生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_水分簡易測定方法
出願番号:2003364128
年次:2005
IPC分類:7,G01N7/00,B28C7/04,G01N33/38


特許情報キャッシュ

長井 義徳 斎藤 仁 JP 2005127879 公開特許公報(A) 20050519 2003364128 20031024 水分簡易測定方法 太平洋マテリアル株式会社 501173461 長井 義徳 斎藤 仁 7G01N7/00B28C7/04G01N33/38 JPG01N7/00 AB28C7/04G01N33/38 4 OL 6 4G056 4G056AA06 4G056CB17 4G056DA09 本発明は、硬化前の可塑状態のモルタルやコンクリートの水分量を屋外の打設現場などでも容易に把握することができる水分簡易測定方法に関する。 セメント等の水硬性物質を素材として製造されるモルタルやコンクリートの強度は配合材料の種類や配合量によって左右される。とりわけ硬化前の可塑状態のモルタルやコンクリートの含水量は、硬化後の強度発現性や耐久性などに多大な影響を及ぼし、最適な含水量から外れる場合は硬化後の品質が経時的に低下し易く、甚だしい場合は硬化不良等を生じる。モルタルやコンクリートの品質を管理するための可塑状態のモルタルやコンクリートの含水量の測定方法は、円錐状に成形した可塑状態のコンクリートサンプルが潰れる迄の時間を測定し、コンクリート中の含水量又は含水率を間接的に推測する方法が広く行われてきた。この方法では測定試料の調整に手間と時間がかかり、また測定結果は測定者の技量に左右され易く、慎重に測定が行われたとしても概して測定精度は低い。精度の高い水分量の測定方法として、カールフィシャー法が知られている。(例えば、特許文献1参照。)また、より高精度の結果が得られるラジオアイソトープ水分計を用いる中性子測定方法も知られている。これらの方法は、可塑状態のモルタル・コンクリートを測定対象とするには、測定時の処理操作や測定条件の選定が複雑になるため必ずしも適しているとは言い難く、また屋外の打設現場などへ測定装置を搬送・設置するのは困難なことや装置が高価である等の理由からも、モルタル・コンクリート中の水分量の測定に積極的に利用されるには至っていない。 高価な装置を用いることなく、可塑状態のモルタル・コンクリートでも比較的容易に測定できる方法として、アルコール比重計を用いた測定方法が知られている。(例えば、非特許文献1参照。)この方法は、可塑状態のモルタルやコンクリートから水分を溶媒抽出し、抽出液を濾過した後、濾液を比重計に入れて比重を測定し、予め入手した比重−溶媒濃度換算表などから溶媒濃度を求め、希釈水分量を算出するものである。しかるに、比重計で計るには、測定誤差を少なくする上で、比較的大量の測定試料を必要とし、このため抽出液の固液分離にかなりの時間を要す。また計測中の温度によって比重計の読値が変動し易いので誤差が生じ易い。更に、骨材に吸水される水分も考慮せねば測定精度が低下するため、予め骨材の吸水率を把握したり、採取物から骨材を除去する必要があり、このような作業を加えると水分量が得られるまでに相当長い時間を費やすことになる。特開平10−62387号公報笠井邦夫著「コンクリートの試験方法(上)」株式会社技術書院、1993年6月1日、p.206−207 本発明は、可塑状態のモルタルやコンクリートの水分量を測定するのに適した方法であって、測定者の経験・技能等に殆ど左右されず、極少量の試料で正確な水分量を短時間に簡単に把握することができ、しかも屋外の施工現場などでの測定も十分可能な水分量の簡易測定方法の提供を課題とする。 本発明者は、前記課題解決のため検討を重ねた結果、水と反応することによって気体状の反応生成物を生成する特定物質と水を一定容積下で反応させると反応生成したガス量が増すに連れて圧力が増大すること、反応生成ガスの量は反応源の水量に比例すること、該一定容積下での反応に伴う圧力変化を直接測定対象とすることで極少量の測定試料でも精度の高い含水量が簡単に把握できること、測定試料を少なくできれば圧力測定に至るまでの前処理時間が少なくなること及び大がかりな測定装置系が不要となること等の知見から本発明を完成させた。 即ち、本発明は、次の(1)〜(4)で表す水分簡易測定方法である。(1)可塑状態のモルタル又はコンクリートから有機溶剤で水を抽出し、抽出物の一部を採取し、次いで採取した抽出物を一定容積の反応容器に入れ、カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムの何れかを加えて密封し、反応生成した気体の圧力を測定することを特徴とする水分簡易測定方法。(2)一定容積の反応容器に入れる抽出物が、採取した抽出物を濾過した後の濾液であることを特徴とする前記(1)の水分簡易測定方法。(3)反応容器中に入れる抽出物が5ml以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)の水分簡易測定方法。(4)反応容器の内容積が反応容器中に入れる抽出物体積の10〜500倍であることを特徴とする前記(1)〜(3)何れかの水分簡易測定方法。 本発明により、可塑状態のモルタルやコンクリート中の水分量を、例えば施工現場などでも非熟練者が簡単且つ短時間に、高い精度で測定することができる。 本発明の水分簡易測定方法で対象とするモルタルやコンクリートは、可塑状態のものであれば特に限定されない。また、該モルタルやコンクリートは含有成分として、例えば各種減水剤(高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤を含む)、膨張材、防錆剤、収縮低減剤、ポゾラン反応性物質、スラグ粉、繊維等を始め、骨材を含むものであっても良い。また、可塑状態とは、モルタルやコンクリートが凝結する前の流動性があるスラリー化している状態を云う。本発明では、測定に先立ち、測定対象となるモルタル・コンクリートの配合組成は特に把握する必要はなく、また、モルタル・コンクリート試験体を別に作製する必要もない。 本発明の水分簡易測定方法では、まず、可塑状態のモルタル・コンクリートから体積値で一定量を採取する。採取物には骨材が含まれていても良く、採取後に除去する必要もない。採取量は、測定時間を短縮する上で、また測定系を小規模のものとする上で、少ない方が良く、望ましくは300〜1000cm3の範囲から選定された量とする。採取量を余りにも少ない値にすると均一性の点から好ましくない。この採取作業をできるだけ簡易にし、採取量の測定の手間を省くため、内容積が前記範囲内にあって一定の計量カップ類を使用し、該カップ類の上端面まで充填した量を採取量とすることが推奨される。 採取したモルタル・コンクリートは任意の容器に入れ、これに有機溶剤を加えてモルタル・コンクリート中の水を抽出する。ここで使用する容器は有機溶剤に不活性なものなら特に限定されず、例えば市販のガラス製或いはステンレス製のビーカーなどでも良いが、好ましくは閉栓可能なポリプロピレンやポリエチレン製の広口瓶を使用する。また、有機溶剤はモルタル・コンクリート中の水硬性物質にできるだけ不活性なものであって、極性溶媒又は有極性の有機溶液なら特に限定されない。好ましくはアルコール類、より好ましくは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノールから選択される一種又は二種以上とする。モルタル・コンクリートに加える有機溶剤量は、コンクリートの場合はコンクリート採取体積量に対し、0.8〜1.2倍体積量とする。1.2倍を超える体積量では溶剤中の水濃度が過少となり測定精度が低下し易く、0.8倍未満の体積量では採取されたコンクリート中に含まれる水分を抽出できないことがある。又、モルタルの場合は採取体積量に対し、0.8〜2.0倍体積量の有機溶剤を加える。 溶媒を加えた後は適宜撹拌又は容器を振とうし、次いで容器を静置し、固液がほぼ分離した時点で上澄み液をピペットやシリンジ等で一定量採取する。採取物は、更に濾過するのが望ましい。濾過を行う場合は、固液分離のための濾過前の静置に十分な時間をかける必要はなく、固型物が多少混濁している液でも濾過して良い。抽出物の採取量、即ち、濾過を経ない場合は上澄み液の量、濾過を経る場合は濾液の量は、5ml以下、好ましくは0.1〜1.0mlとする。採取量が5mlを超えると、採取量を確保するために固液分離時間がかかることと、反応容器が大型化し、施工現場などへの携帯性が低下するので好ましくない。抽出による採取液は速やかに反応容器に投入する。 採取された抽出物を投入する反応容器は、内容物と反応することなく、収縮膨張や変形し難い気密性の材質からなり、一定の内容積が維持でき、投入後に密封可能な構造であれば限定されない。このような容器の好適な材質を例示すると、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。また、容器構造の好適例を示すと、底面を有する筒状容器に、蓋や栓で投入口を密封できる構造とする。より好ましくは円筒状で底面部が側面とR角を成している構造の容器が良い。また、蓋や栓の材質は必ずしも容器本体の材質と同一化する必要はないが、収縮膨張し難く気密性を有する不活性材質、例えば硬質のシリコンゴム等を使用する。該反応容器は内容積を常に一定にさせる必要から、その内容積を事前に把握するのが望ましい。反応容器の容積は特に限定されるものでは無いが、施工現場などへの携帯性に適し、反応生成物による容器内圧の変化を的確に捉える上で、投入する抽出物の体積量の10〜500倍程度の内容積とするのが好ましい。10倍未満の内容積の反応容器では容器内温度が過度に上昇することがあるので好ましくなく、500倍を超える内容積では容器内圧の変化が検出し難くなり、また携帯性も悪くなる。 抽出物を投入した反応容器に、カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムの何れかを加える。カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムは、抽出採取液中の水分と選択的に反応し、反応生成物として、カルシウムカーバイド使用の場合はアセチレンガス、水素化物使用の場合は水素ガスを発生する。反応に用いるカルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムの使用量は、投入した抽出物100重量部に対し、100〜200重量部が好ましい。100重量部未満では未反応の抽出物が残存する可能性があるので好ましくなく、また200重量部を超える量を添加しても反応生成物量は変化しない。カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムは、屋外施工現場等で使用する場合の作業負荷を軽減し、また保管中の変質を防ぐため、これと不活性かつ水溶性又は水で分解可能な単体中に封じ込まれているか溶解させられた状態で使用することもできる。このような単体の一例を挙げると水素化カルシウムの場合、ケロシン又はトランスフォーマーオイルを挙げることができる。カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムの添加後は反応容器を直ちに密封し、適宜振動を加え、内容物の反応を促す。振動を与えた後は反応が終了するまで静置する。好ましくは反応容器内温度が常温近傍になるまで静置する。静置後は容器内の圧力を測定する。 本発明の方法では、水との反応で生成したガスが、密封状態の固定容積下でその発生量が増すと圧力が増大することに着目したものである。即ち、当該圧力を測定することによって、反応生成物たる気体の生成量(体積)を理想気体理論を適用した気体の状態方程式により算出し、さらに反応生成物の生成量は反応に供した水の量に比例(正比例)するため、水分量を容易に算出することができる。容器内の圧力の測定方法は特に限定されない。好ましい一例を示すと、密封反応容器の蓋(キャップ)又は栓を貫通して測定端が容器内部空間に達する検知針(プローブ)を備えた圧力センサーで行う。ここで、検知針と貫通部分の容器との間は僅かな隙間も内圧漏れの原因となるので許容されない。圧力センサーは公知の電気抵抗圧力計、電離真空計又は微差圧計などを使用することができる。反応に供した水の量が算出できれば、各操作段階での採取量を勘案し、測定対象としたモルタル・コンクリート中の含水量(単位水量)又は含水率に換算する。 以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明する。 [実施例1] 普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)14Kg、細骨材(F.M.=2.65、静岡県浜岡産陸砂)50.90Kg、粗骨材A(岩瀬産砕石5号)27.6Kg、粗骨材B(岩瀬産砕石6号)14.85Kg及び水9Kgをパン型強制練りミキサに一括投入し、20℃で3分間混練してコンクリート0.05m3を作製した。内容積500ccのステンレス製計量カップを用い、可塑状態の該コンクリートからカップ上端面まで充填できる量を採取した。採取したコンクリートの全量を、内容積2000mlで口部直径75mmのポリエチレン製瓶に移し、これにエチルアルコール(JIS試薬特級)500ccを加えた。瓶を閉栓し、約2分間振とうした後、1分間の静置を経て開栓した。瓶中のできるだけ上部から液をシリンジで0.25ml採取し、底部閉口の内径15mm、高さ135mmのポリプロピレン製円筒管に入れた。次いで、鉱油に濃度20%となるよう水素化カルシウムを混合させた懸濁液420mgを1mlの芳香族溶剤で希釈したものを封入したガラスアンプルを折開し、全量を該円筒管に入れた。該円筒管をシリコンゴム製の栓が中央部に填め込まれた構造のねじ込み式キャップ(ポリプロピレン製)で密封した。密封した円筒管を約1分間振とうし、更に3分間静置した。静置後は密封容器内部の圧力を市販の電気抵抗圧力計で測定した。ここで、容器内圧の検出は、先端部に圧力検出のための小孔を備えた圧力検知針をキャップ中央のシリコンゴム栓部から容器内に貫通させ、密封容器の内気を検知針を介して圧力計本体に導いた。測定された圧力値は2.73気圧であった。この圧力値に理想気体の状態方程式を適用し、発生気体(水素ガス)の生成量を算出し、その値から気体発生の反応に費やされた水の量を算出したところ、90.5cm3となった。この水量をコンクリート1m3中の含水量に換算した結果、可塑状態のコンクリートの単位水量は181Kg/m3となり、コンクリート配合時の設計単位水量(180Kg/m3)と高い精度で一致した。この方法で、可塑状態のモルタルからの測定試料採取から圧力値を得るまでに要した時間は、初めて行う測定者による場合、約17分となった。 [実施例2] 測定対象とする可塑状態のコンクリートが、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)17.5Kg、細骨材(F.M.=2.65、静岡県浜岡産陸砂)42.5Kg、粗骨材A(岩瀬産砕石5号)30.50Kg、粗骨材B(岩瀬産砕石6号)16.45Kg、ポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名;ポゾリスNo.70、株式会社ポゾリス物産製)45g及び水8Kgをパン型強制練りミキサに一括投入し、20℃で3分間混練して作製されたものであること以外は、実施例1と同じ採取量及び同じ方法で可塑状態のコンクリートの含水量を測定した。その結果、可塑状態のコンクリートの単位水量はコンクリート中の単位水量は162Kg/m3となり、コンクリート配合時の設計単位水量(160Kg/m3)と比較的高い精度で一致した。この方法で、可塑状態のコンクリートからの測定試料採取から圧力値を得るまでに要した時間は、初めて行う測定者による場合、約18分となった。 [比較例1] 実施例2と同様の配合組成の可塑状態のコンクリートから2000gを採取し、採取物の全量を、内容積2000mlで口部直径75mmのポリエチレン製瓶に移し、これにエチルアルコール(JIS試薬特級)400ccを加えた。瓶を閉栓し、約2分間振とうした後、10分間の静置を経て開栓した。目視で透明と判断された上澄み液をシリンジで100cc採取し、採取液を濾過した。濾液の比重をJIS B 7525に規定の標準比重計を用いて20℃の温度下で測定した。測定された比重値は0.956であった。この比重値に相当するエチルアルコール−水混合物のエチルアルコール濃度を、化学便覧に記載されているエチルアルコールの濃度と比重の対応表(例えば、化学便覧基礎編II改訂2版「有機化合物水溶液の比重と密度の表−表7.18 エタノール」丸善株式会社、p.678)から求めたところ、エチルアルコール濃度は27%となった。この濃度値からエチルアルコール−水混合物中の水含有量を算出した結果、147.9gとなり、可塑状態のコンクリート1m3中の含水量に換算した場合、170Kg/m3となり、コンクリート配合時の設計単位水量(160Kg/m3)と開きがあった。また、この方法で、可塑状態のコンクリートからの測定試料採取からエチルアルコール−水混合物のエチルアルコール濃度を得るまでに要した時間は、初めて行う測定者による場合、約38分となった。可塑状態のモルタル又はコンクリートから有機溶剤で水を抽出し、抽出物の一部を採取し、次いで採取した抽出物を一定容積の反応容器に入れ、カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムの何れかを加えて密封し、反応生成した気体の圧力を測定することを特徴とする水分簡易測定方法。一定容積の反応容器に入れる抽出物が、採取した抽出物を濾過した後の濾液であることを特徴とする請求項1記載の水分簡易測定方法。反応容器中に入れる抽出物が5ml以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の水分簡易測定方法。反応容器の内容積が反応容器中に入れる抽出物体積の10〜500倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の水分簡易測定方法。 【課題】 可塑状態のモルタルやコンクリートの水分を測定するのに適した方法であって、測定者の経験・技能等に殆ど左右されず、極少量の試料で正確な水分量を短時間に簡単に把握することができ、しかも施工現場での測定にも適した水分の簡易測定方法を提供する。【解決手段】 可塑状態のモルタル又はコンクリートから有機溶剤で水を抽出し、抽出物の一部を採取し、次いで採取した抽出物を一定容積の反応容器に入れ、カルシウムカーバイド、水素化カルシウムまたは水素化ナトリウムの何れかを加えて密封し、反応生成した気体の圧力を圧力センサー等で測定する。【選択図】 なし


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