生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_洗浄用化粧料
出願番号:2003427095
年次:2008
IPC分類:A61K 8/49,A61K 8/81,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

畠中 克人 平山 剛 JP 4152310 特許公報(B2) 20080711 2003427095 20031224 洗浄用化粧料 三粧化研株式会社 391027929 大石 征郎 100087882 畠中 克人 平山 剛 20080917 A61K 8/49 20060101AFI20080828BHJP A61K 8/81 20060101ALI20080828BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20080828BHJP JPA61K8/49A61K8/81A61Q19/00 A61K 8/00−8/99 A61Q 19/00 特開平10−273434(JP,A) 特開2000−186029(JP,A) 2 2005187338 20050714 12 20061212 福井 美穂 本発明は、肌につけて軽くマッサージすることにより、汚れや古くなった角質を除去することのできる洗浄用化粧料に関するものである。 不要な角質を除去する化粧料として、種々の提案がなされている。たとえば、(イ)α−ヒドロキシ酸、またはその塩、アミドまたはエステルのような角質溶解剤を用いる方法、(ロ)ポリエチレン−高級アルキルエーテル、モノ高級脂肪酸ポリエチレングリコール、モノ高級脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンのような界面活性剤を用いる方法(特開2000−264831、特許文献1)、(ハ)乳酸、その塩、尿素のような角質軟化剤を用いる方法(特開平11−228340号公報、特許文献2)、(ニ)表皮細胞角質化促進剤を用いる方法(特開平10−130134号公報、特許文献3)などである。 皮膚外用剤として、カチオン界面活性剤を用いることも知られている。たとえば、特開平8−283145号公報(特許文献4)には、カチオン界面活性剤、脂肪酸、油剤、および水を含有し、pHが4以下である組成物が示されている。カチオン界面活性剤の例は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドなどである。 皮膚外用剤として、特開平8−208423号公報(特許文献5)には、プロリン、ロイシンまたはイソロイシンと、水溶性高分子とを含有する脂質二分子膜を配合した皮膚外用剤が示されている。水溶性高分子の例は、ポリアクリル酸またはその塩、カルボキシビニルポリマーまたはその塩、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、ヒアルロン酸またはその塩である。 特開平10−273434号公報(特許文献6)には、カルボキシビニルポリマーと、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩またはジアルキルジメチルアンモニウム塩とを含んでなる皮膚洗浄料が示されている。この皮膚洗浄料は、皮膚に塗擦した際に垢状の凝集物が発生するため、汚れが除去される過程が視覚的に実感される。この公報の発明にあっては、上記の必須成分のほかに、種々の成分を含有させてもよいとの記載がある。それらの任意成分の1つは界面活性剤(親油性非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)であり、そのうちカチオン界面活性剤として、その段落0032には、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミノアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等があげられている。特開2000−264831特開平11−228340号公報特開平10−130134号公報特開平8−283145号公報特開平8−208423号公報特開平10−273434号公報 角質を除去する化粧料として上にあげた(イ)の角質溶解剤、(ロ)の界面活性剤、(ハ)の角質軟化剤、(ニ)の表皮細胞角質化促進剤などは、角質除去には相応の効果があるものの、古くなった不要の角質のみならず、古くなる前の段階の角質まで取り除かれる傾向があり、過度のピーリングとなりやすい。適度の角質除去性を得るためには、有効成分の配合量を微妙にコントロールしなければならないが、人の肌には個人差があるので、その人に合ったコントロールは必ずしも容易ではない。また、これらの方法により角質を除去しても、角質が取れたかどうかの尺度がないので、心理的に二度も三度も操作を繰り返して、結局過度のピーリングとなりがちである。 上に引用した文献のうち、特開平8−283145号公報(特許文献4)には第四級アンモニウム塩系のカチオン界面活性剤の使用、特開平8−208423号公報(特許文献5)にはカルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子の使用が示されているが、第四級アンモニウム塩系カチオン界面活性剤とカルボキシビニルポリマーとの併用については開示がない。また、これらの公報の発明によっては、肌につけて軽くマッサージしても、本発明におけるような消しゴムの屑状にはならない。 上に引用した文献のうち特開平10−273434号公報(特許文献6)の皮膚洗浄料は、カルボキシビニルポリマー(ただし、この公報においては、カルボキシビニルポリマーを、アクリル酸が重合してなる酸性高分子化合物という広義の意味で用いている)と、第四級アンモニウム塩(モノアルキルトリメチルアンモニウム塩またはジアルキルジメチルアンモニウム塩)との双方を含むものである。この処方の皮膚洗浄料は、皮膚に塗擦した際に垢状の凝集物が発生するため、汚れが除去される過程が視覚的に実感されるという利点がある。 しかしながら、この皮膚洗浄料は、 (1) 皮膚への適用時に、古い角質や汚れがあるにもかかわらず、10人に1人か2人の割合で垢状にならないことがあるため、市販に耐えるような信頼性に欠ける傾向があること、 (2) 低温(たとえば5℃前後)で保存しておくと、白い析出物を生じたり真白になったりすることがあり、上市する側および購入者の双方にとって商品価値に疑問を抱くことがあること、 (3) 条件の良いときにはトラブルを生じなくても、季節や地域あるいは使用時の温度条件によっては、皮膚への適用時に垢状にならない割合が高まったり透明感が損なわれたりすることがあること、などの問題点が充分には解消されておらず、不特定多数の人が種々の条件下で使う商品としてはなお改良の余地がある。 本発明者の研究によれば、上記のような問題点は、カルボキシビニルポリマーの相手方の必須成分として、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩またはジアルキルジメチルアンモニウム塩を用いたときの限界によるものと考えている。 本発明は、このような背景下において、肌につけて軽くマッサージしたときに、消しゴムの屑状になると同時に汚れや古くなった角質を除去することができ、しかも清浄化が完了したかどうかを目で確認することができることはもとより、上市にあたりあるいは不特定多数の人が種々の条件下で使う場合にもトラブルを生じがたい洗浄用化粧料を提供することを目的とするものである。 本発明の洗浄用化粧料は、 水性液からなり、該水性液を肌につけて軽くマッサージしたときに、消しゴムの屑状になると同時に、汚れや古くなった角質を除去することができる洗浄用化粧料であって、 該水性液が、カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) と、第四級アルキルピリジニウム塩、第四級アルキルイミダゾリニウム塩および第四級アルキルモルホリニウム塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) とを必須成分として含有すること、 非複素環化合物系カチオン界面活性剤は実質的に含有しないこと、および、 水性液全体に占めるカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) および含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の含有量が、それぞれ、 0.2〜5重量%、 0.2〜10重量%であることを特徴とするものである。 本発明の洗浄用化粧料は、イオン性のバランスを巧みに利用したものである。本発明の洗浄用化粧料は、これを肌につけて軽くマッサージしたときに、汚れや古くなった角質が消しゴムの屑状になってぽろぽろと落ち、つるつるの肌に仕上がる。このとき、肌のくすみの原因となる不要な角質や毛穴の奥の汚れもすっきりと除去できるが、必要以上に角質を取り除くような過度のピーリングはなされないので、肌にやさしい。 このように、肌につけて軽くマッサージするだけで皮膚の清浄化が達成できることは、使い勝手の点でも非常に好ましいものである。また、マッサージにより、気になる部分のスリミング剤としても使うことができる。加えて、不要な角質がなくなるので、その後に普段使っている化粧水やエッセンスを適用すれば、それらがより深く浸透し、化粧の目的をより確実に達成することができる。 なお、汚れや古い角質の除去の度合いは、消しゴムの屑状になったカスの色でも判別することができる。そして、汚れや古い角質がないときは擦ってもカスとはならないので、清浄化が完了したかどうかを直ちに知ることができる。このように汚れ等の除去が目でわかる点も、本発明の効果の一つである。 しかも、本発明の洗浄用化粧料は、カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の相手方の成分として含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) を用いているので、(1) 使用者の個人差にかからわらず、古い角質や汚れがある限りは、皮膚への適用時に垢状になって清浄化が図られるので、市販に耐えられる信頼性があること、(2) 低温(たとえば5℃前後)で保存しておいても、白い析出物を生じたり真白になったりすることがないこと、(3) 季節や地域あるいは使用時の温度条件によっても、皮膚への適用時に垢状にならない割合が高まったり透明感が損なわれたりすることがないこと、などのすぐれた作用効果を奏する。そのほか、本発明の洗浄用化粧料は、使用者が皮膚刺激性を感じがたいという利点もある。 以下本発明を詳細に説明する。〈カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) 〉 カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) としては、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレート共重合体およびポリ(メタ)アクリル酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種の(メタ)アクリル酸系ポリマーが好適に用いられる。これらの(メタ)アクリル酸系ポリマーは、ビニルエステル系モノマー単位やスチレン系モノマー単位など、(メタ)アクリルモノマー単位以外のモノマー単位が含まれていても差し支えない。カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) としては、そのほか、イタコン酸やマレイン酸あるいはこれらのハーフエステルや無水物、フマール酸またはそのハーフエステル、クロトン酸から選ばれた少なくとも1種のモノマーの単独重合体や共重合体も用いることができる。共重合体の場合の相手方のモノマー単位としては、先に述べた(メタ)アクリル酸単位、ビニルエステル系モノマー単位、スチレン系モノマー単位などがあげられる。 カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) は、その 0.5重量%濃度の水溶液のpHが6以下(通常はpH4〜1、好ましくはpH3〜 1.5)であることが望ましい。pHがこのような範囲にあるとき、水性液が安定となり、低温保存時にも安定性を保つ。〈含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) 〉 含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) としては、第四級アルキルピリジニウム塩、第四級アルキルイミダゾリニウム塩および第四級アルキルモルホリニウム塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種が用いられる。塩としては、Cl 塩、Br 塩、I塩、CH3SO4塩などがあげられるが、通常は主としてCl塩またはBr 塩が用いられる。塩の種類の異なるもの(たとえばBr 塩およびCl 塩)を併用することもできる。 アルキル基のうち少なくとも1つのアルキル基は、炭素数が8〜28、殊に10〜24、なかんずく12〜22の高級アルキル基であることが好ましい。特に、ラウリル基(炭素数12)、セチル基(炭素数14)、パルミチル基(炭素数16)、ステアリル基(炭素数18)、ベヘニル基(炭素数22)、ココイル基が有用である。高級アルキル基は、場合によっては二重結合を1個含んでいても差し支えない。 水性液は、非複素環化合物系カチオン界面活性剤(たとえば、アルキル基の炭素数が8〜28の高級アルキルトリメチルアンモニウム塩やジ高級アルキルジメチルアンモニウム塩)を実質的に含有しないことが要求される。含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) に対する非複素環化合物系カチオン界面活性剤の共存は、先に特許文献6の説明の箇所で述べた(1) 〜(4) の点で、マイナスに作用するからである。ここで「実質的に」とは、単に名目量を共存させたような場合は、本発明に含まれることを意味するものとする。名目量とは、カチオン界面活性剤として非複素環化合物系カチオン界面活性剤を単独で用いたときに効果が得られないような少量(たとえば水性液全体に占める割合が 0.1重量%未満、殊に0.05重量%以下、さらには0.03重量%以下、なかんずく0.02重量%以下)のことである。〈各成分の含有量〉 水性液に占めるカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) および含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の含有量は、それぞれ、 0.2〜5重量%(好ましくは 0.5〜5重量%、殊に1〜4重量%)、 0.2〜10重量%(好ましくは 0.5〜7重量%、殊に1〜5重量%)に設定される。カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の過少は、水性液が粘稠になりにくいので、肌につけてマッサージしたときに消しゴムの屑状になりにくく、その結果洗浄効果が不足する。一方、カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の過多は、水性液の調製時に溶解しない部分を生ずることがあり、またジェル状になって皮膚への適用時に単に延びるだけで消しゴムの屑状にならない傾向がある。含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の過少は洗浄効果が不足し、その過多は水性液の調製が難しくなる上に皮膚刺激性を生ずるようになる。〈他の成分〉 本発明の洗浄用化粧料は、必須成分としての上記のカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) および含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) のほかに、必要に応じ、保湿剤(多価アルコール、ヒアルロン酸等)、植物抽出物(生薬抽出物等)、ビタミン類、水溶性高分子(キトサン、セリシンも含む)、油性成分(油類、ロウ、スクワラン、コホバ油等)、高級アルコール、セラミックス微粉末、着色剤や色素(天然色素等)、防腐剤、香料、pH調整剤、チクソトロピー性調節剤、水溶性溶剤(エタノール、イソプロパノール等)などの添加剤を含有していてもよい。特に、保湿剤の配合は有用である。なお、植物抽出物の中にも保湿作用を有するものもある。また、本発明の趣旨を損なわない程度の量であれば、α−ヒドロキシ酸等の他の角質溶解剤を含有していてもよい。〈水性液の調製〉 本発明の洗浄用化粧料は、上記のカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) と含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) とを水(水と混和可能な有機溶剤を含んでいてもよい)に溶解して水溶液(水性液)とすることにより調製される。カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) および含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の水への溶解の順序は任意であり、両者を同時に水中に溶解してもよく、それぞれの水溶液を調製してから両水溶液を混ぜるようにしてもよく、片方の水溶液に他方を添加して溶解させるようにしてもよい。通常は、カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の水溶液を調製し、ついでその水溶液に含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の水溶液を混合するか、あるいは、含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の水溶液を調製し、ついでその水溶液にカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の水溶液を混合するのが実際的である。(A), (B)両成分を含む水性液を調製するときには、溶解が不充分となることがあるので、そのときには攪拌下にたとえば70±10℃程度に加温して溶解を完全にすると共に、殺菌を図ることが好ましい。水性液の調製後に泡が残ってなかなか消えないときは、熱い間に減圧により脱泡するような工夫を講じることが望ましい。〈容器〉 上記の水性液からなる本発明の洗浄用化粧料は、粘稠であるので、たとえばチューブ容器などのスクィーズ可能な容器や手押しポンプ機構を備えた容器に充填して商品化することが有利である。〈使い方〉 本発明の洗浄用化粧料を使用するにあたっては、容器から内容物を手のひらに適当量吐出して、軽くマッサージするように肌に擦りつける。たとえば顔に適用するときは、洗顔後、水分を拭き取ってから、水性液の適量を手のひらにとり、顔の部位や他の気になる部位にマッサージするように延ばす。これにより、いらない角質がぽろぽろと取れてくる。その後は、消しゴムの屑のようになったカスを完全に落とすために水やぬるま湯で洗い流し、化粧水などで普段の手入れをすればよい。〈作用〉 本発明の洗浄用化粧料を肌に適用すれば、皮膚上に遊離しているたんぱく質やアミノ酸と含有成分とが反応して、(A), (B)の混合物が消しゴムの屑状に析出する。このことは、たとえば、この洗浄用化粧料に水溶性コラーゲン(たんぱく質)水溶液を添加すると、瞬時に白色析出物が生ずることからも確かめることができる。 本発明の洗浄用化粧料が皮膚上の汚れをとる原理について考察してみると、本発明の洗浄用化粧料の成分のうち、カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の極性はマイナスであり、一方含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の極性はプラスであるので、もともとは相反する性質を有するが、見掛け上は均一な準安定な水性液(水溶液またはそれに近い状態)にすることはできる。ところが、たんぱく質やアミノ酸と接触すると(皮膚上の遊離たんぱく質やアミノ酸はターンオーバー後の皮膚そのままであったり、汗などの汚れと解釈できる)、水性液中の含有成分がそれらの汚れと反応して水性液が不安定になり、マッサージにより剪断力が加わると、汚れごと消しゴムの屑状となって析出し、それら表皮の汚れが絡み取られる。 次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下「%」とあるのは重量%である。実施例1(カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) ) カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) として、次のものを準備した。 (A1):アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体(Noveon社製の「カーボポール1382」、純分100%、 0.5%濃度の水溶液のpHは約2) (A2):カルボキシビニルポリマー(Noveon社製の「カーボポール940」、純分100%、 0.5%濃度の水溶液のpHは約2) (A3):ポリアクリル酸(日本純薬株式会社製の「ジュンロンPW−110」、純分100%、 0.5%濃度の水溶液のpHは5〜6)(含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) ) 含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) として、次のものを準備した。 (B1):セチルピリジニウムクロライド(竹本油脂株式会社製の「パイオニンB−651−P、純分40重量%、残りは溶媒) (B2):セチルピリジニウムブロマイド(試薬1級、純分95重量%) (B3):ラウリルピリジニウムクロライド(竹本油脂株式会社製の「パイオニンB−251、純分40重量%、残りは溶媒) (B4):N,N’−ジアルキルモルホリニウムクロライド (B5):2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムクロライド(非複素環化合物系カチオン界面活性剤(b) ) 非複素環化合物系カチオン界面活性剤(b) として、次のものを準備した。 (b1):塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(花王株式会社製の「コータミン86Pコンク、純分63%) (b2):塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(東邦化学株式会社製の「カチナールDC80」、純分80%) (b3):塩化セチルトリメチルアンモニウム(東邦化学株式会社製の「カチナールCTC−70ET」、純分70%) (b4):臭化ステアリルトリメチルアンモニウム(東邦化学株式会社製の「カチナールSTB−70」、純分70%) (b5):塩化ジココイルジメチルアンモニウム(ライオン株式会社製の「アーカード2c−75」、純分75%) (b6):塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(花王株式会社製の「コータミンD86P」、純分75%)(洗浄用化粧料の調製) 1.精製水にカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) を攪拌下に溶解しておく。 2.この水溶液を数分間(3分間)ホモミキサーにて攪拌したものを、配合用タンクに仕込んで、ゆっくりと攪拌する。 3.攪拌を続けながら、グリセリン(保湿剤)を添加する。 4.精製水を追加する。 5.含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) を加温した精製水に溶解させ、溶解を確認した後、配合タンクに仕込む。(比較のため、(B) に代えて(b) を用いた場合、(B) と共に(b) を併用した場合についても試みた。) 6.内温が70℃になるまで攪拌下に加温し、この温度で30分間攪拌を続けてから、放冷する。 7.内容物である水性液を取り出し、容器に充填する。(評価項目) 下記の項目3および4は、10代後半から70代前半までの女性40名および男性10名の計50名をパネラーとし、朝から素肌のままの状態で、10〜15時間経過した夜になって評価してもらった。1.溶解性、粘稠性 水性液調製直後の系の状態を、次のように評価した。 ○:わずかに白濁するが透明感が大。適度の粘稠性。 □:○に準ずる。 △:白濁し少しゲル化。 ×:白濁し、かつ水のように粘稠性のないシャバシャバの液状。 XX:撹拌を続けると白い固まりになり、加温しても不溶。2.低温安定性 水性液調製後、5℃の低温条件下に7日間保存したときの安定性を、次のように評価した。 ○:透明感が大のまま不変。 □:析出物は生じないが真白になる。 △:白い析出物を生じる。3.肌に適用時に消しゴムの屑状になる現象 水性液を肌につけて軽くマッサージしたときに、消しゴムの屑状になるかどうかを、次のように評価した(得点2と得点1との中間にあると感じた場合は、たとえば 1.5というように中間得点とした)。 得点2:すみやかに消しゴムの屑状になる。 得点1:一応消しゴムの屑状になるが、不完全。 得点0:消しゴムの屑状にならない。4.総合評価 ◎:優(商品化に最適) ○:良(商品化に適している) △:可(一応の製品とはなるが、満足しうるとは言いがたい) ×:不可(消しゴムの屑状とならず、洗浄作用もない)(処方および結果) 処方および結果を表1〜3に示す。表1は実施例である。表2は比較例である。表3も比較例である。表1〜3において、(B) または/および(b) の含有量は純分に換算したものである。表2〜3中の「−」は、評価をしていない。 [表1] 成分と含有量(%) 溶解性 低温 屑状現象 総合評価 No. (A) (B), (b) 粘稠性 安定性 平均得点 1-1 A1 1.5 B1 2.00 ○ ○ 2.0 ◎ 1-2 A1 1.5 B2 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 1-3 A1 1.5 B3 2.00 ○ ○ 2.0 ◎ 1-4 A1 1.5 B4 2.00 ○ ○ 1.7 ○ 1-5 A1 1.5 B5 2.00 □〜○ ○ 1.7 ○ 2-1 A2 1.5 B1 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 2-2 A2 1.5 B2 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 2-3 A2 1.5 B3 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 2-4 A2 1.5 B4 2.00 ○ ○ 1.7 ○ 2-5 A2 1.5 B5 2.00 □〜○ ○ 1.7 ○ 3-1 A3 1.5 B1 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 3-2 A3 1.5 B2 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 3-3 A3 1.5 B3 2.00 ○ ○ 1.9 ◎〜○ 3-4 A3 1.5 B4 2.00 ○ ○ 1.7 ○ 3-5 A3 1.5 B5 2.00 □〜○ ○ 1.7 ○ [表2] 成分と含有量(%) 溶解性 低温 屑状現象 総合評価 No. (A) (B), (b) 安定性 平均得点 4-1 A1 1.5 b1 2.00 △ ○ 1.4 △ 4-2 A1 1.5 b2 2.00 △ □ 1.3 △ 4-3 A1 1.5 b3 2.00 △ □ 1.3 △ 4-4 A1 1.5 b4 2.00 △ □ 1.3 △ 4-5 A1 1.5 b5 2.00 × − ほぼ 0 × 4-6 A1 1.5 b6 2.00 × − ほぼ 0 × 5-1 A2 1.5 b1 2.00 △ ○ 1.4 △ 5-2 A2 1.5 b2 2.00 □ □ 1.4 △ 5-3 A2 1.5 b3 2.00 △ ○ 1.4 △ 5-4 A2 1.5 b4 2.00 △ □ 1.3 △ 5-5 A2 1.5 b5 2.00 × − ほぼ 0 × 5-6 A2 1.5 b6 2.00 × − ほぼ 0 × 6-1 A3 1.5 b1 2.00 □ ○ 1.4 △ 6-2 A3 1.5 b2 2.00 □ □ 1.4 △ 6-3 A3 1.5 b3 2.00 □ ○ 1.4 △ 6-4 A3 1.5 b4 2.00 □ □ 1.3 △ 6-5 A3 1.5 b5 2.00 × − ほぼ 0 × 6-6 A3 1.5 b6 2.00 × − ほぼ 0 × [表3] 成分と含有量(%) 溶解性 低温 屑状現象 総合評価 No. (A) (B), (b) 安定性 平均得点 7-1 A1 1.5 B1 1.60 △ □ 1.5 △ b1 0.40 7-2 A1 1.5 B2 1.70 △ □ 1.5 △ b3 0.30 7-3 A1 1.5 B3 1.30 △ □ 1.4 △ b4 0.70 8-1 A2 1.5 B1 1.50 △ □ 1.5 △ b1 0.50 8-2 A2 1.5 B2 1.60 △ □〜○ 1.4 △ b3 0.40 8-3 A2 1.5 B3 1.80 △ □ 1.5 △ b4 0.20 9-1 A3 1.5 B1 1.00 □ □ 1.4 △ b4 1.00 9-2 A3 1.5 B2 1.90 □ □〜○ 1.5 △ b3 0.10 9-3 A3 1.5 B3 1.80 □ □〜○ 1.5 △ b1 0.20 (肌への適用例) 表1の No. 1-1〜1-3, No. 2-1〜2-3, No. 3-1〜3-3 の処方の洗浄用化粧料を顔または手につけ、軽くマッサージをするように擦ったところ、すみやかに消しゴムの屑のようになったやや茶色のカスとなり、皮膚の清浄化が図られた。同じ箇所についてもう一度試みたところ、今度は上記のようなカスはほぼ生じなかった。これは、1度の操作あるいは多くとも2度の操作で、皮膚がすでに清浄化されていることを意味している。(角質ターンオーバテスト) ダンシルクロライド配合クリームにて皮膚の一部を2箇所染色し、一方をブランク、もう一方を検証部分とした。ブランク部分はそのままに、検証部分のみに表1の No. 1-1〜1-3, No. 2-1〜2-3, No. 3-1〜3-3 の処方の化粧料を塗布してマッサージし、その後2箇所の染色部分をブラックライトで観察したところ、マッサージをした検証部分がブランク部分よりも薄い発光になっており、検証部分の古い角質が取り除かれたと判断できた。(解析) 上記表1〜3から、次のことがわかる。 1.カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の相手方の成分として含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) を用いた本発明の洗浄用化粧料にあっては、表1のように、水性液調製時の溶解性、水性液調製後の低温下での保存安定性、肌に適用時に消しゴムの屑状になる現象のいずれの点でも、すぐれた結果が得られる。 2.カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の相手方の成分として高級アルキルトリメチルアンモニウム塩やジ高級アルキルジメチルアンモニウム塩のような非複素環化合物系カチオン界面活性剤(b) を用いた従来の洗浄用化粧料にあっては、表2のように、本発明の洗浄用化粧料に比しては水性液調製時の溶解性、水性液調製後の低温下での保存安定性が不足する傾向があり、また肌に適用時に消しゴムの屑状になる現象の点では、本発明の洗浄用化粧料に比しては見劣りする。 3.カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) の相手方の成分として含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) と共に非複素環化合物系カチオン界面活性剤(b) を用いた洗浄用化粧料にあっては、表3のように、含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) を単独で用いた場合に比しては見劣りする結果が得られる。 上記水性液からなる化粧料は、肌につけて軽くマッサージをすることにより汚れや古くなった角質を除去することができるので、洗浄用化粧料として極めて有用である。 水性液からなり、該水性液を肌につけて軽くマッサージしたときに、消しゴムの屑状になると同時に、汚れや古くなった角質を除去することができる洗浄用化粧料であって、 該水性液が、カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) と、第四級アルキルピリジニウム塩、第四級アルキルイミダゾリニウム塩および第四級アルキルモルホリニウム塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) とを必須成分として含有すること、 非複素環化合物系カチオン界面活性剤は実質的に含有しないこと、および、 水性液全体に占めるカルボキシル基含有酸性ポリマー(A) および含窒素複素環化合物系カチオン界面活性剤(B) の含有量が、それぞれ、 0.2〜5重量%、 0.2〜10重量%であることを特徴とする洗浄用化粧料。 カルボキシル基含有酸性ポリマー(A) が、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレート共重合体およびポリ(メタ)アクリル酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種の(メタ)アクリル酸系ポリマーである請求項1記載の洗浄用化粧料。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る