生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ヘパリン類似物質で治療され得る疾患の治療および診断のためのヘパリン類似物質誘導体の使用
出願番号:2003523499
年次:2005
IPC分類:7,C08B37/10,A61K31/727,A61K49/00,A61P7/02,A61P9/00,A61P9/10,A61P11/06,A61P17/02,A61P19/00,A61P19/02,A61P19/04,A61P19/08,A61P21/00,A61P25/00,A61P29/00,A61P35/00,A61P35/04,A61P37/02,A61P43/00


特許情報キャッシュ

ヴォルフガング・ウルマー ハンス−パウル・ユーレチュケ クリストファー・ケルン JP 2005501931 公表特許公報(A) 20050120 2003523499 20020809 ヘパリン類似物質で治療され得る疾患の治療および診断のためのヘパリン類似物質誘導体の使用 アベンティス・ファーマ・ドイチユラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 397056695 高木 千嘉 100091731 結田 純次 100127926 三輪 昭次 100105290 ヴォルフガング・ウルマー ハンス−パウル・ユーレチュケ クリストファー・ケルン DE 101 41 106.5 20010822 7 C08B37/10 A61K31/727 A61K49/00 A61P7/02 A61P9/00 A61P9/10 A61P11/06 A61P17/02 A61P19/00 A61P19/02 A61P19/04 A61P19/08 A61P21/00 A61P25/00 A61P29/00 A61P35/00 A61P35/04 A61P37/02 A61P43/00 JP C08B37/10 A61K31/727 A61K49/00 Z A61P7/02 A61P9/00 A61P9/10 A61P11/06 A61P17/02 A61P19/00 A61P19/02 A61P19/04 A61P19/08 A61P21/00 A61P25/00 A61P29/00 A61P35/00 A61P35/04 A61P37/02 A61P43/00 111 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2002008909 20020809 WO2003018640 20030306 53 20040220 4C085 4C086 4C090 4C085HH13 4C085KA08 4C085KB07 4C085KB11 4C085KB12 4C085KB78 4C085LL07 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086EA27 4C086MA01 4C086NA14 4C086ZA02 4C086ZA36 4C086ZA39 4C086ZA40 4C086ZA54 4C086ZA59 4C086ZA89 4C086ZA94 4C086ZA96 4C086ZB07 4C086ZB11 4C086ZB26 4C086ZC20 4C090AA02 4C090AA09 4C090BA68 4C090BB02 4C090BB36 4C090BB55 4C090BB95 4C090BD41 4C090DA23 4C090DA25 【技術分野】【0001】本発明はヘパリン類似物質誘導体(heparinoid derivatives)、その製造方法、治療におけるおよび診断上の目的の両方でのその使用、使用する用量の局在化ならびに疾患例えば血栓症および骨関節症の治療の結果の監視のための該誘導体の使用に関する。【背景技術】【0002】ヘパリンは動物性器官から分離できる高度にスルホン化されたグリコサミノグリカンであり、肥満細胞において合成され、そしてD−グルコサミンおよびD−グルクロン酸から成り、約17000ダルトンの分子量を有する。【0003】【化1】【0004】これは、二糖類が作られるD−グルコサミンとD−グルクロン酸とのα−1,4−グリコシド結合を含み、そしてこのヘパリンサブユニットがさらにα−1,4−グリコシド結合により互いに結合してヘパリンが形成される。スルホ基の位置は変動し得るし、四糖類ユニットは4〜5の硫酸残基を含有する。ヘパラン硫酸(ヘパリチン硫酸)はより少数のO−およびN−結合スルホ基を含有するが、N−アセチル基もまた含有する。ヘパリンはアニオン性高分子電解質と考えることができる。ヘパリンはタンパク質と結合して特に肝臓(ギリシア語:hepar)に存在し、そして抗凝血物質として体内を循環する血液の凝固を阻止する。ヘパラン硫酸は細胞表面上および多くの組織の細胞外基質においてプロテオグリカン(パールカン)の構成成分として見出されている。ヘパリンはアンチトロンビンIIIのトロンビンに対する阻害作用を強化し、フィブリノーゲンのフィブリンへの変換におけるトロンビンによる触媒作用、および種々の他の凝固因子における触媒作用を阻害する;例えば、プロトロンビンのトロンビンへの変換も阻害し、そしてリポタンパク質リパーゼによるリポタンパク質の分解を活性化する。【0005】ヘパリン類似物質は、ヘパリン様作用を有するあらゆる物質の集合名である。これらはペントサンポリサルフェート、キシランサルフェート、硫酸デキストランまたはキチンサルフェート、イズロン/ウロン酸および/またはグルコサミンの二量体、三量体またはオリゴマーおよび重合体、ランダムまたは規則的配列のペントースおよび/またはヘキソース単位および/またはマンニトールから成るオリゴ糖類または多糖類、ヘパランサルフェート、ヘパリチンサルフェート、ケラタンサルフェートまたはデルマタンサルフェート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、BまたはC、非分画ヘパリンおよび分割ヘパリン、エノキサパリン、ナドロパリン(フラキシパリン)、ダルテパリン(フラグミン)、ベミパリン、チンザパリン、アルデパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、超低分子量ヘパリン(ULMWH)またはそれらに類似する合成多糖類およびその塩、ならびに前述の化合物の連結されたおよび架橋された分子鎖のもの(二量体、三量体またはオリゴマー)、ならびにそれらに結合するペプチド、タンパク質、脂質または核酸を有するヘパリン類似物質を含む。【0006】エノキサパリンは低分子量ヘパリン(LMWH)のクラスに属する活性成分で、アベンティス・ファーマ(Aventis Pharma)の特許(米国5,389,618)により国際的に保護されている。抗血栓性治療のためのエノキサパリンの使用は当業者において確立されている。エノキサパリン−Naは、ブタ腸粘膜からのヘパリンのベンジルエステル誘導体のアルカリ解重合により得られる低分子量ヘパリンのナトリウム塩である。4−エノピラノースウロネート構造の大半量は、その分子鎖の非還元末端にある。【0007】平均分子量は約4500ダルトンである。2000ダルトン未満の分子の含有率は12%と20%との間である。2000と8000ダルトンとの間の大きさを有する分子鎖の質量含有率は、低分子量ヘパリンに関するヨーロッパ薬局方検定標準の規格に基づいて68%と88%との間である。硫酸化の率は、二糖類単位当たり平均で2残基である。【0008】エノキサパリンの多糖の分子鎖は、ヘパリンにおけるのと同様に、グリコシド結合により結合する硫酸化されたグルコサミンおよびウロン酸の交互の単位体から成る。該構造は例えば、解重合の過程で分子鎖の非還元末端に二重結合が生じる点でヘパリンとは異なる。エノキサパリンは、末端の環における二重結合を示す紫外分光法および13C核磁気共鳴スペクトルによって、ならびに高速サイズ排除クロマトグラフィーによってヘパリンと識別できる。【0009】骨関節症の病態的状態において、関節軟骨の主要なプロテオグリカンであるアグリカンの分解は、ごく初期のかつ決定的な症状である。軟骨アグリカンの病態的減少は、球間ドメインにおけるタンパク質分解性開裂に起因する。関節損傷、骨関節症または炎症性関節疾患に罹患した患者の関節滑液から分離したプロテオグリカン代謝生成物のアミノ酸配列解析は、タンパク質分解性開裂がヒトアグリカンの球間ドメインにおいてアミノ酸Glu373とAla374との間で選択的に生じることを示している(Lohmander 他., Arthritis Rheum. 36, (1993), 1214-1222)。この開裂をつかさどるタンパク質分解作用は「アグリカネーゼ」と呼ばれ、そしてメタロプロテイナーゼ(MP)の上科に帰属させ得る。【0010】亜鉛はメタロプロテイナーゼの触媒的活性部位において必須である。MPはコラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、エラスチンまたはゼラチンを生理的条件下で開裂し、それゆえに骨および結合組織において重要な役割を果たす。多数の異なるMP阻害剤が既知である(J.S.Skotnicki 他., Ann. N.Y.Acad. Sci. 878, 61-72 [1999]; EP 0 606 046;WO94/28889)。これらの阻害剤の一部はその特異性に関してあまり特徴付けられていないし、他のものは特にマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)に対してある程度選択的に作用する。【0011】アグリカネーゼは別の特異性によりマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)とは異なり、アグリカンに生じる特定の開裂部位に対して作用し、そしてMMPsによって促進される。該開裂は、適当な抗体の使用により検出できる特有のフラグメントを結果として作る。【0012】以前の研究で、エノキサパリンは関節滑液のアグリカネーゼ活性を用量依存的に阻害し、そしてその結果、関節内投与により骨関節症の治療に使用できることが見出された(DE 100 63 006.5)。しかし、ヘパリン類似物質(多糖類)に固有の不利な点は、分析に利用できる発色団を化学構造中に含有しないことである。この結果、従来の分析法例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による、治療的に有効な濃度の分析的監視は相当な問題に遭遇する。【0013】適切な感度を有するヘパリン類似物質による抗血栓性治療を監視することは、その生物学的作用、ヘパリン類似物質が触媒する、アンチトロンビンIIIによる第Xa因子の阻害を通じてのみ通常可能である。ヘパリン類似物質を用いた治療のこの不利な点は、ヘパリン類似物質の抗凝血作用以外の作用に関心が集中する場合に、または局所に限定した治療の症例において、例えば骨関節症の治療における関節内注射または脳卒中、狭心症、塞栓症のための使用または腫瘍療法のような作用部位のヘパリン類似物質の正確な濃度、滞留時間および分布行動を知らなくてはならない場合に、とりわけ不満足かつ不都合である。【0014】一方で、骨関節症のあらゆる既知の治療に関する根本的な問題は、患部の軟骨および骨組織において治療の結果を診断するのが困難なことである。本発明のヘパリン類似物質誘導体は前述の不利な点を除去できることが現在見出されている。【0015】本発明のヘパリン類似物質誘導体は以下の特徴を有する。・アグリカネーゼ、hADAMTS1およびゼラチナーゼA(MMP−2)の作用に対して強力な阻害剤として作用し、そしてその結果、骨関節症の治療に適する、・抗凝血性医療用物質としてヘパリンまたはエノキサパリンと同等の抗血栓性作用を示す、・しかし同時にヘパリン類似物質とは対照的に、作用部位において磁気共鳴画像法(MRI)によって直接的に観察可能であり、そのため投与後の局所濃度を監視でき、そして患者における該薬剤の分布行動を追跡できる。本発明のヘパリン類似物質誘導体はこの理由のために、脳卒中、狭心症、塞栓症の症例および腫瘍療法における使用にも特に適する。それらはまた、治療中の軟骨浸透挙動から患部結合組織の状態についての診断上の情報を得る点で骨関節症の症例に非常に適する。【発明の開示】【0016】したがって本発明は、ヘパリン類似物質に共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、RuまたはランタニドLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの系列からの常磁性金属陽イオンを含有するヘパリン類似物質誘導体に関する。好ましいヘパリン類似物質は例えばエノキサパリンまたはヘパリンである。【0017】キレート剤としてジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)、1,2−ビス(2−アミノエトキシエタン)−N,N,N′,N′−四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸(EDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸(DO3A)、ニトリロ三酢酸(NTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、4−カルボキシ−5,8,11−トリス(カルボキシメチル)−1−フェニル−2−オキサ−5,8,11−トリアザトリデカン−13−オイック酸(BOPTA)またはN,N′−ビス(ピリドキサル−5−リン酸)エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(DPDP)を含有するヘパリン類似物質誘導体が好ましいものとして挙げられる。該キレート剤の酸無水物は化学修飾に使用するのに好ましく用いられ、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)は特に好ましい。【0018】特に好ましい常磁性金属陽イオンはGd3+で、塩化ガドリニウム(III)六水和物または酢酸ガドリニウム(III)水和物というその塩の形態で使用される。【0019】本発明はさらに、遷移元素またはランタニドの含有量が、ヘパリン類似物質のモル当たり1モルから該ヘパリン類似物質の誘導体化に可能な最大量までの範囲、好ましくはヘパリン類似物質のモル当たり1モル〜20モルの範囲であり得るヘパリン類似物質誘導体に関する。【0020】本発明はまた、本発明のヘパリン類似物質誘導体を製造する方法であって、該ヘパリン類似物質を活性キレート剤と反応させてヘパリン類似物質キレート化合物を得て、そして次に遷移元素またはランタニドを付加することを含む方法に関する。【0021】本発明のヘパリン類似物質誘導体の製造方法は例えば、最初にヘパリン類似物質が緩衝液に溶解される。適当な緩衝液はpH6.0〜10.0、好ましくはpH8.8を有する。緩衝液の濃度は0.01〜0.5モル濃度、好ましくは0.1モル濃度である。適当な緩衝液の例は炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液またはスルホン酸をベースにした生物学的緩衝液、好ましくはHEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸))である。次いで活性キレート剤例えばDTPA無水物を添加する。活性キレート剤は固体の形態で、または溶液として添加できる。反応は8℃〜37℃、好ましくは24℃の温度で実施する。pHは好ましくは反応中一定に維持される。【0022】活性キレート剤対ヘパリン類似物質の割合は、分子量に基づいて1:1〜50:1、好ましくは1.5:1〜15:1である。この後、好ましくはヘパリン類似物質キレート化合物のさらなる精製なしに、遷移元素またはランタニドを添加する。錯体化は0℃〜37℃、好ましくは4℃の温度で実施する。pHは弱酸性値に変化し、そしてその後この値で一定に止めるのが好ましい。該pHは6.8〜5、好ましくは6.5である。【0023】ヘパリン類似物質キレート化合物対遷移元素またはランタニドの割合は、分子量に基づいて1:1〜1:50、好ましくは1:1.5〜1:15である。生成した本発明のヘパリン類似物質誘導体は、意図する使用に応じてさらに精製できる。例えば、塩を透析またはゲル濾過により除去できる。生じた生成物は次いで凍結乾燥され得る。【0024】エノキサパリンおよびエノキサパリンの生理学的に許容される塩は既知であり、そして例えば米国5,389,618に記載されているように製造できる。それらは、ヘパリンを形成する多糖類の基本構造を有する硫酸化多糖類の混合物であり、ヘパリンの平均分子量より低い約4500ダルトンの平均分子量を有し、2000ダルトン未満の分子量の分子鎖を9%〜20%そして8000ダルトンを超える分子量の分子鎖を5%〜20%のみ含有し、さらにはそれらにおける数平均分子量に対する重量平均分子量の比率が1.3〜1.6であることを特徴とする。【0025】本発明はまた、薬学的に適するそして生理学的に許容される担体、添加剤および/または他の有効成分および賦形剤と共に、少なくとも1つのヘパリン類似物質誘導体および/またはヘパリン類似物質誘導体の生理学的に許容される塩の有効量を有する薬剤に関する。【0026】生理学的に許容される塩は、塩の形成が可能なヘパリン類似物質誘導体から、本質的に既知の方法で製造される。このカルボン酸は安定なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を形成し、あるいは妥当な場合には塩基性試薬例えば水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコラートおよびアンモニアまたは有機塩基例えばトリメチルアミンもしくはトリエチルアミン、エタノールアミンもしくはトリエタノールアミンもしくは他の塩基性アミノ酸例えばリシン、オルニチンもしくはアルギニンで置換されたアンモニウム塩を形成する。ヘパリン類似物質誘導体が塩基性基を有する場合には、強酸を用いて酸付加塩を生成することも可能である。この目的に適当なのは無機酸および有機酸の両方であって、例えば塩酸、臭化水素酸または硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸またはトリフルオロ酢酸である。【0027】本発明はまた、薬剤を製造する方法であって、薬学的に適するそして生理学的に許容される担体および、妥当な場合には他の適当な有効成分、添加剤または賦形剤を用いて、本発明のヘパリン類似物質誘導体から適当な剤形を調製することを含む方法に関する。頻繁に使用されそして名称を挙げ得る賦形剤には乳糖、マンニトールおよび他の糖、炭酸マグネシウム、ラクトアルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロースおよびその誘導体、動物油および植物油例えば魚肝油、ヒマワリ油、ラッカセイ油またはゴマ油、ポリエチレングリコールならびに溶媒例えば滅菌水、ジメチルスルホキシド(DMSO)および一価または多価のアルコール例えばグリセリンがある。【0028】その薬学的特性のために本発明のヘパリン類似物質誘導体は、タンパク質分解酵素例えばメタロプロテイナーゼの異化作用の増大が決定的な役割を果たすという経過のあらゆる疾患の予防および治療に適する。これは例えば、変形性関節症、例えば骨関節症、脊椎症、関節外傷後あるいは半月板もしくは膝蓋骨の損傷または靱帯切断に続く関節の持続的固定化後の軟骨融解における、また結合組織の疾患例えば膠原病、歯周病、創傷治癒の障害および運動系の慢性疾患例えば炎症、免疫学または代謝の関連する急性および慢性関節炎、関節症、筋肉痛ならびに骨組織代謝の障害における症例である。【0029】本発明のヘパリン類似物質誘導体はさらに抗血栓剤として有利に使用できる。それらは危険性のある状態における静脈血栓形成を予防するために特に使用できる。これはまた、危険性が慢性である状態にもあてはまる。本発明のヘパリン類似物質誘導体は一定用量を用いて、整形外科における血栓の症状の危険性を減らすことが特に可能である。【0030】本発明のヘパリン類似物質誘導体の有利な治療的使用は動脈血栓症状の予防に基づくものであって、特に、不安定狭心症または再発性狭心症に関連する心筋梗塞の症状におけるものである。本発明のヘパリン類似物質誘導体のさらに興味深い使用は、手術後の外科患者における静脈血栓形成を予防するためにそれらを使用する可能性に基づくものである。この使用は、手術中の出血の危険を回避できるので格別に有利である。本発明のヘパリン類似物質誘導体を血管造影後ならびに狭窄および再狭窄の治療に使用することは同様に有利である。【0031】本発明のヘパリン類似物質誘導体のさらに可能な適用は、腫瘍学における腫瘍および癌転移の治療(抗増殖性作用)、炎症性疾患の治療(抗炎症性作用)、中枢神経系(CNS)の疾患および移植における有利な作用に関する。加えて、心筋および脳の梗塞に関連する虚血(梗塞の大きさの縮小)、喘息(トリプターゼに対する作用)または血管形成(FGF媒介性細胞増殖を促進する作用)に投与が可能である。【0032】本発明のヘパリン類似物質誘導体は一般的に非経口的に投与する。それは皮下、関節内、腹腔内または静脈内注射により実施できる。直腸的、経口的、吸入的または経皮的投与がさらに可能である。骨関節症には関節内注射が好ましい。【0033】該医薬製剤は投薬単位で製造しそして投与するのが好ましく、各単位は有効成分として本発明のヘパリン類似物質誘導体の特定の用量を含有する。この用量はアンプルの形態の注射液剤では約0.5μg〜約200mg、全身投与では好ましくは約10mg〜80mg、そして局所投与では好ましくは1μg〜10mgであり得る。【0034】本発明はまた、経過にメタロプロテイナーゼの活性上昇を伴う疾患の進行の観察および診断のための、本発明のヘパリン類似物質誘導体の使用に関する。本発明はまた、診断検査方式を作成するための本発明のヘパリン類似物質誘導体の使用に関する。本発明はさらに、治療の結果および疾患の機能的特徴を観察するための診断検査方式の使用に関する。【実施例】【0035】〔実施例1〕エノキサパリンの製造1.エステル化塩化メチレン75ml中のベンゼトニウムヘパリネート15gの溶液に塩化ベンジル15mlを添加した。その溶液を35℃の温度に加熱し、それを25時間保持した。次いで、メタノール中の10%強度の酢酸ナトリウム溶液90mlを添加し、続いて濾過し、メタノールで洗浄しそして乾燥した。これによりナトリウム塩の形態でヘパリンベンジルエステル6.5gが得られ、そして前述のとおりに特定されるそのエステル化の程度は13.3%であった。2.解重合前述で得られたナトリウム塩の形態のヘパリンベンジルエステル10gを水250mlに溶解した。この溶液を62℃に加熱し、そして水酸化ナトリウム0.9gの溶液を添加した。温度を62℃で1時間30分保持した。次いで反応混合物を20℃に冷却し、希塩酸を添加して中和した。次いで、反応薬剤の濃度を塩化ナトリウム中で10%に調節した。生成物を最終的にメタノール750ml中に沈殿させ、濾過した後乾燥した。これにより、以下の構造的特徴を有するある種のヘパリンが生じた。平均分子量約4500ダルトン分子分布:2000ダルトン未満の分子量の分子鎖20%8000ダルトンを超える分子量の分子鎖5.5%分散:d=1.39【0036】〔実施例2〕エノキサパリン誘導体(EN−15)の製造0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液5mlにエノキサパリン(実施例1に記載したとおりに生成した固体)100mgを溶解した。24℃で攪拌しながら、投入したエノキサパリンの量に対して15倍のモル過剰の試薬に相当する、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)119mgおよびジメチルスルホキシド0.34mlから生成した調製懸濁液を滴下した。その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、同様に現時点のエノキサパリンに対して15倍のモル過剰に相当する固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物123.8mgを混合物に添加した。1N塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。反応混合物を4℃で24時間さらに攪拌した。修飾エノキサパリン分画を脱塩し、そしてセファデックス(Sephadex)G−25(R)上のゲル濾過により未反応試薬から分離した。この目的のために、商業的に入手可能なファルマシア(Pharmacia)PD−10(R)充填済みカラムを製造者の記載にしたがって使用することもできる。該修飾エノキサパリンを凍結乾燥した。修飾エノキサパリン91mgを得た。第Xa因子阻害試験は、本来のエノキサパリンの阻害力に相当する阻害力を示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、エノキサパリンのモル当たりガドリニウム2モルの平均含有量が明らかになった。【0037】〔実施例3〕エノキサパリン誘導体(EN−15A)の製造エノキサパリン(固体)2gを0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液100mlに溶解した。24℃で攪拌しながら、投入したエノキサパリンの量に対して15倍のモル過剰の試薬に相当する、ビス(2−アミノエチル)アミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)2.38gおよびジメチルスルホキシド6.8mlから生成した調製懸濁液を滴下した。その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、同様に存在するエノキサパリンに対して15倍のモル過剰に相当する固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物2.48gを混合物に装入し攪拌した。1モル濃度の塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。反応混合物を4℃で24時間さらに攪拌した。修飾エノキサパリン分画を脱塩し、そして商業的に入手可能な透析チューブ(分子量分離限度1000)における、合計4容量毎に対して水5Lの24時間の透析により未反応試薬を除去した。この間、最初に投入した水を1時間後、3時間後および16時間後に新しい水と交換した。次いで、管の内容物を凍結乾燥した。修飾エノキサパリン1.77gを得た。生成物を、発熱性物質を含まない水を用いてセファデックス(Sephadex)G−25(R)上のゲル濾過により好ましくは再度精製した。第Xa因子阻害試験は、本来のエノキサパリンの阻害力に相当する阻害力を示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、エノキサパリンのモル当たりガドリニウム5モルの含有量が明らかになった。【0038】〔実施例3a〕エノキサパリン誘導体(EN−15B)の製造0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液100mlにエノキサパリン(固体)2gを溶解した。24℃で攪拌しながら、投入したエノキサパリンの量に対して15倍のモル過剰の試薬に相当する、ビス(2−アミノエチル)アミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)2.38gおよびジメチルスルホキシド6.8mlから生成した調製懸濁液を滴下した。その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、同様に存在するエノキサパリンに対して15倍のモル過剰に相当する固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物2.48gを混合物に装入し攪拌した。1N塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。反応混合物を4℃で24時間さらに攪拌した。この段階の後、エタノールアミン0.4mlを添加し、そしてその混合物を室温でさらに30分間攪拌した。最終的に、塩酸を添加してpHを7.0に調節した後、4倍の容量のメタノールで希釈することにより反応混合物を沈殿させた。沈殿物を吸引漏斗上に濾別し、そして純水30ml中に高濃度で再度溶解した。【0039】修飾エノキサパリンを脱塩し、そして商業的に入手可能な透析チューブ(分子量分離限度1000)における、合計4容量毎に対して水0.5Lの24時間の透析により未反応試薬を除去した。この間、最初に投入した水を1時間後、3時間後および16時間後に新しい水と交換した。次いで、管の内容物を凍結乾燥した。比較的少ない容量の脱塩では、商業的に入手可能なゲル濾過カラム(例えばPharmacia HiPrep(R) desalting)を用いて時間を短縮することが可能である。次いで、脱塩した分画を同じ方法で凍結乾燥する。修飾エノキサパリン1.86gを得た。第Xa因子阻害試験は、本来のエノキサパリンに比較して阻害力が低下していないことを示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、エノキサパリンのモル当たりガドリニウム2.7モルの含有量が明らかになった。【0040】〔実施例4〕3倍、8倍および50倍過剰のDTPA無水物ならびに塩化ガドリニウム(III)六水和物を用いたエノキサパリン誘導体もまた、実施例2におけるのと同様に製造された。この化合物を以下においては略してEN−3、EN−8およびEN−50と記載する。50倍過剰のDTPA無水物と反応させたが、続いてガドリニウムイオンを加えられなかった生成物を、実施例2におけるのと同様に製造した。以下においてEN−50Zと記載するこの生成物は、増加した陰イオン性電荷およびそれに応じて変化した薬理学的特性を有するエノキサパリン誘導体に該当するが、他の例えばさらに反応性に富んだ陽イオンと一緒にしてキレート化前駆体として単純な方法で使用することもできるので、特に興味深い誘導体でもある。【0041】〔実施例5〕ヘパリン誘導体(HE−15B)の製造商業的に入手可能なヘパリンナトリウム(固体;シグマ(Sigma)H4784)2gを、0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液100mlに溶解した。24℃で攪拌しながら、ビス(2−アミノエチル)アミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)1.19gおよびジメチルスルホキシド3.4mlから生成した調製懸濁液を滴下した。その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物1.24gを混合物に装入して攪拌した。1N塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。この段階の後、エタノールアミン0.2mlを添加し、そしてその混合物を室温でさらに30分間攪拌した。最終的に、塩酸を添加してpHを7.0に調節した後、4倍の容量のメタノールで希釈することにより反応混合物を沈殿させた。沈殿物を吸引漏斗上に濾別し、そして純水30ml中に高濃度で再度溶解した。【0042】修飾ヘパリンを脱塩し、そして商業的に入手可能な透析チューブ(分子量分離限度1000)における、合計4容量毎に水0.5Lの24時間の透析により未反応試薬を除去した。この間、最初に投入した水を1時間後、3時間後および16時間後に新しい水と交換した。次いで、管の内容物を凍結乾燥した。比較的少ない容量の脱塩では、商業的に入手可能なゲル濾過カラム(例えばPharmacia HiPrep(R) desalting)を用いて時間を短縮することが可能である。次いで、脱塩した分画を同じ方法で凍結乾燥した。修飾ヘパリン1.65gを得た。第Xa因子阻害試験は、本来のヘパリンに比較して阻害力が低下していないことを示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、ヘパリンのモル当たりガドリニウム1.9モルの含有量が明らかになった。【0043】〔実施例6〕第Xa因子に対するヘパリン類似物質依存性阻害を調査するための試験方式試験の原理アンチトロンビンIIIおよび過剰量の第Xa因子を、ヘパリン類似物質を含有する試験試料に添加すると、試験試料中のヘパリン類似物質がアンチトロンビンIIIと結合して錯体になり、第Xa因子を不活性化する。第Xa因子の残存活性は、合成色素生成基質を用いて測定できる。この場合には、パラ−ニトロアニリンが酵素による開裂により該基質から遊離し、そして単位時間当たりの405nmの波長における吸光度の変化の測定を通じて測光により検出できる。遊離したパラ−ニトロアニリンの量は、試験試料中のヘパリン類似物質の濃度に逆比例する(Teien M.L.他, Thromb. Res. 8(3), 413-6 [1976] )。調査する薬剤のヘパリン類似物質の漸増的濃度によって、一連の検量線が作成される(濃度に対する相関関係としての、単位時間当たりの吸光度の変化)。ヘパリン類似物質の濃度を、単位時間当たりの試験試料の吸光度の変化から比較により見出すことができる。【0044】試験方法検量線は、0.5μg/ml〜3μg/mlの範囲のヘパリン類似物質の濃度を用いて作成するのが好ましい。この濃度の一連の試料を、0.15M NaCl、0.007M EDTA、0.1%ツイーン(Tween)80およびヒトアンチトロンビンIII0.12IUを含有するpH8.4の0.046M トリス(Tris)緩衝液を用いて1:10に希釈する。希釈した試料の50μlの部分に、ウシ第Xa因子(13.6U/ml)50μlを加えて37℃で80秒間インキュベートする。次いで、1.1mM色素生成基質S−2765 50μlを添加する。毎分の405nmの波長における吸光度の変化を光度計で測定する。適当に事前に希釈した試験試料の50μlの部分を、同じ様式にしたがって処理する。表1はその結果を示す。【0045】【表1】【0046】〔実施例7〕アグリカネーゼ試験方式該試験は96穴マイクロタイタープレート仕様で実施する。標識エノキサパリンの一連の希釈溶液は、調製用純水で調製する。温浸:該試験条件下で405nmにおいて1.0〜1.4の吸光度を生じる、関節滑液またはアグリカネーゼ活性の事前に特定した量を、標識エノキサパリンの各希釈溶液3μlと共に各ウェル中で混合し、ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)を用いて最終容量300μlに調製して、そしてCO2細胞培養インキュベーター中37℃で1時間インキュベートする。次いで、Agg1mut基質(Bartnik E. 他., EP 785274 (1997)に開示のとおり;DMEM中の基質)1μg/μlの溶液5μlを各ウェルに添加した後、その混合物をCO2インキュベーター中37℃で4時間消化する。【0047】試験プレートの調製最初の工程では、商業的に入手可能な抗マウス免疫グロブリンG(ヤギ由来;pH7.4の生理的リン酸緩衝液[PBS緩衝液]中5μg/ml)の溶液100μlを用いて、室温で1時間各ウェルをコートする。0.1%ツイーン20を添加したPBS緩衝液(以下において洗浄緩衝液と呼ぶ)で該プレートを洗浄した後、0.05%ツイーン20を添加したPBS緩衝液中の5%ウシ血清アルブミンの溶液100μlで各ウェルを室温で1時間ブロックする。洗浄緩衝液で再度洗浄した後、0.05%ツイーン20および0.5%ウシ血清アルブミンを添加したPBS緩衝液中のBC−3抗体の1:1000の希釈溶液100μlを用いて、各ウェルを室温で1時間温置する;この抗体はアグリカネーゼ特有の開裂フラグメントを認識する(Hughes C.E.他, Biochem. J. (1995), 305 (3), 799-804)。【0048】試験方法該試験プレートを洗浄緩衝液で洗浄した後、前述の消化からの完全混合物をウェル毎にウェルから試験プレートへ移し、そして室温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄緩衝液で洗浄した後、第二抗体(ヤギ抗ヒトIgG、ペルオキシダーゼ標識、0.5%BSA/PBS緩衝液/0.05%ツイーン20中1:1000)100μlを添加し、そしてこれに対するインキュベートを室温で1時間再度実施する。洗浄緩衝液で再度洗浄した後、ABTS基質溶液(60mMリン酸水素二ナトリウムを添加した40mMクエン酸ナトリウム中の2,2′−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリンスルホン酸2mg/mlで、酢酸でpH4.4に調節したもの;ml当たり35%過酸化水素0.25mlを測定直前に添加)100μlの添加により着色が生じる。振とう様式で、5秒間隔の自動読み取りで対照フィルター(620nm)を対照に405nmでの測定を実施する。1.0〜1.4の範囲における最大吸光度(405nm)に達したら、直ちに試験を中止する。【0049】【表2】【0050】〔実施例8〕磁気共鳴画像法実験実施例3および4に記載した本発明のヘパリン類似物質誘導体EN−3、EN−8、EN−15およびEN−50を、0.01、0.1、1.0および10.0mMの濃度で蒸留水に溶解した後、0.5ミリリットルの容量のエッペンドルフ試験管に装入する。各試験管を、1.5ミリリットルの容量を有しそして蒸留水を満たした、より大きなエッペンドルフ試験管に挿入する。後者の試験管をプラスチック製の試験管立てに配列した後、ブルカー・メディカル有限責任会社(Bruker Medical GmbH, Ettlingen)製の磁気共鳴画像システムにおいて7テスラの磁場強度で画像化する。溶液中の水の水素イオンの緩和時間に対する本発明のヘパリン類似物質誘導体の作用を記載するために、ブルカー・メディカル有限責任会社により開発されたソフトウェア「パラヴィジョン(Paravision)(R)」を用いて、対照的な特徴が異なるMR画像を測定する。すべての試験管を同時に画像で見るために、層厚2mmの冠状の(=水平な)スライス面を選択する。【0051】T1強調スピンエコー画像(エコー時間TE=13ミリ秒、緩和時間TR=100ミリ秒、1エコー、NA=2、マトリックス2562)において、10mMの濃度におけるすべての誘導体に関して試験管はシグナルの減少を示し、そしてEN−50およびEN−15に関しては、エノキサパリンのモル当たりガドリニウムのより高い濃度による磁場の均一性の局所的障害のために画像の一様な変形が存在する。0.1mMの濃度のEN−50およびEN−15を有する試験管ならびに1.0mMの濃度の誘導体EN−8およびEN−3を有する試験管の周囲の蒸留水のシグナルに関しては、約10のファクターによるシグナルの増大が存在する。残りの試験管におけるシグナルの増大は、本発明のヘパリン類似物質誘導体のより低い濃度およびガドリニウムのより低い相応する濃度にしたがって減少する。各溶液に対するT2緩和時間を、16の個々のエコーを有するスピンエコー実験で測定した(TE=13ミリ秒、TR=3000ミリ秒、16エコー、NA=1、マトリックス2562)。結果を数値で表3に要約する。本発明のヘパリン類似物質誘導体のすべての10mM溶液においてはT2時間が非常に短いために、T2時間を確実に測定することはもはやできない。これらの測定条件下で測定された純粋な蒸留水に対するT2時間(907ミリ秒)に基づいて、60のファクターによる最大の短縮に達する。T2時間の短縮は、本発明のヘパリン類似物質誘導体の濃度および個々の相応するガドリニウムの濃度に比例する。【0052】要約本発明のヘパリン類似物質誘導体は、その濃度に応じてそしてエノキサパリンに対するガドリニウムのモル比に応じて、本発明のヘパリン類似物質誘導体を含有する溶液の水の水素イオンの緩和時間T1、T2およびT2*を短縮するので、T1強調MRI画像においてシグナル強度の増大または部分的なもしくは全体的なシグナルの減少すら存在することをMRI測定は示す。【0053】【表3】【0054】規定のミリモル濃度における、本発明のヘパリン類似物質誘導体の溶液中の水の水素イオンのT2時間(ミリ秒)を測定。該T2時間は、32の個々のエコーを用いたスピンエコー画像の結果を用いて測定する。周囲の蒸留水におけるT2緩和の平均は907ミリ秒である(検出不可*=非常に短いためにT2を確実に測定することはできない)。【0055】〔実施例9〕磁気共鳴画像法実験ブタ(体重約40kg、月齢4カ月)の摘出した膝関節を露出させた。1つの関節丘のみがEN−15Aの溶液(生理食塩水中0.1mM、室温)に浸るように、プラスティック製容器中に関節を固定した。高度の空間分解能(3D画素サイズ約140×180μm、層の厚さ2mm)を有するT1強調スピンエコー画像を、14時間の期間において30分毎に記録した。画像スライスは関節丘および骨幹を通じておよそ矢状(sagittal)であり、そして最高7mmの厚さに達する、軟骨の薄い灰色の層に囲まれた海綿質の灰色から黒色の部分を示す。骨/骨および軟骨/周囲の溶液の界面は明確に明らかである。【0056】EN−15A溶液中に浸漬後数時間で、軟骨の外側の層の外見に変化が存在した。新規な層状構造が形成され、そして軟骨の表面におよそ平行に走行する。すなわち、表面近くに第一の薄い(幅約140μm)過度に色の濃い層、続いてより幅広の(幅約500μm)比較的色の薄い層である。シグナルの減少はこの第二の層において次第に生じるが、EN−15Aの濃度の増加とこの軟骨帯におけるEN−15Aの移動度の著しい低下との両方によって説明することができる。なぜなら両方の影響は、シグナルをもはや測定できないほどのシグナルの急速な減少を誘発し得るからである。後者の層に続いて、過度に色の濃い第三の層があり、この層は第一と同様の幅および明るさを有した。第二に比べて約2〜3倍幅広である、第四の非常に過度に色の濃い層が続いた。さらに第五の層がその次に見られるはずであり、そのシグナル強度は第一または第三の層のシグナル強度におよそ相当するが、第三より幾分幅広であった。軟骨表面からEN−15Aの最も深い面までの距離は約1.6〜1.7mmである。【0057】要約本発明のヘパリン類似物質誘導体は、ブタの摘出した大腿の関節丘の生来の無処置の軟骨へと浸透し、軟骨における水の水素イオンの緩和時間T1、T2およびT2*に対する影響のために、本発明のヘパリン類似物質誘導体はMRシグナル強度に変化をもたらし、水の水素イオンの緩和時間T1、T2およびT2*におけるこの変化は、軟骨内部の本発明のヘパリン類似物質誘導体の移動度の低下によって増大することをMRI測定は示す。 ヘパリン類似物質、このヘパリン類似物質に共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、RuまたはランタニドLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの系列からの常磁性金属陽イオンを含有するヘパリン類似物質の誘導体。 使用するヘパリン類似物質が、ペントサンポリサルフェート、キシランサルフェート、硫酸デキストランまたはキチンサルフェート、イズロン/ウロン酸および/またはグルコサミンの二量体、三量体またはオリゴマーおよび重合体、ランダムまたは規則的配列のペントースおよび/またはヘキソース単位および/またはマンニトールから成るオリゴ糖類または多糖類、ヘパランサルフェート、ヘパリチンサルフェート、ケラタンサルフェートまたはデルマタンサルフェート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、BまたはC、非分画ヘパリンおよび分画ヘパリン例えばエノキサパリン、ナドロパリン、フラキシパリン、ダルテパリン、フラグミン、ベミパリン、チンザパリン、アルデパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリンまたはそれらに類似する合成多糖類およびその塩、または前述の化合物の連結されたおよび架橋された分子鎖のもの例えば二量体、三量体またはオリゴマー、ならびにそれらに結合するペプチド、タンパク質、脂質または核酸を含むヘパリン類似物質の系列からの少なくとも1つのヘパリン類似物質である請求項1記載のヘパリン類似物質誘導体。 ヘパリンまたはエノキサパリンがヘパリン類似物質として使用される、請求項1または2記載のヘパリン類似物質誘導体。 エノキサパリン、該エノキサパリンに共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、RuまたはランタニドLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの系列からの常磁性金属陽イオンを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体。 ヘパリン、該ヘパリンに共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、RuまたはランタニドLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの系列からの常磁性金属陽イオンを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体。 使用される共有結合するキレート剤がジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物、1,2−ビス(2−アミノエトキシエタン)−N,N,N′,N′−四酢酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸、ニトリロ三酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、4−カルボキシ−5,8,11−トリス(カルボキシメチル)−1−フェニル−2−オキサ−5,8,11−トリアザトリデカン−13−オイック酸もしくはN,N′−ビス(ピリドキサル−5−リン酸)−エチレンジアミン−N,N′−二酢酸、またはそれらに類似する錯生成剤であってそして結合する常磁性金属陽イオンを有する錯体の高度の安定性が顕著である錯生成剤である、請求項1〜5のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体。 キレート剤で置換されたヘパリン類似物質に、低度の錯体の解離を伴う強度に常磁性の金属陽イオンが結合する、請求項1〜6のいずれかに記載のヘパリン類似物質の誘導体。 常磁性金属陽イオンがGd3+である請求項7記載のヘパリン類似物質の誘導体。 遷移元素またはランタニドの含有量が、モル当たり1モル〜使用するヘパリン類似物質の誘導体化に可能な最大量、好ましくはエノキサパリンのモル当たり1モル〜20モルである、請求項1〜8のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体。 請求項1〜9のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体を製造する方法であって、該ヘパリン類似物質を活性キレート剤と反応させてヘパリン類似物質キレート化合物を得て、そして続いて遷移元素またはランタニドを付加することを含む方法。 キレート剤の活性型が、分子量に基づいて当初のヘパリン類似物質に対して1:1〜50:1、好ましくは1.5:1〜15:1という過剰に使用される請求項10記載の方法。 キレート剤の活性型が酸無水物例えばジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物である、請求項10または11記載の方法。 Gd3+が塩化ガドリニウム(III)六水和物またはガドリニウム(III)酢酸水和物という塩の形態で使用される、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。 ヘパリン類似物質キレート化合物対添加する遷移元素またはランタニドの選択される割合が、分子量に基づいて1:1〜1:50、好ましくは1:1.5〜1:15である、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。 得られたヘパリン類似物質誘導体をさらなる使用のために透析および/またはゲル濾過により精製および脱塩し、そして場合によって凍結乾燥に付する、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。 薬学的に適するそして生理学的に許容される担体、添加剤および/または他の有効成分および賦形剤と共に、請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つのヘパリン類似物質誘導体の有効量を有する薬剤。 タンパク質分解酵素の異化作用の増加を特徴とする疾患、例えば変形性関節症、骨関節症、脊椎症、関節外傷後あるいは半月板もしくは膝蓋骨の損傷または靱帯切断に続く関節の持続的固定化後の軟骨融解、結合組織の疾患例えば膠原病または歯周病、創傷治癒の障害または運動系の慢性疾患例えば炎症、免疫学または代謝の関連する急性および慢性関節炎、関節症、筋肉痛ならびに骨組織代謝の障害の予防および治療用薬剤を製造するための、請求項1〜9のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 抗血栓性治療および予防例えば静脈血栓形成の予防、術後期間の外科患者における静脈血栓形成の予防、特に心筋梗塞、不安定狭心症または再発性狭心症の症例における動脈血栓症状の予防、血管造影後ならびに狭窄および再狭窄の治療における使用、腫瘍および癌転移の治療、炎症性疾患の治療、心筋もしくは脳の梗塞に関連する虚血の治療、中枢神経系の疾患の治療、移植に関連する治療、喘息の治療または血管形成の治療用薬剤を製造するための、請求項1〜9のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 ヘパリン類似物質誘導体を非経口的例えば皮下、関節内、腹腔内または静脈内注射により投与する、請求項16〜18のいずれかに記載の使用。 ヘパリン類似物質誘導体の用量が全身投与では約10mg〜80mg、そして局所投与では1μg〜10mgである請求項19記載の使用。 ヘパリン類似物質誘導体を直腸、経口、吸入または経皮で投与する、請求項16〜18のいずれかに記載の使用。 経過にメタロプロテイナーゼの活性上昇を伴う疾患の進行のモニターおよび診断のための、請求項1〜9のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 診断検査方式を作成するための、請求項1〜9のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 治療の結果および疾患の機能的特徴をモニターするための請求項23記載の診断検査方式の使用。 薬学的に適するそして生理学的に許容される担体および、妥当な場合には他の適当な有効成分、添加剤または賦形剤を用いて、ヘパリン類似物質誘導体から適当な剤形を調製することを含む、請求項16記載の薬剤を製造する方法。 本発明は、ヘパリン類似物質に共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ruまたはランタニドの系列からの常磁性金属陽イオンを含有するヘパリン類似物質誘導体に関する。前述の誘導体は、治療上のそしてまた診断上の目的のための薬剤の製造、投与量の局在化、さらには疾患例えば血栓症および骨関節症の治療成果の観察に適する。 20030314 A16333 全文 3 エノキサパリン、ナドロパリン、フラキシパリン、ダルテパリン、フラグミン、ベミパリン、チンザパリンまたはアルデパリンの系列からのヘパリン類似物質、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物、1,2−ビス(2−アミノエトキシエタン)−N,N,N′,N′−四酢酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸、ニトリロ三酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、4−カルボキシ−5,8,11−トリス(カルボキシメチル)−1−フェニル−2−オキサ−5,8,11−トリアザトリデカン−13−オイック酸またはN,N′−ビス(ピリドキサル−5−リン酸)−エチレンジアミン−N,N′−二酢酸の系列からのこのヘパリン類似物質に共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、RuまたはランタニドLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの系列からの常磁性金属陽イオンを含有するヘパリン類似物質の誘導体。 エノキサパリンがヘパリン類似物質として使用される請求項1記載のヘパリン類似物質誘導体。 常磁性金属陽イオンがGd3+である、請求項1または2記載のヘパリン類似物質の誘導体。 遷移元素またはランタニドの含有量が、モル当たり1モル〜使用するヘパリン類似物質の誘導体化に可能な最大量、好ましくはエノキサパリンのモル当たり1モル〜20モルである、請求項1〜3のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体。 ヘパリン類似物質を活性キレート剤と反応させてヘパリン類似物質キレート化合物を得て、そして続いて遷移元素またはランタニドを付加することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体を製造する方法。 キレート剤の活性型が、分子量に基づいて当初のヘパリン類似物質に対して1:1〜50:1、好ましくは1.5:1〜15:1という過剰に使用される請求項5記載の方法。 キレート剤の活性型が酸無水物例えばジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物である、請求項5または6記載の方法。 Gd3+が塩化ガドリニウム(III)六水和物またはガドリニウム(III)酢酸水和物という塩の形態で使用される、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。 ヘパリン類似物質キレート化合物対添加する遷移元素またはランタニドの選択される割合が、分子量に基づいて1:1〜1:50、好ましくは1:1.5〜1:15である、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。 薬学的に適するそして生理学的に許容される担体、添加剤および/または他の有効成分および賦形剤と共に、請求項1〜4のいずれかに記載の少なくとも1つのヘパリン類似物質誘導体の有効量を有する薬剤。 タンパク質分解酵素の異化作用の増加を特徴とする疾患、例えば変形性関節症、骨関節症、脊椎症、関節外傷後あるいは半月板もしくは膝蓋骨の損傷または靱帯切断に続く関節の持続的固定化後の軟骨融解、結合組織の疾患例えば膠原病または歯周病、創傷治癒の障害または運動系の慢性疾患例えば炎症、免疫学または代謝の関連する急性および慢性関節炎、関節症、筋肉痛ならびに骨組織代謝の障害の予防および治療用薬剤を製造するための、請求項1〜4のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 抗血栓性治療および予防例えば静脈血栓形成の予防、術後期間の外科患者における静脈血栓形成の予防、特に心筋梗塞、不安定狭心症または再発性狭心症の症例における動脈血栓症状の予防、血管造影後ならびに狭窄および再狭窄の治療における使用、腫瘍および癌転移の治療、炎症性疾患の治療、心筋もしくは脳の梗塞に関連する虚血の治療、中枢神経系の疾患の治療、移植に関連する治療、喘息の治療または血管形成の治療用薬剤を製造するための、請求項1〜4のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 ヘパリン類似物質誘導体を非経口的例えば皮下、関節内、腹腔内または静脈内注射により投与する、請求項11または12に記載の使用。 ヘパリン類似物質誘導体の用量が全身投与では約10mg〜80mg、そして局所投与では1μg〜10mgである請求項13記載の使用。 経過にメタロプロテイナーゼの活性上昇を伴う疾患の進行のモニターおよび診断のための、請求項1〜4のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 診断検査方式を作成するための、請求項1〜4のいずれかに記載のヘパリン類似物質誘導体の使用。 治療の結果および疾患の機能的特徴をモニターするための請求項16記載の診断検査方式の使用。


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特許公報(B2)_ヘパリン類似物質で治療され得る疾患の治療および診断のためのヘパリン類似物質誘導体の使用

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヘパリン類似物質で治療され得る疾患の治療および診断のためのヘパリン類似物質誘導体の使用
出願番号:2003523499
年次:2010
IPC分類:C08B 37/10,A61K 31/727,A61K 49/00,A61P 7/02,A61P 9/00,A61P 9/10,A61P 11/06,A61P 17/02,A61P 19/00,A61P 19/02,A61P 19/04,A61P 19/08,A61P 21/00,A61P 25/00,A61P 29/00,A61P 35/00,A61P 35/04,A61P 37/02,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

ヴォルフガング・ウルマー ハンス−パウル・ユーレチュケ クリストファー・ケルン JP 4426842 特許公報(B2) 20091218 2003523499 20020809 ヘパリン類似物質で治療され得る疾患の治療および診断のためのヘパリン類似物質誘導体の使用 サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 397056695 高木 千嘉 100091731 結田 純次 100127926 三輪 昭次 100105290 ヴォルフガング・ウルマー ハンス−パウル・ユーレチュケ クリストファー・ケルン DE 101 41 106.5 20010822 20100303 C08B 37/10 20060101AFI20100210BHJP A61K 31/727 20060101ALN20100210BHJP A61K 49/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 7/02 20060101ALN20100210BHJP A61P 9/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 9/10 20060101ALN20100210BHJP A61P 11/06 20060101ALN20100210BHJP A61P 17/02 20060101ALN20100210BHJP A61P 19/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 19/02 20060101ALN20100210BHJP A61P 19/04 20060101ALN20100210BHJP A61P 19/08 20060101ALN20100210BHJP A61P 21/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 25/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 29/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 35/00 20060101ALN20100210BHJP A61P 35/04 20060101ALN20100210BHJP A61P 37/02 20060101ALN20100210BHJP A61P 43/00 20060101ALN20100210BHJP JPC08B37/10A61K31/727A61K49/00 ZA61P7/02A61P9/00A61P9/10A61P11/06A61P17/02A61P19/00A61P19/02A61P19/04A61P19/08A61P21/00A61P25/00A61P29/00A61P35/00A61P35/04A61P37/02A61P43/00 111 C08B 1/00-37/18 A61K 31/33-33/44 A61K 49/00 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特表平09−509650(JP,A) 特表平09−509400(JP,A) 特表平07−503496(JP,A) 国際公開第98/053833(WO,A1) 特開平10−279605(JP,A) 特表2002−512942(JP,A) 特開昭57−125201(JP,A) 2 EP2002008909 20020809 WO2003018640 20030306 2005501931 20050120 15 20050804 福井 悟 本発明はヘパリン類似物質誘導体(heparinoid derivatives)、その製造方法、治療におけるおよび診断上の目的の両方でのその使用、使用する用量の局在化ならびに疾患例えば血栓症および骨関節症の治療の結果の監視のための該誘導体の使用に関する。 ヘパリンは動物性器官から分離できる高度にスルホン化されたグリコサミノグリカンであり、肥満細胞において合成され、そしてD−グルコサミンおよびD−グルクロン酸から成り、約17000ダルトンの分子量を有する。 これは、二糖類が作られるD−グルコサミンとD−グルクロン酸とのα−1,4−グリコシド結合を含み、そしてこのヘパリンサブユニットがさらにα−1,4−グリコシド結合により互いに結合してヘパリンが形成される。スルホ基の位置は変動し得るし、四糖類ユニットは4〜5の硫酸残基を含有する。ヘパラン硫酸(ヘパリチン硫酸)はより少数のO−およびN−結合スルホ基を含有するが、N−アセチル基もまた含有する。ヘパリンはアニオン性高分子電解質と考えることができる。ヘパリンはタンパク質と結合して特に肝臓(ギリシア語:hepar)に存在し、そして抗凝血物質として体内を循環する血液の凝固を阻止する。ヘパラン硫酸は細胞表面上および多くの組織の細胞外基質においてプロテオグリカン(パールカン)の構成成分として見出されている。ヘパリンはアンチトロンビンIIIのトロンビンに対する阻害作用を強化し、フィブリノーゲンのフィブリンへの変換におけるトロンビンによる触媒作用、および種々の他の凝固因子における触媒作用を阻害する;例えば、プロトロンビンのトロンビンへの変換も阻害し、そしてリポタンパク質リパーゼによるリポタンパク質の分解を活性化する。 ヘパリン類似物質は、ヘパリン様作用を有するあらゆる物質の集合名である。これらはペントサンポリサルフェート、キシランサルフェート、硫酸デキストランまたはキチンサルフェート、イズロン/ウロン酸および/またはグルコサミンの二量体、三量体またはオリゴマーおよび重合体、ランダムまたは規則的配列のペントースおよび/またはヘキソース単位および/またはマンニトールから成るオリゴ糖類または多糖類、ヘパランサルフェート、ヘパリチンサルフェート、ケラタンサルフェートまたはデルマタンサルフェート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、BまたはC、非分画ヘパリンおよび分割ヘパリン、エノキサパリン、ナドロパリン(フラキシパリン)、ダルテパリン(フラグミン)、ベミパリン、チンザパリン、アルデパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、超低分子量ヘパリン(ULMWH)またはそれらに類似する合成多糖類およびその塩、ならびに前述の化合物の連結されたおよび架橋された分子鎖のもの(二量体、三量体またはオリゴマー)、ならびにそれらに結合するペプチド、タンパク質、脂質または核酸を有するヘパリン類似物質を含む。 エノキサパリンは低分子量ヘパリン(LMWH)のクラスに属する活性成分で、アベンティス・ファーマ(Aventis Pharma)の特許(米国5,389,618)により国際的に保護されている。抗血栓性治療のためのエノキサパリンの使用は当業者において確立されている。エノキサパリン−Naは、ブタ腸粘膜からのヘパリンのベンジルエステル誘導体のアルカリ解重合により得られる低分子量ヘパリンのナトリウム塩である。4−エノピラノースウロネート構造の大半量は、その分子鎖の非還元末端にある。 平均分子量は約4500ダルトンである。 2000ダルトン未満の分子の含有率は12%と20%との間である。2000と8000ダルトンとの間の大きさを有する分子鎖の質量含有率は、低分子量ヘパリンに関するヨーロッパ薬局方検定標準の規格に基づいて68%と88%との間である。硫酸化の率は、二糖類単位当たり平均で2残基である。 エノキサパリンの多糖の分子鎖は、ヘパリンにおけるのと同様に、グリコシド結合により結合する硫酸化されたグルコサミンおよびウロン酸の交互の単位体から成る。該構造は例えば、解重合の過程で分子鎖の非還元末端に二重結合が生じる点でヘパリンとは異なる。 エノキサパリンは、末端の環における二重結合を示す紫外分光法および13C核磁気共鳴スペクトルによって、ならびに高速サイズ排除クロマトグラフィーによってヘパリンと識別できる。 骨関節症の病態的状態において、関節軟骨の主要なプロテオグリカンであるアグリカンの分解は、ごく初期のかつ決定的な症状である。軟骨アグリカンの病態的減少は、球間ドメインにおけるタンパク質分解性開裂に起因する。関節損傷、骨関節症または炎症性関節疾患に罹患した患者の関節滑液から分離したプロテオグリカン代謝生成物のアミノ酸配列解析は、タンパク質分解性開裂がヒトアグリカンの球間ドメインにおいてアミノ酸Glu373とAla374との間で選択的に生じることを示している(Lohmander 他., Arthritis Rheum. 36, (1993), 1214-1222)。この開裂をつかさどるタンパク質分解作用は「アグリカネーゼ」と呼ばれ、そしてメタロプロテイナーゼ(MP)の上科に帰属させ得る。 亜鉛はメタロプロテイナーゼの触媒的活性部位において必須である。MPはコラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、エラスチンまたはゼラチンを生理的条件下で開裂し、それゆえに骨および結合組織において重要な役割を果たす。 多数の異なるMP阻害剤が既知である(J.S.Skotnicki 他., Ann. N.Y.Acad. Sci. 878, 61-72 [1999]; EP 0 606 046;WO94/28889)。 これらの阻害剤の一部はその特異性に関してあまり特徴付けられていないし、他のものは特にマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)に対してある程度選択的に作用する。 アグリカネーゼは別の特異性によりマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)とは異なり、アグリカンに生じる特定の開裂部位に対して作用し、そしてMMPsによって促進される。該開裂は、適当な抗体の使用により検出できる特有のフラグメントを結果として作る。 以前の研究で、エノキサパリンは関節滑液のアグリカネーゼ活性を用量依存的に阻害し、そしてその結果、関節内投与により骨関節症の治療に使用できることが見出された(DE 100 63 006.5)。 しかし、ヘパリン類似物質(多糖類)に固有の不利な点は、分析に利用できる発色団を化学構造中に含有しないことである。この結果、従来の分析法例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による、治療的に有効な濃度の分析的監視は相当な問題に遭遇する。 適切な感度を有するヘパリン類似物質による抗血栓性治療を監視することは、その生物学的作用、ヘパリン類似物質が触媒する、アンチトロンビンIIIによる第Xa因子の阻害を通じてのみ通常可能である。 ヘパリン類似物質を用いた治療のこの不利な点は、ヘパリン類似物質の抗凝血作用以外の作用に関心が集中する場合に、または局所に限定した治療の症例において、例えば骨関節症の治療における関節内注射または脳卒中、狭心症、塞栓症のための使用または腫瘍療法のような作用部位のヘパリン類似物質の正確な濃度、滞留時間および分布行動を知らなくてはならない場合に、とりわけ不満足かつ不都合である。 一方で、骨関節症のあらゆる既知の治療に関する根本的な問題は、患部の軟骨および骨組織において治療の結果を診断するのが困難なことである。 本発明のヘパリン類似物質誘導体は前述の不利な点を除去できることが現在見出されている。 本発明のヘパリン類似物質誘導体は以下の特徴を有する。・アグリカネーゼ、hADAMTS1およびゼラチナーゼA(MMP−2)の作用に対して強力な阻害剤として作用し、そしてその結果、骨関節症の治療に適する、・抗凝血性医療用物質としてヘパリンまたはエノキサパリンと同等の抗血栓性作用を示す、・しかし同時にヘパリン類似物質とは対照的に、作用部位において磁気共鳴画像法(MRI)によって直接的に観察可能であり、そのため投与後の局所濃度を監視でき、そして患者における該薬剤の分布行動を追跡できる。本発明のヘパリン類似物質誘導体はこの理由のために、脳卒中、狭心症、塞栓症の症例および腫瘍療法における使用にも特に適する。それらはまた、治療中の軟骨浸透挙動から患部結合組織の状態についての診断上の情報を得る点で骨関節症の症例に非常に適する。 したがって本発明は、ヘパリン類似物質に共有結合するキレート剤、および遷移金属Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、RuまたはランタニドLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの系列からの常磁性金属陽イオンを含有するヘパリン類似物質誘導体に関する。 好ましいヘパリン類似物質は例えばエノキサパリンまたはヘパリンである。 キレート剤としてジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)、1,2−ビス(2−アミノエトキシエタン)−N,N,N′,N′−四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸(EDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸(DO3A)、ニトリロ三酢酸(NTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、4−カルボキシ−5,8,11−トリス(カルボキシメチル)−1−フェニル−2−オキサ−5,8,11−トリアザトリデカン−13−オイック酸(BOPTA)またはN,N′−ビス(ピリドキサル−5−リン酸)エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(DPDP)を含有するヘパリン類似物質誘導体が好ましいものとして挙げられる。 該キレート剤の酸無水物は化学修飾に使用するのに好ましく用いられ、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)は特に好ましい。 特に好ましい常磁性金属陽イオンはGd3+で、塩化ガドリニウム(III)六水和物または酢酸ガドリニウム(III)水和物というその塩の形態で使用される。 本発明はさらに、遷移元素またはランタニドの含有量が、ヘパリン類似物質のモル当たり1モルから該ヘパリン類似物質の誘導体化に可能な最大量までの範囲、好ましくはヘパリン類似物質のモル当たり1モル〜20モルの範囲であり得るヘパリン類似物質誘導体に関する。 本発明はまた、本発明のヘパリン類似物質誘導体を製造する方法であって、該ヘパリン類似物質を活性キレート剤と反応させてヘパリン類似物質キレート化合物を得て、そして次に遷移元素またはランタニドを付加することを含む方法に関する。 本発明のヘパリン類似物質誘導体の製造方法は例えば、最初にヘパリン類似物質が緩衝液に溶解される。 適当な緩衝液はpH6.0〜10.0、好ましくはpH8.8を有する。 緩衝液の濃度は0.01〜0.5モル濃度、好ましくは0.1モル濃度である。適当な緩衝液の例は炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液またはスルホン酸をベースにした生物学的緩衝液、好ましくはHEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸))である。次いで活性キレート剤例えばDTPA無水物を添加する。活性キレート剤は固体の形態で、または溶液として添加できる。 反応は8℃〜37℃、好ましくは24℃の温度で実施する。pHは好ましくは反応中一定に維持される。 活性キレート剤対ヘパリン類似物質の割合は、分子量に基づいて1:1〜50:1、好ましくは1.5:1〜15:1である。 この後、好ましくはヘパリン類似物質キレート化合物のさらなる精製なしに、遷移元素またはランタニドを添加する。 錯体化は0℃〜37℃、好ましくは4℃の温度で実施する。pHは弱酸性値に変化し、そしてその後この値で一定に止めるのが好ましい。該pHは6.8〜5、好ましくは6.5である。 ヘパリン類似物質キレート化合物対遷移元素またはランタニドの割合は、分子量に基づいて1:1〜1:50、好ましくは1:1.5〜1:15である。 生成した本発明のヘパリン類似物質誘導体は、意図する使用に応じてさらに精製できる。例えば、塩を透析またはゲル濾過により除去できる。生じた生成物は次いで凍結乾燥され得る。 エノキサパリンおよびエノキサパリンの生理学的に許容される塩は既知であり、そして例えば米国5,389,618に記載されているように製造できる。それらは、ヘパリンを形成する多糖類の基本構造を有する硫酸化多糖類の混合物であり、ヘパリンの平均分子量より低い約4500ダルトンの平均分子量を有し、2000ダルトン未満の分子量の分子鎖を9%〜20%そして8000ダルトンを超える分子量の分子鎖を5%〜20%のみ含有し、さらにはそれらにおける数平均分子量に対する重量平均分子量の比率が1.3〜1.6であることを特徴とする。 本発明はまた、薬学的に適するそして生理学的に許容される担体、添加剤および/または他の有効成分および賦形剤と共に、少なくとも1つのヘパリン類似物質誘導体および/またはヘパリン類似物質誘導体の生理学的に許容される塩の有効量を有する薬剤に関する。 生理学的に許容される塩は、塩の形成が可能なヘパリン類似物質誘導体から、本質的に既知の方法で製造される。このカルボン酸は安定なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を形成し、あるいは妥当な場合には塩基性試薬例えば水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコラートおよびアンモニアまたは有機塩基例えばトリメチルアミンもしくはトリエチルアミン、エタノールアミンもしくはトリエタノールアミンもしくは他の塩基性アミノ酸例えばリシン、オルニチンもしくはアルギニンで置換されたアンモニウム塩を形成する。 ヘパリン類似物質誘導体が塩基性基を有する場合には、強酸を用いて酸付加塩を生成することも可能である。この目的に適当なのは無機酸および有機酸の両方であって、例えば塩酸、臭化水素酸または硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸またはトリフルオロ酢酸である。 本発明はまた、薬剤を製造する方法であって、薬学的に適するそして生理学的に許容される担体および、妥当な場合には他の適当な有効成分、添加剤または賦形剤を用いて、本発明のヘパリン類似物質誘導体から適当な剤形を調製することを含む方法に関する。頻繁に使用されそして名称を挙げ得る賦形剤には乳糖、マンニトールおよび他の糖、炭酸マグネシウム、ラクトアルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロースおよびその誘導体、動物油および植物油例えば魚肝油、ヒマワリ油、ラッカセイ油またはゴマ油、ポリエチレングリコールならびに溶媒例えば滅菌水、ジメチルスルホキシド(DMSO)および一価または多価のアルコール例えばグリセリンがある。 その薬学的特性のために本発明のヘパリン類似物質誘導体は、タンパク質分解酵素例えばメタロプロテイナーゼの異化作用の増大が決定的な役割を果たすという経過のあらゆる疾患の予防および治療に適する。 これは例えば、変形性関節症、例えば骨関節症、脊椎症、関節外傷後あるいは半月板もしくは膝蓋骨の損傷または靱帯切断に続く関節の持続的固定化後の軟骨融解における、また結合組織の疾患例えば膠原病、歯周病、創傷治癒の障害および運動系の慢性疾患例えば炎症、免疫学または代謝の関連する急性および慢性関節炎、関節症、筋肉痛ならびに骨組織代謝の障害における症例である。 本発明のヘパリン類似物質誘導体はさらに抗血栓剤として有利に使用できる。それらは危険性のある状態における静脈血栓形成を予防するために特に使用できる。これはまた、危険性が慢性である状態にもあてはまる。本発明のヘパリン類似物質誘導体は一定用量を用いて、整形外科における血栓の症状の危険性を減らすことが特に可能である。 本発明のヘパリン類似物質誘導体の有利な治療的使用は動脈血栓症状の予防に基づくものであって、特に、不安定狭心症または再発性狭心症に関連する心筋梗塞の症状におけるものである。本発明のヘパリン類似物質誘導体のさらに興味深い使用は、手術後の外科患者における静脈血栓形成を予防するためにそれらを使用する可能性に基づくものである。この使用は、手術中の出血の危険を回避できるので格別に有利である。本発明のヘパリン類似物質誘導体を血管造影後ならびに狭窄および再狭窄の治療に使用することは同様に有利である。 本発明のヘパリン類似物質誘導体のさらに可能な適用は、腫瘍学における腫瘍および癌転移の治療(抗増殖性作用)、炎症性疾患の治療(抗炎症性作用)、中枢神経系(CNS)の疾患および移植における有利な作用に関する。加えて、心筋および脳の梗塞に関連する虚血(梗塞の大きさの縮小)、喘息(トリプターゼに対する作用)または血管形成(FGF媒介性細胞増殖を促進する作用)に投与が可能である。 本発明のヘパリン類似物質誘導体は一般的に非経口的に投与する。それは皮下、関節内、腹腔内または静脈内注射により実施できる。直腸的、経口的、吸入的または経皮的投与がさらに可能である。骨関節症には関節内注射が好ましい。 該医薬製剤は投薬単位で製造しそして投与するのが好ましく、各単位は有効成分として本発明のヘパリン類似物質誘導体の特定の用量を含有する。 この用量はアンプルの形態の注射液剤では約0.5μg〜約200mg、全身投与では好ましくは約10mg〜80mg、そして局所投与では好ましくは1μg〜10mgであり得る。 本発明はまた、経過にメタロプロテイナーゼの活性上昇を伴う疾患の進行の観察および診断のための、本発明のヘパリン類似物質誘導体の使用に関する。 本発明はまた、診断検査方式を作成するための本発明のヘパリン類似物質誘導体の使用に関する。 本発明はさらに、治療の結果および疾患の機能的特徴を観察するための診断検査方式の使用に関する。〔実施例1〕エノキサパリンの製造1.エステル化 塩化メチレン75ml中のベンゼトニウムヘパリネート15gの溶液に塩化ベンジル15mlを添加した。その溶液を35℃の温度に加熱し、それを25時間保持した。次いで、メタノール中の10%強度の酢酸ナトリウム溶液90mlを添加し、続いて濾過し、メタノールで洗浄しそして乾燥した。これによりナトリウム塩の形態でヘパリンベンジルエステル6.5gが得られ、そして前述のとおりに特定されるそのエステル化の程度は13.3%であった。2.解重合 前述で得られたナトリウム塩の形態のヘパリンベンジルエステル10gを水250mlに溶解した。この溶液を62℃に加熱し、そして水酸化ナトリウム0.9gの溶液を添加した。温度を62℃で1時間30分保持した。次いで反応混合物を20℃に冷却し、希塩酸を添加して中和した。次いで、反応薬剤の濃度を塩化ナトリウム中で10%に調節した。生成物を最終的にメタノール750ml中に沈殿させ、濾過した後乾燥した。これにより、以下の構造的特徴を有するある種のヘパリンが生じた。 平均分子量約4500ダルトン 分子分布: 2000ダルトン未満の分子量の分子鎖20% 8000ダルトンを超える分子量の分子鎖5.5% 分散:d=1.39〔実施例2〕エノキサパリン誘導体(EN−15)の製造 0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液5mlにエノキサパリン(実施例1に記載したとおりに生成した固体)100mgを溶解した。24℃で攪拌しながら、投入したエノキサパリンの量に対して15倍のモル過剰の試薬に相当する、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)119mgおよびジメチルスルホキシド0.34mlから生成した調製懸濁液を滴下した。 その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、同様に現時点のエノキサパリンに対して15倍のモル過剰に相当する固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物123.8mgを混合物に添加した。1N塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。反応混合物を4℃で24時間さらに攪拌した。 修飾エノキサパリン分画を脱塩し、そしてセファデックス(Sephadex)G−25(R)上のゲル濾過により未反応試薬から分離した。この目的のために、商業的に入手可能なファルマシア(Pharmacia)PD−10(R)充填済みカラムを製造者の記載にしたがって使用することもできる。 該修飾エノキサパリンを凍結乾燥した。 修飾エノキサパリン91mgを得た。第Xa因子阻害試験は、本来のエノキサパリンの阻害力に相当する阻害力を示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、エノキサパリンのモル当たりガドリニウム2モルの平均含有量が明らかになった。〔実施例3〕エノキサパリン誘導体(EN−15A)の製造 エノキサパリン(固体)2gを0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液100mlに溶解した。24℃で攪拌しながら、投入したエノキサパリンの量に対して15倍のモル過剰の試薬に相当する、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)2.38gおよびジメチルスルホキシド6.8mlから生成した調製懸濁液を滴下した。 その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、同様に存在するエノキサパリンに対して15倍のモル過剰に相当する固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物2.48gを混合物に装入し攪拌した。1モル濃度の塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。反応混合物を4℃で24時間さらに攪拌した。修飾エノキサパリン分画を脱塩し、そして商業的に入手可能な透析チューブ(分子量分離限度1000)における、合計4容量毎に対して水5Lの24時間の透析により未反応試薬を除去した。この間、最初に投入した水を1時間後、3時間後および16時間後に新しい水と交換した。次いで、管の内容物を凍結乾燥した。 修飾エノキサパリン1.77gを得た。 生成物を、発熱性物質を含まない水を用いてセファデックス(Sephadex)G−25(R)上のゲル濾過により好ましくは再度精製した。第Xa因子阻害試験は、本来のエノキサパリンの阻害力に相当する阻害力を示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、エノキサパリンのモル当たりガドリニウム5モルの含有量が明らかになった。〔実施例3a〕エノキサパリン誘導体(EN−15B)の製造 0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液100mlにエノキサパリン(固体)2gを溶解した。24℃で攪拌しながら、投入したエノキサパリンの量に対して15倍のモル過剰の試薬に相当する、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)2.38gおよびジメチルスルホキシド6.8mlから生成した調製懸濁液を滴下した。 その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、同様に存在するエノキサパリンに対して15倍のモル過剰に相当する固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物2.48gを混合物に装入し攪拌した。 1N塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。反応混合物を4℃で24時間さらに攪拌した。この段階の後、エタノールアミン0.4mlを添加し、そしてその混合物を室温でさらに30分間攪拌した。最終的に、塩酸を添加してpHを7.0に調節した後、4倍の容量のメタノールで希釈することにより反応混合物を沈殿させた。沈殿物を吸引漏斗上に濾別し、そして純水30ml中に高濃度で再度溶解した。 修飾エノキサパリンを脱塩し、そして商業的に入手可能な透析チューブ(分子量分離限度1000)における、合計4容量毎に対して水0.5Lの24時間の透析により未反応試薬を除去した。この間、最初に投入した水を1時間後、3時間後および16時間後に新しい水と交換した。次いで、管の内容物を凍結乾燥した。 比較的少ない容量の脱塩では、商業的に入手可能なゲル濾過カラム(例えばPharmacia HiPrep(R) desalting)を用いて時間を短縮することが可能である。次いで、脱塩した分画を同じ方法で凍結乾燥する。 修飾エノキサパリン1.86gを得た。第Xa因子阻害試験は、本来のエノキサパリンに比較して阻害力が低下していないことを示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、エノキサパリンのモル当たりガドリニウム2.7モルの含有量が明らかになった。〔実施例4〕 3倍、8倍および50倍過剰のDTPA無水物ならびに塩化ガドリニウム(III)六水和物を用いたエノキサパリン誘導体もまた、実施例2におけるのと同様に製造された。この化合物を以下においては略してEN−3、EN−8およびEN−50と記載する。 50倍過剰のDTPA無水物と反応させたが、続いてガドリニウムイオンを加えられなかった生成物を、実施例2におけるのと同様に製造した。以下においてEN−50Zと記載するこの生成物は、増加した陰イオン性電荷およびそれに応じて変化した薬理学的特性を有するエノキサパリン誘導体に該当するが、他の例えばさらに反応性に富んだ陽イオンと一緒にしてキレート化前駆体として単純な方法で使用することもできるので、特に興味深い誘導体でもある。〔実施例5〕ヘパリン誘導体(HE−15B)の製造 商業的に入手可能なヘパリンナトリウム(固体;シグマ(Sigma)H4784)2gを、0.1モル濃度のpH8.8のHEPES緩衝液100mlに溶解した。24℃で攪拌しながら、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸二無水物(DTPA無水物)1.19gおよびジメチルスルホキシド3.4mlから生成した調製懸濁液を滴下した。 その添加の間pHを測定し、そして1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を計量して入れることによりpH8.8で保持した。反応混合物を室温で30分間激しく攪拌した。この間、必要であれば1モル濃度の水酸化ナトリウム溶液をさらに添加することにより、pHを一定に保持した。次いで、固体の塩化ガドリニウム(III)六水和物1.24gを混合物に装入して攪拌した。 1N塩酸の滴定によりpHを6.5に調節した。この段階の後、エタノールアミン0.2mlを添加し、そしてその混合物を室温でさらに30分間攪拌した。最終的に、塩酸を添加してpHを7.0に調節した後、4倍の容量のメタノールで希釈することにより反応混合物を沈殿させた。沈殿物を吸引漏斗上に濾別し、そして純水30ml中に高濃度で再度溶解した。 修飾ヘパリンを脱塩し、そして商業的に入手可能な透析チューブ(分子量分離限度1000)における、合計4容量毎に水0.5Lの24時間の透析により未反応試薬を除去した。この間、最初に投入した水を1時間後、3時間後および16時間後に新しい水と交換した。次いで、管の内容物を凍結乾燥した。 比較的少ない容量の脱塩では、商業的に入手可能なゲル濾過カラム(例えばPharmacia HiPrep(R) desalting)を用いて時間を短縮することが可能である。次いで、脱塩した分画を同じ方法で凍結乾燥した。 修飾ヘパリン1.65gを得た。第Xa因子阻害試験は、本来のヘパリンに比較して阻害力が低下していないことを示した。誘導結合プラズマ原子発光分光法によるガドリニウムの取り込みの分析によって、ヘパリンのモル当たりガドリニウム1.9モルの含有量が明らかになった。〔実施例6〕第Xa因子に対するヘパリン類似物質依存性阻害を調査するための試験方式試験の原理 アンチトロンビンIIIおよび過剰量の第Xa因子を、ヘパリン類似物質を含有する試験試料に添加すると、試験試料中のヘパリン類似物質がアンチトロンビンIIIと結合して錯体になり、第Xa因子を不活性化する。第Xa因子の残存活性は、合成色素生成基質を用いて測定できる。この場合には、パラ−ニトロアニリンが酵素による開裂により該基質から遊離し、そして単位時間当たりの405nmの波長における吸光度の変化の測定を通じて測光により検出できる。遊離したパラ−ニトロアニリンの量は、試験試料中のヘパリン類似物質の濃度に逆比例する(Teien M.L.他, Thromb. Res. 8(3), 413-6 [1976] )。調査する薬剤のヘパリン類似物質の漸増的濃度によって、一連の検量線が作成される(濃度に対する相関関係としての、単位時間当たりの吸光度の変化)。ヘパリン類似物質の濃度を、単位時間当たりの試験試料の吸光度の変化から比較により見出すことができる。試験方法 検量線は、0.5μg/ml〜3μg/mlの範囲のヘパリン類似物質の濃度を用いて作成するのが好ましい。 この濃度の一連の試料を、0.15M NaCl、0.007M EDTA、0.1%ツイーン(Tween)80およびヒトアンチトロンビンIII0.12IUを含有するpH8.4の0.046M トリス(Tris)緩衝液を用いて1:10に希釈する。希釈した試料の50μlの部分に、ウシ第Xa因子(13.6U/ml)50μlを加えて37℃で80秒間インキュベートする。次いで、1.1mM色素生成基質S−2765 50μlを添加する。毎分の405nmの波長における吸光度の変化を光度計で測定する。 適当に事前に希釈した試験試料の50μlの部分を、同じ様式にしたがって処理する。 表1はその結果を示す。〔実施例7〕アグリカネーゼ試験方式 該試験は96穴マイクロタイタープレート仕様で実施する。 標識エノキサパリンの一連の希釈溶液は、調製用純水で調製する。温浸: 該試験条件下で405nmにおいて1.0〜1.4の吸光度を生じる、関節滑液またはアグリカネーゼ活性の事前に特定した量を、標識エノキサパリンの各希釈溶液3μlと共に各ウェル中で混合し、ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)を用いて最終容量300μlに調製して、そしてCO2細胞培養インキュベーター中37℃で1時間インキュベートする。 次いで、Agg1mut基質(Bartnik E. 他., EP 785274 (1997)に開示のとおり;DMEM中の基質)1μg/μlの溶液5μlを各ウェルに添加した後、その混合物をCO2インキュベーター中37℃で4時間消化する。試験プレートの調製 最初の工程では、商業的に入手可能な抗マウス免疫グロブリンG(ヤギ由来;pH7.4の生理的リン酸緩衝液[PBS緩衝液]中5μg/ml)の溶液100μlを用いて、室温で1時間各ウェルをコートする。0.1%ツイーン20を添加したPBS緩衝液(以下において洗浄緩衝液と呼ぶ)で該プレートを洗浄した後、0.05%ツイーン20を添加したPBS緩衝液中の5%ウシ血清アルブミンの溶液100μlで各ウェルを室温で1時間ブロックする。 洗浄緩衝液で再度洗浄した後、0.05%ツイーン20および0.5%ウシ血清アルブミンを添加したPBS緩衝液中のBC−3抗体の1:1000の希釈溶液100μlを用いて、各ウェルを室温で1時間温置する;この抗体はアグリカネーゼ特有の開裂フラグメントを認識する(Hughes C.E.他, Biochem. J. (1995), 305 (3), 799-804)。試験方法 該試験プレートを洗浄緩衝液で洗浄した後、前述の消化からの完全混合物をウェル毎にウェルから試験プレートへ移し、そして室温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄緩衝液で洗浄した後、第二抗体(ヤギ抗ヒトIgG、ペルオキシダーゼ標識、0.5%BSA/PBS緩衝液/0.05%ツイーン20中1:1000)100μlを添加し、そしてこれに対するインキュベートを室温で1時間再度実施する。 洗浄緩衝液で再度洗浄した後、ABTS基質溶液(60mMリン酸水素二ナトリウムを添加した40mMクエン酸ナトリウム中の2,2′−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリンスルホン酸2mg/mlで、酢酸でpH4.4に調節したもの;ml当たり35%過酸化水素0.25mlを測定直前に添加)100μlの添加により着色が生じる。振とう様式で、5秒間隔の自動読み取りで対照フィルター(620nm)を対照に405nmでの測定を実施する。1.0〜1.4の範囲における最大吸光度(405nm)に達したら、直ちに試験を中止する。〔実施例8〕磁気共鳴画像法実験 実施例3および4に記載した本発明のヘパリン類似物質誘導体EN−3、EN−8、EN−15およびEN−50を、0.01、0.1、1.0および10.0mMの濃度で蒸留水に溶解した後、0.5ミリリットルの容量のエッペンドルフ試験管に装入する。各試験管を、1.5ミリリットルの容量を有しそして蒸留水を満たした、より大きなエッペンドルフ試験管に挿入する。後者の試験管をプラスチック製の試験管立てに配列した後、ブルカー・メディカル有限責任会社(Bruker Medical GmbH, Ettlingen)製の磁気共鳴画像システムにおいて7テスラの磁場強度で画像化する。溶液中の水の水素イオンの緩和時間に対する本発明のヘパリン類似物質誘導体の作用を記載するために、ブルカー・メディカル有限責任会社により開発されたソフトウェア「パラヴィジョン(Paravision)(R)」を用いて、対照的な特徴が異なるMR画像を測定する。すべての試験管を同時に画像で見るために、層厚2mmの冠状の(=水平な)スライス面を選択する。 T1強調スピンエコー画像(エコー時間TE=13ミリ秒、緩和時間TR=100ミリ秒、1エコー、NA=2、マトリックス2562)において、10mMの濃度におけるすべての誘導体に関して試験管はシグナルの減少を示し、そしてEN−50およびEN−15に関しては、エノキサパリンのモル当たりガドリニウムのより高い濃度による磁場の均一性の局所的障害のために画像の一様な変形が存在する。0.1mMの濃度のEN−50およびEN−15を有する試験管ならびに1.0mMの濃度の誘導体EN−8およびEN−3を有する試験管の周囲の蒸留水のシグナルに関しては、約10のファクターによるシグナルの増大が存在する。残りの試験管におけるシグナルの増大は、本発明のヘパリン類似物質誘導体のより低い濃度およびガドリニウムのより低い相応する濃度にしたがって減少する。 各溶液に対するT2緩和時間を、16の個々のエコーを有するスピンエコー実験で測定した(TE=13ミリ秒、TR=3000ミリ秒、16エコー、NA=1、マトリックス2562)。結果を数値で表3に要約する。本発明のヘパリン類似物質誘導体のすべての10mM溶液においてはT2時間が非常に短いために、T2時間を確実に測定することはもはやできない。これらの測定条件下で測定された純粋な蒸留水に対するT2時間(907ミリ秒)に基づいて、60のファクターによる最大の短縮に達する。T2時間の短縮は、本発明のヘパリン類似物質誘導体の濃度および個々の相応するガドリニウムの濃度に比例する。要約 本発明のヘパリン類似物質誘導体は、その濃度に応じてそしてエノキサパリンに対するガドリニウムのモル比に応じて、本発明のヘパリン類似物質誘導体を含有する溶液の水の水素イオンの緩和時間T1、T2およびT2*を短縮するので、T1強調MRI画像においてシグナル強度の増大または部分的なもしくは全体的なシグナルの減少すら存在することをMRI測定は示す。 規定のミリモル濃度における、本発明のヘパリン類似物質誘導体の溶液中の水の水素イオンのT2時間(ミリ秒)を測定。 該T2時間は、32の個々のエコーを用いたスピンエコー画像の結果を用いて測定する。周囲の蒸留水におけるT2緩和の平均は907ミリ秒である(検出不可*=非常に短いためにT2を確実に測定することはできない)。〔実施例9〕磁気共鳴画像法実験 ブタ(体重約40kg、月齢4カ月)の摘出した膝関節を露出させた。1つの関節丘のみがEN−15Aの溶液(生理食塩水中0.1mM、室温)に浸るように、プラスティック製容器中に関節を固定した。高度の空間分解能(3D画素サイズ約140×180μm、層の厚さ2mm)を有するT1強調スピンエコー画像を、14時間の期間において30分毎に記録した。画像スライスは関節丘および骨幹を通じておよそ矢状(sagittal)であり、そして最高7mmの厚さに達する、軟骨の薄い灰色の層に囲まれた海綿質の灰色から黒色の部分を示す。骨/骨および軟骨/周囲の溶液の界面は明確に明らかである。 EN−15A溶液中に浸漬後数時間で、軟骨の外側の層の外見に変化が存在した。新規な層状構造が形成され、そして軟骨の表面におよそ平行に走行する。すなわち、表面近くに第一の薄い(幅約140μm)過度に色の濃い層、続いてより幅広の(幅約500μm)比較的色の薄い層である。シグナルの減少はこの第二の層において次第に生じるが、EN−15Aの濃度の増加とこの軟骨帯におけるEN−15Aの移動度の著しい低下との両方によって説明することができる。なぜなら両方の影響は、シグナルをもはや測定できないほどのシグナルの急速な減少を誘発し得るからである。 後者の層に続いて、過度に色の濃い第三の層があり、この層は第一と同様の幅および明るさを有した。第二に比べて約2〜3倍幅広である、第四の非常に過度に色の濃い層が続いた。さらに第五の層がその次に見られるはずであり、そのシグナル強度は第一または第三の層のシグナル強度におよそ相当するが、第三より幾分幅広であった。 軟骨表面からEN−15Aの最も深い面までの距離は約1.6〜1.7mmである。要約 本発明のヘパリン類似物質誘導体は、ブタの摘出した大腿の関節丘の生来の無処置の軟骨へと浸透し、軟骨における水の水素イオンの緩和時間T1、T2およびT2*に対する影響のために、本発明のヘパリン類似物質誘導体はMRシグナル強度に変化をもたらし、水の水素イオンの緩和時間T1、T2およびT2*におけるこの変化は、軟骨内部の本発明のヘパリン類似物質誘導体の移動度の低下によって増大することをMRI測定は示す。 ヘパリン類似物質を活性キレート剤と反応させて共有結合したヘパリン類似物質キレート化合物を得て、そして該ヘパリン類似物質キレート化合物のさらなる精製を行うことなく、常磁性金属陽イオンを共有結合したヘパリン類似物質キレート化合物に付加することを含む、ヘパリン類似物質誘導体を製造する方法であって、 ここで活性キレート剤の当初のヘパリン類似物質に対するモル比が1.5:1〜15:1であり、およびヘパリン類似物質キレート化合物の添加する常磁性金属陽イオンに対するモル比が1:1.5〜1:15であり、 該ヘパリン類似物質誘導体は、 エノキサパリン、ナドロパリン、デルテパリン、ベミパリン、チンザパリンおよびアルデパリンからなる群から選択されるヘパリン類似物質; ヘパリン類似物質に共有結合するキレート剤、ここで該キレート剤はジエチレントリアミン−N, N, N’, N", N"−五酢酸二無水物であり;および Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選択される常磁性金属陽イオンを含有する、該方法。 使用される常磁性金属陽イオンが、Gd3+の塩化ガドリニウム(III)六水和物またはガドリニウム(III)酢酸水和物という塩の形態である、請求項1記載の方法。


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