タイトル: | 特許公報(B2)_クロスコンタミネーション防止システム及びそれに用いる自動分析装置 |
出願番号: | 2003388665 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 35/00,G06Q 50/00 |
菊池 隆広 林 正美 三村 智憲 服部 充雄 佐藤 剛 JP 4576111 特許公報(B2) 20100827 2003388665 20031119 クロスコンタミネーション防止システム及びそれに用いる自動分析装置 株式会社日立ハイテクノロジーズ 501387839 株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ 000233550 井上 学 100100310 菊池 隆広 林 正美 三村 智憲 服部 充雄 佐藤 剛 JP 2002337355 20021121 20101104 G01N 35/00 20060101AFI20101014BHJP G06Q 50/00 20060101ALI20101014BHJP JPG01N35/00 ZG01N35/00 AG01N35/00 EG01N35/00 FG06F17/60 126E G01N 35/00 G06Q 50/00 特開平5−240867(JP,A) 国際公開第01/67113(WO,A1) 特開平7−270428(JP,A) 国際公開第98/45679(WO,A1) 特開2001−296302(JP,A) 特開2002−181829(JP,A) 特開平10−10131(JP,A) 特開平5−149955(JP,A) 特開昭57−39352(JP,A) 5 2004184410 20040702 14 20060331 長谷 潮 本発明は、血液,尿等の生体サンプルを定性・定量分析する自動分析装置のクロスコンタミネーションを防止するシステムに係り、特に装置据付時、新規試薬の導入時等の装置立ち上げ時の準備時間を大幅に短縮できるクロスコンタミネーション防止システム及びそれに用いる自動分析装置に関する。 臨床検査用自動分析装置においてはサンプル,試薬等を採取し別容器に移すためのプローブ等を共用し、一つのサンプル,試薬の採取後、洗浄して再使用することが一般的に行われている。この場合、洗浄しきれなかった検体成分,試薬成分,反応生成成分が他の検体成分,試薬成分等と混合することによって、意図しない反応を引き起こし分析項目の測定値に影響を与えることをクロスコンタミネーションと称している。従来は、クロスコンタミネーションによるデータ不良を防止するため、自動分析装置の操作者が、クロスコンタミネーションにより測定値が影響を受ける試薬の組合せ情報や防止方法の情報を試薬メーカや装置メーカへ問い合わせ、2〜4日間程度の期間を取って実際にクロスコンタミネーション試験を行い、クロスコンタミネーションが発生する組合せを試験で確認し、その結果に応じて防止操作していた。防止操作とはクロスコンタミネーションを発生させる試薬の組合せを連続して分析しないように、分析の順序を変えたり、順序を変えることが不可能な場合、試薬間に洗剤洗浄を入れる等のプログラムのもとになる情報を操作画面から入れることである。 一方、クロスコンタミネーションの確認試験では、例えば10項目の同時測定の場合、クロスコンタミネーションの起こりうる組合せは10×9=90通り考えられる。90通りの確認試験を行う場合、たとえば、一般的に行われている(1)スクリーニング試験、(2)確認試験の2段階試験を行えば、数日間もの試験期間が必要になる。さらにルーチン分析が開始された後に分析項目を後から追加した場合、1項目増えれば、追加項目と全項目の総当り試験のための組合せ数は、追加項目数(1項目)×全項目数(10項目)×2倍=20通りとなり、その作業量はたいへん多い。追加項目が多ければ多いほどその作業量は多くなる。また、異なる試薬メーカが製造した試薬同士のクロスコンタミネーションの情報については試薬メーカがチェックしておらず十分でない場合もあり、操作者が自ら確認試験を行う必要がある場合も少なくなかった。 特許文献1,特許文献2では、クロスコンタミネーション試験にともなう項目依頼作業などの手間を少なくする工夫をしてこれに対処することを提案している。また特許文献3では、クロスコンタミネーションによるデータ不良発生後に、操作者がクロスコンタミネーションの相手項目を効率良く見つける方法を提案している。特開平5−240867号公報特開平7−270428号公報特開平10−010131号公報 前記のように、従来は、顧客や試薬メーカが多大な時間と手間をかけ、さらに大量のサンプルと試薬を使用し、装置差や機差があるために、1台1台クロスコンタミネーション試験を行っていた。このため装置据付時、あるいは新規試薬の使用開始時には、実際に患者の検体を検査開始できるまでに一週間以上の時間がかかってしまう。近年検査室の経営効率向上のため、据付時の装置検討期間の短縮やサンプルや試薬など消耗品の節約、ルーチン検査開始を早くするための検討期間の短縮が重要視されるようになった。その反面、新しい測定系の確立や新規項目試薬の開発がなされ、クロスコンタミネーション現象を確認すべき組合せ数は増加の一途を辿っている。このため顧客の装置評価に関する作業量の低減が重要な課題になっている。 本発明の目的は、時間のかかるクロスコンタミネーション試験による顧客への負担を大幅に低減するとともに、クロスコンタミネーションが原因となるデータ不良を効率的に防止し、結果的に測定値の信頼性を確保することにある。 上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成とする。 1.複数の試薬が混じり合うことにより測定値に影響を与えるクロスコンタミネーションに関する情報を収集,記録,管理する管理者と、前記クロスコンタミネーションに関する情報を前記管理者に提供する複数の情報提供者と、前記クロスコンタミネーションに関する情報を前記管理者から提供を受ける複数の情報受領者と、を設け、前記管理者,前記情報提供者,前記情報受領者の間は、通信回線を通じて前記クロスコンタミネーションに関する情報をやり取りし、かつ前記管理者が記録している前記クロスコンタミネーションに関する情報が前記情報受領者に対して定期的に送られるシステムを備えた、クロスコンタミネーション防止システム。 上記において定期的とは「毎日同じ時刻に送られる」というような厳密な意味でなく、送る時刻は不定でも日に1回,月に1回,年に1回のように「複数の情報を複数回にわたって送られる」ことを意味している。管理者,情報提供者,情報受領者は、それぞれ自然人に限定しているのでなく、個人,団体,会社等を意味する。上記における「複数の情報受領者」とは、異なる個人,団体,会社等が複数あることを主に意味するが、同じ団体,会社に複数の情報受領者があることを排除するものではない。「通信回線」とは専用線や電話等の有線回線,無線回線等、情報を伝達できるものであれば何でも良い。 2.多種類の検体や試薬を共用の部品を洗浄しながら使用する自動分析装置において、 前記共用の部品を介して複数の検体,試薬が混合することにより測定値に影響するクロスコンタミネーションを発生させる試薬の組合せを含むクロスコンタミネーションに関する情報を通信回線を介して装置内に自動的に取り込む情報取り込み部と、該情報取り込み部で取り込まれた前記クロスコンタミネーションに関する情報に基づき、クロスコンタミネーションが発生しないように、試薬の分注順序を変更したり、試薬間に洗剤洗浄を入れたりすることを含むクロスコンタミネーション防止対策を施す機能を備えた自動分析装置。 本発明により自動分析装置のクロスコンタミネーションの評価期間の短縮や省略が実現できる。装置据付け後のクロスコンタミネーションの評価期間は、図7に示すように中小形自動分析装置であっても約2日以上、大形機種では1週間以上かかっていた。これを省略したり数時間に短縮でき、結果的にトータルの評価期間を短縮することができる効果は大きい。また、装置立ち上げ時の通信によってクロスコンタミネーションに関する情報を常に最新にしておけるため、新しい試薬へ変更になり、新規に項目が追加された場合でも、変更や追加された試薬のクロスコンタミネーション評価試験の手間を省くことができる。 本発明では、主に、操作者がセットした試薬のメーカ名や項目名を認識するため、試薬ボトルの側面に貼られた試薬バーコードを読取る装置を持ち、インターネットのような公的な通信回線を利用し装置外部からクロスコンタミネーションに関する情報を入手するための入力部を持ち、例えば顧客が保守契約をしている保守サービス会社内の自動分析装置保守用コンピュータからクロスコンタミネーションに関する情報を受信し、これらの情報を記憶部に記憶し、本情報に該当するクロスコンタミネーションのペアがあれば防止動作を自動で行うような自動分析装置、及び上記のようなクロスコンタミネーションに関する情報のやりとりを可能にするクロスコンタミネーション防止システムを対象としているが、請求項に記載の範囲内で多数のバリエーションを取り得る。また、試薬やそのチャンネル設定がわかっている場合、装置出荷前に顧客の注文に応じてクロスコンタミネーション試験を行い、あらかじめ防止プログラムを登録して装置を出荷する形、インターネットのホームページを利用して、不特定多数の顧客からクロスコンタミネーションに関する情報を入手して、装置メーカが確認試験をした後、ホームページ会員へ情報を公開する形も取り得る。 例えば、保守サービス会社内にクロスコンタミネーションに関する情報を記憶した保守用コンピュータがあり、顧客の検査室にインターネット等に接続されたパソコンを設置する。顧客側のパソコンは自動分析装置の操作部であってもよく、保守サービス会社は、インターネット等を利用してクロスコンタミネーションに関する情報を顧客へ送信し、本情報を見た顧客は、装置のクロスコンタミネーション防止画面にクロスコンタミネーションに関する情報(コンタミネーションを与える試薬のバーコード番号,コンタミネーションを受ける試薬のバーコード番号,影響するレベル,汚染場所,洗剤種類,洗剤量)を通信で、あるいは直接手入力で、あるいはフレキシブル磁気ディスクのような記憶媒体を仲立ちとして入力し、クロスコンタミネーションを防止するシステムであっても良い。 また、本発明に基づく自動分析装置は、装置内部にインターネットなどに接続できる通信回線を持ち、保守サービス会社からクロスコンタミネーションに関する情報の受信が可能であると同時に、装置内部に記憶しているコンタミネーションに関する情報を保守サービス会社へ情報蓄積のため送信することもできる。保守サービス会社は、装置メーカの管理のもとで整理した最新のクロスコンタミネーション情報を顧客へ送信し、顧客は本情報を入手してクロスコンタミネーションの防止に活用するものであっても良い。 以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 <第1実施例> 図4は、本実施例で示す自動分析装置の動作原理図であり、次にその基本動作を示す。1はサンプルディスクであり、この機構1には、多数の試料容器25が配置されている。試料容器25内の試料は、血清サンプリング機構2のサンプルプローブ27によって抽出され、所定の反応容器4に注入される。5は試薬ディスク機構であり、この機構5は、多数の試薬容器6を備えている。試薬ディスク5の脇に装備されているのが第1試薬用試薬バーコードリーダ31,第2試薬用試薬バーコードリーダ30である。また、機構5には、試薬ピペッティング機構7が配置されており、試薬は、この機構7の試薬プローブ28によって吸引され、所定の反応容器4に注入される。 10は多波長光度計、26は光源であり、多波長光度計10と光源26の間に、測定対象を収容する反応ディスク3が配置される。この反応ディスク3の外周上には、例えば、120個の、多数の反応容器4が設けられている。また、反応ディスク3の全体は、恒温槽9によって、所定の温度に保持されている。11は洗浄機構である。 19はマイクロコンピュータ、23はインターフェース、18はLog変換器およびA/D変換器、17は試薬用ピペッタ、16は洗浄水ポンプ、15は血清用ピペッタである。また、20はプリンタ、21はCRT、22は記憶装置としてのハードディスク、24は操作パネルである。 上述の構成において、操作者は、操作パネル24を用いて分析依頼情報の入力を行う。入力された分析依頼情報は、マイクロコンピュータ19内のメモリに記憶される。試料容器25に入れられサンプルディスク1の所定の位置にセットされた測定対象試料は、マイクロコンピュータ19のメモリに記憶された分析依頼情報に従って、血清用ピペッタ15および血清サンプリング機構2のサンプルプローブ27によって、反応容器4に所定量分注される。サンプルプローブ27は水洗浄される。当該反応容器に、試薬ピペッティング機構7の試薬プローブ28によって、所定量の試薬が分注される。試薬プローブ28は水洗浄された後、次の反応容器のための試薬を分注する。試料と試薬の混合液は、撹拌機構8の撹拌棒29により撹拌される。撹拌棒29は水洗浄された後、次の反応容器の混合液を撹拌する。反応容器4は恒温槽9により一定温度に保持されており、反応が行われる。反応の過程は一定時間ごとに多波長光度計10によって測光され、設定された2つの波長を用いて混合液の吸光度が測定される。測定された吸光度はLog変換器およびA/D変換器18,インターフェース23を介してマイクロコンピュータ19に取り込まれる。 取り込まれた吸光度は濃度値に換算され、ハードディスク22に保存され、プリンタ20に出力される。また、CRT21に検査データを表示させることもできる。 測定が終了した反応容器4は洗浄機構11により洗浄される。洗浄の終了した反応容器は次の分析に繰り返し使用される。 図1は、本実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーションに関する情報とその情報に対する代価の流れを示している。本実施例には、試薬メーカ32,装置メーカ33,情報管理者として例えば保守サービス会社34および顧客(検査室,検査センター)35が関与する。試薬メーカ32は、例えば複数の試薬メーカのA,B,C,D社からなり、これらの試薬メーカが取り扱う試薬に関するクロスコンタミネーションに関する情報が情報伝達媒体37,38,39,40によって、装置メーカ33へ伝達され、装置メーカ33はその情報に対する代価41,42,43,44を支払う。装置メーカ33は複数の試薬メーカから入手したクロスコンタミネーションに関する情報を試験により再確認し、さらにまとめ、保守サービス会社34へ情報伝達媒体45によって伝達する。保守サービス会社34は、社内の保守サービス用コンピュータと顧客の自動分析装置を通信回線でつなぎ、自動分析装置49内部の入力部48へ通信回線を利用してクロスコンタミネーションに関する情報を送信し、自動分析装置49はクロスコンタミネーションに関する情報を受信し記憶する。保守サービス会社34と顧客35の間には、クロスコンタミネーション防止に関する保守契約がされており、代価47が顧客から保守サービス会社34へ支払われる。 図2に本実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション防止方法について、フローチャートを示す。ステップ201において、操作者が測定に使用する試薬認識用バーコード付き試薬ボトルを自動分析装置の試薬ディスクへセットする。ステップ202で操作者が自動分析装置の電源を入れると、ステップ203において立ち上げ処理に組み込まれた通信ソフトウェアが起動し、保守サービス会社のコンピュータと装置間が接続され、自動で電話回線からクロスコンタミネーションに関する情報を装置内へ受信する。装置の立ち上げに連結して毎朝クロスコンタミネーションに関する情報を入手する事により、装置内のクロスコンタミネーションに関する情報を常に最新情報にできる。通信によって保守サービス会社のコンピュータから入手するクロスコンタミネーションに関する情報は、図5の「コンタミネーションを与える試薬のバーコード番号(メーカ番号,項目番号,ロット番号),コンタミネーションを受ける試薬のバーコード番号(メーカ番号,項目番号,ロット番号),影響するレベル(大,中,小),汚染場所,洗剤種類,洗剤量」の情報である。 ステップ204において、装置は試薬を認識するために試薬ボトル側面に張られた試薬バーコードラベルを自動で読取り試薬が登録(ステップ205)される。装置の洗浄能力をまだ1度も確認していない時、あるいは顧客が洗浄能力の確認を希望する時、装置の洗浄能力の実力を把握する意味でステップ206において、リン酸緩衝液から無機リン等へのキャリーオーバを測定し、洗浄能力がワンタッチで確認される。図3に自動分析装置の洗浄能力の確認方法についてのフローチャートを示す。ステップ301において、汚染物質検出用試薬と汚染物質を試薬ディスクにセットする。ステップ302において、汚染物質検出用試薬のキャリブレーションを実施する。ステップ303において、試薬プローブのキャリーオーバを測定する。ステップ304において、試薬プローブのキャリーオーバの測定結果が装置メーカの仕様内にあるかどうか確認する。仕様内に無い場合は、保守点検作業305を行った後再測定を行う。ステップ306で、洗浄能力を優,良,可などの3レベルに分け、クロスコンタミネーションに対処するための洗浄をする、しないの判断に用いる。ステップ307において、反応容器のキャリーオーバを測定する。ステップ0308において、反応容器のキャリーオーバの測定結果が装置メーカの仕様内にあるかどうか確認する。仕様内に無い場合は、保守点検作業309を行った後再測定を行う。ステップ310で、洗浄能力を優,良,可などの3レベルに分け、クロスコンタミネーションに対処するための洗浄をする、しないの判断に用いる。 再度図2に戻り、ステップ207において、読取った試薬バーコードの試薬メーカと項目情報と、装置内部の記憶部に記憶したクロスコンタミネーションの組合せ情報を照合し、クロスコンタミネーションの組合せがあるかどうかチェックする。クロスコンタミネーションが起こる組合せがある場合は、ステップ208において、実測した装置の洗浄能力とクロスコンタミネーションの影響レベル間の関係を表した図6の表に従った判定論理により、洗浄を推奨する組合せに「試薬クロスコンタミネーション注意!」のアラーム50を出して警告する(図7)。次に、図7の右下にある[次へ]キー53を押すことによって装置は、防止登録の選択画面を表示し、図2のステップ209と210において、操作者はクロスコンタミネーションの組合せ毎にクロスコンタミネーションの防止登録をするのかしないのかを選択する。図8の防止登録画面には、防止登録選択キー54,影響を与える項目名57,影響を与える試薬メーカ58,影響を与える試薬種類59,影響を受ける項目名60,影響を受ける試薬メーカ61,影響を受ける試薬種類62が表示される。 図2のステップ211において、防止するにチェックをしたクロスコンタミネーションの組合せに対して自動で、防止方法の情報に従って水洗浄,洗剤洗浄,測定順番変更,洗剤用チャンネルの設定推奨などの防止措置が施される。また、クロスコンタミネーションに関する情報を顧客へ開示する事で、各試薬メーカへの営業上の妨害にならないよう、操作者がクロスコンタミネーションの組合せ情報を見ることができるかできないかをサービスマンのスイッチによって選択できるようにする。ステップ212において、操作者はルーチン検査に入る。本発明によって図9のように、中小形機種で通常約2日間、大型機種で約4日間の検討期間が短縮でき、その分ルーチン検査開始時期を早めることができる。 <第2実施例> 図10は、本実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーションに関する情報とその情報に対する代価の流れを示している。本発明の実施例には、試薬メーカ63,情報管理者として例えば装置メーカ64、および顧客(検査室)65が関与する。試薬メーカ63は、複数の試薬メーカの例えばA,B,C,D社からなり、これらの試薬メーカが取り扱う試薬に関するクロスコンタミネーション情報が情報伝達媒体72,73,74,75,76によって、装置メーカ64へ伝達され、装置メーカ64はその情報に対する代価77,78,79,80,81を試薬メーカ63へ支払う。装置メーカ64は複数の試薬メーカから入手したクロスコンタミネーションに関する情報の整理と確認試験をする。装置メーカ64は、インターネットなどの公的な通信回線を利用して検査室内の顧客のパソコン66に本情報を送信する。検査室内の自動分析装置操作者67はパソコンでクロスコンタミネーションに関する情報を見たり、パソコンの記憶媒体にダウンロードできる。顧客65が、本情報にアクセスし、情報を入手した場合、インターネットを介して料金を支払う。操作者67はクロスコンタミネーションに関する情報を見て、自動分析装置69で使用している試薬のなかにクロスコンタミネーションを起こすペアを発見すれば、防止情報に従ってクロスコンタミネーション防止のための洗浄条件を直接装置へ手入力する。あるいは、操作者67はクロスコンタミネーションに関する情報を記録したフレキシブル磁気ディスクなどを装置の操作部のフレキシブル磁気ディスクドライブに挿入し、画面の表示に従って操作することで装置の記憶部へ書き込む。書き込んだクロスコンタミネーションに関する情報に従って、自動分析装置69は防止動作をする。書き込んだクロスコンタミネーションに関する情報は、顧客が任意に更新できる。 装置メーカから入手するクロスコンタミネーションに関する情報は、「コンタミネーションを与える試薬のバーコード番号(メーカ番号,項目番号,ロット番号),コンタミネーションを受ける試薬のバーコード番号(メーカ番号,項目番号,ロット番号),影響するレベル(大,中,小),汚染場所,洗剤種類,洗剤量」である。 <第3実施例> 図11には、本実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーションに関する情報とその情報に対する代価の流れを示している。本発明の実施例には、保守サービス会社83,クロスコンタミネーションに関する情報を購入する顧客(検査室)84,クロスコンタミネーションに関する情報を提供してくれる顧客(検査室)93,94が関与する。試験で得られたクロスコンタミネーションに関する情報を提供する顧客93,94の自動分析装置から、装置内部の入出力部を経由し、通信回線によって、装置記憶部のクロスコンタミネーションに関する情報92が保守サービス会社83へ送信される。保守サービス会社83は、クロスコンタミネーションに関する情報を提供する顧客93,94へクロスコンタミネーション情報の代価90,91を支払う。装置メーカ82は、保守サービス会社83が入手したクロスコンタミネーションに関する情報を管理する。保守サービス会社83は、装置メーカ82の管理のもと収集・検証済みのクロスコンタミネーション情報を保守契約顧客84に販売する。 <第4実施例> 本実施例では、複数の試薬メーカ,装置メーカ、および臨床検査室,検査センター等の顧客が関与し、装置更新後に搭載する試薬が従来処方の継続などのためにあらかじめ判っている自動分析装置において、装置メーカが装置出荷前に工場内で搭載する試薬をもちいてクロスコンタミネーション試験を行い、試験結果に従ってクロスコンタミネーションを回避するための情報を入力し、ルーチン検査にすぐに使用できる状態で装置を出荷する、あるいは、同作業を顧客施設内で測定し装置を引き渡すものである。顧客はクロスコンタミネーション試験を行わない分手間がかからず、ルーチン検査が早く開始できるため、顧客より代価を頂く。図12に本実施例のフローチャートを示す。ステップ1201において、営業部門が顧客に、クロスコンタミネーション回避情報を登録して出荷するのかしないのか聞き、登録するを選択した場合、ステップ1202でクロスコンタミネーション情報の登録契約をする。契約にともないステップ1203で顧客が使用する試薬の商品名の情報を入手し、ステップ1204で当該試薬メーカや顧客から試薬を入手し、ステップ1205でクロスコンタミネーション確認試験を行う。ステップ1206でクロスコンタミネーション試験の結果に従って回避指定をした後、装置を出荷する。顧客の施設内で試験した場合は試験後、顧客へ装置を引き渡す。ステップ1207でクロスコンタミネーション試験を実施したことに対して顧客より代価を頂く。ステップ1208で装置メーカは、試験で得られたクロスコンタミネーションに関する情報を装置メーカのデータベースに記憶して管理し、他の顧客のクロスコンタミネーション試験を効率化するために利用をする。 <第5実施例> 図13にインターネットなど公的な通信回線を利用して、クロスコンタミネーションに関する情報を収集および公開する実施例を示す。ステップ1301でクロスコンタミネーションに関する情報を公開するホームページを開設する。ステップ1302で会員登録、ステップ1303で、本ホームページのクロスコンタミネーション情報提供の目的を理解してもらい、会員規約に同意して頂く、ステップ1304で会費の徴収や受信情報に対する代価支払のため口座登録をしていただく。ステップ1305でホームページ管理者は、クロスコンタミネーションに関する情報を広く会員に募集し、Eメールなどで受信をする。ステップ1306で入手した情報に関し、工場内で確認試験を行う。ステップ1307でクロスコンタミネーションが実際に起きた場合、ステップ1308で確認試験の測定結果を情報提供者へお知らせするとともに、ステップ1309で情報提供者に対して金銭や会員用ポイントなどの代価を支払う。代価を支払う際、クロスコンタミネーションの真偽に応じて代価に差をつけることで、誤った情報の受信を減らすとともに、正しい情報の発信を促す仕掛けをつくる。ステップ1307でクロスコンタミネーションが実際に起こらなかった場合、ステップ1312で起きなかったことを情報提供者へお知らせするとともに、ステップ1313で正しい情報入手時より少ない金銭や会員用ポイントの代価を支払う。ステップ1314で本情報は棄却する。ステップ1310,1311においてホームページ管理者は、実際に起こることが確認されたクロスコンタミネーション情報をデータベースへ登録し、会員へ公開する。本発明の第1実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション情報と代価の流れを示す図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション防止機能のフロー図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置の洗浄能力確認試験のフロー図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置の動作原理図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーションに関する情報一覧の図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置の洗浄能力とクロスコンタミネーション影響レベルの関係を示す図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション組合せが発見された時のアラーム画面例を示す図。本発明の第1実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション組合せ発見時の防止登録画面例を示す図。従来と本発明の第1実施例の自動分析装置据付け期間の比較図。本発明の第2実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーションに関する情報と代価の流れを示す図。本発明の第3実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーションに関する情報と代価の流れを示す図。本発明の第4実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション防止システムのフロー図。本発明の第5実施例で示す自動分析装置のクロスコンタミネーション防止システムのフロー図。符号の説明 1…サンプルディスク、2…血清サンプリング機構、3…反応ディスク、4…反応容器、5…試薬ディスク、6…試薬容器、7…試薬ピペッティング機構、8…撹拌機構、9…恒温槽、10…多波長光度計、11…洗浄機構、12…吸引ノズル、13…洗浄剤、14…洗剤注入ノズル、15…血清用ピペッタ、16…洗浄水ポンプ、17…試薬用ピペッタ、18…Log変換器およびA/D変換器、19…マイクロコンピュータ、20…プリンタ、21…CRT、22…ハードディスク、23…インターフェース、24…操作パネル、25…試料容器、26…光源、27…サンプルプローブ、28…試薬プローブ、29…撹拌棒、30…第2試薬用試薬バーコードリーダ、31…第1試薬用試薬バーコードリーダ、32,63…試薬メーカ、33,64,82…装置メーカ、34…保守サービス会社、35,65…顧客(検査室)、36,70,86,92…クロスコンタミネーション情報、37,38,39,40,45,72,73,74,75,76…クロスコンタミネーション情報伝達媒体、41,42,43,44,46,47,71,77,78,79,80,81,87,90,91…代価、48…入力部、49,69,89…自動分析装置、50…アラーム、51…アラームの説明、52…閉じるボタン、53…ウィンドウ次へボタン、54…防止登録選択キー、55…はいボタン、56…ウィンドウ閉じるボタン、57…影響を与える項目名、58…影響を与える項目の試薬メーカ、59…影響を与える項目の試薬種類、60…影響を受ける項目名、61…影響を受ける項目の試薬メーカ、62…影響を受ける項目の試薬種類、66…顧客のパソコン、67…操作者、68…クロスコンタミネーション情報の情報伝達媒体、83…保守サービス会社、84…クロスコンタミネーション情報の購入顧客、85…クロスコンタミネーション情報の伝達媒体、88…情報の入出力部、93,94…クロスコンタミネーション情報提供顧客。 所定量の試薬を反応容器に分注する試薬分注プローブと、該試薬分注プローブを洗浄する洗浄機構とを備えた自動分析装置に関して、測定値に影響を与える試薬と、測定値に影響を受ける試薬の組合せを記録した試薬クロスコンタミネーション情報を記録する管理者サーバーと、 前記管理者サーバーに通信回線を介して接続され、前記自動分析装置を使用した試験で得られた前記試薬クロスコンタミネーション情報を前記管理者サーバーに送信する自動分析装置に接続された情報送信者端末と、 前記管理者サーバーに通信回線を介して接続され、前記管理者サーバーに記録された前記試薬クロスコンタミネーション情報を、前記管理者サーバーから受領する自動分析装置に接続された情報受領者端末と、を備え、 前記情報送信者端末から送信された前記試薬クロスコンタミネーション情報を取得し、その真偽を確認する確認試験を行う真偽確認者が前記クロスコンタミネーション情報のうち、前記確認試験により真と確認した検証済み試薬クロスコンタミネーション情報を前記管理者サーバーに送信するための試薬クロスコンタミネーション情報送信手段と、前記管理者サーバーに記録された検証済み試薬クロスコンタミネーション情報を、前記情報受領者端末に対して定期的に送信するための、前記管理サーバーに設けられた送信手段とを備えたことを特徴とする試薬クロスコンタミネーション防止システム。 請求項1記載の試薬クロスコンタミネーション防止システムにおいて、 前記試薬クロスコンタミネーション情報は、コンタミネーションを与える試薬を特定するための情報,コンタミネーションを受ける試薬を特定するための情報,影響するレベルに関する情報,汚染場所に関する情報,洗剤の種類に関する情報,洗剤の量に関する情報のうちの少なくとも1つを含むものであることを特徴とする試薬クロスコンタミネーション防止システム。 請求項1または2に記載の試薬クロスコンタミネーション防止システムにおいて、 前記情報受領者端末が接続された自動分析装置が、前記情報受領者端末に送信された試薬クロスコンタミネーション情報に基づいて、前記分析装置の動作シーケンスを変更できる制御手段を、備えたことを特徴とする試薬クロスコンタミネーション防止システム。 請求項3記載の試薬クロスコンタミネーション防止システムにおいて、 前記自動分析装置は、前記情報受領者端末に送信された試薬クロスコンタミネーション情報を表示する表示手段を備え、かつ該表示手段には、前記制御手段に自動分析装置の動作シーケンスを変更するか否かを指示する指示ボタンを表示することを特徴とする試薬クロスコンタミネーション防止システム。 請求項4記載の試薬クロスコンタミネーション防止システムにおいて、 前記自動分析装置は、自身の試薬クロスコンタミネーションを抑止する機能の程度を確認する確認手段を備え、 前記表示手段に、該確認手段により確認された試薬クロスコンタミネーションを抑止する機能の程度を表示することを特徴とする試薬クロスコンタミネーション防止システム。