タイトル: | 公表特許公報(A)_人工的リボソーム内部侵入部位(IRES)エレメントの作成 |
出願番号: | 2003525630 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C12N15/09,A01H5/00,C12N1/15,C12N1/19,C12N5/10,C12Q1/02,G06F17/30 |
アタベコフ、ジョセフ ドロクホフ、ユリー スクラチェフ、マキシム イヴァノフ、ペーター グレバ、ユリ JP 2005501556 公表特許公報(A) 20050120 2003525630 20020903 人工的リボソーム内部侵入部位(IRES)エレメントの作成 アイコン・ジェネティクス,インコーポレイテッド 501446789 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 アタベコフ、ジョセフ ドロクホフ、ユリー スクラチェフ、マキシム イヴァノフ、ペーター グレバ、ユリ DE 101 43 237.2 20010904 7 C12N15/09 A01H5/00 C12N1/15 C12N1/19 C12N5/10 C12Q1/02 G06F17/30 JP C12N15/00 A A01H5/00 A C12N1/15 C12N1/19 C12Q1/02 G06F17/30 170F C12N5/00 A AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2002009843 20020903 WO2003020927 20030313 83 20040303 2B030 4B024 4B063 4B065 5B075 2B030CA14 4B024AA08 4B024AA20 4B024BA12 4B024BA79 4B024CA02 4B024CA05 4B024DA01 4B024DA03 4B024FA08 4B024GA21 4B063QA06 4B063QA18 4B063QQ08 4B063QQ09 4B063QQ35 4B063QQ42 4B063QR15 4B063QR32 4B063QR77 4B063QR78 4B063QX02 4B065AA88X 4B065AA93X 4B065AB01 4B065BA10 4B065CA31 5B075UU19 【技術分野】【0001】(発明の分野)本発明は、真核細胞あるいは微生物において対象となるヌクレオチド配列のcap依存的翻訳を引き起こし得る人工的リボソーム内部侵入部位(IRES)エレメントを作成するための方法に関するものである。また、本発明に基づき、人工的IRESエレメントの翻訳コントロールの下で真核細胞中において当該ヌクレオチド配列を発現させるための手順も提供する。本発明はさらに、このようなIRESエレメントを含むベクターおよび発現カセット、およびこれらのベクターあるいは発現カセットによって形質転換もしくはトランスフェクトされた真核細胞に関するものである。【0002】(発明の背景)真核細胞において外来遺伝子を発現させるためにリボソーム内部侵入部位(IRES)エレメントを使用することがますます注目を集めている。cap非依存的翻訳を起こし得るヌクレオチド配列の数は着実に増加しているが、IRESエレメントを予測するための明確な方法論がなかったため、新たなIRESは副次的あるいは偶然にしか特定されてこなかった。【0003】ほとんどの場合、真核細胞における翻訳の制御は読み取り機序による開始の段階で起こる。これには、真核細胞の開始因子4F(eIF4F)−eIF4E(cap結合蛋白質)、eIF4G(複合体中で蛋白質の骨組みとして働きeIF4E、eIF4a、eIF3、およびポリA結合蛋白質のための結合部位を持つ)、およびeIF4A(RNAヘリケース)から構成される蛋白質の複合体−のm7GpppN cap構造への結合、40S リボソームサブユニットの集結、および最初のAUGコドンの正しい読み取りの過程が含まれる(Pain,V.M.、1996、Eur.J.Biochem.236、747−771)。【0004】翻訳開始は、cap構造を必要としない機序によっても起こり得る。この場合、1,000塩基対までの長さのリボソーム内部侵入部位(IRES)と呼ばれる領域において、リボソームがmRNA中に侵入する。IRESは、ピコルナウイルスのRNA中で最初に特定されたもので、ピコルナウイルスによる感染の間に宿主のコードする細胞mRNAからウイルス転写産物への翻訳のスイッチとなることが多い(Jackson and Kaminski、1995、RNA 1、985−1000)。【0005】IRESを含有する動物mRNAは、おそらくキャップ構造を持つ5’末端またはIRESエレメントのどちらかによって40S リボソームを集結させることができ、それによって例えばウイルス感染の間、細胞周期の中のG2/M期、アポトーシスあるいはストレス状態の場合のようにcap依存的翻訳が低下している状況下において翻訳を開始させることができると考えられる(Johannes et al.、(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、13118−13123;Cornelis et al.、(2000)Molecular Cell 5、597−605;Pyronnet et al.、(2000)Molecular Cell 5、607−616;Stein et al.、1998 Mol.and Cell.Biol.18、3112−3119;Holcik et al.、2000 Oncogene 19、4174−4177;Stoneley et al.、2000 Mol.and Cell.Biol.20、1162−1169)。eIF4F−RNA結合が阻害されていても、動物の細胞mRNAのうち3%程度が翻訳される(Johannes et al.、1999)。【0006】動物の細胞mRNAとは異なり、in vivoでの植物細胞におけるIRESが関与する翻訳開始についての報告は発表されていない。しかし、ポティウイルス、コモウイルス、およびルテオウイルス等、数種類の植物ウイルスのゲノムRNAのキャップ構造を持たない5’リーダーは、cap非依存的翻訳に関与する(Carrington and Freed、1990;Gallie et al.、1995;Niepel and Gallie、1999;Tacke et al.、1990;Thomas et al.、1991)。トバモウイルスおよびポテックスウイルスXは、IRESがウイルスゲノムの内部に位置する唯一の例である(Hefferon et al.、1997 J.Gen.Virol.78、3051−3059;Hefferon et al.、2000 Arch.Virol.145、945−956;Ivanov et al.、(1997)Virology 232、32−43;Skulachev et al.、(1999)Virology 263、139−154)。【0007】タバコモザイクトバモウイルス(TMV)は、6395個のヌクレオチド(nt)分の長さのモノパータイトゲノムを持つプラス鎖RNA植物ウイルスである(Goelet et al.、1982 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79、5818−5822)。複製蛋白質をコードする5’近位ORFはゲノムRNAから直接発現し、より小さい(126 kDa)蛋白質の合成量は、126 kDa ORFの停止コドンの偶然の読みすごしによって産生される183 kDa蛋白質の合成量よりも約10倍多い(Siegel et al.、1976 Virology 73、363−371)。大きい方の蛋白質だけでもある程度の複製が起こるが、効率の良い複製のためには両方の蛋白質が必要である(Ishikawa et al.、1986)。残りのTMV遺伝子産物である移行蛋白質(MP)およびコート蛋白質(CP)は、3’共通末端サブゲノムmRNA(sgRNA)から発現される(Palukaitis and Zaitlin、1986「植物ウイルス」、M.H.V.van Regenmortel and M.Fraenkel-Conrat、編、第2巻、105−131ページ、Plenum Press、NYの中に総説あり)。したがって、内部移行蛋白質(MP)遺伝子および3’近位コート蛋白質遺伝子は、典型的なトバモウイルスのゲノムRNAから翻訳されることは不可能である(TMV U1はトバモウイルス属の一員である)。sgRNA I2 RNAと呼ばれるシストロン2個を持つ中間長RNA-2は、翻訳されて30 kDaのMPを産生する(Bruening et al.、1976 Virology 71、498−517;Higgins et al.、1976 Virology 71、486−497;Beachy and Zaitlin、1977 Virology 81、160−169;Goelet and Karn、1982 J.Mol.Biol.154、541−550)のに対して、I2 RNAの3’近位コート蛋白質(CP)遺伝子は翻訳上サイレントである。この遺伝子は、シストロン1個を含む小さいsgRNAからのみ発現する(Beachy and Zaitlin、1977)。【0008】典型的なトバモウイルスとは異なり、cruciferに感染するトバモウイルス(crTMV)のCP遺伝子の翻訳は、in vitroではリボソーム内部侵入機序によって起こることが示されている(Ivanov et al.、(1997)Virology 232、32−43)。crTMVのゲノム(6312 nts)には、レプリケースの2つのコンポーネント(122 kDaおよび178 kDaの蛋白質、122 kDa蛋白質の読みすごし産物)、30 kDaのMPおよび17 kDaのCPをコードする4種類の古典的な遺伝子が含まれる(Dorokhov et al.、1993 Dokl.Russian Acad Sci、332、518−52;Dorokhov et al.、1994 FEBS Lett.350、5−8)。crTMV RNAのCP遺伝子の上流にある148 ntの領域には、CP遺伝子および各種リポーター遺伝子の内部翻訳開始を促進するリボソーム内部侵入部位(IRESCP148CR)が含まれることが発見された(Ivanov et al.、1997)。ポテトウイルスXの3’近位CP遺伝子は、crTMVとの類似性により、内部開始の機序によって起こる(Hefferon et al.、1997)。内部翻訳開始を起こさせるcrTMV IRESCRCPの能力は、よく知られた属の一員であるTMV U1とこのトバモウイルスを識別することができる。TMV U1 RNA由来の同調148-nt配列は内部翻訳開始を起こさせる事は不可能(UIcp,148sp)である(Ivanov et al.、1997)。【0009】最近、crTMVのMP遺伝子の上流にある228 ntおよび75 ntの領域とTMV U1のRNAには、それぞれIRESMP、75CRおよびIRESMP,226CRのIRESエレメントが含まれており、細胞不在翻訳系および分離プロトプラストにおいてシストロン2個を含む構築物からの3’近位リポーター遺伝子の発現を指令することが示された(Skulachev et al.、1999)。さらに、シストロン間のスペーサーとして使用されるTMV U1 RNA由来の同等の配列(IRESMP、75U1)は、シストロン2個を持つ転写産物中の第二の遺伝子の翻訳を起こさせることができた。【0010】植物ウイルスに関する最近の研究から、IRESを介さないcap非依存性翻訳開始の新しい例も報告されている。ウイルスのRNAとルテオウイルスおよびネクロウイルス属におけるサテライトウイルス、そしてTombusviridaeファミリーの多くは、5’のcapおよび3’のポリ(A)テールを欠いている。しかし、それらの3’UTR近くのコーディング領域に位置する各種の翻訳促進配列のおかげで効率良く翻訳される。これらの配列は、2つの根本的な理由からIRESエレメントとは異なっている:リボソーム内部侵入を起こさない点と、3’非翻訳領域(3’UTR)に位置している点である。これらの配列の構造および推定機序の詳細については、Barley Yellow Dwarf Virus(BYDV)(Guo et al.、2000 RNA 6、1808−1820)に関する報告がある。【0011】IRESは、高等な真核生物(哺乳類および植物)の細胞およびウイルスmRNAのいくつかにおいて特定されているが、IRESが低級な真核生物のmRNA中にも存在するのかどうかはまだ不明である。最近、IRESとして機能する2種類の酵母mRNAの5’リーダー配列が特定された(Zhou et al.、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98、1531−1536)。【0012】特徴解析されている動物IRESの配列はそれぞれ異なる(Jackson、2000、図3も参照)が、1つの例ではGtxホメオドメイン蛋白質のIRES機能が発揮される上で短いヌクレオチド配列が重要な役割を果たすとの証拠が得られている。GtxのIRESには、内部開始を引き起こすことが示されている18SのrRNAに対して相補性を示すいくつかのノンオーバーラップセグメントが含まれている(Hu et al.、1999.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、1339−1344)。これらのセグメントの1つの中で、1132−1124位のヌクレオチドにおいて18S rRNAに対して100%の相補性を持つヌクレオチド9個のGC-rich配列CCGGCGGGUが特定され、この9ntのIRES単位のmultiple linkedコピーから構成される合成IRES(図4)は動物細胞において非常に高いレベルで内部開始をサポートすることが示された(Chappel et al.、2000 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97、1536−1541)。【0013】植物では、動物ウイルスのIRES(脳心筋炎ウイルスのIRES、IRESEMCV)の活性が低いことが報告された(Urwin et al.、2000 Plant J.24、583−589)。現時点では、IRESエレメントの界を超えた(植物、動物、酵母)活性の証拠は一切得られていない。cap非依存的翻訳を引き起こし得るヌクレオチド配列の数は着実に増加しているが、予測のための方法論がなかったため、新たなIRESは副次的あるいは偶然にしか特定されてこなかった。さらに、既知のIRESは効率の微調整ができない。分類学上の制限があり、構造的にも非常に相違点が多い。【0014】したがって、本発明の目的は人工的IRESエレメントを作成するための方法を提供することである。【0015】別の目的は、界を超えた活性を持つ人工的IRESエレメントを提供することである。【0016】本発明のさらに別の目的は、効率の程度を自由に変えられるIRESエレメントを作成するための方法を提供することである。【0017】さらなる目的は、本発明による新たなIRESエレメントの翻訳コントロール下で真核細胞における当該ヌクレオチド配列を発現させる手順を提供することである。【0018】別の目的は、例えばデータベースなどのヌクレオチド配列を検索することによってIRES活性を有する核酸エレメントを特定するための方法を提供することである。【0019】発明の全般的な説明本請求項により、上述の目的が達成される。本発明は、少なくともヌクレオチド25個分の長さのアデニンrichな核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法を提供するもので、それにより当該核酸配列はリボソーム内部侵入によって下流にコードされた配列の翻訳を引き起こすことができる(IRESエレメント)。【0020】本発明の発明者らは、IRES活性を示す核酸配列(IRESエレメント)、すなわちリボソーム内部侵入機序によって下流の遺伝子あるいはコード配列のcap非依存的翻訳を起こすことが可能な配列を作成するための非常に単純な基準を特定した。発明者らは、少なくとも25個のヌクレオチドから構成され、アデニン含有量の高いブロックを持つ核酸配列が、真核細胞においてIRES活性を示すという強い傾向を示すことを見出した。これによって、真核細胞中で活性を有する人工的IRESエレメントを作成することが初めて可能となる。さらに驚くべきことに、これらのエレメントは界を超えた活性を持つ、すなわち植物、動物、および真菌細胞において活性を発揮する。本発明に記載のIRESエレメントは、以下のようにしてIRES活性(の程度)の検証を行うことができる:当該IRESエレメントをシストロン2個を含む直線状の構築物の上流遺伝子と下流のGUSリポーター遺伝子との間に挿入することにより当該IRESエレメントが下流の当該GUS遺伝子のIRES依存的翻訳のための位置に来るようにし、当該上流遺伝子の前に安定なヘアピン構造を挿入して当該遺伝子のIRES非依存的翻訳を阻害する;ウサギ網状赤血球溶解産物もしくは麦芽抽出物in vitro翻訳アッセイにおいて当該GUS遺伝子のIRES依存的翻訳の測定を行い、上記の上流遺伝子と上記のGUS遺伝子との間に対照IRESエレメントを持つ、あるいは非IRESエレメントを持つ構築物と比較したGUS遺伝子の発現量を定量する;および上記のin vitro翻訳アッセイのうち少なくとも1つにおいて目的とする効率によりGUSを発現させることのできるIRESエレメントを選択する。【0021】目的とする活性を持つIRESエレメントを作成するために、このような、あるいは同様の試験を利用することも可能であり、ピリミジンヌクレオチド含有量に対するアデニンの比率を調節することによって行うのが望ましい。当然ながら、本発明に記載の人工的IRESエレメントの活性に関する試験は、植物あるいは動物の細胞もしくはin vivoにおいて実施することも可能である。【0022】ここでは、「アデニンrich」もしくは「アデニン含有量の高い」とは、アデニンの含有量が30 mol−%より高いことを意味する。本発明内においては、当該アデニンrich核酸ブロックが望ましくは最低40 mol−%のアデニンを含む場合に、そのブロックが少なくともアデニンrichであるとする。「ピリミジンpoor」もしくは「ピリミジン含有量の低い」とは、チミン(ウラシル)+シチジンの含有量が40 mol−%チミン(ウラシル)+シチジンよりも低いことを意味する。【0023】本発明の記載に基づきIRESエレメントを作成する際に適用する基準に関して、アデニン含有量が少なくとも30、望ましくは少なくとも60、最も望ましくは少なくとも80 mol−%である、最低25個のヌクレオチドから成るブロックを提供する。IRESの活性が最も高くなるのは、アデニン含有量が90から100 mol−%の間であると考えられる。ピリミジン含有量は低く、すなわち40 mol−%未満であるべきで、望ましくは30 mol−%未満、最も望ましくは20 mol−%未満である。【0024】IRESの効率を上げるための望ましい方法として、以下の方法を定義する:アデニンrichな核酸ブロックが少なくともヌクレオチド30個分の長さであり、アデニンが最低40 mol−%およびピリミジンが40 mol−%未満である方法。アデニンrichな核酸ブロックが少なくともヌクレオチド30個分の長さであり、アデニンが最低50 mol−%およびピリミジンが30 mol−%未満である方法。アデニンrichな核酸ブロックが少なくともヌクレオチド30個分の長さであり、アデニンが最低60 mol−%およびピリミジンが20 mol−%未満である方法。【0025】当該アデニンrich核酸ブロック中のピリミジンサブブロックは、望ましくは多くともヌクレオチド3個分の長さ、さらに望ましくは多くともヌクレオチド2個分の長さであるべきである。当該アデニンrich核酸ブロック中で2個のアデニン塩基を分離するアデニン以外の塩基のサブブロックは、望ましくは多くとも塩基10個分の長さ、さらに望ましくは多くとも塩基5個分の長さを持つべきである。本発明のIRESエレメントの塩基含有量に関する上述の基準は、mRNAおよびDNAレベル上の対応するコーディング鎖に適用される。【0026】当該核酸ブロックの長さについては、厳密な上限はない。実際上の目的のためには、当該ブロックがヌクレオチド500個より短くなるよう選択することができる。ヌクレオチド200個より短いブロックを作成するのが望ましい。さらに望ましくは、当該ブロックのヌクレオチド数が30から100個の間であり、最も望ましくは30から70個の間である。当該核酸ブロックの最小の長さは、ヌクレオチド25個である。しかし、長さは少なくとも40個あるのが望ましく、少なくともヌクレオチド50個の長さであるのがさらに望ましい。【0027】本発明に記載の当該核酸ブロックは、その中に含まれる配列に対してIRES活性を発揮するという強い傾向を持つ。人工的IRESエレメントの作成に関する上述の基準によって、各種の活性を持つIRESエレメントを作成するための多くの可能性が提供される。この自由度を利用して、望ましくはin vitro翻訳アッセイと併用することにより、IRESの活性を望ましいレベルに微調整することが可能である。【0028】本発明は単一のアデニンrich核酸ブロックによって構成されるIRESエレメントに焦点を当てているが、IRES活性を獲得するために、1つの核酸配列の中に2,3個あるいはそれ以上のアデニンrich核酸ブロックを挿入することも可能である、と述べておくべきである。このような配列は、高いIRES活性を持つという特に強い傾向を有する。2個以上のアデニンrich核酸ブロックを使用した場合、優れたIRES活性が得られる。【0029】本発明のIRESエレメントを構築するために、多くの異なるアプローチを用いることができる。構築は一般に、DNAレベルで実施する。本発明の原理に基づいて設計した配列を持つIRESエレメントは、自動DNA合成によって合成することが可能である。それにより、相補的な鎖を合成することができる。このアプローチは、ヌクレオチド40から100個分の長さを持つIRESエレメントに最も適している。設計したIRESエレメントは、自動DNA合成によって適当な長さのいくつかの断片として合成し、その後アニールすることも可能である。DNAエレメントを構築するためのこれらおよび他の方法は、本分野でよく知られた技術である。当然ながら、より長いストレッチから、またはゲノム配列から適当なDNAストレッチを切り出してもよい。【0030】本発明はさらに、本発明に基づき作成した上流の核酸配列(IRESエレメント)に遺伝子操作により結合させた当該ヌクレオチド配列から成るベクターを真核細胞中に導入することによって、当該細胞中で対象とするヌクレオチド配列を発現させるための過程も提供するものであり、それにより当該ヌクレオチド配列が上流にある当該IRESエレメントによってcap非依存的に翻訳される。【0031】当該ヌクレオチド配列は、植物もしくは植物細胞中で発現させることができる。また、動物あるいは動物細胞中でも発現させることができる。動物細胞の中で、哺乳類細胞もしくはヒトを含めた哺乳類(例えば遺伝子療法の目的で)が望ましい。さらに、当該ヌクレオチド配列は真菌中、望ましくは酵母細胞中でも発現させることが可能である。【0032】当該ベクターに含まれるIRESエレメントは、本発明に基づいて作成されるどのような人工的IRESエレメントでもよい。例えば、例の中で具体的に開示する(GAAA)16あるいはポリ(A)IRESエレメント、もしくは機能的に同等なIRESエレメントでもよい。人工的IRESエレメントのさらなる例を図5、6、10、および12から19までに示す(例も参照)。ここに記載する発現過程では、既知あるいは天然のIRESエレメントは使用しない。特に、既知のウイルス由来IRESエレメントは使用しない。【0033】当該ヌクレオチド配列は、シストロン1個を含むmRNAから発現させることができる。しかし、IRES技術の高い可能性はシストロン2個もしくはシストロン複数個の発現において発揮されるものであり、蛋白質複合体のすべてのサブユニットあるいは生化学的カスケードまたは経路の全体を発現させることが可能である。したがって、当該ヌクレオチドはシストロンを2個もしくは複数個含むmRNAから発現させるのが望ましい。【0034】当該真核細胞あるいは真核生物は、当該ベクターによって安定した形質転換もしくは一時的なトランスフェクトを起こすことができる。動物あるいは植物の細胞を形質転換もしくはトランスフェクトするための方法は、本分野においてよく知られている。植物細胞中にDNAあるいはRNAベクターを送達するために各種の方法を利用することが可能であり、マイクロプロジェクタイルボンバードメント法による当該ベクターの植物細胞中への直接導入、プロトプラストの電気穿孔またはPEG処理などが挙げられる(総説については以下を参照:Gelvin,S.B.、1988、Curr.Opin.Biotechnol.、9、227−232;Hansen&Wright、1999、Trends Plant Sci.、4、226−231)。植物のRNAおよびDNAウイルスも、効率の良い送達システムである(Hayes et al.、1988、Nature、334、179−182;Palmer et al.、1999、Arch.Virol.、144、1345−1360;Lindbo et al.、2001、Curr.Opin.Plant.Biol.、4、181−185)。当該ベクターは、植物のゲノム/プラストームへの安定した組み込み(直接またはアグロバクテリウムによるDNA組み込み)もしくはトランスジーンの一時的な発現(「アグロインフィルトレーション」)のどちらかのために、トランスジーンを送達することができる。同様に、動物細胞を電気穿孔し、ウイルス由来のベクターによって感染させたり、またはリポフェクチンを用いてトランスフェクトしたりすることが可能である。【0035】本発明の発現過程のためのベクターは、分子生物学の標準的手順に従って構築することができる。本発明のIRESエレメントを当該ベクター中の対象となるヌクレオチド配列の上流に挿入し、当該ヌクレオチドのIRES依存的翻訳が起こるようにする。具体的な態様については、図および例の項に記載する。【0036】本発明は、本発明に基づいて作成し、遺伝子操作により対象となるヌクレオチド配列に結合させた核酸配列(IRESエレメント)を含むトランスジェニックな、あるいは一時的に修飾した真核細胞を包含する。【0037】本発明はさらに、本発明に基づいて作成したIRESエレメントを含むベクターおよび本発明のベクターの構築のための当該IRESエレメントを含む発現カセットを包含する。当該ベクターとして、IRESのRNA配列を含有するRNAベクター、または新しいIRESのRNA配列のcDNAコピーを含有するDNAベクターを使用することができる。【0038】本発明により、本分野において優れた技術を持つ者がIRE活性を有する人工的翻訳エレメントを作成することができるため、本発明は有用である。本発明により、以前に報告されていたよりも活性の高いIRESエレメントを特定することが可能である。また、界を超えた活性を持つ普遍的なIRESエレメント、希望どおりの活性を示すIRESエレメントを作成したり特定したりすることも可能である。【0039】(発明の詳細な説明)哺乳類細胞(US6060273;US6114146;US5358856;US6096505;US171821;US5766903)、植物細胞(WO98/54342)および、全般に真核細胞(US171821;US5766903;US5925565;US6114146)において、シストロンを複数個持つ直線状のmRNA中で外来遺伝子のcap非依存的発現のために使用するIRESエレメントについて記載した発明がいくつかある。また、IRESによるcap非依存的な遺伝子発現を起こすために環状RNAが開発された(US5766903)。真核細胞mRNAのcap非依存的翻訳は、既知のIRESとは大きく異なるオオムギ黄萎ウイルスRNAに由来する翻訳促進配列によって引き起こされる(US5910628)。一般に、本分野において発表されている発明はすべて、動物ウイルス(例えばUS5358856を参照)もしくは植物ウイルス(WO98/54342)から分離した天然型のIRESに関するもので、界を超えた活性についての疑問は解決していない。すなわち、既知のIRESの活性は動物あるいは植物のどちらかの細胞に限定されている。動物および植物の細胞において外来遺伝子の効率良いcap非依存的発現を引き起こすことのできる非天然型、人工的なIRESを作成するためのアプローチは記述されていない。さらに、界を超えた活性を持つ新たなIRESエレメントを作成したり特定したりするアプローチも行われていない。【0040】WO01/55369は、18SのリボソームRNAと相互作用する天然型IRESエレメント断片に基づく合成IRESエレメントの作成について記述している。しかし、このアプローチは動物系において機能するIRESエレメントを特定するにとどまっている。また、この発明で提案されたシストロン2個を含むキメラ構築物に関しては、シストロン間にあるGC-richな推定上のIRESエレメントが転写プロモーターとして機能し、それによってシストロン1個を持つmRNAが産生され、そこからシストロンが実際に翻訳されたという可能性を除外するための分析が行われなかった(Kozak、2001 Mol.Cell.Biol 21、1899−1907)。この著者らは、このような解釈およびそれ以外の別の解釈を除外することなく、Gtx由来の配列がIRESであると結論した。彼らは、CCGGCGGGUエレメントが光化学的に18SのrRNAと架橋形成するという能力を証拠として引用し(Hu et al.、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、1339−1344)、IRES活性がmRNAとrRNAとの間の塩基対形成によって生じると仮定した。しかし、この架橋形成はリボソーム−mRNA開始複合体の形成を必要としなかったため、ついて以上のIRES機能とは無関係である可能性が高い。実際、Gtx由来の配列を蛋白質除去した18SのrRNAと共にインキュベートした場合にさえも、架橋形成は起きた。【0041】WO01/55369とは異なり、本発明のIRESが転写プロモーター活性を持つ可能性について検討した。シストロン2個のアッセイにおいて使用した本発明の人工的IRESエレメントは転写プロモーターとして機能しないことがノーザンブロットにより証明された。さらに、ポリプリン(A)rich配列(PARS)−richなIRESCP,148CRを発現するトランスジェニックな植物を用いた実験から、PARSは植物細胞においてプロモーターとして作用しないことを示す証拠が得られている(Dorokhov et al.、2002.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99、5301−5306)。【0042】既知の技術とは異なり、本発明は本分野において知られた方法に基づき容易に合成することのできる人工的IRESの作成のための原理を提供するものである。これらのIRESは、真菌(例えば酵母)、哺乳類および植物の細胞を含めた真核細胞中で界を超えた高い活性を示すはずである。さらに、本発明のIRESが真核細胞IRESの機能的類似体としてのE.coliのような細菌の原核細胞リボソーム結合部位(RBS)と類似しているという事実により、本発明の人工的IRESはクロロプラストおよびミトコンドリア同様、原核細胞において活性を発揮する。【0043】本発明の記載に基づき作成したIRESエレメントの検証のために、以下のエレメントをこの順序で持つシストロン2個のDNA構築物「H-GFP-GUS」で構成される検証システムを考案した:mRNA上で安定したヘアピン(H)を形成する構造、緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子(GFPコード配列)、検証するIRESエレメントを挿入するための制限酵素切断部位を持つシストロン間スペーサー、およびGUS遺伝子(GUSコード配列)。検証するIRESエレメントをGUSとGFPとの間のスペーサー中に挿入する。次にこの構築物を、例えばT7 RNAポリメラーゼなどを使用してin vitroで転写させ、mRNAを作成する。このようにして得られたmRNAを、ウサギ網状赤血球溶解産物(RRL)もしくは麦芽抽出物(WGE)in vitro翻訳システムを用いてin vitroで翻訳させる。どちらのin vitro翻訳システムも、PromegaおよびRoche Diagnosticsなどから市販されており、製造者の指示に従って使用可能である。翻訳の後、例えば酵素活性および比色分析、オートラジオグラフィ、あるいはウエスタンブロットなどによってGUSの発現を測定する。GUS遺伝子の発現量は、前述の上流遺伝子と前述のGUS遺伝子との間に対照IRESエレメントを持つ、あるいは非IRESエレメントを持つ構築物と比較して定量化するのが望ましい。強力なIRES活性を有する対照IRESエレメントとして、前述のポリ(A)核酸ブロック(例を参照)を使用することができる。非IRESエレメントとして、前述のポリ(G)核酸ブロック(例を参照)あるいは図7,8または9に記載した核酸ブロックを使用することができる。【0044】上述のシストロン2個から成るDNA構築物中の当該ヘアピン構造はcap依存的翻訳を妨害するため、GUSの発現はすべて上述の構築物の当該シストロン間スペーサー中に挿入した検証IRESエレメントの翻訳活性に起因することになる。当該ヘアピンは十分に安定であり、cap依存的翻訳を効率良く妨害することができる。その安定性は、30 kcal/molより高いのが望ましい(Kozak,M.(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83、2850−2850を参照)。当該ヘアピンの安定性が不十分であれば、上記のGFP遺伝子が発現することによって確認される。GFPの翻訳は、例えばその蛍光やウエスタンブロット、あるいはオートラジオグラフィによって検出することができる。【0045】ここで使用するH-GFP-GUS構築物は、プラスミドpBluescriptll SK+、GUSヌクレオチド配列、およびGFP配列から作成した(例1)。ヘアピン構造の配列は次のとおりである:ggtaccgggccccccctcgaggtcgacggtatcgataccgtcgacctcgagggggggcccggtacc。同等の配列は、本分野における技術に習熟した人であれば容易に作成できる。【0046】in vitro翻訳システムに関するすべての見地は、十分に研究されており、これまでの技術分野でよく知られている。詳細については、以下の資料およびそこに引用された文献中に報告されている:Anderson,C.、et al.(1985)Meth.Enzymol.101、635;Krieg,P.and Melton,D.(1984)Nucl.Acids Res.12、7057;King,R.W.et al.(1997)Science 277、973;DiDonato,J.A.and Karin,M.(1993)、Promega Notes 42、18;Pelham,H.R.B.and Jackson,R.J.(1976)Eur.J.Biochem.67、247;Jackson,R.J.and Hunt,T.(1983)Meth.Enzymol.96、50;Technical Bulletins from Promega Corp.No.126とNo.165、および同社のTechnical Manual No.232。【0047】WGEまたはRRL翻訳アッセイにおいてGUS遺伝子を発現させることができた検証IRESエレメントは、本発明に記載のIRESエレメントである。本発明に基づき作成あるいは特定したIRESエレメントは、一般に界を超えた活性を示す。すなわち、植物および動物中において当該IRESの翻訳コントロールの下で対象となる遺伝子を発現させるために使用することができる。このように界を超えた活性を持つが、植物あるいは動物系において対象となる遺伝子の発現を比較した場合、当該IRESエレメントの活性は同一でないのが普通である。上述のin vitro翻訳システムにおいて、この2つの間の発現量の相違は自然に存在する。in vivoシステムでは、このような相違は一般にさらに大きくなる。それでもなお、本発明のIRESエレメントは植物細胞および動物細胞という両方のin vitroシステムにおいて驚くほど高いIRES活性を示す。【0048】本発明はさらに、ヌクレオチド配列、特にゲノムデータベースのヌクレオチド配列を検索し上述の一連の基準を適用することによって、IRES活性を持つ核酸エレメントを特定するための方法も提供する。【0049】このような検索は、あらゆる既知のヌクレオチドおよび将来知られるようになるであろう配列に関して実行することができる。真核生物由来のヌクレオチド配列、すなわち植物および動物の配列の検索を行うのが望ましく、より高等な植物もしくはより高等な動物の配列を検索するのが最も望ましい。【0050】核ゲノムや、プラスチドもしくはミトコンドリアゲノムのようなオルガネラゲノムを含めたゲノム配列全体を検索することができる。真核細胞の核ゲノム配列が望ましい。DNAあるいはRNAの配列に関して検索を実行することができる。二重鎖DNAを使用する場合には、両方の鎖のスクリーニングを行うのがよい。コーディング鎖の検索を優先的に行う。検索は、遺伝子の5’UTR配列に限定することができる。mRNAレベルで5’UTR配列をスクリーニングするのと同等である。【0051】検索の方法として最も簡単なのは、印字された、もしくは書かれたヌクレオチド配列を肉眼で調べるという方法である。特に5’UTR配列に注目している場合には、このアプローチが成功する可能性が高い。コンピュータおよび適切なコンピュータプログラムを使用するなど、自動スクリーニング法を利用すればさらに便利である。このようにして、ヌクレオチド配列の大規模なデータベースを検索し、多くのIRESエレメントを発見することが可能である。【0052】このように本発明は、ヌクレオチド配列中のIRESエレメントを上述のように検索するために、コンピュータおよびコンピュータプログラムを利用する。当該コンピュータプログラムは、請求項中に定義する一連の基準に基づくアルゴリズムを包含する。【0053】本発明の重要な利点の1つは、一時的な、あるいは安定した形質転換により植物細胞中のシストロンを複数個含むカセットにおいて2種類以上の遺伝子を発現させ得ることである(トランスジェニックな植物)。【0054】本発明の別の利点は、一時的な、あるいは安定した形質転換によりヒトもしくは他の哺乳類細胞中のシストロンを複数個含むカセットにおいて2種類以上の遺伝子を発現させ得ることである(トランスジェニックな動物)。【0055】本発明のさらなる利点は、酵母細胞中のシストロンを複数個含むカセットにおいて2種類以上の遺伝子を発現させ得ることである。【0056】本発明のさらなる利点は、哺乳類細胞、特にヒト細胞においてアデニンrichなIRESにより外来遺伝子を発現させるためのウイルスベクターを作成できることである。【0057】本発明の別の望ましい態様は、真核細胞mRNAの5’UTR含有AGNBに基づいて新しいIRESを作成することである。熱ショック蛋白質(HSF)mRNAの5’UTRを我々が分析した結果、アデニンrichな5’リーダーが確認された。さらに、Nicotiana tabacum熱ショック因子(NtHSF)のmRNAリーダーのテストから、この予測が確認された。NtHSFの5’UTRは、植物だけでなくヒト細胞においてもIRES活性を有することが判明した。本発明は、一時的もしくは安定した形質転換により植物または動物の細胞におけるシストロンを複数個持つカセット中のいくつかの遺伝子を発現させるためのIRESとしてのアデニンrich配列を含有する真核細胞mRNAの5’非翻訳領域を提供する(トランスジェニックな生物)。さらに、このようなIRESは、例えば遺伝子療法において動物ウイルスに基づくベクターの中の外来および天然遺伝子を発現させるために使用することができる。【0058】以下に、具体的な例を用いて本発明のさらに詳細な説明を記載する。標準的な分子生物学的技術は、Sambrook et al(1989、Molecular Cloning:a Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor、New York)に従って実施した。本発明で使用したすべてのプラスミドは、通常の技量を持つ個人による規格の指示に基づいて調製することが可能である。【0059】(例1)アデニンrichなヌクレオチドブロックを含有する非天然型、人工的IRESの作成方法本例では、アデニンrichなヌクレオチドブロックを持つ人工的IRESエレメントの作成が可能であることを示す。【0060】クローニング手順:H-CP-ICS-GUSあるいはCP-ICS-GUSのバクテリオファージT7の転写プロモーターおよび35Sベースのシストロン2個のプラスミドで、5’近位シストロンとしてのcrTMV CP遺伝子の発現が安定な人工的ヘアピン(H)構造によって阻害される。これに対してGUS遺伝子の発現は、以前に報告された合成ポリリンカーに基づく配列(ヌクレオチド72個分の長さ)、IRESMP,228CR、IRESMP,75CRとIRESCP148CR、UICP,148SPおよびIRESCP148UIを含むシストロン間配列(ICS)のコントロールの下で起きる(Ivanov et al.、1997;Skulachev et al.、1999)。H-GFP-ICS-GUSプラスミドの構築は以下のようにして行った。pBluescript SK+(Stratagene社)のポリリンカー(PL)断片を同一ベクター中にクローニングすることにより、構築物pH-Claを作成した。この断片をClaIおよびKpnIによってSK+から切断し(KpnIはT4 DNAポリメラーゼによってブラントエンドとした)、ClaIおよびSmaI部位を用いてSK+ベクターに再クローニングした。次に、プラスミドpGEM-3ZからのポリリンカーBamHI−SacI断片をBamHIおよびSacI部位によってpH-Cla中にクローニングし、ベクターphClaPolyを作成した。このベクターは、ヌクレオチド45個分の長さの逆反復配列を2個持ち、その後に複数のクローニング部位を持っている。次の段階で、BamHIおよびHindIII部位を用いてGFP遺伝子をプラスミドpH-ClaPoly中にクローニングすることにより、プラスミドphGFPを作成した(GFP遺伝子は、ccggatccttatggtgagcaagggcgaggagおよびcgcaagcttacttgtacagctcgtccatgのオリゴヌクレオチドとプラスミドGFP-241(Solovyev et al.、1999)をテンプレートとして用い、PCR産物として作成した)。pH-GFP-IRESCP,148CR-GUSを作成するために、プラスミドpH-CP-IRESCP,148CR-GUS(Skulachev et al.、1999)からのEcoRI-SacI断片を、EcoRIおよびSacI部位を利用してベクターphGFP中にクローニングした。pH-GFP-IRESCP,148-GUSをEcoRIおよびNcoI酵素で切断し、Klenow断片を用いて突出末端を補った後、プラスミドに自己連結させることにより、プラスミドph-GFP-PL-GUSを作成した。結果として、このプラスミドはGFPおよびGUSの遺伝子を含有し、その間にHindIII、SmaI、KpnIおよびEcoRI部位を持つ。【0061】アデニンrichなヌクレオチドブロックを持つ非天然型、人工的IRESを作成するために、2対のオリゴヌクレオチドを互いにアニールさせた(図5を参照)。得られたDNA断片を制限酵素PstIで切断し、互いに連結させた。アガロース電気泳動によって連結した断片を分離し、制限酵素HindIIIおよびEcoRIを用いて切断した。HindIIIおよびEcoRI部位を用いてPPx4断片をpH-GFP-PL-GUSベクター中にクローニングすることにより、プラスミドpH-GFP-PPx4-GUSを作成した。【0062】in vitro翻訳アッセイ:WGEおよびRRLによる翻訳アッセイは、それぞれPromega Corporationから発行されたTechnical Bulletin No.165およびNo.126の記載に従い、それぞれカタログ番号L4140およびL4610の転写/翻訳複合システムを用いて実施した。または、Promega社カタログ番号L4960の従来型RRLシステム(Technical Manual No.232)を使用した。検証するIRESエレメントをGFPとGUSの間に挿入した直線状のH-GFP-GUSベクターを、T7プロモーター/RNAポリメラーゼシステムを用いて転写した。RNA転写産物をLiClによって沈殿させ、水に溶解した後、エタノールで再度沈殿させた。分光光度計によってRNA濃度を測定し、転写産物5μgをとって25 μlのin vitro翻訳用試料とした。オートラジオグラフィによりGFPおよびGUSの発現を検出した。【0063】植物プロトプラストの一時アッセイシステムプロトプラストの作成およびトランスフェクションの手順として以下のものを用いた:(i)過去の報告に従い、N.tabacum(cv.W38)の葉からプロトプラストを分離した(Saalbach et al.、1996 Plant Physiol. 112、975−985)。4×105個のプロトプラストを、pFF19に基づくシストロン2個のDNA構築物「GFP−スペーサー−GUS」30 μgによってトランスフェクトし、暗所で25℃において36時間インキュベートした。GUSの活性は、相対発光量(RLU)として測定した。GUS活性は、MUGを用いて(Jefferson 1987.Plant Mol.Biol.Rep.5、387−405)に基づき測定した。各実験において、トランスフェクトされていないプロトプラストによるバックグラウンドGUS活性を引いた。蛋白質濃度は、Bradford(1976 Anal.Biochem.72、248−254)の方法に基づき、Bio-Rad蛋白質アッセイキットを用いて推定した。GFPの発現量は、マウスモノクローナル抗体(Boehringer Mannheim No 1814460)を使用し、製造者のマニュアルに従ってウエスタンブロット分析を行うことにより検出した。ウエスタンブロットのバンド中にあるGFPの量は、Bio-Rad Quality-Oneソフトウエアを用いて算出した。【0064】ワクシニアウイルスおよびGUSをコードするプラスミドを含有するT7プロモーターを用いたHeLa細胞のトランスフェクション10%熱不活化ウシ胎児血清および100単位/mlのストレプトマイシンとペニシリンを添加したDulbeccoの改良最小培地中で、3.5 cmペトリ皿上でHeLa細胞の単層を成育させた。バクテリオファージのT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を発現する改良型ワクシニアウイルスAnkara(MVA)のウイルスストックを、通常の方法に従って調製した。集密度80〜90%のHeLa細胞の皿を、30−40 pfu/細胞を用いてウイルスで感染させた。45分の吸収期間の後、細胞を洗浄し、OptiMEM(Life Technologies社)プラスミドDNAおよびLipofectin(Life Technologies社)を用いてトランスフェクトした。3.5 cmのプレート1枚につき、Lipofectin5μl中DNA2μgのトランスフェクション混合物を使用した。各実験において、それぞれの構築物につき6枚のプレートを使用した。細胞を37℃で6時間インキュベートした。インキュベーションの後、培養液を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した後、プレート上で直接、250 μlの溶解緩衝液(100 mM KHPO3 pH7.8、0.2% Triton X-100、0.5 mM DTT)中で10分間溶解した。溶解産物を回収し、2000gで10分間遠心して澄明にした後、−70℃で保存した。GUS LightTM試薬システム(Tropix、MA、USA)を用いて製造者のプロトコルに従い、溶解産物20 μl中でGUS活性を検出した。【0065】(例2)GAAAエレメントのコピーを16個含有する非天然型、人工的IRESの作成方法本例の主要な目的は、GAAA配列のコピー16個から成るアデニンrichな核酸ブロックを持ち、AヌクレオチドとGヌクレオチドの含有量がそれぞれ75%と25%になっている非天然型、人工的IRESエレメントの作成が可能なことを実証することである。【0066】クローニング手順GAAA配列のコピーを複数個含有する非天然型、人工的IRESを作成するために、2対のオリゴヌクレオチドを互いにアニールさせた(図6を参照)。得られたDNA断片を制限酵素PstIで切断し、互いに連結させた。アガロース電気泳動によって連結した断片を分離し、制限酵素HindIIIおよびEcoRIを用いて切断した。HindIIIおよびEcoRI部位を用いて(GAAA)16断片をpH-GFP-PL-GUSベクター中にクローニングすることにより、プラスミドpH-GFP-(GAAA) 16-GUSを作成した(図6)。GUUUエレメントのコピーを16個、UUUGCUUUUUGUAGUAエレメントのコピーを4個含有する人工的配列、および陰性対照として使用したGCU richな配列のクローニング手順を、それぞれ図8−10に示す。【0067】人工的IRESを検証するための方法は、例1に記載する。【0068】(例3)ポリ(A)核酸ブロックを含有する非天然型の作成方法本例の主要な目標は、Aヌクレオチドの含有量が100%であるポリ(A)配列を含む非天然型、人工的IRESエレメントの作成の可能性を検証することである。この配列を、G含有量が100%であるポリ(G)配列と比較した。これらの例の主な結果は、ポリ(A)配列を含有する人工的配列はIRESとして機能するのに対して、ポリ(G)配列を含有する人工的配列は機能しない、ということである。【0069】ポリ(A)を含有するIRESおよびポリ(G)配列のクローニング手順を、それぞれ図10および11に示す。作成した構築物を検証するための方法は、例1に記載する。【0070】(例4)含有量の異なるグアニンおよびピリミジン塩基を含む非天然型、人工的アデニンrich配列の作成本例の主な目的は、アデニン含有量が100から25%の間で変動しピリミジンヌクレオチド含有量が20%以下である、アデニンrichな配列を含有する非天然型、人工的IRESエレメントの作成の可能性を検証することである。【0071】クローニング手順:ピリミジンヌクレオチド含有量が25%である、AAAC断片およびAAAU断片のコピーを16個含む人工的IRESのヌクレオチドプライマー配列とクローニング手順を、それぞれ図12および13に示す。グアニン含有量が25%、アデノシン含有量が50%、およびピリミジンヌクレオチド含有量が25%である、GAAC断片およびGAAU断片のコピーを16個含む人工的IRESのヌクレオチドプライマー配列とクローニング手順を、それぞれ図14および15に示す。AAAAC断片およびAAAAU断片のコピーを複数個持つIRESエレメントに関する次の2つの例から、ピリミジンヌクレオチド含有量が20%であってもIRES活性は消失しないことが実証される。これらの構築物のクローニング手順を、それぞれ図16および17に示す。人工的IRES活性を発揮するためのヌクレオチドブロック中の最小アデニンヌクレオチド含有量を決定する目的で、AAGG(図18)およびAGGG(図19)断片のコピーを複数個含む別の2つの人工的IRESを構築した。【0072】(結果)我々は、シストロンを2個持つH-GFP-GUSベクター中のシストロン間スペーサーとして使用した一連の合成配列(図5−9)を作成し、RRL、タバコプロトプラストおよびHeLa細胞において検証した。19ヌクレオチドの直接反復の連結コピー4個(Ecp×4)およびGAAA配列のコピー16個(GAAA)16を持つ2種類の合成配列(図5および6)を、他の2種類の人工的配列と比較した:(i)GUUU-richな配列(GUUU)16(図7)とEmp×4(図8)および(ii)ヌクレオチド6個の配列UUUGUUUによって連結した、ヌクレオチド8個のGC-richな配列CGCGGGCGのコピー4個を含有するGC-richなテトラマー(GCRT)(図9)。【0073】シストロン間スペーサーとして人工的配列を含有するシストロン2個を持つH-GFP-GUSをRRLにより翻訳した結果、人工的配列Ecp×4および(GAAA)16は、GFP遺伝子の翻訳が安定したヘアピン(H)構造によって阻害された条件下で、GUS遺伝子の翻訳を効率良く指令することが示された(図20)。さらに、これら2種類の配列のin vitroでの効率は天然型のIRESCP,148CRよりも高かったが、Ecp×4をコピー8個に延長しても(Ecp×8)GUS遺伝子の発現は増加しなかった。GUUU-richな配列Emp×4および(GUUU)16は、GUSの合成に対してほとんど影響を及ぼさないことが判明した(図20)。GCRT配列もIRES活性を持たなかった(データは示さない)。【0074】上述の人工的配列を含有するH-GFP-GUS構築物でトランスフェクトしたタバコプロトプラスト(図21)およびHeLa細胞(図22)におけるin vivoでの実験から、in vitroでの結果が確認された:人工的配列(GAAA)16は、IRESEMCV(HeLa細胞中の)よりも効率良く、またIRESCP,148CR(プロトプラストおよびHeLa細胞)と同程度に、IRESエレメントとして機能することができた。【0075】ポリ(A)およびポリ(G)配列を含有する人工的配列を用いた結果から、アデニン含有量が100%である人工的IRESは、ポリ(G)配列とは異なり、IRESとして効率良く機能することが実証された(表1)。【0076】表1:シストロン2個を持つH-GFP-GUS転写産物のシストロン間スペーサーとして使用したポリ(A)およびポリ(G)配列により指令されたRRL中のGUS発現。試料は30℃において60分間インキュベートした。GUS活性は、MUGを用いて2μl中で測定した。【表1】【図面の簡単な説明】【0077】【図1】標準的な真核細胞cap依存的翻訳開始の単純化モデル。eIF4E−eIF4G間の相互作用により、小さいリボソームサブユニットをmRNAの5’末端に結合させる。eIF4GはPab1p、eIF3、およびRNAヘリケースeIF4Aとも相互作用し、開始過程を媒介する。ORF:読み取り枠;PABP:ポリ(A)結合蛋白質。【図2】C型肝炎ウイルスでのIRESによる翻訳開始の間にリボソームがmRNAに集結する機序の単純化モデル。IRESエレメントが存在するため、リボソームがmRNAに集結するための代替手段が提供され、eIF4E−eIF4G間の相互作用は必要なくなる。矢印は、IRESエレメントと開始40S複合体との間の各種の直接的相互作用を示す。【図3】既知のIRESのヌクレオチド配列。【図4】複数結合したGtx 5’UTRのCCGGCGGGUのコピーに基づく合成IRESを含有するシストロン2個のmRNAを表す(Chappel et al.、2000。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97、1536−1541)。【図5】ヌクレオチドプライマー配列およびEcpエレメントのコピー4個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図6】ヌクレオチドプライマー配列およびGAAAエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図7】ヌクレオチドプライマー配列およびGUUUエレメントのコピー16個を含む人工的配列のクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図8】ヌクレオチドプライマー配列およびuuugcuuuuguaguaエレメントのコピー4個(Emp×4)を含む人工的配列のクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図9】ヌクレオチドプライマー配列およびGCU−richエレメントを含む人工的配列のクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図10】ヌクレオチドプライマー配列およびポリ(A)配列を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図11】ヌクレオチドプライマー配列および人工的ポリ(G)配列のクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図12】ヌクレオチドプライマー配列およびAAACエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図13】ヌクレオチドプライマー配列およびAAAUエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図14】ヌクレオチドプライマー配列およびGAACエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図15】ヌクレオチドプライマー配列およびGAAUエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図16】ヌクレオチドプライマー配列およびAAAACエレメントのコピー12個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図17】ヌクレオチドプライマー配列およびAAAAUエレメントのコピー12個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図18】ヌクレオチドプライマー配列およびAAGGエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図19】ヌクレオチドプライマー配列およびAGGGエレメントのコピー16個を含む人工的IRESのクローニング手順を表す。制限酵素切断部位を下線で示す。【図20】シストロン間スペーサーとしての人工的配列を含むH-GFP-GUSによってRRL中で翻訳された蛋白質のオートラジオグラフを表す。矢印は、GUSの位置とRRLの内在性46K蛋白質およびGFPの推定位置を示す。【図21】ヘアピン構造を欠き、グラフの横軸の下に記載したヌクレオチド配列を含む35Sベースのシストロン2個を持つGFP-GUS構築物によってトランスフェクトしたタバコプロトプラスト細胞におけるGUS遺伝子の発現を表すグラフである。各試料のGUS活性値は、ウエスタンブロットからGFPバンドのデンシトメトリーによって測定した同一プロトプラスト試料中のGFP含有量に対して正規化した。平均値および標準誤差の算出のために、最低3回の独立した実験を行った。【図22】T7ベースのH-GFP-GUS転写産物によってトランスフェクトしたHeLa細胞におけるGUS遺伝子の発現を表すグラフである。例に記載の方法でGUSの測定を行い、試料中の蛋白質含有量に対して正規化した。平均値および標準誤差の算出のために、最低3回の独立した実験を行った。 少なくともヌクレオチド25個分の長さのアデニンrichな核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法で、それにより当該核酸配列はリボソーム内部侵入による翻訳を引き起こすことができる(IRESエレメント)。 当該アデニンrich核酸ブロックが少なくともヌクレオチド30個分の長さである、請求項1に記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが少なくともヌクレオチド40個分の長さである、請求項1に記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが少なくともヌクレオチド50個分の長さである、請求項1に記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックがヌクレオチド200個分までの長さである、請求項1から4のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックがヌクレオチド100個分までの長さである、請求項5に記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが40から100 mol−%のアデニンを含有する、請求項1から6のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが少なくとも60 mol−%のアデニンを含有する、請求項1から7のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが少なくとも80 mol−%のアデニンを含有する、請求項1から7のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが少なくとも90 mol−%のアデニンを含有する、請求項1から7のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが100 mol−%のアデニンを含有する、請求項1から7のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが30 mol−%までのグアニンを含有する、請求項1から8のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが20 mol−%までのグアニンを含有する、請求項1から9のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが30 mol−%未満のピリミジンヌクレオチドを含有する、請求項1から7または12もしくは13のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロックが20 mol−%未満のピリミジンヌクレオチドを含有する、請求項14に記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロック内のすべてのピリミジンサブブロックがヌクレオチド最大3個分の長さである、請求項1から10または12から15のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロック内のすべてのピリミジンサブブロックがヌクレオチド最大2個分の長さである、請求項16に記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロック内の2個のアデニン塩基を分離する非アデニン塩基のサブブロックのすべてが最大塩基10個分の長さである、請求項1から10あるいは12から17のうちの1つに記載の方法。 当該アデニンrich核酸ブロック内の2個のアデニン塩基を分離する非アデニン塩基のサブブロックのすべてが最大塩基5個分の長さである、請求項18に記載の方法。 当該核酸配列の翻訳コントロールの下でリポーター遺伝子を望ましい水準で発現させるためにリボソーム内部侵入によって翻訳を引き起こすことのできる当該核酸配列(IRESエレメント)を選択する、請求項1から19のうちの1つに記載の方法。 以下の手順によって当該IRESエレメントのIRES活性を検証する、請求項1から20のうちの1つに記載の方法:当該IRESエレメントをシストロン2個を含む直線状の構築物の上流遺伝子と下流のGUSリポーター遺伝子との間に挿入することにより当該IRESエレメントが下流の当該GUS遺伝子のIRES依存的翻訳のための位置に来るようにし、当該上流遺伝子の前に安定なヘアピン構造を挿入して当該遺伝子のIRES非依存的翻訳を阻害する;ウサギ網状赤血球溶解産物もしくは麦芽抽出物in vitro翻訳アッセイにおいて当該GUS遺伝子のIRES依存的翻訳の測定を行い、上記の上流遺伝子と上記のGUS遺伝子との間に対照IRESエレメントを持つ、あるいは非IRESエレメントを持つ構築物と比較したGUS遺伝子の発現量を定量する;および上記のin vitro翻訳アッセイのうち少なくとも1つにおいてGUSの発現量を引き起こすことのできるIRESエレメントを選択する。 請求項1から21のうちの1つに記載の方法に基づいて作成される、あるいは作成可能なIRESエレメント。 請求項22に記載のIRESエレメントを持つベクター。 請求項23に記載のベクターを構築するための核酸カセット。 請求項1から19のうちの1つの中で定義する基準を適用し、ヌクレオチド配列、特にゲノムデータベースのヌクレオチド配列を検索することによりIRES活性を持つ核酸エレメントを特定するための方法。 読み取り枠の5’非翻訳領域を検索する、請求項25に記載の方法。 請求項25または26の方法を実行し、請求項1から21のうちの1つの中で定義する基準に基づくアルゴリズムから構成されるコンピュータプログラム。 請求項1から21または25から26のうちの1つに基づき作成した上流の核酸配列に遺伝子操作により連結した対象ヌクレオチド配列を含有するベクターを当該細胞中に導入することによって、対象ヌクレオチド配列を真核細胞中で発現させるための手順。それによって対象ヌクレオチド配列が当該上流核酸配列によってcap非依存的に翻訳される。 当該対象ヌクレオチド配列がシストロンを2個持つ、あるいは複数個持つmRNAから発現された、請求項28に記載の手順。 当該真核細胞が植物細胞もしくは植物の細胞である、請求項28または29に記載の手順。 当該真核細胞が動物細胞である、請求項28または29に記載の手順。 当該真核細胞が酵母細胞である、請求項28または29に記載の手順。 当該核酸配列の当該アデニンrich核酸ブロックがポリ(A)エレメントである、請求項28から32のうちの1つに記載の手順。 対象ヌクレオチド配列に遺伝子操作により連結した請求項22に定義するIRESエレメントを含有する、トランスジェニックあるいは一時的に修飾した真核細胞。 対象ヌクレオチド配列に遺伝子操作により連結した請求項22に定義するIRESエレメントを含有する、トランスジェニックあるいは一時的に修飾した植物。 少なくともヌクレオチド25個分の長さを持つアデニンrichな核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法を提供する。それによって、当該核酸配列はリボソーム内部侵入により翻訳を引き起こすことが可能である(IRESエレメント)。当該アデニンrich核酸ブロックは、40から100 mol−%のアデニンを含有する。 20031020 A16333 全文 3 少なくともヌクレオチド25個分の長さのアデニン豊富な核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法で、それにより当該核酸配列はリボソーム内部侵入による翻訳を引き起こすことができ(IRESエレメント)、そして、当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも80 mol−%のアデニンを含有する、上記方法。 少なくともヌクレオチド25個分の長さのアデニン豊富な核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法で、それにより当該核酸配列はリボソーム内部侵入による翻訳を引き起こすことができ(IRESエレメント)、そして、当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも40 - 100 mol−%のアデニンを含有し、20 mol-%のグアニンを含有する、上記方法。 少なくともヌクレオチド40個分の長さのアデニン豊富な核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法で、それにより当該核酸配列はリボソーム内部侵入による翻訳を引き起こすことができ(IRESエレメント)、そして、当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも60 mol−%のアデニンを含有する、上記方法。 少なくともヌクレオチド50個分の長さのアデニン豊富な核酸ブロックを持つ核酸配列を作成するための方法で、それにより当該核酸配列はリボソーム内部侵入による翻訳を引き起こすことができ(IRESエレメント)、そして、当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも40 - 100 mol−%のアデニンを含有し、当該アデニン豊富な核酸ブロック内の2個のアデニン塩基を分離する非アデニン塩基のサブブロックのすべてが最大塩基5個分の長さである、上記方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも60 mol−%のアデニンを含有する、請求項2から4のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも80 mol−%のアデニンを含有する、請求項1、3または4に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくともヌクレオチド30個分の長さである、請求項1または2に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくともヌクレオチド40個分の長さである、請求項1または2に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくともヌクレオチド50個分の長さである、請求項1または2に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックがヌクレオチド200個分までの長さである、請求項1から9のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックがヌクレオチド100個分までの長さである、請求項10に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが30 mol−%未満のピリミジンヌクレオチドを含有する、請求項1から11のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが20 mol−%未満のピリミジンヌクレオチドを含有する、請求項1から11のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが少なくとも90 mol−%のアデニンを含有する、請求項1から13のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが100 mol−%のアデニンを含有する、請求項14に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが30 mol−%までのグアニンを含有する、請求項3または4に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロックが20 mol−%までのグアニンを含有する、請求項16に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロック内のすべてのピリミジンサブブロックがヌクレオチド最大3個分の長さである、請求項1から14または16から17のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロック内のすべてのピリミジンサブブロックがヌクレオチド最大2個分の長さである、請求項18に記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロック内の2個のアデニン塩基を分離する非アデニン塩基のサブブロックのすべてが最大塩基10個分の長さである、請求項1から3のうちの1つに記載の方法。 当該アデニン豊富な核酸ブロック内の2個のアデニン塩基を分離する非アデニン塩基のサブブロックのすべてが最大塩基5個分の長さである、請求項20に記載の方法。 当該核酸配列の翻訳コントロールの下でリポーター遺伝子を望ましい水準で発現させるためにリボソーム内部侵入によって翻訳を引き起こすことのできる当該核酸配列(IRESエレメント)を選択する、請求項1から21のうちの1つに記載の方法。 以下の手順によって当該IRESエレメントのIRES活性を検証する、請求項1から22のうちの1つに記載の方法:当該IRESエレメントをシストロン2個を含む直線状の構築物の上流遺伝子と下流のGUSリポーター遺伝子との間に挿入することにより当該IRESエレメントが下流の当該GUS遺伝子のIRES依存的翻訳のための位置に来るようにし、当該上流遺伝子の前に安定なヘアピン構造を挿入して当該遺伝子のIRES非依存的翻訳を阻害する;ウサギ網状赤血球溶解産物もしくは麦芽抽出物in vitro翻訳アッセイにおいて当該GUS遺伝子のIRES依存的翻訳の測定を行い、上記の上流遺伝子と上記のGUS遺伝子との間に対照IRESエレメントを持つ、あるいは非IRESエレメントを持つ構築物と比較したGUS遺伝子の発現量を定量する;および上記のin vitro翻訳アッセイのうち少なくとも1つにおいてGUSの発現量を引き起こすことのできるIRESエレメントを選択する。 請求項1から23のうちの1つに記載の方法に基づいて作成される、あるいは作成可能なIRESエレメント。 請求項24に記載のIRESエレメントを持つベクター。 請求項25に記載のベクターを構築するための核酸カセット。 請求項1から23のうちの1つの中で定義する基準を適用し、ヌクレオチド配列、特にゲノムデータベースのヌクレオチド配列を検索することによりIRES活性を持つ核酸エレメントを特定するための方法。 読み取り枠の5’非翻訳領域を検索する、請求項27に記載の方法。 請求項27または28の方法を実行し、請求項1から21のうちの1つの中で定義する基準に基づくアルゴリズムから構成されるコンピュータプログラム。 請求項29のコンピュータプログラムを有するコンピューター。 請求項1から23または27から28のうちの1つに基づき作成した上流の核酸配列に遺伝子操作により連結した対象ヌクレオチド配列を含有するベクターを当該細胞中に導入することによって、対象ヌクレオチド配列を真核細胞中で発現させるための方法であって、それによって対象ヌクレオチド配列が当該上流核酸配列によってcap非依存的に翻訳される、上記方法。 当該対象ヌクレオチド配列がシストロンを2個持つ、あるいは複数個持つmRNAから発現された、請求項31に記載の方法。 当該真核細胞が植物細胞もしくは植物の細胞である、請求項31または32に記載の方法。 当該真核細胞が動物細胞である、請求項31または32に記載の方法。 当該真核細胞が酵母細胞である、請求項31または32に記載の方法。 当該核酸配列の当該アデニン豊富な核酸ブロックがポリ(A)エレメントである、請求項31または32に記載の方法。 対象ヌクレオチド配列に遺伝子操作により連結した請求項24に定義するIRESエレメントを含有する、トランスジェニックあるいは一時的に修飾した真核細胞。 対象ヌクレオチド配列に遺伝子操作により連結した請求項24に定義するIRESエレメントを含有する、トランスジェニックあるいは一時的に修飾した植物。