生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_総蛋白質定量方法および試薬
出願番号:2003396526
年次:2010
IPC分類:G01N 33/68,G01N 31/00,G01N 31/22


特許情報キャッシュ

五来 隆 塚本 賢 竹嶋 俊介 川瀬 雅子 JP 4448685 特許公報(B2) 20100129 2003396526 20031127 総蛋白質定量方法および試薬 株式会社カイノス 391031074 佐々 紘造 100098556 五来 隆 塚本 賢 竹嶋 俊介 川瀬 雅子 20100414 G01N 33/68 20060101AFI20100329BHJP G01N 31/00 20060101ALI20100329BHJP G01N 31/22 20060101ALI20100329BHJP JPG01N33/68G01N31/00 VG01N31/22 122 G01N 33/68 G01N 31/00−31/22 特開平04−361160(JP,A) 特開2001−099826(JP,A) 6 2005156386 20050616 6 20060719 赤坂 祐樹 本発明は臨床診断において、検体中の干渉物質の影響を受けることがほとんどない総蛋白質定量方法および試薬に関する。 臨床検査では蛋白質の定量法として、呈色反応による方法が用いられる。このような定量方法としては、ビウレット法、Lowry らの方法、ビシンコニン酸法等が挙げられる。なかでも、銅との反応を利用したビウレット法は、感度は低いが蛋白質の種類に関係なく発色感度が一定であり、このため血清中の蛋白質を測定する際には都合が良く、広く普及している。 しかし、ビウレット法は、日常検査で問題となる干渉物質、例えばビリルビン、溶血、乳び、また血漿増量薬として使用されるデキストランなどによる影響を受け、測定値に誤差を生じるという問題があった。この誤差を補正するためデュマス(Doumas)はビウレット試薬から硫酸銅を除いた試薬を用いて検体の盲検を行い、干渉物質の影響を補正している(非特許文献1)。この方法は、常に検体盲検を行わなければならず、自動分析装置で測定する場合、2項目分のスペースを占めることになり、限られた試薬庫を圧迫し、さらにコスト面においても合理性に欠ける。 最近の吸光度による自動分析法では、測定試薬を2つに分け、第1試薬を用いて試薬盲検の吸光度を測定し、次に第2試薬を加えて測定した吸光度から試薬盲検吸光度を差し引いて測定している。この方法は2試薬系といわれる。この方法によれば、検体中の乳び、溶血等の色調による干渉物質の影響が緩和されるが、影響を与える機序が異なるデキストランの影響は緩和されない。 これらの問題に対し、2試薬系において、第1試薬を銅イオンを含む試薬とし第2試薬をアルカリを含む試薬とする方法(特許文献1)と第1試薬にデキストラナーゼを含有させる方法(特許文献2)が開示されている。 しかし、前者の方法では、反応速度が遅くなるため反応試薬を高アルカリにする必要があり、その結果、開栓後使用中に炭酸ガスを吸収してpHが低下し、試薬の保存安定性が低くなってしまう。また、後者のデキストラナーゼを添加する方法では、試薬の性質上、定量性に影響を与える可能性がある。また、酵素は一般的に高価であるため試薬のコスト上昇にもつながる。Doumas, et.al., Clin. Chem., vol.27, No.10, 1981特開平10−19898特開2002−350448 本発明の目的は、検体中のデキストランの影響を回避できる総蛋白質の定量方法および定量試薬を提供することである。 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、試薬に糖アルコールを添加することでデキストランの影響を回避できることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は次のとおりである。1.糖アルコールを含有する測定試薬を用いることを特徴とする総蛋白質測定方法。2.総蛋白質測定方法がビウレット法である前項1の方法。3.糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、アラビニトール、ミオイノシトール、ガラクチトール及びキシリトールの単糖または多糖アルコール類より選ばれた1種又は2種以上である前項1又は2の総蛋白質測定方法。4.測定試薬が2試薬から構成される前項1〜3のいずれか1項の総蛋白質測定方法。5.糖アルコールの濃度が試薬全量に対して0.3〜7%(W/V)である前項1〜4のいずれか1項の総蛋白質定量方法。5.糖アルコールを含有してなる総蛋白質測定用試薬。 後述の実施例に示すように、本発明の方法によれば、デキストランの影響を受けずに血清中の蛋白質を測定することができる。糖アルコールは安価であって、コスト的にも有利な試薬を広く一般に供給する事が可能である。また、試薬のpHを高める必要がないため、開栓保存によるpH低下現象は起きにくく、試薬の保存安定性に有利である。 本発明に用いる蛋白質の定量方法は呈色反応であればよい。本発明の主旨から、デキストランにより該呈色反応が干渉されるような定量方法が好ましい。このような定量方法には、ビウレット法、Lowry らの方法、ビシンコニン酸法等が挙げられる。とりわけ自動分析装置に適用可能で、日常検査法として簡便である2試薬系のビウレット法が好ましい。ここでいうところの2試薬系ビウレット法とは、定量用試薬を第1試薬と第2試薬とに分けて調製して保存可能な試薬とし、ビウレット反応を用いて測定する定量方法である。 本発明の2試薬系ビウレット法に用いられる第1試薬、第2試薬は公知の2試薬系ビウレット法に用いられるもので差し支えない。例えば、第1試薬に緩衝液を使用し、第2試薬にビウレット反応に必要な銅イオンを含む成分を含んだ液を用いることができる。 緩衝液としては、クエン酸、リン酸、コハク酸などの緩衝液を使用することができ、第2試薬を混合した後にビウレット反応を阻害しない緩衝液であれば、特に限定されない。また、第1試薬のpHは第2試薬と混合した後のpHがアルカリ性を呈すれば特に限定されない。好ましくはpH3〜13である。 第2試薬のビウレット反応に必要な成分とは、硫酸銅、EDTA銅、硝酸銅などの銅(II)イオンを含む化合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの塩基性化合物である。また、ビウレット反応を安定に行うために、上記以外の成分を添加することも可能である。第2試薬に含まれる各成分濃度は、ビウレット反応に必要な濃度の1〜5倍が好ましい。1倍濃度のビウレット試薬の処方の1例を表1に示す。ここで、表1の処方は代表的な例であって、本発明で用いられるビウレット試薬処方は、この処方に限るわけではない。ビウレット反応は、アルカリ水溶液中の蛋白質が銅(II)イオンと錯体を形成し、赤紫色を呈する呈色反応であることから、銅(II)イオンが溶液中に存在し、アルカリ性であれば、その処方は任意に改変可能である。また、第1、第2試薬の構成も本発明の目的を損なわない範囲で任意である。 本発明において用いられる糖アルコールとしては、マンニトール、ソルビトール、アラビニトール、ミオイノシトール、ガラクチトール及びキシリトールの単糖または多糖アルコール類が好ましく、これらより選ばれた1種又は2種以上を好ましく用いることができる。糖アルコールは通常第1試薬に加えるが、第2試薬に加えることも、両者に加えることもできる。糖アルコールの量は、試薬総量に対して0.3〜7(W/V)%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0(W/V)%である。 本発明の方法による蛋白質測定は、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、2試薬系のビウレット法において、検体に糖アルコールを含有する第1試薬を加えて吸光度を測定し、次に第2試薬を加えて再度吸光度を測定し、吸光度の差を求め、蛋白質標準液の吸光度差と比較して蛋白質量を定量することができる。これらの測定は通常自動分析装置で行われる実施例1 表2に示す処方で試薬を調製した。各種糖アルコールは、その濃度が第1、第2試薬の総量の1(W/V)%になるように第1試薬に加えた。測定は自動分析装置を用いて行った。 検体として、デキストラン(M.W.50,000〜70,000)を5%濃度になるように調製した人血清及びデキストラン無添加人血清を用いた。検体5μLに第1試薬200μLを加え、37℃で5分間反応後、主波長546nm、副波長700nmにおける各々の吸光度差を測定した。次に第2試薬120μLを加え37℃で5分間反応後、再度各々の吸光度差を測定した。なお、吸光度測定における対照は生理食塩水を用いた。前後の吸光度差を容量補正して最終の吸光度差を求めた。6.9g/dL蛋白質標準液について同様にして測定した吸光度差と検体の吸光度差から検体の総蛋白量を計算した。結果は表3に示した。 表3の結果から、糖アルコール無添加の場合、また、糖アルコール以外の糖の場合、明らかにデキストランによる測定値への影響が見られ、実際の総蛋白質量よりも多くの蛋白質が存在するかのような誤差が生じていることがわかる。これに対して、本発明の糖アルコールを添加した試薬で行うビウレット反応はデキストランによる干渉を受けることなく、正確な総蛋白質量を定量する事を可能としていることが明らかである。 本発明は臨床診断における総蛋白質定量方法および試薬として有用である。 糖アルコールを含有する測定試薬を用いることを特徴とするビウレット法による総蛋白質測定方法。 測定試薬が酒石酸ナトリウムカリウムを含む請求項1の総蛋白質測定方法。 糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、アラビニトール、ミオイノシトール、ガラクチトール及びキシリトールの単糖または多糖アルコール類より選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2の総蛋白質測定方法。 測定試薬が2試薬から構成される請求項1〜3のいずれか1項の総蛋白質測定方法。 糖アルコールの濃度が試薬全量に対して0.3〜7%(W/V)である請求項1〜4のいずれか1項の総蛋白質測定方法。 糖アルコールを含有してなるビウレット法による総蛋白質測定用試薬。


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