する。一方、望ましくない症状の発現の後にそれが投与された場合、その処置は治療的なものとなる(即ち、存在する望ましくない症状又はその副作用を消滅、改善又は安定化させることを目的とする)。 「予防」は、当業者で使用されており、(痛み等の)局所的反復、癌等の病気、心不全等の複合症候群又は他の医学的状態等の症状に対して使用された場合、当分野で容易に理解されるものであり、例えば、組成物を投与されない被検体に比べ、被検体中の医学的症状の兆候の頻度が減少するかその発現が遅れる組成物の投与が挙げられる。従って、癌の予防とは、例えば統計学的に及び/又は臨床的に有意の量で、非治療集団に比べて予防的治療を受けている患者集団中の癌性増殖の検出数を減少させ、及び/又は非治療基準用集団に対して、治療集団で検出可能な癌性増殖の発現を遅延させることが挙げられる。感染の予防としては、例えば非治療基準用集団に対して、治療集団の感染診断者数を減少させ、及び/又は非治療基準用集団に対して、治療集団の感染の兆候の発現を遅延させることが挙げられる。痛みの予防とは、例えば非治療基準用集団に対して、治療集団の被検体により体験される痛みの感覚の強さを減少させ又は遅延させることが挙げられる。 「治療係数」はLD50/ED50で定義される薬の治療係数を言う。 本発明の治療方法に関して、本発明のDPIV阻害剤等の化合物の「治療的有効量」とは、例えば、医学的治療に適用できる合理的危険性/受益性割合での、治療される障害若しくは症状、又は美容目的のための臨床的に許容できる基準に従って、兆候を緩和し、症状を改善し、又は病状の発現を遅延させる目的とする(哺乳動物、好ましくはヒトへの)投薬治療プログラムの一部として適用される場合の、製剤中の化合物量を言う。 「一の経口投薬配合物」とは、その薬のEC50以上でLD50未満の血清濃度を生じる薬量を与える投薬物である。一の経口投薬配合物に対する他の基準は、その薬のIC50以上でLD50未満の血清濃度を生じるために必要な薬量を与える投与量である。どちらにしても、一の経口投薬配合物は、好ましくは薬のLD50よりも少なくとも10%少なく、更に好ましくは少なくとも50%少なく、特に好ましくは少なくとも75%少なく。最も好ましくは90%少ない血清濃度を生じる薬量である。 脂肪族鎖は下記アルキル、アルケニル及びアルキニル種を含む。直鎖状脂肪族鎖は、非分岐状炭素鎖基に限定される。ここで使用される「脂肪族基」は直鎖、分岐鎖、又は環状脂肪族炭化水素基を言い、例えばアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基等の飽和又は不飽和脂肪族基が挙げられる。 アルキルは、特定数の炭素原子、又は特記されない場合30までの炭素原子を有する、完全に飽和された分岐状の又は非分岐状炭素鎖基を言う。例えば、1〜8炭素原子のアルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチル、並びにそれらの基の位置異性体である基等の基を言う。10〜30炭素原子のアルキルとして、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル、トリコシル及びテトラコシルが挙げられる。直鎖又は分岐鎖アルキルは、その主鎖(例えば、直鎖ではC1〜C30、分岐鎖ではC3〜C30)中に、好ましくは30以下、更に好ましくは20以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、好ましくはその環構造中に3〜10炭素原子、更に好ましくは環構造中に5、6又は7炭素原子を有する。 更に、本明細書、実施例及び特許請求の範囲中で使用される「アルキル」(又は「低級アルキル」)は、「非置換のアルキル」及び「置換されたアルキル」の両方が含まれ、後者は、炭化水素主鎖の1以上の炭素原子上の水素を置換する置換基を有するアルキル成分を言う。これら置換基として、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシル等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート等)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、シアノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、複素環、アラルキル、又は芳香族又はヘテロ芳香族成分が挙げられる。炭化水素鎖上の置換成分は、適切であればそれ自身が置換されてもよいことは当業者には明らかである。例えば、置換アルキルの置換基をして、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネート等)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルフォネート等)、及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、及びエステル等)、−CF3、−CN等の置換又は非置換体が挙げられる。置換アルキルの例は下記に示される。シクロアルキルはアルキル、アルケニル、アルコキシル、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換されたアルキル、−CF3、−CN等で更に置換されてもよい。 炭素原子の数が特記されない限り、ここで使用される「低級アルキル」は、上記アルキル基であるが、その主鎖構造中に好ましくは1〜10炭素原子、更に好ましくは1〜6炭素原子を有するものを言い、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等が挙げられる。同様に「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は類似の鎖長さを有する。本件において、好ましいアルキル基は低級アルキルである。ここでアルキルとして表される置換基は、好ましくは低級アルキルである。 「アルキルチオ」は、結合するイオウ基を有する上記アルキル基を言う。「アルキルチオ」成分は好ましくは、−(S)−アルキル、−(S)−アルケニル、−(S)−アルキニル、及び−(S)−(CH2)m−R1の一つで表される(但し、m及びR1は下記で定義される。)。アルキルチオ基の例として、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。 アルケニルは、特定数の炭素原子、又は炭素数の限定が特記されない場合26までの炭素原子を有し;基中に1以上の二重結合を有する、分岐状又は非分岐状の不飽和炭素鎖基を言う。6〜26炭素原子を有するアルケニルとして、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、トリコセニル及びテトラコセニル(これらの種々の異性体等)が挙げられる。但し、不飽和結合は、基中のどこに位置しても良く、二重結合に関する配置で(Z)又は(E)構造のいずれでも良い(E、Z表示法による)。 アルキニルは、基中に1以上の三重結合を有するアルケニル基中のヒドロカルビル基を言う。 ここで使用される「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、酸素基が結合している下記アルキル基を言う。アルコキシル基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。「エーテル」は、酸素により共役的に結合している2つの炭化水素を言う。従って、そのアルキルをエーテルとしているアルキルの置換基は、アルコキシ又はそれに類似するものであり、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル及び−O−(CH2)m−R1(但し、m及びR1は上記と同様である。)の一種で表すことができる。 「アミン」及び「アミノ」は当分野で理解されるとおりであり、非置換及び置換されたアミンの両方をいい、例えば、下記一般式で表される成分でもよい:但しR3、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R1、を表すか、R3及びR5はN原子に結合して一緒に環構造中に4〜8原子を有する複素環を形成しても良く;R1はアルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環又は多環を表し;mは0又は1〜8の整数である。好ましくは、R3又はR5の一つはカルボニルでもよい(例えば、R3、R5及び窒素原子は共にイミドを形成しない。)。更に好ましくは、R3及びR5(及び任意でR6)はそれぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、又は−(CH2)m−R1を表す。従って、ここで使用される「アルキルアミン」は、それに結合した置換又は非置換のアルキル基を有する上記のアミン基をいう。即ち、R3及びR5の少なくとも一つはアルキル基である。アミノ基又はアルキルアミンは、例えば塩基性、即ちpKa>7.00でもよい。それら官能基のプロトン化された形は、水に関して7.00を超えるpKaを有する。 「カルボニル」は、当分野で理解されるとおりであり、下記一般式で表される成分等が挙げられる:但し、Xは1の結合、又は酸素原子若しくはイオウ原子を表し、R7は水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R1又は医薬的に許容できる塩を表し、R8は水素、アルキル、アルケニル又は−(CH2)m−R1を表し、m及びR1は上記と同様である。Xが酸素原子でR7又はR8が水素でない場合、式は「エステル」である。Xが酸素原子でありR7が上記である場合、成分はここではカルボキシル基をいい、特にR7が水素の場合、式は「カルボン酸」を表す。Xは酸素原子でありR8が水素である場合、式は「ホルメート」を表す。一般的に、上式の酸素原子がイオウ原子で置換された場合、式は「チオカルボニル」基を表す。Xがイオウ原子でありR7又はR8が水素でない場合、式は「チオエステル」基を表す。Xがイオウ原子でR7が水素の場合、式は「チオカルボン酸」基を表す。Xがイオウ原子でR8が水素の場合、式は「チオホルメート」基を表す。一方、Xが結合でありR7が水素原子でない場合、上式は「ケトン」基を表す。Xが結合でありR7が水素である場合、上式は「アルデヒド」基を表す。 「複素環」又は「複素環基」は、通常環構造が1〜4ヘテロ原子を有する3〜10員環構造、好ましくは3〜7員環をいう。複素環は又、多環式でもよい。複素環基として、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオレン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノン及びピロリジノン、スルタム、スルトン等が挙げられる。複素環は1以上の位置で;例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、スルファモイル、スルフィニル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環、芳香族又はヘテロ芳香族成分、−CF3、−CN等の;上記置換基で置換されてもよい。 ここで使用される、「置換された」とは、全ての許容できる有機化合物の置換基を含むと考えられる。広い観点から、許容できる置換基として非環式及び環式、分岐状及び非分岐状、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の、有機化合物の置換基が挙げられる。置換基の例として、例えばここで記載されているものが挙げられる。許容できる置換基は、1以上の、同一又は異なる適切な有機化合物であってもよい。本発明の目的のため、窒素原子等のヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足させる、水素置換基及び/又はここで記載された有機化合物の許容できる置換基を有してもよい。上記有機化合物の許容できる置換基は本発明を限定するものではない。 「ヒドロカルビル」は、水素原子が結合している26までの炭素原子の炭素鎖又は環から構成される1価の炭化水素基を言う。この言葉は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基、飽和又は不飽和結合の混合を含む基、炭素環式環を含み、これらの基の組み合わせも含む。それは、直鎖、分岐鎖、環式構造又はそれらの組み合わせをもいう。 「ヒドロカルビレン」は、2価のヒドロカルビル基を言う。その例として、アルキレン、フェニレン、又はシクロヘキシレンが挙げられる。好ましくは、ヒドロカルビレン鎖は完全に飽和され、及び/又は1〜10炭素原子鎖を有する。 ここで使用される「ニトロ」は、−NO2を意味し;「ハロゲン」は−F、−Cl、−Br又は−Iを表し;「スルフヒドリル」は−SHを意味し;「ヒドロキシル」は−OHを意味し;「スルホニル」は−SO2−を意味する。 「置換」又は「で置換された」において、これらの置換は置換された原子及び置換基の許される原子価の範囲内で起こり、転位、環化、脱離等による変形を自然発生的には受けない安定な化合物が、置換により生じると考えられる。 「スルファモイル」は当分野で理解されるとおりであり、下記一般式で表すことのできる成分が挙げられる:但し、R3及びR5は上記と同様である。「サルフェート」は当分野で理解されるとおりであり、下記一般式で表すことのできる成分が挙げられる:但し、R7は上記の通りである。 「スルホンアミド」は当分野で理解されるとおりであり、下記一般式で表すことのできる成分が挙げられる:但し、R2及びR4は上記と同様である。.「スルフォネート」は当分野で理解されるとおりであり、下記一般式で表すことのできる成分が挙げられる:但し、R7は電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。 ここで使用される「スルホキシド」又は「スルフィニル」は下記一般式で表すことのできる成分を言う:但し、R12は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環、アラルキル、又はアリールの群から選ばれた基である。 製造されるアルケニル及びアルキニル基に関してはアナログ置換が可能であり、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル−置換されたアルケニル又はアルキニルが挙げられる。 ここで使用されるこれらの表現、例えばアルキル、m、n等の定義は、それが構造中に1回以上起こる場合、同一構造内のどこでも他のその定義には依存せず、互いに独立している。 「小さい」置換基は、10原子以下のものである。 「アミノ酸残基」及び「ペプチド残基」は、そのカルボキシル基の−OHを有しないアミノ酸又はペプチド分子を意味する。一般にアミノ酸及び保護基を表すためにここで使用される略語は、生化学的専門用語に関するIUPAC−IUB Commissionの提案に基づいている(Biochemistry(1972)11:1726−1732参照。)。例えばMet、Ile、Leu、Ala及びGlyは、それぞれメチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニン及びグリシンの「残基」を表す。「残基」は、対応するα−アミノ酸のカルボキシル基のOH部及びα−アミノ基のH部を脱離することにより得られる基を意味する。「アミノ酸側鎖」は、−CH(NH2)COOH部を除くアミノ酸の部分であり;K.D.Kopple、「ペプチド及びアミノ酸」、W.A.Benjamin Inc.、New York/Amsterdam、1966、2〜33頁に定義されており;通常のアミノ酸のそれら側鎖の例として−CH2CH2SCH3(メチオニンの側鎖)、−CH2(CH3)CH2CH3(イソロイシンの側鎖)、−CH2CH(CH3)2(ロイシンの側鎖)又はH−(グリシンの側鎖)が挙げられる。 多くの場合、本発明で使用されるアミノ酸は、蛋白質中に見られる天然アミノ酸、又はアミノ及びカルボキシル基を有する(天然)アミノ酸の同化作用又は異化(分解)作用で自然に発生する生成物が挙げられる。特に好ましいアミノ酸側鎖として、下記アミノ酸から選択される側鎖が挙げられる:グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リジン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン;並びにペプチジルグリカン(多糖)細菌性細胞壁の構成物として特定されているこれらアミノ酸及びアミノ酸アナログ。 「アミノ酸残基」として更に、ここで記載された特定のアミノ酸のアナログ、誘導体及び同族体、並びにC−末端又はN−末端が保護された(例えばN−末端又はC−末端保護基で修飾された)アミノ酸誘導体が挙げられる。例えば、本発明では、環化反応用のカルボキシル、アミノ若しくは他の反応前駆体官能基を有しつつ、側鎖は長く若しくは短くされているアミノ酸アナログ、及び適切な官能基を有する種々の側鎖を含有するアミノ酸アナログを使用できる。例えば、上記化合物として、シアノアラニン、カナバニン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3−ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシ−フェニルアラニン、5−ヒドロキシトリプトファン、1メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチン、又はジアミノ酪酸等のアミノ酸アナログが挙げられる。本発明に好ましい側鎖を有する他の天然アミノ酸代謝産物又は前駆体は、当業者に当然想起でき本発明の範囲内である。 同様に、アミノ酸の構造として立体異性体が存在する場合は、これらアミノ酸の(d)(l)立体異性体も含まれる。本発明のアミノ酸及びアミノ酸残基の(立体)配置は、固有の記号(d)、(l)又は(dl)により表される場合があるが、(立体)配置が示されていない場合、アミノ酸又は残基は(立体)配置(d)、(l)又は(dl)にいずれをも表す。本発明のいくつかの化合物の構造は不斉炭素原子を含むものでもよい。従って、これら不斉(非対称)により生じる異性体も又本発明の範囲内であることは当然である。これら異性体は、従来の分離技術により又は立体制御合成により実質的に純粋体として得ることが出来る。本発明の目的において、記載されたアミノ酸は(d)又は(l)立体異性体の両方を有すると解釈されるが、そうでない場合を除くものではない。 ここで使用される「保護基」は、望ましくない化学反応から反応性基を保護する置換基を意味する。これら保護基の例として、カルボン酸及びボロン酸のエステル、アルコール及びアセタールのエーテル、並びにアルデヒド及びケトンのケタールが挙げられる。例えば、ここで使用される「N−末端保護基」又は「アミノ−保護基」としては、アミノ酸又はペプチドのN−末端を、合成操作中の望ましくない反応から保護するために使用できる種々のアミノ保護基が挙げられる。好ましい基の例として、ホルミル、ダンシル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニル及びメトキシスクシニル等のアシル保護基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)等の芳香族ウレタン保護基;並びにt−ブトキシカルボニル(Boc)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)等の脂肪族ウレタン保護基が挙げられる。 上記の通り、特定の本発明の化合物は、特に幾何学的又は立体異性体が存在してもよい。本発明では、本発明の範囲内で、上記全ての化合物として、それらのシス−及びトランス−異性体、R−及びS−エナンチオマー(鏡像異性体)、ジアステレオマー、(d)−異性体、(l)−異性体、ラセミ混合物及びその他の混合物が含まれる。アルキル基等の置換基中に、更に不斉炭素原子が存在しても良い。全てのそれらの異性体、及びその混合物は、本発明の範囲内である。 例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーを目的とする場合、それは不斉合成でも製造でき、(キラル補助基を付加して)得られたジアステレオマー性混合物を分離し、補助基を開裂して目的とするエナンチオマーを精製する、キラル補助基誘導でも製造できる。一方、分子がアミノ等の塩基性官能基、又はカルボキシル等の酸性官能基を有する場合、ジアステレオマー塩が適切な光学活性な酸又は塩基と共に形成され、ジアステレオマー塩を溶解して、当分野で公知の分別結晶又はクロマトグラフィーを行い、続いて精製エナンチオマーを回収してもよい。 本発明の目的において、化学元素は、元素の周期律表、CAS版「化学物理ハンドブック」67版、1986−87(表紙内側)に従って特定される。同様に本発明の目的において、「炭化水素」は、少なくとも1の水素及び1の炭素原子を有する全ての可能な化合物であるとされる。広い観点から、許容できる炭化水素として、非環式及び環式、分岐状及び非分岐状、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の、置換されても非置換でもよい有機化合物が挙げられる。 化合物は、それがホルモンインシュリンの合成又は発現を刺激でき又は刺激を誘導できる場合、「インシュリン分泌活性」を有すると言われる。 適切な置換基の組み合わせに関して、ここで示される全ての包括的構造は、原子価及び安定性の許す範囲内での態様を含むものである。III.態様の例示(i)化合物 例えば、本発明は、式Iで表される化合物である:但し、AはN及びCα炭素原子を含む3〜8員複素環を表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば−CN、−CH=NR5及び下式で表される群から選ばれた一種であり;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R2は存在しないか、環Aに対する1個以上の置換基を表し、そのそれぞれは独立してハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボニル(カルボキシル、エステル、ホルメート又はケトン等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート等)、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、サルフェート、スルフォネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6でもよく;R3aは水素又は結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノ基を表し(但しR4a及びR4bの両方が水素であるかいずれも水素でない);R4cはハロゲン、アミン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノを表し;R5は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6、−C(O)C(O)NH2、−C(O)C(O)OR7を表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;R7はそれぞれの存在について独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは複素環成分を表し;Y1及びY2はそれぞれ独立して、−OH、又は水酸基へ加水分解されることが可能な基であり、Y1及びY2は環構造中に5〜8原子を有する1の環を介して結合されている環状誘導体を含む基(ピナコール等)を表し;R50はO又はSを表し;R51はN3、SH2、NH2、NO2又は−OR7を表し;R52は水素、低級アルキル、アミン、−OR7、又は医薬的に許容できる塩を表すか、R51及びR52が結合しているリン原子と共に環構造中に5〜8員環を有する複素環を形成してもよく;X1はハロゲンを表し;X2及びX3はそれぞれ水素又はハロゲンを表し;zは0又は1〜3の整数であり(好ましくは0又は1);mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 例えば、上記プロテアーゼ阻害剤は一般式IIで表されてもよい:但し、R1、R3a、R3b、R4a、R4b、R4c及びWは上記と同様であり、pは1〜3の整数である。更に好ましくは、pは1であり、R3aは水素であり、R3bは存在しない。 本発明は又、式IIIで表される化合物に関する:但し、Rは水素、ハロゲン、又は、非置換又は1以上の−OH、−SH、−NH2若しくはハロゲンで置換された分岐状又は非分岐状C1〜C6アルキルを表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば−CN、−CH=NR5及び下式で表される群から選ばれた一種であり;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R3aは水素、又は結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノ基を表し(但しR4a及びR4bの両方が水素であるかいずれも水素でない);R4cはハロゲン、アミン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニル、又はシアノを表し;R5は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6、−C(O)C(O)NH2、−C(O)C(O)OR7を表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;R7はそれぞれの存在について独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは複素環成分を表し;Y1及びY2はそれぞれ独立して、−OH、又は水酸基へ加水分解されることが可能な基であり、Y1及びY2は環構造中に5〜8原子を有する1の環を介して結合されている環状誘導体を含む基(ピナコール等)を表し;R50はO又はSを表し;R51はN3、SH2、NH2、NO2又は−OR7を表し;R52は水素、低級アルキル、アミン、−OR7、又は医薬的に許容できる塩を表すか、R51及びR52が結合しているリン原子と共に環構造中に5〜8員環を有する複素環を形成してもよく;X1はハロゲンを表し;X2及びX3はそれぞれ水素又はハロゲンを表し;zは0又は1〜3の整数であり(好ましくは0又は1);mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 更に本発明は式IVで表される化合物をも提供する:但し、AはN及びCα炭素原子を含む3〜8員複素環を表し;BはC3〜C8員環、又はC7〜C14員の縮合された二環式若しくは三環式系を表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば−CN、−CH=NR5及び下式で表される群から選ばれた一種であり;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R2は存在しないか、環Aに対する1個以上の置換基を表し、そのそれぞれは独立してハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボニル(カルボキシル、エステル、ホルメート又はケトン等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート等)、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、サルフェート、スルフォネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6でもよく;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R5は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6、−C(O)C(O)NH2、−C(O)C(O)OR7を表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;R7はそれぞれの存在について独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは複素環成分を表し;Y1及びY2はそれぞれ独立して、−OH、又は水酸基へ加水分解されることが可能な基であり、Y1及びY2は環構造中に5〜8原子を有する1の環を介して結合されている環状誘導体を含む基(ピナコール等)を表し;R50はO又はSを表し;R51はN3、SH2、NH2、NO2又は−OR7を表し;R52は水素、低級アルキル、アミン、−OR7、又は医薬的に許容できる塩を表すか、R51及びR52が結合しているリン原子と共に環構造中に5〜8員環を有する複素環を形成してもよく;X1はハロゲンを表し;X2及びX3はそれぞれ水素又はハロゲンを表し;mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 例えば、上記プロテアーゼ阻害剤は一般式Vで表される:但し、B、R1、R3b及びWは上記と同様であり、pは1〜3の整数である。更に好ましくは、pは1であり、R3aは水素であり、R3bは存在しない。 本発明は又、式VIで表される化合物にも関する:Rは水素、ハロゲン、又は分岐状又は非分岐状の、非置換又は1以上の−OH、−SH、−NH2又はハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルを表し;BはC3〜C8員環、又はC7〜C14員の縮合された二環式若しくは三環式系を表し;Wは標的プロテアーゼの活性サイト残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば−CN、−CH=NR5及び下式で表される群から選ばれた一種であり;R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド又はそのアナログ、又はアミノ保護基を表し;R3bは存在しないか、結合している窒素原子の電子対を共役しない、低級アルキル等の置換基を表し;R5は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6、−C(O)C(O)NH2、−C(O)C(O)OR7を表し;R6はそれぞれの存在について独立して、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環成分を表し;R7はそれぞれの存在について独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくは複素環成分を表し;Y1及びY2はそれぞれ独立して、−OH、又は水酸基へ加水分解されることが可能な基であり、Y1及びY2は環構造中に5〜8原子を有する1の環を介して結合されている環状誘導体を含む基(ピナコール等)を表し;R50はO又はSを表し;R51はN3、SH2、NH2、NO2又は−OR7を表し;R52は水素、低級アルキル、アミン、−OR7、又は医薬的に許容できる塩を表すか、R51及びR52が結合しているリン原子と共に環構造中に5〜8員環を有する複素環を形成してもよく;X1はハロゲンを表し;X2及びX3はそれぞれ水素又はハロゲンを表し;mは0又は1〜8の整数であり;nは1〜8の整数である。 更に好ましい本発明の上記阻害剤構造では、Wは下式で表される:更に好ましい本発明の上記阻害剤構造では、R5は水素又は−C(X1)(X2)X3である(但し、X1はフッ素であり、X2及びX3がハロゲンの場合はやはりフッ素である。)。 更に好ましい本発明の上記阻害剤構造では、R1はR1及びそれに結合しているアミン成分間を開裂するプロテアーゼ用の基質であるペプチジル成分である。又、R1は好ましくはアミノ保護基でもよい。 好ましくは、Aは4〜8員環、更に好ましくは5、6又は7員環である。Aは、アザリジン、チアゾール、ピロール、ジアゾール(イミダゾール及びピラゾリジン等)、ピリジン、オキサゾール、イソザゾール、イソチアゾール、アゼピン、ジアゼピン、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピランジン、トリアジン、オキサジン、イソオキサジン及びオキサチアジン、又はそれらの還元体(それらのジヒドロ及びテトラヒドロ体等)、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チアゾリジン、及びイミダゾリン等、の群からなる基から選ばれた環でもよい。更に好ましくは、Aはチアゾール、ピロール、若しくはピリジン、又はそれらの還元体である。 好ましくは、Rは水素又は分岐状若しくは非分岐状C1〜C6アルキルを表す。 好ましくは、R2は存在しない。又好ましくは、R2は1又は2、好ましくは1の水酸基を表してもよい。 好ましくは、R3a及びR3bはそれぞれ独立して水素を表す。又、R3a及びR3bは好ましくはそれぞれ独立して水素又はC1〜C3アルキルを表してもよい。 好ましくは、R4a及びR4bはそれぞれ独立して(上記条件の下で)水素、又はハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、若しくは低級アルキニル等の小さな疎水性基を表し;R4cはハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルを表す。更に好ましくは、R4aは水素であり、R4b及びR4cは共にC1〜C4アルキルであるか、R4a、R4b及びR4cは全てC1〜C4アルキルである。 好ましくは、R4a及びR4bは両方とも水素を表し、R4cは、3〜8員環、好ましくは5、6又は7員環等のシクロアルキル、複素環アルキル、アリール又はヘテロアリール基を表してもよい。上記環はO(酸素)、S(イオウ)又はN(窒素)の群からなる基から選ばれた4までのヘテロ原子で置換されても良い。更に好ましくは、R4cはシクロアルキルである。 Bは例えば3〜8員環、好ましくは5、6又は7員環である。Bはアザリジン、チアゾール、ピロール、ジアゾール(イミダゾール及びピラゾリジン等)、ピリジン、オキサゾール、イソザゾール、イソチアゾール、アゼピン、ジアゼピン、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピランジン、トリアジン、オキサジン、イソオキサジン、及びオキサチアジン、又はそれらの還元体(それらのジヒドロ及びテトラヒドロ体等)、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チアゾリジン、及びイミダゾリン等の群から選ばれた環でも良い。 Bは、例えば、インドール、インドレニン、イソベンザゾール、ピリンジン、ピラノピロール、イソインダゾール、インドキサジン、ベンズオキサゾール、アントラニル、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、ピリドピリジン、ベンズオキサジン、ベンズイソオキサジン、カルバゾール、アクリジン、プリン、又はそれらの還元体(それらのジヒドロ−及びテトラヒドロ−体等)等の二環式又は三環式である。更に好ましくは、Bはテトラヒドロイソキノリン又はテトラヒドロカルボリン(β又はγ−カルボリン等)である。 Bは、非置換又は、1以上の−OH、−SH、−NH2、ハロゲン又は低級アルキルで置換されていてもよい。更に好ましくは、Bは非置換である。 Bは、例えば3〜8員環、好ましくは5、6又は7員環でもよい。Bは、アザリジン、チアゾール、ピロール、ジアゾール(イミダゾール及びピラゾリジン等)、ピリジン、オキサゾール、イソザゾール、イソチアゾール、アゼピン、ジアゼピン、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピランジン、トリアジン、オキサジン、イソオキサジン、及びオキサチアジン、又はそれらの還元体(それらのジヒドロ及びテトラヒドロ体等)、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チアゾリジン、及びイミダゾリン等の群から選ばれた環でも良い。 Bは、例えばインドール、インドレニン、イソベンザゾール、ピリンジン、ピラノピロール、イソインダゾール、インドキサジン、ベンズオキサゾール、アントラニル、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、ピリドピリジン、ベンズオキサジン、ベンズイソオキサジン、カルバゾール、アクリジン、若しくはプリン、又はそれらの還元体(それらのジヒドロ及びテトラヒドロ体等)等の二環式又は三環式でもよい。更に好ましくは、Bはテトラヒドロイソキノリン又はテトラヒドロカルボリン(β又はγ−カルボリン等)である。 Aがピロリジン環を表す場合、R4a、R4b及びR4cは、好ましくは生化学的専門用語に関するIUPAC−IUB委員会で定義された天然アミノ酸側鎖を生じないように選択される。 一方、生化学的専門用語に関するIUPAC−IUB委員会で定義された天然アミノ酸側鎖を生じるようにR4a、R4b及びR4cが選択された場合、Aは好ましくはピロリジン環ではない。 好ましくは、zは0又は1である。 上記化合物を含む構造を下記に例示する。 更に好ましくは、本発明の阻害剤は、DPIV阻害のKiが好ましくは10nm以下、更に好ましくは1.0nm以下、特に好ましくは1.0nm以下、最も好ましくは0.01nm以下のDPIV阻害剤である。実際、ピコモル及び更にフェムトモルの範囲のKi値を有する阻害剤も考えられる。 一般に、本発明の方法の阻害剤は、小分子であり、例えば7500amu未満、好ましくは5000amu未満、更に好ましくは2000amu未満、特に好ましくは1000amu未満の分子量を有する。好ましくは、阻害剤は経口的に作用する。 本発明はジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の医薬組成物、特に阻害剤、及び、ペプチドホルモンのホメオスタシスを変化することにより改善することのできる障害を治療及び/又は予防するその使用法に関する。好ましくは、阻害剤は低血糖性及び抗糖尿病性活性を有し、グルコース代謝異常(貯蔵等)に特徴を有する障害の治療に使用できる。特に、本発明の方法の組成物は、インシュリン分泌活性化剤として、又はGLP−1等のこれら分子のインシュリン分泌活性効果を高めるために有用である。この観点から、本発明の方法は、高脂血症、高血糖症、肥満症、グルコース耐性機能不全、インシュリン耐性及び糖尿病性合併症の1以上を含む、様々な障害の治療及び/又は予防に使用できる。 例えば、本発明の方法は、好ましくは24時間中所定の時間に、グルコース代謝障害(グルコース不耐性、インシュリン耐性、高血糖症、過インシュリン症及びII型糖尿病等)に関する1以上の異常指数を改善する有効量で阻害剤を投与することを含む。阻害剤の有効量は、被検体体重1kg当り約0.01、0.1、1、10、30、50、70、100、150、200、500又は1000mgである。(ii)GLP−1効果の作動 本発明の方法に使用できる阻害剤は、例えば、血中グルコース量を低下させ、肥満症を軽減し、損なわれたグルコース耐性を緩和し、肝臓のグルコース新生(ネオゲネシス)を阻止し、血中脂質量を低下させ、アルドース還元酵素を阻害する能力を有する。従って、それらは高血糖症、肥満症、高脂質血症、糖尿病性合併症(網膜症、腎障害、末梢神経障害、白内障、冠動脈疾患及び動脈硬化症等)、更に肥満症関連の高血圧及び骨粗鬆症の予防及び/又は治療法に有用である。 真性糖尿病はインシュリン分泌のある程度又は完全な低下、インシュリン感応性の減少又はインシュリン耐性により生じる高血糖症に特徴を有する病気である。この病気の病的状態(症状)及び死亡率は、血管、腎臓、及び神経学的合併症の結果である。経口グルコース負荷試験は、糖尿病診断に使用される臨床的試験である。経口グルコース負荷試験では、グルコース負荷(load又はchallenge)に対する患者の生理学的反応が測定される。グルコース摂取後、患者のグルコース負荷への生理学的反応が評価される。一般的に、評価は患者の血中グルコース量(患者の血漿、血清又は全血液中のグルコース濃度)を所定時間経過後数回の時点で測定して行なわれる。 例えば、本発明はGLP−1の作用を作動する方法を提供する。腸及び後脳中の前駆体プログルカゴンに由来する、GLP−1(GLP−1(7−37)及びGLP−1(7−36))のアイソフォームはインシュリン分泌活性を有する、即ちそれらはグルコース代謝を調整する、ことが明らかになった。DPIVは上記アイソフォームを開裂して不活性ペプチドとする。従って、本発明の阻害剤は、生物活性GLP−1ペプチドの分解を阻害することによりインシュリン分泌活性を作動できる。(iii)他のペプチドホルモンの効果の作動 又、本発明の薬剤はGLP−2、GIP及びNPY等のペプチドホルモンの活性を作動する(擬態又は効能強化等)のに使用できる。 更に具体的には、本発明は、GLP−2の作用を作動する方法を提供する。GLP−2は肥大刺激(trophic)剤として作用して胃腸内組織の増殖を促すことが明らかになった。GLP−2の効果は、特に小腸の増殖増加に特徴を有し、そのためここでは「腸肥大性(intestinotrophic)」効果という。DPIVはGLP−2を生化学的な不活性ペプチドに開裂することが知られている。従って、DPIVを阻害するとGLP−2の分解が阻害され、このホルモンの血漿中濃度の半減期が延長される。 更に、本発明の方法はグリセンチン、オキシントモジュリン、グリセンチン−関連膵臓のポリペプチド(GRPP)、及び/又は介在ペプチド−2(IP−2)等の他のプログルカゴン−由来ペプチドの半減期を延長するのにも使用できる。例えば、グリセンチンは腸内粘膜の増殖の増加、及び胃の蠕動の阻害を引き起こすことが示され、消化管の病気の治療薬として有用なことが明らかとなり、本発明が達成された。 このように、本発明は、胃腸内組織、特に小腸組織の成長及び増殖を促進するための、阻害剤の治療的及び関連的使用に関する。例えば、本発明の方法は腸内組織の損傷、炎症又は切除、例えば腸内上皮粘膜の増殖及び修復の強化が必要な部位、の治療処方の一部として使用できる。 小腸組織の増殖は、未処置基準体と比較した小腸の重量及び長さの増加として簡便に測定できる。本発明の阻害剤の小腸に対する効果は又、陰窩(crypt)及び絨毛軸の高さの増加でも示される。これらの活性は、ここで「腸肥大性」活性という。本発明の方法の有効性は又、陰窩細胞増殖の増加及び/又は小腸上皮(細胞)アポプトーシスの減少としても測定できる。これら細胞的な効果は、空腸(遠位空腸及び特に近位空腸等)並びに遠位回腸において非常に顕著に発現される。ある化合物で処理された(又は遺伝子工学的にそれを自分自身で発現するよう設計された)場合、被検動物が顕著に、小腸重量の増加、陰窩及び絨毛軸の高さの増加、又は陰窩細胞増殖の増加又は小腸上皮アポプトーシスの減少を示す場合、化合物は「腸肥大性効果」を有すると考えられる。これら胃腸内成長増殖を決定する好ましい例は、米国特許第5834428号に記載されている。 一般に、増加した小腸内重量及びその結果の増加した小腸粘膜機能のいずれかの効果が必要な患者は本発明の方法による治療の対象である。本発明で治療できる特定の症状として、種々のスプルー症候群、即ち;小麦のα−グリアジン中毒により生じ、腸の絨毛(villae)の非常な損失に特徴を有するセリアックスプルー;感染により生じ、絨毛の部分的平坦化に特徴を有する熱帯性スプルー;普通の種々の免疫不全又は低ガンマグロブリン血症患者に通常見られ、絨毛高さの非常な減少に特徴を有する低ガンマグロブリン血症スプルー;が挙げられる。治療の有効性は、絨毛形態を検査する腸の生検により、栄養物吸収の生化学的評価により、患者の体重増加により、又はこれらの状態に関する症状改善により観察できる。本発明の方法で治療出来る、又は本発明の方法が予防的に使用できる他の症状として、放射線腸炎、伝染性又は感染後腸炎、局部性腸炎(クローン病)、毒性又は他の化学療法用薬剤による小腸内損傷、並びに短腸症候群の患者が挙げられる。 更に一般的に、本発明は消化管病の治療方法を提供する。ここで使用される「消化管」は、食物が通過する管を意味し、胃及び腸を含む。ここで使用される「消化管病」は、消化管粘膜の質的又は量的な異常性を伴う病気を意味し、例えば、潰瘍性又は炎症性疾患;吸収不良症候群等の先天性又は後天性消化及び吸収障害;腸の粘膜障壁機能の損失により発生する病気;並びに蛋白喪失性胃腸病(腸症)が挙げられる。潰瘍性病気として例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、小腸内潰瘍、結腸潰瘍及び直腸潰瘍が挙げられる。炎症性疾患として例えば、食道炎、胃炎、十二指腸炎、腸炎、大腸炎、クローン病、直腸炎、胃腸内ベーチェット病、放射線腸炎、放射線大腸炎、放射線直腸炎、腸炎及び薬疹(medicamentosa)が挙げられる。吸収不良症候群として;二糖類分解酵素欠損症、グルコース・ガラクトース吸収不良症、フラクトース吸収不良症等の必須物質(アミノ酸、脂肪酸等)吸収不良症候群;例えば、静脈内若しくは腸管外(非経口)の栄養又は成分栄養食摂取に関係する消化管の粘膜萎縮により引き起こされる障害や、短腸症候群、盲嚢(カルデサック)症候群等の小腸の切除及び短絡により引き起こされる病気等の第二吸収不良症候群;並びにダンピング症候群等の胃の切除により引き起こされる病気等の消化不良−吸収不良症候群が挙げられる。 ここで使用される「消化管病用治療薬」は、消化管病の予防及び治療用薬剤を意味し、例えば、消化管潰瘍用治療薬、炎症性消化管病用治療薬、消化管内粘膜萎縮用治療薬及び外傷性消化管用治療薬、粘膜障壁機能回復薬及び消化吸収機能改善薬等の消化管機能改善薬が挙げられる。潰瘍として、消化性潰瘍及びびらん、急性潰瘍(即ち、急性粘膜障害)が挙げられる。 本発明の方法は腸内粘膜の増殖を促進するため、消化吸収機能不全の異常症状の治療及び予防(即ち、粘膜萎縮の治療及び予防)又は消化管組織の形成不全及び外科的切除によるこれら組織の減少の治療、並びに消化吸収の改善に使用できる。更に、本発明の方法は、腸炎、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の炎症性疾患により引き起こされる異常な粘膜症状の治療;ダンピング症候群等の手術後の消化管機能の低下の治療;並びに胃の蠕動阻害及び胃から空腸への食物の急激な移動を伴う十二指腸潰瘍の治療に使用できる。更に、グリセンチンが外科的侵入(切開)の治癒の促進並びに消化管の機能改善に効果的に使用できる。従って、本発明は又、グリセンチンを活性成分として含有する、消化管粘膜萎縮用治療薬、消化管外傷用治療薬及び消化管機能改善薬を提供する。 同様に、本発明の阻害剤は、セクレチン、VIP、PHI、PACAP、GIP及び/又はヘロデルミンの血漿中濃度の半減期を変えるために使用できる。更に、本発明の方法は、DPIVが受容体選択性を変えてそれらペプチドのプロセッシングに関与することで、ペプチドYY及びニューロペプチドY(いずれも膵臓のポリペプチドファミリーのメンバーである)の薬物動態を変えるために使用できる。 ニューロペプチドY(NPY)は、血管平滑筋緊張の調整、並びに血圧の調整機構で作動すると考えられている。NPYは又、心筋収縮能を低下させる。NPYは又、知られている最も強力な食欲刺激剤である(Wildingら、(1992)J Endocrinology132:299−302)。中枢誘導された食物摂取(食欲刺激)効果は、主にNPY Y1受容体により仲介されて体脂肪貯蔵及び肥満を増加させる(Stanleyら、(1989)Physiology and Behavior46:173−177)。 本発明の食欲不振の治療方法は、食欲を刺激し、体脂肪貯蔵を増加させ、食欲不振症状を実質的に軽減する阻害剤の有効量をホスト被検体へ投与することを含む。 本発明の低血圧の治療方法は、血管収縮及び血圧増加を仲介し、実質的に低血圧症状を軽減する本発明の阻害剤の有効量をホスト被検体へ投与することを含む。 DPIVは又、成長ホルモン分泌因子(GHRF)の代謝及び不活性化に関係している。GHRFは、ホモログペプチドのファミリーのメンバーであり、例えばグルカゴン、セクレチン、血管作動性腸内ペプチド(VIP)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、胃抑制性ペプチド(GIP)及びヘロデルミンが挙げられる(Kubiakら(1994)Peptide Res,7:153)。GHRFは視床下部により分泌され、脳下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の分泌を刺激する。従って、本発明の方法は、ある種の成長ホルモン欠乏児童の治療法並びに栄養摂取の改善及び体組成(筋肉対脂肪比)の変化のための成人の治療法を改善するのに使用できる。本発明の方法は又、例えば、少ない飼料でも高い牛乳生産性及び高い肥育率を達成するための獣医学的適用に使用できる。(iv)インシュリン分泌活性のアッセイ 本発明の方法に好ましい化合物を選択するため、化合物のインシュリン分泌活性適性は、その化合物を動物細胞へ適用するか、その化合物を動物に注入し、免疫反応性インシュリン(IRI)が動物の媒体又は循環系中にそれぞれ放出されるのを検出することにより測定できる。IRIの存在は特異的にインシュリンを検出できる放射免疫測定法を使用して検知できる。 db/dbマウスは、遺伝性肥満性及び糖尿病性系のマウスである。db/dbマウスは、肥満症の発現と共に高血糖症及び過インシュリン症を発現し、肥満II型糖尿病(NIDDM)のモデルとなる。db/dbマウスは例えばJackson Laboratories(Bar Harbor、Me.)から購入できる。例えば、マウスを阻害剤又は基準物質による治療プログラムで治療するために、眼窩下洞の血液サンプルがそれぞれの動物への投与前及び後の所定の時(例えば、60分後)に採取される。血中グルコース測定はグルコースメータを使用する等のいくつかの従来の技術が使用できる。基準物質及び阻害剤が投薬された動物の血中グルコース量が比較できる。 外因性GLP−1の代謝動態が又、非糖尿病性及びII型糖尿病性被検体のいずれにおいても発生し、阻害剤候補の効果が決定される。例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、特定の放射免疫測定法(RIA)、及び酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISA)の組み合わせが使用でき。それによって未反応の生化学的に活性なGLP−1及びその代謝産物が検知される(Deaconら(1995)Diabetes44:1126−1131参照)。具体的にはGLP−1投与後、NH2−末端対象RIA又はELISAを使用すると、これらアッセイ及びCOOH−末端特定化RIA間の濃度差がNH2−末端が欠如した代謝産物の決定を可能とするため、未反応のペプチドが測定できる。阻害剤なしでは、皮下のGLP−1は、急速に時間−依存的に劣化(分解)して、HPLC上でGLP−I(9−36)アミドと共に共溶出して同一の免疫反応プロファイルを示す代謝産物を形成した。例えば、糖尿病性患者(n=8)へのGLP−1皮下投与30分後、代謝産物はCOOH−末端RIAで測定される血漿免疫反応の88.5+1.9%増加を示し、それは健康な被検体で測定される量(78.4+3.2%;n=8;P<0.05)よりも高いものであった(Deaconら、supra参照。)。静脈内に注入されたGLP−Iも又大幅に分解した。(v)併合投与 本発明は又、1以上の他の治療薬がプロテアーゼ阻害剤と共に投与される併合療法を提供する。このような併合治療は、同時に、連続的に又は分離しての個々の治療成分の投薬により達成できる。 例えば、阻害剤はインシュリン;GLP−1又は、GLP−2、GIP若しくはNPY等のペプチドホルモン等の他のインシュリン分泌活性化剤;又は上記薬剤及びペプチドホルモンの異所性発現を引き起こす遺伝子治療ベクター;を併合して投与できる。例えば、上記薬剤又はペプチドホルモンは、1以上のアミノ酸が添加され、削除され又は置換されている、種々の天然由来又は合成ペプチドホルモンでもよい。 他の具体例では、本発明の阻害剤は、M1受容体拮抗薬(アンタゴニスト)と併合的に投与されてもよい。(アセチル)コリン作用性薬剤は、インシュリン分泌の効用のある調整剤であり、ムスカリン作用性受容体を介在して作用する。更に、この薬剤の使用は、コレステロール量を減少させる一方、HDL量を増加させる更なる利点を有する。好ましいムスカリン作用性受容体拮抗薬として、ムスカリン作用性(アセチル)コリン作用性受容体の活性化を直接又は間接的にブロックする物質が挙げられる。これら物質は好ましくは、M1受容体選択的である(又はこれら選択性を促進する量で使用される)。本発明を限定するものではないが、例えば、第4級アミン(メタンテリン、イプラトロピウム及びプロパンセリン等)、3級アミン(ジシクロミン、スコポラミン等)及び三環式アミン(テレンゼピン等)が挙げられる。ピレンゼピン及びメチルスコポラミンが好ましい。他の好ましいムスカリン作用性受容体拮抗薬として、ベンズトロピン(商標COGENTINとしてMerck社から市販されている。);ヘキサヒドロ−シラ−ジフェニドール塩酸塩(HHSID塩酸塩;Lambrechtら(1989)Trends in Pharmacol.Sci.10(Suppl):60に記載されている);(+/−)−3−キヌクリジニルキサンテン−9−カルボキシレートヘミオキサレート(QNX−ヘミオキサレート;Birdsallら、Trends in Pharmacol.Sci.4:459、1983);テレンゼピン2塩酸塩(Coruzziら(1989)Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.302:232;及びKawashimaら(1990)Gen.Pharmacol.21:17);及びアトロピンが挙げられる。これらムスカリン作用性受容体拮抗薬の投与量は、一般的に上記に概説された様に最適化されることができる。脂質代謝障害の場合、投与量最適化は、脂質代謝応答性ウィンドウの関係により時間を調節されるか否かに拘わらず独立していることが必要である。 インシュリン及び脂質代謝の制御並びに上記障害の軽減の観点から、本発明の阻害剤は又、d2ドーパミンアゴニスト(ブロモクリプチン等)等のプロラクチン阻害剤と相互依存的に作用しても良い。従って、本発明の方法は、プロラクチン−阻害エルゴアルカロイド及びプロラクチン−阻害ドーパミンアゴニスト等のプロラクチン阻害剤の併合投与を含んでも良い。好ましい化合物の例として、2−ブロモ−α−エルゴクリプチン、6−メチル−8β−カルボベンジルオキシアミノエチル−10−α−エルゴリン、8−アシルアミノエルゴリン、6−メチル−8−α−(N−アシル)アミノ−9−エルゴリン、6−メチル−8−α−(N−フェニルアセチル)アミノ−9−エルゴリン、エルゴコルニン、9,10−ジヒドロエルゴコルニン、D−2−ハロ−6−アルキル−8−置換されたエルゴリン、D−2−ブロモ−6−メチル−8−シアノメチルエルゴリン、カルビドーパ、ベンセラジド及び他のドーパ脱カルボキシル酵素阻害剤、L−ドーパ、ドーパミン及びそれらの非毒性塩が挙げられる。 本発明に使用できる阻害剤は又、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド及びAG−EE 623 ZW等のβ−細胞のATP−依存性カリウムチャネルに作用する薬剤と併合的に使用できる。阻害剤は又、メトホルミン及び関連化合物又はアカルボス等のグルコシダーゼ阻害剤等の他の経口薬剤と組み合わせても好ましく適用できる。(vi)医薬組成物 ここの記載で調製される阻害剤は、当分野で理解されるとおり、治療する障害並びに患者の年齢、症状及び体重に応じて種々の形状で投与できる。例えば、化合物が経口的に投与される場合、それらは錠剤、カプセル、顆粒剤、粉末剤又はシロップとして形成されても良く;腸管外投与の場合は、注射剤(静脈内、筋肉内又は皮下用)、滴下用輸液剤又は座薬として形成されても良い。目の粘膜経路での適用には、目薬又は眼軟膏剤として形成されてもよい。これら配合物は従来の手法により製造でき、必要な場合は、活性成分は賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯味矯臭剤、溶解剤、懸濁助剤、乳化剤又はコーティング剤のような任意の従来の添加剤と混合してもよい。投与量は、患者の症状、年齢及び体重、治療され又は予防されるべき障害の性質及び程度、投与経路及び薬剤の剤形に応じて変化できる。成人患者には一般に、上記化合物の投与量は1日当り0.01〜2000mgが好ましく、そしてこれは一回又は分割で投与できる。 対象患者における治療の有効性の点で最も効果的な結果を生じさせる阻害剤の正確な投与時間及び/又はその量は、特定の化合物の活性、薬物動態及び生物学的適用性、患者の生理学的状態(年齢、性別、病気の種類、病期、身体全体の状態、所定の投薬量に対する応答性及び薬剤投与の種類等)、投与経路等に依存する。しかし、上記指針は、例えば最適な投与時間及び/又は投与量の決定等の、この治療を微調整するための基礎として使用でき、上記微調整には被検体を監視して投与量及び/又は投与時期を調節することからなる通常の実験しか必要としない。 ここで使用される「医薬的に許容できる」とは、確実な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症無しにヒト及び動物組織に接触させる使用に好ましく、合理的な危険性/受益性割合に相応するものである、リガンド、材料、組成物、及び/又は投薬剤の形態を言う。 ここで使用される「医薬的に許容できるキャリア」とは、液体又は固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料等の医薬的に許容できる材料、組成物又は媒体を言い、体の1つの器官又は一部から体の別の器官又は一部へ目的の医薬品を運び輸送する場合に使用される。それぞれのキャリアは、配合物の他の成分と共存でき、患者に有害でない意味で「許容できる」必要がある。医薬的に許容できるキャリアに使用できる材料の例として、(1)乳糖、ブドウ糖及びショ糖等の糖類;(2)コーンスターチ及び馬鈴薯澱粉等の澱粉;(3)カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテートのナトリウム塩等のセルロース及びその誘導体;(4)粉末化トラガカント;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び座薬ワックス等の賦形剤;(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油等の油;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール;(12)オレイン酸エチルエステル及びラウリン酸エチルエステル等のエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝溶液;並びに(21)医薬配合物で使用される他の非毒性かつ共存性の物質、が挙げられる。 ここで「医薬的に許容できる塩」とは、比較的非毒性の、本発明の阻害剤の無機及び有機酸付加塩である。これらの塩は、in situで本発明の阻害剤を最終分離又は精製するか、本発明の精製阻害剤をその遊離塩基形態で適切な有機又は無機酸と独立して反応させ、次に精製した塩を分離することで製造できる。代表的な塩として、臭化水素酸、塩酸、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、バレレート、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、ホスホン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メタンスルホン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(Bergeら(1977)Pharmaceutical Salts、J.Pharm.Sci.66:1−19等参照)。 又、本発明の方法に使用できる阻害剤は、1以上の酸性官能基を含有してもよく、従って、医薬的に許容できる塩基と共に医薬的に許容できる塩を形成できる。ここで「医薬的に許容できる塩」とは、比較的非毒性の、本発明の阻害剤の無機及び有機塩基付加塩である。これらの塩は、同様にin situで本発明の阻害剤を最終分離及び精製するか、本発明の精製阻害剤をその遊離酸形態で、医薬的に許容できる金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の適切な塩基;アンモニア;又は医薬的に許容できる有機第1級、第2級又は第3級アミンと独立して反応させることで製造できる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩としてリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に使用できる代表的な有機アミンとして、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が挙げられる(Bergeら、supra等参照)。 ラウリルスルフェートナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の湿潤剤、乳化剤及び潤潤滑剤、並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、調味剤、香料、防腐剤及び抗酸化剤も又本発明の組成物中に存在できる。 医薬的に許容できる抗酸化剤として:(1)アスコルビン酸、システイン塩酸、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤;(2)アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール等の油溶性抗酸化剤;及び(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等の金属−キレート化剤が挙げられる。 本発明の方法に有用な配合物としては、経口投与、経鼻投与、外用(topical)投与(口腔及び舌下を含む)、直腸内投与、膣内投与、噴霧投与及び/又は非経口投与のために適切なものが挙げられる。この配合物は、好都合なことに、単位投薬形態で与えることができ、製薬分野の当業者に周知の任意の方法で製造できる。1回の投薬物形態を製造するためにキャリア材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療されるホスト、投与される特定の形態に応じて変化できる。1回の投薬形態を製造するためにキャリア材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般的に治療効果を生じる化合物の量でもよい。通常、この量は活性成分の100%以外に、好ましくは約1%〜約99%、更に好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%である。 これら配合物又は組成物の製造方法には、阻害剤及びキャリア並びに任意で、1以上の副成分とを結合させるステップが含まれる。一般に配合物は均一かつ密接にリガンドを液体キャリア、若しくは微細に分割された固体キャリア、又は両方と接触させ、次に必要に応じて生成物を形成することにより製造される。 経口投与に好ましい配合物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味を付けた基剤、通常はスクロース及びアラビアガム又はトラガカントを使用する)、粉末剤、顆粒剤、又は水性若しくは非水性液体の溶液若しくは懸濁液、又は水中油滴型若しくは油中水滴型エマルジョン又はエリキシル若しくはシロップ剤又はトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアガムのような不活性基剤を使用する)及び/又はうがい液等の形状であることができ、それぞれは活性成分として所定量の阻害剤を含有する。又、化合物は、ボーラス、舐剤又はペーストとしても投与できる。 経口投与のための固体投薬剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、粉末剤、顆粒剤等)では、活性成分は、1種以上の医薬的に許容できる、クエン酸ナトリウム若しくは燐酸二カルシウム等のキャリア及び/又は下記任意のもの:(1)澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸等の充填剤又は増量剤;(2)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニリルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアガム等の結合剤;(3)グリセロール等の湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯澱粉又はタピオカ澱粉、アルギン酸塩、ある種のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)アセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイトクレー等の吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物等の潤滑剤;(10)着色剤と混合できる。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合には、医薬組成物は、緩衝化剤を含んでもよい。又、同様の種類の固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用した軟質充填及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用できる。 錠剤は、任意で1種以上の副成分と共に打錠又は成形することによって製造できる。打錠された錠剤は、結合剤(ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(ナトリウムスターチグリコレート又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース等)、界面活性剤又は分散剤を使用して製造できる。成形錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らせた粉末ペプチド又は擬ペプチドの混合物を好ましい機械で成形することによって製造できる。 錠剤及び、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤等の他の固体投薬剤形は、任意で刻み目を入れることができ、又は製薬業者に公知の腸溶コーティング及びその他のコーティング等のコーティング及びシェルを付して製造できる。又、これらは、例えば目的とする放出プロファイルとなるように(組成)割合を変化させたヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はマイクロスフィアを使用して、その中の活性成分の徐放又は制御放出が可能となるように配合されてもよい。これらは、例えば、細菌濾過膜によるろ過によって、又は殺菌剤を組み込んで使用直前に殺菌水又はいくつかの他の殺菌注射用媒体に溶解できる殺菌固体組成物の形とすることによって殺菌できる。又、これらの組成物は、任意で不透明剤を含有することができ、又これらは活性成分のみを又はこれを優先的に消化管の任意の特定部分で徐々に放出する組成物でもよい。使用できる保持組成物は、ポリマー物質及びワックスを含んでも良い。又、活性成分は、適切ならば、上記賦形剤の1種以上によりマイクロカプセル化された形でもよい。 経口投与のための液状投薬形態としては、医薬的に許容できるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。活性成分の他に、液状投薬剤は;水又はその他の溶媒等の当分野で一般的に使用されている不活性希釈剤;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、オイル(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステル並びにこれらの混合物等の溶解剤及び乳化剤;を含有してもよい。 不活性希釈剤の他に、この経口組成物は又、湿潤剤、乳化剤と沈殿防止剤、甘味剤、香味剤、着色剤、賦香剤及び防腐剤等の補助剤を含んでもよい。 懸濁液は、活性阻害剤に加えて、ある種の懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカント並びにこれらの混合物を含有してもよい。 腸内又は膣内投与のための配合物は座剤として提供でき、その座薬は1種以上の阻害剤と、ココアバター、ポリエチレングリコール、座剤ワックス若しくはサリチル酸塩等の1種以上の好ましい非刺激性賦形剤又はキャリアとを混合させることによって製造でき、室温では固体であるが体温では液体であるため直腸又は膣腔で溶解して作用薬を放出できる。 又、膣内投与に好ましい配合物としては、好適であることが当分野に知られているキャリアを含有する、膣座剤、綿球、クリーム、ゲル剤、軟膏、フォーム又はスプレー配合物も挙げられる。 阻害剤の外用又は経皮投与のための投薬剤形としては、粉末剤、スプレー、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション剤、ゲル剤、溶液、パッチ及び吸入剤が挙げられる。活性成分は、殺菌条件下で医薬的に許容できるキャリア及び任意の防腐剤、緩衝液又は必要ならば噴射剤と混合してもよい。 軟膏剤、ペースト、クリーム及びゲル剤は、阻害剤の他に、動物性及び植物性油脂、オイル、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン樹脂、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛並びにこれらの混合物等の賦形剤を含有することができる。 粉末剤及びスプレーは、阻害剤の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末又はこれらの物質の混合物等の賦形剤を含有できる。スプレーは、クロロフルオロヒドロカーボン及び、ブタン及びプロパン等の揮発性の非置換炭化水素等の通常の噴射剤を更に含有してもよい。 一方、阻害剤は、エーロゾルによっても投与できる。これは、本発明の化合物を含有する、水性エーロゾル、リポソーム製剤又は固体粒子を製造することによって形成できる。非水性(フルオロカーボン噴射剤等)懸濁液を使用してもよい。超音波噴霧器が、この薬剤を化合物の分解を生じるような剪断に曝すのを最小限にするため好ましい。 通常、水性エーロゾルは、従来の医薬的に許容できるキャリア及び安定剤と共に薬剤の水溶液又は懸濁液を配合することによって製造できる。このキャリア及び安定剤は、特定の化合物の条件によって様々であるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Pluronics社製商品名Tweens、又はポリエチレングリコール)、血清アルブミン等の無害の蛋白質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシン等のアミノ酸、緩衝剤、塩、糖又は糖アルコールを含む。一般に、エーロゾルは等張溶液から調製される。 経皮的貼付剤は、本発明の阻害剤の体への制御放出が可能になる長所を更に有する。このような投薬剤形は、薬剤を適切な溶媒中へ溶解又は分散することにより形成できる。又吸収増強剤を、皮膚を通る阻害剤の流動を増加させるために使用できる。この流動速度は、速度制御膜を使用するか擬ペプチド性物質をポリマーマトリックス又はゲル中に分散させることにより調節できる。 又、眼用軟膏、粉末剤、溶液等の眼科用配合物も又、本発明の範囲内である。 非経口投与に好ましい本発明の医薬組成物は、1種以上の阻害剤を、1種以上の医薬的に許容できる殺菌等張水溶液若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルジョン又は使用直前に殺菌注射用溶液若しくは分散液に復元できる殺菌粉末と共に含み、それは又、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、配合物を対象の受容者の血液と等張にする溶質又は懸濁剤又は増粘剤を含有してもよい。 本発明の医薬組成物に使用できる好ましい水性及び非水性キャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)及びこれらの好ましい混合物、オリーブ油等の植物性オイル並びにオレイン酸エチル等の注射用有機エステルが挙げられる。適当な流動性は、レシチン等のコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。 又、これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤等の補助剤を含有してもよい。微生物活動の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含有することによって可能である。又、糖類、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物に含有させるることも好ましい。更に、注射用製剤の長期間吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の吸収遅延剤を包含させることによって達成できる。 場合によっては、薬剤の効果を長期化するために、皮下又は筋肉内注射からの薬剤の吸収を緩慢にすることが望ましい。これは、低い水溶性を有する結晶又は非晶質材料の液状懸濁液の使用によって達成できる。この場合の薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、この溶解速度は結晶寸法及び結晶形態に依存することがある。一方、非経口的に投与された薬の遅延吸収は、薬をオイル媒体中に溶解又は分散させることによって達成できる。 蓄積注射用剤形は、ポリアクチド−ポリグリコリド等の生物分解性ポリマー中に阻害剤のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造できる。薬剤対ポリマーの比率及び使用される特定のポリマーの性質によって、薬剤放出速度を制御できる。その他の生物分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及び無水物ポリマーが挙げられる。又、蓄積注射用配合物は、薬剤を体組織と親和性のあるリポソーム又はミクロエマルジョン中に取り込むことによっても製造できる。 本発明の阻害剤が医薬品としてヒト及び動物に投与される場合、これらは、それ自体で又は、0.1〜99.5%(好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を医薬的に許容できるキャリアと共に含有する医薬組成物として供給されてもよい。 本発明の薬の製剤は、経口的に、非経口的に、外用的又は直腸に投与されても良い。これらは、勿論、それぞれの投与経路に好ましい形式で与えられる。例えば、これらは、錠剤又はカプセル剤形で、注射、吸入、点眼、軟膏、座剤、輸液等により;ローション又は軟膏剤により経皮的に;座剤により経腸的に;投与されても良い。経口投与が好ましい。 ここで使用される「非経口投与」及び「非経口的に投与された」とは、経腸及び外用投与以外の投与方式、通常は注射を意味し、本発明を限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜内、包(嚢)内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内及び胸骨内注射及び点滴が挙げられる。 ここで使用される「全身的投与」「全身的に投与された」「末端的投与」及び「末端的に投与された」は、患者の系に入り込み代謝や他のプロセスを経るような中枢神経系への直接的投与ではなく、皮下注入等の、リガンド、薬又は他の材料の投与を意味する。 これらの阻害剤は、治療のために、任意の好ましい投与経路によってヒト及びその他の動物に投与でき、投与経路として、経口、スプレーによる等の経鼻、直腸内、膣内、非経口、クモ膜下槽内並びに、粉末剤、軟膏又は滴剤によるような外用(頬内及び舌下を含む)が挙げられる。 選択される投与経路に関わらず、本発明の好ましい水和体で使用できる阻害剤及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって医薬的に許容できる剤形に配合できる。 本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物及び投与形式に対する目的とする治療的反応を達成するのに有効であり、その患者にとって毒性とならない活性成分量を得るように変化させても良い。IV.例示 本発明は上記で一般的な記載がされたが、下記実施例を参照して更に容易に理解できる。但し、下記実施例は本発明の特定の態様及び具体例を例示するためのみ記載されており、本発明を限定するものではない.省略形:EDC:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸;HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;Chg:シクロヘキシルグリシン。実施例1:シクロヘキシルグリシンboroAlaの合成 図1に関して、515mg(2.00mmol)のBoc−L−2−(シクロヘキシル)グリシン1溶液(Chem−Impex International社製)、587mg(2.26mmol)のboroAlaピナン塩酸塩2、332mg(2.46mmol)のHOBT、及び無水DMF6mL中の671μL(4.84mmol)のトリエチルアミンを、498mg(2.60mmol)のEDCで処理し、得られた溶液をアルゴン雰囲気下で室温18時間攪拌した。反応混合物を200mLの10%クエン酸水溶液で希釈し、得られた混合物を2×100mLの酢酸エチルで抽出した。あわせた抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮して透明な油状物質を得た。粗製油状物質を、酢酸エチル/ヘキサンを使用してシリカゲル上でクロマト処理し、透明な油状物質である生成物エステルを得た。次に油状物質を塩酸のジエチルエーテル溶液(1.0M溶液、25mL)に溶解し、48時間、室温で攪拌した。混合物を真空留去して乾燥し、25mLのpH2(0.01N、HCl)のフェニルボロン酸溶液(244mg、2mmol)及びエーテル(25mL)中に再溶解した。30分間攪拌後、エーテル相を除去し、新しいエーテル(25mL)と置き換えた。この操作を4回繰り返した。次に水相を凍結乾燥し、HPLCで精製し170mg(37%)の標的化合物3を得た。実施例2:グルコース負荷試験 実験は、zucker肥満型ラットでの経口グルコース負荷の結果に基づき、シクロヘキシル−gly−boro−alaは経口的に活性であり、明らかに血中糖量を低下させることを示した。図2参照。これらの「急性」(負荷)実験では、zucker肥満型及びzuckerやせ型ラットへは、シクロヘキシル−gly−boro−alaを0.035mg/kg(低投薬量)又は0.35mg/kg(高投薬量)のいずれかで経口的に投与し、次に1時間以内に経口グルコース負荷試験を行なった。又これらの実験を、基準物質として食塩水を使用して行った。実施例3:pH8での阻害剤の不活性化 実験は、シクロヘキシルグリシン−bAlaはHis−bAla、Ala−bAla、及びPhg−bAlaと比較して、非常なpH−時間依存性阻害を示さないことを示した。この実験では阻害剤の貯蔵溶液(His−bAla、Ala−bAla、Phg−bAla及びシクロヘキシルグリシン−bAla)をpH1〜2に調整した。これら貯蔵溶液をpH8で下記のようにプレインキュベートした:最初に、緩衝液(0.1M、HEPES、pH8、0.14M NaCl)中への1:10希釈を行った;次に、希釈後pHを測定し、別の阻害剤のために7.5〜8に調整した;最後に、このpHでインキュベーションを0、60、120、180分間行った。下記インキュベーション、1:10阻害剤の緩衝液溶液への希釈及び阻害剤の酵素(DPPIV)緩衝溶液への1:10希釈が順々に行われた。阻害剤は、緩慢な結合のため酵素と共に10分間プレインキュベートし、基質(H−Ala−Pro−パラニトロアナリド)を濃度約=KM(17μM)で添加した。410nmでの吸収を全ての阻害剤に対して30分後に記録した。図3〜6参照。実施例4:ラットの血清サンプルに対するDPPIVアッセイ 実験は、DPPIV酵素活性がシクロヘキシルグリシン−boroAlaで処置されたラットでは顕著に減少したことを示した。図7参照。2匹のメス(#3及び#9)並びに2匹のオス(#10及び#11)の4匹のラットをこの実験に使用した。血液及び血漿サンプルを、シクロヘキシルグリシン−boroAla処置して1時間後のラットから採取した。採取した血清サンプルのシクロヘキシルグリシン−boroAlaのDPPIV活性を下記の通り評価した: 2mgのAla−Pro−パラニトロアナリド(基質)を20mlの0.1MのHEPES、pH8、0.14M NaCl(緩衝液)中に溶解した。 血清サンプルを、microtiter plateのウェル中の基質溶液に希釈した。それぞれのサンプルで、10μLの血清を150μLの基質中に希釈した。 それぞれのウェル中のA410の目盛りを血清の基質中への希釈直後に測定し、約1時間後にも再度測定した。それぞれの目盛りで得られたデータの時間を、microplate reader softwareによりデータファイル中に記録した。 第1の目盛りを第2のものから引いて反応時間で割ってδ(Delta)A410/hrを得ることで吸光度の変化率が得られた。DPPIV活性を、δA410hr-1μL-1単位でプロットした。実施例5:嵩高い置換基を使用した環化反応の防止 この実施例では、嵩高いR置換基を有するXaa−boro−Alaアナログが環化反応を予防し生物活性を高めることを示す。図8参照。本発明者らは以前、L−Ala−D、L−boroPro及びL−Pro−D、L−boroPro等の合成ジアステレオマー性単一の(monomeric)化合物が、溶解性DPIVの触媒活性の有効な阻害剤であることを示した。しかし、その際に、これら単一の阻害剤はそれらの抑制性活性の幾分かは、環化反応のために中性付近のpH値の水溶液中で急速に失われる問題に直面した。この開環状の活性な抑制性鎖種は、環化構造が高いpHで存在しやすいのに対し、低いpHで存在しやすい。又、反応は完全に可逆的であり:開環鎖は低いpHで優位である。開環鎖から環式種への反応は、プロリンのトランスからシスへの異性体化及び新しいN−B結合の形成を含む。環式構造から開環鎖種への再形成の半減期は、驚くほど低い。中性pHでの[環式]:[開環]体の割合は、Pro−boroProで156:1であり、Val−boroProで1130:1であることが明らかにされている(W.G.Gutheil及びW.W.Bachovchin「L−Pro−DL−boroProのその構成成分ジアステレオマーへの分離及びジペプチジルペプチダーゼIVのそれら阻害の運動学的分析」、「遅速的、強結合性阻害の新規な分析方法」Biochemistry 32、8723−8731(1993))。これは、Pro−boroProが1%未満でVal−boroProが0.1%未満で、開環鎖(抑制性種)としてpH7.0で平衡に存在することを示す。 本発明は、環化反応の平衡定数にも関する。シクロヘキシルグリシン−boro−Alaの中性pHでの[環式]:[開環]体の割合は、約2:1であり、それはこれまで知られていたXaa−boro−Proの対応する割合よりも非常に低いことが明らかになった。更に、シス−トランス異性体化割合、従って環化反応及び非環化反応の割合、も又本発明の化合物ではより早い。本発明者らは、この事実は嵩高い置換基効果、例えば図8におけるRがシクロヘキシルを表す場合、に起因すると考える。 本発明者らは本発明で挙げられた化合物の生化学的な生体適用性(生化学的機能)は、様々な嵩高いR基(図8参照)を有する化合物を構成してペプチド配座の変化、分子内環化反応等、を阻害することにより、顕著に増加可能であることを示した(約100−1000倍)。これら化合物として、P2の非天然アミノ酸を含む化合物が挙げられるが本発明を限定するものではない。IV.均等物 均等物 当業者は、通常の実施技術を使用するのみで本発明の特定の態様と均等な種々のものを認識できる。これらの均等物は本発明の特許請求の範囲の範囲内である。 ここで挙げられた全ての文献及び刊行物は資料として使用する。 図10〜23で例示されている化合物の化学式を下記に示す。 シクロヘキシルアラニン−boroPro(図10) 1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−boroプロリン(図11) 1,2,3,4−テトラヒドロ−β−カルボリン−boroプロリン(図12) エチルグリシン−2−boroチアゾリジン(図13) エチルグリシン−boroヒドロキシプロリン(図14) ジアミノグリシン−boroプロリン(図15) エチルグリシン−N(メチル)boroアラニン(図16) エチルグリシン−boroピペリジン(図17) エチルグリシン−N(メチル)boroグリシン(図18) t−ブチルグリシン−boroアラニン(図19) t−ブチルグリシン−boroプロリン(図20) イソプロピルグリシン−boroプロリン(図21) エチルグリシン−boroプロリン(図22) (allo)イソロイシン−boroプロリン(図23)図1はシクロヘキシルグリシン−boro−Alaの合成の概略である。図2はzuckerラットでの経口グルコース負荷試験中にシクロヘキシルグリシン−アラニン−ボロン酸(シクロヘキシルグリシン−boro−Ala)を経口投与した血中グルコース値(mmol/L)変化である。図3はpH8でのHis−boro−Alaの不活性化カーブの時間経過である。図4はpH8でのAla−boro−Alaの不活性化カーブの時間経過である。図5はpH8でのPhg−boro−Alaの不活性化カーブの時間経過である。図6はpH8でのシクロヘキシルグリシン−boro−Alaの不活性化カーブの時間経過である。図7は、シクロヘキシルグリシン−boro−Alaの投与前及び投与後1時間のラット血清サンプルから測定されたDPPIV酵素活性を示す棒グラフである。図8はXaa−boro−アラニン化合物(阻害剤)の構造的平衡を表す概略である。図9はt−ブチル−グリシン−Pro−ニトリルのUVクロマトグラフである。図10はβ−シクロヘキシルアラニン−boroProのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図11は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−boroプロリンのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図12は1,2,3,4−テトラヒドロ−β−カルボリン−boroプロリンのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図13はエチルグリシン−2−boroチアゾリジンの精製を示すMS及びNMRの二つのグラフである。図14はエチルグリシン−boroヒドロキシプロリンの精製を示すUV及びMSの二つのグラフである。図15はジアミノグリシン−boroプロリンの精製を示すUV及びMSの二つのグラフである。図16はエチルグリシン−N(メチル)boroアラニンのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図17はエチルグリシン−boroピペリジンのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図18はエチルグリシン−N(メチル)boroグリシンのNMRスペクトルである。図19はt−ブチルグリシン−boroアラニンのNMRスペクトルである。図20はt−ブチルグリシン−boroプロリンのin vivoで0.05mg/kgでのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図21はイソプロピルグリシン−boroプロリンのin vivoで0.05mg/kgでのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図22はエチルグリシン−boroプロリンのin vivoで0.05mg/kgでのDPIV抑制性活性を示すグラフである。図23は(allo)イソロイシン−boroプロリンのin vivoで0.05mg/kgでのDPIV抑制性活性を示すグラフである。 式IIIで表されるジペプチジルペプチダーゼ阻害剤:但し、Rは水素、ハロゲン、又は分岐状若しくは非分岐状C1〜C6アルキルを表し;Wは下記の式を表し;但し、Y1及びY2はそれぞれ独立して、−OH、又は水酸基へ加水分解されることが可能な基であり、B、Y1及びY2は環構造中に5〜8原子を有する1の環を介して結合されている環状誘導体を含む基を表し、R1は水素、C−末端が結合されたアミノ酸若しくはペプチド、又はアミノ保護基を表し;R3a及びR3bはそれぞれ独立して水素又はC1〜C3アルキルを表し;R4a、R4b及びR4cはそれぞれ独立してC1〜C4のアルキルを表し、又はR4a及びR4bは水素でR4cはシクロアルキルを表し;zは0又は1〜3の整数である。 R4a、R4b及びR4cはそれぞれ独立してC1〜C3のアルキルを表し、zは0である請求項1に記載の阻害剤。 R4a、及びR4bはそれぞれ水素を表し、R4cはシクロアルキルを表し、zは0又は1である請求項1に記載の阻害剤。 R4cは5、6又は7員環のシクロアルキルである請求項3に記載の阻害剤。 下記の構造を有する請求項2に記載の阻害剤。 R1は、プロテアーゼの基質であるアミノ酸残基又はペプチジル成分である請求項1〜5いずれか1項の阻害剤。 50nM以下のKiでDPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)を阻害する阻害剤である請求項1〜6いずれか1項の阻害剤。 経口的に作用する請求項1〜7いずれか1項の阻害剤。 医薬的に許容できるキャリア、及び請求項1〜8いずれか1項記載のプロテアーゼ阻害剤又は医薬的に許容できる塩若しくはそのプロドラッグを含有する医薬組成物。 in vivoでのジペプチジルペプチダーゼ酵素を阻害するための治療薬の製造における請求項1〜9いずれか1項の阻害剤の使用。 グルコース代謝調節用治療薬の製造における請求項1〜10いずれか1項の阻害剤の使用。 II型糖尿病、インシュリン耐性、グルコース不耐性、高血糖症、低血糖症、過インシュリン症、肥満症、高脂質血症、又は高リポ蛋白血症の患者のグルコース代謝調節用請求項11の使用。 請求項1〜12いずれか1項記載の阻害剤の製剤;医薬的に許容できるキャリア;並びに、in vivoでのジペプチジルペプチダーゼ酵素阻害用製剤の使用方法を文章で記載し及び/又は図示して示す使用説明書:を含む包装医薬製品。 請求項1〜13いずれか1項記載の阻害剤の製剤;医薬的に許容できるキャリア;並びにグルコース代謝調節用製剤の使用方法を文章で記載し及び/又は図示して示す使用説明書:を含む包装医薬製品。 プロテアーゼ阻害剤が、インシュリン及び/又はインシュリン分泌活性化剤(Insulinotropic agent)と共に配合され、又は共に包装されている請求項14の包装医薬製品。 阻害剤が、M1受容体拮抗薬(レセプタアンタゴニスト)、プロラクチン阻害剤、β−細胞のATP−依存性カリウムチャネルに作用する薬剤、メトホルミン、及び/又はグルコシダーゼ阻害剤、と共に配合され、又は共に包装されている請求項14の包装医薬製品。


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