生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヒト腸内細菌検出用プライマー
出願番号:2003364188
年次:2005
IPC分類:7,C12N15/09,C12Q1/04,C12Q1/68


特許情報キャッシュ

藤本 淳治 松木 隆広 渡辺 幸一 JP 2005124495 公開特許公報(A) 20050519 2003364188 20031024 ヒト腸内細菌検出用プライマー 株式会社ヤクルト本社 000006884 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 藤本 淳治 松木 隆広 渡辺 幸一 7C12N15/09C12Q1/04C12Q1/68 JPC12N15/00 AC12Q1/04C12Q1/68 Z 7 OL 20 4B024 4B063 4B024AA11 4B024CA01 4B024CA05 4B024DA06 4B024HA11 4B063QA13 4B063QA18 4B063QQ06 4B063QQ42 4B063QR32 4B063QR62 4B063QR75 4B063QS16 4B063QS25 本発明は、ヒト腸内細菌の同定に有用なDNAプライマー及びこれを用いる腸内細菌の検出・同定方法に関する。 ヒト腸内フローラにはおよそ300種のバクテリアが存在し、健康者は常時ほぼ一定のバランスを保っている。これらの細菌は、消化の補助、ビタミンの合成、外来菌の感染に対する防御的役割等をしているといわれている。これら腸内フローラ構成菌のうち、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、クロストリジウム クラスター(Clostridium cluster)(非特許文献1)に含まれるクロストリジウム属(Clostridium)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、フェイカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、アシドアミノコッカス属(Acidaminococcus)、ベイヨネラ属(Veillonella)もビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の細菌と同様にヒト腸内フローラにおける最優勢菌群である。 しかし、これらの腸内細菌は嫌気性菌であることから、分離培養には、特別な装置と試験者の熟練を必要とする。また、通常菌種の同定は、主に表現形質、すなわち、糖分解性状、一般生物学的性状等を検査することにより行われている。しかしながら、表現形質を基にした同定法は、操作が煩雑で多大な時間と労力を要し、試験者の熟練を要する。また、培地上のコロニー数が多くなると、コロニー同士が重なるなどしてしまい、菌数の少ないものを検出できない場合もあった。 近年では、菌種同定にはDNA−DNAホモロジーによる判定も行われるようになっている(非特許文献2)。しかしながら、この同定法も長時間を必要とし、迅速な菌種同定を行うには好ましいものではなかった。 さらに、ヒト腸内細菌はほぼすべてが嫌気性細菌であることからその多くが分離・培養されていない。従って、これら分離・培養されていない菌種を無視しては、腸内フローラのバランスを正確に把握したとは言えない。特にクロストリジウム クラスターは、特に重要な役割をしており、これらに属する未同定菌群を検出する方法が望まれていた。 上記検出法の問題点を解消するため、本出願人らはある種の腸内細菌に特異的なプローブやプライマーを用いて、菌の同定を行う方法を検討し、例えば特許文献1にはバクテロイデスグループ細菌に特異的なプローブを、特許文献2にはビフィドバクテリウム属細菌に特異的なプライマーを、特許文献3には、ヒト腸内フローラ中の未同定菌群に対する特異的なプライマーとプローブを開示している。この方法によれば、菌の同定・検出を簡便、迅速に行えるが、ヒト腸内や病変部位にはこの他にも様々な細菌が存在しており、特に最優勢で存在している他の菌種をカバーできるプライマーセットが要望されている。Collins, M. D., et al. (1994)INTERNATIONAL JOURNAL of SYSTEMATIC BACTERIOLOGY 44,812-826Collins, M.D.,et al(1989)INTERNATIONAL JOURNAL of SYSTEMATIC BACTERIOLOGY 39,105-108特開平11−28090号公報特開平11−123093号公報特開2002−142771号公報 しかしながら、腸内細菌の同定等に使用しうるプライマーを設計するためには、遺伝子のシークエンシング、アライメント等かなりの手間がかかるばかりか、せっかく設計した配列でプライマーを合成しても、特異性が得られない場合もある。このため、プライマーの種類がなかなか増えず、腸内、病変部での菌の動向を把握するには未だ不充分である。 したがって、本発明の目的は、ヒト腸内や病変部位にて検出される各種の菌を特異的に同定できるプライマーを合成し、このプライマーを用いて菌を迅速、簡便に同定・解析する方法を提供することにある。 斯かる現状に鑑み本発明者は鋭意研究を行ったところ、クロストリジウム クラスターに含まれるクロストリジウム属やユウバクテリウム属、ルミノコッカス属、フェイカリバクテリウム属、アシドアミノコッカス属やベイヨネラ属細菌、ラクトバチルス属細菌、糞便から得られたDNAを用いた16S rDNAクローンライブラリー法から見出されたクロストリジウム クラスターに属する未同定菌群のそれぞれに特異的なDNAプライマーが得られ、これらを用いれば、細菌の培養を行うことなく、検体から抽出した細菌由来のDNAのPCR反応により、迅速かつ簡便に上記の菌の同定・解析が可能となることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、配列番号1〜39から選ばれる塩基配列又は該塩基配列に相補的な配列を有するヒト腸内細菌検出用プライマーを提供するものである。 さらに、本発明は、上記プライマーの1又は2以上を使用することを特徴とする、ヒト腸内細菌の検出方法又は同定方法を提供するものである。 本発明のプライマーを使用すれば、菌を培養することなく、迅速、簡便、低コスト且つ高精度にクロストリジウム属、ユウバクテリウム属、ルミノコッカス属、フェイカリバクテリウム属、アシドアミノコッカス属、ベイヨネラ属やラクトバチルス属細菌の同定を行うことができる。また、他の菌に特異的なプライマー等と組み合わせて使用することで、腸内細菌叢の解析等をも行うことができる。さらに、同定、解析の結果から消化管等の状態を把握できるため、種々疾病等の予防・治療が容易になる。 本発明のプライマーは、クロストリジウム属、ユウバクテリウム属、ルミノコッカス属、フェイカリバクテリウム属、アシドアミノコッカス属、ベイヨネラ属やラクトバチルス属細菌、さらに、クロストリジウム クラスターに属する未同定菌群に特異的であり、ヒト腸管で頻繁に検出される菌に特異的な配列を有するものである。より具体的には、アシドアミノコッカス ファーメンタンス(Acidaminococcus fermentans)、クロストリジウム ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム レプタム(Clostridium leptum)、クロストリジウム オルビシンデンス(Clostridium orbiscindens)、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム シンデンス(Clostridium sindens)、ユウバクテリウム デスモランス(Eubacterium desmolans)、ユウバクテリウム レクターレ(Eubacterium rectale)、フェイカリバクテリウム プラウツニッチ(Faecalibacterium prausnitzii)、ルミノコッカス アルブス(Ruminococcus albus)、ルミノコッカス ブロミ(Ruminococcus bromii)、ルミノコッカス カリダス(Ruminococcus callidus)、ルミノコッカス オベウム(Ruminococcus obeum)、ルミノコッカス プロダクタス(Ruminococcus productus)とクロストリジウム コッコイデス(Clostridium coccoides)、ベイヨネラ クリセチ(Veillonella criceti)とベイヨネラ ラッティ(Veillonella ratti)、そしてラクトバチルス ルミニス(Lactobacillus ruminis)、クロストリジウム クラスター Iに含まれるEB002菌群、クロストリジウム クラスター IVに含まれるBA031菌群、クロストリジウム クラスター XIVbに含まれるBA076菌群に特異的なプライマーがある。 本発明のプライマーを作製するにあたり、そのターゲットには、系統分類の指標として信頼性の高い16S rRNA遺伝子を用い、同定・解析にはPCR法等の手段が必要になるため、RNAではなくDNAを用いた。 プライマーは、本発明者がシークエンスを行って得た塩基配列とデータベース(DDBJ、Genbank等)とを比較・検討することにより得たものである。 プライマーの設計の際には、同定の対象となる菌とその近縁の菌の配列のアライメントを行った。すなわち、Collins, M. D., et al. (1994)INTERNATIONAL JOURNAL of SYSTEMATIC BACTERIOLOGY 44,812-826)による分類に基づいて近縁菌種を選択し、アライメントを行った。その結果、標的とした菌種に特異的な配列が存在したため、この領域をターゲットとしたPCRプライマーを設計した。その結果、配列番号1〜39から選ばれる塩基配列又は該塩基配列に相乗的な配列を有するプライマーが得られた。 また、オリゴヌクレオチドの長さはプライマーによって異なっており、18〜26塩基となっている。これらは操作上最も好適な長さであるが、使用に際しては、各々の16S rRNA遺伝子中において、該オリゴヌクレオチドに隣接する数〜十数塩基の塩基配列を増減させたものを用いても良い。 このようにして得られた本発明プライマーのうち、配列番号1及び2記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム ブチリカムに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号3及び4記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム パーフリンジェンスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号5及び6記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム レプタムに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号7及び8記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム オルビシンデンスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号9及び10記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ユウバクテリウム デスモランスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号11及び12記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、フェイカリバクテリウム プラウツニッチに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号13及び14記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ルミノコッカス アルブスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号15及び16記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ルミノコッカス ブロミに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号17及び18記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ルミノコッカス カリダスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号19及び20記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、アシドアミノコッカス ファーメンタンスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号21及び22記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ベイオネラ クリセチ及びベイオネラ ラッティに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号23及び24記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム シンデンスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号25及び26記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ユウバクテリウム レクターレに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号27及び28記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ルミノコッカス オベウムに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号29及び30記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ルミノコッカス プロダクタス及びクロストリジウム コッコイデスに特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号33及び34記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム クラスターIに属するEB002菌群に特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号33及び34記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム クラスターIVに属するBA031菌群に特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号35及び36記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、クロストリジウム クラスターXIVbに属するBA076菌群に特異的なDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては両者を組み合わせて用いることが好ましい。 また、配列番号37、38及び39記載の塩基配列又はこれに相補的な塩基配列を有するものは、ラクトバチルス ルミニスに特異的にDNAオリゴヌクレオチドである。このためプライマーとしては配列番号37と38、又は配列番号37と39を組み合わせて用いることが好ましい。 上記のように設計したオリゴヌクレオチドプライマーは、その塩基配列に従い、DNA合成機により、人工的に合成することができる。その特異性は、以下の実施例に示す近縁種のDNAに対する、プライマーのバンド形成能を指標として確認した。結果として、上記全ての菌種の特異性に問題はなかった。 一方で、配列番号1〜39に示す配列以外にも種特異的な配列が見出されている。しかしながら、これらの配列や他の公知のプライマーで同定を行っても、別の種に属する株と反応したり、目的とする種の株と反応しない場合もあり、使用上好ましいものではなかった。このようなプライマーを用いてもPCR反応時の条件設定によって種特異的な反応性は達成されるものと考えられるが、現状ではそのような条件は見出されていない。 本発明のプライマーとしては、上記の配列に相補的な配列も使用可能であり、また上記配列に1〜数個の塩基を付加させた配列でも使用可能である。 本発明のプライマーは、 クロストリジウム属、ユウバクテリウム属、ルミノコッカス属、フェイカリバクテリウム属、アシドアミノコッカス属、ベイヨネラ属やラクトバチルス属細菌への特異性を有するため、これらを用いて糞便、腸内細菌を迅速に同定できる。また、各菌の選択培地もしくは、非選択培地上に形成されたコロニーから直接、あるいは培養した菌体からDNAを抽出し、各プライマーとの反応性を調べることによって菌の簡易同定を行うことができる。 本発明のプライマーを用いて糞便等の検体から前記腸内細菌を検出するには、例えば(1)検体中のDNAを抽出する工程、(2)上記プライマーの1又は2以上を用いてPCR反応を行う工程、及び(3)工程(2)により増幅されたDNA断片を検出する工程により行うことができる。 より詳細には、まず、糞便等のサンプル1mL程度を遠心分離して得られるペレットから塩化ベンジル法等によってDNAを抽出し、これを鋳型DNAとする。この鋳型DNAに本発明のプライマーを組み合わせ、増幅反応を行うことにより、菌に特異的なDNA配列(PCR産物)を得ることができる。このようにして得られたDNAを電気泳動すれば、バンドの有無と用いたプライマーから菌を特異的に検出することができる。 また、DNA−DNA相同性試験や生物、生化学的性状試験等の煩雑な操作を行うことなく、菌の同定を行うためには、例えば、まずボイリング法等によってDNAを抽出し、これを鋳型DNAとする。この鋳型DNAに本発明のプライマーを組み合わせ、増幅反応を行うことにより、菌に特異的なDNA配列(PCR産物)を得ることができる。このようにして得られたDNAを電気泳動すれば、バンドの有無と用いたプライマーから菌を特異的に検出することができる。 DNAを抽出する方法としては、上記ボイリング法、常法であるMarmaur法、その変法である酵素法、及び簡便法である上記塩化ベンジル法が好ましい。これらの方法は多少煩雑になるものの、酵素法において、幅広い菌種から収率よくDNAを抽出できる。 このように、コロニーや糞便サンプル等から抽出したDNAを鋳型とし、本発明のプライマーを用いて菌の同定を行うと、従来の方法では検出限界以下であった菌種の検出も可能であった。また、PCRを行う際に、鋳型のDNA量を段階希釈しPCRを行えば、目的とする菌の定量化も可能である。 また、本発明のプライマーは、単独でもプローブとして使用できる。これらは他の公知のユニバーサルプライマーやオリゴヌクレオチド等と組み合わせても用いることができる。 また、本発明のプライマーを用いれば、ヒト、動物等の腸内細菌叢等の解析も行える。すなわち、上記ビフィドバクテリウム属細菌用プライマーやその他の多岐にわたる細菌のプライマーと組み合わせて用いれば、細菌叢の全体像を把握することも可能である。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1(クローンライブラリー法) 健康成人5名(A,B,C、E、G)の糞便を用い、以下の手順に従い、糞便中の菌の系統樹を作成した。(1)糞便からのDNA抽出: 25mgの糞便をPBSバッファーに浮遊・遠心回収を3〜4回繰り返して洗浄後、DNA抽出バッファー(100mM Tris-HCl, 40mM EDTA, pH9.0)に懸濁して総量を450μLとし、50μLの10%SDS、500μLのTE飽和フェノール、300mgのガラスビーズ(直径0.1mm)を加え、激しく振とうし、菌体を破砕した。上清を別のチューブに移し、フェノール・クロロホルム処理、イソプロパノール沈殿、70%エタノールでの洗浄を順に行い、風乾して最後に1000μLのTE(10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA)に溶解した。(2)16S rDNA増幅PCR反応: 増幅プライマーの異なる2系統で行った。総量を25μLとし、10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP mixture、0.5U Taq DNAポリメラーゼ(タカラ社製)、50ngの鋳型糞便DNA、さらに系列Aとして全生物に共通なプライマー(表1)8FとBi8をそれぞれ0.2μMずつと15Rを0.4μM、又は、系列Bとして全生物に共通なプライマー(表1)63MFと1391MRを0.4μMを含む反応液でDNAサーマルサイクラーPTC200(MJ Research社)により、94℃20秒、55℃15秒、72℃180秒を25サイクル、PCR反応を行った。(3)増幅産物のクローニング: PCR反応によって得られた増幅産物をTAクローニングキット(invitorogen社製)を用いて付属のマニュアル通りにクローニングを行った。すなわちPCR2.1ベクターにPCR増幅産物を挿入後、大腸菌に導入し形質転換させた。その後、50μg/mLのアンピシリンと40mg/mLのX−galを含むLB(Luria Bertani)寒天培地上に塗抹し、形成した白色コロニーをLB液体培地で増菌後、DNAを抽出してクローンDNAを得た。(4)クローンDNA配列の系統解析: 得られたクローンDNAの配列を解読後、上記で得られたこれまでに分離培養されていない未同定菌群に属する細菌の16S rDNA配列(配列番号40〜42)とDDBJ等のデータベースより得られた近縁な細菌の16S rDNA塩基配列と系統解析を行った(図1)。実施例2(プライマーの設計及び合成) クロストリジウム属、ユウバクテリウム属、ルミノコッカス属、フェイカリバクテリウム属、アシドアミノコッカス属、ベイヨネラ属、ラクトバチルス属細菌、さらに上記のクローンライブラリー法で得られたEB002クローン、BA031クローン、BA076クローンのそれぞれの菌種に近縁な菌種の16S rDNA配列を元に、菌種特異的なプライマーの設計を行った。その際、塩基数20程度、GC含量が約50%となる部分を探索した。その結果、フォワード及びリバースのプライマーとして表2に示す39種類の種特異的プライマーが設計された。こうして設計した塩基配列に従い、DNA合成機を用いてプライマーを合成した。実施例3(特異性の確認) 以下の方法により、設計したプライマーの特異性を確認した。(1)プライマーの特異性の確認(1−1)菌株の純粋培養及びDNA抽出:表3〜6に示す、19菌属82菌種の腸内細菌を0.5%グルコース添加の変法GAMブロス(ニッスイ社製)を用いて37℃、嫌気的に一晩培養した。これらの菌体から塩化ベンジル法にてそれぞれDNAを抽出した。(1−2)PCR反応:総量を25μLとし、10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP混合物、0.5U Taq DNAポリメラーゼ(タカラ社製)、50ngの鋳型DNA、さらにそれぞれ0.4μMのプライマーを含む反応液でDNAサーマルサイクラーPTC200(MJ Research社製)により、94℃20秒、55℃20秒、72℃20秒を32サイクルのPCR反応を行った。(1−3)プライマーの特異性の検討:PCR反応によって得られた増幅産物を電気泳動し、バンドの有無によりプライマーの各菌種のDNAとの結合能を確認することで、プライマーの特異性を判定した。すなわち1.5%アガロース(Molecular Biology Certified Agarose;バイオラッド社)でMupid−2(コスモ・バイオ社)によりTAEバッファー中で100V、20分電気泳動し、エチヂウムプロマイド(0.5mg/mL)で染色後、紫外線ランプ下でバンドを確認した。その結果、それぞれのプライマーは、標的とした菌種のみから増幅産物が得られ特異性が確認された。 また、前記と同様のPCR反応により、公知のプライマーと本発明プライマーの特異性の比較を行った。その結果、表7及び表8に示すように、本発明プライマーは、特開2001−112485号記載のCIPER−F及びCIPER−R、特開2001−112485号記載のCIBUT−F及びCIBUT−R、特開2001−120271号記載のRuOBE−1及びRuOBE−2、及び特開2001−46063号記載のREC−F及びREC−Rに比べて、各菌種に対して特異的であった。実施例4(プライマーを用いた細菌叢の解析) 健康成人46例の糞便25mgをPBSバッファーに浮遊・遠心回収を3〜4回繰り返して洗浄後、DNA抽出バッファー(100mM Tris-HCl, 40mM EDTA, pH9.0)に懸濁して総量を450μLとし、50μLの10%SDS、500μLのTE飽和フェノール、300mgのガラスビーズ(直径0.1mm)を加え、激しく振とうし、菌体を破砕した。上清を別のチューブに移し、フェノール・クロロホルム処理、イソプロパノール沈殿、70%エタノールでの洗浄を順に行い、風乾して最後に1000μLのTE(10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA)に溶解し糞便DNAを得た。糞便DNAの1μLを鋳型としてそれぞれの菌種特異的プライマー(表2)を用いてDNAサーマルサイクラーPTC200(MJ Research社製)により、94℃20秒、55℃20秒、72℃20秒を32サイクルのPCR反応を行った。その結果、表9に示すような結果を得た。クローンライブラリー法で得られた未同定菌群を含む腸内細菌の16S rDNA塩基配列を用いた近隣結合法による系統樹を示す図である。左下のバーは、5%の塩基置換距離を示す。 配列番号1〜39から選ばれる塩基配列又は該塩基配列に相補的な配列を有するヒト腸内細菌検出用プライマー。 配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、25と26、27と28、29と30、31と32、33と34、35と36、37と38、37と39から選ばれる2つの塩基配列の組合わせ又はこれら塩基配列の組合わせに相補的な配列を有する腸内細菌検出用プライマー。 各塩基配列の組合せが、それぞれクロストリジウム ブチリカム、クロストリジウム パーフリンジェンス、クロストリジウム レプタム、クロストリジウム オルビシンデンス、ユウバクテリウム デスモランス、フェイカリバクテリウム プラウツニッチ、ルミノコッカス アルブス、ルミノコッカス ブロミ、ルミノコッカス カリダス、アシドアミノコッカス ファーメンタンス、ベイヨネラ クリセチとベイヨネラ ラッティ、クロストリジウム シンデンス、ユウバクテリウム レクターレ、ルミノコッカス オベウム、ルミノコッカス プロダクタス、クロストリジウム コッコイデス、ラクトバチルス ルミニス、クロストリジウム クラスターIのEB002菌群、クロストリジウム クラスターIVのBA031菌群及びクロストリジウム クラスターXIVbのBA076菌群の検出用プライマーである請求項2記載の腸内細菌検出用プライマー。 請求項1又は2記載のプライマーの1又は2以上を使用することを特徴とする腸内細菌の検出方法。 クロストリジウム ブチリカム、クロストリジウム パーフリンジェンス、クロストリジウム レプタム、クロストリジウム オルビシンデンス、ユウバクテリウム デスモランス、フェイカリバクテリウム プラウツニッチ、ルミノコッカス アルブス、ルミノコッカス ブロミ、ルミノコッカス カリダス、アシドアミノコッカス ファーメンタンス、ベイヨネラ クリセチとベイヨネラ ラッティ、クロストリジウム シンデンス、ユウバクテリウム レクターレ、ルミノコッカス オベウム、ルミノコッカス プロダクタスとクロストリジウム コッコイデス、ラクトバチルス ルミニス、クロストリジウム クラスターIのEB002菌群、クロストリジウム クラスターIVのBA031菌群及びクロストリジウム クラスターXIVbのBA076菌群からなる群のヒト腸内細菌を検出するものである請求項4記載の検出方法。 請求項1又は2記載のプライマーの1又は2以上を使用することを特徴とする腸内細菌の同定方法。 クロストリジウム ブチリカム、クロストリジウム パーフリンジェンス、クロストリジウム レプタム、クロストリジウム オルビシンデンス、ユウバクテリウム デスモランス、フェイカリバクテリウム プラウツニッチ、ルミノコッカス アルブス、ルミノコッカス ブロミ、ルミノコッカス カリダス、アシドアミノコッカス ファーメンタンス、ベイヨネラ クリセチとベイヨネラ ラッティ、クロストリジウム シンデンス、ユウバクテリウム レクターレ、ルミノコッカス オベウム、ルミノコッカス プロダクタスとクロストリジウム コッコイデス、ラクトバチルス ルミニス、クロストリジウム クラスターIのEB002菌群、クロストリジウム クラスターIVのBA031菌群及びクロストリジウム クラスターXIVbのBA076菌群から選ばれるヒト腸内細菌を同定するものである請求項6載の同定方法。 【課題】ヒト腸内や病変部位にて検出される各種の菌を特異的に同定できるプライマーを合成し、このプライマーを用いて菌を迅速、簡便に同定・解析する方法を提供する。【解決手段】ラクトバチルス属、クロストリジウム属、ユウバクテリウム属、ルミノコッカス属、ファイカリバクテリウム属、アシドアミノコッカス属、ベイヨネラ属、ビフィドバクテリウム属等のヒト腸内細菌を同定するために用いる、特定の塩基配列又は該塩基配列に相補的な配列を有するヒト腸内細菌検出用プライマー。【選択図】 なし配列表


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