タイトル: | 公表特許公報(A)_生物学的アッセイ検出方法 |
出願番号: | 2003519382 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C12Q1/42,C12Q1/34,C12Q1/37,C12Q1/48,C12Q1/527,G01N33/531,C07K5/10,C07K7/06 |
イングレーゼ,ジエイムズ フエレール,マルク ハミルトン,アーロン・シー JP 2005502334 公表特許公報(A) 20050127 2003519382 20020802 生物学的アッセイ検出方法 メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド 390023526 MERCK & COMPANY INCOPORATED 川口 義雄 100062007 一入 章夫 100113332 小野 誠 100114188 大崎 勝真 100103920 坪倉 道明 100124855 イングレーゼ,ジエイムズ フエレール,マルク ハミルトン,アーロン・シー US 60/310,599 20010807 7 C12Q1/42 C12Q1/34 C12Q1/37 C12Q1/48 C12Q1/527 G01N33/531 C07K5/10 C07K7/06 JP C12Q1/42 C12Q1/34 C12Q1/37 C12Q1/48 Z C12Q1/527 G01N33/531 A C07K5/10 C07K7/06 EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,SK,TR),CA,JP,US US2002024469 20020802 WO2003014698 20030220 44 20040206 4B063 4H045 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ27 4B063QQ30 4B063QQ33 4B063QQ36 4B063QQ79 4B063QQ96 4B063QR48 4B063QR57 4B063QS28 4B063QS33 4B063QS36 4B063QX01 4H045AA30 4H045BA13 4H045BA14 4H045EA50 【技術分野】【0001】【背景技術】【0002】数十年来、免疫学的方法は広範な医学及び生物学用途で検出ストラテジーの基礎となっている。酵素免疫吸着アッセイELISAの各種変形が臨床診断試験と製薬産業の薬剤発見プログラムに利用されている。モノクローナル抗体の出現とその後の研究により組換え及び表示技術からモノクローナル抗体ライブラリーレパートリーが開発され(Gao,C.ら,(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(11):6025−6030)、多数の科学分野でこれらの選択的高親和性タンパク質の利用が広がっている。抗体技術の革新はアッセイ開発へのこれらの試薬の利用を拡大すると見込まれる一方、細胞シグナリング系を含むもの等の天然に存在する多様なタンパク質/ペプチド相互作用の固有の特異性と利用可能性に基づく代替アプローチも考えられる。多数のシグナル伝達ネットワーク内に存在する酵素、受容体及びアダプタータンパク質(例えばGrb2やPSD95)は多くの場合にはペプチド−タンパク質会合を介して分子相互作用の媒介に関与する1個以上のモジュラードメイン(例えばSH2、SH3、PTB及びPDZドメイン)を含むことが多い(Pawson,T.N.ら,Genes & Development 14(9):(2000)pp.1027−1047)。これらのドメイン−リガンド組合せのあるものは、アッセイ検出系において抗体−抗原対と同じように機能する可能性がある。【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0003】(発明の要約)本発明は、酵素等の反応生成物誘導剤の存在を指示する反応生成物の検出方法に関する。本方法はエピトープに対する特異抗体を必要とせずに検出ストラテジーの基礎となるエピトープの認識を可能にする。【課題を解決するための手段】【0004】本方法では、直接又は間接標識したモジュラードメインとビオチン化形態のコグネイトペプチドリガンドを測定可能な相互作用の基礎として使用する。ペプチドリガンドは例えばSerもしくはThr残基のリン酸化又はC末端Valを越えるアミノ酸配列の延長による修飾により遮蔽することができる。遮蔽した残基は標識モジュラードメインの結合に必須であるため、この残基の少なくとも1個を遮蔽すると、結合できなくなる。遮蔽した残基を適当な酵素で処理(例えばリン酸化残基をホスファターゼ酵素で処理又は延長残基をプロテアーゼ酵素で処理)すると、ペプチドは標識モジュラードメインに結合して測定可能な複合体を形成することが可能な元の非遮蔽リガンドに変換される。【0005】本発明は直接又は間接標識したモジュラードメインと複合体を形成することができない修飾リガンドを、標識モジュラードメインと複合体を形成することが可能なリガンドに変換する複合体誘導剤の存在を試料中で適切な条件下に検出する方法であって、a)修飾リガンドと標識モジュラードメインと試料を混合して混合物を形成する段階と、b)混合物を分析し、試料中の複合体誘導剤の存在を示す複合体を検出する段階を含み、検出条件は複合体誘導剤が存在する場合のみ修飾リガンドを変換するものである、前記方法である。【0006】前記方法の1分類では、前記リガンドは、【0007】【化1】(式中、各XXは同一又は異なり、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、XX1はAla、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、XX2はPhe又はTyrである)から構成される群から選択される。【0008】前記方法の1亜分類では、前記標識リガンドは、【0009】【化2】(式中、各XXは同一又は異なり、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、XX1はAla、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、各XX3は同一又は異なり、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸である)から構成される群から選択される。【0010】前記亜分類の1グループでは、標識モジュラードメインは標識キレート(例えばEu3+キレート)、標識抗体(例えばEu3+抗体)又は標識コロイド粒子で標識されている。【0011】前記グループのサブグループでは、前記標識モジュラードメインは標識PDZドメイン、標識SH2ドメイン、標識SH3ドメイン及び標識PTBドメインから構成される群から選択される。【0012】前記サブグループの1区分では、前記複合体誘導剤はホスファターゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、ヒドロラーゼ及びデアセチラーゼから構成される群の酵素から選択される。【0013】本発明は免疫検出ストラテジーの代用として酵素アッセイ用に開発されたモジュラードメインのリガンドに基づく時間分解蛍光共鳴エネルギー移動検出法である。ペプチド酵素基質はコンセンサス配列Ser−XX1−Val−OHをもつ遮蔽ドメインリガンドである。リガンドの結合コンセンサス配列の必須残基を例えばSerのリン酸化又はC末端延長により修飾すると、結合不能モジュラードメインペプチドとなる。対応する酵素で処理すると、結合エピトープは露出し、生成物配列は例えば標識キレート(例えばEu3+キレート)、標識抗体(例えばEu3+抗体)又は標識コロイド粒子で標識されたモジュラードメインにより特異的に認識される。その後、ペプチドのN末端でビオチンに結合するアロフィコシアニンで標識したストレプトアビジンの添加により複合体が形成され、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動により検出される。【0014】略語ALPHA 増幅発光近接均一系アッセイBSA ウシ血清アルブミンCPB カルボキシペプチダーゼBDELFIA 解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイDMSO ジメチルスルホキシドGST−PDZ グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合PDZドメインGST−PDZ1 グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合PDZ1ドメインHTRF 均一系時間分解蛍光ITC イソチオシアネートPBS リン酸緩衝食塩水PBST tween−20を含有するリン酸緩衝食塩水PBSTB tween−20とBSAを含有するリン酸緩衝食塩水PCI タンパク質カルボキシペプチダーゼ阻害剤PP2A1 タンパク質ホスファターゼ2A1SH2 srcホモロジー2SH3 srcホモロジー3PTB ホスホチロシン結合PDZ PSD95/Discs−large/ZO−1PSD95 シナプス後デンシティ95TR−FRET 時間分解蛍光共鳴エネルギー移動[XL665]SA XL665ストレプトアビジンXL665 修飾アロフィコシアニン。【0015】「複合体誘導剤」とは標識モジュラードメインに結合したリガンドである複合体の形成を誘導する酵素(例えばブタカルボキシペプチダーゼB、タンパク質ホスファターゼ2A1)である。【0016】「複合体」とは標識モジュラードメインに結合したリガンドである。【0017】「リガンド」とは複合体誘導剤の作用下に標識モジュラードメインと結合して複合体を形成し、複合体誘導剤の非作用下では標識モジュラードメインと結合しない物質である。【0018】「修飾リガンド」とは標識モジュラードメインと結合しないリガンドである。【0019】「モジュラードメイン」とはペプチド−タンパク質結合又は相互作用を含むペプチド−タンパク質会合を介して分子相互作用を媒介する働きをもつ配列(例えばSH2、SH3、PTB及びPDZ)である(Harrison Cell vol.86 pp.341−343(1996)及びPawsonら,Genes & Development 14:1027−1047(2000)参照)。【0020】「標識モジュラードメイン」とはリガンドと標識モジュラードメインにより形成される複合体の検出を可能にするモジュラードメインである。【0021】「適切な検出条件」とは標識モジュラードメインとの複合体を形成することができない修飾リガンドから標識モジュラードメインと複合体を形成することが可能なリガンドへの変換を複合体誘導剤の不在下では促進しない条件である。【0022】ビオチン−ペプチドはResearch Genetics(Huntsville,Alabama)又はPrinceton Biomolecules(Langhorne,Pennsylvania)から購入した。ペプチドはDMSOに〜1mM溶液まで溶解した(濃度はεTyr=1280mol−1Lcm−1を使用して280nmの紫外線吸光度により測定した)。ブタカルボキシペプチダーゼBとジャガイモカルボキシペプチダーゼ阻害剤はSigma(St.Louis,Missouri)から購入した。タンパク質ホスファターゼ2A1(PP2A1)、カンタリジン酸及びオカダ酸はBiomol Research Laboratories(Plymouth Meeting,Pennsylvania)から購入した。Asp−NはRoche(ドイツ)から購入した。ストレプトアビジン−XL665(モル比:1.9XL665/ストレプトアビジン)はPackard(Meriden,Connecticut)から購入した。【0023】アッセイは96穴黒色低結合Microfluor2プレート(Dynex,Virginia)で実施した。アッセイプレートは励起波長337nmでVictor2Vマイクロプレートアナラザー(Perkin Elmer Wallac(Turku,フィンランド))を使用して読取った。蛍光発光はFRETシグナルについては665nm、Eu3+キレートについては615nmで測定し、蛍光強度比FI665nm/FI615nmとして結果を表した。【0024】モジュラードメインは標識キレート、抗体又はコロイド粒子を使用して標識することができる。標識キレートは例えばEu3+キレートとすることができ、標識抗体は例えばEu3+抗体とすることができ、Perkin Elmer Wallacから入手できる。標識コロイド粒子は例えばPackard BioScienceから市販され、一般に使用されている読取り法であるALPHA検出技術として知られる粒子とすることができる(http://www.packardbioscience.com/products/298.asp)。【0025】モジュラードメインリガンドはリガンド中にSer、ThrもしくはTyrが存在する場合にはそのリン酸化(例えばSerをリン酸化してpSerを形成)又はC末端を越える配列延長により遮蔽することができる。【0026】Eu3+キレートによるGST−PDZの標識PSD−95のPDZモジュール3(Songyang,Z.ら,Science 275:(1997)pp.73−77)に対応するGST−PDZドメイン融合タンパク質は標準クローニング及び発現法により獲得した。要約すると、PSD−95(アミノ酸Leu343〜Ala445を含む)コーディング配列をラット脳cDNAライブラリー(Clontech,Inc.)からPCR増幅し、細菌発現ベクターpGEX2KT(Pharmacia)にサブクローニングし、標準細菌発現法(SmithとJohnson Gene 67:(1998)pp.31−40)によりGST−PDZを大腸菌BL21(DE3)で発現させ、製造業者のプロトコールに従って還元グルタチオンアガロースビーズ(Molecular Probes)で精製した。GST−PDZを製造業者により記載されているようにEu3+キレートITC(Perkin Elmer Wallac)で標識した。要約すると、GST−PDZをPBS中約3mg/mlまで濃縮し、タンパク質溶液50μl(160μg,4.3nmol)を凍結乾燥Eu3+キレートITC(100μg,140nmol)に加え、反応を16時間4℃で進行させた。反応溶液をNickカラム(Amersham Pharmacia)で分離し、標識タンパク質を含む画分(PBS溶液400μl)をPD−10カラム(Amersham Pharmacia)に加えた。標識タンパク質をPBS溶液400μl画分から溶出させた。タンパク質を含む画分をプールした。タンパク質濃度をBradford Proteinアッセイ(Pierce,Illinois)により定量し、タンパク質に結合したEu3+キレートをEu3+のDELFIA増強溶液とEu3+標準(Perkin Elmer Wallac)により定量した。最終タンパク質濃度は0.32mg/ml(9mM,5倍モル比Eu3+/タンパク質)であった。【0027】検出条件ビオチン−ペプチド濃度を一定にして[Eu3+]GST−PDZと[Xl665]SAの量を同時に滴定することにより各酵素系に適したシグナル対バックグラウンド比を与える検出条件を決定した。XL665は665nmで発光し、減衰時間の遅い修飾アロフィコシアニンアクセプターフルオロフォアである。10%ターンオーバーを想定して合計ビオチン−ペプチド濃度を40nM、即ち各酵素系でビオチン−生成物ペプチドを4nM及びビオチン−基質ペプチドを36nMに設定して検出条件を最適化した。5×HTRF混合物10μlをビオチン−ペプチド溶液40μlに加えた。濃度は最終アッセイ容量50μl中の濃度である。ペプチドと検出試薬の最適インキュベーション時間は1時間であることが判明した。【0028】検出のダイナミックレンジと検出下限値を決定するために、合計ペプチド量を40nMで一定に維持しながらビオチン−生成物ペプチドの量を増加した。上記と同様に、5×HTRF混合物10μlをビオチン−ペプチド溶液40μlに加えた。濃度は最終アッセイ容量50μl中の濃度である。前項に記載したように最適であると判断した検出試薬濃度を使用してシグナルを測定した。【0029】Eu3+抗体によるGST−PDZ1の間接標識GST−PDZドメインのサブクローニングと発現。ウサギNHERFのPDZモジュール1に対応するGST−PDZドメイン融合タンパク質を標準クローニング及び発現法により獲得した。要約すると、以下のプライマー:5’−CGGGATCCCTGCCCCGGCTCTGCTGC(配列番号26)及び5’−GGAATTCCAGCTGCTCGTCCGTCTCGGGGTC(配列番号27)を使用してラットNHERFのPDZ1のDNA配列を含むプラスミドからPDZ1 NHERF(アミノ酸Leu11〜Leu99を含む)コーディング配列をPCR増幅した。BamH1及びEcoR1制限部位を使用して細菌発現ベクターpGEX−2TK(Pharmacia)にDNAをサブクローニングした。標準細菌発現法(SmithとJohnson Gene 67:(1988)pp.31−40)を使用してGST−PDZを大腸菌GL21(DE3)で発現させ、製造業者のプロトコールに従って還元グルタチオンアガロースビーズ(Molecular Probes,Eugene,OR)で精製した。【0030】アッセイ条件。Eu3+によるPDZ1ドメインの間接標識を使用してNHERFのPDZ1ドメインと数種のペプチドリガンドの結合も検討した。Hemmila,I.W.S.(1997)Drug Discovery Today 2(9);373−381及びKolbら,(1998)Drug Discovery Today 3;333−342に記載されているこのアプローチで本発明者らはEu3+キレート(Perkin Elmer Wallac)で標識した抗GSTに結合した結合した先述のGST−PDZを利用した。Eu3+標識抗GSTを使用すると、PDZ1ドメイン自体を構造的に変化させずに(このドメイン内の遊離Lysと直接結合せずに)GST−PDZ1を標識することができた。ペプチドとの結合を試験するために、10nMペプチドと10nM GST−PDZドメインを1時間(PBSTB20μL)インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイの標識成分から構成される検出混合物を加えた。GST−融合タンパク質と抗GST抗体の相互作用は1:1であるので10nM抗GST(Eu3+)を使用し、ストレプトアビジンは四量体であるので2.5nM[XL665]SAを加えた(PBSTB20μL)。最終混合物を室温でインキュベートし、Victor2で読取った。NHERF GST−PDZ1の間接標識の結果、被験潜在ペプチドリガンドに結合する標識タンパク質が生じた。【0031】ALPHAによるGST−PDZ1−ペプチドリガンド結合の測定ALPHA技術(Glickmanら(2002)J.Biomolecular Screening 7(1):3−10参照)も潜在ペプチドリガンドとNHERF GST−PDZ1の結合を検出するための手段として検討した。(一重項酸素を遊離する)ドナービーズと(一重項酸素の存在下で蛍光発光する)アクセプタービーズの近接に基づくこのアッセイは先述のGST−PDZ1を使用した。ビオチン化ペプチドとGST−PDZ1の相互作用を探索するために、(ビオチン化ペプチドを捕獲するために)ストレプトアビジンドナービーズを使用し、(GST−PDZ1を捕獲するために)抗GST標識アクセプタービーズを使用した。ペプチドとGST−PDZ1の間に相互作用が生じたならば、アクセプタービーズは蛍光発光し、ALPHAquestリーダーで読取られる。ペプチドの結合を試験するために、10nMビオチン−ペプチドと10nM GST−PDZ1を1時間(PBSTB)インキュベートした。ストレプトアビジンドナービーズの最適濃度を決定するために、抗GSTアクセプタービーズ濃度を一定(20μg/mL)(5μL)にしてストレプトアビジンドナービーズの量(PBSTB中5μL)を滴定した。ドナー及びアクセプタービーズを含む検出混合物にペプチド/GST−PDZ1混合物10μLを加えた。プレートを密封し、暗所にて室温で3時間インキュベート後にALPHAquestリーダーで読取った。ALPHA検出試薬を使用すると、GST−PDZ1の間接標識から(潜在ペプチドリガンドとGST−PDZ1の結合を示す)結果を再現するアッセイが可能になり、シグナル/バックグラウンド比が上昇した。【実施例1】【0032】カルボキシペプチダーゼBアッセイ初期過程として、ビオチン−HRRSARYLESSVR−OH(配列番号7)(10mMリン酸,150mMNaCl,0.05%tween−20,0.1%BSA(PBSTB)中100nM)20μlをCPB(PBSTBで2倍に希釈)20μlと混合し、PBSTB中PCI(1μM)、[Eu3+]GST−PDZ(6.25nM)及び[XL665]SA(62.5nM)の5×TR−FRET混合物10μlを60分間25℃で加えて反応をクエンチし、読取った。【0033】阻害実験として、阻害剤2μlをCPB(PBSTB中200pM)20μlに加え、ペプチド基質(PBSTB中100nM)20μlを加えて反応を開始した。30分後に上記のような5×TR−FRETクエンチング/検出混合物10μlを加えて反応をクエンチした。基質と検出混合物を含み、酵素を含まない反応混合物からバックグラウンドを測定した。【実施例2】【0034】タンパク質ホスファターゼアッセイ初期過程として、ビオチン−HRRAARYLEpSAV−OH(配列番号4)(リン酸緩衝液:50mM Tris,pH7.4,10%グリセロール,14mMβ−メルカプトエタノール,0.2mg/mlBSA中100nM)20μlをPP2A1(リン酸緩衝液で2倍に希釈)20μlと混合し、反応溶液を32℃でインキュベートした。各種時点でPBSTB中カタリジン酸(5μM)、[Eu3+]GST−PDZ(1.6nM)及び[XL665]SA(15.6nM)の5×TR−FRET混合物10μlを60分間25℃で加えて40μlアリコートをクエンチし、読取った。【0035】阻害実験として、阻害剤2μlをPP2A1(リン酸緩衝液中30pM)20μlに加え、ペプチド基質(リン酸緩衝液中100nM)20μlを加えて反応を開始した。60分後に上記のような5×TR−FRETクエンチング/検出混合物10μlを加えて反応をクエンチした。基質と検出混合物を含み、酵素を含まない反応混合物からバックグラウンドを測定した。【0036】表1は実施例1及び2で得られた結果(被験酵素、酵素濃度、酵素加水分解速度、IC50値及びアッセイ条件(例えば酵素希釈又は「トレーサー」の直接読取り)を含む)を示す。加水分解速度に基づき、ターゲット酵素の濃度を推定する目的で直線域に含まれると予想される測定値が得られる時点を特定することができる。【0037】【表1】【実施例3】【0038】Asp−Nプロテアーゼアッセイ初期過程として、ビオチン−HRRSARYLESSVDAEF−NH2(配列番号5)(PBST中20μM)20μlをAsp−N(PBSTで2倍に希釈)20μlと混合し、反応溶液を32℃でインキュベートした。各種時点でアリコートをPBSTで200倍に希釈し、5×検出混合物(PBST中[Eu3+]GST−PDZ(6.25nM)及び[XL665]SA(15.6nM))10μlを希釈溶液40μlに加え、60分間25℃でインキュベートし、測定した。【0039】トレーサー実験として、PBST中ビオチン−HRRSARYLESSVDAEF−NH2(100nM)及びHRRSARYLAASVDAEF−NH2(配列番号6)(20μM)の混合物20μlをAsp−N(PBST中40nM)20μlに加え、反応溶液を32℃でインキュベートした。各種時点で5×クエンチング/検出混合物(PBST中50mM EDTA,[Eu3+]GST−PDZ(6.3nM)及び[XL665]SA(15.6nM))10μlを60分間25℃で加えて40μlアリコートをクエンチし、測定した。【実施例4】【0040】HIVプロテアーゼアッセイビオチン−HRRSARYLDTVLEEMS−OH(配列番号24)とEu3+標識GST抗体と実施例1と同様の手順を使用してアッセイを実施し、HIVプロテアーゼの有無を確認した。【0041】遮蔽モジュラードメインリガンドの設計均一系フォーマットで酵素活性を測定するための蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の使用は蛍光標識レポーター分子による酵素生成物の特異的認識に依存する。本発明はプロセシングを受けると蛍光標識PDZドメインレポータータンパク質に結合する特定酵素のペプチド基質を含む。ブタカルボキシペプチダーゼB及びAsp−Nの2種のプロテアーゼとSer/ThrホスファターゼPP2A1を試験した。【0042】リガンドのPDZ結合コンセンサス配列(−Glu−Ser/Thr/X−Val−OH(配列番号1及び2))中の必須残基を例えばC末端延長(ブタカルボキシペプチダーゼB及びAsp−Nアッセイ)と必須Serのリン酸化(PP2A1アッセイ)により修飾し、結合不能PDZドメインペプチドである酵素基質とした。表2はペプチド配列対を示す。【0043】【表2】【0044】PDZリガンドに特定C末端残基が必要であることは新規プロテアーゼアッセイの設計に利用できる。HRRSARYLESSV−OHのC末端にアルギニンを加えると、カルボキシペプチダーゼのペプチド基質となる(Folk,J.E.Methods Enzymology vol.19(1970)p.504)。単一付加アミノ酸残基を越えてアミノ酸配列を延長することにより、各種エンドプロテアーゼの基質を作製することができる。Asp−NはP1’位でAspに特異性を示す。他のプロテアーゼ(例えばHIVプロテアーゼ)は切断可能結合の周囲のP1−P1’の疎水性残基、P2’位のGlu又はGln及びP2位の小残基に特異的であり(Ericksonら,Proteases of Infectious Agents B.M.Dunn.San Diego Academic Press(1999)pp.1−60)、いずれもプロPDZリガンドとして潜在的に適合可能である。【0045】PSD95PDZ−3との結合に必須のペプチドリガンドの第2の残基はHRRSARYLESSV−OHのX−Glu−Ser−X−Val−COOH(配列番号2)結合モチーフのSerである。この残基を例えばリン酸化により遮蔽し、ペプチドがSer/Thrホスファターゼにより脱リン酸化されるまでPDZ結合を妨害する。このホスファターゼ検出スキームでは、結合に非必須のリガンド残基Ser−1をアラニンに置換し、ホスホセリンペプチド(HRRAARYLEpSAV−OH)の合成を簡単にした。【0046】時間分解蛍光共鳴エネルギー移動検出試薬本発明で使用したTR−FRETシステムは長寿命Eu3+キレートエネルギードナーと修飾アロフィコシアニンエネルギーアクセプター[XL665]SAの間に生じるFRETに基づく(Kolbら,DDT vol.3 no.7 July 1998 pp.333−342)。限定するものではないが、ドナー−アクセプターFRETシグナリング対としてはEu3+−トリビピリジンクリプテート/アロフィコシアニン(XL665)、Tb3+−クリプテート/ローダミン、及びEDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノナフチレンスルホン酸)/DABCYL(4−(4’−ジメチルアミノベンジンアゾ)安息香酸)が挙げられる。時間分解蛍光測定はHemmilaら,DDT vol.2,no.9 September 1997 pp.373−381により全般的に記載されている。【0047】4nM PDZペプチドリガンド(反応生成物)と36nM「遮蔽」形ペプチドリガンド(反応基質)の存在下に[Eu3+]GST−PDZと[XL665]SAの濃度を変えてFRETシグナルを測定することによりまず検出ストラテジーの実施可能性を試験した。ペプチド濃度は40μlアッセイ容量中50nM総ビオチン化ペプチドの10%基質ターンオーバーを想定して設計した10%生成物ペプチドと90%基質ペプチドを含む混合物に相当する。次に5×TR−FRET検出混合物10μlを加えてFRETシグナリング複合体を形成させた。3種の異なる上記酵素反応に対応する3種の基質/生成物系を試験した。その結果、ペプチド対の各々にシグナル対バックグラウンドが最大(少なくとも10倍)となる[Eu3+]GST−PDZと[XL665]SA濃度の最適組合せがあることが分かった。例えば、ホスファターゼ反応に対応するビオチン−HRRAARYLEpSAV−OH/ビオチン−HRRAARYLESAV−OHでは、[Eu3+]GST−PDZと[XL665]SAの最適濃度は夫々0.3nMと3.1nMであることが分かった。同様の結果が得られるように各ペプチド基質/生成物組合せを設計して同様の実験を実施した(データは示さず)。その後、各酵素反応を試験する際にこれらの最適濃度の[Eu3+]GST−PDZと[XL665]SAを使用した。 直接又は間接標識したモジュラードメインと複合体を形成することができない修飾リガンドを、前記標識モジュラードメインと複合体を形成することができるリガンドに変換する複合体誘導剤の試料中の存在を適切な条件下に検出する方法であって、a)前記修飾リガンドと前記標識モジュラードメインと前記試料を混合して混合物を形成する段階と、およびb)前記混合物を分析し、前記試料中の複合体誘導剤の存在を示す複合体を検出する段階を含み、前記検出条件は、前記複合体誘導剤が存在する場合のみ前記修飾リガンドを変換するものである、前記方法。 前記リガンドが、(式中、各XXは同一又は異なり、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、XX1はAla、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、XX2はPhe又はTyrである)から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。 前記リガンドが、(式中、各XXは同一又は異なり、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、XX1はAla、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸であり、各XX3は同一又は異なり、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValから構成される群から選択されるアミノ酸である)から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。 前記標識モジュラードメインが標識キレートで標識されている請求項1に記載の方法。 前記標識キレートがEu3+キレートである請求項4に記載の方法。 前記標識モジュラードメインが標識抗体で標識されている請求項1に記載の方法。 前記標識抗体がEu3+抗体である請求項6に記載の方法。 前記標識モジュラードメインが標識コロイド粒子で標識されている請求項1に記載の方法。 前記標識モジュラードメインが標識PDZドメイン、標識SH2ドメイン、標識SH3ドメイン及び標識PTBドメインから構成される群から選択される請求項1に記載の方法。 前記複合体誘導剤がホスファターゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、ヒドロラーゼ及びデアセチラーゼから構成される群の酵素から選択される請求項1に記載の方法。 本発明は酵素等の反応生成物誘導剤の存在を指示する反応生成物の検出方法に関する。本方法はエピトープに対する特異抗体を必要とせずに検出ストラテジーの基礎となるエピトープの認識を可能にする。本方法では、直接又は間接標識したモジュラードメインとビオチン化形態のコグネイトペプチドリガンドを測定可能な相互作用の基礎として使用する。ペプチドリガンドは例えばSerもしくはThr残基のリン酸化又はC末端Valを越えるアミノ酸配列の延長を介する修飾により遮蔽することができる。遮蔽した残基は標識モジュラードメインの結合に必須であるため、残基の少なくとも1個の遮蔽は、結合を阻止する。遮蔽した残基を適当な酵素で処理(例えばリン酸化残基をホスファターゼ酵素で処理又は延長残基をプロテアーゼ酵素で処理)すると、ペプチドは標識モジュラードメインに結合して測定可能な複合体を形成することが可能な元の非遮蔽リガンドに変換される。