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タイトル:特許公報(B2)_P,Nリガンドとしてのイソオキサゾリン誘導体
出願番号:2003519082
年次:2009
IPC分類:C07F 9/6558,B01J 31/30,C07C 27/08,C07C 29/143,C07C 33/22,C07C 45/29,C07C 49/08,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

エンド,ニコル ストーセル,カトリーヌ ベレンズ,ウルリッヒ コッツィ,ピエル・ジョルジオ JP 4244187 特許公報(B2) 20090116 2003519082 20020801 P,Nリガンドとしてのイソオキサゾリン誘導体 チバ ホールディング インコーポレーテッド 396023948 Ciba Holding Inc. 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 エンド,ニコル ストーセル,カトリーヌ ベレンズ,ウルリッヒ コッツィ,ピエル・ジョルジオ IT MI2001A001758 20010809 20090325 C07F 9/6558 20060101AFI20090305BHJP B01J 31/30 20060101ALN20090305BHJP C07C 27/08 20060101ALN20090305BHJP C07C 29/143 20060101ALN20090305BHJP C07C 33/22 20060101ALN20090305BHJP C07C 45/29 20060101ALN20090305BHJP C07C 49/08 20060101ALN20090305BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090305BHJP JPC07F9/6558B01J31/30 ZC07C27/08C07C29/143C07C33/22C07C45/29C07C49/08 AC07B61/00 300 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第05140034(US,A) 米国特許第06228868(US,B1) Izvestiya Vysshikh Uchebnykh Zavedenii, Khimiya i Khimicheskaya Tekhnologiya,1993年,Vol.36,No.3,p.49-p.55 7 EP2002008588 20020801 WO2003014133 20030220 2004537603 20041216 23 20050720 藤森 知郎発明の要約 本発明は、ホスファニルベンゾチオフェニル−ジヒドロイソオキサゾリン、ホスファニル−ジヒドロオキサゾリル−インドールおよびホスファニル−ジヒドロオキサゾリル−ベンゾフラン型の新規リガンド、それらの製造方法、新規な前駆体および中間体、そのリガンドとの錯体、ならびにそれらの製造およびそれらの有機合成における触媒としての使用に関する。発明の背景 混合ドナーリガンド、特にP,Nリガンドは、分子中でハードおよびソフトなドナー原子の組み合わせを含む強すぎずに結合するリガンドの類を形成し、その結果、得られる金属錯体はユニークな反応性を示す。P,Nリガンドの有用性は、全範囲の不斉触媒反応、例えば、不斉アリルアルキル化、水素化、移動水素化、ヒドロシリル化、ヒドロホウ素化、ヒドロホルミル化、ディールス−アルダー反応、グリニャールクロスカップリング反応、ヘック反応および共役−付加反応において、ならびに共重合、三元共重合、触媒的アミノ化、およびクロスカップリングにおいて実証されている(例えば、非特許文献1および2参照。)。 P,Nリガンドを用いてのエナンチオ選択性触媒反応における選択性の重要な因子は、「咬合角(bite angle)」P−M−N(錯化金属であるMとリガンド原子リンおよび窒素との間の配位角)であることが見出されている。ホスフィノアリールオキサゾリンリガンド(PHOXリガンド)は公知である(例えば、非特許文献2参照。)。F.Y. Kwong, K.S. Chan, Organometallics 20, 2570-2578 (2001)G. Helmchen, A. Pfaltz, Acc. Chem. Res. 33, 336 (2000) 本発明の目的は、それらの特異的な結合角と電子供与特性を変える可能性の故に、特に好都合な触媒を製造することができる、新しい種類のリガンドを提供することである。とりわけ、特別な目的は、触媒反応においてより高い鏡像体過剰率(ee)を達成し、高収率を得ることである。発明の一般的な説明 本発明は、式I特に、式IAまたはIB[式中、Xは、酸素、イオウ、セレンまたはNQ(ここで、Qは、非置換もしくは置換アリールまたはアルキルもしくは置換アルキルである)であり;nは、0、1、2、3または4であり;A1およびA2は、各々、リンに結合しうる有機基、特に、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換シクロアルキル、または−N(D)2(ここで、D2は、アルキルまたは置換アルキルである)であるか;またはA1およびA2は、結合しているリン原子と一緒になって、非置換であるかまたは置換されていてもよい環を形成し;Y、Y′、Y″およびY″′は、各々、他と独立に、水素またはアルキル、置換アルキル(アリール−低級アルキル(ここで、アリール基は、非置換であるかまたは置換されている)およびヘテロシクリル−低級アルキル(ここで、ヘテロシクリル基は、非置換であるかまたは置換されている)を含む)、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルであり、基Y、Y′、Y″またはY″′の少なくとも一つは、水素以外の上記の基の一つであり;そしてZは、存在する場合、置換基であり、複数の置換基Zが存在する場合、それらの置換基は互いに独立に選択されることが可能である]の化合物、およびそのような化合物の混合物に関する。 本発明はまた、式I、特に式IAまたはIBの化合物、またはそれらの混合物の製造方法に関する。 本発明はまた、式I、特に式IAまたはIBの化合物、またはそれらの混合物をリガンドとして含む遷移金属の錯体に関する。 本発明のさらなる態様は、有機合成における触媒としての、式I、特に式IAまたはIBの化合物、またはそれらの混合物の錯体の使用、およびそれらの触媒を用いる有機化合物の製造方法に関する。 式I、特に式IAまたはIB、およびまたそれらの混合物のリガンドとの錯体は、多数の合成に使用することができる。PHOXリガンド等の他のリガンドと比較して、それらは高収率をもたらし、そして式I、特に式IAまたはIBの純粋な異性体を用いた場合、同じく高い立体選択性、例えば高い鏡像体過剰率をもたらす。さらなる利点は、Xを変化させることにより、式I、特に式IAおよび/またはIBのリガンドを、追加的に電子的に調節することができ、そこで、例えば、実験的な比較またはコンピューターモデリングにより、特定の反応に最適なリガンドを確定して、使用することができる。発明の詳細な説明 別に明記されない限り、以上および以下で使用される(反応および反応条件を含む)一般的な用語は、好ましくは下記の意味を有し、上記および下記の一般的な用語の代わりに、反応のこれらの特定の定義および説明は互いに独立に用いられうるものであり、本発明の好ましい実施態様をもたらす。 接頭語「−低級」または「低級」は、問題の基が好ましくは7以下の炭素原子、特には4以下の炭素原子を含むことを示す。したがって、低級アルキルは、好ましくはC1〜C7アルキル、特にはC1〜C4アルキルであり、分枝していないかまたは可能な限り1回もしくはそれ以上分枝していてもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、またはヘキシルである。 式Iの、特に式IAおよびIBの化合物、式IIの、特に式IIAおよびIIBの化合物、式Vの、特に式VAおよびVBの化合物、式VIの、特に式VIAおよびVIBの化合物の混合物は、特に、任意の所望の比の、例えば、IA:IBの比が1〜3:1〜3である、ジアステレオ異性体または鏡像体の混合物であり、特にはラセミ化合物またはそのタイプのアキラルなリガンドである。 アルキルは、特にはC1〜C20アルキルであり、分枝していないかまたは1回以上分枝していてもよい。低級アルキルが好ましい。 置換アルキルは、特に1個以上の基、好ましくは1〜3個の基を有し、それらは互いに独立に、以下に定義される非置換または置換アリール、特にはフェニル;非置換または置換シクロアルキル、特には以下に定義されるもの、より特には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル;非置換または置換ヘテロシクリル、特には以下に定義されるもの;塩素またはフッ素等のハロゲン;ヒドロキシ;メトキシまたはエトキシ等の低級アルコキシ;ベンジルオキシ等のフェニル−低級アルコキシ;アセトキシ等の低級アルカノイルオキシ;アミノ;N−低級アルキル−またはN,N−ジ低級アルキルアミノ;N−フェニル−低級アルキル−またはN,N−ビス(フェニル−低級アルキル)−アミノ;カルボキシ;低級アルコキシカルボニル;フェニル−低級アルコキシカルボニル;シアノ;カルバモイル;グアニジノ;アミジノ;およびスルファモイルから選択される。 ハロゲンは、別に明記されない限り、特には、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。 nは、好ましくは0または1、特に0である。 リンに結合しうる有機基は、特には、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換シクロアルキル、−ODまたは−N(D)2(ここで、Dは、アルキルまたは置換アルキルである)である。 非置換もしくは置換アルキルは、好ましくは上で定義されたとおりであるが、基−N(D)2中のDの場合には、ヒドロキシまたはアミノ等の活性水素原子を有する置換基は、Dが窒素原子に結合しているために、炭素原子には結合しない(不安定)。低級アルキルが好ましい。 アリールは、好ましくは1個以上の環からなり、環原子として炭素を有し、24個以下の環炭素原子、好ましくは6〜14個の環炭素原子を有する不飽和環系、特にはフェニル、ナフチルまたはフルオレニルであり、そして非置換であるかまたは、ニトロ、低級アルキルおよび置換アルキルについて述べられたものから選択される、1個以上の基、特に3個以下の基で置換されている。フェニルが好ましい。 ヘテロシクリルは、好ましくは不飽和、飽和もしくは部分的に飽和の、好ましくは3〜30個、特には4〜16個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子は炭素以外であり、好ましくは4個以下、特には3個以下の環炭素原子が酸素,窒素またはイオウから選択されるヘテロ原子で置換されている、単−、二−または多−環系である。ヘテロアリールは、非置換であるかまたは、ニトロ、低級アルキルおよび置換アルキルについて述べられた置換基から選択される、1個もしくはそれ以上の、特には3個以下の置換基で置換されている。ヘテロシクリルは、特には、イミダゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、2H−ピロリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ベンズイミダゾリル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、ピラニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フラザニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、イソクロマニル又はクロマニルであり、それらの基の各々は、非置換であるかまたは、低級アルキル、低級アルコキシおよびハロゲンから選択される、1〜3個の基で置換されている。非置換ヘテロシクリル,特に上で列挙した基の一つが好ましい。 結合しているリン原子と一緒になってA1およびA2により形成される環は、好ましくはリン原子と非置換もしくは置換トリメチレン、テトラメチレンまたはペンタメチレン基により形成され、ここで置換基は特に1個以上の、好ましくは4個以下の、アルキル、好ましくは上で定義されたもの、特には低級アルキル、シクロアルキル、好ましくは下で定義されるもの、特にはC3〜C8シクロアルキル、アリール、好ましくは上で定義されたもの、特にはフェニル、およびアリールアルキル、特にはベンジルから選択される置換基でありうる。 置換基Zは、好ましくは低級アルキル、ニトロまたは置換アルキルの置換基として上で述べた置換基の一つである。複数の基Zが存在する(n>1)場合、それらは互いに独立に選択され、すなわち、それらのいくつかまたはすべてが同じであるかあるいはそれらはすべて異なっていることができる。 式Iの、特には式IAおよび/またはIBの、より特には、その二つのうちの一つのリガンドを含む錯体は、特には、遷移金属、より特には元素の周期表のIII〜XII族のもの、ランタニドまたはアクチニド、特にはIV〜XII族のものとの錯体、特にロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、イリジウム、ニッケルまたはコバルトとの錯体である。 そのような錯体は、イオンの溶液または遷移金属の錯体を用いて標準的な方法に従って製造することができ、例えば[(COD)RhCl]2(COD=シクロオクタジエン)、[(COD)2Rh]+G−(ここで、G−はBF4−、SbF6−、PF6−またはCF3SO3−である)、[Rh(1,5−COD)2]ClO4、[Rh(COD)(アセチルアセトナート)]等との反応によるロジウム錯体;および[RuCl2(C6H6)2]2、[RuCl2(PPh3)3](Ph=フェニル)等との反応によるルテニウム錯体である。得られた錯体は、対イオンのほかに、さらなるリガンド、例えばベンゼン等を含んでいてもよい。 製造は標準的な方法、例えば、有機溶媒の存在下、大気圧の窒素またはアルゴンのような不活性気体雰囲気下に、0℃から混合物の沸点までの温度で行われる(G. Helmchen, A. Pfaltz, Acc. Chem. Res. 33, 336 (2000)およびその中に引用された文献参照)。 あるいは、対応する錯体はまた、in situで、例えば、アルゴン等の不活性気体下、イソプロパノール等の乾燥アルコール中で、還流まで加熱して製造することができ、錯体を含む得られた溶液は、次いで基質と直接組み合わせられ、そして後者は触媒的に反応される。 対応する錯体は、多数の触媒的用途において、特に(本質的には、異性体的に純粋な、式Iの、主には式IAもしくは式IBの化合物を用いて)、不斉アリルアルキル化、水素化、移動水素化、ヒドロシリル化、ヒドロホウ素化、ヒドロホルミル化、ヒドロアミノ化、ディールス−アルダー反応、グリニャールクロスカップリング反応、ヘック反応および共役−付加反応等の不斉触媒反応において、ならびに共重合、三元共重合、触媒的アミノ化、およびクロスカップリングにおいて使用することができる(参考として、F.Y. Kwong, K.S. Chan, Organometallics 20, 2570-2578 (2001)およびG. Helmchen, A. Pfaltz, Acc. Chem. Res. 33, 336 (2000)参照)。 式Iの、特に式IAおよび/またはIBの化合物は、それ自体公知の方法(ただし、新規な原料および最終生成物という点に関しては新規)に従って、特に以下のようにして製造することができる。式Iの化合物を製造するためには、式IIの化合物を、または、特に式IAの化合物を製造するためには、IIAの化合物を、または、式IBの化合物を製造するためには、式IIBの化合物を、式Iの、特に式IAおよびIBの化合物の混合物を製造するためには、式IIの、特に式IIAおよびIIBの化合物の混合物を、(式中、Z、n、Y、Y′、Y″、Y″′(存在する場合)およびXは、式Iの、特に式IAまたはIBの化合物について定義されたとおりである)有機金属を添加したのち、式III(式中、A1およびA2は、式Iの、特に式IAまたはIBの化合物について定義されたとおりであり、Lは、ハロゲン、特には塩素または臭素である)の化合物と反応させ(あるいは、式Iの化合物の合成には、ホスフィンオキシドを経由して進行し、次いで還元することも同様に可能である)、そして、所望により、得られる式Iの、特に式IAもしくはIBの化合物、またはそれらの混合物を、式Iの、特に式IAもしくはIBの異なる化合物、またはこれらの化合物の混合物に変換し、および/または式Iの、特に式IAおよびIBの化合物の得られる異性体混合物を個々の異性体に分離する。 反応条件および原料化合物の製造についての以下のより詳細な説明において、別に明記しない限り、符号A1、A2、n、X、Y、Y′、Y″、Y″′およびZは、式Iの、特に式IAまたはIBの化合物について定義されたとおりである。 式II、特に式IIAおよび/またはIIBの化合物と式IIIの化合物との反応は、好ましくは、無水媒体中で無水条件(好ましくは、シュレンク(Schlenk)容器)下、特に非プロトン性溶媒、例えばエーテル、特にはジ−低級アルキルエーテル、より特にはジエチルエーテル、または環状エーテル、特にはテトラヒドロフラン中、−80〜40℃、特に−78〜25℃の好ましい温度で行われ、相対的に低い温度が、有機金属と式IIAまたはIIBの化合物との最初の反応において好ましく用いられ、一方、相対的に高い温度が、得られた有機金属化合物と式IIIの化合物との反応において好ましく用いられる。好適な有機金属は、特には、有機リチウム化合物、例えば低級アルキルリチウム、好ましくは、n−ブチルリチウム等のブチルリチウムである。反応は、好ましくは、窒素またはアルゴン等の保護気体下で行われる。変換反応 式Iの、特に式IAもしくはIBの化合物は、式Iの、特に式IAもしくはIBの異なる化合物に、例えば、存在する任意の置換基を他の置換基に変換することにより、例えば、フェニル−低級アルコキシまたは低級アルカノイルオキシを公知の方法によりヒドロキシに、N−フェニル−低級アルキルまたはN,N−ビス(フェニル−低級アルキル)をアミノに、低級アルコキシカルボニルをカルボキシに、などの変換をすることにより、変換することができる。 式Iの、特に式IAおよびIBの化合物の異性体混合物の個々の異性体への分離は、標準的な方法、例えば、キラルな表面構造を有するカラム材料上でのクロマトグラフ分離、キラル塩形成剤を用いての析出、異性体の酵素的分離(例えば、一方の異性体のみを改質し、他方を非改質形態に残すことによる)など、あるいはそれらの組み合わせにより達成される。原料化合物 (特に、式IIIの)原料化合物は公知であり、すなわちそれ自体公知の方法に従って得ることができるか、あるいは市販されている。 式IIの、特に式IIAもしくはIIBの化合物、またはそれらの混合物は、特に、式IV(式中、Kは、シアノまたは活性化カルボキシであり、残りの基は、式Iの化合物について定義されたとおりである)の化合物と、式V(式IIの化合物の製造に対して)の、特に式VA(式IIAの化合物の製造に対して)または式VB(式IIBの化合物の製造に対して)のβ−アミノアルコール、あるいは式II、特に式IIAおよびIIBの化合物の混合物の製造に対しては、式Vのβ−アミノアルコールの混合物、特に式VAのアルコールと式VBのアルコールとの混合物(式中、Y、Y′、Y″およびY″′は、各々、式Iの化合物について定義されたとおりである)とを反応させることによって、得ることができる。 Kがシアノ(特に、X=NQのとき)の場合は、反応は、ニトリルをジヒドロオキサゾール基へ変換する慣用の条件下で、好ましくは亜鉛塩、特に塩化亜鉛(好ましくは、溶融により前もって無水にしたもの)の存在下に、ハロゲン化炭化水素、特にはクロロベンゼン等の芳香族炭化水素中で、好ましくは50℃から還流温度、特に還流温度で加熱しながら行われる。 Kが活性化カルボキシ(特に、X=O,Sのとき)の場合は、活性化カルボキシとして、特には、ハロゲン(特に好ましい)、アシルオキシ、活性化ヒドロカルビルオキシ、活性化ヒドロカルビルチオおよび−N(CH3)−OCH3が考慮される。ハロゲンは、特にはフッ素、より特には塩素または臭素であり;アシルオキシは、好ましくは低級アルカノイルオキシである。活性化ヒドロカルビルオキシまたは活性化ヒドロカルビルチオは,好ましくは非置換もしくは置換低級アルコキシ、非置換もしくは置換アリールオキシ(好ましくは、6〜12個の環原子を有する)、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルオキシ(好ましくは、不飽和または完全にもしくは部分的に飽和された、4〜12個の環原子を有し、かつ窒素、イオウおよび酸素から選択される3個以下のヘテロ原子を有するモノ−またはビ−シクロ環系)であり、そして特には、1−位でエステル化されたカルボニル、例えば低級アルコキシカルボニル、シアノまたはフェニルカルボニル置換低級アルコキシ、特には低級アルコキシカルボニルメトキシ、例えばエトキシカルボニルメトキシ、シアノメトキシまたはフェナシルオキシ(Ph−CO−CH2−O−)、tert−ブチルチオ、N−ベンゾトリアゾリルオキシ、N−スクシンイミジルオキシ、ピリジルオキシまたはピリジルチオ、特には2−ピリジルオキシもしくはより特には2−ピリジルチオ、または電子陰性的に置換されたアリールオキシ、例えばp−ニトロフェニルオキシ、2,4−ジニトロフェニルオキシ、ペンタフルオロフェニルオキシもしくは2,4,5−トリクロロフェニルオキシである。 反応は、慣用の条件下に、好ましくは三級窒素塩基、例えばトリ低級アルキルアミン、特にはトリエチルアミン、または三級窒素を含む環状塩基、例えばピリジンもしくはジメチルアミノピリジンの存在下に、適切な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、特には塩素化低級アルカン、例えば塩化メチレン中で、−20〜30℃、特には0〜30℃の好ましい温度で行われる。最初、式VI(Vから)、特に、VIA(VAから)もしくはVIB(VBから)の中間体化合物、またはそれらの混合物(式V、特にVIAおよびVIBの化合物の混合物から)、(式中、基は各々、式I、特にIAまたはIBの化合物について定義されたとおりである)が得られる。その化合物または混合物は、次いで、対応する式II、特に式IIAもしくはIIBの化合物、またはそれらの混合物へ、無機酸ハロゲン化物、例えば特には、三ハロゲン化リン、五ハロゲン化リンまたはハロゲン化チオニル、例えば塩化ホスホリル、臭化ホスホリル、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、五臭化リン、塩化チオニルまたは臭化チオニルの存在下に変換され、ヒドロキシ基の代わりにハロゲン原子を有する対応する化合物を単離するか、あるいはさらなる反応を直ちに行う。反応は、適切な溶媒、例えばハロゲン化低級アルカン等のハロゲン化炭化水素、特にはジクロロエタンの存在下に、加熱温度、特には50〜80℃、例えば約70℃で行う。ハロゲン化された中間体化合物を単離したときは、それは次いで、対応する式IIの化合物またはそのような化合物の混合物、特に式IIAおよび/またはIIBの化合物へと、水酸化物溶液、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、適切な溶媒、特にはアルコール、例えばメタノールまたはエタノール中で変換される。 Kが活性化カルボキシである場合、式IVの化合物は、例えば、標準的な方法により得られ;それらは特に、式VII(式中、Z、nおよびXは、式Iの化合物について定義されたとおりである)の酸を、有機酸ハロゲン化物(好適な反応手順を付与すると、それがハロゲン化アシルであるときにはアシルオキシ基をもたらす)あるいは好ましくは、無機酸ハロゲン化物(式IVのカルボン酸ハロゲン化物をもたらす)、特には対応する無機酸ハロゲン化物、例えば、三ハロゲン化リン、五ハロゲン化リンまたはハロゲン化チオニル、例えば塩化ホスホリル、臭化ホスホリル、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、五臭化リン、塩化チオニルまたは臭化チオニルにより、特には塩化チオニルを用いて;溶媒の存在下または不存在下に、そして好ましくは、加熱温度、特には40℃〜還流温度で、特には還流下に変換することにより得ることができる。式IVのカルボン酸ハロゲン化物から、例えば、式IVの対応するヒドロカルビルチオカルボニルまたはヒドロカルビルオキシカルボニル化合物を、標準的な方法に従って、対応するヒドロカルビルチオールまたはヒドロカルビルアルコールとの反応により製造することができ、あるいはそれらは、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカップリング剤の存在下、必要に応じて、三級窒素塩基、例えばピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンまたはトリ−低級アルキルアミン、および必要に応じて慣用の溶媒の存在下に、式VIIのカルボン酸と直接反応させる。 式VIIのカルボン酸は、特に、式VIII(式中、Halは、臭素、塩素またはヨウ素、特には臭素または塩素である)の化合物のカルボキシル化により得ることができる。カルボキシル化は、好ましくは、式VIIIの化合物を、金属、例えば特には、リチウムまたはより特にはマグネシウムで、ジ低級アルキルエーテル等のエーテル、例えばジエチルエーテル中、ハロゲン化アルキル、例えばヨウ化メチルの存在下に0℃から還流温度、特には20℃から還流温度の温度で変換したのち、引き続き二酸化炭素を混合物に吹き込むことにより行われ、そこでは、トルエン等の芳香族炭化水素が溶媒として添加され、そして反応は、好ましくは10〜40℃の温度で、特には室温付近で行う。 式VIIIの化合物は、特に、式IX(式中、Xは、式IAおよびIBの化合物について定義されたとおりであり、そして好ましくは、イオウであり、そしてnおよびZは、式IAおよびIBの化合物について定義されたとおりである)の化合物と、塩素、臭素またはヨウ素とを、適切な溶媒、特にはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素中で、10〜40℃の好ましい温度で、特には室温付近で反応させることにより得ることができる。 式IXの化合物は公知であり、それ自体公知の方法に従って製造できるか、および/または市販されている。 Kがシアノである式IVの化合物は、例えば、式X[式中、X、Zおよびnは、式IAおよびIBの化合物について定義されたとおりであり、Xは、好ましくはNQ(ここで、Qは、式Iの化合物について定義されたとおりであり、そして特には、低級アルキルである)である]のアルデヒドから、まずそのような化合物をヒドロキシルアミンまたはその塩、例えばハロゲン化水素塩、特にはヒドロキシルアミン塩酸塩の存在下、極性溶媒、例えばアルコール、特にはエタノール中で、三級窒素塩基、例えばピリジンの存在下に、好ましくは例えば25℃から還流温度の加熱温度で、特に還流温度で反応させて対応するオキシムを形成し、それを好ましくは単離したのち、特にはカルボン酸無水物、より特には低級アルカンカルボン酸無水物、例えば無水酢酸を用いて、加熱温度、特には40〜120℃、より特には70〜90℃で脱水して対応するシアニドを形成することにより得ることができる。 式Xの化合物は公知であり、それ自体公知の方法に従って製造できるか、または市販されている。例えば、XがNQ(ここで、Qは、特には、低級アルキルである)である式Xの化合物は、XがNHである対応する化合物を、後者を強塩基、特にはアルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウムと、適切な溶媒、例えば環状エーテル、特にはTHF(炭化水素、例えば鉱油が存在することもできる)中で、0〜50℃の好ましい温度で、特には室温付近で、式Q−Mの化合物(ここで、Mは脱離基、特にはハロゲン、例えば臭素またはヨウ素である)と反応させて変換することにより得ることができる。 式V、特には、VAまたはVBの化合物は公知であり、あるいはそれ自体公知の方法に従って製造できるか、または、例えば、ロイシノール、バリノール、フェニルグリシノール、イソロイシノール、アラニノール、フェニルアラニノール、ヒスチジノール、メチオニノール(すべて、例えばFluka、Buchs、スイスより得ることができる)およびまた、チロシノール、トリプトファノール、リシノール、アルギニノール、またはグルタミノールもしくはアスパラギノール(各々、カルボキシ基が低級アルキルによりエステル化されている)、またはセリノール、システイノール等、大部分市販されている。一般的反応条件 すべての原料化合物において、反応に関与すべきではない官能基は、必要に応じて、保護基によって保護することができる。例えば、加溶媒分解、還元、光分解により、または別法として、生理的条件に類似の条件下で、例えば酵素的に、除去が簡単であること(すなわち、望ましくない二次反応が起きないこと)が保護基の特徴である。 保護基は、任意の適切な段階で導入および除去することができる。当業者は、適切な保護基ならびに反応の異なる段階でのそれらの導入および除去に対する要件および可能性をよく知っている。 そのような保護基による官能基の保護、例えば、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、アミドまたはグアニジノ基の保護に好適な保護基、それらの導入に好適な試薬、それらの除去に好適な保護基および反応は、当業者がよく知っている。好適な保護基の例は、定番の論文、例えば、J. F. W. McOmie, ″Protective Groups in Organic Chemistry″, Plenum Press, LondonとNew York 1973、T. W. Greene とP. G. M. Wuts, ″Protective Groups in Organic Synthesis″, 第三版、Wiley, New York 1999、″The Peptides″; 第三巻、(編者:E. GrossとJ. Meienhofer)、Academic Press, LondonとNew York 1981、″Methoden der organischen Chemie″, Houben-Weyl, 第4版、15/1巻、Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, H.-D. JakubkeとH. Jescheit, ″Aminosaeuren, Peptid, Proteine″, Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, とBasel 1982,および/またはJochen Lehmann, ″Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate″, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に見出すことができる。 必要に応じて、上記の反応は酸素の不存在下に、そしてまた、しばしば、二酸化炭素および/または大気の湿分の不存在下に、例えばアルゴンや窒素等の保護気体下に行われる。 可能であれば、原料化合物と中間体化合物は、塩の形態で使用され、塩の形態で得られ、あるいは慣用の方法に準じて塩、例えば、カルボキシ化合物の場合は、対応する金属塩、例えば、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、または窒素塩基との塩、例えばアンモニウム、トリ−低級アルキルアンモニウム、ピリジニウム塩等に変換されることもできる。塩形成が可能ならば、あらゆる化合物に対するすべての言及は、対応する塩をも含むものとして理解されたい。 既に述べた溶媒に加えて、問題の反応に好都合で可能な他の好適な溶媒を使用することも可能である。そのような溶媒は、例えば、以下のリスト:水、エステル、例えば酢酸ジエチル等の低級アルカン酸低級アルキル、エーテル、例えばジエチルエーテル等の脂肪族エーテルまたはジオキサンやテトラヒドロフラン等の環状エーテル、ベンゼンまたはトルエン等の液状芳香族炭化水素、メタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール等のアルコール、アセトニトリル等のニトリル、ジクロロメタン、クロロホルムまたは塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド等の酸アミド、塩基、例えばピリジン等のヘテロ環状窒素塩基、カルボン酸、例えば酢酸等の低級アルカンカルボン酸、カルボン酸無水物、例えば無水酢酸等の低級アルカン酸無水物、シクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン等の環状、直鎖状もしくは分枝状炭化水素、あるいはそのような溶媒または他の溶媒の混合物、例えば水溶液、から選択することができる。そのような溶媒および溶媒混合物はまた、後処理、例えばクロマトグラフィーまたは分配において使用することができる。以上および以下の溶媒または溶出液へのすべての言及は、同様に、そのような溶媒または溶出液の混合物を含むものであると理解されたい。 以上および以下のどこであっても溶媒が言及されるところでは、好都合で可能であるならば、二以上の言及された溶媒の混合物を使用することも可能である。当業者は、ある反応に対して、そのような溶媒または溶媒混合物は無水形態で使用しなければならないこと、そしてまた、必要に応じて、使用する反応容器は乾燥表面を有さねばならないことを知っているであろう。発明の好ましい実施態様 下記に言及する本発明の好ましい実施態様において、一般的な符号または用語は、別に明記しない限り、個々に、互いに独立に、またはすべて一緒に、上記のより特定的な定義で置き換えることができ、本発明の特に好ましい実施態様がそれによって定義される。 本発明は、Xが、酸素、イオウまたはNQ(ここで、Qはアルキルである)であり;nが、0であり;A1およびA2が、各々、非置換もしくは置換アリールであり、そしてY、Y′、Y″およびY″′が、各々、他と独立に、水素、アルキル、または非置換もしくは置換アリールであり、基Y、Y′、Y″またはY″′の少なくとも一つが、水素以外の上記の意味の一つを有する、上記の式I、特にIAもしくはIBの化合物、またはそのような化合物の混合物に関する。 特に好ましいものは、Xが、イオウまたはNQ(ここで、Qは低級アルキル、特にメチルである)であり;nが、0であり;A1およびA2は、各々、フェニルであり、そしてY、Y′、Y″およびY″′は、各々、他と独立に、水素、低級アルキル、特にイソプロピルもしくはtert−ブチル、またはフェニルであり、基Y、Y′、Y″またはY″′の少なくとも一つは、水素以外の上記の基の一つである、式I、特にIAもしくはIBの化合物、またはそのような化合物の混合物である。 本発明は特に、直前の二つの段落またはごく最初に定義したような、式I、特に式IAまたは式IBの純粋な異性体(好ましくは、80%より高い、特には90%より高い、より特には95%より高い、極めて特には98%より高い純度を有する)に関する。 本発明はまた、特に、直前の三つの段落に定義したような、式IAもしくはIBの化合物;またはそれらの混合物をリガンドとして含む、遷移金属の、特に、ロジウム、ルテニウム、またパラジウム、白金、イリジウム、ニッケルまたはコバルトの錯体に関する。 錯体の製造に対しては、特に異性体的に純粋な、式Iの、特に式IAまたは式IBのいずれかの化合物が使用され、立体選択的な反応を行うためのキラルな触媒として使用するのに好適な触媒をもたらす。 本発明はまた、新規な中間体化合物、特には式IIの化合物、より特には式IIAおよびIIBの化合物、およびそれらの混合物、特には、実施例で言及する式IIの化合物に関する。 本発明は、特に、以下の実施例で言及される、式I、特に式IAおよび/または式IBの化合物、それらの製造、新規な前駆体および中間体、式I、特に式IAおよび/またはIBの化合物およびそれらの混合物の錯体、ならびにそれらの使用またはそれらの錯体が触媒として使用される、有機化合物の製造方法に関する。 以下の実施例は、本発明を例証するものであるが、その範囲を限定するものではない。略語:b.p. 沸点eq. 当量h 時間HV 高真空min 分NMR 核磁気共鳴分光学RT 室温THF テトラヒドロフラン 以下の頁は実施例1〜3の反応スキームを示す。実施例1〜3の反応スキーム実施例1:2−(2−ジフェニルホスファニル−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)−(4S)−イソプロピル−4,5−ジヒドロオキサゾリン 8a オキサゾリン7a(0.92g、3.83mmol)を、シュレンク容器中でアルゴン下に、ジエチルエーテル10mlに溶解し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、2.63ml、4.20mmol、1.1eq.)を滴下し、得られたミルク状の懸濁液を1.5時間攪拌した。次いで、クロロジフェニルホスフィンを滴下し、反応混合物をさらに30分間RTで攪拌した。その後、ペンタンと水を加え、有機相を分離し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮して、8a(1.30g、79%)を、HV下に結晶化する黄色油状物の形態で得た。31P-NMR (124 MHz, CDCl3): -12.4; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 0.81 (d, J = 6.8, 3H); 0.90 (d, J = 6.5, 3H); 1.62-1.70 (m, 1H); 3.88 (dd, J = 7.6, 7.6, 1H); 3.95-4.04 (m, 1H); 4.16 (dd, J = 8.9, 7.8, 1H); 7.28-7.49 (m, 12H); 7.65-7.69 (m, 1H); 8.57 (d, J = 8.2, 1H). 原料は以下のようにして製造した。a)3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン 2 クロロホルム60ml中の臭素(9.1ml、0.176mmol、1.07eq.)の溶液を、RTで、クロロホルム340ml中のベンゾ[b]チオフェン(1、22.4g、0.166mmol)の攪拌溶液に滴下した。2.5時間後、溶媒を留去し、残った液体をHV(0.16mbar、94℃)下に蒸留して、2(27.7g、78%)を淡黄色溶液の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 7.39-7.51 (m, 2H); 7.70-7.75 (m, 1H); 7.95 (s, 1H); 7.99-8.04 (m, 1H).b)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸 3 無水ジエチルエーテル230ml中の2およびヨウ化メチル(14.4ml、230mmol、1eq.)の溶液を、反応温度が34℃を超えないように、無水ジエチルエーテル60ml中のマグネシウム片(24.3g、575mmol、2.5eq.)の激しく攪拌した懸濁液に滴下した。滴下が終了したとき、反応混合物を30分間還流下に沸騰させた。RTに冷却後、トルエン290mlを加え、二酸化炭素を混合物に6時間吹き込んだ。得られた黄色析出物をHCl(水中4M)400ml中に溶解した。相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を10%炭酸ナトリウム溶液で4回抽出し、得られた水性抽出物をジエチルエーテルで洗浄し、HCl(4M)で酸性化した。析出物をろ別し、水洗し、HV下に乾燥して、3(18.4g、45%)を白色結晶の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 7.39-7.55 (m, 2H); 8.05 (ddd, J = 7.9, 1.5, 0.6, 1H); 8.49 (ddd, J = 7.9, 1.5, 0.6, 1H); 8.61 (s, 1H); 12.29 (s, br, 1H).c)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸クロリド 4 3(7.50g、42.1mmol)と塩化チオニル(15.0ml、206mmol、4.9eq.)との混合物を還流下に4時間沸騰させた。過剰の塩化チオニルを減圧下に除去し、残渣をクーゲルロール(kugelrohr)中で蒸留して(b.p.132℃、0.076mbar)、4(7.96g、96%)を白色結晶の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 7.39-7.55 (m, 2H); 7.99 (d, J = 7.9, 1H); 8.48 (d, J = 7.9, 1H); 8.61 (s, 1H).d)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(1(S)−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル)−アミド 5a 塩化メチレン120ml中のL−バリノール((S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール);4.41g、42.7mmol)とトリエチルアミン(6.63ml、47.0mmol、1.12eq.)との溶液を、窒素下に、0℃に冷却した。塩化メチレン120ml中の4(8.40g、42.7mmol)の溶液を30分間で滴下し、反応混合物をRTで一晩攪拌した。得られた懸濁液を塩化メチレン700mlに溶解し、塩酸(1M)500mlで抽出した。水相を再抽出したのち、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮した。塩化メチレン/ヘキサンより再結晶して、5a(9.30g、83%)を白色結晶の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 0.91 (d, J = 7.0, 3H); 0.93 (d, J = 7.0, 3H); 1.92 (m, 1H); 3.45-3.55 (m, 2H); 3.84-3.92 (m, 1H); 4.57 (t, J = 5.6, 1H); 7.37-7.48 (m, 2H); 7.94 (d, J = 9.1, 1H); 7.99-8.02 (m, 1H); 8.34 (s, 1H); 8.39-8.42 (m, 1H).e)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(1(S)−クロロメチル−2−メチルプロピル)−アミド 6a 酸5a(9.30g、35.5mmol)をジクロロメタン145mlに溶解し、塩化チオニル(6.33ml、86.1mmol、2.43eq.)を加え、混合物を70℃で2時間攪拌した。RTに冷却後、飽和炭酸ナトリウム溶液150mlを得られた溶液に加えた。有機相を分離し、水相を塩化メチレン160mlで2回再抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮して、6a(9.68g、97%)を白色結晶の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 0.94 (d, J = 6.8, 3H); 0.98 (d, J = 6.8, 3H); 1.86-2.04 (m, 1H); 3.75 (dd, J = 11.1, 7.9, 1H); 3.85 (dd, J = 11.1, 3.8, 1H); 4.00-4.10 (m, 1H); 7.38-7.48 (m, 2H); 8.00-8.04 (m, 1H); 8.35 (d, J = 8.5, 1H); 8.37-8.41 (m, 2H).f)2−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−4(S)−イソプロピル−4,5−ジヒドロオキサゾリン 7a 6a(9.68g、34.4mmol)およびメタノール250ml中の水酸化ナトリウム(1.44g、36.1mmol、1.05eq.)の溶液の混合物を70℃で2時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターを用いて除去した。残渣を塩化メチレン300mlに取り入れ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液150mlで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮して、7a(8.48g、100%)を黄色油状物の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 0.99 (d, J = 6.7, 3H); 1.11 (d, J = 6.7, 3H); 1.80-1.95 (m, 1H); 4.11 (dd, J = 15.2, 7.6, 1H); 4.16-4.23 (m, 1H); 4.38 (dd, J = 9.1, 7.4, 1H); 7.37-7.52 (m, 2H); 7.82-7.90 (m, 1H); 8.07 (s, 1H); 8.79-8.83 (m, 1H).実施例2:[4(S)−tert−ブチル−2−(2−ジフェニルホスファニル−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)]−4,5−ジヒドロオキサゾリン 8b 実施例1の手順と同様に製造した。7b(0.72g、2.77mmol)、n−ブチルリチウム(1.9ml、3.05mmol、1.1eq.)およびクロロジフェニルホスフィン(0.51ml、2.77mmol、1eq.)より出発して、8b(0.64g、52%)を白色結晶の形態で得た。31P-NMR (124 MHz, CDCl3): -12.4; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 0.81 (s, 9H); 3.90-4.15 (m, 3H); 7.27-7.46 (m, 12H); 7.64-7.69 (m, 1H); 8.56-8.63 (m, 1H). 原料は以下のように製造した。a)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(1(S)−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチルプロピル)−アミド 5b 実施例1d)の手順と同様に製造した。L−tert−ロイシノール((S)−2−アミノ−3,3−ジメチル−1−ブタノール;0.48g、4.07mmol)、トリエチルアミン(0.6ml、4.47mmol、1.12eq.)および化合物4(実施例1c)より出発して、5b(1.12g、99%)を白色結晶の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 0.93 (s, 9H); 3.46 (ddd, J = 15.0, 8.8, 6.1, 1H); 3.67 (ddd, J = 15.0, 8.8, 5.3, 1H); 3.90 (ddd, J = 8.8, 8.8, 3.5, 1H); 4.48 (t, J = 5.7, 1H); 7.34-7.46 (m, 2H); 7.96 (d, J = 9.4, 1H); 7.99-8.02 (m, 1H); 8.34 (s, 1H); 8.35-8.40 (m, 1H).b)2−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−(4S)−tert−ブチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール 7b: 6aについての実施例1e)の手順と同様に製造した。アルコール5b(1.12g、4.04mmol)および塩化チオニル(0.7ml、9.81mmol)より出発して、オキサゾリン7b(0.80g、70%)を無色油状物の形態で直接得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 1.02 (s, 9H); 4.11-4.23 (m, 2H); 4.26-4.35 (m, 1H); 7.37-7.52 (m, 2H); 7.87 (d, J = 8.2, 1H); 8.08 (s, 1H); 8.79 (d, J = 7.9, 1H).実施例3:2−(2−ジフェニルホスファニル−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)]−(4S)−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾリン 8c 実施例1または2と同様の手順。7c(1.00g、3.36mmol)、n−ブチルリチウム(2.3ml、3.70mmol、1.1eq.)およびクロロジフェニルホスフィン(0.62ml、3.36mmol、1eq.)より出発して、8c(1.22g、78%)を白色結晶の形態で得た。31P-NMR (124 MHz, CDCl3): -12.4; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 3.96 (dd, J = 8.3, 8.3, 1H); 4.56 (dd, J = 10.3, 8.3, 1H); 5.34 (dd, J = 10.3, 8.8, 1H); 7.04-7.09 (m, 2H); 7.22-7.52 (m, 15H); 7.68-7.72 (m, 1H); 8.60-8.66 (m, 1H). 原料は以下のように製造した。a)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(1(S)−ヒドロキシメチル−1−フェニル−エチル)−アミド 5c 実施例1d)と同様の手順。L−α−フェニルグリシノール((S)−2−アミノ−2−フェニル−エタノール;0.70g、5.09mmol)、トリエチルアミン(0.8ml、5.60mmol、1.12eq.)および4c(1.00g、5.09mmol)より出発して、5c(1.52g、100%)を白色結晶の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 3.61-3.79 (m, 2H); 4.97 (t, J = 5.9, 1H); 5.04-5.18 (m, 1H); 7.20-7.48 (m, 7H); 7.99-8.02 (m, 1H); 8.32-8.40 (m, 1H); 8.48 (s, 1H); 8.76 (d, J = 7.9, 1H).b)2−ベンゾチオフェン−3−イル−(4S)−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾリン 7c 実施例1e)の手順と同様に製造した。アルコール5c(1.51g、5.09mmol)および塩化チオニル(0.9ml、12.4mmol)より出発して、オキサゾリン7c(1.35g、84%)を白色結晶の形態で直接得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 4.24 (dd, J = 8.1, 8.1, 1H); 4.77 (dd, J = 8.21, 10.0, 1H); 5.51 (dd, J = 10.0, 8.2, 1H); 7.30-7.53 (m, 7H); 7.85-7.92 (m, 1H); 8.22 (s, 1H); 8.87-8.92 (m, 1H).実施例4〜6の反応スキーム実施例4:2−ジフェニルホスファニル−1−メチル−3−[(4S)−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル]−1H−インドール 13a N,N,N′,N′−テトラメチル−エチレンジアミン(56μl、0.37mmol)をTHF(1ml)中の12a(30mg、0.12mmol)の溶液に加えた。溶液を−78℃に冷却し、次いでtert−ブチルリチウム(ペンタン中1.5M、0.25ml、0.37mmol)を滴下した。−78℃で2時間攪拌したのち、クロロジフェニルホスフィン(70μl、0.37mmol)を加えた。その後、反応混合物を6時間かけてゆっくりRTまで加温し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加することによりクエンチした。生成物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジエチルエーテル)で精製し、化合物13a(14mg、30%)を油状物の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 0.83 (d, J = 6.6, 3H); 0.95 (d, J = 6.6, 3H); 1.58 (sept, J = 6.6, 1H); 3.15-3.45 (m, 3H); 4.00 (s, 3H); 7.20-8.00 (m, 14H). 原料化合物は以下のように製造した。a)1−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド 10 水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁物1.8g、44.9mmol)をTHF中の9(インドール−3−カルバルデヒド;4.0g、27.5mmol)の溶液にゆっくり加えた。反応混合物をRTで1時間攪拌し、次いで、ヨウ化メチル(3.34ml、55.1mmol)を加えた。反応混合物をRTでさらに8時間攪拌したのち、水(20ml)を添加することによりクエンチした。その後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて除去して、N−メチル化アルデヒド10(4.3g、98%)を黄色固体の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 3.87 (s, 3H); 7.27-7.37 (m, 2H); 7.67 (s, 1H); 8.3 (m, 1H); 9.98 (s, 1H).b)1−メチル−1H−インドール−3−カルボニトリル 11 NH2OH・HCl(3.8g、55mmol)およびピリジン(11.1ml、137mmol)を、エタノール(15ml)中の10(4.3g、27.5mmol)の溶液に加え、混合物を還流下に3時間攪拌した。RTに冷却したのち、塩酸(1M)の添加により反応物をクエンチした。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル(3x10ml)で抽出した。合わせた有機相をHCl(1M)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。残渣は、エタノールとシクロヘキサンを添加することにより結晶化させた。そのようにして得られたオキシムをろ別し、シクロヘキサンで洗浄し、乾燥し、その後無水酢酸(10ml)に溶解した。反応混合物を開放反応容器中で80℃で48時間攪拌し、次いで、酢酸エチル(40ml)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液との間で分配した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発により濃縮して、11(4.2g、98%)を濃紫色油状物の形態で得た。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): 3.80 (s, 3H); 7.27-7.37 (m, 2H); 7.67 (s, 1H); 7.27-7.41 (m, 3H); 7.58 (s, 1H); 7.68-7.72 (m, 1H).c)1−メチル−3−[(4S)−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル]−1H−インドール 12a 二塩化亜鉛(ZnCl2)(0.39mg、2.88mmol)を反応容器中でHV下に溶融し、次いで、アルゴン下に冷却した。その後、L−バリノール(0.3g、3.16mmol)、11(0.45g、2.88mmol)およびクロロベンゼン(10ml)を得られた固体に加えた。混合物を還流下に58時間沸騰させた。RTに冷却したのち、混合物を塩化メチレンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えた。混合物をRTで1時間攪拌したのち、ろ過した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発により濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジエチルエーテル)で精製し、12a(0.35g、50%)を油状物の形態で得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 0.95 (d, J = 6.6, 3H); 1.06 (d, J = 6.6, 3H); 1.8 (sept, J = 6.6, 1H); 3.81 (s, 3H); 4.03-4.16 (m, 2H); 4.30-4.40 (m, 1H); 7.21-7.34 (m, 3H); 7.68 (s, 1H); 8.23-8.27 (m, 1H).実施例5:2−ジフェニルホスファニル−1−メチル−3−[(4S)−tert−ブチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル]−1H−インドール 13b この化合物を、実施例5c)の化合物12aと同様にして製造された化合物12bより出発して、実施例4と同様にして製造した。実施例6:2−ジフェニルホスファニル−1−メチル−3−[(4S)−フェニル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル]−1H−インドール 13c この化合物を、実施例5c)の化合物12aと同様にして製造された化合物12cから出発して、実施例4と同様にして製造した。実施例7:移動触媒反応における金属錯体の製造および使用 以下の移動水素化を、下記のリガンドの存在下に行った(Ph=フェニル)。一般的な触媒反応の手順 アルゴン下に、0.010mmolの[RuCl2(PPh3)3]と0.013mmolの7とを、乾燥し脱気したイソプロパノール5mlに還流下(82℃)で溶解した。得られた溶液を還流下に30分間沸騰させた。次いで、乾燥し脱気したイソプロパノール3ml中のアセトフェノン(10mmol)の溶液を加え、15分間攪拌した。イソプロパノール2ml中のNaOH10mg(0.25mmol)の溶液を加えることにより、反応を開始した。30分後、反応を中断し、半量の溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル9:1、v/v)で精製した。触媒として7a、7bおよび7cを用いた結果: 「ee」(鏡像体過剰率)は、式(式中、XRおよびXSは各々、生成物の、それぞれ、R−体およびS−体のモル量である)に従って算出される。 式I[式中、Xは、酸素、イオウ、セレンまたはNQ(ここで、Qは、非置換もしくは置換アリールまたはアルキルもしくは置換アルキルである)であり;nは、0、1、2、3または4であり;A1およびA2は、各々、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換シクロアルキル、または−N(D)2(ここで、D2は、アルキルまたは置換アルキルである)であるか;またはA1およびA2は、結合しているリン原子と一緒になって、非置換であるかまたは置換されていてもよい環を形成し;Y、Y′、Y″およびY″′は、各々、他と独立に、水素またはアルキル、置換アルキル(アリール−低級アルキル(ここでアリール基は、非置換であるかまたは置換されている)およびヘテロシクリル−低級アルキル(ここでヘテロシクリル基は、非置換であるかまたは置換されている)を含む)、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルであり、基Y、Y′、Y″またはY″′の少なくとも一つは、水素以外の上記の基の一つであり;そしてZは、存在する場合、置換基であり、複数の置換基Zが存在する場合、それらの置換基は互いに独立に選択されることが可能である]の化合物またはそのような化合物の混合物。 請求項1に記載の、式Iの範囲内である式IAまたはIB[式中、Xは、酸素、イオウまたはNQ(ここで、Qは、非置換もしくは置換アリール、またはアルキルもしくは置換アルキルである)であり;nは、0、1、2、3または4であり;A1およびA2は、各々、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換シクロアルキル、または−N(D)2(ここで、D2は、アルキルまたは置換アルキルである)であるか;またはA1およびA2は、結合しているリン原子と一緒になって、非置換であるかまたは置換されていてもよい環を形成し;Yは、アルキル、置換アルキル、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルであり;そしてZは、存在する場合、置換基であり、複数の置換基Zが存在する場合、それらの置換基は互いに独立に選択されることが可能である]の化合物またはそのような化合物の混合物。 請求項2記載の式IAのまたは式IBの純粋な異性体。 請求項2記載の式IAもしくはIBの化合物、またはそのような化合物の混合物をリガンドとして含む、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、イリジウム、コバルトまたはニッケルの錯体。 請求項1記載の式Iの化合物、またはそのような化合物の混合物の一つ以上のリガンドを、有機溶媒中で、大気圧の窒素またはアルゴンのような不活性気体雰囲気下に、0°から混合物の沸点までの温度で、遷移金属の錯体または遷移金属イオンの溶液と反応させる、請求項4に記載の錯体の製造方法。 不斉アリルアルキル化、水素化、移動水素化、ヒドロシリル化、ヒドロホウ素化、ヒドロホルミル化、ヒドロアミノ化、ディールス−アルダー反応、グリニャールクロスカップリング反応、ヘック反応および共役−付加反応における、または共重合、三元共重合、触媒的アミノ化もしくはクロスカップリングにおける触媒としての、請求項4に記載の錯体の使用。 式II(式中、Z、n、Y、Y′、Y″、Y″′およびXは、請求項1における式Iの化合物について定義されたとおりである)の化合物またはそのような化合物の混合物を、C1〜C7アルキルリチウムを添加したのち、式III(式中、A1およびA2は、式Iの化合物について定義されたとおりであり、Lは、ハロゲンである)の化合物と反応させ、そして、所望により、得られる式Iの化合物、そのような化合物の混合物を、式Iの異なる化合物に、またはそのような化合物の混合物に変換し、および/または式Iの化合物の得られる異性体混合物を個々の異性体に分離する、請求項1記載の式Iの化合物、またはそのような化合物の混合物の製造方法。


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