タイトル: | 特許公報(B2)_IGG抗体の安定な液体医薬製剤 |
出願番号: | 2003541777 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 47/08,A61K 9/08,A61K 39/395,A61K 47/34,A61P 37/06 |
カイシェバ,エリザベット エー. グプタ,シュプリヤ ドブール,シャンティ ジー. サブラマニアン,マラシー JP 5290489 特許公報(B2) 20130614 2003541777 20021108 IGG抗体の安定な液体医薬製剤 アッヴィ・バイオセラピューティクス・インコーポレイテッド 509189086 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 武居 良太郎 100150810 津田 英直 100166165 カイシェバ,エリザベット エー. グプタ,シュプリヤ ドブール,シャンティ ジー. サブラマニアン,マラシー US 60/337,509 20011108 20130918 A61K 47/08 20060101AFI20130829BHJP A61K 9/08 20060101ALI20130829BHJP A61K 39/395 20060101ALI20130829BHJP A61K 47/34 20060101ALI20130829BHJP A61P 37/06 20060101ALI20130829BHJP JPA61K47/08A61K9/08A61K39/395 YA61K47/34A61P37/06 A61K 9/00-9/72 A61K 38/00-39/44 A61K 47/00-47/48 A61P 1/00-43/00 国際公開第97/45140(WO,A1) 国際公開第97/4801(WO,A1) 国際公開第98/56418(WO,A1) 国際公開第98/22136(WO,A2) 特表2004−532262(JP,A) 6 US2002036093 20021108 WO2003039485 20030515 2005508981 20050407 25 20051004 2010028041 20101210 内田 淳子 川口 裕美子 大久保 元浩 本発明は、一般に抗体の医薬製剤分野に関する。特に、本発明は、安定した、液体の高濃度の抗体製剤に関する。本発明は、ダクリズマブ、抗IL-2受容体抗体;HAIL-12、ヒト適応させた抗IL-12モノクローナル抗体;及びHuEP5C7、ヒトに適応させた抗L選択モノクローナル抗体の安定な液体製剤によって例証される。 ヒトへの使用が目的とされる多くのタンパク質製剤は、製剤の使用に先立ってタンパク質に対する変性、凝集、及び変化を防ぐために安定剤が必要とされる。この不安定性は、可溶/不可溶の粒子の形成において顕著であり、タンパク質製剤が期限を越えて及び輸送の間貯蔵されるとき、増加することがある。タンパク質薬製剤の開発における主要な目標は、タンパク質の可溶性、安定性、及び生理活性を維持することである。 特に免疫グロブリンは、溶液中で凝集体及び粒子を形成する傾向がある特徴を有していると認識されており、そういったものとして、静脈注射又は皮下注射で使用する前にろ過が必要とされうる。タンパク質の凝集体及び粒子の形成は、非経口の免疫グロブリン製品の開発において、特に免疫グロブリンが高濃度で処方されるとき、長い間問題となってきた。シナジス(商標)(メディミューン)は、組換えDNA技術によって作られたヒトに適応させたモノクローナルIgG1抗体であって、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)のTタンパク質のA抗原サイトにおけるエピトープに対する抗体である。シナジス(商標)はヒト(90%)とマウス(10%)抗体配列の複合体である。シナジス(商標)は、注射のために滅菌水で元に戻される無菌凍結乾燥製品として供給される。元に戻されたシナジス(商標)は筋肉内注射でのみ投与されるべきである。元に戻す際に、シナジス(商標)は、以下の賦形剤;47mMヒスチジン、3.0mMグリシン、5.6%マンニトール、及び有効成分、つまりIgG1抗体をバイアル当り100mgの濃度で含む。元に戻されたシナジス(商標)は6時間の再構成のうちに投与されるべきである。 WO 89/11297は、1〜25mg/mlのIgGモノクローナル抗体の凍結乾燥された製剤、2〜10%マルトース、及びp3.0〜6.0の間のpHを有する酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、又はクエン酸ナトリウム緩衝液を含む凍結乾燥されたモノクローナル抗体製剤を開示する。 WO 97/45140は、100mMクエン酸ナトリウム、0.05mM EDTA、pH6.0中におおよそ100mg/mlの濃度にされた抗CD4抗体の水性製剤を開示する。この出願は、抗体の濃縮後における濁度のわずかな上昇を開示し、濁度の上昇はタンパク質の凝集を表しているようである。この凝集を取り除くことは、ポリソルベート80の添加及び滅菌ろ過が必要とする。 WO 90/11091は、約5mg/mlのIgM、2.5〜5%(w/v)のヒト血清アルブミンを8〜20mMのリン酸緩衝液、270mMの塩化ナトリウム、pH6.8〜7.4中に含む注射可能な水性組成物を開示する。 米国特許6,171,586号は、安定な水性医薬製剤であって、以前に凍結乾燥を受けていない治療有効量の抗体、約pH4.8〜約5.5の酢酸緩衝液、界面活性剤、及びポリオールを含む製剤を開示する。そこでは、製剤は等張化する量の塩化ナトリウムを欠如する。 米国特許出願公開US2001/0014326A1号は、前に凍結乾燥された抗体製剤で、5mg/mlの抗IgE抗体、5mMのヒスチジン、pH6.0、85mMスクロース、及び0.01%ポリソルベート20を含む製剤を開示する。 米国特許5,744,132号は、約5.6のpHを有する1〜1000μg/mlのIL-12抗体、2%スクロース、4.15%マンニトール、10mMのコハク酸ナトリウム、及び約0.02%のトゥィーン(商標)20を含む組成物を開示する。 米国特許6,267,958号は、20mMヒスチジン、pH6.0、340mMスクロース、0.04%ポリソルベート20、及び0.9%ベンジルアルコール中に100mg/ml rhuMab E25を戻した製剤を開示する。 米国特許6,165,467号は、受入番号HB8307を有する融合細胞腫の細胞系列により作られるヒトモノクローナル抗体組成物を安定化するための過程であって、7.2から7.4のpHを有するリン酸塩安定化緩衝溶液中でヒトモノクローナル抗体を透析することを含む過程を開示し、前記溶液は前記モノクローナル抗体mgあたり1〜20mgのD-マンニトール、前記モノクローナル抗体mgあたり0.005〜0.2ミリモルのグリシン、及び前記溶液のpHを安定化させるための多量のpH安定化リン酸塩を含む。 抗体濃度が50mg/ml又はそれを超える、安定した液体抗体製剤への需要があり;そういった製剤は、ヒトに対する静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下注射を含む非経口投与に適している。 発明の要約 本発明は、20〜60mMコハク酸緩衝液又は30〜70mMヒスチジン緩衝液(pHは約pH5.5から約pH6.5)、浸透圧調整剤、及び約0.01〜0.1%のポリソルベート中において高濃度の、例えば50mg/ml以上の、抗体を含む安定な液体医薬製剤に向けられる。本製剤は、抗体の物理的、化学的、及び生物的安定性を保っており、ヒト患者に対する投与を意図された免疫グロブリンが最終製品において凝集体及び粒子を形成することを防ぐ。本発明の好ましい抗体は、ダクリズマブ、ヒトに適応させた抗IL-2受容体モノクローナル抗体;HAIL-12、ヒトに適応させた抗IL-12モノクローナル抗体;HuEP5C7、ヒトに適応させた抗Lセレクチンモノクローナル抗体;及びフォントリズマブ(fontolizumab)、ヒトに適応させた抗γインターフェロンモノクローナル抗体を含む。 液体の抗体製剤は、冷蔵庫の温度(2〜8℃)において少なくても1年間は、好ましくは2年間安定である。この液体製剤は、室温(23〜27℃)においても、少なくても6ヶ月は安定である。この液体製剤は皮下注射に適している。 発明の詳細な説明 1.定義 本明細書中で用いられるとき、「緩衝液」という用語は、溶液のpHを許容される範囲に維持する溶液を含み、並びにクエン酸(ナトリウム)、ヒスチジン、リン酸(ナトリウム又はカリウム)、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、ジエタノールアミン、及び類似なものを含みうる。本発明の緩衝液は、約5.5から約6.5の範囲におけるpHを持ち、好ましくは、約6.0のpHを持つ。この範囲におけるpHを制御する緩衝液の例は、コハク酸(例えばコハク酸ナトリウム)、グルコン酸、ヒスチジン、クエン酸、リン酸、及び別の有機酸緩衝液を含む。 「医薬として許容される賦形剤」(媒体、添加剤)は、合理的に哺乳動物の対象に投与されうる不活性な物質であり、及び使用される有効成分の効果的な投与量を提供する。これらの物質は、抗体の物理的、化学的、生物的構造を安定化するために製剤に加えられる。この用語はまた、投与の意図された形態に適した等張性の製剤に達するために必要とされうる添加剤のことも指す。 「医薬製剤」という用語は、有効成分の生理活性が明確に有効であることを可能にするような形態であり、及び製剤が投与される対象に対し毒性がある構成成分を含まない製剤のことを指す。 「安定な」製剤は、その中にあるタンパク質が本質的に貯蔵の際にその物理的安定性、化学的安定性、及び生理活性を十分に保持する製剤である。タンパク質の安定性を計測する様々な分析用の技術が当該技術分野で利用でき、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker,Inc., New York, N.Y., Pubs.(1991)及び Jones, A. adv. Drug Delivery Rev. 10:29-90(1993)に総説される。安定性は選んだ温度で選んだ期間において計測されうる。 「安定な」液体の抗体製剤は、冷蔵庫の温度で(2〜8℃)少なくとも12ヶ月間、好ましくは2年間、より好ましくは3年間、又は室温で(23〜27℃)少なくとも3ヶ月間、好ましくは6ヶ月間、及びより好ましくは1年間、有意な変化を認められない液体の抗体製剤でありる。安定性の基準は以下のとおりである。SEC-HPLCにより計測したとき、抗体の単量体のうち10%以上、好ましくは5%以上が分解されない。視覚分析により、この溶液は色が無いか、又は透き通っていて少し乳白色を呈する。製剤の濃度、pH及び浸透圧は、+/-10%以上の変化を有しない。作用効力はコントロールの70%〜130%、好ましくは80%〜120%のうちである。10%以下の、好ましくは5%以下の分解(加水分解)が観察される。10%、好ましくは5%以下の凝集が形成される。 色及び/又は透明度の視覚試験の際に、又は紫外線の散乱、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、及び動的光散乱によって計測されたとき、もし凝集、沈殿、及び/又は変性の有意な上昇が見られないなら、抗体は、医薬製剤において「その物理的な安定性を保持する」。さらに付け加えると、タンパク質の高次構造は変化されない。タンパク質の高次構造の変化は、タンパク質の3次構造を決定する蛍光分光法によって、及びタンパク質の2次構造を決定するFTIR分光法によって評価されうる。 もし有意な化学変換が示されないなら、医薬製剤において抗体は「その化学的安定性を保持する」。化学的安定性は、化学的に変換されたタンパク質の形態を検出し、定量することによって、評価することができる。タンパクの化学的構造をしばしば変換する分解過程は、加水分解又は分解(例えばサイズ排除クロマトグラフィー及びSDS-PAGEの方法で評価される)、酸化(例えば、マススペクトロメトリー又はMALDI/TOF/MSと組み合わせたペプチドマッピングの方法により評価される)、アミド分解(例えばイオン交換クロマトグラフィー、キャピラリー等電点電気泳動、ペプチドマッピング、イソアスパラギン酸計測法といった方法で評価される)、及び異性化(イソアスパラギン酸の含量の計測、ペプチドマッピング等によって評価される)を含む。 もし与えられた時間における抗体の生理活性が、既に決定された生理活性の範囲であって、医薬製剤が準備されたときに示された生理活性の範囲内であるなら、抗体は医薬製剤において「生理活性を保持する」。抗体の生理活性は、例えば抗原に結合するELISAアッセイによって決定されうる。 「等張」という用語は、関心のある製剤がヒト血液と同じ浸透圧を基本的に有するということを意味する。等張製剤は、通常約270〜328mOsmの浸透圧を有する。少し低張の浸透圧は250〜269mOsmであり、少し高張の浸透圧は328〜350mOsmである。浸透圧は、例えば蒸気圧又は氷冷型の浸透圧計を使って計測されうる。 「浸透圧調節剤」は、医薬として許容される不活性な物質であって、製剤に等張性を与えるために製剤に加えられる物質である。本発明に適する浸透圧調節剤は、塩及びアミノ酸を含む。 II 分析方法 以下の判定基準は安定な医薬の抗体製剤を開発する際に重要である。抗体製剤は医薬として許容される賦形剤を含む。抗体がその物理的、化学的、及び生理活性を保持するように、抗体製剤は剤形される。製剤は、好ましくは、冷蔵庫の温度(2〜8℃)で少なくても1年間は安定であり、室温で(23〜27℃)で少なくても6ヶ月は安定である。 製品の安定性を評価する分析方法は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、動的光散乱試験(DLS)、示唆走査熱量測定(DSC)、イソアスパラギン酸定量、作用効力、340nmのUV、及びUV分光法を含む。SEC(J. Pharm.Scien., 83:1645-1650,(1994); Pharm. Res., 11:485(1994); J. Pharm. Bio. Anal., 15:1928(1997); J. Pharm. Bio. Anal., 14:1133-1140(1986))は、製品中の単量体の割合を測定し、可溶性の凝集体及び断片の量についての情報を与える。DSC(Pharm.Res., 15:200(1998); Pharm.Res., 9:109(1982))タンパク質の変性温度及びガラス転移温度についての情報を与える。DLS(American Lab., Nov.(1991))は、拡散係数の平均値を計測し、可溶及び不可溶な凝集体の量についての情報を与える。340nmにおけるUVは、340nmにおける散乱光の強度を計測し、可溶及び不可溶な凝集体の量についての情報を与える。UV分光法は、278nmにおける吸収を計測し、タンパク質濃度についての情報を与える。 サンプルにおけるiso-Aspの含量は、イソクアントイソアスパラテートディテクションキット(プロメガ)を使って計測される。このキットは、標的タンパク質におけるイソアスパラギン酸残基の存在を特異的に検出する酵素、タンパク質イソアスパラギン酸メチル転移酵素 (PIMT)を使用する。PIMTは、S-アデノシル-L-メチオニン由来のメチル基をイソアスパラギン酸のα-カルボキシル位に転移することを触媒しており、その過程においてS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)を形成する。SAHは比較的小さな分子量であり、キットに提供されるSAH HPLCの標準物質を用いることにより、逆相HPLCで通常単離及び定量される。 抗体の作用強度又は生理活性は、その抗原に結合する能力によって測られうる。抗体のその抗原に対する特異的な結合は、当業者に周知であるいずれかの方法、例えばイムノアッセイ、例えばELISA(酵素結合免疫吸着検定法)によって定量される。 III. 抗体の調製 本明細書中の発明は、抗体を含む安定した水性製剤に関する。当該技術分野で利用可能な抗体を作る技術と以下のセクションでより詳細に記述される見本の方法を使って、製剤内の抗体が調製される。 抗体は関心のある抗原に向けられる。好ましくは、抗原は生物学的に重要なポリペプチドであり、哺乳動物に対する抗体の投与は疾患を予防又は治療しうる。しかしながら、非ポリペプチド抗原に対する抗体(例えば腫瘍に関連する糖脂質抗原;米国特許No.5,091,178号参照のこと。)も考慮される。 抗原がポリペプチドである場合、抗原は膜貫通分子(例えば受容体)又はリガンド、例えば成長因子でありうる。抗原の見本は分子、例えばレニン;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1-抗トリプシン;A鎖インスリン;B鎖インスリン;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝血因子、例えば第VIII因子C、第IX因子、組織因子、及びフォンウィルブランド因子;抗凝血因子、例えばタンパク質C;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿型若しくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血性成長因子;腫瘍壊死因子-α及び-β;エンケファリン分解酵素;RANTES(regulated on activation nomally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-1-α);血清アルブミン例えばヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制因子;A鎖リラキシン;B鎖リラキシン;プロリラキシン:マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;微生物タンパク質、例えばβラクタマーゼ;DNase;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)、例えばCTLA-4;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモン又は成長因子の受容体;タンパク質A及びD;リウマチ因子;神経栄養性因子、例えばウシ由来神経栄養性因子(BDNF);ニューロトロフィン-3,-4,-5,又は-6(NT-3,NT-4,NT-5,又はNT-6) 又は神経成長因子、例えばNGF-β;血小板由来成長因子(PDGF);繊維芽細胞成長因子、例えばaFGF及びbFGF;上皮細胞成長因子(EGF);トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-α並びにTBF-β1、TBF-β2、TBF-β3、TBF-β4、及びTBF-β5を含むTGF-β;インスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えばCD3,CD4,CD8,CD19及びCD20;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、及び-γ;コロニー刺激因子(CSFs)、例えばM-CSF、GM-CSF、及びG-CSF;インターロイキン(ILs)、例えばIL1〜IL-12;インターロイキンIL-1〜IL-12の受容体:セレクチン、例えばL、E、及びP-セレクチン;スーパーオキシドジムスターゼ;T細胞受容体;膜表面タンパク質;腐食促進因子;ウイルス抗原、例えばAIDS外皮部位;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;インテグリン、例えばCD11a、CD11b、、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4及びVCAM;腫瘍関連抗原、例えばHER2、HER3又はHER4受容体;並びに上記リストのポリペプチドのいずれかの断片を含む。 組換え技術を使うとき、抗体は細胞内に、細胞膜周辺腔において生産されうるか、又は培養液に直接分泌されうる。抗体が細胞内に産出される場合、最初のステップとして、粒子性の壊死細胞片、又は宿主細胞若しくは溶解した細胞は、例えば遠心又は限外ろ過により取り除かれる。抗体が培養液に分泌される場合、そういった発現システムの上清は最初に、商業的に利用できるタンパク質濃縮膜、例えばアミコン又はミリポアペリコン限外ろ過ユニットを使って濃縮される。プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSFは、タンパク分解を阻害するため前述のステップいずれの中にも入れられるし、及び外来性の汚染菌の生育を防ぐため抗生物質が入れられる。 細胞から調製された抗体組成物は、例えばヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製される。アフィニティークロマトグラフィーは好ましい精製技術である。Aタンパク質のアフィニティーリガンドとしての適合性は、種及び抗体内に存在する免疫グロブリンFcドメインのアイソタイプに依存する。Aタンパク質は、ヒトγ1、γ2、及びγ4重鎖(Lindmark et al.,J. Immunol. Meth.62:1-13(1983))に基づく抗体を精製するために使われうる。Gタンパク質は、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3(Guss et al., EMBO J.5:1567-1575(1986))鎖に基づく抗体を精製するために推薦される。アフィニティリガンドが結合するマトリックスはアガロースであることが最も多いが、別のマトリックスも使うことができる。機械的に安定なマトリックス、例えば、ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンの制御された細孔は、アガロースで達成されるより早い流れ、及び短い過程を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、バッカーボンドのABX(商標)樹脂(J.T.Baker, Phillipsburg, N.J.)が精製に有用である。タンパク質を精製する別の技術、例えばイオン交換カラムに基づく分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリン セファロセット(商標)上でのクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム)上のクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS−PAGE、及びリン酸アンモニウム沈殿が、回収される抗体に依存して利用される。 本発明に含まれる好ましい抗体はダクリズマブ(USAN、United States Adopted Names)、ヒトに適応された抗IL-2受容体抗体を含む。ダクリズマブは、腎臓移植の後の組織拒絶を防ぐためにゼナパックス(商標)として現在売られており、静脈経路を通して投与される。ダクリズマブは感染の治療にも有効であり、そのためには、抗体の皮下投与が好ましい投与経路である。抗体の皮下投与のためには、高濃度の抗体が好ましい。ダクリズマブは、ヒトに適応させた組換え替えモノクローナル抗体、IgG1のサブクラスである。この分子は、2つの同一な重鎖及び2つの同一な軽鎖のサブユニットから構成される。ジスルフィド架橋が4つの鎖を結びつける。ダクリズマブ単量体は、分子量で大体150000ダルトンである。ダクリズマブは、活性化されたT細胞において発現するIL-2受容体のp55サブユニットに結合する。抗原標的は、CD25と命名される。ダクリズマブは、発酵流加培養法により重鎖及び軽鎖遺伝子を含むGS-NS0細胞系列から生産される。バイオリアクターの収穫は細胞及び細胞片を取り除き、かつイオン交換及びゲルろ過クロマトグラフィー並びにいくつかの限外ろ過及びろ過技術を使って精製され、95%を超える単量体からなる薬を生産する。 別の好ましい抗体は抗インターロイキン12(IL-12)抗体である。IL-12は、抗原が存在している細胞により合成されるサイトカインである。IL-12は、2つのサブユニット(p35及びp40)から構成されており、その両者は機能的な活性のために存在しなければならない。機能的なIL-12は、IL-12p70とも呼ばれる。このサイトカインは、好ましくはヘルパーT細胞タイプ1(Th1)リンパ球及びナチュラルキラー細胞においてそれらの増殖割合を増加させることにより作用する。下流への影響の一つに、Th1細胞によるインターフェロンγ(IFNg)の分泌がある。これらの機能(増殖及びIFNgの生産)の両者は、容易に検定でき、サンプルにおけるIL-12の活性を検出するのに使われる。IL-12に対するある抗体は、上記の活性を中和すると示されてきた。Th1細胞は、様々な病気において中心的な役割を担っていることに結び付けられてきているので、性質を中和する抗体は、将来性のある治療上の価値を持つ。16G2(ホフマン ラ ロシュ)は、IL-12p70に対して産出されたマウス抗体である。16G2は、機能的なアッセイ−つまりヒト抹消血由来の活性型T細胞(PBMC)の増殖阻害において、IL-12に対して近い化学量数で作用することが示されてきた。IL-12のp40の二量体は血漿中に存在し、p40サブユニットに対して産出された抗体は、与えられた量のIL-12の増殖能力を中和するために過度の量で使われる必要があるので、16G2がIL-12に対して近い化学量数で作用することは重要な性質である。16G2はプロテインデザインラボ(Fremont,CA)でヒトに適応化され、HAIL-12(ヒトに適応させた抗IL-12、IgG1抗体)を生じた。 別の好ましい抗体は、抗Lセレクチン抗体である。セレクチン、例えばL、E、及びP-セレクチンは、虚血及び再灌流の過程における組織の損傷に関連にすると分かってきた。好中球がこの関連に重要な役割を担う。セレクチンが好中球をリクルートするのに必要であると考えられる。L-セレクチンは、骨格筋及び肺において損傷を完全に発生するのに重要である。(Seekamp, et al., Am. J. `athol. 11:592-598(1994). Mulligan, et al., J. Immunol. 151:832-840(1994))。HuEp5C7(スマート 抗Lセレクチン)は、IgG2Fcミュータントを含み、ヒトE及びPセレクチン抗原と相互反応するヒトに適応させた抗-Lセレクチンモノクローナル抗体である。HuEP5C7は、プロテインデザインラボによって、様々な適応症、例えば喘息、脳卒中、傷害、及び自己免疫疾患に対して現在開発されてきている。 別の好ましい抗体は、フォントリズマブ、つまり抗γインターフェロン抗体である。フォントリズマブは、プロテインデザインラボによって開発されたヒトに適応させたIgG1モノクローナル抗体であって、インターフェロンγ(IFN-g)、つまり炎症誘発性サイトカインによる自己免疫疾患の治療のための抗体である。 IFN-gは主要組織適合性複合体(MHC)クラス1及び又はクラス2(HLA-DR)抗原の発現を促し、ナチュラルキラー細胞の細胞溶解活性を高め、マクロファージを活性化し、及び液性反応の特性である免疫グロブリンのアイソタイプを調節する。リンフォカインとして、IFN-gはまた、2型ヘルパーT細胞(Th2)の発生を抑制する一方で、1型ヘルパーT細胞(Th1)の発生を高める。Th1/Th2割合の異常は、様々な自己免疫疾患に結び付けられてきている。 IV. 製剤の調整 関心のある抗体が上記のように調製された後、抗体を含む医薬製剤が調製される。製剤の開発の達成は以下の様に行われる。:至適溶液pHを選び、緩衝液のタイプ及び濃度を選び、様々な液体の安定性を与える賦形剤の影響を評価し、及び選別した賦形剤の濃度を、I-至適実験デザイン(Statistics for Experimenters:An Introduction to Design, Date Analysis, and Model Building, Box, George E.P. et al., John Wiley and Sons, Inc., 1978)を用いて最適化する。 本発明の組成物は抗体凝集体及び粒子の形成を最小限にし、抗体がその生理活性を一定の期間保持することを保証する。組成物は、医薬として許容される液体の製剤であって、中性の又は少し酸性のpH(pH5.5〜6.5)、界面活性剤、及び浸透圧調節剤を有する緩衝液中に高い抗体濃度を含む製剤である。 組成物中の抗体は50mg/ml又はそれ以上、好ましくは100mg/ml又はそれ以上の高濃度である。本発明の好ましい組成物は、ダクリズマブ、つまりヒトに適応させた抗IL-2受容体抗体;HAIL-12、つまりヒトに最適化された抗IL-12抗体;HaEP5C7、つまりヒトに適応させた抗Lセレクチン抗体;及びフォントリズマブ、ヒトに適応させた抗γインターフェロン抗体を含む。 pH5.5〜6.5の緩衝液が組成物中で使われる。pH6.0〜6.5の緩衝液が好ましい。この範囲内でpHを制御する緩衝液の例は、コハク酸(例えばコハク酸ナトリウム)、グルコン酸、ヒスチジン、クエン酸、リン酸、及び別の有機酸緩衝液を含む。コハク酸(pKa5.63)は皮下注射の好ましい緩衝液である。ヒスチジン(pK5.97)は、酸化に対する感受性のため好ましくないが、そういった酸化は、バイアルの上部をN2で置換すること又は抗酸化剤を添加することにより遅らせることができる。クエン酸及びリン酸緩衝液は、ずっと好ましくない。なぜなら、皮下注射されたとき有痛性の反応を起こすからである。好ましい緩衝液は約20〜60mMのコハク酸ナトリウムを含む。別の好ましい緩衝液は30〜70mMのN2で覆われたヒスチジン緩衝液である。 界面活性剤もまた、抗体製剤に添加される。実例として、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えばポリソルベート20、80、例えばトゥィーン(商標)20、トゥィーン(商標)80)又はポロクサマー(例えばポリクサマー188)を含む。剤形された抗体の凝集を減少し、及び/又は製剤中の粒子の形成を最小限にし、及び/又は吸着を減少させるように、ある量の界面活性剤が添加される。界面活性剤は、約0.005%から約0.5%の量で、好ましくは約0.01%から約0.1%の量で、より好ましくは0.01%から約0.05%の量で、及び最も好ましくは約0.02%から約0.04%の量で製剤内に存在しうる。 製剤の等張性に貢献する浸透圧調節剤は、本組成物に加えられる。本発明にとって有用な浸透圧調節剤は、塩及びアミノ酸を含む。医薬として許容され、及び本発明に適している塩は、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カルシウムを含む。本発明の好ましい塩はNaCl及びMgCl2である。MgCl2はまた、タンパク質をアミド分解から守ることにより、抗体の安定性を改良しうる。NaClの好ましい濃度は、約75〜150mMである。MgCl2の好ましい濃度は、約1〜100mMである。医薬として許容され、及び本発明に適しているアミノ酸は、プロリン、アラニン、L-アルギニン、アスパラギン、L-アスパラギン酸、グリシン、セリン、リジン、及びヒスチジンを含む。本発明に好ましいアミノ酸はプロリンである。好ましいプロリンの濃度はおよそ200mMである。 タンパク質製剤を安定するために通常使われるEDTAもまた、製剤内に含まれうる。EDTAは、キレート剤として、金属に触媒されるスルフヒドリル基の酸化を阻害し、こうしてジスルフィド結合された凝集体の形成を減少させる。 実例として、液体の組成物は、抗体を約100mg/ml又はそれを超える量、約20〜60mMコハク酸ナトリウム(pH6)、約0.01〜0.1%ポリソルベート20又は80、及び約75〜150mM NaClを含む製剤である。この製剤は、モノクローナル抗体の生理活性の安定性を保持し、ヒト患者に対して投与されるように意図される免疫グロブリンを、最終製品中における物理的、化学的、生物的分解から守る。 本発明の液体抗体製剤は、非経口投与、例えば静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下注射に適しており;特に皮下注射に適している。 発明は、次の実施例によってさらに記述される。実施例は実施例の中で記述される特定の手順の範囲に本発明を制限することとして解釈するべきではない。 実施例1:pHの最適化 至適製剤のpH範囲を確認するため、及び主要の分解経路を確認するため、pH特性試験が行われた。サンプル製剤は、3つの緩衝液:pH4.0若しくは5.0の50mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH5.0、6.0、若しくは6.5の50mMヒスチジン緩衝液、又はpH7.0若しくは8.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液のうちの1つの緩衝液内に5.0mg/ml抗IL-2受容体抗体(ダクリズマブ)を含んだ。各製剤は5℃又は45℃で、100RPMの振蕩で4週間インキュベーションされた。各サンプルの物理的又は化学的安定性は0週目と4週目において、pH及び視覚分析、340nmのUV分光法、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、蛍光分光法、動的光散乱(DLS)、示唆走査熱量測定(DSC)、プロメガ イソクアント アッセイ、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)、SDS-PAGE(減少性、又は非減少性)、及び生理活性検定(ELISA)を含む分析方法によって評価された。 図1Aで示されるように、様々なpHレベルにおけるSECを使って回収された断片の割合により、45℃において4週間インキュベーションされた後のサンプルについて行われたSEC-HPLCは、液体の製剤にとって切断が主要な分解経路であるということを示した。SECにより決定される断片の割合及び凝集体の割合(図1B)は、5.5から6.5の中間範囲のpH値において減らされる。 45℃でサンプルを4週間インキュベーションすることにつづき、cIEFによって評価されたとき、図2は、様々なpHレベルで獲得された分解の割合を示す。最小の分解は約5.5のpH値において獲得される。 45℃でサンプルを4週間インキュベーションすることにつづき、プロメガのイソクアントキットによって評価されたとき、図3は、様々なpHレベルで獲得されるイソアスパラギン酸の割合を示す。イソアスパラギン酸の形成(アミド分解)は、pH6.0及び6.5で最小にされ、並びに pH8.0において急激に増加した。 この実験からの結果は、pH5.5〜6.5、及び好ましくはpH6.0〜6.5が最適pHであって、抗体の分解及び凝集を最小にするpHであるということを示す。実施例2:緩衝液の最適化 本実験において、各製剤は、5.0mg/mlダクリズマブ抗体を50mMのコハク酸ナトリウム、pH6.0内に;及び窒素ガス中又は無窒素ガス中の50mMヒスチジン、pH6.0内に含んだ。クエン酸ナトリウム緩衝液は、皮下注射された際に痛みの報告があるので、含まれなかった。生理活性(作用強度)は、0時間において、並びに4、8、及び12週間の37℃インキュベーションの後において、組換えヒトIL-2α受容体(IL-2sRα)抗原でコートされたマイクロプレート及びHRP標識されたヤギの抗ヒトIgGを使ってELISAによって計測された。 図4は、37度のインキュベーション後の異なった緩衝液の作用強度における経時の影響を示す。抗体製剤の最も高い安定性は、pH6.0の50mMのコハク酸酸ナトリウム緩衝液において8週をとおして達成された。ヒスチジンのみの緩衝液内における製剤は、緩衝液が酸化されるので即座に(8週以内に)その作用効力を失う。コハク酸ナトリウム又は酸化を防ぐために窒素ガスで満たされたヒスチジン緩衝液においては、製剤の作用効力は少なくとも12週の間、80%超を残した。実施例3:賦形剤の選別 対象 本試験は、50mg/mlダクリズマブ抗体の製剤のための様々な賦形剤を選別するため行われた。先に行われたpHの最適化試験(例1)から、製剤の安定性はpH6.0〜6.5のpH範囲において最大となった。それゆえ、本試験では、賦形剤は、二つの緩衝液;pH6.5の50mMリン酸緩衝液、とpH6.0の50mMコハク酸緩衝液において選別がされた。抗体の安定性は、濃度50mg/ml、5℃及び45℃で3週間、100RPMで攪拌された2つの緩衝液中でモニターされた。試験される賦形剤は、界面活性剤(トゥィーン80(商標)及びトゥィーン20(商標))、塩(NaCl及びMgCl2)、抗酸化剤(EDTA及びメチオニン)、アミノ酸(グリシン、リジン、セリン、及びプロリン)、及び混合溶媒(グリセロール及びエタノール)を含む。様々な分析技術(透明度、pH、SEC-HPLC、UV-Vis、及びcIEF)が賦形剤を含んでいる製剤の性質決定のために使われた。 サンプル調製 ダクリズマブ抗体は、67mMのリン酸ナトリウム製剤(トゥィーン80を含まない)中に6.6mg/mlの濃度で存在した。この材料は、ペリコンII(ミリポア)で約30mg/mlまで濃縮され、続いて、緩衝液が2つの選ばれた緩衝液(50mMリン酸ナトリウムpH6.5、及び50mMコハク酸ナトリウムpH6.0)に、50mlのアミコンスターセル(ミリポア)を用いて交換された。3回目及び最後の緩衝液交換ステップの間に、材料は最終濃度〜125mg/mlに濃縮された。最終的に抗体は、0.8μm膜(ユニフロ)でろ過された。ろ過後のタンパク質濃度は、リン酸緩衝液サンプルとしておおよそ100mg/mlになるように、コハク酸緩衝液サンプルとして97mg/mlになるように決定された。 それらが選別されるところの賦形剤の標的濃度は、表1に示される。製剤は、必要とされる量の賦形剤を直接バイアルに量り入れることによって、又は賦形剤が濃縮されたストック溶液を調製することによって、調整された。賦形剤は、適切な緩衝溶液0.5mlに加えられ、pHは、1N HCL又は10%NaOHによって望ましい値に調節された。続いて、適切な緩衝液中の0.5mlの濃縮された抗体溶液(〜100mg/ml)が、標的濃度50mg/mlに達するように加えられる。この手順は、濃縮された賦形剤と直接接触することによるタンパク分解を防ぐために適用される。1mlの溶液は、2つのバイアルに0.5mlづつ分けて充填された。1つのバイアルは、最初のT=0の分析で使われ、その後2〜8℃の3週の時間点のため、2〜8℃で貯蔵された。別のバイアルは45℃100RPMの振蕩を伴って3週間インキュベーションされ、その期間の最後に解析された。 分析方法 各2つの時間点において、サンプルは様々な分析技術を用いて分析された。溶液の透明度は、蛍光灯の下で黒い背景に対してサンプルバイアルを持つことによって、視覚的に試験された。溶液は、不溶性の物質が検査され、色の変化が記録された。サイズ排除クロマトグラフィーは、ダイオードアレイ検出及び一連に結合される2つのトソハス(Tosohaas)カラムを有するパーキンエルマーのHPLCユニットを使って、行われた。サンプルはおおよそ5倍の対応する緩衝液に約1mg/mlの濃度になるよう希釈され、そして100μlのサンプルがカラムに打ち込まれた。サンプル濃度はUV分光法により、パーキンエルマーラムダバイオ40分光光度計を用いて計測された。 三週の時間点由来のサンプルは、バイオラッドCE(BioFocus3000)システムに基づくキャピラリー等電点電気泳動により分析された。全てのサンプルは0.25mg/mlに水で希釈され、そして1:1希釈(終濃度0.125mg/ml)が、TEMED並びに2つの内部のpIマーカー、8.4及び10.1を含むファーマライト(pharmalyte)溶液で作られた。キャピラリーは、中性のコーティングを持つeCAP(ベックマン、長さ56cm、50umID)であった。 コハク酸緩衝溶液中に賦形剤、つまりトゥィーン80、EDTA、NaCl及びMgCl2と供に剤形されたサンプルの作用効力は、5℃及び45℃のインキュベーションで3週間後に試験された。それは、KIT-225-K6細胞を含むバイオアッセイであった。 結果 12の異なる賦形剤が2つの異なる緩衝液中でモニターされたので、T=0の時間点で24のサンプルがあった。3週後の時間点においては、48の分析されるサンプルがあった(12の異なった賦形剤×2つの温度×2つの緩衝液=48)。検出は、UV-Vis、pH、透明度、SEC-HPLC、及びCIEFによる濃度決定を含む。 (a)サンプル透明度 サンプルの外見は表2に示す。全てのサンプルは最初の時間点T=0において両者の緩衝液中で透明であった。3週後の時間点においては、リジンを含む1つを除いてリン酸緩衝液中のサンプル全てが5℃において透明であった。同じ緩衝液中で、45℃では、アミノ酸(グリシン、セリン、プロリン及びリジン)を含むサンプルでは透明に見えたが、いくつかの針様の浮遊物をバイアル中に有した。MgCl2のサンプルは、バイアルの底に明らかな結晶を有した。 コハク酸緩衝液中では、アミノ酸を含む製剤を除く全てのサンプルが5℃3週間のインキュベーションの後で透明であった。プロリン及びリジンを有するサンプルはもっともにごっていた。45℃においては、コハク酸緩衝液の全てのサンプルが3週後の時間点においても透明であった。 (b)SEC-HPLC SEC-HPLCの結果は、表3(A-C)に表にした。表3Aは本研究で調査された全てのサンプルにおける単量体%を示す。全てのサンプルのT=0における単量体%は99%以上であった。3週の時間点における両緩衝液中における5℃のサンプルの単量体において、有意な変化は観測されない。しかしながら、45℃においては、全てのサンプルが単量体%の少しの低下(5%未満)を示した。リン酸緩衝液中に剤形されるサンプルでは、単量体%は94.08(メチオニン)から97.29(プロリン)の間であり、一方、コハク酸緩衝液で剤形されるサンプルでは、単量体%は95.86%(メチオニン)から97.55(トゥィーン80)の間であった。両方の緩衝液中で、メチオニン及びグリシンを含む製剤は、単量体%において最も有意な低下を示した。%単量体の減少は、主に断片の形成のせいであった。 表3Bは本研究で調査された全てのサンプルにおいて凝集体形成%を掲載する。3週間の持続時間における凝集体の形成の増加は、両方の緩衝液の5℃における全てのサンプルで最小であることが明らかになる。45℃、3週間のインキュベーションの後、リン酸緩衝液中のサンプルは、0.40%(EDTA)から2.40%(グリシン)の範囲の凝集体%における増加を示した。コハク酸緩衝液中では、凝集体の形成はかなり低く;3週間のインキュベーションの後で0.7%(メチオニン)から1.09%(グリシン)の範囲であった。これらの結果を支持する仮説の一つは、もし凝集体の形成の原因が酸化であるなら、コハク酸緩衝液の金属をキレートする性質のため、凝集体の形成はコハク酸緩衝液中ではゆっくりになりうるということである。 表3Cは、この研究で調査された全てのサンプルにおいて断片形成%を掲載する。最初の時間点においては、断片%は全てのサンプルにおいて0.2〜0.4%の範囲であった。5℃でインキュベートされた全てのサンプルで、断片%の増加は三週間の期間にわたってわずかなものであった。45℃においては、断片形成の割合の有意な増加が観測された。リン酸緩衝液中に剤形されるサンプルでは、断片%は4.74(メチオニン)から1.5%(プロリン、グリセロール、及びエタノール)の間であり、一方、コハク酸緩衝液中では、範囲は1.48%(トゥィーン80)から3.44(メチオニン)であった。一般的に、断片形成の増加は、アミノ酸を含む製剤で観察された。さらに、断片形成の割合は、リン酸緩衝液で高いようである。このことはNa−コハク酸緩衝液とNa−リン酸緩衝液との間におけるpHの違いに(それぞれpH6.0及びpH6.5)起因し、断片形成の第一の根拠として、塩基性に触媒される加水分解が示されうる。 (C)キャピラリー電気泳動 本試験におけるすべてのサンプルは、バイオラッドシステムに基づくキャピラリー電気泳動(cIEF)によって分析された。ダクリズマブの典型的なcIEF特性は4つのピークを示す。典型的に、高温で時間効果が促進されたとき、主要なアイソフォームのピーク面積の減少に続いて別のアイソフォームのピーク面積が増加する。このことは、あるアイソフォームから別のアイソフォームへの変換を示唆する。分解の%は、主要なアイソフォームのピーク面積における減少の割合によって計算される。 分解%=[T=0におけるピーク面積−45℃におけるピーク面積]×100%/[T=0におけるピーク面積] 我々の結果は、コハク酸緩衝液(pH6.0)中の同じサンプルと比較したとき、45℃のサンプルがリン酸緩衝液(pH6.5)中でより分解されていることを示す。最良の電気泳動図は賦形剤、EDTA、NaCl、リジン、及びMgCl2で見られた。3週間後の45℃に対する5℃の分解%は、トゥィーン80、トゥィーン20、セリン及びプロリンを含むサンプルにおいてその電気泳動図がとてもつぶれていて、ピークが区別できなかったので、それらを含むサンプルでは計算できなかった。 (d)作用強度 本試験の結果に基づくと、Na−コハク酸緩衝液は、Na−リン酸緩衝液とくらべてより有望に思える。このように作用強度の評価は、Na-コハク酸緩衝液でのみ最も安定化する賦形剤についてされた。Na−コハク酸緩衝液はトゥィーン-80、EDTA、NaCl、及びMgCl2から成る製剤を含み、5℃及び45℃で3週間のインキュベーションを受けた。結果(表4)は、全ての製剤の作用強度は明細書の範囲内であり、強調される化学的及び物理的分解の過程はタンパク質の活性を有意には変えないということを示した。 考察 本研究の結果に基づくと、pH6.5のNa-リン酸緩衝液と比較すると、pH6.0におけるNa-コハク酸緩衝液の方が製剤の安定性が高かった。このことは、pH6.5以上で加速される塩基性に触媒される加水分解が第一の原因であり、断片形態の割合の増加をもたらす。このように、pH6.0におけるNa-コハク酸緩衝液は、今後の試験全てに選ばれる緩衝液である。両方の緩衝液中においてアミノ酸(グリシン、リジン、セリン、プロリン、及びメチオニン)はタンパク質の安定性に関して安定させる効果をもたないということを本試験の結果は明らかに示した。サンプルに関する明瞭なデータに示されたように、全てのアミノ酸を含む製剤は、45℃における不溶性の凝集体の形成を示した。 MgCl2がタンパク質の減少から守るという仮定に基づいて、賦形剤であるMgCl2は、本研究で選択された。MgCl2がNa−リン酸緩衝液中で沈殿した一方で;Na-コハク酸緩衝液中では、cIEFデータに基づくとMgCl2はタンパク質を安定化する効果をもつ。エタノールはまた、溶液の比誘電率を低めることで、タンパク質を脱アミド化に対し安定化させるかを試験するために、賦形剤として含まれた。その結果は、しかしながら、この仮説を支持しない。最終的に、最も一般的にタンパク質製剤を安定するために使われるトゥィーン80、EDTA、及びNaCl、といった賦形剤は、どちらの緩衝液内においてもタンパク質を不安定化させる効果を全く与えないことを示した。 更なる実験が、pH6.0のNa−コハク酸緩衝液中で行われ;賦形剤(MgCl2、トゥィーン80、NaCl、及びEDTA)の影響がタンパク質の安定性において調べられた。その結果は、抗体を100mM NaClで100mg/mlに剤形すると、トゥィーン80の最適濃度は0.02%〜0.03%の範囲内に落ちることを示す。結果はまた、塩の濃度の増加(100〜150mM)は製剤をさらに安定化しうることを示す。このように、NaClの濃度は、浸透圧を要求範囲に維持する間で最大にするべきである。結果はまた、トゥィーン80及びNaClを含む製剤の安定性が、EDTAを0.35〜0.5%の範囲の濃度で加えることにより、高めることができることを示す。MgCl2を0〜50mMの範囲の濃度で添加することはまた、好ましい結果を得うる。最も安定な剤形のための賦形剤の濃度は;150mM NaCl,0.05%トゥィーン80、0.03%〜0.04%EDTA、及び60〜70mM MgCl2であるが、等張性の条件を提供しないため、この条件は実用的ではない。実施例4: コハク酸緩衝液中における2つのダクリズマブ抗体製剤の安定性データ 製剤1及び製剤2は実施例3に従って調製された。 製剤1:100mg/mlダクリズマブ抗体、30mMコハク酸ナトリウム(pH6.0)、100mM NaCl及び0.03%トゥィーン(商標)80である製剤 製剤2:製剤1と同じ製剤に0.05%EDTAを加えた製剤 製剤1及び製剤2の安定性の結果が、T=0、2週、4週、8週及び12週において、5、25、37℃での安定性の結果が以下に示される。(表5) 実施例5: ヒスチジン緩衝液中における2つのダクリズマブ製剤の安定性データー 製剤3及び製剤4は実施例3に従って調製される。 製剤3:100mg/mlダクリズマブ抗体、50mMヒスチジン(pH6.0)、115mM NaCl、0.03%トゥィーン(商標)80であり窒素置換を行った製剤。 製剤4:製剤3と同じ製剤に0.05%のEDTAを添加した製剤 製剤3及び製剤4のT=0、2週、4週、8週、及び12週における5、25、37℃での安定性の結果が以下に示される。(表6) 実施例:6 室温で1年後におけるダクリズマブ製剤の安定性データ 100mg/mlダクリズマブを30mMコハク酸ナトリウム、pH6、100mM NaCl、及び0.03%トゥィーン(商標)80における液体の抗体製剤の安定性は、25℃で1年貯蔵した後に試験された。安定性の結果は、この製剤は少なくとも1年は25℃において安定であることを示す。(表7) 実施例:7 5℃18ヶ月の期間後におけるダクリズマブ製剤の安定性データ 100mg/mlダクリズマブを30mMコハク酸ナトリウム、pH6.0、100mM NaCl、及び0.03%トゥィーン(商標)80における液体の抗体製剤は、5℃(2〜8℃)でインキュベートされ、異なる時間点において、安定性を試験された。製剤が少なくとも18ヶ月間は冷蔵庫の温度で安定であることを安定性の結果は示す。 実施例:8 HAIL-12(ヒスチジン緩衝液)の安定性データ HAIL-12(抗IL-12抗体、50mg/ml)は、50mMヒスチジン緩衝液、120mM塩化ナトリウム、0.03%トゥィーン80、pH6.0中で剤形された。進行中の安定性試験は、製剤が5℃で少なくとも9ヶ月間は安定であることを示した。(表9) 実施例9: HAIL-12(コハク酸緩衝液)の安定性データ HAIL-12(50及び100mg/ml)は40mM Na−コハク酸緩衝液、100mM NaCl、及び0.03%トゥィーン80、pH6.0中で剤形された。進行中の安定性試験は、製剤が5℃、25、及び37℃で少なくとも12週間安定であることを示した。(表10及び表11) 実施例11:HuEP5C7の安定性データ HuEP5C7(抗Lセレクチン抗体、50及び100mg/ml)は、50mMヒスチジン緩衝液、125mM塩化ナトリウム、0.01%トゥィーン80、pH6.0中に剤刑された。進行中の安定性試験は、製剤は25℃及び45℃で3ヶ月間、並びに5℃で少なくても9ヶ月間安定であるということを示す。5℃における9ヶ月の安定性試験の結果は表12に示される。3ヶ月の促進された安定性試験は表13に示される。 発明、並びに発明を作る及び使う方式及び過程は、発明が属するいずれの当業者が同じ物を作り及び使用できるように十分、明瞭、簡潔、及び正確な用語で記述されている。前述したことは本発明の好ましい態様を記述しており、及び特許請求の範囲において述べられるとき本発明の範囲から逸脱することなく修飾がそこに行われうることは理解されるべきである。発明とみなされる対象の内容を特に指摘し、明確に主張するために、以下の特許請求の範囲は、本明細書を締めくくる。図1Aは断片形成のパーセントを、図1Bは凝集体のパーセントを、様々なpHレベルで45℃においてサンプルを4週間インキュベーションした後、SEC-HPLCによって評価したものとして示す。図1Aは断片形成のパーセントを、図1Bは凝集体のパーセントを、様々なpHレベルで45℃においてサンプルを4週間インキュベーションした後、SEC-HPLCによって評価したものとして示す。図2は、cIEFにより評価される分解であって、様々なpHレベルで45℃においてサンプルを4週間インキュベーションの後に獲得される分解のパーセントを示す。図3は、プロメガイソクオントキットにより評価されるイソアスパラギン酸であって、様々なpHレベルで45℃においてサンプルを4週間インキュベーションの後に獲得されるイソアスパラギン酸のパーセントを示す。図4は、37℃のインキュベーションに続く作用効力における異なる緩衝液の効果を経時で示す。 以下の: pH5.5からpH6.5までのpHを有する20〜60mMのコハク酸緩衝液、 0.02%〜0.04%のポリソルベート、 75〜150mM塩化ナトリウム、及び 50mg/ml又はそれを超える濃度を有するダクリズマブ抗体 を含む安定な液体医薬製剤。 前記抗体が100mg/ml又はそれを超える濃度を有する、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。 前記コハク酸緩衝液の濃度が、30〜60mMである、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。 前記コハク酸緩衝液が、コハク酸ナトリウムである、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。 前記製剤が、非経口投与に適している、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。 前記製剤が、皮下投与に適している、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。