生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料の製造方法
出願番号:2003365258
年次:2005
IPC分類:7,C11B9/02,A23L1/22,A23L1/221,C11B9/00,C12G3/00,C12G3/06,C12G3/12


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洞口 健一 小路 博志 JP 2005126616 公開特許公報(A) 20050519 2003365258 20031024 香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料の製造方法 アサヒビール株式会社 000000055 友松 英爾 100094466 岡本 利郎 100116481 洞口 健一 小路 博志 7C11B9/02A23L1/22A23L1/221C11B9/00C12G3/00C12G3/06C12G3/12 JPC11B9/02A23L1/22 CA23L1/221 CC11B9/00 ZC12G3/00C12G3/06C12G3/12 6 OL 17 4B015 4B047 4H059 4B015AG09 4B015LG02 4B015LG03 4B015LH01 4B015MA01 4B015NB02 4B015NG09 4B047LB03 4B047LF07 4B047LG37 4B047LG56 4B047LP01 4B047LP19 4H059BA12 4H059BC23 4H059CA12 4H059DA09 本発明は、ハーブ類と麹を混合することによって、麹が生産する多種類の酵素群を有効に利用し、単独の酵素では不可能な複雑な反応を行わせ、回収が極めて困難とされているテルペン類を、香りを有する遊離型に変換することにより、効率よく香気成分を回収する方法およびその香気成分を含有するアルコール飲料、とくに蒸留酒を製造する方法に関する。 植物から抽出された植物精油(エッセンシャルオイル)は、特有の香味を含んでいることが多く、この香味は多くのテルペン類に由来している。植物精油の研究は、テルペン化学に結びついており、香料はまたそのテルペン化学に基礎を置くものである。非特許文献1に記載されているように、植物精油の抽出方法には、蒸留法(水蒸気蒸留法)、圧搾法、冷浸法、溶媒法などがある。蒸留法はもっとも一般的な方法で、ラベンダーのような熱による影響の少ない花やほとんどの葉、種子、木部から香気成分を回収するのに使われる。圧搾法は、圧搾により精油をしぼり出す方法であり、冷浸法は、香りを吸収させるために油脂を使う方法で、ジャスミンなどの繊細な花の香り成分の抽出に適している。また溶媒法はアルコールなどの溶媒により抽出する方法である。このようないろいろの方法により抽出した植物精油は、飲食品の香料、アロマセラピーあるいは各種芳香剤などとして広く用いられている。 また、香料を別途添加するのではなく、天然のハーブ類にアルコールを加えて直接香気成分を抽出するか、あるいは抽出と同時にアルコール発酵をおこなうことにより得られる酒類の代表的なものとしては、ジンが挙げられる。ジンの製法としては浸漬法と発酵法がある。浸漬法は、穀類を原料として製造したニュートラルアルコールに種々のハーブを浸漬した後、蒸留する方法であり、発酵法は、ハーブの1種であるジュニパーベリー(杜松の球果)に含まれる糖分を発酵した後、蒸留する方法である。これらの方法で得られたジンの官能的特徴をみると、浸漬法で得られたジンは、ハーブ特有の香気が強く、すっきりした味わいをもつのに対して、発酵法で得られたジンは、ハーブの香気は比較的弱いが、発酵副産物に基因する独特の味わいをもつ。ジンの成分中には、松の香りをもつα−ピネンや柑橘類の香りをもつリモネン、α−テルピネンなどのテルペン類が含まれており、これらはいずれも原料として用いるハーブ由来のものである。 しかしながら、ハーブ類をはじめとする植物体中では、香気成分の主成分であるテルペン類は配糖体などのように何らかの物質と結合した状態で存在していることが多く、このような状態では香りを有しないし、揮発性も低いため、前記蒸留法(水蒸気蒸留法)、圧搾法、冷浸法、溶媒法などでは植物体中に含まれる潜在的な香気成分を充分回収できないという問題点があつた。 同様にアルコール飲料、たとえばジンの製造においても、前記浸漬法や発酵法などの方法では、ハーブ中に本来含まれている香気成分のうちの極く1部しか回収できず、多くの潜在的な香気成分が蒸留残渣中に未回収のまま残存しているのが実状である。 ところが、植物とくにハーブ自体の出す香り成分のうち、前述の抽出方法では、アルコール飲料に加えると好ましいと思われる香り成分を満足に抽出できないという不満が従来から根強く存在していた。1995年10月1日、日本ヴォーグ社発行、Lesley Bremness著、高橋良孝日本語監修「ハーブの写真図鑑」 本発明の目的は、従来の回収方法では回収が困難であったハーブ類中のテルペン類から香気成分を効率よく抽出する手段として麹を用いた全く新しい香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料、とくに蒸留酒を製造する方法を提供する点にある。 本発明の第1は、ハーブ類と麹を水中で反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法に関する。 本発明の第2は、ハーブ類と麹を水中で反応させた後、これに有機溶剤を加えることにより抽出を行うことを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法に関する。 本発明の第3は、ハーブ類、麹および水を含む混合系に、アルコールを加えて反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法に関する。 本発明の第4は、ハーブ類、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行うことを特徴とするアルコール飲料の製造方法に関する。 本発明の第5は、ハーブ類、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行った後、蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法に関する。 本発明の第6は、ハーブ類と麹を水中で反応させた後、アルコールを加え、ついでこれを蒸留することを特徴をする蒸留酒の製造方法に関する。 ハーブとは、前記非特許文献にも記載されているように、バジルや薬用人参のような一年草または草質の植物だけではなく、巨大な針葉樹から微小な植物まで、植物界全体にまたがっている身近な顕花植物、蘚類、シダ類、針葉樹、藻類にもハーブはある。要は生活に役立つ香り成分を何らかの形で含有している植物である。そして、これらのハーブ類は、葉、果実、種子、花、茎、樹皮、根などの部位を単独で、または併用して使用することができる。 ハーブの代表的なものとしては、セリ科〔例えば、アニス、キャラウェイ、コリアンダー(コエンドロ、香菜)、チャーピル(セルフィーユ)、ディル(イノンド)、パセリ、フェンネル(ウイキョウ)、アンジェリカなど〕、キク科〔例えばカミルレ(カミツレ、カモミール)、タラゴン(エストラゴン)、ワームウッドなど〕、シソ科〔例えばオレガノ、セージ(サルビア)、タイム、バジル(バジリコ)、ベルガモット(例えばタイマツバナ)、マージョラム(マヨナラ)、ミント(はっか)、ラベンダー、レモンバーム(メリッサ)、ローズマリー(マンネンロウ)、シソ、ヒソップ、オレガノなど〕、アブラナ科〔例えばウォータクレス(クレソン)など〕、ムラサキ科〔例えばボリジ(ルリヂサ)など〕、クスノキ科〔ベイ(ゲッケイジュ、ローリエ)など〕、イネ科(例えばレモングラスなど)、スイカズラ科(例えばエルダーフラワーなど)、ヒノキ科(例えばジュニパーベリーなど)、ミカン科、クマツヅラ科(例えばレモンバーベナなど)、ショウガ科(例えばカルダモン、ジンジャーなど)、フトモモ科(例えばクローブ、ユーカリなど)、ニクズク科(例えばナツメグなど)、バラ科(例えばローズ、ローズヒップなど)、アヤメ科(例えばオリスなど)、マメ科(例えばリコリスなど)、アオイ科(例えばハイビスカスなど)、モクセイ科(例えばジャスミンなど)、フクロソウ科(例えばゼラニュウムなど)、クワ科(例えばホップなど)などがある。 本発明でいう麹とは、Aspergillus属に属する糸状菌(麹菌)を、米や麦などの穀類(糖源)に生育させたものであり、糸状菌を穀類(糖源)を培地として固体培養した培養物であって多種類の酵素が含まれている。前記糸状菌の具体例としては、黄麹菌(Aspergillus oryzae)、黒麹菌(Aspergillus awamori)、白麹菌(Aspergillus kawachii)などがある。前記穀類としては、米、麦、芋、小麦フスマ、きな粉などを挙げることができる。前記麹は、通常どおり製麹したものを用いてもよいし、乾燥麹として市販されているものを用いてもよい。麹のなかには、糖類および澱粉を含有しているので、請求項4および5においては、とくにアルコール発酵原料を加えなくても麹中の糖類および澱粉によりアルコール発酵が進行するが、麹のなかのアルコール発酵原料のみでは不足する場合には、別途アルコール発酵原料を追加してもよい、アルコール発酵原料としては公知の米、麦、ブドウなど任意のものを用いることができる。 本発明でいう酵母とは、飲食品製造に一般的に用いられている酵母なら何でも用いることができるが、清酒酵母、焼酎酵母、ワイン酵母などのSaccharomyces cerevisiaeに属する酵母が好ましい。これらの酵母は、YPD培地などで前培養したものでもよいし、乾燥酵母であってもよい。 ハーブ類の香気成分はテルペン類が主体である。テルペン類はワインや芋焼酎の特徴香としても知られている。ワインや芋焼酎の場合、原料中で香りのない配糖体の形で存在しているテルペン類が、酵母や麹の生産するβ−グルコシダーゼの働きを受けて香りをもつ遊離型に変換されることによって特徴香が形成されるものと考えられる。 しかしながら、β−グルコシダーゼのみをハーブ類と混合しても、回収できる香気成分の量はほとんど増加しない。これはハーブ中でのテルペン類は、単にグルコースとβ−1,6結合しているだけではなく、より複雑な物質(例えばキシランなどの多糖類)と結合した状態で存在しているため、β−グルコシダーゼの酵素活性のみでは香りを有する遊離型にほとんど分解できないことによるものと推定される。 ハーブ類をβ−グルコシダーゼを醪(もろみ)に添加して発酵させると前述のとおりテルペン類のほんの一部しか香りをもつ遊離型に変換しないが、β−グルコシダーゼによる反応はハーブ中のそれ自体が香りを発するモノテルペン類は分解せず、下記の化1に示す香りのない配糖体型モノテルペンが分解され、香りのあるモノテルペン類(遊離型)に変換するものと推定される。 本発明では、麹を使用することでハーブ由来の香気成分を画期的に増強することができた。これは麹が非常に多種多様な酵素を生産し、これらの酵素が複合的に作用した結果、複雑な物質と結合しているテルペン類を効率よく香りをもつ遊離型に変換できたものと考えられる。 本発明に用いるハーブ類は、生の状態でも、乾燥状態でも用いることができる。また粉砕品などの加工品であってもよい。 本発明においては、ハーブ類と麹に水を混合したものに、酵母を加えて発酵を行う場合、酵母の添加量は1.0×105〜1.0×108cells/ml−モロミ(モロミ1ミリリットル当りの酵母数)とすることが好ましい。 発酵温度は常識的な範囲でよいが、好ましくは15〜30℃であり、発酵期間は、前記温度に保った状態で2〜7日間とするのが好ましい。 また、発酵終了後にモロミを蒸留する場合には、コゲ臭などのオフフレーバーを低減する目的で、モロミにアルコールを添加し、アルコール度数を上げてから蒸留してもよい。 本発明においては、ハーブ類と麹に水を混合したものにさらにアルコールを添加することができる。この場合のアルコール添加時期は、反応の始めからでもよいし、蒸留直前であってもよい。また、反応の始めからアルコールを添加する場合、モロミのアルコール度数は、麹の酵素が失活しない範囲内(アルコール度数5〜20%)にする必要がある。この場合の反応温度は15〜30℃が好ましく、反応期間は、2〜7日間とするのが好ましい。 本発明における麹の使用量は、使用する水に対して通常60重量%以下とすることが好ましい。麹の使用量の下限は、麹の使用目的を達成できるぎりぎりの濃度ということになるが、反応時間を考慮すれば通常2重量%程度である。 本発明において、蒸留酒を製造する場合は、2次仕込みのあとに蒸留工程を設ける必要性があるが、ハーブ類の香り成分を採取することを目的とする場合には、必ずしも蒸留工程は必要としない。すなわち、ハーブ類の香り成分を採取する方法の場合には、1次仕込み工程につづく2次仕込みは、1次仕込み工程において生成しているテルペン類の抽出工程になる。したがって、2次仕込み工程は、1次仕込み工程で得られた溶液に、あるいはその有機層に、テルペン類の抽出剤となる有機溶剤を加えて抽出する工程となる。 前記有機溶剤としては、炭化水素(トルエン、ヘキサン、ベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素(クロロフォルム、ジクロルメタンなど)、ケトン(シクロヘキサノン、エチルメチルケトンなど)、アルコール(イソペンチルアルコール、ベンジルアルコールなど)、エーテル(エチルエーテルなど)、エステル(酢酸エチルなど)、その他(アリニン、ニトロメタンなど)を挙げることができる。これらの溶剤は、1種または2種以上を併せて用いることができる。得られた香気成分を飲食品や口に含むことのある製品に使用する場合には、体に害を及ぼさない溶剤を選択することが好ましい。 アルコール飲料とする場合は、アルコールは可飲性のもの、実質的にはエチルアルコールに限られるが、得られた香り成分が飲食品に用いない場合は、可飲性のものではない溶剤を使用することができる。 本発明でいうアルコール飲料とは、アルコールを含有するすべての飲料を意味する。本発明でいう蒸留酒とは、昭和49年1月5日、東京同文書院発行、桜井芳人編、総合食品事典(第三版)第435頁に記載されているような通常のものであって、その例としては、ウイスキー、アラック、ジン、ウオッカ、焼酎、ブランデーなどを挙げることができる。 本発明により、従来は回収が困難であったハーブ類中のテルペン配糖体などの潜在的な香気成分を豊かな香りを発生する成分に効率よく変換することができた。そのうえ本発明の方法は、ハーブ類という西洋風のイメージが強い材料を麹という極めて日本風のイメージが強い酵素を用いることにより、ハーブ類から効率よく香り成分を抽出したり、それを含有する蒸留酒を得ることができた。また、本発明によれば、高価な酵素剤を多種多量に用いることなく、麹と反応させるだけの非常に簡単な方法により香気成分の回収効率を大幅に向上することができた。 以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。実施例1 1次仕込みとして、ハーブ類としてはジンの最も適するといわれている市販のハーブであるジュニパーベリー2gと米麹(焼酎用乾燥米白麹MKS、徳島精工社製)20gよりなる系に蒸留水を加えて全量100mlとし、これにYPD液体培地を用いて前培養してあった酵母(焼酎用協会2号酵母、日本醸造協会製)を1.0×107cells/ml−モロミとなるように添加し、25℃に保って3日間保持し、アルコール度数約8%の1次モロミを得た。 つぎに、2次仕込みとして、前記1次モロミに原料用アルコール74mlを加え(全量174ml)、アルコール度数約45%の2次モロミを得た。 前記2次モロミを常圧蒸留してアルコール度数75%の蒸留酒を得た。 仕込み配合は、麹使用発酵区(実施例1)として下記表1にまとめて示し、実施例1の製造工程は図1に示した。比較例1 1次仕込みとして、ジュニパーベリー2gに原料用アルコール47mlと蒸留水53mlを加え、アルコール度数45%、全量100mlとなるように調整し、25℃で3日間保持し、さらに、2次仕込みとして原料用アルコール35mlと蒸留水39mlを加え、全量174ml、アルコール度数45%としたものを用意し、前記発酵区と同様に常圧蒸留を行い、アルコール度数75%、全量100mlの蒸留酒を得た。仕込み配合は、アルコール抽出区(比較例1)として下記表1にまとめて示し、比較例1の製造工程は図1に示した。 麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)で得られた蒸留酒は、下記によりGC/MS分析を行った。まず、前記蒸留酒各30mlをOASISカラム(Waters社製)を用いて固相抽出し、2mlのジクロロメタンにより溶出させた。無水硫酸ナトリウムにより脱水し、窒素ガスで約300μlに濃縮した。内部標準としてはデカノン酸メチルエステルを用いた。また、GC/MS分析条件は以下の通りである。 アジレント社製GC6890Nにアジレント社製質量検出器5973を連結したものを使用した。使用カラムはDB−Wax(アジレント社製)、カラム内径は0.25mm、カラム長は30m、膜厚は0.25μmを使用した。加温条件は40℃、1分間、3℃/min、230℃、10分間で行った。フロントインレットは230℃とした。1μlをスプリットレス注入した。 麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)のGC/MS分析結果を相対値で表したものを表2に示す。表2では、アルコール抽出区(比較例1)の各成分の含有量を1とし、麹使用発酵区(実施例1)の成分量をアルコール抽出区(比較例1)の成分量に対する相対値として示した。麹使用発酵区(実施例1)ではアルコール抽出区(比較例1)と比べて、α−テルピネン、テルピネン−4−オール、トランス−カリオフィレン、α−フムレンなどのテルペン類の含有量が顕著に多いことが分かる。この結果から、麹を使うことにより、アルコール抽出だけでは回収できないハーブ類の香気成分がいかに効率よく回収されているかが分かる。また麹使用発酵区(実施例1)ではアルコール抽出区(比較例1)と比べてサビネンやβ−ミルセンといった蒸留酒に含まれていると好ましくない、青臭い香気を有する成分が減少している。 実施例1および比較例1について、研究所パネリスト5名による官能検査を実施した。表3に示す官能評価の結果から、アルコール抽出区(比較例1)では市販のジンと似た単調でシャープな香味という評価だったが、麹使用発酵区(実施例1)では複雑で深み、味わいがあり、アルコール抽出区に比べ好ましいという評価が得られた。<香気成分の増強効果の要因> 実施例1において確認された麹使用発酵区(実施例1)の香気成分増強効果が、麹の使用による効果なのか、酵母の発酵による効果なのか、あるいはワインや芋焼酎のテルペン遊離と同じようにβ−グルコシダーゼが関与した効果なのかを確認するため、以下の実験を行った。 まず試験区として、麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)に加えて、麹を使用しない麹未使用発酵区(比較例2)と酵素剤添加発酵区(比較例3)を設けた。麹未使用発酵区(比較例2)と酵素剤添加発酵区(比較例3)では、麹の代わりに発酵の糖源として麦汁と液糖を混合したものを使用した。 すなわち、実験室にて、1次仕込みとして調整した麦汁(比重1.06)50mlに対し、同じ比重となるように蒸留水にて希釈した液糖(果糖ブドウ糖液糖、群栄化学社製)50mlを混ぜ、これにジュニパーベリー2gを添加し、麹使用発酵区(実施例1)と同様に酵母を加えて発酵を行い、アルコール度数約8%の1次モロミを得た。これに2次仕込みとして、麹使用発酵区(実施例1)と同量の原料用アルコールと水を加え、常圧蒸留を行い、得られた蒸留酒を麹未使用発酵区(比較例2)とした。さらに酵素剤(β−グルコシダーゼ)添加発酵区(比較例3)として、麹未使用発酵区の1次仕込みの際に、市販のβ−グルコシダーゼ製剤(シグマ社製)を、モロミに対し100ppmの濃度となるように添加したものを調整し、酵素剤添加発酵区(比較例3)とした。 前記4つの試験区の仕込み配合と製造工程を表4と図2にそれぞれ示す。 実施例1と同様の方法により、前記4つの試験区によって得られた蒸留酒についてGC/MS分析を行い、各試験区の間で変化の大きい成分について、内部標準法により含有量を比較した結果を表5に示す。表5ではアルコール抽出区の各成分の含有量を1とし、他の試験区の成分量をアルコール抽出区に対する相対値として示した。 表5より、麹未使用発酵区(比較例2)でもアルコール抽出区(比較例1)と比較した場合、香気成分増強効果が見られたが、麹使用発酵区(実施例1)と比べるとこの効果は少なく、麹を使用することの有用性が確認できる。また酵素剤添加発酵区(比較例3)でもアルコール抽出区(比較例1)と比較した場合、香気成分増強効果が見られるが、麹未使用発酵区(比較例2)と比べるとほとんど成分量に変化は見られないか、逆に減少していることから、β−グルコシダーゼ活性はハーブ類の香気成分増強に効果がないことが分かる。これはハーブ中ではテルペン類は単純なグルコースとβ−1,6結合した状態で存在するのではなく、より複雑な物質と結合した状態で存在することを示唆しており、こうした状態にあるテルペン類を遊離型に変換するためには、β−グルコシダーゼ以外にも他の酵素が必要であることを示唆している。すなわちハーブ由来の香気成分を増強するためには、多種多様な酵素を生産する麹が適していると言える。実施例2:発酵を行わずに、麹を酵素源として使用した場合の香気成分増強効果の確認 酵母を添加しアルコール発酵を行わなくとも、麹とハーブを混合することにより、ハーブ由来の香気成分の回収量が増加することを確認するため、以下の実験を行った。 1次仕込みとしてジュニパーベリー2gと麹20gよりなる系に、原料用アルコールと水を加え全量100ml、アルコール度数8%に調整し、25℃で3日間保持した。その後、2次仕込みとして、原料用アルコール74mlを加え、アルコール度数を45%とし(全量174ml)、これを常圧蒸留を行い、アルコール度数75%の蒸留酒を得た(全量100ml)。これを麹使用未発酵区(実施例2)とした。 また対照として、前記比較例1と同様に、ジュニパーベリー2gに原料用アルコールと水を加え、全量100ml、アルコール度数45%に調整し、25℃で3日間保持したものに、2次仕込みとして原料アルコールと水を加え、全量174ml、アルコール度数45%に調整したものを、麹使用未発酵区(実施例2)と同様に蒸留を行い、同量のアルコール度数75%の蒸留液を得た。これをアルコール抽出区(比較例1)とした。 前記麹使用未発酵区(実施例2)とアルコール抽出区(比較例1)の仕込み配合と製造工程を、表6と図3にそれぞれ示す。 実施例1と同様の方法により、前記麹使用未発酵区(実施例2)とアルコール抽出区(比較例1)によって得られた蒸留酒についてGC/MS分析を行い、各試験区の間で変化の大きい成分について、内部標準法により含有量を比較した結果を表7に示す。表7ではアルコール抽出区(比較例1)の各成分の含有量を1とし、麹使用未発酵区(実施例2)の成分量をアルコール抽出区(比較例1)に対する相対値として示した。 表7の結果から、麹使用未発酵区(実施例2)ではアルコール抽出区(比較例1)と比較すると、ハーブ由来の香気成分が増強することが分かる。このことから酵母を添加して発酵を行なわなくとも、麹とハーブを混合することで麹を酵素源として用い、香気成分の増強が可能となると言える。実施例3:麹添加量の影響 麹の添加量による、香気成分増強効果の差異を確認するため以下の実験を行なった。1次仕込みとして、ジュニパーベリー2gと麹10gよりなる系に、水100mlを混合し、さらに実施例1と同様に酵母を1.0×107cells/ml−モロミlとなるように添加し、25℃で6日間保持し、アルコール度数約4%の1次モロミ(全量108ml)を得た。 この1次モロミに、2次仕込みとして、原料用アルコールと水を加え、アルコール度数45%の2次モロミ(全量230ml)を調整した。この2次モロミを常圧蒸留を行い、アルコール度数75%の蒸留酒130mlを得、これを麹10%使用区とした。 麹10%使用区(実施例3−1)と同様の仕込み方法で、麹の使用量を20g、40g、60gとし、得られた蒸留酒をそれぞれ麹20%使用区(実施例3−2)、麹40%使用区(実施例3−3)、麹60%使用区(実施例3−4)とした。これらの仕込みにおいて、1次モロミのアルコール度数は、麹20%使用区では7.5%、麹40%使用区では11.5%、麹60%使用区では15%となった。2次仕込みでは原料用アルコールと水を用い、いずれの試験区においてもアルコール度数45%、全量230mlの2次モロミとなるように調整した。比較例4 さらに対照として、1次仕込みとして、ジュニパーベリー2gに原料用アルコール47mlと水53mlを混合し全量100ml、アルコール度数45%に調整し、25℃で6日間保持したものに、2次仕込みとして原料アルコール61mlと水69mlを加え、アルコール度数45%、全量230mlに調整し、麹10%使用区と同様に蒸留を行って得た蒸留酒を、アルコール抽出区(比較例4)とした。 これら5つの試験区の仕込み配合と製造工程を表8と図4に示す。 実施例1と同様の方法により、前記5つの試験区によって得られた蒸留酒についてGC/MS分析を行い、各試験区の間で変化の大きい成分について、内部標準法により含有量を比較した結果を表9に示す。表9ではアルコール抽出区の各成分の含有量を1とし、他の試験区の成分量をアルコール抽出区に対する相対値として示した。 表9より、アルコール抽出区と比較した場合、麹を使用したいずれの試験区においても、香気成分増強効果がある。ただしこの効果は麹の使用量が少ないほど大きく、麹の使用量が加える水に対して60重量%を超えると効果が得られない可能性がある。これは、麹の使用量が増えると、香気成分増強に効果のある酵素群の活性が過剰な糖分の存在により抑制されたか、あるいは発酵が過度に進むため、それに伴い遊離した香気成分が発酵中に炭酸ガスとともに揮散してしまうためと推察される。このことから麹の使用量は加える水に対し、60重量%以下であることが適していると言える。通常焼酎の仕込みの場合、麹の使用量は加える水に対し60重量%を超えており、このことから通常の焼酎の仕込み方法でハーブを加えた場合は、ハーブ由来の香気成分増強効果は小さいことが予想される。麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)の工程図を対比して示すものである。麹使用発酵区(実施例1)、アルコール抽出区(比較例1)、麹未使用発酵区(比較例2)、酵素剤使用発酵区(比較例3)の工程図を対比して示すものである。麹使用未発酵区(実施例3)とアルコール抽出区(比較例1)の工程図を対比して示すものである。麹10%使用区(実施例3−1)、20%使用区(実施例3−2)、40%使用区(実施例3−3)、60%使用区(実施例3−4)とアルコール抽出区(比較例4)の工程図を対比して示すものである。 ハーブ類と麹を水中で反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法。 ハーブ類と麹を水中で反応させた後、これに有機溶剤を加えることにより抽出を行うことを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法。 ハーブ類、麹および水を含む混合系に、アルコールを加えて反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法。 ハーブ類、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行うことを特徴とするアルコール飲料の製造方法。 ハーブ類、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行った後、蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。 ハーブ類と麹を水中で反応させた後、アルコールを加え、ついでこれを蒸留することを特徴をする蒸留酒の製造方法。 【課題】 従来の回収方法では回収が困難であったハーブ類中のテルペン類から香気成分を効率よく抽出する手段として麹を用いた全く新しい香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料、とくに蒸留酒を製造する方法の提供。【解決手段】 ハーブ類と麹を水中で反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法、および水を含む混合系に、アルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応をおこなうことを特徴とするアルコール飲料の製造方法、とくに蒸留酒の製造方法。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料の製造方法
出願番号:2003365258
年次:2010
IPC分類:C11B 9/02,A23L 1/22,A23L 1/221,C11B 9/00,C12G 3/00,C12G 3/06,C12G 3/12


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洞口 健一 小路 博志 JP 4507164 特許公報(B2) 20100514 2003365258 20031024 香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料の製造方法 アサヒビール株式会社 000000055 岡本 利郎 100116481 友松 英爾 100094466 洞口 健一 小路 博志 20100721 C11B 9/02 20060101AFI20100701BHJP A23L 1/22 20060101ALI20100701BHJP A23L 1/221 20060101ALI20100701BHJP C11B 9/00 20060101ALI20100701BHJP C12G 3/00 20060101ALI20100701BHJP C12G 3/06 20060101ALI20100701BHJP C12G 3/12 20060101ALI20100701BHJP JPC11B9/02A23L1/22 CA23L1/221 CC11B9/00 BC12G3/00C12G3/06C12G3/12 C11B 9/02 C11B 9/00 A23L 1/22 A23L 1/221 C12G 3/00 C12G 3/06 C12G 3/12 特開昭61−135579(JP,A) 特開昭60−156377(JP,A) 特開昭60−251880(JP,A) 特開昭63−177779(JP,A) 特開平06−090732(JP,A) 日本水産学会誌,1958, Vol.24, No.5, p.346-354 香りの百科,株式会社 朝倉書店,1989年 6月25日,第264,265頁、第328,329頁 Chemical Abstracts,1987, Vol.107, 36616x 6 2005126616 20050519 17 20060803 福永 千尋 本発明は、ハーブ類の1つであるジュニパーベリーと麹を混合することによって、麹が生産する多種類の酵素群を有効に利用し、単独の酵素では不可能な複雑な反応を行わせ、回収が極めて困難とされているテルペン類を、香りを有する遊離型に変換することにより、効率よく香気成分を回収する方法およびその香気成分を含有するアルコール飲料、とくに蒸留酒を製造する方法に関する。 植物から抽出された植物精油(エッセンシャルオイル)は、特有の香味を含んでいることが多く、この香味は多くのテルペン類に由来している。植物精油の研究は、テルペン化学に結びついており、香料はまたそのテルペン化学に基礎を置くものである。非特許文献1に記載されているように、植物精油の抽出方法には、蒸留法(水蒸気蒸留法)、圧搾法、冷浸法、溶媒法などがある。蒸留法はもっとも一般的な方法で、ラベンダーのような熱による影響の少ない花やほとんどの葉、種子、木部から香気成分を回収するのに使われる。圧搾法は、圧搾により精油をしぼり出す方法であり、冷浸法は、香りを吸収させるために油脂を使う方法で、ジャスミンなどの繊細な花の香り成分の抽出に適している。また溶媒法はアルコールなどの溶媒により抽出する方法である。このようないろいろの方法により抽出した植物精油は、飲食品の香料、アロマセラピーあるいは各種芳香剤などとして広く用いられている。 また、香料を別途添加するのではなく、天然のハーブ類にアルコールを加えて直接香気成分を抽出するか、あるいは抽出と同時にアルコール発酵をおこなうことにより得られる酒類の代表的なものとしては、ジンが挙げられる。ジンの製法としては浸漬法と発酵法がある。浸漬法は、穀類を原料として製造したニュートラルアルコールに種々のハーブを浸漬した後、蒸留する方法であり、発酵法は、ハーブの1種であるジュニパーベリー(杜松の球果)に含まれる糖分を発酵した後、蒸留する方法である。これらの方法で得られたジンの官能的特徴をみると、浸漬法で得られたジンは、ハーブ特有の香気が強く、すっきりした味わいをもつのに対して、発酵法で得られたジンは、ハーブの香気は比較的弱いが、発酵副産物に基因する独特の味わいをもつ。ジンの成分中には、松の香りをもつα−ピネンや柑橘類の香りをもつリモネン、α−テルピネンなどのテルペン類が含まれており、これらはいずれも原料として用いるハーブ由来のものである。 しかしながら、ハーブ類をはじめとする植物体中では、香気成分の主成分であるテルペン類は配糖体などのように何らかの物質と結合した状態で存在していることが多く、このような状態では香りを有しないし、揮発性も低いため、前記蒸留法(水蒸気蒸留法)、圧搾法、冷浸法、溶媒法などでは植物体中に含まれる潜在的な香気成分を充分回収できないという問題点があつた。 同様にアルコール飲料、たとえばジンの製造においても、前記浸漬法や発酵法などの方法では、ハーブ中に本来含まれている香気成分のうちの極く1部しか回収できず、多くの潜在的な香気成分が蒸留残渣中に未回収のまま残存しているのが実状である。 ところが、植物とくにハーブ自体の出す香り成分のうち、前述の抽出方法では、アルコール飲料に加えると好ましいと思われる香り成分を満足に抽出できないという不満が従来から根強く存在していた。1995年10月1日、日本ヴォーグ社発行、Lesley Bremness著、高橋良孝日本語監修「ハーブの写真図鑑」 本発明の目的は、従来の回収方法では回収が困難であったハーブ類とくにジュニパーベリー中のテルペン類から香気成分を効率よく抽出する手段として麹を用いた全く新しい香気成分の回収方法およびその香り成分を含有するアルコール飲料、とくに蒸留酒を製造する方法を提供する点にある。 本発明の第1は、ジュニパーベリーと麹を水中で反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法に関する。 本発明の第2は、ジュニパーベリーと麹を水中で反応させた後、これに有機溶剤を加えることにより抽出を行うことを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法に関する。 本発明の第3は、ジュニパーベリー、麹および水を含む混合系に、アルコールを加えて反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法に関する。 本発明の第4は、ジュニパーベリー、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行うことを特徴とするアルコール飲料の製造方法に関する。 本発明の第5は、ジュニパーベリー、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行った後、蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法に関する。 本発明の第6は、ジュニパーベリーと麹を水中で反応させた後、アルコールを加え、ついでこれを蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法に関する。 ハーブとは、前記非特許文献にも記載されているように、バジルや薬用人参のような一年草または草質の植物だけではなく、巨大な針葉樹から微小な植物まで、植物界全体にまたがっている身近な顕花植物、蘚類、シダ類、針葉樹、藻類にもハーブはある。要は生活に役立つ香り成分を何らかの形で含有している植物である。そして、これらのハーブ類は、葉、果実、種子、花、茎、樹皮、根などの部位を単独で、または併用して使用することができる。 ハーブの代表的なものとしては、セリ科〔例えば、アニス、キャラウェイ、コリアンダー(コエンドロ、香菜)、チャーピル(セルフィーユ)、ディル(イノンド)、パセリ、フェンネル(ウイキョウ)、アンジェリカなど〕、キク科〔例えばカミルレ(カミツレ、カモミール)、タラゴン(エストラゴン)、ワームウッドなど〕、シソ科〔例えばオレガノ、セージ(サルビア)、タイム、バジル(バジリコ)、ベルガモット(例えばタイマツバナ)、マージョラム(マヨナラ)、ミント(はっか)、ラベンダー、レモンバーム(メリッサ)、ローズマリー(マンネンロウ)、シソ、ヒソップ、オレガノなど〕、アブラナ科〔例えばウォータクレス(クレソン)など〕、ムラサキ科〔例えばボリジ(ルリヂサ)など〕、クスノキ科〔ベイ(ゲッケイジュ、ローリエ)など〕、イネ科(例えばレモングラスなど)、スイカズラ科(例えばエルダーフラワーなど)、ヒノキ科(例えばジュニパーベリーなど)、ミカン科、クマツヅラ科(例えばレモンバーベナなど)、ショウガ科(例えばカルダモン、ジンジャーなど)、フトモモ科(例えばクローブ、ユーカリなど)、ニクズク科(例えばナツメグなど)、バラ科(例えばローズ、ローズヒップなど)、アヤメ科(例えばオリスなど)、マメ科(例えばリコリスなど)、アオイ科(例えばハイビスカスなど)、モクセイ科(例えばジャスミンなど)、フクロソウ科(例えばゼラニュウムなど)、クワ科(例えばホップなど)などがある。 本発明でいう麹とは、Aspergillus属に属する糸状菌(麹菌)を、米や麦などの穀類(糖源)に生育させたものであり、糸状菌を穀類(糖源)を培地として固体培養した培養物であって多種類の酵素が含まれている。前記糸状菌の具体例としては、黄麹菌(Aspergillus oryzae)、黒麹菌(Aspergillus awamori)、白麹菌(Aspergillus kawachii)などがある。前記穀類としては、米、麦、芋、小麦フスマ、きな粉などを挙げることができる。前記麹は、通常どおり製麹したものを用いてもよいし、乾燥麹として市販されているものを用いてもよい。麹のなかには、糖類および澱粉を含有しているので、請求項4および5においては、とくにアルコール発酵原料を加えなくても麹中の糖類および澱粉によりアルコール発酵が進行するが、麹のなかのアルコール発酵原料のみでは不足する場合には、別途アルコール発酵原料を追加してもよい、アルコール発酵原料としては公知の米、麦、ブドウなど任意のものを用いることができる。 本発明でいう酵母とは、飲食品製造に一般的に用いられている酵母なら何でも用いることができるが、清酒酵母、焼酎酵母、ワイン酵母などのSaccharomyces cerevisiaeに属する酵母が好ましい。これらの酵母は、YPD培地などで前培養したものでもよいし、乾燥酵母であってもよい。 ハーブ類の香気成分はテルペン類が主体である。テルペン類はワインや芋焼酎の特徴香としても知られている。ワインや芋焼酎の場合、原料中で香りのない配糖体の形で存在しているテルペン類が、酵母や麹の生産するβ−グルコシダーゼの働きを受けて香りをもつ遊離型に変換されることによって特徴香が形成されるものと考えられる。 しかしながら、β−グルコシダーゼのみをハーブ類と混合しても、回収できる香気成分の量はほとんど増加しない。これはハーブ中でのテルペン類は、単にグルコースとβ−1,6結合しているだけではなく、より複雑な物質(例えばキシランなどの多糖類)と結合した状態で存在しているため、β−グルコシダーゼの酵素活性のみでは香りを有する遊離型にほとんど分解できないことによるものと推定される。 ハーブ類をβ−グルコシダーゼを醪(もろみ)に添加して発酵させると前述のとおりテルペン類のほんの一部しか香りをもつ遊離型に変換しないが、β−グルコシダーゼによる反応はハーブ中のそれ自体が香りを発するモノテルペン類は分解せず、下記の化1に示す香りのない配糖体型モノテルペンが分解され、香りのあるモノテルペン類(遊離型)に変換するものと推定される。 本発明では、麹を使用することでハーブ由来の香気成分を画期的に増強することができた。これは麹が非常に多種多様な酵素を生産し、これらの酵素が複合的に作用した結果、複雑な物質と結合しているテルペン類を効率よく香りをもつ遊離型に変換できたものと考えられる。 本発明に用いるハーブ類は、生の状態でも、乾燥状態でも用いることができる。また粉砕品などの加工品であってもよい。 本発明においては、ハーブ類と麹に水を混合したものに、酵母を加えて発酵を行う場合、酵母の添加量は1.0×105〜1.0×108cells/ml−モロミ(モロミ1ミリリットル当りの酵母数)とすることが好ましい。 発酵温度は常識的な範囲でよいが、好ましくは15〜30℃であり、発酵期間は、前記温度に保った状態で2〜7日間とするのが好ましい。 また、発酵終了後にモロミを蒸留する場合には、コゲ臭などのオフフレーバーを低減する目的で、モロミにアルコールを添加し、アルコール度数を上げてから蒸留してもよい。 本発明においては、ハーブ類と麹に水を混合したものにさらにアルコールを添加することができる。この場合のアルコール添加時期は、反応の始めからでもよいし、蒸留直前であってもよい。また、反応の始めからアルコールを添加する場合、モロミのアルコール度数は、麹の酵素が失活しない範囲内(アルコール度数5〜20%)にする必要がある。この場合の反応温度は15〜30℃が好ましく、反応期間は、2〜7日間とするのが好ましい。 本発明における麹の使用量は、使用する水に対して通常60重量%以下とすることが好ましい。麹の使用量の下限は、麹の使用目的を達成できるぎりぎりの濃度ということになるが、反応時間を考慮すれば通常2重量%程度である。 本発明において、蒸留酒を製造する場合は、2次仕込みのあとに蒸留工程を設ける必要性があるが、ハーブ類の香り成分を採取することを目的とする場合には、必ずしも蒸留工程は必要としない。すなわち、ハーブ類の香り成分を採取する方法の場合には、1次仕込み工程につづく2次仕込みは、1次仕込み工程において生成しているテルペン類の抽出工程になる。したがって、2次仕込み工程は、1次仕込み工程で得られた溶液に、あるいはその有機層に、テルペン類の抽出剤となる有機溶剤を加えて抽出する工程となる。 前記有機溶剤としては、炭化水素(トルエン、ヘキサン、ベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素(クロロフォルム、ジクロルメタンなど)、ケトン(シクロヘキサノン、エチルメチルケトンなど)、アルコール(イソペンチルアルコール、ベンジルアルコールなど)、エーテル(エチルエーテルなど)、エステル(酢酸エチルなど)、その他(アリニン、ニトロメタンなど)を挙げることができる。これらの溶剤は、1種または2種以上を併せて用いることができる。得られた香気成分を飲食品や口に含むことのある製品に使用する場合には、体に害を及ぼさない溶剤を選択することが好ましい。 アルコール飲料とする場合は、アルコールは可飲性のもの、実質的にはエチルアルコールに限られるが、得られた香り成分が飲食品に用いない場合は、可飲性のものではない溶剤を使用することができる。 本発明でいうアルコール飲料とは、アルコールを含有するすべての飲料を意味する。本発明でいう蒸留酒とは、昭和49年1月5日、東京同文書院発行、桜井芳人編、総合食品事典(第三版)第435頁に記載されているような通常のものであって、その例としては、ウイスキー、アラック、ジン、ウオッカ、焼酎、ブランデーなどを挙げることができる。 本発明により、従来は回収が困難であったハーブ類の1つであるジュニパーベリー中のテルペン配糖体などの潜在的な香気成分を豊かな香りを発生する成分に効率よく変換することができた。そのうえ本発明の方法は、ハーブ類という西洋風のイメージが強い材料を麹という極めて日本風のイメージが強い酵素を用いることにより、ハーブ類の1つであるジュニパーベリーから効率よく香り成分を抽出したり、それを含有する蒸留酒を得ることができた。また、本発明によれば、高価な酵素剤を多種多量に用いることなく、麹と反応させるだけの非常に簡単な方法により香気成分の回収効率を大幅に向上することができた。 以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。実施例1 1次仕込みとして、ハーブ類としてはジンの最も適するといわれている市販のハーブであるジュニパーベリー2gと米麹(焼酎用乾燥米白麹MKS、徳島精工社製)20gよりなる系に蒸留水を加えて全量100mlとし、これにYPD液体培地を用いて前培養してあった酵母(焼酎用協会2号酵母、日本醸造協会製)を1.0×107cells/ml−モロミとなるように添加し、25℃に保って3日間保持し、アルコール度数約8%の1次モロミを得た。 つぎに、2次仕込みとして、前記1次モロミに原料用アルコール74mlを加え(全量174ml)、アルコール度数約45%の2次モロミを得た。 前記2次モロミを常圧蒸留してアルコール度数75%の蒸留酒を得た。 仕込み配合は、麹使用発酵区(実施例1)として下記表1にまとめて示し、実施例1の製造工程は図1に示した。比較例1 1次仕込みとして、ジュニパーベリー2gに原料用アルコール47mlと蒸留水53mlを加え、アルコール度数45%、全量100mlとなるように調整し、25℃で3日間保持し、さらに、2次仕込みとして原料用アルコール35mlと蒸留水39mlを加え、全量174ml、アルコール度数45%としたものを用意し、前記発酵区と同様に常圧蒸留を行い、アルコール度数75%、全量100mlの蒸留酒を得た。仕込み配合は、アルコール抽出区(比較例1)として下記表1にまとめて示し、比較例1の製造工程は図1に示した。 麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)で得られた蒸留酒は、下記によりGC/MS分析を行った。まず、前記蒸留酒各30mlをOASISカラム(Waters社製)を用いて固相抽出し、2mlのジクロロメタンにより溶出させた。無水硫酸ナトリウムにより脱水し、窒素ガスで約300μlに濃縮した。内部標準としてはデカノン酸メチルエステルを用いた。また、GC/MS分析条件は以下の通りである。 アジレント社製GC6890Nにアジレント社製質量検出器5973を連結したものを使用した。使用カラムはDB−Wax(アジレント社製)、カラム内径は0.25mm、カラム長は30m、膜厚は0.25μmを使用した。加温条件は40℃、1分間、3℃/min、230℃、10分間で行った。フロントインレットは230℃とした。1μlをスプリットレス注入した。 麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)のGC/MS分析結果を相対値で表したものを表2に示す。表2では、アルコール抽出区(比較例1)の各成分の含有量を1とし、麹使用発酵区(実施例1)の成分量をアルコール抽出区(比較例1)の成分量に対する相対値として示した。麹使用発酵区(実施例1)ではアルコール抽出区(比較例1)と比べて、α−テルピネン、テルピネン−4−オール、トランス−カリオフィレン、α−フムレンなどのテルペン類の含有量が顕著に多いことが分かる。この結果から、麹を使うことにより、アルコール抽出だけでは回収できないハーブ類の香気成分がいかに効率よく回収されているかが分かる。また麹使用発酵区(実施例1)ではアルコール抽出区(比較例1)と比べてサビネンやβ−ミルセンといった蒸留酒に含まれていると好ましくない、青臭い香気を有する成分が減少している。 実施例1および比較例1について、研究所パネリスト5名による官能検査を実施した。表3に示す官能評価の結果から、アルコール抽出区(比較例1)では市販のジンと似た単調でシャープな香味という評価だったが、麹使用発酵区(実施例1)では複雑で深み、味わいがあり、アルコール抽出区に比べ好ましいという評価が得られた。<香気成分の増強効果の要因> 実施例1において確認された麹使用発酵区(実施例1)の香気成分増強効果が、麹の使用による効果なのか、酵母の発酵による効果なのか、あるいはワインや芋焼酎のテルペン遊離と同じようにβ−グルコシダーゼが関与した効果なのかを確認するため、以下の実験を行った。 まず試験区として、麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)に加えて、麹を使用しない麹未使用発酵区(比較例2)と酵素剤添加発酵区(比較例3)を設けた。麹未使用発酵区(比較例2)と酵素剤添加発酵区(比較例3)では、麹の代わりに発酵の糖源として麦汁と液糖を混合したものを使用した。 すなわち、実験室にて、1次仕込みとして調整した麦汁(比重1.06)50mlに対し、同じ比重となるように蒸留水にて希釈した液糖(果糖ブドウ糖液糖、群栄化学社製)50mlを混ぜ、これにジュニパーベリー2gを添加し、麹使用発酵区(実施例1)と同様に酵母を加えて発酵を行い、アルコール度数約8%の1次モロミを得た。これに2次仕込みとして、麹使用発酵区(実施例1)と同量の原料用アルコールと水を加え、常圧蒸留を行い、得られた蒸留酒を麹未使用発酵区(比較例2)とした。さらに酵素剤(β−グルコシダーゼ)添加発酵区(比較例3)として、麹未使用発酵区の1次仕込みの際に、市販のβ−グルコシダーゼ製剤(シグマ社製)を、モロミに対し100ppmの濃度となるように添加したものを調整し、酵素剤添加発酵区(比較例3)とした。 前記4つの試験区の仕込み配合と製造工程を表4と図2にそれぞれ示す。 実施例1と同様の方法により、前記4つの試験区によって得られた蒸留酒についてGC/MS分析を行い、各試験区の間で変化の大きい成分について、内部標準法により含有量を比較した結果を表5に示す。表5ではアルコール抽出区の各成分の含有量を1とし、他の試験区の成分量をアルコール抽出区に対する相対値として示した。 表5より、麹未使用発酵区(比較例2)でもアルコール抽出区(比較例1)と比較した場合、香気成分増強効果が見られたが、麹使用発酵区(実施例1)と比べるとこの効果は少なく、麹を使用することの有用性が確認できる。また酵素剤添加発酵区(比較例3)でもアルコール抽出区(比較例1)と比較した場合、香気成分増強効果が見られるが、麹未使用発酵区(比較例2)と比べるとほとんど成分量に変化は見られないか、逆に減少していることから、β−グルコシダーゼ活性はハーブ類の香気成分増強に効果がないことが分かる。これはハーブ中ではテルペン類は単純なグルコースとβ−1,6結合した状態で存在するのではなく、より複雑な物質と結合した状態で存在することを示唆しており、こうした状態にあるテルペン類を遊離型に変換するためには、β−グルコシダーゼ以外にも他の酵素が必要であることを示唆している。すなわちハーブ由来の香気成分を増強するためには、多種多様な酵素を生産する麹が適していると言える。実施例2:発酵を行わずに、麹を酵素源として使用した場合の香気成分増強効果の確認 酵母を添加しアルコール発酵を行わなくとも、麹とハーブを混合することにより、ハーブ由来の香気成分の回収量が増加することを確認するため、以下の実験を行った。 1次仕込みとしてジュニパーベリー2gと麹20gよりなる系に、原料用アルコールと水を加え全量100ml、アルコール度数8%に調整し、25℃で3日間保持した。その後、2次仕込みとして、原料用アルコール74mlを加え、アルコール度数を45%とし(全量174ml)、これを常圧蒸留を行い、アルコール度数75%の蒸留酒を得た(全量100ml)。これを麹使用未発酵区(実施例2)とした。 また対照として、前記比較例1と同様に、ジュニパーベリー2gに原料用アルコールと水を加え、全量100ml、アルコール度数45%に調整し、25℃で3日間保持したものに、2次仕込みとして原料アルコールと水を加え、全量174ml、アルコール度数45%に調整したものを、麹使用未発酵区(実施例2)と同様に蒸留を行い、同量のアルコール度数75%の蒸留液を得た。これをアルコール抽出区(比較例1)とした。 前記麹使用未発酵区(実施例2)とアルコール抽出区(比較例1)の仕込み配合と製造工程を、表6と図3にそれぞれ示す。 実施例1と同様の方法により、前記麹使用未発酵区(実施例2)とアルコール抽出区(比較例1)によって得られた蒸留酒についてGC/MS分析を行い、各試験区の間で変化の大きい成分について、内部標準法により含有量を比較した結果を表7に示す。表7ではアルコール抽出区(比較例1)の各成分の含有量を1とし、麹使用未発酵区(実施例2)の成分量をアルコール抽出区(比較例1)に対する相対値として示した。 表7の結果から、麹使用未発酵区(実施例2)ではアルコール抽出区(比較例1)と比較すると、ハーブ由来の香気成分が増強することが分かる。このことから酵母を添加して発酵を行なわなくとも、麹とハーブを混合することで麹を酵素源として用い、香気成分の増強が可能となると言える。実施例3:麹添加量の影響 麹の添加量による、香気成分増強効果の差異を確認するため以下の実験を行なった。1次仕込みとして、ジュニパーベリー2gと麹10gよりなる系に、水100mlを混合し、さらに実施例1と同様に酵母を1.0×107cells/ml−モロミlとなるように添加し、25℃で6日間保持し、アルコール度数約4%の1次モロミ(全量108ml)を得た。 この1次モロミに、2次仕込みとして、原料用アルコールと水を加え、アルコール度数45%の2次モロミ(全量230ml)を調整した。この2次モロミを常圧蒸留を行い、アルコール度数75%の蒸留酒130mlを得、これを麹10%使用区とした。 麹10%使用区(実施例3−1)と同様の仕込み方法で、麹の使用量を20g、40g、60gとし、得られた蒸留酒をそれぞれ麹20%使用区(実施例3−2)、麹40%使用区(実施例3−3)、麹60%使用区(実施例3−4)とした。これらの仕込みにおいて、1次モロミのアルコール度数は、麹20%使用区では7.5%、麹40%使用区では11.5%、麹60%使用区では15%となった。2次仕込みでは原料用アルコールと水を用い、いずれの試験区においてもアルコール度数45%、全量230mlの2次モロミとなるように調整した。比較例4 さらに対照として、1次仕込みとして、ジュニパーベリー2gに原料用アルコール47mlと水53mlを混合し全量100ml、アルコール度数45%に調整し、25℃で6日間保持したものに、2次仕込みとして原料アルコール61mlと水69mlを加え、アルコール度数45%、全量230mlに調整し、麹10%使用区と同様に蒸留を行って得た蒸留酒を、アルコール抽出区(比較例4)とした。 これら5つの試験区の仕込み配合と製造工程を表8と図4に示す。 実施例1と同様の方法により、前記5つの試験区によって得られた蒸留酒についてGC/MS分析を行い、各試験区の間で変化の大きい成分について、内部標準法により含有量を比較した結果を表9に示す。表9ではアルコール抽出区の各成分の含有量を1とし、他の試験区の成分量をアルコール抽出区に対する相対値として示した。 表9より、アルコール抽出区と比較した場合、麹を使用したいずれの試験区においても、香気成分増強効果がある。ただしこの効果は麹の使用量が少ないほど大きく、麹の使用量が加える水に対して60重量%を超えると効果が得られない可能性がある。これは、麹の使用量が増えると、香気成分増強に効果のある酵素群の活性が過剰な糖分の存在により抑制されたか、あるいは発酵が過度に進むため、それに伴い遊離した香気成分が発酵中に炭酸ガスとともに揮散してしまうためと推察される。このことから麹の使用量は加える水に対し、60重量%以下であることが適していると言える。通常焼酎の仕込みの場合、麹の使用量は加える水に対し60重量%を超えており、このことから通常の焼酎の仕込み方法でハーブを加えた場合は、ハーブ由来の香気成分増強効果は小さいことが予想される。麹使用発酵区(実施例1)とアルコール抽出区(比較例1)の工程図を対比して示すものである。麹使用発酵区(実施例1)、アルコール抽出区(比較例1)、麹未使用発酵区(比較例2)、酵素剤使用発酵区(比較例3)の工程図を対比して示すものである。麹使用未発酵区(実施例3)とアルコール抽出区(比較例1)の工程図を対比して示すものである。麹10%使用区(実施例3−1)、20%使用区(実施例3−2)、40%使用区(実施例3−3)、60%使用区(実施例3−4)とアルコール抽出区(比較例4)の工程図を対比して示すものである。 ジュニパーベリーと麹を水中で反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法。 ジュニパーベリーと麹を水中で反応させた後、これに有機溶剤を加えることにより抽出を行うことを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法。 ジュニパーベリー、麹および水を含む混合系に、アルコールを加えて反応させることを特徴とするテルペン類を主体としたハーブ由来の香気成分の回収方法。 ジュニパーベリー、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行うことを特徴とするアルコール飲料の製造方法。 ジュニパーベリー、麹および水を含む混合系に、酵母を加えて発酵反応を行うか、またはアルコール発酵原料と酵母とを加えて発酵反応を行った後、蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。 ジュニパーベリーと麹を水中で反応させた後、アルコールを加え、ついでこれを蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。


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