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タイトル:特許公報(B2)_LNAホスホラミダイトの製造法
出願番号:2003512245
年次:2010
IPC分類:C07H 19/067,C07H 19/167


特許情報キャッシュ

トレルス・コッホ クリストフ・ロセンボーム ダニエル・サイヤー・ペダセン JP 4402454 特許公報(B2) 20091106 2003512245 20020712 LNAホスホラミダイトの製造法 サンタリス ファーマ アー/エス 504013269 SANTARIS PHARMA A/S 田村 恭生 100068526 鮫島 睦 100100158 品川 永敏 100126778 森本 靖 100150500 山中 伸一郎 100156111 トレルス・コッホ クリストフ・ロセンボーム ダニエル・サイヤー・ペダセン DK PA 2001 01095 20010712 20100120 C07H 19/067 20060101AFI20091224BHJP C07H 19/167 20060101ALI20091224BHJP JPC07H19/067C07H19/167 C07H 1/00-99/00 CA/REGISTRY(STN) 国際公開第98/016540(WO,A1) 国際公開第99/014226(WO,A1) OBIKA, S., et al.,Bioorg. Med. Chem.,9,pp.1001-1011 (2001) OBIKA, S., et al.,Angew. Chem. Int. Ed.,40(11),pp.2079-2081 (2000) HAMAMOTO, S., et al.,Chem. Lett.,pp.1401-1404 (1986) 8 DK2002000488 20020712 WO2003006475 20030123 2004536125 20041202 11 20050707 荒木 英則発明の詳細な説明(技術分野) 本発明は、大量スケールのLNAホスホラミダイト(phosphoramidite)製造の高収率で速い方法に関する。(背景技術) ロックド核酸(LNA;locked Nucleic Acid)の単量体およびオリゴヌクレオチドは1997年に発明され(WO 09914226)、そしてこのものはアチセンス薬物候補としての有望な結果を示している。しかしながら、該文献中には、LANベースのアンチセンス薬物の効率良い製造に必要なLNAアミダイトの最適な収率を与える大量スケールのLNAホスホラミダイト製造のための製造法はない。 オリゴヌクレオチドの製造は典型的に、カルター(Caruthers)ら(米国特許第4415732号(1980年))によって発明され、その2、3年後にケスター(Koster)(米国特許第4725677号)によって改善された、ホスホラミダイト法を用いて行なわれている。LNAオリゴマーは、該ホスホラミダイト法に従って製造されるが、しかし今までLNA単量体の大量スケールの供給は、遅い反応、該反応の間の副生成物の生成、および使用されている室温で不安定である試薬に起因する問題を有している。 オリゴヌクレオチド製造におけるホスホラミダイト活性化およびカップリング反応の機構は、詳細に研究されている。通常、テトラゾールが使用されている(Dahlらによる1987, Nucleic Acid Research, 15, 1729-1743; Beaucage & Iverによる1992, Tetrahedron, 48, 2223-2311)。テトラゾールの推定機構は2段階であり、第1にテトラゾールが三価のリンをプロトン化し、続いてN,N−ジイソプロピルアミンを該テトラゾリドによって置換する。この後者の中間体は、核酸上のヒドロキシ求核体(例えば、5'−OH)と非常に反応性である。従って、テトラゾールは、酸および求核剤の両方として作用する。 バルジーズ(Vargeese)らによる(Vargeese, C.; Carter, J.; Krivjansky, S.; Settle, A.; Kropp, E.; Peterson, K.; Pieken, W.によるNucleic Acid Research, 1998, 26, 1046-1050; W0 9816540)は、オリゴヌクレオチド製造の間の5'−ヒドロキシル基に対するホスホラミダイトのカップリング反応についての活性化剤を記載している。該活性化剤は4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)であり、そしてその有効性はその求核性に基づくと考えられる。DCIはホスホラミダイトのオリゴマー化における収率を有意に増大する、と示されている。 Vargeeseらは、DCIを用いる少量スケールのDNAホスホラミダイトチミン単量体の製造法を記載しているが、彼らが使用する方法は、該アミダイトの数回の再沈降後に低収率(75%)を与えている。キタカ(Kittaka)らによる(Kittaka A., Kuze T.; Amano M.; Tanaka H.; Miyasaka T.; Hirose K.; Yoshida T.; Sarai A.; Yasukawa T.およびIshii S.によるNucleosides & Nucleotides 18, 2769-2783, 1999)はまた該アミダイト製造においてDCIを使用しているが、彼らは該生成物のさらに低収率(65%)を報告している。Kittakaらによる(Kittaka A.; Horii C.; Kuze T.; Asakura T.; Ito K.; Nakamura K. T.; Miyasaka T.およびInoue J.によるSynthetic letters, S1, 869-872, 1999)はまた、DCI(0.7当量)を用いる3'−Oホスファイト化(phosphitylation)による誘導化ウリジンホスホラミダイトを製造しているが、更に該反応パラメータについては記載されていない。該収率は、92%であると報告されている。通常、ウラシルおよびチミンのホスファイト化は、これらの核酸塩基は通常該ホスファイト化試薬を妨害しないので、最も高い収率を与える。 従って、DCIをLNAホスホラミダイト製造についての活性化剤として使用することを記載する文献は全くない。 これまでに報告されているオキシ−β−D−リボ−LNA(図2)の製造法は、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトおよびジイソプロピルエチルアミンを使用している(Koshkin, A. A.; Singh, S. K.;Nielsen, P.; Rajwanshi, V. K.; Kumar, R.; Meldgaard, M.; Olsen, C. E.; Wengel, J.によるTet. 1998, 54, 3607-3630)。該報告されている収率は、低い(LNA−Tが70%、LNA−Uが58%、LNA−Gが64%、LNA−Aが73%およびLNA−Cについては収率なしと、報告されている)。該オキシ−α−L−リボ−チミンホスホラミダイトを製造するためのこれまでに報告されている方法(図3)はまた、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトおよびジイソプロピルエチルアミンを使用しており、そして収率60%を与えている(Hakansson, A. E.; Koshkin, A. A.; Sorensen M. D.; Wenget J.によるJ. Org. Chem. 2000, 65, 5161-5166)。(発明の概要) 本発明は、純粋なLNAホスホラミダイトの大量スケール製造のための新規な高収率で且つ速い方法を提供する。ホスホラミダイトであるLNA単量体の製造において、該ホスファイト化の段階は重要である。必要ならばまた、該ホスホラミダイトの反応性のために、精製の間のそれらの分解を避ける目的で、容易で且つ効率の良い精製法が所望される。該単量体はかなり長時間にわたる長く連続的なオリゴマー化において使用され、そこではまた不純物が該ホスホラミダイトの分解を引き起こし得るので、絶対的な純度の該アミダイトは必要である。 該新規な方法は、オキシ−β−リボ−LNAホスホラミダイト(ここで、BはABz、MeCBz、GIbuおよびTである)、およびオキシ−α−L−リボ−LNA−Tの製造によって示す(図3)。 本発明は、LNAホスホラミダイトの製造法を提供し、該方法は求核性活性化剤の存在下で2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトラ置換ホスホラミダイトを用いる、LNA単量体の3'−OH基のホスファイト化を含む。 本発明の活性化方法の利点は、以下の通りである: a)取り扱いの容易さ; b)全ての試薬が室温で安定であること; c)わずか0.7当量のDCIだけが必要であること; d)ワークアップの容易さ; e)室温での速く且つ高収率の反応; f)コスト的に効率の良い反応; g)高純度のアミダイトを得るのにクロマトグラフィー精製法が必須でないこと。 該グアニン核酸塩基の公知のホスファイト化副反応、続く遅い転移(tranfer)/転位(rearrangement)反応によって、目的のアミダイトを得ること(Nielsen, J.; Taagaard, M.; Marugg, J. E.; van Boom, J. H.; Dahl, O.によるNuc. Acid. Res. 1986, 14, 7391-7403)(図1を参照)は、本明細書に記載の条件を用いて観察されなかった。(発明の詳細な記載) 本明細書で使用する用語「LNA単量体」とは、国際特許出願番号WO9914226およびその後のWO0056746、WO0056748、WO0066604およびWO0228875に記載されている2',4'−架橋(特に、−O−CH2−架橋(オキシ−LNAの場合)、−S−CH2−架橋(チオ−LNAの場合)、−NR−CH2−架橋(アミノ−LNAの場合;ここで、Rは水素、C1〜6アルキル、フェニル、ベンジルなどである))を有するリボヌクレオチドを意味する。 LNA単量体の特に関心ある例は、オキシ−β−D−リボ−LNA(図2を参照)、チオ−β−D−リボ−DNA、アミノ−β−D−リボ−LNA、オキシ−α−L−リボ−LNA(図3を参照)、チオ−α−L−リボ−LNAまたはアミノ−α−L−リボ−LNAと呼ばれるものが挙げられる。 本明細書で使用する用語「LNAホスホラミダイト」とは、保護された5'ヒドロキシ基(例えば、図2および3に例示するDMT保護)を有するヌクレオチドを意味し、ここで3'−ヒドロキシ基は三価のリン原子(このものは次いで、適当な脱離基(例えば、ジイソプロピルアミンなどのN,N−ジアルキルアミン)および保護基(例えば、シアノエチル(NCCH2CH2−)基)と結合する)とカップリングする。固相および液相のオリゴヌクレオチド製造において使用することができるいずれかのLNAホスホラミダイト(このものは、保護された二量体および三量体のLNAホスホラミダイトを含む)を、本発明において使用することができる。 本明細書で使用する用語「2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトラ置換ホスホラミダイト」(このものはまた、「PN2試薬」とも呼ばれる)とは要するに、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトラ置換ホスホラミダイトを意味し、ここで該用語「置換」とは、炭素数が1〜9の直鎖、環状または分枝の、不飽和炭化水素基(例えば、アリルまたはビニル)、飽和炭化水素基、置換炭化水素基、芳香族基または置換芳香族基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルであり、好ましい例のアルキルはメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、tert−ブチル、イソ−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、特にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、tert−ブチル、イソ−ブチル、シクロヘキシル、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレンであり、該置換基はヘテロ原子(例えば、酸素または窒素)であり得る。 該LNA単量体、並びにホスホラミダイトLNA単量体は、1'位にいずれかの核酸塩基を有し得る。 本明細書において用語「核酸塩基(nucleobase)」とは、天然に存在する核酸塩基、並びに天然に存在しない核酸塩基を含む。これまで「天然に存在しない」とみなされてきた様々な核酸塩基がその後に天然において発見されることは、当該分野の当業者にとって明白であるべきである。従って、「核酸塩基」とは、公知のプリンおよびピリミジンのヘテロ環だけでなく、ヘテロ環状アナログおよびそれらの互変異性体をも含む。核酸塩基の例としては、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、プリン、キサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N6,N6−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン、5−(C3−C6)−アルキニルシトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、プソイド(pseudo)イソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロプリン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、N6−アルキルプリン、N6−アシルプリン、N6−ベンジルプリン、N6−ハロプリン、N6−ビニルプリン、N6−アセチレン(acetylenic)プリン、N6−アシルプリン、N6−ヒドロキシアルキルプリン、N6−チオアルキルプリン、N2−アルキルプリン、N4−アルキルピリミジン、N4−アシルピリミジン、N4−ベンジルピリミジン、N4−ハロピリミジン、N4−ビニルピリミジン、N4−アセチレンピリミジン、N4−アシルピリミジン、N4−ヒドロキシアルキルピリミジン、N6−チオアルキルピリミジン、チミン、シトシン、6−アザピリミジン(これは、6−アザシトシンを含む)、2−および/または4−メルカプトピリミジン、ウラシル、C5−アルキルピリミジン、C5−ベンジルピリミジン、C5−ハロピリミジン、C5−ビニルピリミジン、C5−アセチレンピリミジン、C5−アシルピリミジン、C5−ヒドロキシアルキルプリン、C5−アミドピリミジン、C5−シアノピリミジン、C5−ニトロピリミジン、C5−アミノピリミジン、N2−アルキルプリン、N2−アルキル−6−チオプリン、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トラゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニルおよびピラゾロピリミジニルを挙げられる。該塩基上の官能性の酸素および窒素基は、必要ならばまたは所望するならば保護することができる。適当な保護基は当該分野の当業者にとってよく知られており、このものは例えば、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、アシル基(例えば、アセチルおよびプロピオニル)、メタンスルホニルおよびp−トルエンスルホニル、イミン(例えば、N−ジメチルメチレンエネアミンおよびジブチルメチレンエネアミン)を含む。好ましい塩基は例えば、シトシン、メチルシトシン、ウラシル、チミン、アデニンおよびグアニンを含む。 本発明に記載のLNAホスホラミダイトは、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイト(PN2試薬)を用いて高収率で製造する。この試薬を用いて、以前、LNAホスホラミダイトを製造するのには成功していない。これまでに、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトが、LNAアミダイトの製造に使用されている。これは、本発明に記載の高純度、高収率および短い反応時間を与えない。 本発明における驚くべき発見は、2−シアノ−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトが4,5−ジシアノイミダゾールによって活性化され、そしてこの複合体は記載する条件の間に正確な反応性を与え、全ての4LNA DMT−保護のヌクレオシド(これは、例えばG−ヌクレオシドを含む)の効率の良いホスファイト化を保証することである。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトを用いる従来の公知の方法の場合には、該ホスファイト化反応は、保護されたグアニン核酸塩基上の酸素によって進行し(図1a)、そしてその後に熱力学的に安定な3'−O−アミダイトに転位する(図1b)。その従来の方法を用いる欠点は、最終生成物が副生成物を含むこと、および遅い転位反応のためにかなり長い反応時間(24時間にまで)を要し、その結果熱力学的な生成物を与えることである。 LNAホスホラミダイトの製造のための通常の方法は14〜73%の範囲の収率を与えるが、一方で本発明の方法は95%以上の収率を与える。このことはまた、DNA/RNAヌクレオチドについてのみ該対応する反応が92%の収率を与える理由として注目に値する。 本発明の別の利点は、該反応が0.5〜4時間、好ましくは1.0〜3.5時間で終了すること、およびLNAアミダイトのクロマトグラフィーはその効率良い反応のために不要であることである。従って、該ホスファイト反応は典型的に、0.1〜12時間(例えば0.2〜8時間、例えば0.5〜4.0時間、例えば1.0〜3.5時間)で進行することが可能である。 オリゴヌクレオチド製造における直接的な使用のためのLNAホスホラミダイトは、直接にまたは該反応混合物からの該生成物の簡単な沈降によって、得ることができる。従って、本発明のある態様において、該方法は多くて1つの沈降工程を含む。 本発明において使用するための適当な求核活性化剤は例えば、4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)、4−アルキルチオイミダゾール、2−アルキルチオイミダゾール、2−ニトロイミダゾール、4−ニトロイミダゾール、4,5−ジハロイミダゾール、4−ハロイミダゾール、2−ハロイミダゾールおよび5−アルコキシテトラゾールを含むが、これらに限定されない。DCIは、好ましい求核性活性化剤である。DCIは、pKaが5.2であり、このものはアセトニトリルに容易に溶解する。 適当なPN2試薬としては例えば、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトおよび2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトラエチルホスホラミダイト、並びにDahl, B. H., Nielsen, J.およびDahl, O.によるNucleic Acid Research, 1987, 15, 1729-1743(このものは、本明細書の一部を構成する)によって記載の試薬を含むが、これらに限定されない。現在、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトおよび2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトラエチルホスホラミダイト、特に2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトは、特に適切であると考えている。 現在好ましい組み合わせは、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトラ置換ホスホラミダイトが2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトであって、および該求核性活性化剤が4,5−ジシアノイミダゾールである場合である。 該LNA単量体および該求核性活性化剤の間のモル比は典型的に、1:0.0001〜1:10の範囲であり、好ましくは1:0001〜1:1の範囲であり、より好ましくは1:0.0001〜1:0.7の範囲である。 該LNA単量体および該PN2試薬の間のモル比は典型的に、1:0.9〜1:10の範囲であり、好ましくは1:0.95〜1:5の範囲であり、より好ましくは1:1である。 現在最も関心のあるLNA単量体は、グアニン、チミン、シトシン、メチルシトシン、ウラシルまたはアデニン、典型的に保護されたもの(例えば、N−ベンゾイル保護のシトシン(CBz)、N−ベンゾイル保護のメチルシトシン(MeCBz)、N−イソ−ブタノイル保護のグアニン(GIBu)、ウラシル(U)、チミン(T)、N−ベンゾイル保護のアデニン(ABz))から選ばれる核酸塩基を有するものである。(実施例)実施例1−ホスファイト化方法 4つのホスファイト化方法を調べて、比較した: i)2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイト、ジイソプロピルアミン; ii)2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイト、1H−テトラゾール; iii)2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイト、ピリジニウムトリフルオロアセテート; iv)2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイト、4,5−ジシアノイミダゾール。 2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトは、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイト(PN2試薬)と比較していくつかの欠点を有すると考えられる。それは、室温で不安定で、高価で、そしてその高い反応性のために取り扱うのが困難である。その上、核酸塩基との所望しない反応が、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトの場合に観察されることが多い(図1)。 3つの異なる活性化剤(1H−テトラゾール、ピリジニウムトリフルオロアセテートおよび4,5−ジシアノイミダゾール)を、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトと一緒に調べた。4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)は、最も良い結果を示した。実施例2−LNAホスホラミダイト1〜6の製造の一般的な実験方法: 0.2M LNAヌクレオシド(1.0当量)の無水CH2Cl2溶液を、アルゴン下で撹拌した。1.0MのDCI(0.70当量)の無水MeCN溶液を加え、続いて2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイト(1.0当量)を滴下した。該反応が完結後に(これは、分析用TLC*によって追跡する)、そのものをCH2Cl2を用いて希釈し、そして飽和NaHCO3水溶液で2回、およびブラインで1回洗浄した。該有機層を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、そして真空下で濃縮して、無色の発泡体を得た。全てのホスホラミダイトを非常に高収率で(>95%)単離した。副生成物は、HPLC−MS、TLCまたは31P−NMRによって全く検出され得なかった(純度:ほぼ100%)。出発物質が乾燥しており且つ純粋である場合には、クロマトグラフィー精製は必要ない。 *全てのホスファイト化反応は、G−ホスホラミダイト(2)製造が完結するのに4時間まで費やすのを除いて、2時間より低くて完結した。(1R,3R,4R,7S)−3−(4−N−ベンゾイル−5−メチルシトシン−1−イル)−7−(2−シアノエトキシ−(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(3)の製造 (1R,3R,4R,7S)−3−(4−N−ベンゾイル−5−メチルシトシン−1−イル)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−7−ヒドロキシ−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(4.86g、7.2mmol)を無水CH2Cl2(40mL)に溶解し、そして4,5−ジシアノイミダゾールのMeCN(1.0M、5mL)を加えた。アルゴン下、周囲温度で撹拌した。2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスフィノジアミダイト(2.4mL、7.2mmol)を該反応混合物に滴下した。2時間後に、該反応液をCH2Cl2(100mL)を用いて希釈し、このものを分液ろうとに移し、そして飽和NaHCO3水溶液(2×150mL)およびブライン(150mL)を用いて抽出した。該水相を合わせてCH2Cl2(100mL)を用いて抽出した。該有機層を貯蔵し、そして乾燥した(Na2SO4)。ろ過後に、該有機層を真空下で蒸発して、わずかに黄色の発泡体(6.0g、収率95%)を得た。少量の試料を、クロマトグラフィー精製した物質との比較のために取り出した。該生成物をドライカラムバキュームクロマトグラフィー(径10cm;5%容量比のEt3Nのn−ヘプタン溶液を用いて前処理したシリカゲル;0→70%容量比のEtOAcのn−ヘプタンを使用)によって精製した。3を含有する選択した画分を合わせて、真空下で蒸発して、無色の発泡体(5.3g、収率84%)を得た。 カップリング反応の効率性の差違は、該粗および該クロマトグラフィー精製のホスホラミダイトの間のカップリング反応の効率性のアッセイ(上記を参照)において、オリゴヌクレオチドシンセサイザーを用いては全く検出され得なかった。 化合物1、2、4、5および6は、同様な方法で製造した。ホスホラミダイト1〜6の分析データ (1R,3R,4R,7S)−7−(2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−3−(チミン−1−イル)−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(1) 31P-NMR (CDCl3, 121.49 MHz): δ 150.0 (s), 149.3 (s)。 MS (ES): m/z(C41H49N4O9Pとして計算)[M+H]+: 計算値:773.3、実測値:773.1。 RP HPLC: RT = 5.89分,6.19分。 (1R,3R,4R,7S)−7−(2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−3−(2−N−イソブチリルグアニン−1−イル)−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2) 31P-NMR (CDCl3, 121.49 MHz): δ 150.2 (s), 149.2 (s)。 MS (ES): m/z(C45H54N7O9Pとして計算)[M+H]+: 計算値:868.4、実測値:868.0。 RP HPLC: RT = 5.52分,5.72分。 (1R,3R,4R,7S)−3−(4−N−ベンゾイル−5−メチルシトシン−1−イル)−7−(2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(3) 31P-NMR (CDCl3, 121.49 MHz): δ 150.5 (s), 150.5 (s)。 MS (ES): m/z(C48H54N5O9Pとして計算)[M+H]+: 計算値:876.4、実測値:876.2。 RP HPLC: RT = 7.67分,8.13分。 (HPLC溶媒勾配: 0.0-0.5分 95%B、0.5-2.0分 95%→100%B、2.0-7.0分 100%B、7.0-7.5分 100%→95%B、7.5-12.0分 95%B)。(1R,3R,4R,7S)−3−(6−N−ベンゾイルアデニン−9−イル)−7−(2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(4) 31P-NMR (CDCl3, 121.49 MHz): δ 150.1 (s), 149.7 (s)。 MS (ES): m/z(C48H52N7O8Pとして計算)[M+H]+: 計算値:886.3、実測値:886.0。 RP HPLC: RT = 6.65分,6.82分。 (1R,3R,4R,7S)−7−(2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−5−N−メチル−3−(チミン−1−イル)−2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(5) 31P-NMR (CDCl3, 121.49 MHz): δ 149.8 (s), 149.6 (s)。 MS (ES):m/z(C42H52N5O8Pとして計算)[M+H]+: 計算値:786.3、実測値:786.2。 RP HPLC: RT = 5.87分,6.26分。 (1S,3R,4S,7R)−7−(2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ)−1−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシメチル)−3−(チミン−1−イル)−2,5−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(6) 31P-NMR (CDCl3, 121.49 MHz): δ 150.9 (s), 150.6 (s)。 MS (ES):m/z(C41H49N4O9Pとして計算)[M+H]+: 計算値:773.3、実測値:773.1。 RP HPLC: RT = 6.06分,6.44分。図1は、a)2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイト、ジイソプロピルエチルアミンによるグアニンのホスファイト化、b)転移/転位反応によるグアニン3'OHのホスファイト化(遅い)を示す図面である。図2は、オキシ−β−D−リボ−DNAホスホラミダイトを示す図面である。図3は、2−アミン−β−D−リボ−LNAホスホラミダイトおよびオキシ−α−L−リボ−LNAチミンホスホラミダイトを示す図面である。 LNAホスホラミダイトの製造方法であって、 4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)の存在下での、2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトを用いる、2’,4’−架橋を有するLNA単量体の3'−OH基のホスファイト化を含み、そして、 該LNA単量体およびDCIの間のモル比は、1:0.7〜1:1の範囲である、該方法。 該2’,4’−架橋は、−O−CH2−架橋、−S−CH2−架橋、または−NR−CH2−架橋であり、ここで、Rは、水素、C1〜6アルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。 最大1つの沈降工程を含む、請求項1または2のいずれか記載の方法。 LNA単量体および2−シアノエチル−N,N,N',N'−テトライソプロピルホスホラミダイトの間のモル比は、1:0.9〜1:1の範囲である、請求項1〜3のいずれか1つ記載の方法。 ホスファイト化は0.5〜4時間で進行することができる、請求項1〜4のいずれか1つ記載の方法。 LNA単量体は、グアニン、チミン、シトシン、メチルシトシン、ウラシル、またはアデニンから選ばれる核酸塩基を有する、請求項1〜5のいずれか1つ記載の方法。 LNA単量体構造は、オキシ−β−D−リボ−LNA、チオ−β−D−リボ−LNA、アミノ−β−D−リボ−LNA、オキシ−α−L−リボ−LNA、チオ−α−L−リボ−LNA、またはアミノ−α−L−リボ−LNAから選ばれる、請求項1〜6のいずれか1つ記載の方法。 該LNA単量体およびDCIの間のモル比は、1:0.7である、請求項1〜7のいずれか1つ記載の方法。


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