タイトル: | 特許公報(B2)_アスコルビン酸−3リン酸の安定化誘導体 |
出願番号: | 2003515532 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07F 9/655,A61K 8/67,A61K 9/50,A61K 31/665,A61P 3/02,A61P 17/16 |
バブツォフ、ブラディミール シャピロ、ユーリー クヴィトニツキー、エンマ ビラクホフ、ヴァレリー JP 4991088 特許公報(B2) 20120511 2003515532 20010726 アスコルビン酸−3リン酸の安定化誘導体 タグラ バイオテクノロジーズ リミテッド 502177233 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 バブツォフ、ブラディミール シャピロ、ユーリー クヴィトニツキー、エンマ ビラクホフ、ヴァレリー 20120801 C07F 9/655 20060101AFI20120712BHJP A61K 8/67 20060101ALI20120712BHJP A61K 9/50 20060101ALI20120712BHJP A61K 31/665 20060101ALI20120712BHJP A61P 3/02 20060101ALI20120712BHJP A61P 17/16 20060101ALI20120712BHJP JPC07F9/655A61K8/67A61K9/50A61K31/665A61P3/02 107A61P17/16 C07F 9/00-19/00 C07D 307/62 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開昭58−131978(JP,A) 特開平01−228978(JP,A) 特開昭61−246174(JP,A) Nomura, Hiroaki; Ishiguro, Toshihiro; Morimoto, Shiro,L-Ascorbic acid derivatives. II. L-Ascorbic acid 3-phosphate and 3-pyrophosphate,Chemical & Pharmaceutical Bulletin ,日本,1969年,17(2),381-6 Annals of the New York Academy of Sciences,Vol.258,p.48-69 (1975). Journal of Organic Chemistry,Vol.44, No.4,p.658-659 (1979). Carbohydrate Research,Vol.67, No.1,p.127-138 (1978). Chemical & Pharmaceutical Bulletin,Vol.30, No.3,p.1024-1029 (1982). 7 IL2001000690 20010726 WO2003010173 20030206 2004536872 20041209 14 20080723 小久保 敦規 本発明は、新規なアスコルビン酸誘導体およびそれらを含む医薬品および化粧品組成物に関する。 下記の参考文献が本発明の技術分野の状況を説明するのに重要と考えられる。 EP306,904、US5,098,904、US3,671,549、JP63,104,971、JP7,017,989、JP8,034,791、JP98,363,316、JP98,201,242、JP10,324,672、DE3,613,590およびDE1,805,958。 一般名ビタミンCで広く知られているL−アスコルビン酸は医薬品、食品添加剤および化粧品に使用されている。L−アスコルビン酸はその抗酸化作用に関連して広く使用されている。しかし、ビタミンCは、特に好気性の条件において、また光への曝露によって容易に酸化されるので、純粋なビタミンCを最終製品に配合することは困難である。従って、アスコルビン酸は、通常、純粋な形で使用するよりもその誘導体が使用される。ラクトンの形のアスコルビン酸は2,3,5および6位の炭素に4つの水酸基を有する。これらの水酸基の化学活性は異なっている。2位と3位の水酸基は2位と3位の炭素を繋ぐ二重結合とともにエンジオール系を形成し、これは酸化に非常に敏感である。この系がアスコルビン酸の酸化分解の原因である。他方、5位と6位の水酸基はむしろ安定なジオール系を形成する。通常のアスコルビン酸の誘導体では水酸基がアルキル、アシル、スルホまたはホスホ含有基に換えられるが、これによって、水または油中のアスコルビン酸の溶解度が影響される。既知のアスコルビン酸の誘導体は2つの群に分けられる。即ち水溶性および油溶性のアスコルビン酸誘導体である。これらの2つの群はその潜在的な用途が異なる。 広く使用されている局所製剤は脂肪酸エステルである6−アスコルビン酸パルミチン酸塩またはステアリン酸塩を含み、脂溶性を有し、水溶性無機酸エステルである2または3マグネシウムアスコルビン酸リン酸塩を含む。6−アスコルビン酸パルミチン酸塩のエンジオール系は保護されておらず、この誘導体は水系で不安定である。それはまた一般に局所製剤に使用される水、油および溶剤に限定された溶解度を有する。2−または3−アスコルビン酸リン酸塩および2,3−ジ−O−アクリルエステルとのエンジオール系は比較的保護されているが、酸化される可能性がある。更に、それらは通常、皮膚製剤に調和しない極性のある塩の形で製造されなければならない。 これまでにアスコルビン酸およびその誘導体が培養皮膚線維芽細胞でのコラーゲン遺伝子の発現をアップレギュレートすることが見出された。コラーゲンおよびエラスチンの合成に脂質過酸化物またはその酸化応答が介在することは周知である。アスコルビン酸の酸化生成物が蛋白を糖化し、急速に蛋白結合付加物および蛋白架橋を生成する。糖化速度は組織内でのアスコルビン酸の酸化速度に依存する。酸化は角質層に浸透後にだけ始まり、浸透前に始まらないことは重要である。これは早期の酸化を防ぐために、アスコルビン酸が誘導体化されなければならないことを意味する。この場合、アスコルビン酸とその誘導体はコラーゲンとエラスチンの合成を刺激し、皮膚組織の表皮と角質の状態を顕著に改善することができる。 近年、ビタミンおよび他の活性物質を皮膚組成物または化粧品組成物に導入するための重要な段階がなされた。これらの組成物は老化、乾燥、にきびまたは色素異常のような様々な皮膚の問題の特別な治療に用いることができる。様々な組成物に組み入れられたビタミンCは、酸化に対して、製剤、製剤化された時は貯蔵によって、および皮膚の処置によって強く保護されねばならない。 EP306,904はビタミン誘導体を担体に結合することを含むビタミン製剤の分野における他の手法を記載している。担体の1例はリン酸であり、それに例えばアスコルビン酸誘導体およびトコフェロール誘導体のような2つのビタミン誘導体が結合し、抗酸化組成物が得られる。しかし、このジビタミンの形では、遊離形に比べてビタミン誘導体の有効性は低い。US5,098,898はリン酸残基を介してL−アスコルビン酸にグリセロールエステルまたはエーテルをカップリングすることを記載している。得られた化合物は良好な抗酸化作用と脂質過酸化阻害活性を示す。しかし、エンジオール系は適切に保護されず、従って、局所製剤のビタミンCの資源として使用できない。 JP63,104,971およびDE3,613,590は上述のリン酸化L−アスコルビン酸に比べて、より光安定性のある2,3−ジ−O−アシルL−アスコルビン酸の合成を開示している。しかし、2,3−ジ−O−アシル化によって、化合物の水への溶解性が低下するため、生物活性および生物学的接近性が損なわれる。従って、そのような化合物は化粧品、皮膚および他の用途に実際に役立たない。 JP7,017,989、JP8,034,791、JP98,363,316およびJP98,201,242は薬剤の皮膚深部への浸透および皮膚刺激を防ぐケミカルピーリング組成物と皮膚白化組成物へのL−アスコルビン酸−2−リン酸塩の使用を開示している。L−アスコルビン酸の誘導体を含む2−リン酸塩は適切な安定性を示し、その活性を保存する。 US3,671,549とDE1,805,958はアスコルビン酸とハロゲン化リン,リン酸およびハロゲン化リン酸および対応した酸無水物との直接リン酸化によるL−アスコルビル-3-リン酸の合成を開示している。この製造法は大規模な使用に適している。 JP10,324,627は抗がん剤として使用する、2位にリン酸基、ピロリン酸基、トリリン酸基、ポリリン酸基、硫酸基またはグリコシル基を有し、3位にOH基、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、グリコシル基、アルコキシル基、アルケニルオキシル基またはフェノキシル基を有するL−アスコルビン酸誘導体の合成を開示している。安定性の問題は本特許の目的ではなく、新しい薬理活性のみが目的である。従って、2位はエンジオール二重結合の酸化の保護に十分に有効な残基であり、O−置換しなかった。 本発明は一般式(I)の化合物を提供する。 R1はC2−C22の飽和または不飽和脂肪酸残基、アミノ酸残基またはC1−C17のアルキル基;R2は次式(II)の基、R5またはR6は同じか、または異なり、水素、C1−C4のアルキル基を示すか、R5はC1−C4のアルキル基であり、R6は金属カチオンまたはアンモニウムカチオンであり、R3またはR4は同じか、または異なり、水素、C2−C22の飽和または不飽和脂肪酸残基、アミノ酸残基またはC1−C17のアルキル基を示す化合物。 上記式(I)の化合物は化粧品組成物または医薬品組成物(以降ビタミンC組成物と総称する)に含めるのに有用である。従って本発明によって、また本発明のその他の態様によって、式(I)の化合物と医薬品または化粧品に使用可能な担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬品組成物または化粧品組成物が提供される。本発明による好ましい組成物は皮膚に使用する局所組成物である。更に、本発明によるビタミンC組成物は時には経口投与のために製剤化できる。本発明によるビタミンC組成物は、例えば医薬品または化粧品の活性成分のような種々の他の成分を含むことができる。アスコルビン酸はその抗酸化性があるので、本発明の組成物に含めてもよい。しかし、時として本発明によるビタミンC組成物は式(1)のビタミンC誘導体のデリバリーを主な目的とすることができる。 本発明の更に他の態様に従って、次の段階を含む式(I)の化合物の合成法が提供されている。 (i)アスコルビン酸とR7とR8(同じか異なる)がC1−C10のアルキル基である一般式R7R8COのケトンとを反応させて、アスコルビン酸の5位および6位の水酸基を保護して、一般式(III)の化合物を得る段階、(ii)式(III)の得られた保護されたアスコルビン酸分子とR1が上記の意味を有する一般式R1Hの化合物とを反応させて、一般式(IV)の化合物を得る段階、(iii)式(IV)の化合物と、オキシ塩化リンと、R6が上に規定した通りで、Zがアルカリ金属カチオンである塩R6−O−Zの混合物とを反応させて、式(V)の化合物を得る段階、(iv)5-および6-水酸基を脱保護するために、式(V)の化合物を加水分解して、一般式(I)の化合物を得る段階。 上述したように、本発明は式(I)のアスコルビン酸誘導体を提供する。R1、R2、R3およびR4は上記の意味を有する。 これらの誘導体はアスコルビン酸と比べてより安定である。これらの誘導体の安定性は2−および3−水酸基の同時の誘導によって、2−および3−エンジオール系が保護されることによる。同時に式(I)の誘導体はそれを必要とするヒトの組織への、信頼性のある、適応性のある、効果的なアスコルビン酸の資源として役立つ。これらの化合物は皮膚のような組織中に存在する酵素によるin situでの加水分解後、リン酸塩、炭素酸またはアミノ酸の資源として役立つ。加水分解後に比較的高い割合の遊離アスコルビン酸を得るためには、式(I)の化合物の全体の分子量はやや低く保つべきである。従って、5−および6−の水酸基はむしろ安定であり、誘導体は不必要にアスコルビン酸誘導体の分子量を増す可能性があるので、5−および6−の水酸基の誘導体化は必要でないことが好ましいが、必須ではない。そのような分子量の増加は化合物の単位重量当たりの遊離アスコルビン酸の量を減少することができる。しかし、時にはそのような分子量の増加が有益であり得る。 化合物がアスコルビン酸の生物学的に接近可能な資源として役立つためには、R1、R2、R3またはR4はそれぞれ独立に、飽和および不飽和脂肪酸、アミノ酸およびリン酸誘導体のような天然の生理学的に調和した部分から選ばれる。 脂肪酸はカプロン酸、パルミチン酸,オレイン酸,リノレイン酸,リノレン酸,アラキドン酸であってもよいが、これらに限定されない。皮膚細胞のような組織中の酵素はそのような誘導体を容易に加水分解でき、加水分解物はすべて、天然の化合物であり、従って生理学的な重要性がある。更にそれらは適度の極性があり、従って水性および親油性の媒体のどちらにも可溶性であり得る。 式(I)の化合物はビタミンCを皮膚に効果的にデリバリーするために化粧品組成物および皮膚組成物に用いることができる。更に、本発明の化合物は経口投与のために製剤化できる。組成物の局所投与は、ゲル、軟膏、サルブ、液体等を含む様々な剤形に調整できるが、これらに限定されない。経口投与するために、本発明の化合物はカプセル、ミクロカプセルまたはナノ粒子、錠剤または液体に製剤化してもよい。製剤の性質は使用目的と式(I)の特別に使用される化合物の全体的な極性によって変わり得る。例えば式(I)の極性のある化合物はゲルのような水性製剤に製剤化でき、他方式(I)のより疎水性の化合物はエマルジョンの形に製剤化できる。錠剤では、活性成分は、例えば必要な圧縮性を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状と大きさに固められる。固体の担体には、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク,砂糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびポリビニルピロリドンが含まれる。液体製剤には、例えば懸濁物、エマルジョンまたはシロップが含まれる。液体の担体には、例えば水、有機溶剤、医薬品として許容できる油または脂肪の混合物が含まれる。経口投与に適した液体の担体は、例えば水、アルコールおよび油である。 本発明の組成物は式(I)の化合物の有効量を含む。有効量とは所望の治療または化粧効果を達成するために必要な化合物の量のことである。従って、有効量は所望の治療または化粧効果、治療される状態、治療される状況、治療される対象の性別、性と年齢、投与プログラム、式(I)の化合物の性質等に依存する。当業者はそれぞれの症例で、限られた、日常的な実験によって、有効量を決定できなければならない。 2,3−置換誘導体の合成は2−,3−エンジオール系を崩壊しないような仕方で行われなければならない。 式(I)の化合物を含む組成物は細胞(in vitro)へのアスコルビン酸の良好なデリバリーを示す。従って、それらの組成物は本目的のために使用できる。本発明の組成物はまた、細胞または組織中のアスコルビン酸の欠乏に関連した疾患、障害または状態、または細胞または組織中へのアスコルビン酸のデリバリーによって改善する疾患、障害または状態の治療に使用できる。アスコルビン酸の補給で有益な効果得られる可能性がある様々な化粧品への応用もある。 本発明を非制限的実施例によって説明する。実施例1: 2−カプリロイル−3−エチル(カルシウム)ホスホリルアスコルビン酸の合成段階1. 5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 20g(0.125mol)の無水硫酸銅を660mLの乾燥アセトン中の20g(0.114mol)のアスコルビン酸の懸濁物に加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌した。過程をTLC(クロロホルム−メタノール−水 10:10:3)でモニターした。濾過と蒸発後、5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸22.57g(92%)を得た。段階2. 2−カプリロイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 塩化カプリロイル(12.0g、0.074mol)を乾燥ピリジン(80mL)の5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(14.5g、0.067mol)の溶液に0℃で滴下して加えた。反応系を0℃で1.5時間攪拌し、過程をTLC(クロロホルム−メタノール 3:1)でモニターした。その後氷水(300mL)を加え、反応混合物をリン酸(10mLまで)を用いてpH3に調整し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。併合した抽出物をpH7まで、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し、真空下で濃縮して、2−カプリロイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸22.9g(89%)を得た。段階3. 2−カプリロイル−3−エチル(カルシウム)ホスホリルアスコルビン酸の合成 2−カプリロイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(4.1g、0.012mol)を乾燥ジクロロメタン(40mL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(12.4mL、0.122mol)とジエチルクロロリン酸(4.2g、0.024mol)を加えた。過程をHPCLでモニターした。反応混合物を室温で2時間攪拌し、ついで氷水で希釈し、リン酸(15mLまで)でpH3に調整し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出し、MgSO4で乾燥した。真空下で溶剤を蒸発し、残渣を乾燥ジクロロメタン(50mL)に溶解し、ついで0℃で、トリメチルシリルブロマイド(2.2g、0.0144mol)を加えた。溶液を室温で3時間攪拌し、減圧下で溶剤を除去した。残渣を水(30mL)に溶解し、溶液を3時間激しく攪拌し、水酸化カルシウムの1M水溶液でpH7に調整した。溶液を真空下で濃縮し、残渣をメタノール−水(3:2)の混合物から結晶化し、次の物理化学的性質の白色粉末として2−カプロイル−3−エチル(カルシウム)ホスホリルアスコルビン酸2.85g(53%)を得た:融点;187−191℃(分解);組成:理論値;C,42.86%;H,5.58%;P,6.92%.C16H25O10PCa,測定値:C,42.77%;H,5.66%;P,6.79%.1H NMRスペクトル(DMSO−d6/D2O,200MHz):δ4.50(1H),4.02(1H),3.74(2H)(アスコルビン酸単位),1.15(s,CH3);1.28[(t,3H,J6.8Hz,OP(O)(OEt)(OCa)のMe];4.12[(dd,2H,OP(O)(OEt)(OCa)のCH2);4.19−4.25[m,12H,OC(O)(CH2)6(CH3)].31P NMRスペクトル(DMSO−d6/D2O,81MHz):δp−10.5.FAB質量スペクトルm/z448.9(MH+,C16H25O10PCaは448.2を要求する)。実施例2: 2−パルミトイル−3−ジエチルホスホリルアスコルビン酸の合成段階1. 5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 20g(0.119mol)の無水硫酸銅を460mLの乾燥アセトンの14g(0.079mol)のアスコルビン酸の懸濁物に加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。過程をTLC(クロロホルム−メタノール−水 10:10:3)でモニターした。濾過と蒸発後、5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸16.3g(95%)を得た。段階2. 2−パルミトイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 塩化パルミトイル(12.2g、0.0443mol)を乾燥ピリジン(90mL)の5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(8.7g、0.0403mol)の溶液に0℃で滴下して加えた。反応系を0℃で2時間攪拌し、過程をTLC(クロロホルム−メタノール 3:1)でモニターした。氷水(400mL)を加え、反応混合物をリン酸(15mLまで)を用いてpH3に調整し、酢酸エチル(2x150mL)で抽出した。併合した抽出物をpH7まで、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し、2−パルミトイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸16.8g(92%)を得た。段階3. 2−パルミトイル−3−ジエチルホスホリルアスコルビン酸の合成 2−パルミトイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(7.5g、0.017mol)を乾燥ジクロロメタン(50mL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(16.8mL、0.170mol)とジエチルクロロリン酸(4.9g、0.034mol)を加えた。過程をHPCLでモニターした。反応混合物を室温で2時間攪拌し、ついで氷水で希釈し、リン酸(25mLまで)でpH3に調整し、ジエチルエーテル(2x100mL)で抽出し、未反応物を除去し、その後有機層をMgSO4で乾燥した。減圧下で溶剤を蒸発し、残渣を100mLの冷水で洗浄し、クエン酸の1M水溶液でpH4に調整し、反応混合物を40℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷やし、酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。併合した抽出物をpH7まで、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮した。次の物理化学的性質の白色粉末として2−パルミトイル−3−ジエチルホスホリルアスコルビン酸5.40g(59%)を得た:融点;139−142°C(分解);組成:理論値;C,56.73%;H,8.55%;P,5.64%.C26H47O10P,測定値:C,56.61%;H,8.48%;P,5.80%.1H NMRスペクトル(CDCl3−MeOH−d4,200MHz):δ4.52(1H),4.01(1H),3.73(2H)(アスコルビン酸単位),1.18(s,CH3);1.25[(t,3H,J6.8Hz),OP(O)(OEt)2のMe];1.28[(t,3H,J6.8Hz,OP(O)(OEt)2のMe]4.13[(ddd,2H,OP(O)(OEt)2のCH2);4.17[ddd,2H,OP(O)(OEt)2のCH2]:4.21−4.29[m,28H,OC(O)(CH2)14(CH3)].31P NMRスペクトル(CDCl3−MeOH−d4,81MHz):δp−7.3.CIMS質量スペクトルm/z550.9(MH+,C26H47O10Pは550.4を要求する)実施例3: 2−カプリロイル−3−ジカルシウムホスホリル−6−パルミトイルアスコルビン酸の合成段階1. 5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 9g(0.056mol)の無水硫酸銅を300mLの乾燥アセトンと53mL(0.51mol)の乾燥2,2ジメトキシプロパン中の9g(0.051mol)のアスコルビン酸の懸濁物に加えた。反応混合物を室温で10時間攪拌した。過程をTLC(クロロホルム−メタノール−水 10:10:3)でモニターした。濾過と蒸発後、5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸10.6g(97%)を得た。段階2 2−カプリロイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 塩化カプリロイル(6.9g、0.02mol)を乾燥ジクロロメタン(60mL)とトリエチルアミン(53mL、0.380mL)の5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(8.3g、0.038mol)の溶液に0℃で滴下して加えた。反応系を0℃で2時間攪拌し、過程をTLC(クロロホルム−メタノール 3:1)でモニターした。氷水(300mL)を加え、反応混合物を、リン酸(10mLまで)を用いてpH3に調整し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。併合した抽出物をpH7まで、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し2−カプリロイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸12.1g(92%)を得た。段階3. 2−カプリロイル−3−(ジカルシウム)ホスホリルアスコルビン酸の合成2−カプリロイル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(5.7g、0.017mol)を乾燥ジクロロメタン(50mL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(17.2mL、0.170mol)とジエチルクロロリン酸(7.4g、0.051mol)を加えた。過程をHPCLでモニターした。反応混合物を室温で2時間攪拌し、ついで氷水で希釈し、リン酸(15mLまで)でpH3に調整し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出し、MgSO4で乾燥した。減圧下で溶剤を蒸発し、残渣を乾燥ジクロロメタン(50mL)に溶解し、ついで0℃でトリメチルシリルブロマイド(10.4g、0.068mol)を加えた。溶液を室温で5時間攪拌し、ついで溶剤を真空下で除去した。残渣を水(30mL)に溶解し、溶液を3時間激しく攪拌し、ついで1M水酸化カルシウム溶液でpH7まで調整した。溶液を真空下で濃縮し、混合物から結晶化し、2−カプリロイル−3−(ジカルシウム)ホスホリルアスコルビン酸3.73g(59%)を得た。段階4. 2−カプリロイル−3−(ジカルシウム)ホスホリル−6−パルミトイルアスコルビン酸の合成 塩化パルミトイル(3.1g、0.010mol)を乾燥ピリジン(40mL)中で、2−カプリロイル−3−(ジカルシウム)ホスホリルアスコルビン酸(3.5g、0.092mol)の溶液に0℃で滴下して加えた。反応系を0℃で2時間攪拌し、過程をHPLCでモニターした。氷水(200mL)を加え、反応混合物を、リン酸(10mLまで)を用いてpH3に調整し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。併合した抽出物をpH7まで、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をメタノール−水(1:1)の混合物から結晶化し、次の物理化学的性質の白色粉末として2−カプリロイル−3−(ジカルシウム)ホスホリル−6−パルミトイルアスコルビン酸3.10g(47%)を得た。融点;157−161°C(分解);組成:理論値;C,51.58%;H,7.31%;P,4.44%.C30H51O11PCa2,測定値:C、51.72%;H,7.51%;P,4.60%.1H NMRスペクトル(DMSO−d6/D2O,200MHz):δ4.51(1H),4.01(1H),3.75(2H)(アスコルビン酸単位),1.15(s,CH3);1.18(s,CH3);4.17−4.22[m,12H,OC(O)(CH2)6(CH3)];4.28−4.33[m,28H,OC(O)(CH2)14(CH3)];31P NMRスペクトル(DMSO−d6/D2O,81MHz):δp−4.9.FAB質量スペクトルm/z698.4(MH+,C30H51O11PCa2は698.9を要求する)実施例4: 2−グリシネート−3−ジエチルホスホリルアスコルビン酸の合成段階1. 5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 実施例1(段階1)に記載したように5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸を調製した。段階2. 2−グリシネート−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 クロロアセチルクロライド(1.5g、0.013mol)を乾燥ピリジン(50mL)の5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(2.16g、0.010mol)の溶液に0℃で滴下して加えた。反応系を0℃で1時間攪拌し、過程をHPLCでモニターした。反応系を0℃で1時間攪拌後、25%アンモニア(水溶液)10mLを反応混合物に加え、室温で一昼夜攪拌した。反応混合物を500mLの冷水で希釈し、クエン酸の1M水溶液でpH7に調整し、酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。併合した抽出物をpH7まで、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した有機層を無水MgSO4乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し、真空下で濃縮して2−グリシネート−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸2.4g(88%)を得た。段階3. 2−グリシネート−3−ジエチルホスホリル−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸の合成 2−グリシネート−5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸(2.73g、0.010mol)を乾燥テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(15.0mL、0.108mol)とジエチルクロロリン酸(2.6g、0.015mol)を加えた。反応過程をHPCLでモニターした。反応混合物を0℃で攪拌し、その後室温で2時間攪拌した。減圧下で溶剤を蒸発し、残渣を50mLの冷水で希釈し、クエン酸の1M水溶液でpH4に調整し、5,6−イソプロピリデンの保護を解くために、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。併合した抽出物を無水MgSO4乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサン(1:1)の混合物から結晶化し、次の物理化学的性質の白色粉末として2−グリシネート−3−ジエチルホスホリルアスコルビン酸1.89g(51%)を得た。組成:理論値;C,39.02%;H,5.42%;P,8.40%.C12H20NO10P,測定値:C,39.21%;H,5.59%;P,8.27%.1H NMRスペクトル(CDCl3−DMSO−d6,200MHz):δ4.52(1H),4.01(1H),3.73(2H)(アスコルビン酸単位),1.25[(t,3H,J6.7Hz,OP(O)(OEt)2のMe];1.27[(t,3H,J6.7Hz,OP(O)(OEt)2のMe];2.93[(dd,2H,CH2,CH2NH2]3.26[NH2のbs,2H];4.10[ddd,2H,OP(O)(OEt)2のCH2]:4.15[ddd,2H,OP(O)(OEt)2のCH2].31P NMRスペクトル(CDCl3−DMSO−d6,81MHz):δp−3.4.CIMS質量スペクトルm/z369.5(MH+,C12H20NO10Pは369.2を要求する)。実施例5: 皮膚への作用。アスコルビン酸−2−カプリレート−3−モノエチルリン酸による初期ヒト包皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成の刺激 線維芽細胞を100μg/mlのベータアミノプロピオニトリル、10μCi[2,3−3H]プロリンおよびアスコルビン酸(AA)またはアスコルビン酸−2−カプリレート−3モノエチルリン酸(AACP)のいずれかを含む10%のウシ胎児血清を補給されたDMEM中で24ウェルの微小培養プレートに入れた。培養は24時間インキュベートした。[2,3−3H]プロリンのペプシン抵抗性の塩で析出した細胞外コラーゲンへの組み入れを測定し、コラーゲン合成での効率の指標として用いた。同じように処理した4回のウェルの結果を平均し、試料中の細胞数について補正した。コラーゲン合成へのAAおよびAACPの影響を図1に示す。両化合物はヒト包皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成の刺激に同様なレベルの活性を示した。アスコルビン酸(AA)または2−カプリレート−3−モノエチルリン酸(AACP)の異なる濃度への曝露の関数として、コラーゲンの量を%で表した(対照を100%とする)実験結果の棒グラフを示す。 一般式(I):の化合物であって、 R1はC2−C22の飽和または不飽和脂肪酸残基、アミノ酸残基またはC1−C17のアルキル基;R2は次式(II)の基、 R5またはR6は同じか、または異なり、水素、C1−C4のアルキル基を示すか、またはR5はC1−C4のアルキル基であり、R6は金属カチオンまたはアンモニウムカチオンであり、R3またはR4は同じか、または異なり、水素、C2−C22の飽和または不飽和脂肪酸残基、アミノ酸残基またはC1−C17のアルキル基を示す、 上記化合物。 一般式(I):の化合物 (R1はC2−C22の飽和または不飽和脂肪酸残基、アミノ酸残基またはC1−C17のアルキル基;R2は次式(II)の基、 R5またはR6は同じか、または異なり、水素、C1−C4のアルキル基を示すか、またはR5はC1−C4のアルキル基であり、R6は金属カチオンまたはアンモニウムカチオンであり、R3またはR4は同じか、または異なり、水素、C2−C22の飽和または不飽和脂肪酸残基、アミノ酸残基またはC1−C17のアルキル基を示す)を製造する方法であって、 (i)式(III)の化合物を与えるために、アスコルビン酸の5位および6位の水酸基を保護し、 (R7とR8(同じか異なる)はC1−C10のアルキル基である) (ii)式(IV)の化合物を得るために、得られた式(III)の保護されたアスコルビン酸を一般式R1−ハロゲンの化合物と反応させ、 (iii)式(V)の化合物を得るために、式(IV)の化合物をリン酸化剤と反応させ、および(iv)一般式(I)の化合物を得るために、5位および6位の水酸基の保護を解くために、式(V)の化合物を加水分解する、ことを含む上記方法。 活性成分として、請求項1で定義した式(I)の化合物の有効量と許容される担体を任意に含む医薬組成物または化粧品組成物。 ビタミンC欠乏に関連した疾患または状態を治療または管理するための請求項3記載の医薬組成物または化粧品組成物。 局所用組成物であって、皮膚に適用するのに適した担体を含む請求項3または4に記載の組成物。 経口用組成物であって、経口投与に適した担体を含む請求項3記載の組成物。 該活性成分をカプセル化するマイクロカプセルまたはナノカプセルを含む請求項3〜6のいずれか一項に記載の組成物。