生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_炭酸乳飲料
出願番号:2003433433
年次:2009
IPC分類:A23C 9/152,A23L 2/62,A23L 2/38,A23L 2/00,C12G 3/04


特許情報キャッシュ

三浦 裕 JP 4286656 特許公報(B2) 20090403 2003433433 20031226 炭酸乳飲料 アサヒビール株式会社 000000055 正林 真之 100106002 三浦 裕 20090701 A23C 9/152 20060101AFI20090611BHJP A23L 2/62 20060101ALI20090611BHJP A23L 2/38 20060101ALI20090611BHJP A23L 2/00 20060101ALI20090611BHJP C12G 3/04 20060101ALI20090611BHJP JPA23C9/152A23L2/00 LA23L2/38 PA23L2/00 TC12G3/04 A23C 1/00−23/00 A23L 2/00 C12G 3/00 食品関連文献情報(食ネット) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) WPI(DIALOG) FOODLINE(DIALOG) Foods Adlibra(DIALOG) Food Sci.&Tech.Abs(DIALOG) BIOSIS(DIALOG) 特開2000−157251(JP,A) 特開昭61−047142(JP,A) 特開平02−005841(JP,A) 特開平09−009868(JP,A) 1 2005185226 20050714 8 20060802 ▲高▼ 美葉子 本発明は、乳飲料に関し、特に低酸性条件下のもと乳蛋白の沈殿が生じない乳飲料に関する。 牛乳は、カルシウムや乳蛋白(カゼイン)等が豊富に含まれているため栄養バランスがとれた飲料とされている。また、嗜好性も高く、ミルクコーヒーやミルクティー等の他の飲料への利用が広く行われている。これとは別に、牛乳における止渇性の強化という観点からすれば、牛乳を炭酸飲料にすることは好ましい(特許文献1、2参照)。 しかしながら、牛乳に炭酸水を加えると、すみやかに乳蛋白が凝固し、分離沈殿してしまう。これは、牛乳中の乳蛋白の等電点がpH4.6であり、牛乳のpHは7程度であるため、普通の牛乳中では乳蛋白は安定化しているが、炭酸水で薄めると、pHが等電点近くのpH4.6程度に下がり、凝固反応が起こるからである。特許文献1に記載の乳飲料は、いずれもそのpHを乳蛋白の等電点よりも低く設定した牛乳を原料とし、また乳酸発酵させることによってPHを下げ蛋白質の凝固を抑制している。これに関し、特許文献2に記載の乳飲料は、牛乳を陽イオン交換樹脂と接触させ、カルシウムを除去し、乳蛋白を安定化させたものに炭酸を加えたものである。 更に、特許文献3に記載の乳飲料は、牛乳中の脂肪がアルコールの吸収を遅らせて肝臓に負担をかけずにアルコール分解を行うことができることに着目し、水溶性ヘミセルロースを含有させ、それを醗酵させることによってアルコール性乳飲料としたものである。特開平02−005841号公報特表2003−515353号公報特開2000−157251号公報 ここで、特許文献1及び3に記載の乳飲料は、いずれも牛乳のpHを低くし発酵させることにより、乳の安定化を図る方法である。しかし、この方法では十分な乳成分を飲料へ含有させることができないだけではなく、かなり酸味の強い飲み物となってしまう。また、特許文献1の乳飲料は、ガスボリュームが0.05〜0.5gas vol.と極めて低く、炭酸飲料と呼べないレベルのものである。その理由として、ガスボリュームが1.85gas vol.以上のレベルになると、蛋白質の凝固が発生してしまうためである。また、特許文献2に記載の乳飲料は、牛乳をイオン交換樹脂に接触させているため、乳成分中のカルシウムが殆ど失われてしまい、栄養面において好ましくない。さらに、半透明であるため、牛乳本来の不透明な白色を楽しむことはできない。 本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、乳成分を十分に含んでおり、かつ、酸っぱすぎず、十分なガスボリュームを有していても安定である炭酸乳飲料を提供することにある。 炭酸ガスは、水中では、下記の化学式(式1)の形で存在するが、99%は炭酸ガスCO2として、水中に存在し、1%が炭酸H2CO3として存在している。炭酸が溶けている量が少ないためpHは4.0付近と他の酸と比べて高い。なお、ガスボリュームが4.0gas vol.の強炭酸水のpHは3.8であり、ガスボリュームが2.2gas vol.の炭酸水のpHは4.0である。従来の炭酸飲料は、これに乳酸やクエン酸を加えてpHを更に下げて、pH3.4程度にしているのである。しかし、pHを下げてしまうと酸味が増し、飲みにくくなってしまう。特に乳飲料の場合は、口の中にまとわりつくような風味になってしまう場合がある。 本発明は、基本的には炭酸塩を用いて乳飲料のpHを乳蛋白の等電点と同程度或いはそれよりも高い値にすることによって牛乳の風味と栄養価を有した飲料を提供することを特徴としている。 本発明は具体的に以下のようなものを提供する。 (1) 脱脂処理をされておらず、かつ、カゼインその他の乳成分と、炭酸と、を含む炭酸乳飲料であり、前記炭酸乳飲料は、密閉容器中で25℃、24時間放置した状態でもカゼインの沈殿が生じないことを特徴とする炭酸乳飲料。 (2) 前記炭酸乳飲料は、乳脂肪及びカゼインを1質量%以上含むものである(1)に記載の炭酸乳飲料。 (3) 前記炭酸乳飲料は、エタノールを含むアルコール性炭酸乳飲料である(1)または(2)に記載の炭酸乳飲料。 (4) 前記炭酸乳飲料中のエタノール濃度は1%以上であり、炭酸ガス量は1vol%以上5vol%以下である(1)から(3)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 本発明によれば、乳飲料にアルコールを含有させることによって、白いビールのように、喉の渇きを癒すのに好適なものとなった。また、乳成分中の乳蛋白や脂肪の効果により、アルコールの吸収が穏やかになる。そのため、二日酔いになり難いアルコール飲料を提供することができる。 (5) フルーツミルクタイプの炭酸乳飲料である(1)から(4)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 本発明によれば、炭酸乳飲料に果汁、甘味料等を添加することによって、より嗜好性の高い飲料を提供することができる。添加する果汁は、バナナ、リンゴ等酸味の少ないものが良い。 (6) ミルクコーヒータイプの炭酸乳飲料である(1)から(4)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 (7) ミルクティータイプの炭酸乳飲料である(1)から(4)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 本発明によれば、炭酸乳飲料にコーヒー、茶成分、甘味料及び酸味料等を添加することによって、より嗜好性の高い飲料を提供することができる。 (8) 前記炭酸乳飲料のpHは、4.6以上6.5以下である(1)から(7)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 本発明によれば、炭酸乳飲料のpHを4.6以上6.5以下にすることによって、乳蛋白の沈殿を抑制することが可能となる。好ましくは、pH5.3以上6.5以下にするとよく、さらに好ましくはpH5.3以上6.0以下である。 (9) 前記炭酸乳飲料は、pH調整剤を0.01質量%以上0.5質量%以下含む(1)から(8)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 (10) 前記pH調整剤は、炭酸塩又は炭酸水素塩である(1)から(9)いずれかに記載の炭酸乳飲料。 (11) 前記pH調整剤は、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウム又はこれらの混合物を含むものである(1)から(10)のいずれかに記載の炭酸乳飲料。 本発明によれば、炭酸乳飲料中に含まれる牛乳が15質量%程度であると、pHは5.0程度となり、乳蛋白が不溶化し、析出してくる可能性が高い。そこで、炭酸ガス量を多くしたり、牛乳含量を少なくする場合は、炭酸水素ナトリウムなどのpH調製剤でpHを上げることにより、炭酸乳飲料の安定化を図る必要がある。例えば、重曹NaHCO3を0.1%添加すると、牛乳の使用量10質量%、ガスボリューム3gas vol.でも乳炭酸のpHは5.5となるので、乳成分は分離沈殿することなく安定である。 (12) 前記炭酸乳飲料中に含まれている乳含有量は、5質量%から100質量%である(1)から(11)のいずれかに記載の炭酸乳飲料。 ここで「乳含量5質量%から100質量%」とは、もとになる乳飲料(例えば牛乳)を基準(100質量%)とした濃度をいう。例えば、濃縮乳(コンデンスミルク)の場合、もとの牛乳よりも濃い状態で作られているため乳含量が100質量%以上となる。従って、本発明の炭酸乳飲料中の乳成分の濃度を意味するものではない。 (13) 容器に充填されるための容器充填用飲料である(1)から(8)のいずれかに記載の炭酸乳飲料。 (14) 前記容器は、透明容器である(13)に記載の炭酸乳飲料。 (15) 前記容器は、密閉容器である(13)に記載の炭酸乳飲料。 (16) 前記容器は、透明密閉容器である(13)に記載の炭酸乳飲料。 本発明によれば、容器に充填されることによって、炭酸乳飲料の風味を損なうことなく流通させることが可能となる。更に透明容器に充填されることによって、牛乳の白濁し安定している様子を強調することが可能となる。なお、pH4.0以上の飲料は、食品衛生法上は、pH4.0未満の飲料に比べ強度の殺菌が必要となる。缶コーヒーやジュース等では、缶容器に充填後、高温高圧のレトルト殺菌が用いられてきたが、炭酸飲料では、圧力が上がりすぎて不可能である。そこで無菌充填の技術を用いて殺菌することが好ましい。 (17) 乳脂肪を1質量%以上含むアルコール性炭酸乳飲料の製造方法であって、乳飲料にアルコールを添加するアルコール添加工程と、1vol%以上5vol%以下の炭酸ガスを添加しながら、pHを4.6以上6.5以下に調整するためのpH調整剤を添加するpH調整工程と、を含み、密閉容器中で25℃、24時間放置した状態でもカゼインの沈殿を生じさせずに炭酸乳飲料の製造をすることを特徴とする乳飲料の製造方法。 (18) 炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウムを主成分とする、炭酸乳飲料製造時の沈殿発生抑制剤。 (19) 乳脂肪を1質量%以上含む有脂乳飲料に炭酸ガスを溶解させて炭酸乳飲料を製造する際に、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウム又はこれらの混合物によりpHを4.6から6.5の間に調整した状態で炭酸ガスを溶解させることにより、前記炭酸乳飲料に対してカゼインの沈殿発生を抑制する方法。 以上説明したように本発明は、乳脂肪及びカゼインを1質量%以上含み、かつ、炭酸を含む炭酸乳飲料である。前記炭酸乳飲料は、密閉容器中で25℃、24時間放置した状態でも乳蛋白の沈殿が生じないことを特徴とする炭酸乳飲料である。これにより、炭酸乳飲料の栄養成分を減少させることなく、炭酸ガスの爽快感を与えることができるようになった。また、この炭酸乳飲料に、アルコールを添加することにより、甘味や酸味に頼らない、旨みのある食事によく合う新規な乳入り炭酸アルコール飲料ができる。 以下、本発明をより詳しく説明する。 本発明に用いる牛乳は、脱脂処理がされていない牛乳であれば特に限定しない。例えば、生乳、全脂粉乳、部分脱脂乳、練乳、低脂肪乳等が含まれる。また、本発明の炭酸乳飲料は「炭酸」を含む。炭酸とは、炭酸ガス、つまり二酸化炭素を水に溶解させてできる弱酸性の酸のことをいう。炭酸は、飲料に二酸化炭素を通常20℃において加圧下で添加し、溶解させることによって生成する。この時の炭酸ガスボリュームは、1gas vol.以上5gas vol.以下であることが好ましく、2gas vol.以上4gas vol.以下であることがより好ましい。炭酸ガスが1gas vol.以下であると炭酸による発泡性や爽快感を楽しむことができない。また、5gas vol.以上であると乳蛋白の沈殿が生じてしまう可能性がある。 更にまた、本発明の炭酸乳飲料は「乳脂肪及びカゼイン」を1質量%以上含む。「乳脂肪」とは、牛乳や羊乳等に含まれている脂肪分のことをいい、「カゼイン」とは、リンタンパク質の一種で、乳の主要タンパク質をいう。牛乳中で乳脂肪はカゼインに吸着し、安定化している。なお本発明において「乳含量」とは、牛乳の含有量をいう。例えば乳入り缶コーヒーなどで牛乳の含有パーセントを示すときに乳含量20%などと使う。また、「乳成分」とは、一般に、乳の中に含まれている水分以外の脂肪や蛋白質や乳糖やミネラルなどの乳固形成分をいう。 更にまた、本発明の炭酸乳飲料のpHは、「4.6以上6.5以下」であり、pHは5.3以上6.0以下であることが好ましい。pHが4以下になってしまうと乳蛋白が不溶化し、析出する場合がある。また、一方でpHが6.5以上になると乳飲料が塩基性となり、苦味が増してしまう。具体的には、牛乳50質量%に炭酸水50質量%を加えて、ガスボリューム1.8gas vol.程度の微炭酸の炭酸乳飲料を作ると、pHは5.6程度となる。これは、牛乳中の蛋白やミネラルの緩衝作用で、pH下降を防ぐためである。このpHでは、乳成分は比較的安定である。牛乳を30質量%含む炭酸飲料だと緩衝作用は弱くなり、pH5.4であるが、牛乳はやや不安定である。また、牛乳などの乳成分を含んだ液を炭酸水で希釈して、乳炭酸を作る場合においては、乳成分の一部が一時的に等電点近辺まで、pHが下がると、速やかに乳蛋白の凝集反応が生じてしまう。そこで、炭酸水のpHをあらかじめ5.5程度まで上昇させておくことが好ましい。 更にまた、本発明の炭酸乳飲料は「pH調整剤」が添加されていてもよい。pH調整剤とは、食品のpHを適切に調整し、食品の変質や変色を防止したり、他の食品添加物の効果を向上させるために用いられる食品添加物をいう。なお、本発明で使用されるpH調整剤は、炭酸塩又は炭酸水素塩である。具体的には、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムであることが好ましく、炭酸ナトリウムであることが更に好ましい。 更にまた、本発明の炭酸乳飲料は「容器充填用飲料、透明容器充填用飲料、密閉容器充填用飲料、及び透明密閉容器充填用飲料」である。容器とは、ボトル形状の器をいい、密閉容器とは、キャップ付きのボトルが含まれる。この容器はプラスチックからなることが好ましく、ペットボトルであることが更に好ましい。ペットボトルは耐圧ボトル、耐熱圧ボトルである。 以下、本発明の実施例を説明する。[実施例1] 水に1Lあたり0.7gの炭酸水素ナトリウム(以下、重曹とする)を添加した後に、130℃で30秒間殺菌し、冷却し、無菌化された水に加圧下で、炭酸ガスを4.2gas vol.まで含有させる。この炭酸水のpHは5.5である。次に、あらかじめ130℃、30秒殺菌し、冷却した牛乳5容量に対して、先程の炭酸水5容量、を添加することにより、炭酸ガス圧2.1gas vol.の牛乳50%の炭酸飲料が出来る。これを無菌下でPET容器に充填することにより、容器入り炭酸乳飲料ができる。[実施例2] 牛乳3容量に対し、水6.5容量、95%醸造用アルコール0.5容量を加えた液体に、重曹0.07重量%、レモン香料0.1重量%添加し、よく攪拌する。この乳入りアルコール飲料を130℃、30秒殺菌したのち冷却し、炭酸ガスを2.52gas vol.まで、加圧下で含ませた後、PET容器に無菌化で充填することにより、乳入り炭酸アルコール飲料ができる。[実施例3] 牛乳を30質量%含有したミルクコーヒー9.5容量に、95%醸造用アルコール0.5容量を加えた液体に、重曹0.07重量を加え、よく攪拌する。このミルクコーヒーアルコール飲料を130℃、30秒殺菌したのち冷却し、炭酸ガスを2.5gas vol.まで、加圧下で含ませた後、缶容器に無菌下で充填することにより、ミルクコーヒータイプの炭酸アルコール飲料ができる。[比較例] 被験者10人に対し、本発明の第1実施形態の乳飲料と、普通の牛乳と飲み比べを行い、その風味の比較及び評価を行った。その結果を表1に示す。 以上の結果より、本発明の炭酸乳飲料は、通常の牛乳と比べて爽快感があり、くせが無く飲みやすい飲料であることが分かった。 本発明の製造方法を用いることにより、牛乳の栄養成分に変化を与えないで、安定で嗜好性の高い、炭酸乳飲料及び炭酸アルコール乳飲料ができる。 炭酸乳飲料の製造方法であって、 乳飲料にアルコールを添加するアルコール添加工程と、 pH調整剤を添加して、前記炭酸乳飲料のpHが5.3以上6.5以下となるように調整するpH調整剤添加工程と、 前記pH調整剤添加工程後に、1vol.以上5vol.以下の炭酸ガスを添加する炭酸ガス添加工程と、を含み、 密閉容器中で25℃、24時間放置した状態でもカゼインの沈殿を生じさせずに製造をすることを特徴とする炭酸乳飲料の製造方法。


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