生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アスコルビン酸配糖体の製造方法
出願番号:2003356713
年次:2005
IPC分類:7,C12P19/60


特許情報キャッシュ

萩原 俊彦 間山 千郷 JP 2005117959 公開特許公報(A) 20050512 2003356713 20031016 アスコルビン酸配糖体の製造方法 株式会社ニチレイ 000134970 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 安田 徹夫 100107168 藤田 節 100118773 萩原 俊彦 間山 千郷 7C12P19/60C12P19/60C12R1:66C12P19/60C12R1:885 JPC12P19/60C12P19/60C12R1:66C12P19/60C12R1:885 3 OL 6 4B064 4B064AF52 4B064CA21 4B064DA10 4B064DA13 本発明は、アスコルビン酸配糖体の製造方法に関する。 近年、アスコルビン酸は活性酸素消去能やコラーゲン合成の促進効果を有していることから注目を浴びている。 本来、アスコルビン酸は、熱や光によって容易に酸化され、分解される。最近になって、アスコルビン酸配糖体はアスコルビン酸よりも高い安定性を持つことが明らかとなり、化粧品等への応用が行われている。また、アスコルビン酸配糖体であるL-アスコルビン酸2-グルコシドは、食品添加物として、指定が検討されている(2003年5月23日時点)。 このため、アスコルビン酸配糖体の工業的な製造方法として、α-グルコシル糖化合物等を用いた方法が既に開発されている(特許第2926412号公報(特許文献1))。 また、特公昭48−38158号公報(特許文献2)にはL−アスコルビン酸塩にマルトース又はオリゴ糖、含有澱粉加水分解物を加えアスペルギルス属に属する微生物等を加えてアスコルビン酸グルコシド又はオリゴシドを合成する方法が記載されている。 従来、アスコルビン酸配糖体を製造するには、基質としてβ−グルコシル糖化合物ではなく、α-グルコシル糖化合物が無くてはならないと考えられてきた。そのため、これらの方法では、基質としてアスコルビン酸のほかにα-グルコシル糖化合物を必要としていた。すなわち、果実中のアスコルビン酸を配糖化して、充分量のアスコルビン酸配糖体を得るためにはα-グルコシル糖化合物の添加が必須であった。特許第2926412号公報特公昭48−38158号公報岩波理化学辞典第5版 本発明の課題は、食品素材からアスコルビン酸配糖体を製造する方法を開発すること、及び基質としてβ−グルコシル糖化合物を用いてアスコルビン酸配糖体を製造する方法を開発することにある。 本発明では、前記課題を解決するために、アスコルビン酸配糖体を得るための酵素反応の基質として、アスコルビン酸のほかに、β−グルコシル糖化合物、特に植物の細胞壁の主要構成成分であるセルロース(β-1,4-グルカン)を用いた。このセルロースは、果実の主要構成成分であるため、果汁製造等の産業分野における応用可能性も極めて高い。 更に、配糖化反応を触媒する酵素としてセルロース分解酵素を用いた。その結果、アスコルビン酸、β−グルコシル糖化合物(特にセルロース)、セルロース分解酵素を用いることで天然食品素材からアスコルビン酸配糖体を得ることができた。 すなわち、本発明は(1) β−グルコシル糖化合物とアスコルビン酸を含む溶液に、セルロース分解能を有する酵素を添加し、アスコルビン酸配糖体を得ることを特徴とするアスコルビン酸配糖体の製造方法、(2) β−グルコシル糖化合物がセルロースであることを特徴とする(1)記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法、(3) セルロース分解能を有する酵素が、アスペルギルス属あるいはトリコデルマ属の菌体に由来し、セルラーゼを含む酵素群あるいは高純度に精製されたセルラーゼであることを特徴とする(1)又は(2)記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法に関する。 β−グルコシル糖化合物としては、β−1,4−グルカン(セルロース)、β−1,3−グルカン、β−1,6−グルカン(プスツラン)等があるが最も好ましいのはセルロースである。 セルロースは、岩波理化学辞典第5版(技術文献1)「セルロース」の項に記載されているように、「自然界に産出する有機物中もっとも多量に存在する」成分である。また、セルロースは工業的な果汁製造工程で発生する果実圧搾物の主成分でもあり、廃棄されている例も多い。 従って、セルロースを基質として用いてアスコルビン酸配糖体を製造することは、原料の入手が容易であるばかりではなく、廃棄されている有機物の有効利用に資するものである。 また、セルロースを含む果実圧搾物などにセルロース分解酵素を添加することで、アスコルビン酸配糖体を含有する食品の工業的な生産が可能となる。 本発明により、セルロースという一般的な天然素材を用いて、容易に効率よくアスコルビン酸を配糖化し、安定性の高いアスコルビン酸配糖体を得ることが可能となる。これにより、アスコルビン酸配糖体を安価に安定的に供給することができる。更に、アスコルビン酸の安定性が高まることで、アスコルビン酸の反応によって起こる果汁の退色を抑制することが可能となる。 本発明に用いるセルロースとアスコルビン酸を含む溶液は、実験用試薬等から調製した溶液に限定されず、例えば果実の圧搾物や果汁、植物の繊維分や圧搾物でもよく、植物由来物と試薬との組み合わせでも良い。その際に用いる果実のアスコルビン酸濃度は、通常、0.03w/w%以上であれば良く、例えばアセロラ、ミカン、キウイが挙げられる。 本発明に用いるセルロース分解酵素は食品用酵素に限定されず、実験用試薬等の精製された酵素でも良い。しかし、特に効果的なものは、アスペルギルス属あるいはトリコデルマ属の菌体に由来し、セルラーゼを含む酵素群あるいは高純度に精製されたセルラーゼである。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。 セルロース 0.25gとL-アスコルビン酸 40 mgを、pH 3.0のリン酸緩衝液 2.0 mlに溶解した後、食品添加物のセルラーゼ(アマノ社製「セルラーゼA」:アスペルギルス属菌体由来)0.25g(7500U)を添加し、25℃の室温にて1時間反応させた。この反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、アスコルビン酸とは溶出時間の異なるアスコルビン酸配糖体のピークを確認した。この結果を図1に示す。 HPLCでの分析条件を以下に示す。 カラム:ODSカラム(4.6×250mm) 流速 :1.0ml/min 移動相:100mMリン酸緩衝液(pH 3.0) 検出 :フォトダイオードアレー アスコルビン酸含量が高いことで知られるアセロラの果実から種子を取り除き、残りの可食部を磨り潰すことで得たピューレ5gに対し、セルラーゼ(アマノ社製「セルラーゼA」)1g(30000U)を添加して、アスコルビン酸配糖体を製造した。 室温(25℃)にて30分間反応させた後、実施例1と同様にHPLCにてアスコルビン酸配糖体を確認した。この結果を図2に示す。 図2からみると、アスコルビン酸(VC)とアスコルビン酸配糖体とを加算した総アスコルビン酸量の45%が配糖体となっていることが確認された。 なお、アスコルビン酸(VC)よりアスコルビン酸配糖体の方が安定性を持つことを実証するために、両者を放置した場合の残存率を測定したが、その結果を示したものが図3である。これを見ると48時間たつとアスコルビン酸(VC)は10%程度しか残存していないのに対して、アスコルビン酸配糖体は50%程度残存していることがわかる。実験用試薬のセルロースとアスコルビン酸(VC)に食品用酵素剤のセルロース分解酵素を添加した反応液のHPLCでのクロマトグラムの図。アセロラ果実圧搾物にセルロース分解酵素を添加した反応液のHPLCでのクロマトグラムの図。アスコルビン酸(VC)とアスコルビン酸配糖体との残存率の差異を示す図。 β−グルコシル糖化合物とアスコルビン酸を含む溶液に、セルロース分解能を有する酵素を添加し、アスコルビン酸配糖体を得ることを特徴とするアスコルビン酸配糖体の製造方法。 β−グルコシル糖化合物がセルロースであることを特徴とする請求項1記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法。 セルロース分解能を有する酵素が、アスペルギルス属あるいはトリコデルマ属の菌体に由来し、セルラーゼを含む酵素群あるいは高純度に精製されたセルラーゼであることを特徴とする請求項1又は2記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法。 【課題】 本発明の課題は、食品素材からアスコルビン酸配糖体を製造する方法を開発すること、及び基質としてβ−グルコシル糖化合物を用いてアスコルビン酸配糖体を製造する方法を開発することにある。【解決手段】 本発明では、前記課題を解決するために、アスコルビン酸配糖体を得るための酵素反応の基質として、アスコルビン酸のほかに、β−グルコシル糖化合物、特に植物の細胞壁の主要構成成分であるセルロース(β-1,4-グルカン)を用いた。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_アスコルビン酸配糖体の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アスコルビン酸配糖体の製造方法
出願番号:2003356713
年次:2009
IPC分類:C12P 19/60,C12R 1/66,C12R 1/885


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萩原 俊彦 間山 千郷 JP 4216688 特許公報(B2) 20081114 2003356713 20031016 アスコルビン酸配糖体の製造方法 株式会社ニチレイフーズ 505126610 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 安田 徹夫 100107168 萩原 俊彦 間山 千郷 20090128 C12P 19/60 20060101AFI20090108BHJP C12R 1/66 20060101ALN20090108BHJP C12R 1/885 20060101ALN20090108BHJP JPC12P19/60C12P19/60C12R1:66C12P19/60C12R1:885 C12P 19/60 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus(JDreamII) PubMed 国際公開第03/057707(WO,A1) 特開平06−284897(JP,A) Enzyme Microb Technol,1986年,Vol.8 2 2005117959 20050512 5 20051101 長井 啓子 本発明は、アスコルビン酸配糖体の製造方法に関する。 近年、アスコルビン酸は活性酸素消去能やコラーゲン合成の促進効果を有していることから注目を浴びている。 本来、アスコルビン酸は、熱や光によって容易に酸化され、分解される。最近になって、アスコルビン酸配糖体はアスコルビン酸よりも高い安定性を持つことが明らかとなり、化粧品等への応用が行われている。また、アスコルビン酸配糖体であるL-アスコルビン酸2-グルコシドは、食品添加物として、指定が検討されている(2003年5月23日時点)。 このため、アスコルビン酸配糖体の工業的な製造方法として、α-グルコシル糖化合物等を用いた方法が既に開発されている(特許第2926412号公報(特許文献1))。 また、特公昭48−38158号公報(特許文献2)にはL−アスコルビン酸塩にマルトース又はオリゴ糖、含有澱粉加水分解物を加えアスペルギルス属に属する微生物等を加えてアスコルビン酸グルコシド又はオリゴシドを合成する方法が記載されている。 従来、アスコルビン酸配糖体を製造するには、基質としてβ−グルコシル糖化合物ではなく、α-グルコシル糖化合物が無くてはならないと考えられてきた。そのため、これらの方法では、基質としてアスコルビン酸のほかにα-グルコシル糖化合物を必要としていた。すなわち、果実中のアスコルビン酸を配糖化して、充分量のアスコルビン酸配糖体を得るためにはα-グルコシル糖化合物の添加が必須であった。特許第2926412号公報特公昭48−38158号公報岩波理化学辞典第5版 本発明の課題は、食品素材からアスコルビン酸配糖体を製造する方法を開発すること、及び基質としてβ−グルコシル糖化合物を用いてアスコルビン酸配糖体を製造する方法を開発することにある。 本発明では、前記課題を解決するために、アスコルビン酸配糖体を得るための酵素反応の基質として、アスコルビン酸のほかに、β−グルコシル糖化合物、特に植物の細胞壁の主要構成成分であるセルロース(β-1,4-グルカン)を用いた。このセルロースは、果実の主要構成成分であるため、果汁製造等の産業分野における応用可能性も極めて高い。 更に、配糖化反応を触媒する酵素としてセルロース分解酵素を用いた。その結果、アスコルビン酸、β−グルコシル糖化合物(特にセルロース)、セルロース分解酵素を用いることで天然食品素材からアスコルビン酸配糖体を得ることができた。 すなわち、本発明は(1) β−グルコシル糖化合物とアスコルビン酸を含む溶液に、セルロース分解能を有する酵素を添加し、アスコルビン酸配糖体を得ることを特徴とするアスコルビン酸配糖体の製造方法、(2) β−グルコシル糖化合物がセルロースであることを特徴とする(1)記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法、(3) セルロース分解能を有する酵素が、アスペルギルス属あるいはトリコデルマ属の菌体に由来し、セルラーゼを含む酵素群あるいは高純度に精製されたセルラーゼであることを特徴とする(1)又は(2)記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法に関する。 β−グルコシル糖化合物としては、β−1,4−グルカン(セルロース)、β−1,3−グルカン、β−1,6−グルカン(プスツラン)等があるが最も好ましいのはセルロースである。 セルロースは、岩波理化学辞典第5版(技術文献1)「セルロース」の項に記載されているように、「自然界に産出する有機物中もっとも多量に存在する」成分である。また、セルロースは工業的な果汁製造工程で発生する果実圧搾物の主成分でもあり、廃棄されている例も多い。 従って、セルロースを基質として用いてアスコルビン酸配糖体を製造することは、原料の入手が容易であるばかりではなく、廃棄されている有機物の有効利用に資するものである。 また、セルロースを含む果実圧搾物などにセルロース分解酵素を添加することで、アスコルビン酸配糖体を含有する食品の工業的な生産が可能となる。 本発明により、セルロースという一般的な天然素材を用いて、容易に効率よくアスコルビン酸を配糖化し、安定性の高いアスコルビン酸配糖体を得ることが可能となる。これにより、アスコルビン酸配糖体を安価に安定的に供給することができる。更に、アスコルビン酸の安定性が高まることで、アスコルビン酸の反応によって起こる果汁の退色を抑制することが可能となる。 本発明に用いるセルロースとアスコルビン酸を含む溶液は、実験用試薬等から調製した溶液に限定されず、例えば果実の圧搾物や果汁、植物の繊維分や圧搾物でもよく、植物由来物と試薬との組み合わせでも良い。その際に用いる果実のアスコルビン酸濃度は、通常、0.03w/w%以上であれば良く、例えばアセロラ、ミカン、キウイが挙げられる。 本発明に用いるセルロース分解酵素は食品用酵素に限定されず、実験用試薬等の精製された酵素でも良い。しかし、特に効果的なものは、アスペルギルス属あるいはトリコデルマ属の菌体に由来し、セルラーゼを含む酵素群あるいは高純度に精製されたセルラーゼである。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。 セルロース 0.25gとL-アスコルビン酸 40 mgを、pH 3.0のリン酸緩衝液 2.0 mlに溶解した後、食品添加物のセルラーゼ(アマノ社製「セルラーゼA」:アスペルギルス属菌体由来)0.25g(7500U)を添加し、25℃の室温にて1時間反応させた。この反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、アスコルビン酸とは溶出時間の異なるアスコルビン酸配糖体のピークを確認した。この結果を図1に示す。 HPLCでの分析条件を以下に示す。 カラム:ODSカラム(4.6×250mm) 流速 :1.0ml/min 移動相:100mMリン酸緩衝液(pH 3.0) 検出 :フォトダイオードアレー アスコルビン酸含量が高いことで知られるアセロラの果実から種子を取り除き、残りの可食部を磨り潰すことで得たピューレ5gに対し、セルラーゼ(アマノ社製「セルラーゼA」)1g(30000U)を添加して、アスコルビン酸配糖体を製造した。 室温(25℃)にて30分間反応させた後、実施例1と同様にHPLCにてアスコルビン酸配糖体を確認した。この結果を図2に示す。 図2からみると、アスコルビン酸(VC)とアスコルビン酸配糖体とを加算した総アスコルビン酸量の45%が配糖体となっていることが確認された。 なお、アスコルビン酸(VC)よりアスコルビン酸配糖体の方が安定性を持つことを実証するために、両者を放置した場合の残存率を測定したが、その結果を示したものが図3である。これを見ると48時間たつとアスコルビン酸(VC)は10%程度しか残存していないのに対して、アスコルビン酸配糖体は50%程度残存していることがわかる。実験用試薬のセルロースとアスコルビン酸(VC)に食品用酵素剤のセルロース分解酵素を添加した反応液のHPLCでのクロマトグラムの図。アセロラ果実圧搾物にセルロース分解酵素を添加した反応液のHPLCでのクロマトグラムの図。アスコルビン酸(VC)とアスコルビン酸配糖体との残存率の差異を示す図。 セルロースとアスコルビン酸を含む溶液に、セルロース分解能を有する酵素を添加し、アスコルビン酸配糖体を得ることを特徴とするアスコルビン酸配糖体の製造方法であって、該セルロースとアスコルビン酸を含む溶液がアセロラ果実由来物である、上記方法。 セルロース分解能を有する酵素が、アスペルギルス属あるいはトリコデルマ属の菌体に由来し、セルラーゼを含む酵素群あるいは高純度に精製されたセルラーゼであることを特徴とする請求項1記載のアスコルビン酸配糖体の製造方法。


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