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タイトル:公開特許公報(A)_高次フラーレンの分離方法および環状ポルフィリン多量体
出願番号:2003376778
年次:2005
IPC分類:7,C01B31/02,C07D519/00


特許情報キャッシュ

相田 卓三 西郷 和彦 田代 健太郎 庄子 良晃 JP 2005097071 公開特許公報(A) 20050414 2003376778 20031106 高次フラーレンの分離方法および環状ポルフィリン多量体 フロンティアカーボン株式会社 502236286 相田 卓三 503318677 西郷 和彦 594042468 田代 健太郎 503318688 庄子 良晃 503318703 岡田 数彦 100097928 相田 卓三 西郷 和彦 田代 健太郎 庄子 良晃 JP 2003309862 20030902 7C01B31/02C07D519/00 JPC01B31/02 101FC07D519/00 311 7 OL 13 特許法第30条第1項適用申請有り 4C072 4G146 4C072MM04 4G146AA08 4G146BA04 4G146CA15 4G146CB13 4G146CB35 本発明は、高次フラーレンの分離方法に関し、詳しくは、高次フラーレン含有混合物から、ホスト−ゲストの作用により、高次フラーレンを分離する方法に関する。また、本発明は、ホスト化合物として有用な新規な環状ポルフィリン多量体に関する。 1985年のC60の発見以来、C60、C70に代表されるフラーレン類は、医薬、化粧品、電子材料分野などの新規機能性材料として高く注目されている。中でも高次フラーレン(例えば、C76、C78、C82、C84、C90、C96等の、C70よりも高い分子量をもつ1つの閉じた構造をもつ炭素クラスター)は、C60よりも低いエネルギーバンドギャップが観測される等、非常に興味深い特性を示す。しかし、燃焼法、アーク放電法などにより生成したフラーレン混合物中に含まれる高次フラーレンの割合は、C60やC70に比べて低い。 フラーレン混合物からフラーレンを分離する方法としては、クロマトグラフィーが知られている。しかし、クロマトグラフィーによる分離は一般に多量の溶媒を必要とする。従って、含有量の少ない高次フラーレンを同法によって分離しようとすると、莫大な量の溶媒が必要となり非常に効率が悪い。 一方、フラーレン混合物から特定のフラーレンを分離する方法として、ホスト化合物により特定のフラーレンを包接した後、フラーレン包接錯体と未包接フラーレンを分離し、次いで、フラーレン包接錯体から特定のフラーレンを脱包接して回収する方法が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。特許第2654918号公報特開平11−240705号公報 上記の方法は、クロマトグラフィーに比べて溶媒の使用量も少なく効率的であるが、現在、実施例が報告されているのは、C60を選択的に包接して回収する方法のみであり、高次フラーレンを選択的に包接し回収する方法は未だ知られていない。 リード等は、高次フラーレンを含むフラーレン混合物にポルフィリン2量体構造をもつホスト分子を作用させると、ホスト分子がC84とフラーレン包接錯体を形成することについて、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)による質量分析で確認している(J.Am.Chem.Soc.,2002,124,6604−6612)。しかしながら、リード等の研究の段階では、構造が確認されているのみであり、単離はなされておらず、フラーレン包接錯体から高次フラーレンを脱包接する方法の提供には至っていない。 本発明の課題は、高次フラーレン含有混合物から、高次フラーレンを簡便に分離する方法を提供することにある。すなわち、ホスト化合物で高次フラーレンを包接した後、フラーレン包接錯体と未包接フラーレンを分離し、フラーレン包接錯体から高次フラーレンを脱包接する高次フラーレンの分離方法を提供することにある。また、本発明の他の課題は、ホスト化合物として有用な新規な環状ポルフィリン多量体を提供することにある。 本発明者らは、鋭意検討の結果、高次フラーレン含有混合物に特定の構造を有するホスト化合物を作用させると、高次フラーレンが選択的に包接されるとの知見を得、本発明の完成に至った。 すなわち、本発明の第1の要旨は、高次フラーレン含有溶液にホスト化合物を作用させ、高次フラーレンを選択的に包接した後、フラーレン包接錯体と未包接フラーレンとを分離し、次いで、フラーレン包接錯体から高次フラーレンを脱包接して回収することを特徴とする、高次フラーレンの分離方法に存する。 本発明の第2の要旨は、ポルフィリン骨格の5位と15位に置換フェニル基が結合した環状ポルフィリン多量体に存する。 本発明によれば、高次フラーレン含有混合物から高次フラーレンを簡便に分離する方法が提供され、また、ホスト化合物として有用な新規な環状ポルフィリン多量体が提供される。 以下、本発明を詳細に説明する。発明の分離方法においては、ホスト化合物の選定が重要である。ホスト化合物としては、高次フラーレンを選択的に包接できれば何でもよいが、ポルフィリン骨格を有する錯体が好ましい。 ポルフィリン部位を有するホスト化合物が優先的に高次フラーレンを包接する理由は次の様に考えられる。炭素数が多い高次フラーレンほど表面の曲率は小さくなるが、ポルフィリン部位はカリックスアレーン等に比べてサイズが大きいため、相互作用可能な表面積が大きくなり、高次フラーレンを包接し易い。また、高次フラーレンは電子受容性が高いため、C60等に比べて相互作用が強くなることも期待される。 ポルフィリン部位およびポルフィリン部位同士を結合させている部分は、フラーレンとの相互作用が維持できる限り、その構造は特に限定されないが、5位と15位に置換フェニル基が結合した環状多量体が好ましい。特に、以下の一般式(I)で表される環状ポルフィリン2量体が好適である。 ポルフィリンに隣接するベンゼン環上の置換基があることにより、置換基のない化合物に対し、ゲスト化合物に影響することなく、ホスト化合物に対し、溶解性の向上、自己会合性などの物理的、化学的な特徴を付加させることが可能になる。置換基としては、炭素数が1〜20、特に8〜16の有機基が好ましく、有機基としてはアルコキシ基が好ましい。 ポルフィリン部位を結合させる部分は、2つのポルフィリンを適当な間隔に保つことが出来る基であれば特に制限されないが、炭素数が1〜14のα、ω−アルキリデンジオキシ基が好ましい。ポルフィリン骨格の中心は、2個の水素原子または金属が好ましい。好適な具体例として、以下の一般式(II)で表される環状ポルフィリン2量体が挙げられる。 ポルフィリン骨格の5位と15位に置換フェニル基が結合した環状ポルフィリン多量体は、ポルフィリンの5位と15位に置換基R1及びR2とポルフィリン部位を結合させる部分Y1及びY2を有するフェニル基を持つ化合物(a)と、ポルフィリンの5位と15位に置換基R3及びR4を有するフェニル基を持つ化合物(b)とを反応させることにより合成される。 置換フェニル基を5位と15位に持つ化合物(a)及び(b)は、それぞれ該当する置換基を有するベンズアルデヒドとジピロメタンにトリフルオロ酢酸などの強酸を作用させて環化させ、次に、クロラニル等の酸化剤を反応させることによって合成される。ポルフィリン骨格の中心Mが金属の場合は、前記化合物に該当する金属の塩を作用させることで得られる。 本発明の環状ポルフィリン多量体を合成する別の方法としては、ポルフィリン部位を結合させる部分を有さない化合物(b)2分子に、ポルフィリン部位を結合させるY1及びY2を反応させる方法もある。 次に、ホスト化合物により特定のフラーレンを包接し、フラーレン包接錯体と未包接フラーレンを分離してから、フラーレン包接錯体から特定のフラーレンを脱包接し、回収する方法について説明する。 本発明に使用する高次フラーレン含有溶液としては様々な形態が考えられるが、フラーレン混合物の溶液、特に、フラーレン製造設備で製造されたフラーレン類を含有する煤を抽出したもの、乾燥状態のフラーレン混合物を溶媒に溶解したもの等が挙げられる。本発明のホスト化合物を使用すれば、高次フラーレン、特に76〜102の高次フラーレンを選択的に包接できる。ここで使用する溶媒は、フラーレンとホスト化合物の両物質を溶解度させるものであればよく、例えば、芳香族炭化水素、ハロゲン化された芳香族炭化水素、二硫化炭素などが挙げられ、中でも芳香族炭化水素が好適である。 高次フラーレン含有溶液とホスト化合物溶液は、高次フラーレン含有溶液にホスト化合物溶液を添加しても、ホスト化合物溶液に高次フラーレン含有溶液を添加しても、高次フラーレン含有溶液とホスト化合物溶液を合わせても、両物質が溶解した状態で共存すれば何れでも構わない。 ホスト化合物の使用量は、分離しようとする高次フラーレンに対し、通常0.1〜3化学等量(ホスト分子のモル数/ゲスト分子のモル数)である。これ未満の範囲では高次フラーレンを包接する効率が悪く、これを超える範囲ではC70やC60も包接してしまい、高次フラーレンが優先的に得られない。なお、包接させる際の温度は、通常0〜100℃の範囲であり、攪拌は任意である。 高次フラーレンとのフラーレン包接錯体が形成された後、フラーレン包接錯体から未包接フラーレンを除去する。未包接フラーレンの除去は、貧溶媒の添加、クロマトグラフィー、溶解度の差を利用した晶析、昇華などの方法で行うことが出来る。これらの方法は単独で行ってもよいが、効率良く除去するには、組み合わせて行った方が好ましい。例えば、溶媒を濃縮した後、未包接フラーレンに対する貧溶媒を添加して未包接フラーレンを析出させて濾別させ、その後、残った包接体の濃度が高い溶液をクロマトグラフィーで分離する。斯かる方法によれば、クロマトグラフへの負荷が低減される。貧溶媒としては、エーテル類、ハロゲン化された脂肪族炭化水素、アルコール類が挙げられ、中でもエーテル類が好ましい。また、以上の方法の逆の方法として、フラーレン包接錯体に対する貧溶媒を加える等して、フラーレン包接錯体の方を沈殿させて分離してもよい。 フラーレン包接錯体の脱包接方法としては、フラーレン包接錯体に高次フラーレンよりもホスト化合物と強く相互作用するゲスト物質を作用させる方法が好適である。斯かるゲスト物質としては、複数のアミン部分を持つ化合物が好ましい。具体例を挙げると、4,4’−ジピリジル、テトラメチルエチレンジアミンの様なジアミンが適している。脱包接の際のゲスト物質の使用量は、ホスト化合物1分子に対し、通常1〜100化学等量、好ましくは3〜30化学等量である。 以上の様にして脱包接させたフラーレンは、不純物として、少量のフラーレン包接錯体、過剰量のゲスト物質などを含むため、精製するのが好ましい。精製方法としては、アルミナ、シリカ等によるクロマトグラフィー、分子ふるい効果をもつゲルによる濾過、酸性溶媒による洗浄、抽出操作、晶析操作などの手法を採用することが出来る。 上述の操作により、特定のフラーレンを高純度で得ることが可能であるが、更に純度を高めるため、上述の操作の全部または一部を複数回行うことが出来る。また、本発明の操作前または後に、従来からフラーレンの分離方法として行われているクロマトグラフィー、晶析、昇華、包接等の手法の何れか1つ又は2つ以上を行なうことも、フラーレンの純度を高めるのに有効である。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの例に限定されるものではない。<ポルフィリン骨格の5位と15位に置換フェニル基が結合した環状多量体のホスト化合物の合成> [4−Dodecyloxy−3−hydroxybenzaldehyde(2)の合成] 3,4−dihydroxybenzaldehyde(1)(1.38g,10.0mmol)と炭酸カリウム(1.38g,10.0mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)懸濁溶液(25ml)に、1−ブロモドデカン(2.65ml,11.0mmol)を激しく攪拌しながらアルゴン(Ar)雰囲気下で滴下し、室温で20時間攪拌した。この反応混合物に1N塩酸を添加し、反応を終了させた。水を加え液量を200ml程度に増やし、更に、1N塩酸を加えてpH4に溶液を調節した。この混合物をトルエンにより抽出し(100ml,4回)、水洗後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し(溶媒酢酸エチル/ヘキサン=1/9,v/v→溶媒酢酸エチル/ヘキサン=1/4,v/v)、二番目のフラクションを回収し、溶媒を留去し、白色結晶の前記(2)を得た(1.64g,収率54%)。1HNMRのスペクトルは次の通りである。 1HNMR(270MHz,CDCl3):δ9.82(s,1H,−CHO),7.42−7.37(m,2H,Ar),6.94−6.91(m,1H,Ar),5.74(s,1H,−OH),4.10(t,2H,−OCH2C11H23),1.86−1.81(m,2H,−OCH2CH2C10H21),1.48−1.24(m,18H,−OCH2CH2(CH2)9CH3),0.88−0.83(t,3H,−CH3) [3−(6’−Bromohexyloxy)−4−dodecyloxy−benzaldehyde(3)の合成] 4−Dodecyloxy−3−hydroxybenzaldehyde(2)(4.00g,13.1mmol)及び炭酸カリウム(1.99g,14.4mmol)のDMF懸濁溶液(75ml)に、1,6−ジブロモヘキサン(2.21ml,14.4mmol)をAr雰囲気中で滴下し、室温下、15時間攪拌した。次いで、反応混合物をトルエン(300ml)で希釈し、水洗の後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒クロロホルム)に供し、目的物のみを含む一番目のフラクションを回収し、溶媒を留去し、白色固体の前記(3)を得た(5.21g,収率85%)。1HNMRのスペクトルは次の通りである。 1HNMR(270MHz,CDCl3):δ10.10(s,1H,−CHO),7.40−7.35(m,2H,Ar),6.93−6.90(m,1H,Ar),4.06−4.00(m,4H,−OCH2C5H10Br,−OCH2C11H23),3.41−3.36(m,2H,−CH2Br),1.85−1.80(m,2H,−OCH2CH2C10H21),1.52−1.23(m,28H,−OCH2(CH2)4CH2Br,−OCH2(CH2)10CH3),0.87−0.82(t,3H,−CH3) [Zinc complex of 5,15−Bis(3’−(6”−bromohexyloxy)−4’−dodecyloxyphenyl)−porphyrine(4)の合成] 3−(6’−Bromohexyloxy)−4−dodecyloxy−benzaldehyde(3)(2.00g,4.26mmol)及びジピロメタン(0.62g,4.26mmol)のクロロホルム溶液(800ml)を、室温下、攪拌しながらアルゴンにより40分間バブリングし、脱気を行った。溶液に、激しく攪拌しながらトリフルオロ酢酸(0.68ml)を加え、Ar雰囲気下、室温、遮光下5時間30分攪拌した。赤燈色の反応溶液にクロラニル(2.09g,10.0mmol)を加え、空気下2時間攪拌した。黒色溶液を減圧下200mlにまで濃縮し、アルミナカラムクロマトグラフィーに供し、赤紫色透明の混合溶液を得た。溶液を留去し、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー(溶媒トルエン)に供した。目的物である一番大きいフラクションを回収し、溶媒を留去し、メタノール/クロロホルムから再沈殿を行い、赤紫色粉末を得た。再びクロロホルム/メタノール(2:1,v/v,200ml)に溶解し、酢酸亜鉛のメタノール懸濁液(5ml)を加え、室温、空気下12時間攪拌した。反応溶液を水洗し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を留去し、クロロホルム/アセトニトリルから再沈殿を行い、紫ピンク色粉末の前記(4)を得た(1.03g,収率37%)。1HNMRのスペクトル等は次の通りである。 1HNMR(270MHz,CDCl3):δ10.03(s,2H,meso−H),9.27−9.09(m,8H,b−H),7.69−7.64(m,4H,Ar),7.11−7.08(m,2H,Ar),4.17−3.93(m,8H,−OCH2C5H10Br,−OCH2C11H23),3.37−3.32(t,4H,−CH2Br),1.96−1.36(m,56H,−OCH2(CH2)4CH2Br,−OCH2(CH2)10CH3),0.98(t,6H,−CH3) MALDI−TOF−MS 計算値:1338.8,実測値:1338.5 UV−vis(C6H5CH3)λmax [nm] 414.5,540.0 [3−tert−Butyldiphenylsilyloxy−4−dodecyloxy−benzaldehyde(5)の合成] 4−Dodecyloxy−3−hydroxybenzaldehyde(2)(0.20g,0.67mmol)及びイミダゾール(46.7mg,0.68mmol)のDMF懸濁液に、t―ブチルジフェニルシリル(TBDPS)クロライド(0.178,0.68mmol)を室温、Ar雰囲気下、攪拌しながら滴下した。二時間後、反応溶液をトルエン(100ml)により希釈し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去した。反応混合部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し(溶媒クロロホルム)、一番目のフラクションを回収し、溶媒を留去し、無色透明粘性液体の前記(5)を得た(338mg,収率95%)。1HNMRのスペクトルは次の通りである。 1HNMR(270MHz,CDCl3):δ9.525(s,1H,CHO),7.68−7.61(m,4H,o−H in C6H5),7.37−7.11(m,8H,m −and p−H in C6H5,2HinC6H3),6.75−6.73(m,1H in C6H3),3.71(t,2H,−OCH2C11H23),1.56−1.42(m,2H,−OCH2CH2C10H21),1.18−0.98(m,27H,−OCH2CH2(CH2)9CH3,−C(CH3)3),0.81−0.77(m,3H,−CH3) [Zinc complex of 5,15−bis(4’−dodecyloxy−3’−hydroxyphenyl)−porphyrine(6)の合成] 3−tert−Butyldiphenylsilyloxy−4−dodecyloxy−benzaldehyde(5)(3.00g,5.51mmol)及びジピロメタン(0.81g,5.51mmol)のクロロホルム溶液(1050ml)を、室温下、攪拌しながらアルゴンにより40分間バブリングし、脱気を行った。溶液に、激しく攪拌しながらトリフルオロ酢酸(0.80ml)を加え、Ar雰囲気下、室温、遮光下5時間攪拌した。赤燈色の反応溶液にクロラニル(2.70g,13.0mmol)を加え、空気下2時間攪拌した。黒色溶液を減圧下200mlにまで濃縮し、アルミナカラムクロマトグラフィーに供し、赤紫色透明の混合溶液を得た。溶液を留去し、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー(溶媒トルエン)に供した。目的物である一番大きいフラクションを回収し、溶媒を留去し、メタノール/クロロホルムから再沈殿を行い、赤紫色粉末を得た。再びクロロホルム/メタノール(2:1,v/v,200ml)に溶解し、酢酸亜鉛のメタノール懸濁液(5ml)を加え、室温、空気下12時間攪拌した。 反応溶液を水洗し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を留去し、クロロホルム/アセトニトリルから再沈殿を行い、赤燈色粉末を得た。これを再びDMF(50ml)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオライド(0.40g,1.5mmol)のDMF溶液(10ml)を添加し、Ar雰囲気、室温下一時間攪拌した。反応溶液をトルエン(200ml)で希釈し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、目的物である二番目のフラクションを回収し、溶媒を留去し、赤燈色粉末の前記(6)を得た(1.01g,収率20%)。1HNMRのスペクトル等は次の通りである。 1HNMR(270MHz,CDCl3):δ10.00(s,2H,meso−H),9.17−8.88(m,8H,b−H),7.37−7.17(m,4H,Ar),6.83−6.79(m,2H,Ar),5.14(d,2H,−OH),4.09(t,4H,−OCH2C11H23),1.79−1.69(m,4H,−OCH2CH2C10H21),1.38−1.23(m,36H,−OCH2CH2(CH2)9CH3),0.85−0.80(t,3H,−CH3) MALDI−TOF−MS 計算値:924.45,実測値:924.48 UV−vis(C6H5CH3)λmax [nm] 540.0,414.5 実施例1: [CyclicDimer(7)の合成] 炭酸カリウム(100mg,0.72mmol)のDMF懸濁液(50ml)に、Zinc complex of 5,15−Bis(3’−(6”−bromohexyloxy)−4’−dodecyloxyphenyl)−porphyrine(4)(138.2mg,0.11mmol)とZinc complex of 5,15−bis(4’−dodecyloxy−3’−hydroxyphenyl)−porphyrine(6)(100mg,0.11mmol)のDMF溶液(5ml)を、激しく攪拌しながら、室温、Ar雰囲気下、マイクロフィーダーを使用し0.19ml/hで滴下し、滴下終了後7時間攪拌した。反応溶液をトルエン(200ml)で希釈し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。反応混合物をゲル濾過カラムクロマトグラフィーに供し、一番大きい、目的物を含むフラクションを回収し、溶媒を留去した。残留物をクロロホルム/アセトニトリルから再沈殿を行い、赤色粉末の以下の構造式で表される前記(7)を得た(67mg,収率31%)。 前記(7)は配座異性体の混合物であり、1H−NMRは複雑であったため、4,4'−ビピリジンと錯体化することにより、スペクトルを単純化した。1HNMRのスペクトル等は次の通りである。 1HNMR(270MHz,CDCl3):δ9.95(s,4H,meso−H),9.14−8.91(m,16H,b−H),7.70−7.14(m,12H,Ar),4.21−4.13(m,8H,−OCH2(CH2)4CH2O−),3.88−3.70(m,8H,−OCH2C11H23),1.99−1.25(m,96H,−OCH2(CH2)4CH2O−,−OCH2(CH2)10CH3),0.87−0.82(m,12H,−CH3) MALDI−TOF−MScalcd.2013.06obsd.2012.69 UV−vis(C6H5CH3)λmax[nm]540.5,412.5<フラーレンの精製> 原料として、C60:68%、C70:23%、C76以上の高次フラーレン:9%を含有するフラーレン混合物を使用した。 実施例2: 上記のフラーレン混合物を10mgと上述の様に合成したホスト化合物(7)0.1mgとをトルエン(30ml)中に溶解し、30分撹拌後、トルエンを留去した。残査にTHF(5ml)を加え、可溶成分を濾別し、トルエンに溶媒交換した後、アルミナカラム(トルエンで過剰のフラーレンを除去後、クロロホルムを使用した)でフラーレン包接錯体を分離した。ここに、ホスト化合物1分子当たり10等量の4,4’−ビピリジルを加え、30分撹拌後、サイズ排除クロマトグラフィーでフラーレンを分離した。これをトルエンと酢酸水による洗浄で精製した後、HPLCにより分析したところ、C60:5%、C70:2%、C76以上の高次フラーレン:93%(その内の37%:C96)であった。 実施例3: フラーレン混合物10mgと以下に示すホスト化合物(8)0.1mgとをトルエン(30ml)中に溶解させ、30分撹拌後、濃縮し、アルミナカラム(トルエンで過剰のフラーレンを除去後、クロロホルムを使用した)でフラーレン包接錯体を分離した。ここに、ホスト化合物1分子当たり10等量の4,4’−ビピリジルを加え、30分撹拌後、サイズ排除クロマトグラフィーでフラーレンを分離した。これをトルエンと酢酸水による洗浄で精製した後、HPLCにより分析したところ、C60:3%、C70:33%、C76以上の高次フラーレン:64%(内訳;C76:7%、C78:11%、C84:23%、C86以上:23%)であった。 実施例4: 実施例3と同様の操作を100倍のスケールで行なって得たフラーレン混合物にホスト化合物(8)(1mg)を加え、同様の操作を行なってHPLCにより分析したところ、C60:0%、C70:34%、C76以上の高次フラーレン:66%(内訳;C76:8%、C78:16、C84:22%、C86以上:20%)であった。 実施例5: 実施例4で得られたフラーレン混合物にホスト化合物(8)(0.1mg)を加え、実施例3と同様の操作を行なってHPLCにより分析したところ、C60:0%、C70:30%)、C76以上の高次フラーレン:70%(内訳;C76:12%、C78:25、C84:16%、C86以上:17%)であった。操作の繰り返しにより、C76とC78が濃縮されることが分かった。 実施例2〜5の結果を表1にまとめて示す。 高次フラーレン含有溶液にホスト化合物を作用させ、高次フラーレンを選択的に包接した後、フラーレン包接錯体と未包接フラーレンとを分離し、次いで、フラーレン包接錯体から高次フラーレンを脱包接して回収することを特徴とする、高次フラーレンの分離方法。 フラーレン包接錯体に、高次フラーレンよりもホスト化合物と強く相互作用するゲスト物質を作用させて脱包接を行なう請求項1に記載の分離方法。 分子内に複数個のポルフィリン部位を有するホスト化合物を使用する請求項1又は2に記載の分離方法。 ホスト化合物として、2本の化学結合で2つのポルフィリンを結合させた環状ポルフィリン2量体を使用する請求項1〜3の何れかに記載の分離方法。 分離操作を2回以上繰り返すことにより分離される高次フラーレンの純度を上げる請求項1〜4の何れかに記載の分離方法。 ポルフィリン骨格の5位と15位に置換フェニル基が結合した環状ポルフィリン多量体。 下記一般式(I)で表される請求項6に記載の環状ポルフィリン多量体。 【課題】高次フラーレン含有混合物から高次フラーレンを簡便に分離する方法を提供する。また、ホスト化合物として有用な新規な環状ポルフィリン多量体を提供する。【解決手段】高次フラーレン含有溶液にホスト化合物を作用させ、高次フラーレンを選択的に包接した後、フラーレン包接錯体と未包接フラーレンとを分離し、次いで、フラーレン包接錯体から高次フラーレンを脱包接して回収する方法、および、ポルフィリン骨格の5位と15位に置換フェニル基が結合した環状ポルフィリン多量体。【選択図】 なし


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