タイトル: | 特許公報(B2)_亜塩素酸塩および過酸化水素を含有する相乗的抗菌性眼科用および皮膚科用製剤 |
出願番号: | 2003515195 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 33/40,A61K 33/20,A61K 47/02,A61K 47/30,A61K 47/36,A61P 27/02,A61P 31/04 |
カラジョージアン、ハンパー エル. JP 5002114 特許公報(B2) 20120525 2003515195 20020624 亜塩素酸塩および過酸化水素を含有する相乗的抗菌性眼科用および皮膚科用製剤 カラジョージアン、ハンパー エル. 501141091 KARAGEOZIAN,Hampar L. 恩田 博宣 100068755 恩田 誠 100105957 本田 淳 100142907 カラジョージアン、ハンパー エル. US 09/911,638 20010723 20120815 A61K 33/40 20060101AFI20120726BHJP A61K 33/20 20060101ALI20120726BHJP A61K 47/02 20060101ALI20120726BHJP A61K 47/30 20060101ALI20120726BHJP A61K 47/36 20060101ALI20120726BHJP A61P 27/02 20060101ALI20120726BHJP A61P 31/04 20060101ALI20120726BHJP JPA61K33/40A61K33/20A61K47/02A61K47/30A61K47/36A61P27/02A61P31/04 A01N 1/00- 65/02 A61K 33/00- 33/44 国際公開第00/19981(WO,A1) 特表昭60−500572(JP,A) 特開平02−184631(JP,A) 5 US2002019951 20020624 WO2003009802 20030206 2004536137 20041202 18 20050428 2010000963 20100115 横尾 俊一 田名部 拓也 穴吹 智子 本願は、1999年10月4日に出願された米国特許出願第09/412,174号の一部継続出願である。 本発明は医療用組成物および方法一般に関し、より詳細には、特定の消毒性/抗菌性製剤、およびそのような製剤を用いて、i)物品および表面を消毒または保護する方法;ii)局所防腐薬として体の部分に適用する方法;iii )瘢痕形成を予防または抑制する方法;iv)創傷、熱傷、潰瘍、乾癬、? 瘡、およびその他の瘢痕形成病変など皮膚科障害を治療する方法;ならびにv)感染、炎症、乾き目、創傷治癒、およびアレルギー性結膜炎などの眼科障害を処置する方法に関する。 A.消毒/防腐のため、ならびに創傷、熱傷、擦過傷、および感染の局所処置のために用いられる抗菌剤および消毒/防腐薬 従来技術には、様々な物品を消毒するため、および/または皮膚疾患(例えば創傷、熱傷、擦過傷、感染)の防腐および/または処置用に生物に局所適用するために使用でき、細菌増殖を予防または抑制して治癒を補助するために好適な抗菌剤が数多くあった。そのような局所抗菌剤は、ヨウ素、マーキュロクロム、過酸化水素、および二酸化塩素など様々な有効殺菌成分を含有していた。 i)これまでの二酸化塩素製剤 二酸化塩素の前駆体である亜塩素酸塩は、飲料水の消毒剤として、そしてコンタクトレンズケア溶液の保存薬として使用できることが公知である。しかし亜塩素酸塩は、皮膚の局所適用に許容され得る安全な濃度範囲内(例えば50〜1000ppm)では抗菌活性が非常に弱い。このため亜塩素酸塩は、皮膚の局所適用の製剤において有効殺菌成分として日常的に用いられてはいなかった。 防腐薬または局所殺菌剤としての亜塩素酸塩の有用性が低いため、亜塩素酸塩の殺菌活性の活性化または増強のために、様々な組成物および方法が提案された。亜塩素酸塩の殺菌活性の活性化および増強のためのそのような組成物および方法が記載されている(例えば、特許文献1〜3参照)。 二酸化塩素(ClO2 )および「安定化二酸化塩素」は、防腐薬として使用できることが公知である。二酸化塩素は化学的には、強力な殺菌活性を備えた酸化剤である。二酸化塩素は一般に、藻類およびその他の有機物を除去するため、および/または香りまたは風味を取り除くために用いられる特定の水処理用途において、塩素ガスよりも優れていると見なされている。二酸化塩素は、細菌、ウイルス、および胞子の除去のための殺菌剤としても有効である。 二酸化塩素は、殺菌剤としての使用に加えて、その他の数多くの化学的および生化学的用途において酸化剤として使用できる反応性の高い不安定なラジカルである。例えば二酸化塩素は、(a)2個の炭素原子間の二重結合の酸化;(b)2個の炭素原子間の二重結合での不飽和脂肪酸(脂質)の酸化;(c)無水カルボン酸の加水分解の促進;(d)アルデヒドから対応するカルボン酸への酸化;(e)アルコールの酸化;(f)アミンの酸化;(g)フェノール、フェノール誘導体、およびチオフェノール化合物の酸化;(h)ヒドロキノンの穏やかな酸化;(i)アミノ酸、蛋白質、およびポリアミドの酸化;(j)硝酸塩および硫酸塩の酸化;ならびに(k)カルボン酸官能基を生成するための炭化水素のCHOおよびCH2 OH基の変化、に用いることができる(特許文献4参照)。 液体または気体状態の濃縮した二酸化塩素は、爆発性および毒性が高い。そのため、濃縮した二酸化塩素は、取り扱いおよび運搬を非常に注意深く行わなければならない。こうして、局所抗菌剤または消毒剤としての使用に純粋な二酸化塩素を投薬することは、一般にはあり得ない。その代わりに、二酸化塩素の「酸発生」が得られる一部の抗菌または消毒製剤が配合されることもあった。そのような酸発生溶液は、亜塩素酸金属(即ち粉末または液体形態で入手される二酸化塩素の前駆体)と共に、亜塩素酸塩と反応して二酸化塩素を遊離または放出する酸を含む。一般に、二酸化塩素の酸発生のために、塩酸および硫酸などの強酸、ならびにクエン酸および酒石酸などの比較的弱い酸などいずれの酸が用いられてもよい。これら先行技術の二酸化塩素発生系に関わる欠点または問題としては、a)2個の別個の容器または化学成分を取り扱うことの不便さ、b)そのような2成分系の所望の適用部位への送達の困難さ、およびc)これら従来技術の系のpHが中性ではなく酸性であること、が挙げられる。その上、酸が誘導する二酸化塩素発生法を用いる先行技術の二酸化塩素発生系は、制御されなければ、二酸化塩素の発生が非常に急速に起こり、その結果、溶液の消毒能または抗菌能が短期間しか持続できない。溶液中の亜塩素酸塩および酸の濃度を上昇させると、消毒と抗菌の使用期限が延長し得るが、これらの化学物質の濃度をそのように上昇させると、毒性または(局所適用で)皮膚刺激をまねく可能性がある。そのような濃度上昇によって、必要な量よりも多量の二酸化塩素が発生す可能性もある。 二酸化塩素を「酸発生」溶液中で生成させる速度を抑制または制御するための様々な方法が記載された。亜塩素酸ナトリウムなどの水溶性亜塩素酸塩と共に乳酸を含む殺菌性組成物が公開されている(例えば、特許文献5参照)。その特別な組成物は、改善された消毒性を備え、その特性は乳酸をリン酸、酢酸、ソルビン酸、フマル酸、スルファミド酸、コハク酸、ホウ酸、タンニン酸、およびクエン酸など他の酸で置き換えた同様の組成物を用いても得られない。その殺菌性組成物は、水性媒体のpHを約7未満に低下させるのに十分な量、つまり少なくとも15重量%の乳酸を含む酸材料を水性媒体中で亜塩素酸ナトリウムと接触させることによって生成される。皮膚など病原菌を運ぶ担体を消毒し衛生的にすることを開示した方法には、殺菌性組成物の適用、または殺菌性組成物をイン・サイチュ(in situ)で生成させる反応物の適用のいずれかが含まれる。また、亜塩素酸塩の濃度を利用できる亜塩素酸の量に低下させて、酸誘導によって亜塩素酸金属から二酸化塩素を発生させることも記載されている(特許文献6参照)。特にその特許には、亜塩素酸金属を含む第1のゲルを、プロトン酸を含む第2のゲルと混合するという、皮膚疾患の処置方法が記載されている。亜塩素酸などの溶液に存在する亜塩素酸イオンは、組成物中の亜塩素酸イオン総濃度の約15重量%以下含まれ、その2種のゲルの混合物は、最大24時間もの長時間にわたって二酸化塩素を発生させる。 その他の過去の特許には、二酸化塩素発生の手段として「安定化」二酸化塩素の使用が記載されていた。用語「安定化二酸化塩素」は、二酸化塩素をレービル錯体の形態で溶液に保持すると思われる様々な組成物を指す。過ホウ酸塩の使用によって二酸化塩素を安定化することが開示されている(特許文献7参照)。その特許によれば、無機ホウ素化合物および二酸化塩素がレービル錯体として溶液中に存在するようなその二酸化塩素およびそのホウ素化合物の水溶液から、安定化二酸化塩素の防腐溶液を形成させることができる。この安定な状態で固定された二酸化塩素は、その防腐溶液の本質的な成分である。その特許はイン・サイチュの発生か、あるいは二酸化塩素ガスを水性溶液中にバブリングさせるなど外部で生成させて溶液中に導入する、のいずれかによって二酸化塩素を組成物中に導入させ得ることを開示している。硫酸と塩素酸カリウムとの反応、または塩素酸塩と含水シュウ酸(moist oxalic acid)との反応など、二酸化塩素の外部生成のために様々な方法を用いてもよい。あるいは、塩素酸カリウムと硫酸との反応によって、二酸化塩素をイン・サイチュで生成させてもよい。二酸化塩素の生成がイン・サイチュであっても外部であっても、本質的には酸導入によって塩素酸カリウムから二酸化塩素を遊離させることに留意されたい。 ヒトの熱傷を処置するための安定化二酸化塩素製剤が記載されている(特許文献8参照)。熱傷部分の局所適用のものとして、二酸化塩素などの塩素酸化物の過ホウ素酸塩安定化溶液とグリセリンとの水性混合物が記載されており、それは熱傷の処置として経口的に投与されてもよい。過ホウ素酸塩安定化塩素酸化物の水性溶液は、以下のものを水と混合することによって調製されると開示されている:亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩酸、硫酸、無機過ホウ素酸塩、およびペルオキシ化合物、例えば過ホウ素酸ナトリウムなど。このため、特許文献8によって調製された溶液は、強い酸化剤として二酸化塩素、次亜塩素酸、およびペルオキシ化合物を含有し、二酸化塩素の酸活性化を利用するようである。その特許には、そこに開示された方法によって、多くの例で熱傷関連の疼痛が直ちに鎮静され、治癒が急速で感染または収縮がないことを特徴とし、熱傷の瘢痕が滑らかで正常な組織に類似しているため特定の例では形成術の必要がなかったと述べられている。しかし、そのような混合物は二酸化塩素を非常に急速に発生させてそのような混合物の長期安定性を損なう傾向があるため、上記の特許文献8に記載される水性溶液では、長期保存および安定性には疑問がある。 二酸化塩素ガスと、ペルオキシ化合物を含有する水性溶液とを混合し、その後遊離したペルオキシドを全て除去するのに十分高く二酸化塩素を破壊しない程度に十分低い温度にその溶液を加熱することにより形成された、安定化二酸化塩素溶液が記載されている(特許文献9参照)。その特許は、70℃より「相当に低い」温度では、溶液中の遊離ペルオキシドの除去に効果がないことと、92℃より高温であれば二酸化塩素が除去されてしまうため、温度は92℃を超えるべきではないことが述べられている。更にその特許には、「完全に理解された」わけではないが、溶液に残存する遊離の過酸化水素が、浸出剤として作用して溶液から二酸化塩素を放出させるため、溶液の加熱によって遊離ペルオキシドを除去することが必要と思われたことも述べられている。 ii)抗生物質製剤 抗生物質化合物も、熱傷、創傷、ならびに皮膚と目の感染の治療的処置に一般的に用いられてきた。抗生物質によって有効な形態での処置が提供され得るが、危険性が臨床環境で抗生物質を使用したことに関連することが多い。これらの危険性としては、:(1)体内の正常な寄生菌が変化した結果、抗生物質耐性菌が異常増殖して「重感染」をまねくこと;(2)直接的な抗生物質毒性、特に長期使用により抗生物質の種類に応じて腎臓、肝臓、および神経組織への障害を引き起こす可能性があること;(3)抗生物質による更なる処置をものともしない抗生物質耐性菌群の発生、が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。 B.創傷、熱傷、擦過傷、および感染以外の難治性皮膚疾患 特定の患者および/または特定の条件下ではわずかな創傷および擦過傷であっても治療が困難な場合があるが、乾癬および皮膚潰瘍など周知の皮膚疾患では、有効な治療のために特別な攻撃が提示される。 i.乾癬 乾癬は、ほとんど一般には、炎症して腫れ銀白色の鱗屑で覆われた皮膚病変のように見える非伝染性皮膚疾患であるこの最も一般的タイプの乾癬は、「尋常性乾癬」と呼ばれている。乾癬は、多くの異なる変化を見せ、重症度も様々である。異なるタイプの乾癬は、膿状疱疹(膿疱性乾癬)、重症の皮膚脱落(感染性紅皮症)、滴状の斑(滴状乾癬)、および滑らかな炎症病変(陳旧性乾癬)などの特徴を示す。 感染の原因は、現在のところ分かっていないが、一般には遺伝的素因があることが認められており、近年になり自己免疫性皮膚疾患であることが確証された。ほぼ3人に1人が乾癬の家族歴を報告するが、遺伝形質のパターンはない。この疾患の明らかな家族歴がない子供が、乾癬を発症する例が多い。 患者の乾癬発症率は、イベントまたは「トリガー因子」に依存する可能性がある。乾癬の発症率に影響を与えると思われる「トリガー因子」の例としては、敗血性咽頭炎などの全身感染、皮膚の外傷(ケブナー現象)、ワクチン接種、特定の投薬、および筋肉注射または経口ステロイド投薬が挙げられる。何かによってヒトの乾癬発症の遺伝的傾向が誘発されると、免疫系も過剰な皮膚細胞再生を誘発すると考えられる。 皮膚細胞は、2つの可能なプログラム:正常な増殖または創傷治癒、に従うようプログラミングされている。正常な増殖パターンでは、皮膚細胞が基底細胞層内に形成され、その後上皮から皮膚の最も外側の層である角質層に移行する。死亡細胞が皮膚からはがれ落ちるのとほぼ同じ速度で新しい細胞が生成されることで、バランスが保たれている。この正常なプロセスでは、細胞の誕生から死亡まで約28日かかる。皮膚が損傷すると、再生的成熟(regenerative maturation)としても知られる創傷治癒のプログラムが誘導される。細胞は、理論的に交代して傷を修復するために、かなり速い速度で生成される。血液供給も増加し炎症も局部に食い止められる。多くの場合、乾癬の皮膚は創傷からの皮膚の治癒または感染などの刺激への反応と類似している。 乾癬病変は、別の増殖プログラムによる細胞増殖を特徴とする。乾癬病変には創傷はないが、皮膚細胞(ケラチノサイトと呼ばれる)はあたかも創傷があるかのように挙動する。これらのケラチノサイトは、正常な増殖プログラムから再生的成熟に切り替える。細胞は、形成されて表面に押し出されるまでが2〜4日という短期間で行われ、皮膚は十分な速さではがれなくなる。過剰な皮膚細胞が積層されて、高くなった鱗屑状病変が形成する。通常、病変を覆う白色鱗屑(「斑」と呼ばれる)は、死亡した皮膚細胞からなり、病変の充血は、急速に分化する皮膚細胞領域への血液供給増加によって起こる。 乾癬のための公知の治癒法はないが、患者によっては様々な処置によって一時的に緩和することが示された。しかし、現在許容される乾癬処置の有効性は、患者による個人差が大きい。結果として患者および担当医は、最も効果的なレジメンを発見するための実験を行い、そして/または治療を併用しなければならない場合がある。現在利用される乾癬の処置は、段階的に施用されることが多い。ステップ1の処置には、a)局所投薬(例えば局所ステロイド、局所レチノイド)、b)全身ステロイド、c)コールタール、d)アントラリン、e)ビタミンD3、および日光浴が含まれる。ステップ2の処置には、a)光療法(例えば紫外線照射)、b)光化学療法(例えば放射線活性化剤の局所適用と、その後の照射による薬剤の活性化との組合わせ)、およびc)併用療法が含まれる。ステップ3の処置には、a)メトトレキセート、経口レチノイド、およびシクロスポリンなどの全身薬物療法、ならびにb)ローテーション療法が含まれる。 ii)皮膚潰瘍 皮膚潰瘍は、圧迫、磨耗、または一次/二次脈管障害の結果生じることが知られている。皮膚潰瘍は一般に、以下のように病因によって分類される: a.褥瘡/圧迫潰瘍−褥瘡潰瘍または床ずれは、継続的に圧迫されてそこの組織が損傷する病変である。褥瘡潰瘍は通常、膝または臀部など骨が飛び出した部分に発症する。その継続的圧迫と数多くの要因が重なって、皮膚が損傷し常に潰瘍化した状態となる。 b.静脈潰瘍−静脈潰瘍は、外傷によって生じるか、あるいは慢性静脈不全(CVI)に続発する場合がある。CVIでは、静脈弁が完全に閉鎖しないため、血液が深静脈系から貫通静脈を通って浅静脈系に逆流する。時間が経つに連れ、この血柱の重量によって、体液および蛋白質が周囲組織に押し出され、腫脹、足根関節の色素過剰、組織損傷、および潰瘍化をきたす。静脈潰瘍は、浅いものもあるが筋肉内に深く侵入したものもある。 c.動脈潰瘍−下肢潰瘍は、動脈圧迫または動脈閉塞、脈管壁の変化、または慢性血管収縮によって引き起こされる動脈不全の患者も発症する場合がある。喫煙者は、ニコチンが動脈を収縮させてじゅく状斑の沈着を生じ、炎症性動脈疾患(バージャー病)および血管収縮性疾患(レイノー病またはレイノー現象)を増悪させるため、動脈疾患のリスクが特に高い。動脈潰瘍は虚血性肢体疾患への傷害によって引き起こされ、非常に痛む場合がある。 d.糖尿病性潰瘍−動脈不全は、糖尿病患者の難治性潰瘍の原因となる場合がある。しかしほとんどの糖尿病性潰瘍は、糖尿病性ニューロパシーによって起こる、つまり患者は足の痛みを感じないため、外傷、窮屈な靴による圧迫、反復性ストレスに気づかずに、皮膚損傷を起こす可能性がある。 当該技術分野では、創傷、熱傷、擦過傷、感染、潰瘍、乾癬、および? 瘡などの皮膚疾患の処置のための新規な消毒剤および局所適用可能な製剤の製造および開発が依然として求められている。 C.コンタクトレンズの浸積および消毒 コンタクトレンズは、目からはずされると、再度装着されるまで浸積・消毒溶液中に入れられなければならない。浸漬・消毒溶液は、以下の機能を備えている: 1.レンズを目からはずした後、目の分泌物のついたレンズの洗浄を促進する 2.細菌が付着したレンズによる目の感染を予防する 3.レンズの装着時、レンズの保湿状態を安定して保つ D.コンタクトレンズの洗浄 レンズの装着時に粘液物質、脂質、および蛋白質がコンタクトレンズ表面に蓄積するため、レンズを装着すると刺激、熱感、および充血による不快感を感じるようになる。このため、視界がぼやけてくる。不快さの問題を軽快するために、ソフトまたはハードコンタクトレンズを目から取り出してから、酵素洗浄剤および消毒溶液を用いて定期的に洗浄および消毒しなければならない。ソフトレンズに関係する重篤な障害の1つは、巨大乳頭結膜炎であろう(GPC)。巨大乳頭結膜炎の発症は、ほとんどがソフトコンタクトレンズの障害に関係する炎症反応によるものと考えられている。これは、ほとんどいつもコンタクトレンズの蛋白質付着によって引き起こされる。GPCは、無症候のものから、掻痒感、上まぶたの浮腫、充血、ムコイドの分泌、進行性のコンタクトレンズ不耐性までの症状がある。本発明の眼内洗浄剤は、蛋白質付着を効果的に洗浄し、角膜表面を細菌感染から守りながら、酸素分子を供給することによって角膜上皮細胞を健常に保つ。こうして、それはソフトおよびハードコンタクトレンズ装着の両方に簡便性と利益を提供する。 E.眼科疾患の処置 i.乾き目 乾き目は、涙の生成が不十分になるか、または涙の組成が不適当で角膜および結膜が適度に潤わない症候群である。涙の様々な障害によって、目の乾燥感が生じ、目の中の異物の存在が不快になる。ほとんどの例で、涙液膜が健常な連続性を損ない急速に破壊されるため、自然な瞬きの間、構造を維持することができない。そのような涙の異常の全てに、複数の原因があり得る。おそらく乾き目の最も一般的形態は、涙の水性成分の減少によるものである。乾き目を処置しないと、更に悪化してより重症な上皮のびらん、鎖状の上皮細胞(strands of epithelial cells)、および角膜の局部的なドライスポットを生じて、更に細菌感染を合併する可能性がある。しかし軽度の場合、目の乾燥感および刺激感は、人工涙液によって解消することができる。このように、広域抗菌活性と共に角膜潤滑性を備えた人工涙液は、快適さだけでなく角膜表面の損傷を回復させるのに有利な効果も提供し得る。 ii.アレルギー性結膜炎 空気または手によって運ばれるアレルゲンは通常、IgEを介した過敏症反応によってアレルギー性結膜炎をもたらす。それによって、まぶたの腫れ、結膜の充血、乳頭反応、結膜水腫、および粘着性ムコイドの分泌など、掻痒感、流涙、乾き目、および目ヤニによるネバネバ感といった症状が現れる。涙に存在するヒアルロン酸は人工涙液の製剤にも含まれており、アレルゲンが角膜表面に接触するのを防ぐ。本発明の広域抗菌剤は、角膜表面を細菌感染から守り、酸素分子を供給することによって角膜上皮細胞を健常に保つ。こうして、それはアレルゲンに感受性のある目に有利な影響を与える。 iii .細菌侵入 細菌性角膜炎は、世界中の主な失明原因のひとつである。米国では、年間に推定30000例が発症するが、発展地域の発症率が高いのは、コンタクトレンズ装着人口に起因している。統計調査によれば、米国では年間でコンタクトレンズ装着者100,000名中約30名が、潰瘍性角膜炎を発症するため、失明の可能性という点で、この疾患は重大な公衆衛生問題を生んでいる。まぶた、そしてまぶたによる瞬き、角膜および結膜の上皮細胞によって、細菌侵入のバリアが作られるが、これらの防御機構の1つ以上が問題を起こす可能性がある。そのような問題としては、まぶたの異常、角膜表面の露出、涙液の生成減少、上皮の問題、薬物毒性、外傷、および切開術などが挙げられる。ブドウ球菌感染および連鎖球菌感染症によって、細菌性角膜炎の眼科的症状が発現されるが、これらは重度の浸潤および壊死を引き起こす傾向があり、時間が経つに連れ穿通を生じる可能性がある。シュードモナス性の角膜炎は、急速に進行する傾向がある。この細菌は、プロテアーゼ、リパーゼ、およびエラスターゼなど破壊性酵素と、エンドトキシンとを産生し、壊死性潰瘍および穿通を生じる。セラチア性の角膜炎は、表在の傍中心性潰瘍(para−central ulcer)から始まり、エキソトキシンおよびプロテアーゼの分泌によって攻撃的潰瘍および穿通を発症する可能性がある。細菌性角膜炎を発症するには、細菌が宿主細胞のリセプターに結合しなければならない。一旦このような結合が起こると、炎症、壊死、および血管形成という破壊的プロセスを続発する可能性がある。 細菌性角膜炎の現行の処置法は、主として広域抗生物質療法の利用に頼るものである。そのような抗生物質としては、スルホンアミド、トリメタプリン(trimethaprin)、およびキノロンが挙げられる。また、βラクタム、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、およびエリスロマイシンも挙げられる。そのような抗生物質は広範囲で使用されるが、濫用されるようになると、抗生物質耐性病原を発生させる場合がある。また、抗生物質は細菌の増殖を停止させるだけで、プロテアーゼ酵素、エンドトキシン、またはエキソトキシンの活性を阻害するわけではない。それゆえ明白なように、細菌の増殖だけでなくプロテアーゼ酵素、エンドトキシン、およびエキソトキシンの増加も抑える殺菌剤が特に求められている。米国特許第4,997,616号明細書米国特許第5,279,673号明細書米国特許第5,246,662号明細書米国特許第4,855,135号明細書米国特許第Re.31,779号明細書米国特許第5,384,134号明細書米国特許第2,701,781号明細書米国特許第4,317,814号明細書米国特許第3,271,242号明細書 本発明は、物品または表面(例えばコンタクトレンズ、天板など)の消毒、皮膚またはその他の体の部分の防腐、瘢痕の予防および最小化、ならびに/あるいは皮膚(即ち皮膚または粘膜)疾患(例えば創傷、熱傷、感染、口辺ヘルペス、潰瘍、乾癬、瘢痕形成病変、? 瘡)の処置または予防、ならびに眼科疾患(例えば感染、炎症、乾き目、アレルギー性結膜炎、および創傷治癒)の処置のための抗菌製剤(例えば溶液、ゲル、軟膏、クリームなど)を提供する。その上本発明によれば、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤の適用または投与による、道具(例えばコンタクトレンズ)の消毒方法、および皮膚疾患(例えば創傷、熱傷、感染、潰瘍、および乾癬)の処置方法が提供される。 更に本発明は、乾き目、創傷治癒、およびアレルギー性結膜炎の処置に効果があることが示された製剤品を包含する。 更に本発明によれば、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤の適用または投与によって瘢痕形成を抑制する方法が提供される。 更に本発明によれば、広域抗菌活性の超相加的効果が示された製剤が提供される。 その上本発明によれば、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤の適用または投与により目の感染、目の穿通および炎症を抑制する方法が提供される。 本発明の更なる態様および目的は、本明細書に示した以下の詳細な説明および実施例を読んで理解することによって、当業者に明白となろう。 本発明の抗菌製剤は一般に、約0.001重量%〜約0.20重量%の亜塩素酸金属と共に、約0.001%〜約0.05%の過酸化水素などのペルオキシ化合物を含む。加えて本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤は、ポリマー潤滑剤および界面活性剤などの別の成分を含有していてもよく、そして/またはポリマー薬物送達系またはリポソーム製剤中に配合されていてもよい。本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤は、例えばグラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母、および真菌など広域の抗菌活性を備えている。その上、皮膚疾患(例えば創傷、熱傷、感染、潰瘍、? 瘡、および乾癬)の処置のために適用または投与される場合、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤は、細菌感染を防御または縮小させるだけでなく、更に罹患した組織に酸素を供給して治癒を補い、瘢痕形成を抑制する。 コンタクトレンズ消毒溶液、および洗浄のために目からレンズをはずさずに目に入ったコンタクトレンズを洗浄する製剤品に関しては、亜塩素酸金属の濃度は、約0.002%〜約0.20%である。眼内での適用に関しては、本発明の殺菌製品は、滅菌、等張、緩衝化された清潔な無色の溶液であり、更にポリマー潤滑剤および界面活性剤を含む。その製品は、亜塩素酸塩とペルオキシドとの安定化ペルオキシクロラール錯体(stabilized peroxy chloral complex)であり、室温での使用期限が2年である。 以下の詳細な説明および実施例は、本発明の特定の具体的実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。 本発明は、中性の水性(pH7.0〜7.8、好ましくは7.0〜7.4)溶液中に亜塩素酸塩(例えば亜塩素酸金属)と少量の過酸化水素を含有する製剤を提供する。これらの製剤は、相乗的抗菌活性を呈し、保存時に二酸化塩素を発生させないため、これらの溶液の安定性は医薬的使用として許容され得るものである。例えば、400ppmの亜塩素酸塩と共に100ppmの過酸化水素を含有する水性溶液は、室温では18ヶ月を超えても依然として安定しており、使用の6時間以内にカンジダアルビカンスの活性を対数で1.0減少させるのに効果的であるが、そのような溶液の各成分を同濃度で別個に適用した場合にはカンジダアルビカンス活性を低下させる効果が無い。更に、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド溶液中に存在する過酸化水素は、組織および/または一部の体液に存在するペルオキシダーゼおよびカタラーゼと接触すると、容易に酸素分子と水に分解される。そのような酸素分子のイン・サイチュ発生は、細胞の生命力に貢献し創傷治癒を高める。 本発明の亜塩素酸塩/H2 O2 溶液は、ポリマー潤滑剤(非イオン性および/または陰イオン性;例えばHPMC、メトセル、CMC、ヒアルロン酸など)と共に、そして/またはブロック重合体を基剤とする界面活性剤(例えばプルロニック)と共に配合されるのに十分安定である。例えば、水性亜塩素酸塩/過酸化水素系は、眼科的に許容され得る張度(例えば重量オスモル濃度が少なくとも約200mオスモル/kg)のコンタクトレンズ殺菌溶液(25℃で50cps以下の粘度)用の潤滑剤としてのメトセルまたはヒアルロン酸と、界面活性剤としてのプルロニックと、製剤のpHを許容され得る生理学的範囲内に維持するための緩衝液と共に製剤されてもよい。コンタクトレンズ消毒溶液、人工涙液、および眼内洗浄液の製剤は、好適には約0.005〜約0.06重量/容量%の亜塩素酸塩、および好適には約0.0002〜約0.05重量/容量%の過酸化水素を含有している。ここでも、過酸化水素の存在によって、涙の中のカタラーゼに接触すると角膜に有利な酸素分子が供与される。A.配合剤 本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤は、液体溶液、ゲル、軟膏、クリーム、スプレーなど様々な手段で製剤されてもよい。以下に、本発明によって調製され得る具体的な配合剤の種類を数例示す。 i.安定な亜塩素酸塩/ペルオキシド液体溶液 以下の処方1は、本発明の液体亜塩素酸塩/ペルオキシド溶液の目下好ましい配合剤である。 処方1 亜塩素酸ナトリウム・・・0.005%〜0.10% 過酸化水素・・・0.005%〜0.05% メトセルA・・・0.05%〜0.2% ホウ酸・・・0.15% 塩化ナトリウム・・・0.75% プルロニックF−68/F−127・・・0.1% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 上記の好適な配合剤の溶液など、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド溶液は、必ずしも限定されるわけではないが、a)コンタクトレンズ、医科/歯科用の器具、天板、処置台、くしおよびブラシなど、物品および表面の消毒;皮膚または体の部分の防腐(例えば消毒性のハンドウォッシュ、防腐性の洗顔スクラブなど)、b)創傷、熱傷、感染、潰瘍、口辺ヘルペス、乾癬、? 瘡などの皮膚(即ち皮膚または粘膜)疾患の処置または予防、ならびにc)瘢痕形成の抑制および予防など、様々な医療および非医療用途に用いることができる。 先に示したように、本発明の亜塩素酸塩/過酸化水素系は、ポリマーゲル形態またはポリマーペースト形態で配合されるのに十分安定している。その上、そのようなポリマーゲルまたはポリマーペースト配合剤は、亜塩素酸塩/過酸化水素の放出を遅らせる、あるいは制御するポリマーを含有していてもよい(例えば持効性送達系)。そのような持効性配合剤は、損傷部位で亜塩素酸塩/H2 O2 の有効濃度を長時間保つこと、外傷部位をシールを形成して外部から損傷部位に細菌が混入するのを防ぐことに、および損傷組織に酸素分子を供給することによって、治療係数を増加させるという顕著な利益を提供する。従来の軟膏とは異なりポリマーゲルは、適用の際乾燥していて清潔で快適なコーティングを損傷部位に提供する。そのようなゲル配合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルラーゼ(メトセル)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などのポリマー性薬物送達賦形剤を含有していてもよい。 ii.安定な亜塩素酸塩/ペルオキシドゲル 以下の処方2は、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシドゲルの好適な配合剤である。 処方2 亜塩素酸ナトリウム・・・0.02%〜0.10% 過酸化水素・・・0.005%〜0.05% メトセルA・・・2.0% ホウ酸・・・0.15% 塩化ナトリウム・・・0.75% プルロニックF−68/F−127・・・0.1% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 周知のリポソーム形成技術により調製されたリポソームを形成することによって、そして/あるいは医薬的に許容され得る有効量の(例えば典型的には1〜20重量%の)ポリマーマトリックスまたは以下の1種以上のものなどの持効性成分を配合剤に添加することによって、有効成分の効果を持続させるような形で、本発明の製剤のいずれかを配合させてもよい: セルロースエステル; ヒドロキシメチルプロピルセルロース; メチルヒドロキシエチルセルロース; ヒドロキシプロピルセルロース; ヒドロキシエチルセルロース; カルボキシメチルセルロース; セルロースエステルの塩; 酢酸セルロース; フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース; メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体; メタクリル酸−酢酸エチル共重合体; ポリビニルピロリドン; ポリビニルアルコール; ヒアルロン酸; リン脂質: コレステロール; 中性電荷のリン脂質; 負電荷のリン脂質; ジパルミトイルホスファチジルコリン; ジパルミトイルホスファチジルセリン;および それらのナトリウム塩。 iii .安定な亜塩素酸塩/ペルオキシド眼科用溶液 以下の処方3は、目の内外に在るコンタクトレンズの洗浄に用いられる亜塩素酸塩/ペルオキシドコンタクトレンズ消毒溶液の好適な配合剤である。その配合剤は更に、乾き目の患者において潤滑用の涙液製品として機能する。 処方3 亜塩素酸ナトリウム・・・0.002%〜0.20% 過酸化水素・・・0.005%〜0.05% ヒアルロン酸・・・0.001%〜0.50% ホウ酸・・・0.15% 塩化ナトリウム・・・0.75% プルロニック127・・・0.05%〜2.0% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 B.治療用途の実施例 以下は、本発明の亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤の治療用途の具体例である。 i.実施例1:乾癬の処置−非クロスオーバー試験 両腕に尋常性乾癬があるヒトの患者を、以下のように処置する: 以下の配合剤の亜塩素酸塩/ペルオキシド溶液を、左腕のみの斑に1日2回適用: 亜塩素酸ナトリウム・・・0.06% 過酸化水素・・・0.01% HPMC・・・2.0% ホウ酸・・・0.15% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 市販の0.1%トリアムシノロンアセトニドクリームを、右腕のみの斑に1日2回適用。 亜塩素酸塩/ペルオキシドを処置した右腕の尋常性乾癬は、処置開始後24時間以内に軽快し始め、処置開始後3日以内に実質的に消失した。しかし、トリアムシノロンアセトニドを処置した左腕の尋常性乾癬は、2週間の処置期間中、変わらず炎症したままであった。 ii.実施例2:乾癬の処置−クロスオーバー試験 両腕に尋常性乾癬があるヒトの患者を、以下のように2週間処置する: 以下の配合の亜塩素酸塩/ペルオキシド溶液を、左腕のみの斑に1日2回適用: 亜塩素酸ナトリウム・・・0.06% 過酸化水素・・・0.01% HPMC・・・2.0% ホウ酸・・・0.15% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 市販の0.1%トリアムシノロンアセトニドクリームを、右腕のみの斑に1日2回適用。 亜塩素酸塩/ペルオキシドを処置した右腕の尋常性乾癬は、処置開始後24時間以内に軽快し始め、処置開始後1週間以内に実質的に消失した。しかし、トリアムシノロンアセトニドを処置した左腕の尋常性乾癬は、2週間の処置期間中、変わらず炎症したままであった。 その患者を、最初の2週間処置の終了日の翌日から開始した2回目の2週間処置期間中、以下のように処置した: この実施例では、上記と同じ市販の0.1%トリアムシノロンアセトニドクリームを、左腕のみの斑に1日2回適用。 この実施例では、上記と同じ亜塩素酸塩/ペルオキシド持効性ゲルを右腕のみの斑に1日2回適用。 2回目の処置期間の開始後24時間以内に、右腕の乾癬病変が退き始めた。右腕の乾癬病変は、3日目までに実質的に消失し、その状態は2回目の2週間処置の終了まで持続した。 iii .実施例3:口辺ヘルペスの処置 疼痛があり体液を含む唇の口辺ヘルペス(即ち硬性下疳)の患者の唇に、上記処方1により調製した亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤を1日2回適用する処置を行った。 亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤の最初の適用後6〜12時間以内に、患者は疼痛の鎮静を報告した。亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤の最初の適用後24時間以内に、口辺ヘルペス内に含まれた体液が実質的に消失し、口辺ヘルペスは乾燥して見えるようになった。そのような重症の口辺ヘルペスは、完全な消失および治癒に6日よりも実質的に長い期間を要するが、亜塩素酸塩/ペルオキシド製剤では初回適用後6日以内に口辺ヘルペスが実質的に消失し、唇は正常に見えるようになった。 iv.実施例4:静脈潰瘍の処置 9〜12ヶ月間、右脚に3〜4cm口径の静脈潰瘍がある患者の潰瘍に、上記の処方1によって調製した亜塩素酸塩/ペルオキシド液体溶液を浸したガーゼを1日2回適用する処置を行った。 処置開始後3日以内に、潰瘍が清浄化し乾燥して見えるようになった。処置開始後14日以内に、潰瘍が縮小し始め、健常な新しい組織が周囲に観察された。潰瘍は、処置開始後35日目に完全に治癒されて瘢痕も残らず、潰瘍があった部分の疼痛もなくなった。 V.実施例5:糖尿病性褥瘡性潰瘍の処置 12〜18ヶ月間、両脚および何本かの足指に褥瘡性潰瘍のある歩行不能の糖尿病患者の潰瘍に、清潔な滅菌ガーゼを1日1回適用し、各ガーゼに上記処方1によって調製された液体亜塩素酸塩/ペルオキシド溶液を1日3回飽和させる処置を行った。亜塩素酸塩/過酸化水素処置の開始後4〜7日以内に、潰瘍の炎症が退いて清浄化し、乾燥して見えるようになった。亜塩素酸塩/過酸化水素処置の開始後約7〜10日で、潰瘍内に肉芽組織が形成し始めた。12〜14日以内に、特に重症で指の骨まで浸透した1本の指の潰瘍以外の潰瘍部分に、上皮再形成の開始が観察された。処置開始後30〜45日以内に、重症の指の潰瘍以外の全ての潰瘍が完全にふさがり上皮が再形成されて、不規則な瘢痕は形成されなかった。また、処置開始後30〜45日目には、指の潰瘍も実質的に縮小し(しかし完全にふさがったわけではない)、患者は歩行が可能になった。上記処方1および2など本発明の液体および/またはゲル形成は、創傷、熱傷、? 瘡、感染、外傷、外科的切除、またはその他の瘢痕形成病変もしくは障害による瘢痕形成を防ぐために局所適用することができる。 実施例6: a.乾き目症状の処置 乾き目症状の患者は、目に掻痒感およびチクチク感(scratchy)がある。極端な例の患者には、健康維持にも関わりかねない重篤な問題がある。患者に、以下の配合の好ましい涙液製品を処置した: 亜塩素酸ナトリウム・・・0.005%〜0.02% 過酸化水素・・・0.01% メチルセルロースA4M・・・0.075% ヒアルロン酸・・・0.10%〜0.125% ホウ酸・・・0.15% 塩化ナトリウム(米国薬局方)・・・0.75% プルロニック127・・・0.10% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 ローズベンガル染色またはフルオレセインによって乾き目の患者を検査すると、角膜上皮の健康状態がうまく表され、ローズベンガル染色では角膜だけでなく結膜の死亡した上皮細胞数がうまく表される。 乾き目症状の患者2名を、ローズベンガル染色で検査し、角膜および結膜の定量的染色を写真で検証した。患者は、上記の好ましい涙液製品を用いて、1日3回2滴ずつの投与を開始した。2週間の終了時に、患者2名をローズベンガル染色で検査して、染色レベルを写真によって定量的に検証した。結果は、ローズベンガル染色の50%〜70%減少を示し、好ましい涙液配合剤によって角膜および結膜細胞の死亡が改善されたことが明らかに示された。 その患者2名で、上皮細胞の健康を客観的に測定することに加えて、好ましい涙液製品の安全性および有効性について主観的に検査した。最初に、2週間の処置期間中、患者の細隙生体顕微鏡測定を行ったところ、充血、刺激、炎症、またはその他の不快症状が示されなかった。第2に患者は、涙液製品の適用によって、乾き目による充血、掻痒感、刺痛、疼痛、および乾燥の症状が完全になくなり、潤いが数時間持続することを示した。それゆえ、その涙液製品が、乾き目の処置において安全性と有効性の両方を示すことは明らかである。そのような組成物の前述の抗菌活性によって更に認められるように、その涙液製品は、細菌感染が回避されるべき術後などに、目の創傷治癒を高めるのにも有効であることになる。 b.アレルギー性結膜炎の処置 上記好ましい涙液製品による乾き目症状の処置に加えて、アレルギー性結膜炎の症状の処置についても、その製品を検査した。特に、掻痒感、チクチク感があり常に流涙しているアレルギー性結膜炎の患者2名に、その製品を1日3回2滴ずつ適用した。この投与によって、症状が消失した。 c.コンタクトレンズ洗浄の例 i.実施例1:浸漬、洗浄、および消毒 以下の配合剤は、従来の浸漬によるコンタクトレンズの洗浄に適用可能な好ましい消毒溶液である: 亜塩素酸ナトリウム・・・0.05% 過酸化水素・・・0.01% メチルセルロースA4M・・・0.075% ヒアルロン酸・・・0.05%〜0.10% ホウ酸・・・0.15% プルロニック127・・・0.25%〜0.50% 塩化ナトリウム(米国薬局方)・・・0.75% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 親水性ソフトコンタクトレンズを用いる患者6名が、レンズを上記消毒溶液に浸し、その後目に直接レンズを入れた。浸漬は夜間または必要に応じて行った。患者6名全員が、レンズを非常に快適に感じたこと、そして有害作用(例えば熱感、チクチク感、充血、疼痛)にみまわれなかったことを報告した。また、その溶液によってレンズの快適で清潔な状態が延長し、それは他の市販の消毒溶液による延長を上回り数週間延長した。 その殺菌溶液は、様々な含水量(例えば38%〜75%)の親水性ソフトレンズだけでなくシリコーンアクリレート製気体透過性ハードレンズにも用いることができる。30日間毎日ソフトレンズをその溶液に浸漬させるサイクル試験によって、レンズの物理的および化学的性質に損傷または変化がないことが示された。先に示したように、気体透過性のソフトまたはハードレンズでは、保存薬を結合または蓄積させないことによって、目の快適さが得られるが、刺激および不快感を引き起こすそのような結合および蓄積は、特定の市販製剤では見られることがある。 ii.実施例2:装着中の洗浄 以下の配合剤は、目にその溶液を入れることによってコンタクトレンズの装着中にレンズを洗浄するのに適用可能な好ましい眼内消毒溶液である: 亜塩素酸ナトリウム・・・0.02% 過酸化水素・・・0.01% メチルセルロースA4M・・・0.075% ヒアルロン酸・・・0.075%〜0.10% ホウ酸・・・0.15% 塩化ナトリウム(米国薬局方)・・・0.75% プルロニック127・・・0.75% HClまたはNaOH・・・pH7.4に調整 精製水・・・容積を合わせるのに十分な量 患者4名の装着中のコンタクトレンズに、上記眼内溶液を30日間1日3回2滴ずつ適用した。患者全員を検査したところ、刺激、熱感、刺痛、またはいずれかの有害作用は示されなかった。これらの患者は更に、溶液が滑らかで湿潤感のあることを報告した。 患者2名で比較試験を行い、まず最初にアキュビュー使い捨てレンズを連続2週間装着し、時々はずして市販の洗浄液で洗浄した後に生理食塩水でリンスした。14日後、レンズは、非常にざらついて不快になり廃棄した。2番目に、患者2名が新しいアキュビューレンズの使用を開始し、レンズを外したり触れたりせずに本発明の眼内溶液を毎日1日3回適用した。これらの患者は、3〜4週間レンズを取り替えずに装着することができた。加えて、目からレンズを外して洗浄するのは不便であると同時に、レンズの紛失、涙流、または雑菌混入のリスクがあるが、それが完全に解消された。つまり、本発明の眼内洗浄溶液は、洗浄の有効性だけでなく便利さも提供することが明らかである。 d.インビトロおよびインビボ抗菌効果 i.相乗効果 表1および2は、ヒトの感染した目から単離したスタフィロコッカス・ヘモリティカス(表1)およびシュウドモナス・アエルギノサ(表2)の抗生物質耐性株に対する(a)400ppmの亜塩素酸ナトリウム単独;(b)200ppm過酸化水素単独;および(c)400ppmの亜塩素酸ナトリウムと200ppmの過酸化水素との混合物、の抗菌効果を比較している。表I およびIIは、検査溶液導入後1および2時間目の時点で観察された抗菌効果を要約している。 表1に要約された実験において、亜塩素酸ナトリウム単独では、スタフィロコッカス・ヘモリティカス菌の対数減少が1 時間目で0.11、2時間目で1.01となった。過酸化水素単独では、スタフィロコッカス・ヘモリティカス菌の対数減少が1時間目で0.20、2時間目で0.23となり、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との混合物では、スタフィロコッカス・ヘモリティカス菌の対数減少が1時間目で0.69、2時間目で2.43となった。つまりこの実験では、少なくとも2時間目の時点で、亜塩素酸ナトリウム−過酸化水素混合物の抗菌効果が、亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素の単独効果の合計よりも有意に大きくなった。したがって、亜塩素酸ナトリウム−過酸化水素混合物は、この実験で用いられたスタフロコッカス・ヘモリティカスの菌株に対して超相加的効果を示すと結論づけられる。 表2に要約された実験において、亜塩素酸ナトリウム単独では、シュウドモナス・アエルギノサ菌の対数減少が1時間目で0.35、2時間目で1.35となった。過酸化水素単独では、シュウドモナス・アエルギノサ菌の対数減少が1時間目で0.01、2時間目で0.54となり、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との混合物では、シュウドモナス・アエルギノサ菌の対数減少が1時間目で0.04、2時間目で6.35となった。つまりこの実験では、少なくとも2時間目の時点で、亜塩素酸ナトリウム−過酸化水素混合物の抗菌効果が、亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素の単独効果の合計よりも有意に大きくなった。したがって、亜塩素酸ナトリウム−過酸化水素混合物は、この実験で用いられたシュウドモナス・アエルギノサの菌株に対して超相加的効果を示すと結論づけられる。 ii.動物実験 ウサギ12匹の各右目の角膜をこすり、50,000CFU/mlのS.ヘモリティカスを含むブロスを滴下してS.ヘモリティカス性角膜炎を誘導した。24時間後、角膜全てが同様に感染し、ウサギを無作為に3群に分けた。その後、I群のウサギ(5匹)にコンタクトレンズを装着させたまま、洗浄として先に定義した亜塩素酸−過酸化水素配合剤(ここでは「殺菌剤」と呼ぶ)を処置した;II群のウサギ(5匹)には、市販の0.3%オフロキサシン抗生物質眼科溶液を処置し;III 群のウサギ(2匹)は、対照として未処置にした。 感染後24および48時間目に、ウサギの視覚検査、写真検査、および生体顕微鏡検査を行った。処置の24時間後、I群およびII群それぞれの動物3匹と、III 群の動物1匹を殺処分した。眼球を摘出し、直径8mmの円盤状の角膜切片をホモジナイズして、微生物単離および定量用の発育培地に入れた。処置の48時間後、残りの動物でも同様の手順に従った。 表3〜表5は、この実験の結果を要約している。明らかなように、本発明の「殺菌剤」は、競合させた市販のレジメンに比較して、全体的に優れた結果を示した。つまりその結果によって、その「殺菌剤」の臨床効果が、抗生物質処置よりも良好であることが確証される。殺菌剤の卓越さが、優れた殺菌性だけによるのではなく、おそらく細菌の蛋白質分解酵素を不活化させた(つまり細菌毒性を低下させた)ことと、炎症および充血をもたらす細菌毒性の不活化によるものであることが示される。 当業者には理解されようが、本発明は、特定の実施例および具体的な実施形態を参考にして上記のように記載されている。しかし、これらは本発明を実行し得る実施例および実施形態に過ぎない。実際には、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、上記実施例および実施形態を様々に変更することができ、そのような変更は全て以下のクレームの範囲に包含されるものとする。 約0.02重量%〜約0.20重量%の亜塩素酸ナトリウムおよび約0.005重量%〜約0.01重量%の過酸化水素を含有し、pHが約7.4〜約7.8であって、細菌性角膜炎の治療のために生物の目に直接適用する抗菌性液体眼科用組成物において、保存時に二酸化塩素が発生しない、抗菌性液体眼科用組成物。 非イオン性ポリマー潤滑剤、陰イオン性ポリマー潤滑剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される潤滑剤を更に含む、請求項1に記載の抗菌性液体眼科用組成物。 ブロック重合体を基剤とする界面活性剤を更に含む、請求項2に記載の抗菌性液体眼科用組成物。 亜塩素酸ナトリウムを0.005重量%〜0.10重量%と、 過酸化水素を0.005重量%〜0.01重量%と、 潤滑剤を0.05重量%〜0.2重量%と、 ホウ酸を0.15重量%と、 塩化ナトリウムを0.75重量%と、 界面活性剤を0.05重量%〜0.2重量%と、 HClまたはNaOHをpH調整用の分量と、 精製水を容積を合わせるのに十分な量とで含有する、請求項3に記載の抗菌性液体眼科用組成物。 約0.001重量%〜約0.50重量%のヒアルロン酸を更に含む、請求項4に記載の抗菌性液体眼科用組成物。