生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに、皮膚外用剤
出願番号:2003432814
年次:2013
IPC分類:A61K 31/585,A61K 36/18,A61P 17/08,A61P 17/10


特許情報キャッシュ

伊東 晃 佐藤 隆 秋元 賀子 高橋 愛子 JP 5252765 特許公報(B2) 20130426 2003432814 20031226 皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに、皮膚外用剤 学校法人東京薬科大学 592068200 廣田 浩一 100107515 流 良広 100107733 松田 奈緒子 100115347 伊東 晃 佐藤 隆 秋元 賀子 高橋 愛子 20130731 A61K 31/585 20060101AFI20130711BHJP A61K 36/18 20060101ALI20130711BHJP A61P 17/08 20060101ALI20130711BHJP A61P 17/10 20060101ALI20130711BHJP JPA61K31/585A61K35/78 CA61P17/08A61P17/10 A61K31/33−33/44 A61K35/78 C07J3/00 A61P17/00−17/16 A61P43/00 REGISTRY CAPLUS MEDLINE EMBASE BIOSIS JMEDPlus JST7580 JSTPlus 国際公開02/9698(WO,A1) 米国特許出願公開第2002/77299(US,A1) 特開2002−47125(JP,A) European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics、2003、Vol.56、No.2、pp.189−196 薬学雑誌、2003、Vol.123 Suppl.3,pp.82−85 Investigative Ophthalmology and Visual Science、2003、Vol.44、No.12、pp.5082−5088 Journal of Medicinal Chemistry、1997、Vol.40、No.16、pp.2525−2532 10 2005187422 20050714 11 20060929 2010026726 20101126 横尾 俊一 平井 裕彰 渕野 留香 本発明は、ニキビ、脂漏性湿疹、その他の疾患、例えば老人性脂腺増殖症、脂腺母斑、酒さ等の治療薬・予防薬、美容剤等として好適であり、乳液やクリーム剤等として利用可能な皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに、これらを含有する皮膚外用剤に関する。 人体には、毛の生え際、耳介、眉毛、腋窩、胸や背の中央部、乳房下、陰股部など、皮膚の脂肪がよく分泌される脂漏部位があり、この脂漏部位では、湿疹等が生じ易く、しばしば二次感染によりカンジタ症等の疾患を引き起こすことがある。これらの湿疹乃至それに起因する疾患は、遺伝的体質、過労等による体調不良などが原因となり得る。また、ニキビ等は、顔の額、鼻、頬等の皮膚の過剰皮脂により生じ、思春期乃至青年期までの年齢層に頻発する。これらの湿疹乃至それに起因する疾患やニキビ等に悩む人の数は、極めて多いものの、従来においては、副作用がなく安全かつ皮脂産生に特異的に薬効を示す治療薬乃至予防薬は提供されていない。従来から使用されている治療薬等は、各種あるが、副作用がなく安全かつ皮脂産生に特異的に薬効を示すものではない(例えば、特許文献1参照)。 従来、湿疹乃至それに起因する疾患やニキビ等の治療には、ステロイド剤等の副腎皮質ホルモン剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤などの副作用の強い薬剤を使用せざるを得なかったため、発ガン性等の危険があり、安全性が十分ではなく、長期間の使用ができないという問題があった。また、これらの予防に有効で安全な薬剤は知られてもいない。特開平10−130119号公報 本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、微量で十分な薬効があり、ニキビ、脂漏性湿疹、その他の疾患、例えば老人性脂腺増殖症、脂腺母斑、酒さ等の治療薬・予防薬、美容剤等として好適であり、皮脂の過産生、皮脂腺の過発達等を効果的に抑制可能であり、副作用がなく安全で、保存安定性に優れ、親油性であり乳液やクリーム剤等として利用可能な皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに、これらを含有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。 前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、<1> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物を含むことを特徴とする皮脂産生抑制剤である。 前記構造式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子又は置換基を表す。<2> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物が、構造式(2)で表されるトリプトリドである前記<1>に記載の皮脂産生抑制剤である。<3> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物が、雷公籐から抽出された前記<1>から<2>のいずれかに記載の皮脂産生抑制剤である。<4> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の含有量が20nM以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の皮脂産生抑制剤である。<5> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の含有量が100nM以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の皮脂産生抑制剤である。<6> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物を含むことを特徴とする皮脂腺発達抑制剤である。 前記構造式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子又は置換基を表す。<7> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物が、構造式(2)で表されるトリプトリドである前記<6>に記載の皮脂腺発達抑制剤である。<8> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物が、雷公籐から抽出された前記<6>から<7>のいずれかに記載の皮脂腺発達抑制剤である。<9> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の含有量が20nM以上である前記<6>から<8>のいずれかに記載の皮脂腺発達抑制剤である。<10> 構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の含有量が100nM以上である前記<6>から<8>のいずれかに記載の皮脂腺発達抑制剤である。<11> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の皮脂産生抑制剤及び前記<6>から<10>のいずれかに記載の皮脂腺発達抑制剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする皮膚用外用剤である。<12> クリーム剤及び液剤の少なくともいずれかである前記<11>に記載の皮膚用外用剤である。 本発明によると、従来における問題を解決することができ、微量で十分な薬効があり、ニキビ、脂漏性湿疹、その他の疾患、例えば老人性脂腺増殖症、脂腺母斑、酒さ等の治療薬・予防薬、美容剤等として好適であり、皮脂の過産生、皮脂腺の過発達等を効果的に抑制可能であり、副作用がなく安全で、保存安定性に優れ、親油性であり乳液やクリーム剤等として利用可能な皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに、これらを含有する皮膚外用剤を提供することができる。(皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤) 本発明の皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤は、それぞれ下記構造式(1)で表されるトリプトリド化合物を含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。 前記構造式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子又は置換基を表す。 前記置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル基、アルケニル基、などが挙げられる。該アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘプチル、イソプロピル、2−メチルプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。該アルケニル基としては、例えば、エテニル、n−ブテニル、n−ヘプテニル、イソプロペニル、2−メチルプロペニル、シクロプロペニル、シクロプロペニルメチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンテニルエチル、などが挙げられる。これらは、更に置換基で置換されていてもよく、このような例としては、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、などが挙げられる。 前記構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の具体例としては、16−ヒドロキシルトリプトリド、2−ヒドロキシトリプトリド、などが挙げられる。前記構造式(1)で表されるトリプトリド化合物は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。 前記構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の中でも、下記構造式(2)で表されるトリプトリドが好ましい。 前記構造式(1)で表されるトリプトリド化合物としては、適宜合成したものであってもよいし、漢方植物:Tripterygium wilfordii (TW)<雷公籐>の根の木質部等から調製(抽出)したものであってもよいが、後者のものが好ましい。なお、前記雷公籐は、福建省及び他の中国南部地方に植生しており、一般に中国、米国等から入手可能である。また、前記雷公籐から前記構造式(1)で表されるトリプトリドを調製するための方法は、公知であり、例えば、Kupchanら(1972);Kupchanら(1977);Lipskyら(1994);Puら(1990);Maら(1992)によって記載されている。 前記構造式(1)で表されるトリプトリド化合物の前記皮脂産生抑制剤又は前記皮脂腺発達抑制剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、微量でも皮脂産生抑制能、皮脂腺発達抑制能を発現し得るが、十分な薬効の観点からは、20nM以上であるのが好ましく、100nM以上であるのがより好ましい。 前記その他の成分としては、クリーム剤、液剤等の用途や目的に応じて適宜選択することができ、例えば、消炎剤、清涼剤、安定化剤、界面活性剤、可溶化剤、香料、pH調節剤、粘稠剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、溶剤、溶解剤、溶解補助剤、経皮吸収促進剤、フィラー、ビタミン剤、抗生物質、紫外線吸収剤、キャリア、補助剤、水、などが挙げられる。 前記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの含有量は、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 前記消炎剤としては、例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インドメタシンファンネシル、などが挙げられる。なお、前記トリプトリドは、それ自身消炎剤としても使用することができる。 前記清涼剤としては、特に制限はなく、公知の清涼剤組成物の中から適宜選択することができ、例えば、メントール、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、エタノール、ペパーミントオイル、などが挙げられる。 前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。 また、本発明においては、前記構造式(1)で表されるトリプトリドの各種誘導体を使用してもよい。 前記皮脂産生抑制剤又は前記皮脂腺発達抑制剤は、前記構造式(1)で表されるトリプトリド、適宜選択した前記その他の成分を適宜選択した公知の方法、装置を用いて混合等することにより調製することができる。 前記皮脂産生抑制剤又は前記皮脂腺発達抑制剤は、クリーム剤、液剤などとすることができ、本発明の皮膚外用剤に特に好適に使用することができる。 前記クリーム剤としては、例えば、軟膏などが挙げられる。 前記液剤としては、例えば、オイル、乳液(乳化液)、懸濁液、ローション、エアロゾルなどが挙げられ、具体的には、シャンプー、リンス、ヘアムース、ヘアトニック、ヘアスプレー等の洗髪剤・整髪料、ボディシャンプー、フェイスウォシング剤、サンオイル等の皮膚清浄剤・洗浄剤・保護剤、などが挙げられる。 なお、前記皮脂産生抑制剤又は前記皮脂腺発達抑制剤は、直接、皮膚に塗布してもよいし、フィルム、シート、不織布、などに含浸させて皮膚に貼付して使用してもよい。また、前記皮脂産生抑制剤又は前記皮脂腺発達抑制剤は、人体のみならず、動物の皮膚にも適用することができる。(皮膚外用剤) 本発明の皮膚外用剤は、本発明の前記皮脂産生抑制剤及び前記皮脂腺発達抑制剤の少なくともいずれかを含むこと以外には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択したその他の成分を含んでいてもよい。 前記その他の成分としては、クリーム剤、液剤等の用途や目的に応じて適宜選択することができ、例えば、他の医薬品・薬剤(ビタミン剤、抗生物質など)、保存安定剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、防腐剤、キャリア、補助剤、溶剤などが挙げられる。 なお、前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。 前記皮膚外用剤は、前記皮脂産生抑制剤及び前記皮脂腺発達抑制剤の少なくともいずれか、適宜選択した前記その他の成分を適宜選択した公知の方法、装置を用いて混合等することにより調製することができる。 前記皮膚外用剤は、クリーム剤、液剤などとすることができる。 前記クリーム剤としては、例えば、軟こうなどが挙げられる。 前記液剤としては、例えば、オイル、乳液(乳化液)、懸濁液、ローション、エアロゾルなどが挙げられ、具体的には、シャンプー、リンス、ヘアムース、ヘアトニック、ヘアスプレー等の洗髪剤・整髪料、ボディシャンプー、フェイスウォシング剤、サンオイル等の皮膚清浄剤・洗浄剤・保護剤、などが挙げられる。 なお、前記皮膚外用剤は、直接、皮膚に塗布してもよいし、フィルム、シート、不織布、などに含浸させて皮膚に貼付して使用してもよい。また、前記皮膚外用剤は、人体のみならず、動物の皮膚にも適用することができる。 以下に本発明の皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに皮膚用外用剤の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。 前記構造式(2)で表されるトリプトリド(Triptolide、Alexis Biochemicals製、商品名:Triptorido[PG490])を用いて、皮脂産生抑制剤、皮脂腺発達抑制剤としての薬効を以下のようにして実験した。(実験1)−皮脂腺の分化及び皮脂産生に対する前記トリプトリドの抑制作用− ハムスター耳介部にトリプトリド溶液(250μM)を7日間塗布(トリプトリドの塗布量:12.5nmol)処理した。その結果、図1に示したように、塗布処理を行わなかった場合(図1A)と異なり、塗布処理を行った場合(図1B)には、皮脂腺(図1A中の矢印部分)の縮小、脂肪滴(図1A中の矢印部分内の白円形部分)の形成抑制が観察された。(実験2)−紫外線(UVB)照射による皮脂腺の過形成及び脂肪滴形成に対する前記トリプトリドの抑制作用− ハムスターに1日1回、合計7日間、UVBを照射(540mJ/cm2)後、トリプトリド溶液(250μM)を塗布(トリプトリドの塗布量:12.5nmol)処理した。その結果、図2に示したように、塗布処理を行わなかった場合(図2A)と異なり、塗布処理を行った場合(図2B)には、皮脂腺(図2A中の矢印部分)の過形成抑制、脂肪滴(図2A中の矢印部分内の白円形部分)の形成抑制が観察された。 なお、UVBによる表皮の肥厚に対する前記トリプトリドは全く影響を及ぼさず、前記トリプトリドは、皮脂に特異的に作用することがわかった。(実験3)−脂腺細胞に対する前記トリプトリドの細胞毒性− ハムスター脂腺細胞をトリプトリド溶液(0nM,3nM,28nM,111nM)により処理した後、24時間後及び48時間後の生存細胞数を計測した。その結果、図3に示したように、前記トリプトリドを含まない溶液(0nM)にて処理した場合も、前記トリプトリド溶液(3nM,28nM,111nM)にて処理した場合も、生存細胞数はほぼ同等であり、前記トリプトリドが細胞毒性を示さないことが観察された。(実験4)−前記トリプトリドによる脂腺細胞の増殖抑制作用− ハムスター脂腺細胞をトリプトリド溶液(0nM,28nM,111nM)により処理した後、24時間後及び48時間後の脂腺細胞の増殖活性を計測した。その結果、図4に示したように、前記トリプトリドを含まない溶液(0nM)にて処理した場合と異なり、前記トリプトリド溶液(28nM,111nM)にて処理した場合には、脂腺細胞の増殖活性が濃度依存的に抑制されることが観察された。(実験5)−前記トリプトリドによる脂腺細胞の皮脂産生抑制作用− ハムスター脂腺細胞をトリプトリド溶液(0nM,28nM,56nM,111nM)により処理した後、皮脂産生量(主構成成分であるトリアシルグリセロール:TG)を計測した。その結果、図5に示したように、前記トリプトリドを含まない溶液(0nM)にて処理した場合と異なり、前記トリプトリド溶液(28nM,56nM,111nM)にて処理した場合には、皮脂腺の形成抑制作用のみならず、皮脂産生量が濃度依存的に抑制されることが観察された。(実験6)−皮脂の過産生の予防効果に関する試験− ハムスター脂腺細胞を用い、前記トリプトリド(1.4nM,2.8nM,14nM,28nM,56nM,111nM)存在下、皮脂産生を促進する、インスリン(10nM)、又は男性ホルモン(testosterone)の活性代謝物である5α−dihydrotestosterone(DHT)(10nM)にて約2週間(10〜14日間)処理をした。この処理は、2日おきに新しい培養液に交換して実施した。 処理終了後、前記ハムスター脂線細胞内に蓄積された皮脂量を測定した。 また、細胞よりRNAを抽出して、常法に従い、reverse transcriptase-polymerase reaction(RT−PCR)法により遺伝子発現を解析した。さらに、前記ハムスター脂線細胞よりミクロソーム画分を抽出し、TGの律速酵素であるdiacylglycerolacyltransferase(DGAT)活性を測定した。なお、DGATについては、2種類のアイソフォーム(DGAT1及びDGAT2)が報告されており、前記ハムスター脂腺細胞は、DGAT1mRNAを発現し、前記インスリン(10nM)は、DGAT1 mRNA発現を促進する。 その結果、前記インスリンにより増加した皮脂量(TG)が前記トリプトリドによる処理を行った場合には、該トリプトリドの濃度に依存して抑制されることが観察された。前記トリプトリドによる皮脂産生抑制効果のIC50は、12.12nM(4回分の実験の平均値)であった。また、前記DHTにより増加した皮脂量(TG)も前記トリプトリド処理を行った場合には、該トリプトリドの濃度に依存して抑制されることが観察された。前記トリプトリドによる皮脂産生抑制効果のIC50は、8.75nM(2回分の実験の平均値)であった。なお、前記ハムスター脂腺細胞は、前記インスリンや前記DHTの刺激がなくても自発的に細胞内に皮脂を蓄積する(その量は刺激時よりも少ない)が、この自発的皮脂産生に対しても前記トリプトリドは、濃度依存的に抑制作用を示すことが観察された。 一方、前記ハムスター脂腺細胞のDGAT活性は、前記トリプトリドにより濃度依存的に抑制されることが観察された(56nM以上で著効)。(実験7)−UVBを単回照射された脂線細胞に対する前記トリプトリドの単回処理の効果− In vivoにおいて、皮脂腺は、皮脂を蓄えた脂腺細胞より構成されている。そこで、in vitroにおいて、予め前記インスリンにより処理をして脂腺細胞内に脂肪滴を蓄積させた脂腺細胞に対し、UVBを単回照射し、前記トリプトリド(56nM)を単回処理した際の皮脂産生をDGAT活性を指標にして測定した。 その結果、UVB照射によりDGAT活性が増加するが、そのDGAT活性が前記トリプトリドによって抑制されることが観察された。 本発明の皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに、これらを含有する皮膚外用剤は、ニキビ、脂漏性湿疹、その他の疾患、例えば老人性脂腺増殖症、脂腺母斑、酒皸等の治療薬・予防薬、美容剤等として特に好適に利用することができる。 本発明の皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに皮膚外用剤は、乳液、クリーム剤等の形態で好適に利用することができる。 本発明の皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに皮膚外用剤は、直接患部に塗布、スプレー等することができ、また、ガーゼ、不織布、フィルム乃至シート等の基材に含浸させた状態で患部に貼付乃至接触させることができる。また、副作用の心配がなく安全であり、保存安定性に優れ、親油性であるため、該皮脂産生抑制剤及び皮脂腺発達抑制剤、並びに皮膚外用剤は、市販のシャンプー、リンス、ヘアムース、ヘアトニック等の洗髪剤・整髪料中、あるいはボディシャンプー、フェイスウォッシング剤、皮膚用ローション・オイル(サンオイル等を含む)、フェイスクリーム中の皮膚清浄剤・洗浄剤・保護剤中に添加して使用することもできる。図1は、皮脂腺の分化及び皮脂産生に対する前記トリプトリドの抑制作用に関する実験結果を示す写真データである。図2は、紫外線(UVB)照射による皮脂腺の過形成及び脂肪滴形成に対する前記トリプトリドの抑制作用に関する実験結果を示す写真データである。図3は、脂腺細胞に対する前記トリプトリドの細胞毒性に関する実験結果を示すグラフデータである。図4は、前記トリプトリドによる脂腺細胞の増殖抑制作用に関する実験結果を示すグラフデータである。図5は、前記トリプトリドによる脂腺細胞の皮脂産生抑制作用に関する実験結果を示すグラフデータである。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物を100nM以上含むことを特徴とする皮脂産生抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物が、雷公籐から抽出された請求項1に記載の皮脂産生抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物を100nM以上含むことを特徴とする皮脂腺発達抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物が、雷公籐から抽出された請求項3に記載の皮脂腺発達抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物を100nM以上含むことを特徴とする脂肪滴形成抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物が、雷公籐から抽出された請求項3に記載の脂肪滴形成抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物を100nM以上含むことを特徴とする脂腺細胞増殖抑制剤。 構造式(2)で表されるトリプトリド化合物が、雷公籐から抽出された請求項7に記載の脂腺細胞増殖抑制剤。 請求項1から2のいずれかに記載の皮脂産生抑制剤、請求項3〜4のいずれかに記載の皮脂腺発達抑制剤、請求項5〜6のいずれかに記載の脂肪滴形成抑制剤、及び請求項7〜8のいずれかに記載の脂腺細胞増殖抑制剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする皮膚用外用剤。 クリーム剤及び液剤の少なくともいずれかである請求項9に記載の皮膚用外用剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る