タイトル: | 公開特許公報(A)_定電位電解式ガス測定装置 |
出願番号: | 2003365353 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N27/416 |
加藤 明彦 一柳 禎志 JP 2005127928 公開特許公報(A) 20050519 2003365353 20031024 定電位電解式ガス測定装置 東亜ディーケーケー株式会社 000219451 倉橋 暎 100075638 加藤 明彦 一柳 禎志 7G01N27/416 JPG01N27/46 311ZG01N27/46 331G01N27/46 311A 18 3 OL 18 本発明は、例えば、廃棄物焼却炉、ボイラー炉、エンジンなどの排ガス中の二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの測定に利用される定電位電解式ガス測定装置に関するものである。 従来、例えば、廃棄物等を焼却した焼却排ガスなどに含まれる二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの被検ガスを定電位電解式ガスセンサで検知し、その量を測定する定電位電解式ガス測定装置がある(例えば、特許文献1参照。)。 定電位電解式ガスセンサは、被検ガスを検出する作用極と、作用極との間で電流を流す対極と、作用極の電位を制御するための参照極とを有する。これら作用極、対極、参照極は、多孔性のガス拡散膜(ガス透過性隔膜)で仕切られた空間内に配置され、この空間は電解液で満たされる。被検ガスは、ガス透過性隔膜を透過して電解液に溶解し、作用極に接触する。被検ガスは、参照極との間の電位差が一定に保たれた作用極において電気分解され、作用極と対極との間に電気化学反応に応じて流れる電解電流が測定される。定電位電解式ガスセンサは、電解電流値が被検ガスの濃度に比例するように構成されており、この電解電流値を測定することで、被検ガスの濃度に変換することができる。 作用極は、通常、被検ガスに対する触媒性を有し、且つ、化学的に安定な白金族や金が用いられている。一方、参照極と作用極との間の電位差は、通常、被検ガスに対して干渉ガス等の影響を最小にする値が選択される。 しかしながら、従来、定電位電解式ガス測定装置を廃棄物焼却炉、ボイラー炉などに組み付けて連続測定に用いようとしても、定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度が低下し易く、現実には3日程度の連続測定までしか使用していないケースが多い。 定電位電解式ガスセンサは、作用極で被検ガスの濃度に対応した酸化電流又は還元電流を検出しているが、特に、多成分ガスの連続測定で被検ガスよりも干渉ガスの濃度が高く、しかも、作用極の設定電位において被検ガスと逆方向の電流(酸化電流又は還元電流)を作用極に生じる環境下で連続的に測定した場合、被検ガスに対する感度が大幅に低下することが分かった。又、酸化電流を検出する定電位電解式ガスセンサにおいて、試料ガスの酸素濃度が低い場合などにも感度低下が起き易い。 更に説明すると、作用極に使用する材料は、単に化学的に安定であることで選択されている訳ではなく、被検ガスの作用極界面での酸化還元反応に対して触媒作用を有することも選択理由としてある。一般的に、この触媒作用のことを、作用極が被検ガスに対して「活性サイト」を有しているという言葉で表現している。 被検ガスの還元電流を検出する定電位電解式ガスセンサ(例えば、NO2センサ)においては、当然のことながら作用極界面も還元状態で被検ガスに対する活性サイトを有している。しかし、この作用極が酸化電流を生じるような酸化状態に置かれると、作用極界面が酸化され被検ガスに対する活性サイトが無くなってしまう。その結果、定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度が低下するものと考えられる。 一方、被検ガスの酸化電流を検出する定電位電解式ガスセンサ(例えば、SO2センサ、NOセンサ、COセンサ)においては、作用極界面が酸化状態で被検ガスに対する活性サイトを有している。しかし、作用極が還元状態に置かれると還元ガス等の吸着などにより活性サイトが減少して、定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する検出感度が低下するものと考えられる。 又、COセンサなどの酸化電流を測定するセンサにおいて、試料ガスの酸素濃度が低い場合に感度低下が生じ易いのには、次のような原因が一因として考えられる。酸化電流を測定する定電位電解式ガスセンサでは、電解液中の溶存酸素を消費して被検ガスを酸化することで電解電流を生じている。外部から十分な酸素量が被検ガスと一緒に電解液に吸収されれば問題ないが、試料ガスの酸素濃度が低いと、徐々に電解液中の溶存酸素濃度が低下し、被検ガスの電解電流が低下して、感度低下が発生し易くなるものと考えられる。 従来、斯かる定電位電解式ガスセンサを連続して使用する場合には、その感度低下に対して、校正頻度を多くすることなどで対応している。又、低下した感度は、定電位電解式ガスセンサを空気中で放置することで感度が徐々に回復することが分かっている。しかし、劣化状況に応じた相当時間を要するため、劣化状況の大きい定電位電解式ガスセンサは、一般に、寿命として廃棄処理される。 又、例えば、定電位電解式ガスセンサを排ガス連続分析装置に導入し、廃棄物焼却炉、或いは、ボイラー炉などの排ガスを連続的に測定しようとする場合おいて、定期的に定電位電解式ガスセンサの交換を行うためには、人手によらざるを得ず、長時間の作業となる。そのために、定電位電解式ガスセンサによる連続測定作業を長時間にわたって、例えば、数分から数十分間、中断することが余儀なくされる。 一方、例えば、SO2センサなどの或る定電位電解式ガスセンサは、乾燥状態で保存するなど、湿度条件など保存状態によっても感度が径時的に低下することがあることが分かった。特開2000−74878号公報 本発明の目的は、定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度低下を防止することのできる定電位電解式ガス測定装置を提供することである。 本発明の他の目的は、定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度低下を防止して、該センサの交換周期、校正周期を著しく延長することのできる定電位電解式ガス測定装置を提供することである。 本発明の他の目的は、測定によって或いは保存状態によって低下した定電位電解式ガスセンサの感度を、迅速、且つ、簡便に回復させることのできる定電位電解式ガス測定装置を提供することである。 上記目的は本発明に係る定電位電解式ガス測定装置にて達成される。要約すれば、本発明の第1の態様は、作用極及び対極を具備するセンサを有し、前記作用極を所定の第1の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定する定電位電解式ガス測定装置において、前記作用極に対して、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる、前記第1の電位とは異なる第2の電位を与える感度回復動作を行うことを特徴とする定電位電解式ガス測定装置である。本発明の一実施態様によると、前記第2の電位は、所定の時間間隔にて、パルス的に与える。一実施態様では、前記第2の電位は、1時間〜30日毎に、1分〜30分間与える。又、他の実施態様では、前記第2の電位は、1分〜1時間毎に、0.1秒〜1分間与える。更に、本発明の好ましい一実施態様によると、前記第2の電位は、前記第1の電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100〜500mV大きい。定電位電解式ガス測定装置は、前記センサを複数有し、一部のセンサにより測定動作を行う一方、他の一部のセンサにおいて前記回復動作を行うように構成することができる。 本発明の第2の態様によると、作用極及び対極を具備する定電位電解式ガスセンサを有し、前記作用極を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定する定電位電解式ガス測定装置において、少なくとも被検ガスと干渉ガスとを含む試料ガスの測定時に、干渉ガスに対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる電位であって、且つ、被検ガスに対して限界電流が得られる所定の電位を前記作用極に与えて測定動作を行うことを特徴とする定電位電解式ガス測定装置が提供される。本発明の一実施態様によると、前記所定の電位は、試料ガス中の被検ガスの濃度によらずに、干渉ガスに対して安定して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる範囲で該電流が最小となるように設定される。本発明の他の実施態様によると、前記所定の電位は、前記センサを用いて求められる干渉ガスの酸化還元平衡電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100〜150mV大きい。 又、本発明の第3の態様によると、作用極及び対極を具備する定電位電解式ガスセンサと、前記作用極を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定する変換器と、を有する定電位電解式ガス測定装置において、前記作用極と接続された第1及び第2の接続部材を具備した接続部材であって、前記第1の接続部材よりも前記第2の接続部材が電気的に高抵抗である接続部材と;前記第1、第2の接続部材を選択的に前記変換器に接続するための切り替え部材と;前記変換器を介して前記作用極と前記対極との間に流れる電流の極性を判定する極性判定手段と;前記極性判定手段により判定した電流の極性に応じて前記切り替え部材を駆動して前記第1、第2の接続部材を選択的に前記変換器に接続させる切り替え制御手段と;を備えた保護回路を前記センサと前記変換器との間に有することを特徴とする定電位電解式ガス測定装置が提供される。本発明の一実施態様によると、前記作用極と前記対極との間に被検ガスの電解電流と同方向の電流が流れている場合には、前記第1の接続部材が前記変換器に接続され、被検ガスの電解電流と逆方向の電流が流れている場合には、前記第2の接続部材が前記変換器に接続される。本発明の他の実施態様によると、前記第2の接続部材が前記変換器に接続された状態で、前記作用極には実質的に電流が流れない。一実施態様では、前記第2の接続部材の電気抵抗は、1MΩ〜10MΩである。 更に、本発明の第4の態様によると、作用極及び対極を具備し、前記作用極を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定するための定電位電解式ガスセンサの感度回復方法であって、前記作用極に対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる電圧を印加することを特徴とする定電位電解式ガスセンサの感度回復方法が提供される。本発明の一実施態様によると、前記作用極に対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性の電圧100mV〜1500mVを印加する。又、一実施態様では、前記作用極に対して、被検ガスの電解電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100mV〜500mV大きい電圧を印加する。 上記各本発明において、前記定電位電解式ガスセンサは、二酸化硫黄ガスセンサ、一酸化窒素ガスセンサ、二酸化窒素ガスセンサ又一酸化炭素ガスセンサであってよい。 本発明によれば、(1)定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度低下を防止することができる。(2)定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度低下を防止して、該センサの交換周期、校正周期を著しく延長することができる。(3)測定によって或いは保存状態によって低下した定電位電解式ガスセンサの感度を、迅速、且つ、簡便に回復させることができる。といった格別なる効果を奏し得る。 以下、本発明に係る定電位電解式ガス測定装置を図面に則して更に詳しく説明する。 先ず、図1を参照して、本発明を適用し得る定電位電解式ガス測定装置100の一実施例について説明する。定電位電解式ガス測定装置100は、被検ガスを定電位で電解したときの電解電流から被検ガスの濃度を求めるもので、図1に示す如く、定電位電解式ガスセンサ(以下、単に「センサ」という。)1と、演算表示部2とを有する。センサ1は、ガス透過性隔膜3、ガス透過性隔膜3によって被検ガスと仕切られた電解液4、並びに、電解液4中に配した作用極5、参照極6及び対極7とを備えている。演算表示部2は、作用極5と電解液4の界面を一定の電位に保つよう、作用極5と参照極6との電位を監視して調整するようになっている。又、その時作用極5と対極7との間に流れる電解電流を増幅、演算して被検ガスの濃度を表示するようになっている。この電解電流は、ガス透過性隔膜3を通じて電解液4中に拡散吸収した被検ガスが作用極5において酸化又は還元される反応によって得られるものである。センサ1は、電解電流値が被検ガスの濃度に比例するように構成され、演算表示部2は、この電解電流値を測定することで、被検ガスの濃度に変換する。 上述のように、センサ1からの測定信号は、演算表示部2へと送信され、演算表示部2は、被検ガスの濃度を演算して表示する。そして、本実施例では、演算表示部2は、可変電圧電源を備えセンサ1に定電位を与える定電位回路と、測定した電解電流値の大きさから被検ガス濃度を算出する演算制御部と、を具備して、作用極5、参照極6及び対極7が接続される変換器を有する。又、本実施例では、演算表示部2は更に、算出した被検ガス濃度を表示する表示部、各種設定等の入力を行うための入力手段等を有している。 ガス透過性隔膜3としては、通常多孔性の4ふっ化エチレン樹脂が使用されるが、シリコーン膜等その他の多孔性高分子膜も使用できる。電解液4としては、通常、硫酸(H2SO4)や、燐酸(H2PO4)などが使用されるが、その他の酸又はアルカリ溶液も使用できる。電解液4の濃度は、通常、1〜10Mとされる。作用極5としては、通常、白金が使用されるが、パラジウム、金、銀等の貴金属;或いは炭素も使用できる。対極7としては、通常、白金が使用されるが、パラジウム、金、銀等の貴金属も使用できる。又、参照電極6としては白金、金、パラジウム等の貴金属;銀又は塩化銀メッキした銀;或いは炭素などが使用される。 作用極5の材料などによって電解液4の種類、印加電圧(作用極5と参照極6との電位差、設定電解電位)などが選択され、又干渉ガスの種類や影響の程度が決まる。通常、設定電解電位は、被検ガスに対して干渉ガスの影響を最小にすると共に、被検ガスに対して限界電流(電流値が電位変動によって変化せず、被検ガスの濃度に比例して変化する)が得られるように設定する。 以下、本発明の実施例として、センサ1にSO2センサ、NOセンサ、NO2センサ、COセンサを用いた定電位電解式ガス測定装置100について更に詳しく説明する。表1は、以下の実施例にて用いた、本発明に従うSO2センサ、NOセンサ、NO2センサ、COセンサの一例における測定レンジ、設定電解電位(印加電圧)、測定電流、干渉ガスを示す。又、表2は、各センサにて用いた電解液4、作用極5、参照極6及び対極7の構成例を示す。表1、2中の各設定は本発明を例示するための一例であって、本発明をこれに限定する意図はないことを理解されたい。 SO2センサでは、設定電解電位0mVにおいて、作用極5でのSO2のH2SO4への酸化による酸化電流を測定する。NOセンサでは、設定電解電位+300mVにおいて、作用極5でのNOの硝酸(HNO3)への酸化による酸化電流を測定する。NO2センサでは、設定電解電位0mVにおいて、作用極5でのNO2のNOへの還元反応による還元電流を測定する。又、COセンサでは、設定電解電位0mVにおいて、作用極5でのCOの二酸化炭素(CO2)への酸化反応による酸化電流を測定する。 そして、SO2センサでは、試料ガスに主にNO、NO2から成るNOxがSO2よりも多量に含まれていると、上記設定電解電位においてNO、NO2の還元電流が干渉し、センサ1のSO2に対する感度が低下し易くなる。NOセンサでは、試料ガスに主にNO2、SO2がNOよりも多量に含まれていると、上記設定電解電位においてNO2、SO2の還元電流が干渉し、センサ1のNOに対する感度が低下し易くなる。NO2センサでは、試料ガスに主にNO、SO2がNO2よりも多量に含まれていると、上記設定電解電位においてNOの還元電流、SO2の酸化電流が干渉し、センサ1のNO2に対する感度が低下し易くなる。又、COセンサでは、他の酸化電流を測定するセンサでも同様であるが、試料ガスが酸素濃度が10%程度又はそれ以下であるような場合などに感度が低下し易い。更に、特に、SO2センサでは、乾燥状態で保存すると、径時的に感度が低下することがある。 そこで、本発明によれば、上述のような作用極の活性の劣化に対し、以下詳しく説明するように、概略次のような手法による対策をとる。 (1)被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を、好ましくは定期的に、作用極5に印加して、作用極の活性を回復させる。 (2)干渉ガスに対して、被検ガスと同方向の最小の電流を生じさせる電圧であって、且つ、被検ガスに対して限界電流が得られる電圧を作用極5に印加することで、作用極5の活性の劣化を防ぐ。 (3)作用極5と対極との間に流れる電流の極性を検知して、被検ガスと同方向(順方向電流)の場合は通常の電流測定を行い、逆方向の場合(逆方向電流)は高抵抗で電流がほとんど流れないように切り替える機構を持った回路にすることで、作用極5の活性の劣化を防ぐ。 (4)乾燥状態で保存したことにより感度が劣化したセンサ1において、作用極5に対して、被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を印加することで、作用極5の活性を回復させる。 以下、それぞれについて詳しく説明する。 実施例1 先ず、本発明の一実施例によれば、作用極5に対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる電圧を印加する回復動作を行う。 このような回復動作により、驚くべきことにセンサ1の感度が実質的に初期の感度に復帰することが分かった(詳しくは後述の試験例参照。)。如何なる理論によっても束縛されることを意図しないが、これは、例えば、SO2センサ、NOセンサ、NO2センサなどにおいては、一つには作用極5に吸着した干渉ガスが除去されて、作用極5の活性サイトが復帰したためと考えられる。又、COセンサなど、干渉ガスの影響よりも寧ろ試料ガスの酸素濃度が低いことが感度低下の原因と考えられる場合においても、驚くべきことに、上述のような回復動作によって、感度を回復させることができることが分かった。 上記回復動作時に作用極5に印加する電圧は、被検ガスと同方向の電流を生じる電位であれば、試料条件、所望の感度回復能力、回復動作を行う間隔などに応じて適宜設定し得るものであるが、本発明者の検討によれば、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性の電圧100mV〜1500mVを作用極5に対して印加することで感度を回復させることができる。より詳しくは、作用極5に対して、被検ガスの電解電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100mV〜500mV大きい電圧を印加することで好結果が得られる。 そして、本発明の好ましい一実施例においては、定期的に被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を作用極5に印加して、作用極5の活性を回復させる。例えば、センサ1を使用して一定時間が経過する毎などの所定のタイミングで、一定時間、作用極5に与える電位を、測定時の第1の電位(設定電解電位)から、被検ガスと同じ極性の電流(順方向電流)を生じる第2の電圧に変更する(回復動作)。その後、作用極5に与える電位を再び測定時の第1の電位に戻し、電解電流の測定を行う。 この場合、回復動作時に作用極5に与える第2の電位は、酸化電流を測定するセンサ1では測定時の第1の電位(設定電解電位)よりも正側に大きい(好ましくは、正側に100mV〜500mV大きい)電位、還元電流を測定するセンサ1では測定時の第1の電位(設定電解電位)よりも負側に大きい(好ましくは、負側に100mV〜500mV大きい)電位である。又、この回復動作時に作用極5に与える第2の電位は、典型的には、酸化電流を測定するセンサ1では、同一センサを用いた場合の干渉ガスの酸化還元平衡電位よりも正側に大きい(好ましくは、正側に100mV〜500mV大きい)電位、還元電流を測定するセンサ1では、同一センサを用いた場合の干渉ガスの酸化還元平衡電位よりも負側に大きい(好ましくは、負側に100mV〜500mV大きい)電位とする。 回復動作は、センサ1が測定系、即ち、試料ガス中にある状態で行ってもよいし、実質的に被検ガス、干渉ガスを含まない空気中で行ってもよい。好ましくは、作用極5に与える電位を測定時の第1の電位から極短い時間にパルス的に第2の電位とすることで連続測定を中断することなくセンサ1の感度を回復させることができるので、回復動作は試料ガス中で行う。 回復動作時に作用極5に印加する電圧が上述の範囲よりも小さいと、感度の回復効果が得られないか、その効果を得るために相当頻繁に、比較的長時間回復動作を行う必要が生じるため好ましくない。一方、上述の範囲を超えると、水の電気分解や水素の発生などの問題が発生する場合がある。 又、回復動作時に作用極5に与える第2の電位は、被検ガスに対し限界電流を生じさせる範囲を超えるものであってもよく、回復動作時に流れる電流値は、被検ガスの測定値に反映させないようにすれば問題ない。 一具体例として、表1に示すような設定電解電位において、回復動作時に作用極5に印加する電圧は、 SO2センサ:+100〜+500mV NOセンサ:+400〜+500mV NO2センサ:−100〜−500mV COセンサ:+100〜+500mVに設定することで好結果が得られる。 上述のように、好ましくは、測定時の第1の電位(設定電解電位)に対して、パルス的に作用極5に第2の電位を与えることで、被検ガスに対する感度の低下を回復させる。これにより、感度低下の初段階で回復処置を行うことができ、感度低下を防止して、感度低下に起因した測定誤差を無くすことができる。 より具体的には、測定状態のセンサ1に対して、1分〜1日毎に0.1秒〜10分、通常、1分〜1時間毎に0.1秒〜1分、好ましくは0.1秒〜10秒といった単位の極短時間、上述のような第2の電位を作用極5に与えることで好結果が得られる。このように短時間であれば、実質的に連続測定を中断することなく、センサ1の感度低下を防止しつつ問題なく使用できる。但し、所望の感度回復効果が得られるように、回復動作を実施する間隔、回復動作時に作用極5に第2の電位を与える時間は適宜選定することができる。 上述より理解されるように、連続測定中に感度低下を防止するように回復動作を行うことで、基本的には定期的な校正操作は必要ないが、勿論、上述のような回復動作は、予め調べておくか、感度確認のための校正手順においてセンサ1の感度が低下していることが判明した際などに、任意タイミングで実施してもよい。 より具体的には、1時間〜30日毎、通常、10時間〜5日毎に、1分〜30分間、上述のような回復動作時の電圧を作用極5に印加することで、極めて迅速、且つ、簡便に、センサ1の感度を回復させることができる。 本実施例によれば、演算表示部2の電気回路部に定電位電解式ガスセンサの感度回復動作のための回路を組み込み、測定値計算等を行う演算制御部(CPU)がコンピュータプログラムによって任意に感度回復動作を行わせることができる。或いは、演算表示部2が備える入力手段から任意のタイミングで操作者が回復動作を実行させてもよい。 以下、本実施例に係る幾つかの試験例を参照して、本発明の効果を更に説明する。特に言及しない場合、下記の各試験例における器具、操作は斯界にて周知の一般的なものである。 (試験例1) SO2センサを用い、ガス成分としてSO2がほとんど無く、NOxが100ppmほどに管理された煙道ガス(SO2ガスが1ppm以下、NOガスが100ppm、NO2ガスが3ppmの環境)を連続測定すると、図3に示すように、感度が経時的に低下し(1週間で10%程度の感度低下)、1500時間で初期の感度の22%になった。SO2センサが常に還元電流が流れた状態になったためであると考えられる。図3中の縦軸は相対感度(対初期感度比)(%)を示し、横軸は経過時間を示す。 これを干渉ガス(NOx)のない空気中で20時間程度エージングしても初期の感度に対して50%程度の回復であった。 一方、このSO2センサに対して、1500時間経過した時点(図3中Tr)で、作用極がアノードとして作用するように、空気中で作用極に+500mVの電圧を30分間印加した。その後に再び測定すると、ほぼ初期の感度(相対感度99%)に戻った。 電圧を印加することで感度が回復することが分かる。このセンサを更に連続測定に使用すると、図3に示すように、再び経時的な感度低下を示した。 上記の結果より、使用したSO2センサの感度は、20時間で1%低下することが分かる。そこで、このSO2センサについて、一日に1回(図4中Tr)、それほど感度が低下していない状態で、試料ガス中で+500mVの電圧を1分間、作用極に印加した。これにより、図4に示すように、1週間使用しても経時的な感度低下は無かった。図4中縦軸は相対感度(対初期感度比)(%)を示し、横軸は経過時間を示す。 このように、センサの感度低下の程度に鑑みて、回復動作を行う間隔、回復動作時に作用極に電圧を印加する時間を適宜設定し得る。好ましくは、初期の感度に対して感度低下が5%以内、より好ましくは1%以内である時点で、実質的に初期の感度に回復する程度の時間だけ作用極に回復動作時の電圧を印加する。 (試験例2) 図5は、SO2センサの40日の連続使用テスト(フィールドテスト)後の、経過時間に対する相対感度(対初期(テスト前)感度比)(%)を示す。連続使用テストにて約20%まで低下した感度は、空気中でエージング(通電状態)しても徐々に回復する傾向はあるが、19日経過した時点で約50%程度までしか回復しなかった。 これに対して、図5に示すように、19日目(図5中Tr)に、作用極に最初に300mVの電圧を、30分間印加することで感度は70%に回復した。次に、作用極に500mVの電圧を、30分間印加することで感度は97%まで回復した。 尚、同様に、NOセンサ、NO2センサ、COセンサについても、被検ガスがほとんど無く、干渉ガスを多量に含む環境下で連続測定して、それぞれ初期の感度に対して10%、20%、10%に低下した感度が、作用極にそれぞれ+500mV、30分間;−200mV、30分間;+500mV、30分間印加することで、ほぼ初期の感度に回復した。又、NOセンサ、NO2センサ、COセンサについて、作用極にそれぞれ10時間毎に1回、+500mV、1分間;1時間毎に1回、−200mV、10秒間;10時間毎に1回、+500mV、1分間印加することで、連続において経時的な感度低下を防止することができた。 以上、本実施例によれば、被検ガスに対するセンサ1の感度低下を防止することができ、又、センサ1の感度が低下してしまった場合にも極めて簡便、且つ、迅速に回復させることができる。これにより、センサ1の交換周期、校正周期を著しく延長することができる。 実施例2 実施例1にて説明したように、本発明に従えば、基本的にセンサ1はその感度低下が防止されて、連続的に使用することができる。しかし、例えば、定期的にあるセンサ1の感度をより完全に初期の感度に回復させるなどの目的で、比較的長時間回復動作を実施することが考えられる。 このため、定電位電解式ガス測定装置100は、センサ1を複数有し、一部のセンサ1で測定を行うと共に、他の一部のセンサ1に対して回復動作を行うように構成することもできる。この場合、定電位電解式ガス測定装置100は、例えば、複数のセンサ1を統括制御して、測定結果を演算処理し、表示等させる制御部を有し、この制御部の演算制御手段(CPU)が予め設定されたコンピュータプログラムに従って、測定に使用するセンサ1と回復動作を行うセンサ1とを選択し、これら動作を行わせるようにすることができる。或いは、入力手段を介して操作者が任意に測定に使用するセンサ1、回復動作を実行するセンサ1を選択するようにしてもよい。 定電位電解式ガス測定装置100が備える複数のセンサ1は、例えば、上記特許文献1に記載されるような排ガス連続分析装置において、定電位電解式ガス測定装置100に排ガスを供給する同一の被検ガス供給管路に複数設置し、一部のセンサ1で測定を行い、他の一部のセンサ1は回復動作を行うことができる。或いは、複数のセンサ1に対して分岐した被検ガス供給管路を設け、弁により排ガスの流路を切り替え可能として、排ガス連続分析装置の制御手段により選択され、排ガスが供給供給される一部の被検ガス供給回路に設けられたセンサ1で測定を行い、一方、排ガスが供給されない被検ガス供給管路に設置されたセンサ1では回復動作を行うようにすることもできる。 以上、本実施例のように、定電位電解式ガス測定装置100が複数のセンサ1を有し、この複数のセンサ1に対して測定動作と、回復動作とのいずれかを選択的に行うことで、例えば、定期的に、一部のセンサ1の感度をより完全に回復させることできるなど利便性がある。 実施例3 次に、本発明の他の実施態様について説明する。本実施例では、干渉ガスに対して、被検ガスと同方向の最小の電流を生じさせる電圧であって、且つ、被検ガスに対して限界電流が得られる電圧を作用極5に印加することで、作用極5の活性の劣化を防ぐ。 つまり、干渉ガスに対して被検ガスと同じ酸化電流或いは還元電流を生じさせるが、極力小さい値になる電圧であって、しかも被検ガスに対しても限界電流が得られる電圧を選択して作用極5に印加することで、センサ1の感度が低下することなく被検ガスを連続して測定することができる。 例えば、SO2センサを例に更に説明すると、NOxの成分はNOとNO2から成っていて、これらがSO2ガスよりも多量に存在するとSO2センサは還元電流を生じてしまう。これはSO2センサの設定電解電位が0mVであるからである。つまり、図6に模式的に示すように、SO2センサを使いSO2、NO、NO2それぞれのポーラログラムを見ると、SO2ガスに対して−100mV〜+200mVに限界電流を示すプラトー領域が存在するが、NO、NO2ガスに対しては+120mV付近に酸化還元平衡電位(Eeq)が存在した。そのため、設定電解電位0mVではNO、NO2の影響で還元電流となる。 これに対して、電極保護電位として、酸化還元平衡電位よりもプラス側で酸化電流が極力小さくなる+125mVを印加すると、NO、NO2ガスに対しても僅かに酸化電流を生じるようになった。又、SO2ガスに対しては限界電流が得られる領域であり、SO2センサとして問題なく、感度劣化のない測定を行うことができた。これにより、SO2の酸化電流の測定に対する干渉ガスの酸化電流の影響を極力少なくすると共に、SO2に対するセンサ1の感度低下を防止することができる。これは、前述のように、活性サイトを消失させていた還元ガスなどの吸着物が除去されたためであると考えられる。 本実施例にて測定時に作用極5に与える感度劣化防止電位は、被検ガスに対して限界電流が得られる範囲の電圧で、被検ガスたる被検ガスと同方向の電流を生じさせる電圧であれば、干渉ガスによる電流が極力小さくなるように適宜設定することができるが、本発明者の検討によれば、同一センサを用いた場合の干渉ガスの酸化還元平衡電位から被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100〜150mVの範囲であることで好結果が得られる。これより小さいと、試料ガス中の被検ガスの濃度によらずに、干渉ガスに対して安定して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせることが難しくなる。一方、上記より大きい場合には、干渉ガスにより流れる電流が被検ガスの電解電流の測定値に大きく影響するようになり好ましくない。即ち、SO2センサの場合、電極保護電位は、好ましくは100〜150mVとする。 尚、この場合、干渉ガスによる電流値も測定値に換算されているが、これは要求測定精度によっては無視でき、或いは干渉成分を被検ガスとするセンサで感知し、影響分を補正することで目的ガス濃度を測定することができる。例えば、SO2ガスの測定の場合、干渉ガス、ここではNO、NO2ガスによる酸化電流値も、SO2量として若干測定値に換算されるが、要求測定精度によっては、これは無視できる。或いは、例えば、干渉ガスを被検ガスとするセンサ1、ここではNOセンサやNO2センサを併用して、NO濃度、NO2濃度を検出し、SO2濃度測定値に対するその影響分を補正することでSO2濃度を正確に測定することができる。 (試験例3) SO2センサ、NOセンサ、NO2センサ、COセンサについて、それぞれ干渉ガスを多量に含む試料ガスについて、上記電極保護電位を作用極に与えた状態で連続測定を実施したが、飛躍的に感度低下を防止することができ、センサ1の交換周期、構成周期を著しく延長することができた。 以上、本実施例によれば、被検ガスに対するセンサ1の感度低下を防止することができ、センサ1の交換周期、校正周期を著しく延長することができる。 実施例4 次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例では、作用極5と対極7との間に流れる電流の極性を検知して、電流が被検ガスによる電解電流(酸化或いは還元電流)と同方向の場合(順方向電流)は通常の電流測定を行い、被検ガスによる電解電流(酸化或いは還元電流)とは逆方向の場合(逆方向電流)は高抵抗で電流がほとんど流れないように切り替える機構を持った回路を備えることで、作用極5の活性の劣化を防ぐ。 本実施例の定電位電解式ガス測定装置100は、センサ1の作用極5と対極7との間に流れる極性を検知し、順方向電流の場合は通常のラインで変換器に電流が流れるが、逆方向電流の場合は高抵抗ラインに切り替わりほとんど電流が流れないような回路(保護回路)をセンサ1と変換器20との間に設ける。これにより、センサ1の感度を低下させることなく測定することができる。 図2は、本実施例の定電位電解式ガス測定装置100が備える保護回路200の概略回路ブロックを示す。図2を参照して、本実施例では、保護回路200は、作用極5と変換器20との間に、作用極5を変換器20に接続する接続部材として、第1の接続部材たる低抵抗リード線31と、第2の接続部材たる高抵抗リード線32を有する。これら低抵抗リード線31と高抵抗リード線32は、切り替え部材たるリードリレースイッチ41で選択的に変換器20に接続される。高抵抗リード線32は、低抵抗リード線31と比較して電気的に高抵抗である。 一方、対極7と変換器20との間には、電流極性判定手段50と、リードリレー駆動手段としてリードリレー駆動回路42とを設ける。電流極性判定手段50は、対極7と変換器20との間に介装される抵抗(R2)52と、抵抗52の両端に接続された極性反転回路51とを有する。極性反転回路51は、作用極5と対極7との間に流れる電流の極性を判定して、切り替え制御手段としてのリードリレー駆動回路42を介してリードリレースイッチ42をON或いはOFFする。これにより、順方向電流を流したり、逆方向電流を流さないようにする。 保護回路200の動作を更に説明する。順方向電流をI2、逆方向電流をI1とすると、逆方向電流I1が流れている時は、リードリレースイッチ41の接点41aは、図中実線側、即ち、高抵抗リード線端子32aと接続され、抵抗R1を通して逆方向電流I1が流れる。ここで、抵抗R1は、好ましくは、1MΩ〜10MΩと高抵抗に設定することで、電流I1を非常に小さくすることができる。 一方、順方向電流I2が流れている時は、リードリレースイッチ41の接点41aは、図中点線側、即ち、低抵抗リード線端子31aと接続される。低抵抗リード線31は実質的に抵抗が入らないので、通常の電流が流れる。リードリレースイッチ41は、抵抗(R2)の両端に電位を極性反転回路51で検知して、リードリレー駆動回路42を介して駆動する。つまり、極性反転回路51は、抵抗(R2)52に流れる電流の向き(I1、I2)によりリードリレーをON又はOFFとする。 保護回路200を付加することにより、逆方向電流I1が流れている時は、その電流I1が非常に小さいため、センサ1の感度低下を防止することができる。これは、一つには前述のような活性サイトを消失が起こらないためであると考えられる。 ここで、本実施例の保護回路200の特徴は、逆方向電流I1に対して開回路ではなく、高抵抗の閉回路にして電流がほとんど流れないようにすることで、作用極5の界面電荷状態を維持することにある。 作用極5の界面は、電圧に対応した電荷分布状態にある。そして、これを中和するように電解液4中の極性成分が配向して電気二重層を形成している。そして、この電気二重層は、印加電圧が変わると電荷分離状態が変化し、それに対応した容量を形成する過程で電流を生じる。これを容量電流と言い、電気二重層容量が安定するまで流れる。このようなことから、逆方向電流に対して開回路にして逆方向電流が流れるのを防止しようとすると、再び順方向電流を測定するときに容量電流が安定するまでに時間がかかるため、しばらく指示値を読み取ることができなくなる。 これに対して、本実施例の保護回路200では、作用極5と対極7との間は閉回路のままであるため、電気二重層容量は維持されており、回路を切り替えてもすぐに指示値を読み取ることができる。 (試験例4) SO2センサと変換器20との間に上記構成の保護回路(基板)200を組み込んだ基板を取り付けた。低抵抗リード線31の抵抗が10Ωであるのに対して、高抵抗リード線32の抵抗は、1MΩとした。センサ1からの信号は、この保護回路200を通じて変換器20に取り込んだ。 ガス成分としてSO2はほとんどなく、NOxが100ppmほどに管理された煙道ガス(SO2ガスが1ppm以下、NOガスが100ppm、NO2ガスが3ppmの環境)を1週間連続測定したが、電流値はゼロであり、還元電流は流れていなかった。その後、SO2標準ガス(500ppm)を測定すると、直ぐに指示値を読み取ることができ、又指示値は498ppmと正常な感度を維持していた。 尚、NOセンサ、NO2センサ、COセンサについても同様の保護回路200を組み込んだもので試験したが、いずれも飛躍的に感度の低下を防止し得ることが確認された。 以上、本実施例によれば、被検ガスに対するセンサ1の感度低下を防止することができ、センサ1の交換周期、校正周期を著しく延長することができる。 実施例5 次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例では、乾燥状態で保存したことにより感度が劣化したセンサ1において、作用極5に対して、被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を印加することで、作用極5の活性を回復させる。 本発明者の鋭意検討により、特に、SO2センサは、乾燥保存すると、感度が径時的に低下することが分かった。 そこで、実施例1と同様に、感度が低下したセンサ1の作用極5に、被検ガス、ここではSO2と同方向の電流を生じる電圧を印加すると、驚くべきことに、感度はほぼ初期の感度まで回復した。 この回復動作時に印加する電圧は、実施例1にて示したものと同様でよく、感度が回復程度に応じて適宜の時間印加すればよい。 (試験例5) 図7は、SO2センサをデシケータ内で保存した際の、初期の感度に対する相対感度(%)と、経過日数の関係を示す。図7から分かるように、SO2センサでは、乾燥保存すると、径時的に感度が低下する。 このセンサに対して、15日目(図7中Tr)に、作用極5に+500mVの電圧を、30分間印加することで、初期の感度に対してほぼ完全に(96%)回復した。 以上、本発明に従うことにより、保存状態によって低下したセンサ1の感度を、迅速、且つ、簡便に回復させることのできた。本発明を適用し得る定電位電解式ガス測定装置の概略構成図である。本発明の一実施例において定電位電解式ガス測定装置に組み込まれる保護回路を説明するための概略回路ブロック図である。本発明によるセンサの感度回復効果を示すグラフ図である。本発明によるセンサの感度低下防止効果を示すグラフ図である。本発明によるセンサの感度回復効果を示すグラフ図である。本発明の一実施例におけるセンサの感度低下防止方法の原理説明図である。本発明によるセンサの感度回復効果を示すグラフ図である。符号の説明 1 センサ 2 演算表示部 3 ガス透過性隔膜 4 電解液 5 作用極 6 参照極 7 対極 20 変換器 31 低抵抗リード線(第1の接続部材) 32 高抵抗リード線(第2の接続部材) 41 リードリレースイッチ(切り替え部材) 42 リードリレー切り替え回路(切り替え制御手段) 50 電流極性判定手段 51 極性反転回路 作用極及び対極を具備する定電位電解式ガスセンサを有し、前記作用極を所定の第1の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定する定電位電解式ガス測定装置において、 前記作用極に対して、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる、前記第1の電位とは異なる第2の電位を与える感度回復動作を行うことを特徴とする定電位電解式ガス測定装置。 前記第2の電位は、所定の時間間隔にて、パルス的に与えることを特徴とする請求項1の定電位電解式ガス測定装置。 前記第2の電位は、1時間〜30日毎に、1分〜30分間与えることを特徴とする請求項1又は2の定電位電解式ガス測定装置。 前記第2の電位は、1分〜1時間毎に、0.1秒〜1分間与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の定電位電解式ガス測定装置。 前記第2の電位は、前記第1の電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100mV〜500mV大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の定電位電解式ガス測定装置。 前記センサを複数有し、一部のセンサにより測定動作を行う一方、他の一部のセンサにおいて前記回復動作を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の定電位電解式ガス測定装置。 作用極及び対極を具備する定電位電解式ガスセンサを有し、前記作用極を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定する定電位電解式ガス測定装置において、 少なくとも被検ガスと干渉ガスとを含む試料ガスの測定時に、干渉ガスに対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる電位であって、且つ、被検ガスに対して限界電流が得られる所定の電位を前記作用極に与えて測定動作を行うことを特徴とする定電位電解式ガス測定装置。 前記所定の電位は、試料ガス中の被検ガスの濃度によらずに、干渉ガスに対して安定して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる範囲で該電流が最小となるように設定されることを特徴とする請求項7の定電位電解式ガス測定装置。 前記所定の電位は、前記センサを用いて求められる干渉ガスの酸化還元平衡電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100mV〜150mV大きいことを特徴とする請求項7又は8の定電位電解式ガス測定装置。 作用極及び対極を具備する定電位電解式ガスセンサと、前記作用極を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定する変換器と、を有する定電位電解式ガス測定装置において、 前記作用極と接続された第1及び第2の接続部材を具備した接続部材であって、前記第1の接続部材よりも前記第2の接続部材が電気的に高抵抗である接続部材と、 前記第1、第2の接続部材を選択的に前記変換器に接続するための切り替え部材と、 前記変換器を介して前記作用極と前記対極との間に流れる電流の極性を判定する極性判定手段と、 前記極性判定手段により判定した電流の極性に応じて前記切り替え部材を駆動して前記第1、第2の接続部材を選択的に前記変換器に接続させる切り替え制御手段と、を備えた保護回路を前記センサと前記変換器との間に有することを特徴とする定電位電解式ガス測定装置。 前記作用極と前記対極との間に被検ガスの電解電流と同方向の電流が流れている場合には、前記第1の接続部材が前記変換器に接続され、被検ガスの電解電流と逆方向の電流が流れている場合には、前記第2の接続部材が前記変換器に接続されることを特徴とする請求項10の定電位電解式ガス測定装置。 前記第2の接続部材が前記変換器に接続された状態で、前記作用極には実質的に電流が流れないことを特徴とする請求項10又は11の定電位電解式ガス測定装置。 前記第2の接続部材の電気抵抗は、1MΩ〜10MΩであることを特徴とする請求項10、11又は12の定電位電解式ガス測定装置。 前記センサは、二酸化硫黄ガスセンサ、一酸化窒素ガスセンサ、二酸化窒素ガスセンサ又一酸化炭素ガスセンサであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載の定電位電解式ガス測定装置。 作用極及び対極を具備し、前記作用極を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定するための定電位電解式ガスセンサの感度回復方法であって、前記作用極に対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる電圧を印加することを特徴とする定電位電解式ガスセンサの感度回復方法。 前記作用極に対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性の電圧100mV〜1500mVを印加することを特徴とする請求項15の定電位電解式ガスセンサの感度回復方法。 前記作用極に対して、被検ガスの電解電位よりも、被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる極性側に100mV〜500mV大きい電圧を印加することを特徴とする請求項15又は16の定電位電解式ガスセンサの感度回復方法。 前記定電位電解式ガスセンサは、二酸化硫黄ガスセンサ、一酸化窒素ガスセンサ、二酸化窒素ガスセンサ又は一酸化炭素ガスセンサであることを特徴とする請求項15、16又は17の定電位電解式ガスセンサの感度回復方法。 【課題】定電位電解式ガスセンサの被検ガスに対する感度低下を防止し、又、測定によって或いは保存状態によって低下した定電位電解式ガスセンサの感度を、迅速、且つ、簡便に回復させることのできる定電位電解式ガス測定装置を提供する。【解決手段】作用極5及び対極7を具備し、作用極5を所定の電位に制御すると共に、被検ガスの電解電流を検知して被検ガスを測定するための定電位電解式ガスセンサ1の感度を、作用極5に対して被検ガスの電解電流と同方向の電流を生じさせる電圧を印加して回復させる構成とする。【選択図】図3