タイトル: | 特許公報(B2)_オリゴ糖結晶およびオリゴ糖結晶の製造方法 |
出願番号: | 2003503641 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07H 5/06 |
下瀬 強 長野 宏 有本 勝 村田 英城 JP 4347042 特許公報(B2) 20090724 2003503641 20020611 オリゴ糖結晶およびオリゴ糖結晶の製造方法 協和発酵バイオ株式会社 308032666 下瀬 強 長野 宏 有本 勝 村田 英城 JP 2001175930 20010611 20091021 C07H 5/06 20060101AFI20091001BHJP JPC07H5/06 C07H 5/06 CA/REGISTRY(STN) 特開2000−279191(JP,A) 特開昭63−246391(JP,A) 特開昭60−232095(JP,A) 特公昭57−005239(JP,B1) KUHN R ET AL: "KRISTALLISATION UND KONSTITUTIONSERMITTLUNG DER LACTO-N-FUCOPENTAOSE" CHEMISCHE BERICHTE, vol. 89, no. 11, 1956, p2514-2523 J. ORG. CHEM. vol. 35, no. 7, 1970, p2436 - 2437 RICHARD KUHN ET AL: "KRISTALLISIERTE FUCOSIDO-LACTOSE" CHEMISCHE BERICHTE, VERLAG CHEMIE GMBH. WEINHEIM, DE, vol. 89, no. 11, November 1956 (1956-11), p2513 BIOCHEMISTRY vol. 31, no. 40, 1992, p9609 - 9621 CARBOHYDRATE RESEARCH vol. 169, 1987, p105 - 125 CARBOHYDRATE RESEARCH vol. 235, 1992, p69 - 81 CARBOHYDRATE RESEARCH,vol. 181, no. 1,1988 , p41-55 2 JP2002005787 20020611 WO2002100875 20021219 10 20041220 渕野 留香 技術分野本発明は、例えば健康食品、医薬品、化粧品等の原料または中間体等として有用であるオリゴ糖結晶およびオリゴ糖結晶の製造方法に関する。背景技術オリゴ糖は、例えば健康食品、医薬品、化粧品等の原料または中間体等として有用である。そのため、保存安定性が良好で、不純物や分解物等を含まない高純度のものが求められる。オリゴ糖の合成法または発酵法がいくつか報告されている[ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、100巻、4465頁(2000年)、カレント・オピニオン・イン・ドラッグ・ディスカバリー・アンド・ディベロップメント(Curr.Opin.in Drug Discovery & Develop.)、3巻、756頁(2000年)、WO98/12343、WO99/40205]が、通常、最終物は凍結乾燥処理で粉末(非結晶アモルファス)として得られ、結晶としての取得は困難とされている。この凍結乾燥処理で得られる粉末(非結晶アモルファス)は、一般的に吸湿性、潮解性等があり、安定性に問題があることが知られている。そのため、例えば保存、輸送、流通等において、冷蔵または冷凍する必要があり、工業レベルでの大量供給には、常温で保存可能なオリゴ糖結晶およびその製造方法が求められる。また、オリゴ糖結晶としては、ルイス・エックス[LewisX;Galβ1,4(Fucα1,2)GlcNAc]の結晶が唯一知られており、その製造方法が知られている[グリコバイオロジー(Glycobiology)、6巻、537頁(1996年)]。しかしながら、該製造方法は、その結晶化に要する時間が2年間と極めて長く、大量合成または工業化には適さない。そのため、短時間で結晶化が可能なオリゴ糖結晶の製造方法が求められている。発明の開示本発明の目的は、健康食品、医薬品、化粧品等の原料または中間体等として有用なオリゴ糖結晶を提供することおよび大量合成または工業化に適したオリゴ糖結晶の製造方法を提供することにある。本発明は、以下の(1)〜(24)に関する。(1)3糖以上のオリゴ糖含有水溶液を、水混和性有機溶剤に添加することを特徴とする3糖以上のオリゴ糖結晶の製造方法。(2)一般式(I)[式中、Galはガラクトースを表し(以下同様に略す)、Glcはグルコースを表し(以下同様に略す)、R1は単糖残基もしくはアミノ糖残基またはそれらの誘導体を表し、R2、R3およびR4は同一または異なって、単糖残基もしくはアミノ糖残基、それらの誘導体、−X(−Y)−(式中、XおよびYは同一または異なって、単糖残基もしくはアミノ糖残基またはそれらの誘導体を表す)または単結合を表し、R5は水素原子、単糖残基もしくはアミノ糖残基またはそれらの誘導体を表す]で表されるオリゴ糖含有水溶液を、水混和性有機溶剤に添加することを特徴とするオリゴ糖結晶の製造方法。(3)R1がGlcNAc(GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表し、以下同様に略す)、NeuAc(NeuAcはN−アセチルノイラミン酸を表し、以下同様に略す)、Gal、Fuc(Fucはフコースを表し、以下同様に略す)またはGalNAc(GalNAcはN−アセチルガラクトサミンを表し、以下同様に略す)であり、R2、R3およびR4が同一または異なって、単結合、GlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcであり、R5が水素原子、GlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcである上記(2)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(4)R2、R3およびR4が同一または異なって、GlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcである上記(2)または(3)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(5)R4が単結合である上記(2)または(3)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(6)R3およびR4が単結合である上記(2)または(3)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(7)R2、R3およびR4が単結合である上記(2)または(3)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(8)R1がGlcNAcであり、R2がGalであり、R3がGlcNAcであり、R5が水素原子である上記(5)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(9)R1がNeuAcまたはGalであり、R2がGlcNAcまたはGalNAcであり、R5が水素原子である上記(6)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(10)R1がGlcNAc、Gal、NeuAcまたはFucであり、R5が水素原子またはGalNAcである上記(7)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(11)R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくともひとつがデオキシ糖残基であり、オリゴ糖含有水溶液が、合成吸着樹脂処理により得られる水溶液である上記(2)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(12)デオキシ糖残基がFucである上記(11)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(13)R1がFucであり、R2、R3およびR4が単結合であり、R5が水素原子である上記(11)記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(14)水混和性有機溶剤が、アルコール類またはケトン類である上記(1)〜(13)のいずれに記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(15)水混和性有機溶剤が、メタノールまたはアセトンである上記(1)〜(13)のいずれに記載のオリゴ糖結晶の製造方法。(16)上記(2)に記載の一般式(I)で表されるオリゴ糖結晶。(17)R1がGlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcであり、R2、R3およびR4が同一または異なって、単結合、GlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcであり、R5が水素原子、GlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcである上記(16)記載のオリゴ糖結晶。(18)R2、R3およびR4が同一または異なって、GlcNAc、NeuAc、Gal、FucまたはGalNAcである上記(16)または(17)記載のオリゴ糖結晶。(19)R4が単結合である上記(16)または(17)記載のオリゴ糖結晶。(20)R3およびR4が単結合である上記(16)または(17)記載のオリゴ糖結晶。(21)R2、R3およびR4が単結合である上記(16)または(17)記載のオリゴ糖結晶。(22)R1がGlcNAcであり、R2がGalであり、R3がGlcNAcであり、R5が水素原子である上記(19)記載のオリゴ糖結晶。(23)R1がNeuAcまたはGalであり、R2がGlcNAcまたはGalNAcであり、R5が水素原子である上記(20)記載のオリゴ糖結晶。(24)R1がGlcNAc、Gal、NeuAcまたはFucであり、R5が水素原子またはGalNAcである上記(21)記載のオリゴ糖結晶。以下、3糖以上のオリゴ糖または一般式(I)で表されるオリゴ糖をオリゴ糖(I)、オリゴ糖(I)の結晶をオリゴ糖結晶(I)とそれぞれいう一般式(I)の各基の定義において、(i)単糖残基の単糖部分としては、例えばGal、Glc、アロース(All)、アラビノース(Ara)、アルトロース(Alt)、グロース(Gul)、マンノース(Man)、タロース(Tal)、フルクトース(Fru)、リボース(Rib)、キシロース(Xyl)等があげられる。(ii)アミノ糖残基のアミノ糖部分としては、例えばノイラミン酸(Neu)、ムラミン酸(Mur)、グルコサミン(GlcN)、マンノサミン(ManN)、ガラクトサミン(GalN)、2−アミノ−2−デオキシグルコピラノース(GlcpN)等があげられる。(iii)単糖残基もしくはアミノ糖残基の誘導体としては、例えばウロン酸、デオキシ糖、同一または異なって単糖残基[該単糖残基は前記単糖残基(i)と同義である]もしくはアミノ糖残基[該アミノ糖残基は前記アミノ糖残基(ii)と同義である]またはそれらの誘導体(該単糖残基およびアミノ糖残基の誘導体としては、例えばデオキシ糖等があげられる)等が2つ糖結合したもの、それらの有する水酸基またはアミノ基が、例えばアセチル等で保護されたもの等があげられる。ここで示したウロン酸としては、例えばグルクロン酸(GlcA)、ガラクツロン酸(GalA)等、デオキシ糖としては、例えばFuc、ラムノース(Rha)等、それらの有する水酸基またはアミノ基がアセチル等で保護されたものとしては、例えばGlcNAc、NeuAc、GalNAc、N−アセチルマンノサミン(ManNAc)等がそれぞれあげられる。(iv)R1−R2、R2−R3、R3−R4、R4−GalおよびR5−Gal(R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ前記と同義である)のそれぞれの間の糖結合(グリコシド結合)としては、同一または異なって、例えばα−1,2結合、α−2,3結合、α−1,4結合、β−1,3結合、β−1,4結合等があげられ、とりわけ好ましい糖結合で形成されるオリゴ糖(I)としては、例えばGlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc、Galα1,4Galβ1,4Glc、NeuAcα2,3Galβ1,4Glc、Fucα1,2Galβ1,4Glc等の3糖類、Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc、NeuAcα2,3(GalNAcβ1,4)Galβ1,4Glc等の4糖類、GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc等の5糖類等があげられる。本発明において、(v)3糖以上のオリゴ糖としては、例えば分岐状または直鎖状のオリゴ糖であり、単糖残基[該単糖残基は前記単糖残基(i)と同義である]もしくはアミノ糖残基[該アミノ糖残基は前記アミノ糖残基(ii)と同義である]またはそれらの誘導体[該単糖残基もしくはアミノ糖残基の誘導体は、前記単糖残基もしくはアミノ糖残基の誘導体(iii)と同義である]等が、同一または異なって、例えば3〜20個、互いに糖結合(グリコシド結合;該糖結合としては、同一または異なって、例えば、α−1,2結合、α−2,3結合、α−1,4結合、β−1,3結合、β−1,4結合等があげられる)しているもの等があげられ、好ましくは3〜10個、さらに好ましくは3〜6個、互いに糖結合(該糖結合は前記と同義である)しているものがあげられる。(vi)オリゴ糖含有水溶液としては、オリゴ糖を含有する水溶液であればいずれでも良いが、オリゴ糖の糖純度が50%以上である水溶液が好ましく、さらには70%以上である水溶液がより好ましい。該水溶液は、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の他の有機溶剤を含んでいても良い。該水溶液中の水の含量としては20%以上が好ましい。具体的には、例えばオリゴ糖の溶液(該オリゴ糖の溶液としては、例えば合成法または発酵法により得られるオリゴ糖の反応液、培養液、除菌液等があげられる)を前処理(該前処理法としては、例えば膜処理、ゲル濾過処理、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、合成吸着樹脂処理、溶媒沈殿等、好ましくは活性炭処理、イオン交換樹脂処理、合成吸着樹脂処理、溶媒沈殿等、さらに好ましくは溶媒沈殿、合成吸着樹脂処理等があげられ、これらの処理法は適宜組み合わせてもよく、中でも、単糖残基の少なくともひとつがFucであるオリゴ糖(I)を含有する水溶液を得るための前処理法としては、合成吸着樹脂処理がより好ましい)することにより調製される水溶液等があげられる。(vii)水混和性有機溶剤としては、水と混和する性質を有する有機溶剤であればいずれでも良いが、好ましくは、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等があげられる。(viii)合成吸着樹脂としては、非極性で多孔質の吸着樹脂等があげられ、例えばダイヤイオンHPシリーズ(例えばHP10、HP20、HP21、HP30、HP40、HP50等;三菱化学工業製)、ダイヤイオンSP800シリーズ(例えばSP800、SP825、SP850、SP875等;三菱化学工業製)、ダイヤイオンSP200シリーズ(例えばSP205、SP206、SP207、SP207SS等;三菱化学工業製)、アンバーライトXADシリーズ(例えばXAD4、XAD7HP、XAD16、XAD1600等;ローム アンド ハース社製)等があげられる。(ix)オリゴ糖結晶はどのような結晶でもよいが、例えば柱状、板状、針状等の結晶があげられ、とりわけ柱状のものが好ましい。次に、オリゴ糖結晶(I)の製造方法について詳細に説明する。製造法:既知の方法[例えば、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、100巻、4465頁(2000年)、カレント・オピニオン・イン・ドラッグ・ディスカバリー・アンド・ディベロップメント(Curr.Opin.in Drug Discovery & Develop.)、3巻、756頁(2000年)、WO98/12343、WO99/40205等]に準じて、合成法または発酵法により得られるオリゴ糖(I)の反応液、培養液、または除菌液を前処理することにより、糖純度50%以上、好ましくは70%以上になるようにオリゴ糖(I)含有水溶液を調製する。このオリゴ糖(I)含有水溶液を用い、−20℃から水混和性有機溶剤の沸点の間の温度または還流下で、貧溶媒である水混和性有機溶剤に、1分間〜10時間、好ましくは10分間〜2時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1〜20時間、好ましくは2〜4時間、−20℃から水混和性有機溶剤の沸点の間の温度または還流下で攪拌晶析して結晶を析出させる。析出する結晶を、例えば遠心濾過、デカンテーション等に付して結晶を分離し、水または水混和性有機溶剤で結晶を洗浄後、減圧下または通風下で取得した結晶を乾燥することにより、オリゴ糖結晶(I)を得ることができる。また、さらに洗浄、乾燥、再結晶等の操作を行うことによりさらに精製することもできる。オリゴ糖(I)含有水溶液を得るための前処理法としては、例えば膜処理、ゲル濾過処理、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、合成吸着樹脂処理、溶媒沈殿等、好ましくは活性炭処理、イオン交換樹脂処理、合成吸着樹脂処理、溶媒沈殿等、さらに好ましくは溶媒沈殿、合成吸着樹脂処理等があげられ、これらの処理法を適宜組み合わせることも可能である。中でも、単糖残基の少なくともひとつがFucであるオリゴ糖(I)を含有する水溶液を得るための前処理法としては、合成吸着樹脂処理がより好ましい。水混和性有機溶剤は、単独もしくは2種以上を混合して、または水と混合して用いることができる。オリゴ糖結晶(I)は、上記製造法により得られる以外に一般的な晶析法、例えばオリゴ糖(I)含有水溶液を、濃縮、冷却、中和しながら晶析する方法、またはオリゴ糖(I)含有水溶液に水混和性有機溶剤を貧溶媒として添加しながら晶析することにより、オリゴ糖結晶(I)の成長を促す方法等によっても得ることができる。上記製造方法で得られるオリゴ糖結晶(I)は、水または各種水混和性有機溶剤との付加物として得られることもある。また、上記製造方法で得られるオリゴ糖結晶(I)には、異なった結晶形または異なった粒度のものが存在する場合もあり、これらが単独でまたは混合物として得られることもある。上記製造方法で得られるオリゴ糖結晶(I)の具体例を第1表に示す。次に、本発明のオリゴ糖結晶(I)の保存安定性について、試験例により具体的に説明する。試験例:オリゴ糖結晶(I)とオリゴ糖(I)の凍結乾燥粉末の安定性の比較実施例1〜3でそれぞれ得られたオリゴ糖結晶(I)と参考例1〜3でそれぞれ得られたオリゴ糖(I)の凍結乾燥粉末について、105℃、大気中、常圧の条件下での20日間保存安定性を、オリゴ糖(I)の残存率を測定することで追跡した。その結果を第2表に示す。なお、試料中のオリゴ糖(I)の残存率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、HPLC純度(%)として表した。HPLCの測定条件は以下の通りである。分析機器:ダイオネクス社製カラム:CarboPac PA 10カラム温度:30℃移動相:10〜100% NaOH水溶液(500mmol/L)(11分間でグラディエント操作)流速:0.8mL/分検出条件:電気化学検出(PAD法)第2表から明らかなように、参考例で得られたオリゴ糖(I)の凍結乾燥粉末では、HPLC分析でオリゴ糖(I)の残存率低下がみられ、著しい分解を生じた。これに対して、本発明の製造方法により得られたオリゴ糖結晶(I)では、オリゴ糖(I)の残存率低下は全くみられず、オリゴ糖結晶(I)が極めて安定であることが判った。発明を実施するための最良の形態以下に、実施例および参考例により本発明を詳細に説明するが、いずれも本発明を限定するものではない。実施例1:GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶の製造参考例4で得られたGlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液を、遠心分離により除菌操作後、ダイヤイオンSK−1B(H型;三菱化成工業製)、次いでダイヤイオンWA−30(OH型;三菱化成工業製)に通塔して脱塩処理を行った。脱塩処理液を、HClでpH6.5に調整した後、減圧下で濃縮し、GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcの処理溶液(水溶液;100mL,200g/L)を得た。該処理溶液を60℃に加熱したメタノール(500mL)中に約30分かけて添加し、60℃で約3時間、還流条件下で晶析を行った。晶析液を20℃まで冷却し、1時間攪拌後、結晶を濾取し、結晶をメタノールで洗浄した。この結晶を通風乾燥し、GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶14gを取得した。この結晶の粉末X線構造回析測定値を第3表に示す。実施例2:Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶の製造参考例5で得られたGalβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液を、遠心分離により除菌操作後、ダイヤイオンSK−1B(H型;三菱化成工業製)、次いでダイヤイオンWA−30(OH型;三菱化成工業製)に通塔して脱塩処理を行った。脱塩処理液を、HClでpH6.5に調整した後、減圧下で濃縮し、Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcの処理溶液(水溶液;70mL,300g/L)を得た。該処理溶液を58℃に加熱したアセトン(500mL)中に約30分かけて添加し、58℃で約2時間、還流条件下で晶析を行った。晶析液を20℃まで冷却し、1時間攪拌後、結晶を濾取し、結晶をアセトンで洗浄した。この結晶を通風乾燥し、Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶16gを取得した。この結晶の粉末X線構造回析測定値を第4表に示す。実施例3:GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶の製造参考例6で得られたGlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液を、遠心分離により除菌操作後、ダイヤイオンSK−1B(H型;三菱化成工業製)、次いでダイヤイオンWA−30(OH型;三菱化成工業製)に通塔して脱塩処理を行った。脱塩処理液を、HClでpH6.5に調整した後、減圧下で濃縮し、GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcの処理溶液(水溶液;100mL,200g/L)を得た。該処理溶液を60℃に加熱したメタノール(500mL)中に約30分かけて添加し、60℃で約3時間、還流条件下で晶析を行った。晶析液を20℃まで冷却し、1時間攪拌後、結晶を濾取し、結晶をメタノールで洗浄した。この結晶を通風乾燥し、GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶16gを取得した。この結晶の粉末X線構造回析測定値を第5表に示す。参考例1:GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc凍結乾燥粉末の製造実施例1で得られたGlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶5gを水に溶解し、GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc溶液を得た(10mL,500g/L)。この溶液を−30℃で凍結させた後、凍結乾燥機にて乾燥させ、GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc凍結乾燥粉末4.8gを得た。参考例2:Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc凍結乾燥粉末の製造実施例2で得られたGalβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶5gを水に溶解し、Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc溶液を得た(10mL,500g/L)。この溶液を−30℃で凍結させた後、凍結乾燥機にて乾燥させ、Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc凍結乾燥粉末4.5gを得た。参考例3:GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc凍結乾燥粉末の製造実施例3で得られたGlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc結晶5gを水に溶解し、GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc溶液を得た(10mL,500g/L)。その溶液を−30℃で凍結させた後、凍結乾燥機にて乾燥させ、GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc凍結乾燥粉末4.7gを得た。参考例4:GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液は、WO98/12343に記載の方法で得られたウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンとラクトースから、グリコバイオロジー(Glycobiology)、9巻、1061頁(1999年)に記載の酵素を高発現させた組み替え大腸菌を用い、WO98/12343に記載の糖鎖生産方法に準じて得られた。参考例5:Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液は、参考例4で得られたGlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液とウリジン二リン酸−ガラクトースを用いて、参考例4に記載の方法に準じて得られた。参考例6:GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液は、WO98/12343に記載の方法で得られたウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンと参考例5で得られたGalβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc反応液から、参考例4に記載の方法に準じて得る。産業上の利用可能性本発明により、健康食品、医薬品、化粧品等の原料または中間体等として有用なオリゴ糖結晶および大量合成または工業化に適したオリゴ糖結晶の製造方法が提供される。 GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc、Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcまたはGlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcで表されるオリゴ糖含有水溶液を、メタノールまたはアセトンに添加することを特徴とする該オリゴ糖の結晶の製造方法。 GlcNAcβ1,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcで表されるオリゴ糖結晶。