タイトル: | 特許公報(B2)_前処理したチタンゼオライトを使用する直接エポキシ化方法 |
出願番号: | 2003534406 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07D 301/06,C07D 301/08,C07D 303/04,B01J 29/89,C07B 61/00 |
ハンク、 ダン JP 4291147 特許公報(B2) 20090410 2003534406 20020912 前処理したチタンゼオライトを使用する直接エポキシ化方法 ライオンデル ケミカル テクノロジー、 エル.ピー. 505341095 LYONDELL CHEMICAL TECHNOLOGY, L.P. 宮崎 昭夫 100123788 伊藤 克博 100106297 石橋 政幸 100106138 ハンク、 ダン US 09/973,663 20011009 20090708 C07D 301/06 20060101AFI20090618BHJP C07D 301/08 20060101ALI20090618BHJP C07D 303/04 20060101ALI20090618BHJP B01J 29/89 20060101ALN20090618BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090618BHJP JPC07D301/06C07D301/08C07D303/04B01J29/89 XC07B61/00 300 C07D 301/00-301/36,303/00-303/48 C08G 59/00-59/72 B01J 21/00-38/74 C07B 61/00 REGISTRY (STN) CAplus (STN) CASREACT (STN) 特開平04−352771(JP,A) 特開平08−269029(JP,A) 12 US2002029034 20020912 WO2003031423 20030417 2005511524 20050428 9 20050907 瀬下 浩一 本発明は、前処理したチタンゼオライトを使用するエポキシ化方法に関する。この方法は、貴金属および前処理したチタンゼオライトを含む触媒の存在下でオレフィン、水素、および酸素を反応させることを含む。ゼオライトの前処理は、ゼオライトをリーチング剤と接触させることからなる。意外にも、この前処理したチタンゼオライトは、オレフィンのエポキシ化において好ましくないグリコール及びグリコールエーテルになる開環反応を減少することを示す。 エポキシドの製造には多くの様々な方法が開発されている。一般に、エポキシドは、オレフィンを触媒の存在下で酸化剤と反応させることによって形成される。プロピレンおよびエチルベンゼンヒドロパーオキシドまたはt−ブチルヒドロパーオキシド等の有機ヒドロパーオキシド酸化剤からのプロピレンオキシドの製造は、工業的に実施されている技術である。この方法は、可溶化モリブデン触媒(特許文献1参照)、または不均一系チタニア/シリカ触媒(特許文献2参照)の存在下で実施される。過酸化水素は、エポキシドを製造するのに有用な別の酸化剤である。過酸化水素とチタンケイ酸塩ゼオライトを使用するオレフィンのエポキシ化が特許文献3に示されている。これらの方法に共通する1つの欠点は、オレフィンと反応させる前に酸化剤を前もって製造する必要があることである。 工業的に実施されている他の技術は、銀触媒上で酸素と反応させてエチレンオキシドにするエチレンの直接エポキシ化である。残念ながら、銀触媒は、高級オレフィンのエポキシ化にはあまり有用でないことがわかっている。それ故、最近の研究の多くは、触媒の存在下で高級オレフィンを酸素および水素と反応させる直接エポキシ化に集中している。この方法においては、酸素と水素がその場で反応して酸化剤を形成するものと考えられる。したがって、効率的な方法(および触媒)が開発されると、前もって製造した酸化剤を採用する工業的技術と比較して費用のより掛からない技術が約束される。 多くの様々な触媒が高級オレフィンの直接エポキシ化のために、提案されている。例えば、特許文献4は、結晶性チタノシリケート上にパラジウム等の第VIII族金属を含有する触媒を使用したプロピレン、酸素、および水素の反応からのプロピレンオキシドのエポキシ化を開示している。特許文献5は、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtから選択される白金族の金属がチタンシリカライトまたはバナジウムシリカライト上に担持されている触媒を開示している。さらに、その触媒が、Fe、Co、Ni、Re、Ag、またはAuを含むさらなる元素を含有することができることも開示されている。 記載された直接エポキシ化触媒の1つの欠点は、それらが標準的な反応条件下でエポキシ生成物を開環して、グリコールまたはグリコールエーテル等のより望ましくない開環副生物を形成する傾向があることである。他の化学的方法と同様に、新規な直接エポキシ化方法および触媒を開発することが望まれる。米国特許第3,351,635号米国特許第4,376,342号米国特許第4,833,260号特開平4−352771号米国特許第5,859,265号 要約すると、新規なオレフィンの直接エポキシ化方法が必要である。特に望ましいのは、エポキシドが開環してグリコールまたはグリコールエーテルになる可能性を減らす触媒である。本発明者は、望ましくない開環生成物を減らし、エポキシドへの良い生産性と選択性を示す効率的で手軽なエポキシ化方法を発見した。 本発明は、貴金属および前処理したチタンゼオライトを含む触媒の存在下で、オレフィン、酸素、および水素を反応させてエポキシドを製造する方法であって、前処理をしたチタンゼオライトが、チタンの0.1パーセントより多くがチタンゼオライトから除去されるようにチタンゼオライトをリーチング剤と接触させることにより形成されているエポキシドの製造方法である。本発明者は、意外にも、前処理したチタンゼオライトで造られた触媒の方が、未処理のチタンゼオライトの触媒と比べ、開環副生物の著しい減少を示すことを見出した。 本発明の方法では、貴金属および前処理したチタンゼオライトを含む触媒を採用する。適当なチタンゼオライトは、骨格中にチタン原子が置換されている多孔質モレキュラーシーブ構造を有するような結晶性物質である。使用するチタンゼオライトの選択は、エポキシ化するオレフィンの大きさと形状を含む多数の要因に依存する。例えば、オレフィンが、エチレン、プロピレン、または1−ブテン等の低級脂肪族オレフィンである場合は、細孔の比較的小さいチタンゼオライト、例えば、チタンシリカライトを使用するのが好ましい。オレフィンがプロピレンである場合は、TS−1チタンシリカライトの使用が断然有利である。シクロヘキセン等の嵩高いオレフィンに対しては、ゼオライトベータと同形の構造を有するチタンゼオライト等の大きい細孔のチタンゼオライトが好ましい。 チタンゼオライトは、チタン原子がモレキュラーシーブの骨格中のケイ素の一部を置き換えたゼオライト様物質の類を構成する。そのような物質は、当技術分野では周知である。 特に好ましいチタンゼオライトとして、通常チタンシリカライトと呼ばれるモレキュラーシーブの類、特に、「TS−1」(ZSM−5アルミノシリケートゼオライトと類似のMFI立体配置を有する)、「TS−2」(ZSM−11アルミノシリケートゼオライトと類似のMEL立体配置を有する)、および「TS−3」(ベルギー特許第1,001,038号に記載されている)がある。ゼオライトベータ、モルデナイト、ZSM−48、ZSM−12、およびMCM−41と同形の骨格構造を有するチタン含有モレキュラーシーブもまた使用するのに適している。チタンゼオライトは、少量のホウ素、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、銅などは存在してもよいが、チタン、ケイ素、および酸素以外の元素を含有しないものが望ましい。 チタンゼオライトとして、一般に、次の実験式xTiO2(1−x)SiO2(ただし、xは、0.0001〜0.5000である)に対応する組成を有するものが好ましい。より好ましくは、xの値は、0.01〜0.125である。ゼオライトの格子骨格中のSi:Tiのモル比は、9.5:1〜99:1(最も好ましくは、9.5:1〜60:1)である。比較的チタンの多いゼオライトの使用が望ましい。 チタンゼオライトはまたアナターゼの不純物を含有していても構わない。5質量パーセント未満のアナターゼ(チタンゼオライトの全体量と比較して)のアナターゼ量であれば許容されるが、チタンゼオライトは実質的にアナターゼを含まないことが好ましい。 前処理したチタンゼオライトは、チタンゼオライトをリーチング剤と接触させることによって製造される。そのリーチング剤は、ゼオライト中のチタンの量を基準として0.1パーセントより多いチタン(すなわち、(溶脱Tiのモル数)/(原料ゼオライト中のTiモル数)>0.1%)をチタンゼオライトから除去する能力がある化合物である。好ましいリーチング剤として、グリコール、カルボン酸化合物およびヒドロキシケトン化合物等の有機キレート化合物が挙げられる。好ましいリーチング剤は鉱酸も含む。 グリコールは、2個以上のヒドロキシ官能基を有する有機化合物である。適切なグリコールとして、それだけに限らないが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコールなどが挙げられる。カルボン酸化合物は、1個以上のカルボン酸官能基を有する。カルボン酸化合物の例として、それだけに限らないが、酢酸、ピルビン酸、乳酸などが挙げられる。ヒドロキシケトン化合物は、1個以上のヒドロキシ官能基および1個以上のケトン官能基を含有する。ヒドロキシケトン化合物の例として、それだけに限らないが、アセトール、2−ヒドロキシアセトフェン、2’−ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。適当な鉱酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸などが挙げられる。特に好ましい有機キレート化合物は、プロピレングリコールおよび乳酸である。リーチング剤はまた、過酸化水素および有機キレート化合物の組合せからなるものでもよい。 チタンゼオライトの前処理は、室温で実施することも可能であるが、40℃より高温が好ましい。前処理のために必要な時間は、重要ではなく、採用するリーチング剤による。一般的に、前処理は、0.5時間以上、好ましくは10時間以上を必要とする。 本発明の方法で採用される触媒はまた、貴金属も含有する。任意の貴金属(すなわち、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム)を単独もしくは組み合わせて利用することができるが、パラジウムが特に好ましい。一般に、触媒中に存在する貴金属の量は、0.01〜20質量パーセント、好ましくは、0.1〜5質量パーセントの範囲である。貴金属を触媒中への含有させ方は特に重要であるとは考えない。例えば、貴金属は、前処理したゼオライトに含浸手段などによって担持させてもよいし、また、最初に、シリカ、アルミナ、活性炭などの他の基質に担持させ、次いで前処理したゼオライトと物理的に混合してもよい。あるいは、貴金属は、例えば、水酸化アンモニウムを添加しまたは添加しないでPdテトラアンミン塩化物とのイオン交換により、前処理したゼオライトに含ませることができる。 貴金属源として使用する貴金属化合物または錯体の選択に関しては特別の制限はない。例えば、そのような目的にかなう化合物としては、貴金属の、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物)、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩)、およびアミン錯体が挙げられる。同様に、貴金属の酸化状態は重要とは見なされない。例えばパラジウムの場合、パラジウムは、0〜+4のいずれかの酸化状態もしくは上記酸化状態の任意の組合せであってよい。望ましい酸化状態または酸化状態の組合せを実現するには、前処理したゼオライト中に導入した後の貴金属化合物を完全にまたは部分的に還元すればよい。しかしながら、何らの還元なしでも、十分な触媒性能を得ることが可能である。パラジウムの活性状態を実現するために、触媒を、前処理、例えば、窒素中、真空中、水素中または空気中で熱処理をすることができる。 貴金属の組み込み後に触媒を回収する。適切な触媒回収法としては、ろ過および洗浄、ロータリーエバポレションなどが挙げられる。触媒は、一般にエポキシ化で使用する前に約50℃以上の温度で乾燥する。乾燥温度は、好ましくは、約50℃〜約300℃である。触媒は、結合剤などをさらに含んでもよく、エポキシ化で使用する前に、形打ち、噴霧乾燥、成型または押出しして任意の望ましい形状に仕上げることができる。 本発明のエポキシ化方法は、オレフィン、酸素、および水素を貴金属および前処理したチタンゼオライトを含む触媒の存在下で接触させることである。適切なオレフィンとしては、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、および一般に2〜60個の炭素原子を有する任意のオレフィンが挙げられる。オレフィンとしては、2〜30個の炭素原子を有する非環式アルケンが好ましく、本発明の方法は、C2〜C6のオレフィンのエポキシ化に特に適する。例えばジエンまたはトリエンにおけるように複数の二重結合が存在していてもよい。オレフィンは、炭化水素(すなわち、炭素原子および水素原子のみからなる)でもよく、あるいは、ハライド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボニル基、シアノ基、もしくはニトロ基などの官能基を含んでいてもよい。本発明の方法は、プロピレンをプロピレンオキシドに転化するのに特に有用である。 本発明によるエポキシ化は、所望のオレフィンのエポキシ化を達成するのに有効な温度、好ましくは、0〜250℃、より好ましくは、20〜100℃の温度範囲で実施する。水素対酸素のモル比は、通常は、H2:O2=1:10〜5:1の範囲で変えることが可能であり、1:5〜2:1が特に有利である。酸素対オレフィンのモル比は、通常は、1:1〜1:20であり、好ましくは、1:1.5〜1:10である。比較的高い酸素対オレフィンのモル比(例えば、1:1〜1:3)が、ある種のオレフィンには有利である。キャリヤガスもまたエポキシ化工程で使用することができる。キャリヤガスとしては、任意の所望される不活性ガスを使用することができる。オレフィン対キャリヤガスのモル比は、通常、100:1〜1:10、特に20:1〜1:10の範囲である。 不活性ガスキャリヤとしては、窒素および二酸化炭素に加えて、ヘリウム、ネオン、およびアルゴン等の希ガスが適する。1〜8個、特に1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する飽和炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、およびn−ブタンもまた適当である。窒素および飽和C1〜C4の炭化水素が、好ましい不活性キャリヤガスである。列挙した不活性キャリヤガスの混合物もまた使用することができる。 特に、本発明によるプロピレンのエポキシ化において、プロパンは、適切な過剰のキャリヤガスの存在下で、プロピレン、プロパン、水素、および酸素の爆発限界の混合物を安全に避け、それによって、爆発混合物が反応器内または供給配管および取り出し配管中に形成できないように供給することが可能である。 使用される触媒の量は、チタンゼオライト中に含まれるチタンと単位時間当たり供給されるオレフィンのモル比に基づいて決定することができる。一般的に、0.0001〜0.1時間のチタン/オレフィン供給比を示すならば十分な触媒がある。エポキシ化に要する時間は、ガスの時間当たりの空間速度、すなわち、触媒容積単位当たりの、単位時間当たりのオレフィン、水素、酸素およびキャリヤガス(1種または複数種)の全容積(GHSVと略記する)に基づいて決定することができる。10〜10,000hr-1の範囲のGHSVが、一般的には十分である。 反応させるオレフィンに応じて、本発明によるエポキシ化は、液相、気相、または超臨界相で行うことができる。液状反応媒体を使用するとき、触媒は、懸濁液または固定床の形が好ましい。本方法は、連続流モード、半バッチモードまたはバッチモードの操作を使用して実行される。 エポキシ化を液相で行う場合は、1〜100barの圧力および1種または複数種の溶媒の存在下で作業するのが有利である。適切な溶媒としては、それだけに限らないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびt−ブタノールなどの低級脂肪族アルコール、またはそれらの混合物、および水が挙げられる。フッ素化アルコールは使用される。例として挙げたアルコールの水との混合物を使用することもできる。 以下の実施例は、単に本発明を説明するものである。当業者であれば、本発明の精神および請求の範囲内にある多くの変形を認めるであろう。実施例1:様々なリーチング剤を使用するチタン溶脱実験 既知文献の手順に従ってTS−1を作製することができる。例えば、米国特許第4,410,501号、DiRenzo等、Microporous Materials(1997)、Vol.10、283、またはEdler等、J.Chem.Soc.,Chem.Comm.(1995)、155を参照されたい。 実験1A−1G TS−1(0.35g)、過酸化水素溶液(50g、過酸化水素5質量%;MeOH84質量%;水11質量%)、およびリーチング化合物(約2g)を還流器付き1つ口フラスコに仕込む。スラリーを45℃で28時間攪拌し、次いで加圧窒素下でろ過し、真空オーブン中45℃で一夜乾燥する。ろ液をさらに0.2μmPTFE膜を通してろ過し、チタン含量を分析する。表1はチタン溶脱についてのH2O2と様々なリーチング剤の組合せの効果を示している。 実験1H 実験1Hは、リーチング剤として0.57gの乳酸(乳酸85質量パーセント水溶液)のみを使用する以外は1A−1Gの手順に従って進められる。 実験1J 実験1Jは、リーチング剤として乳酸(乳酸85質量パーセント水溶液の2g)を使用し、過酸化水素溶液の代わりにメタノール(50g)を使用する以外は1A−1Gの手順に従って進められる。実施例2:触媒の調製 触媒2A TS−1(1.75g)、過酸化水素溶液(103g、水中に過酸化水素12.5質量%)、およびプロピレングリコール(12.03g)をコンデンサ付き1つ口フラスコに仕込む。そのスラリーを45℃で128時間攪拌し、次いで加圧窒素下でろ過し、真空オーブン中45℃で一夜乾燥する。ろ液をさらに0.2μmPTFE膜を通してろ過し、チタン含量を分析する。チタンのロスは2.9%と測定される。 前処理したTS−1を、550℃の空気中で4時間カ焼する。前処理したTS−1(0.75g)、[Pd(NH3)4(NO3)2](5質量パーセントPd水溶液0.09g)、および脱イオン水(10g)を、250mlの1つ口丸底フラスコに入れ、青白い混合物を形成する。そのフラスコを15インチ(38.1cm)の冷水還流器に接続し、次いで150cc/分の流速の窒素でガスシールする。フラスコを80℃のオイルバスに挿入し、反応スラリーを攪拌する。24時間攪拌後、そのスラリーを加圧N2下でろ過し、次いでその固体を真空オーブン中60℃で一夜乾燥する。その固体触媒を次いで4%酸素(残りは窒素)中、110℃で2時間そして150℃で4時間カ焼する。触媒の測定されたPd取込みは0.50質量%である。 触媒2B TS−1(2.2g)、過酸化水素溶液(175g、過酸化水素5質量%;MeOH84質量%;水11質量%)、および乳酸(乳酸85質量パーセント水溶液の7g)を還流器付き1つ口フラスコに仕込む。そのスラリーを45℃で28時間攪拌し、次いで加圧窒素下でろ過し、真空オーブン中45℃で一夜乾燥する。ろ液をさらに0.2μmPTFE膜を通してろ過し、チタン含量を分析する。チタンのロスは、5.6%と測定される。 Pdの取込みを、触媒2Aの場合と同じ手順に従って行う。触媒のPd取込みは0.45質量%である。 比較用触媒2C 触媒2Aの場合と同じ手順に従って、未処理のTS−1にPdを取り込む。触媒のPd取込みは0.62質量%である。実施例3:プロピレンのエポキシ化の検討 実施例2で調製した触媒の性能を評価するために、酸素および水素を使用するプロピレンのエポキシ化を行う。以下の手順を採用する。 触媒を、100gのメタノール/水混合物(MeOH75質量%、H2O25質量%)中でスラリーにして、300ml高圧反応器および1000mlメタノール飽和器からなる反応系に入れる。そのスラリーを次いで60℃に加熱し、1500rpmで攪拌する。プロピレン10%、酸素4%、水素4%および窒素82%からなる気体供給物を、全流量1200cc/分で反応器圧300psi(約2MPa)である系に入れる。ガス相および液相の両方の試料を採集してGCにより分析する。 エポキシ化の結果は、前処理したTS−1の使用が、増加したPO/POE比によって示されると同様に、開環副生物の量の予想外の減少に導くことを表2中に示している。“POE”は、プロピレンオキシド(PO)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1−メトキシ−2−プロパノール(PM−1)、2−メトキシ−1−プロパノール(PM−2)、およびアセトールを含むPO当量を意味する。 貴金属および前処理したチタンゼオライトを含む触媒の存在下に、オレフィン、酸素および水素を反応させるエポキシドの製造方法であって、前処理したチタンゼオライトがチチタンの0.1%以上が除去されるようにリーチング剤をチタンゼオライトと接触することにより形成され、かつ、該リーチング剤が、過酸化水素と、グリコール、カルボン酸化合物およびヒドロキシケトン化合物からなる群から選択される有機キレート化合物の組合せであることを特徴とするエポキシドの製造方法。 有機キレート化合物が、プロピレングリコールまたは乳酸である請求項1に記載の方法。 チタンゼオライトがチタンシリカライトである請求項1に記載の方法。 チタンゼオライトがTS−1である請求項1に記載の方法。 触媒が貴金属を0.01〜5質量%含む請求項1に記載の方法。 貴金属がパラジウムである請求項1に記載の方法。 オレフィンがC2〜C6オレフィンである請求項1に記載の方法。 オレフィンがプロピレンである請求項1に記載の方法。 さらにメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびtert−ブタノールからなる群より選ばれた溶媒と水を含む請求項1に記載の方法。 さらに担体ガスを含む請求項1に記載の方法。 担体ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、二酸化炭素、およびC1-8の飽和炭化水素からなる群から選択される請求項10に記載の方法。 担体ガスが、プロパンである請求項10に記載の方法。