タイトル: | 特許公報(B2)_頭皮疾患の治療のための経口組成物 |
出願番号: | 2003518568 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61K 8/97,A61P 17/00,A61P 17/08,A61P 17/14,A61Q 5/00,A61Q 7/00 |
ディ ピエッロ、 フランチェスコ JP 4988146 特許公報(B2) 20120511 2003518568 20011114 頭皮疾患の治療のための経口組成物 インデナ エッセ ピ ア 591092198 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 緒方 雅昭 100127454 岡 晴子 100118957 ディ ピエッロ、 フランチェスコ IT MI2001A001732 20010807 20120801 A61K 36/18 20060101AFI20120712BHJP A61K 8/97 20060101ALI20120712BHJP A61P 17/00 20060101ALI20120712BHJP A61P 17/08 20060101ALI20120712BHJP A61P 17/14 20060101ALI20120712BHJP A61Q 5/00 20060101ALI20120712BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20120712BHJP JPA61K35/78 CA61K8/97A61P17/00A61P17/08A61P17/14A61Q5/00A61Q7/00 A61K35/78-35/84 A61K8/97 CA/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580 特開2000−201650(JP,A) 国際公開第00/56269(WO,A2) 国際公開第01/30311(WO,A1) 米国特許第5895652(US,A) 特開平9−100220(JP,A) SULTAN C et al,Inhibition of androgen metabolism and binding by a liposterolic extract of ’’serenoa repens B’’ in human foreskin fibroblasts,J Steroid Biochem ,1984年,Vol.20,No.1,Page.515−519 2 EP2001013188 20011114 WO2003013561 20030220 2005511494 20050428 7 20041112 2009025031 20091217 横尾 俊一 前田 佳与子 田名部 拓也 本発明は、植物由来活性成分を含む、頭皮の疾患の治療および予防のための医薬用および/または化粧用組成物に関する。 より詳細には、本発明は、ノコギリヤシ(Serenoa repens)およびブドウ(Vitis vinifera)エキスを活性成分として含む、頭皮の疾患の治療および予防のための医薬用および/または化粧用組成物に関する。 フケ、脂漏症および抜け毛ないし脱毛症は最も普通の頭皮の疾患である。 男性型脱毛症は特に白色人種においる頻度が非常に高いので、遺伝の仕方を決めるいずれの試みも難しいものになっているけれど、多くの研究により、男性型脱毛症が遺伝的傾向を有する人に生理的過程であることが証明されている。そのような遺伝的性質は確実に常染色体にあるけれど、含まれる遺伝子の数はいまだ確定されていない。 アンドロゲンと男性型脱毛症の進行が相関している事実がある:例えば、定型的な脱毛症は毛髪活動期の時間の減少に関係し、アンドロゲンは頭皮毛包の活動期を短くすることが知られている。頭皮毛包は小さく疎になる。組織アンドロゲン、すなわちテストステロンおよびより強いジヒドロテストステロン(DHT)、は血液循環により皮膚に到着することができ、また、ステロイド代謝経路において特定の酵素により毛包および皮脂腺で局所的に製造される。男性型脱毛症を患う男性および婦人の頭皮から人毛髪の毛包および皮脂腺における、5−α−リダクターゼを含む、DHT形成を誘発する多くの酵素の速度定数が評価されている;その上、特異的にDHTを結合するアンドロゲン受容体は皮脂細胞および人毛髪で同定されている。 最近、結合研究により、ハゲかけている人の毛包の毛乳頭の方が健常人の毛包の毛乳頭よりも多くのアンドロゲン受容体を含むことが示された。このホルモン経路の結果、異常皮脂分泌が生じ、次いで脱毛症の悪化ならびに皮脂およびフケの過剰分泌を誘発する。 5−α−リダクターゼには2つのイソ型、すなわち1型および2型、が知られている。前立腺は2型のイソエンザイムを含み、一方、皮膚および皮膚付属物(毛髪および皮脂腺)は1型および2型の両方を含む。当初は前立腺肥大症の治療のために用いられた2型の5−α−リダクターゼ阻害剤である、フィナステリドが男性型脱毛症の治療にも活性があることが明らかにされた;さらに、ハゲの深刻さと良性の前立腺肥大症の深刻さとの関係が認められた。 5−α−リダクターゼのほかに、酸化的ストレス(汚染、大気物質等)や食事における微量元素および含硫アミノ酸(メチオニン、システイン、シスチンのような)の摂取不足も毛髪に悪影響を与える。 現在市販されている、フケや脱毛症の治療のための多くの医薬用あるいは化粧用製剤はいまだこれら問題を満足に解決するに至っていない。 中でも、抗アンドロゲン活性、抗ラジカル活性、抗老化活性を発揮する種々の成分の異なる活性の組合せた結果、植物由来の活性成分の組合せを含む医薬用および/または化粧用の経口製剤が、頭皮疾患、特に脱毛症およびフケの治療に優れた結果をもたらすことが見出され、これが本発明の目的である。 発明の組成物は、いわゆる頭皮疾患の進行に寄与する要因、特にアンドロゲン類、酸化的ストレス、食事中に存在する微量元素および含硫アミノ酸に作用する。 特に、本発明は、下記成分を含む経口の医薬用および/または化粧用組成物に関する: a)ノコギリヤシエキス、 b)標準ブドウエキス、遊離型のおよび/またはリン脂質複合体として。 本発明の組成物の成分はすべて良く知られており、医薬および/または化粧の分野で使用されている。しかし、別々に用いられた時、個別の成分は本発明の組成物から得られる活性よりもはるかに低い活性を示し、本発明の組成物中では種々の成分が頭皮疾患の予防および治療に共働的効果を発揮することが見出されたことに注意されたい。a)ノコギリヤシエキスは抗アンドロゲン活性により良性の前立腺肥大症に有効な植物性治療薬である。この製品は、EP250953に開示されているように、CO2超臨界条件で植物から抽出される脂肪酸の特定の混合物であり、放射線標識3H−メチルトリエノロンの置換で立証されたように、前立腺の単離細胞での試験管中で試験したとき、アンドロゲン受容体への強い親和性を示した。b)GB1541469に開示されているブドウエキスは、没食子酸、ならびに遊離型であるいは没食子酸エステルとしてエステル化されたカテキンおよびエピカテキンの単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体および七量体を含む。広範な探索では多くの性質が判明した:a)より反応性のラジカルを除去する強い、完全な抗酸化の特性、それにより遊離ラジカル活性に関係する現象すべてに抵抗すること;b)キサンチン酸化酵素を阻害するおよびC++およびFe++をキレートする活性、つまり生体内への遊離ラジカルの酵素的分泌を防止すること;c)コラーゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼおよびβ−グルコニナーゼを阻害する活性、つまりUV照射従って分泌されるタンパク質分解酵素、酸化的ストレスおよび炎症反応の進行中に生じる損傷に対して血管および結合組織を保護すること。 上記のように、ブドウエキスも、US4963527に開示されたようにリン脂質複合体の形で存在することができる。 本発明の組成物は、上記の成分の他に、有用なまたはいずれにしても補助的活性を有する他の成分、例えば、亜鉛、銅、鉄、セレン、マグネシウウムのような微量元素類、L−リジン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−システイン、L−シスチンのようなアミノ酸類、ビタミンB複合体、ビタミンE、ビタミンCのようなビタミン類を場合により含んでもよい。 本発明の組成物は、例えば、「Remington: the Science and Practice of Pharmacy」(Lippincott, WilliamsおよびWilkins編、2000年12月)に記載されているように、通常の方法に従い、経口投与形に製剤化される。この組成物は、錠剤、カプセル剤、経口製剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、再構成用粉末、注射液または懸濁液、および輸液あるいは座薬用液剤の形態であることができる。 経口投与の錠剤およびカプセル剤は、通常一回投薬量の形であり、結合剤、希釈剤、打錠剤、滑剤、崩壊剤、色素、香料および湿潤剤の一般の賦形剤を含む。錠剤は当該分野で周知の方法で被覆してもよい。 本発明のある実施態様によれば、組成物は同時に投与するための2つのカプセル剤の形態で存在する。一方が本発明のエキスを含み、他方は上記の微量元素を含む。 経口液体調製剤は、例えば、水性または油性の溶液または懸濁液、乳濁剤、シロップ剤もしくはエキシル剤、または使用する前に水または他の適切な単体で再構築のための乾燥製剤の形態であってよい。この液体調製剤は、懸濁剤、乳化剤、非水担体、保存剤、香料あるいは色素のような一般の賦形剤を含んでよい。 本発明の組成物は、成分が下記の範囲の1日摂取量であるような投与形態で使用する: a)標準ノコギリヤシエキス(40〜320mg/日); b)遊離型でおよび/またはリン脂質複合体として標準ブドウエキス(それぞれ50〜300mg/日および150〜900mg/日)。 微量元素は、1日摂取量0.1〜100mgを与える量で存在することができる。 本発明の組成物は、トリコグラム(trichogram)への有効な作用により、頭皮疾患、例えば、フケ、脂漏症および脱毛症の治療に、および健康な毛髪を確保しながら前記の疾患の予防に有効であることが明らかになった。 薬理学的試験の結果を以下に報告する。 フケ、皮脂産生および抜け毛に関する効果 フケ(頭皮の落屑)を有する被験者60名を無作為に4グループに分けた。第1のグループには実施例1で作成したカプセル剤を1日あたり1錠8週間投与した。治療開始直前、治療終了時(8週間後)および治療終了4週間後(追跡調査)に評価した。第2のグループには同じ条件の擬似薬を与えた。第3および第4のグループには、それぞれブドウエキス25mgおよびノコギリヤシエキス80mgを与えた。 第1表で報告した結果は、8週間の治療後の落屑した細胞数(Mac Ginleyら、J.Invest.Dermatol.53、107、1969に従って評価した)が85から18細胞/cm2に減少したことを明示している。落屑細胞数は追跡調査4週間後でも依然かなり減少していた(21細胞/cm2)。 第2表で報告した結果は、本発明のカプセル剤での治療により頭皮の皮脂の平均値が105から92U.S.(U.S.=任意の皮脂計量単位)へ減少していることを明示している。 抜け毛に関する効果をトリコグラムで評価した。これは、各被験者のハゲ上がりそして前の方の生え際の前頭領域から十分な数の毛髪(約50本)を採ることからなる(Bosse K.、Hautzart、18、35、1967;Bosse K.、Hautzart、18、218、1967)。活動(成長)期、移行(成熟)期あるいは休止(休憩)期にある毛髪のパーセントは顕微鏡下に各単毛幹の顕微鏡観察により評価された。栄養失調活動期、つまり毛幹が小型化している時期もこの研究で評価した。休止期にある毛髪のパーセントが10〜15%(標準である考えられる)を超えることは、抜け毛の臨床的に病的な状況の指標である。第3表に報告した結果は、本発明のカプセル剤で8週間の治療後には活動期の毛球を増加させ、栄養失調活動状毛髪の値を減少させ、結果として、休止期の毛球を減少させることが見られたことを明示している。これらの結果は4週間後の追跡調査でも見られた。擬似薬グループでは治療終了時および4週間後の追跡調査のいずれも臨床状況はまさに反対であった。 脂漏性皮膚炎に関する効果 頭皮の脂漏性皮膚炎を患っている被験者40名を無作為に4つのグループに分けた。第1のグループには実施例1で作成したカプセル剤を1日あたり1錠8週間投与した。機器による皮脂評価は治療開始直前、治療終了時(8週間後)および治療終了4週間後(追跡調査)に行なわれた。第2のグループには同じ条件の擬似薬を与えた。第3および第4のグループには、それぞれブドウエキス25mgおよびノコギリヤシエキス80mgを与えた。 第4表に報告した結果は、本発明のカプセル剤による治療が、皮脂の値が200U.S.(U.S.=任意皮脂計量単位)を超えている脂漏性皮膚炎を患っている被験者の頭皮の皮脂の平均値を減少させたことを明示している。この値は4週間後追跡調査でもかなり低い。 本発明の組成物の例を以下に報告する。実施例1 硬質ゼラチンカプセル剤 各326mgカプセル剤は下記を含む:ノコギリヤシエキス 50.0mgブドウエキス 25.0mgL−システイン 30.0mgL−ヒスチジン 30.0mgL−メチオニン 30.0mgD−パルトテン酸Ca 15.0mgクエン酸亜鉛(亜鉛3mg相当) 10.0mgクエン酸銅(銅0.8mg相当) 2.3mgβ―カロチン10%W.S.(ビタミンA700U.I.相当) 4.3mgコロイダルシリカ(Aerosil 2000−DEGUSSA) 30.0mg微結晶セルロース(Avicel Ph101−FMC) 30.0mgマルトデキストリン(Lycatab DSH−ROQETTE) 30.0mgアルファ化澱粉(Amido STA1500−COLORCON) 21.9mg架橋Naカルボキシメチルセルロース(Ac‐Of‐Sol−FMC)15.0mgステアリン酸マグネシウム 2.5mg実施例2 硬質ゼラチンカプセル剤 各326mgカプセル剤は下記を含む:ノコギリヤシエキス 80.0mgブドウエキス 25.0mg大豆多糖類(Emcosoy−MENDELL) 83.0mgD−パルトテン酸Ca 15.0mgグルコン酸亜鉛(亜鉛3mg相当) 23.84mgグルコン酸銅(銅0.8mg相当) 5.7mgコロイダルシリカ(Aerosil 2000−DEGUSSA) 6.2mg微結晶セルロース(Avicel Ph101−FMC) 30.0mgアルファ化澱粉(STA1500starch−COLORCON) 72.0mgステアリン酸マグネシウム 2.5mg 頭皮疾患の治療および予防のための経口の医薬用および/または化粧用の組成物の製造のための下記成分の使用: a)ノコギリヤシ(Serenoa repens)エキス、 b)遊離形でおよび/またはリン脂質複合体としてのブドウ(Vitis vinifera)エキス。 頭皮疾患の治療および予防のための経口の医薬用および/または化粧用の混合物の製造のための、亜鉛、銅、鉄、セレン、マグネシウウムのような微量元素類、L−リジン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−システイン、L−シスチンのようなアミノ酸類、ビタミンB複合体、ビタミンE、ビタミンCのようなビタミン類からなる群より選ばれた追加活性成分と組み合わせての下記成分の使用: a)ノコギリヤシエキス、 b)遊離形でおよび/またはリン脂質複合体としてのブドウエキス。