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タイトル:公開特許公報(A)_マレイミド付加体およびそれを含有する組成物
出願番号:2003346908
年次:2005
IPC分類:7,C07D403/14,C07D417/14,C08K5/3417,C08L21/00,C08L101/00


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崔 源文 JP 2005112749 公開特許公報(A) 20050428 2003346908 20031006 マレイミド付加体およびそれを含有する組成物 横浜ゴム株式会社 000006714 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 崔 源文 7C07D403/14C07D417/14C08K5/3417C08L21/00C08L101/00 JPC07D403/14C07D417/14C08K5/3417C08L21/00C08L101/00 4 OL 24 4C063 4J002 4C063AA03 4C063BB08 4C063CC43 4C063CC62 4C063DD04 4C063EE10 4J002AA031 4J002AA051 4J002AA071 4J002AC011 4J002AC031 4J002AC061 4J002AC071 4J002AC081 4J002AC091 4J002AC121 4J002BB151 4J002BB211 4J002BB241 4J002EV086 4J002FD010 4J002FD020 4J002FD030 4J002FD140 4J002FD150 4J002FD156 4J002GJ01 4J002GJ02 本発明は、マレイミド付加体およびそれを含有する組成物に関する。より詳しくは、チオール化合物およびビスマレイミド化合物の保護基として用いることができるマレイミド付加体およびそれを含有するゴム組成物ならびに樹脂組成物に関する。 ゴム組成物に配合することができる化合物として、1分子中に1個以上のチオール基(メルカプト基)を有する化合物が知られている。しかしながら、チオール基は、非常に反応性の高い置換基であることから、金属酸化物やアミン化合物等の触媒の存在下において、エポキシ基、イソシアネート基およびゴム分子中の二重結合等と容易に反応し、また自己酸化反応などにより高分子量化を起こすなど、作業性の低下等の原因となることがあった。 特に、チオール基を有する化合物を加硫促進剤としてゴム組成物に配合した場合には、配合時における低温での反応やロール混練時におけるゴムのやけが生起して作業性が低下したり、加硫時においてゴムの加硫が過度に進行して加硫戻りが生起したりする問題があった。 一方、ビスマレイミド化合物をゴム組成物に配合することで、ゴムの耐熱性が上がるばかりでなく、動的貯蔵弾性率(E′)が高くなり、該ゴム組成物をトレッドに用いると操縦安定性が上がることが知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。 しかしながら、ビスマレイミド化合物をゴム組成物に配合した場合には、加硫時において、ビスマレイミド化合物の単独重合が生起したり、ビスマレイミド化合物により加硫反応が阻害されたり、ビスマレイミド化合物と加硫促進剤との反応によりビスマレイミド化合物自体が分解、ガス化したりする問題があった。特開2000−248115号公報特開2001−64443号公報 そこで、本発明は、従来のゴム組成物における上述した種々の問題を解決することができるマレイミド付加体、該マレイミド付加体を含有するゴム組成物および樹脂組成物の提供を目的とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の式で表されるのマレイミド付加体を含有する組成物が、上述した種々の問題を解決することができ、さらに耐熱老化性に優れることを見出し、本発明を達成するに至った。すなわち、本発明は、下記(1)および(2)に示すマレイミド付加体、下記(3)に示すゴム組成物および下記(4)に示す樹脂組成物を提供するものである。 (1)下記一般式(1)で表されるマレイミド付加体(第1の態様)。 式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R2 は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表す。 (2)下記一般式(2)で表されるマレイミド付加体(第2の態様)。 式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R3 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、nは1〜5の整数を表す。また、複数のR1 およびR3 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。 (3)上記(1)または(2)に記載のマレイミド付加体を含有するゴム組成物(第3の態様)。 (4)上記(1)または(2)に記載のマレイミド付加体を含有する樹脂組成物(第4の態様)。 (5)1分子中にチオール基を1個有する化合物(A)(以下、単に「チオール基含有化合物(A)」という場合がある。)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られる上記(1)に記載のマレイミド付加体の製造方法。 (6)1分子中にチオール基を2個有する化合物(C)(以下、単に「チオール基含有化合物(C)」という場合がある。)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られる上記(2)にに記載のマレイミド付加体の製造方法。 以下に説明するように、本発明によれば、従来のゴム組成物で問題であった加硫促進剤の配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけ、および加硫戻りによる作業性の低下を解決することができ、さらに耐熱老化性に優れるマレイミド付加体、および、それを含有するゴム組成物ならびに樹脂組成物の提供することができるため有用である。 以下に、本発明を詳細に説明する。 本発明の第1の態様に係るマレイミド付加体(以下、単に「本発明の第1のマレイミド付加体」という。)は、下記一般式(1)で表されるマレイミド付加体である。 上記一般式(1)中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。 R1 の炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−へキシレン基、1,8−オクチレン基、1,10−デシレン、1,12−ドデシレン基等が挙げられ; 炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基としては、具体的には、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基等が挙げられ; 炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基としては、具体的には、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2−メチル−1、4−フェニレン基、4−メチル−1,3−フェニレン、ビフェニル−4,4′−ジイル基、ジフェニルメタン−4,4′−ジイル基、ジフェニルスルホン−3,3′−ジイル基[スルホニルビス(1,3−フェニレン)基]、下記式(3)で表される置換基等が挙げられる。 炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基としては、具体的には、例えば、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイル基等が挙げられる。 これらのうち、上記一般式(1)中のR1 としては、1,6−へキシレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、ジフェニルメタン−4,4′−ジイル基、ジフェニルスルホン−3,3′−ジイル基であることが、得られる硬化物の分子骨格が剛直になり、耐熱性が向上する理由から好ましい。 また、これら以外に、上記一般式(1)中のR1 としては、後述するマレイミド化合物(B)の具体例からマレイミド基を除いた2価の残基であってもよい。 上記一般式(1)中、R2 は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。 ここで、有機基とは、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルカノイルオキシ基、アラルキルオキシ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子団により置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール基等のことであり、オキシアルキル基、脂肪族炭化水素基、芳香族基、複素環基であることが好ましく、これらを組み合わせて形成される置換基であってもよい。これらのうち、後述する熱解離が生起し易いといった理由から、芳香族基または複素環基であることが好ましい。また、分岐して置換基を有する場合の置換基は、本発明において特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。 このようなR2 としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2メチル−1−プロピル基、1−ブチル基、フェニル基、2−チアゾール基、2−チアゾリン基、2−ベンゾチアゾール基、2−ベンゾオキサゾール基、2−ベンズイミダゾール基等が挙げられ、これら以外に、後述するチオール基含有化合物(A)の具体例からチオール基を除いた1価の残基であってもよい。 これらのうち、フェニル基、2−チアゾリン基、2−ベンゾチアゾール基、2−ベンゾオキサゾール基、2−ベンズイミダゾール基であることが好ましい。 また、本発明の第1のマレイミド付加体は、チオール基含有化合物(A)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られるマレイミド付加体であることが好ましい。以下に、チオール基含有化合物(A)およびビスマレイミド化合物(B)について詳述する。 <チオール基含有化合物(A)> 上記チオール基含有化合物(A)は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基と1個のチオール基とで構成される化合物であれば特に限定されず、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。 ここで、有機基は、上記一般式(1)中のR2 で説明したものと基本的に同一である。また、分岐して置換基を有する場合の置換基は、ビスマレイミド化合物(B)との反応に影響をおよぼさないものであれば特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。 このようなチオール基含有化合物(A)としては、具体的には、例えば、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、n−ヘキサデカンチオール、tert−ヘキサデカンチオール、n−オクタデカンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、ベンゼンチオール(チオフェノール)、4−ブロモベンゼンチオール、3−クロロベンゼンチオール、4−クロロベンゼンチオール、2−フルオロベンゼンチオール、3−フルオロベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール、3−メトキシベンゼンチオール、4−メトキシベンゼンチオール、4−ニトロチオフェノール、3,4−ジクロロベンゼンチオール、2,3−ジクロロベンゼンチオール、2,6−ジクロロベンゼンチオール、3,5−ジクロロベンゼンチオール、2,4−ジクロロベンゼンチオール、2,4−ジメチルベンゼンチオール、2,5−ジメチルベンゼンチオール、2−ナフタレンチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブロモ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオール等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 これらのうち、芳香族性のチオール基を有する化合物(以下、単に「芳香族性チオール」という場合がある。)もしくはチオール基を含有する複素環式化合物(以下、単に「複素環式チオール」という場合がある。)であることが、後述する熱解離特性を利用する際に有効であるため好ましい。 具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブロモ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾールであることが、後述する熱解離後に加硫促進剤として働く理由からも好ましく、2−メルカプトベンゾチアゾールを用いることがより好ましい。 <ビスマレイミド化合物(B)> 上記ビスマレイミド化合物(B)は、上記チオール基含有化合物(A)と反応し、上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体が得られるビスマレイミド化合物であれば特に限定されない。 このようなビスマレイミド化合物(B)として、具体的には、例えば、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドへキサン、N,N′−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレン−2−メチルジマレイミド、N,N′−(1,1′−ビフェニル−4,4′−ジイル)ビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジイル)ビスマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N′−(メチレンビス(2−クロロ−4,1−フェニレン))ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(商品名:BMI−70(ケイアイ化成社製))、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(商品名:BMI−80(ケイアイ化成社製))、N,N′−(スルホニルビス(1,3−フェニレン))ジマレイミド、N,N′−(4,4′−トリメチレングリコールジベンゾエート)ビスマレイミド等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、マレイミド変性高分子化合物(樹脂、ゴム等)であってもよい。 これらのうち、1,6−ビスマレイミドへキサン、1,2−ビスマレイミドエタン、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドであることが経済的な理由から好ましい。 上記チオール基含有化合物(A)と上記ビスマレイミド化合物(B)との反応は、有機溶媒中に、チオール基含有化合物(A)のチオール基に対して、ビスマレイミド化合物(B)のマレイミド基が1.1倍当量以上となるようにチオール基含有化合物(A)およびビスマレイミド化合物(B)を加え、室温〜150℃、1〜24時間攪拌して行うことが好ましい。 ここで、有機溶媒は、上記チオール基含有化合物(A)および上記ビスマレイミド化合物(B)がともに溶解するものであれば特に限定されず、その具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N, N−ジメチルホルムアミドが好適に挙げられる。これらのうち、メチルエチルケトン、N, N−ジメチルホルムアミドであることが溶解性が高い理由から好ましい。 反応終了後、減圧下で有機溶剤を濃縮除去することにより上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体が得られる。 以上より、上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体の具体例としては、上記で例示したチオール基含有化合物(A)およびビスマレイミド化合物(B)それぞれの具体例の組合せが挙げられる。 それらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾールと1,6−ビスマレイミドへキサンとの反応物である下記式(4)に示される化合物、2−メルカプトベンゾチアゾールとN,N′−1,3−フェニレンジマレイミドとの反応物である下記式(5)に示される化合物、2−メルカプトベンゾチアゾールと4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドとの反応物である下記式(6)に示される化合物および2−メルカプトベンゾチアゾールとN,N′−(スルホニルビス(1,3−フェニレン))ジマレイミドとの反応物である下記式(7)に示される化合物等が後述する熱解離し易い理由から好ましく挙げられる。 これらのうち、下記式(5)、(6)で示される化合物が経済的な理由から好ましい。 本発明の第2の態様に係るマレイミド付加体(以下、単に「本発明の第2のマレイミド付加体」という。)は、下記一般式(2)で表されるマレイミド付加体である。 上記一般式(2)中、nは1〜5の整数を表し、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。 ここで、R1 は、上記一般式(1)中で説明したものと基本的に同一である。また、複数のR1 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。 上記一般式(2)中、R3 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。また、複数のR3 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。 R3 の炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基としては、例えば、上記一般式(1)中のR2 で例示した活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基からさらに水素1原子を除いた基が挙げられる。 このようなR3 としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基等の2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;1,3,5−トリアジン−2,6−ジイル基、1,3,4−トリアジン−2,5−ジイル基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基等が挙げられ、これら以外に、後述するチオール基含有化合物(C)の具体例からチオール基を除いた2価の残基であってもよい。これらのうち、1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3,5−トリアジン−2,6−ジイル基、1,3,4−トリアジン−2,5−ジイル基であることが好ましい。 また、本発明の第2のマレイミド付加体は、チオール基含有化合物(C)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られるマレイミド付加体であることが好ましい。ここで、ビスマレイミド化合物(B)は、上述した第1のマレイミド付加体において説明したものと基本的に同一である。以下に、チオール基含有化合物(C)について詳述する。 <チオール基含有化合物(C)> 上記チオール基含有化合物(C)は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基と2個のチオール基とで構成される化合物であれば特に限定されず、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。 ここで、有機基は、上記一般式(2)中のR3 で説明したものと基本的に同一である。また、分岐して置換基を有する場合の置換基は、ビスマレイミド化合物(B)との反応に影響をおよぼさないものであれば特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。 このようなチオール基含有化合物(C)としては、具体的には、例えば、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 これらのうち、芳香族性チオールもしくは複素環式チオールであることが、後述する熱解離特性を利用する際に有効であるため好ましい。 具体的には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンであることが、この化合物が個体で臭気がないため取り扱い易く、後述する熱解離し易いといった理由からより好ましい。 上記チオール基含有化合物(C)と上記ビスマレイミド化合物(B)との反応は、ビスマレイミド化合物(B)のマレイミド基に対して、チオール基含有化合物(C)のチオール基が0.55〜0.95倍当量、好ましくは0.6〜0.9倍当量となる量比で、有機溶媒中、室温〜150℃、1〜24時間攪拌して行うことが好ましい。 ここで、有機溶媒は、上記チオール基含有化合物(C)および上記ビスマレイミド化合物(B)がともに溶解するものであれば特に限定されず、その具体例としては、上記で例示した有機溶剤が挙げられる。 反応終了後、減圧下で有機溶剤を濃縮除去することにより上記一般式(2)で表されるマレイミド付加体が得られる。 以上より、上記一般式(2)で表されるマレイミド付加体の具体例としては、上記で例示したチオール基含有化合物(C)およびビスマレイミド化合物(D)それぞれの具体例の組合せが挙げられる。 それらのうち、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンと4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドとの反応物である下記式(8)に示される化合物が後述する熱解離し易い理由から好ましく挙げられる。 本発明の第1のマレイミド付加体および第2のマレイミド付加体(以下、単に「本発明のマレイミド付加体」という場合がある。)は、100〜250℃、好ましくは140〜200℃で加熱されることにより熱解離を生起する効果を有する。 この熱解離は、本発明のマレイミド付加体におけるマレイミド化合物からなる部位において生起するものであって、熱解離時間は、1〜60分であることが好ましく、1〜30分であることがより好ましい。 したがって、本発明のマレイミド付加体である上記一般式(1)および(2)で表されるマレイミド付加体は、熱解離させることにより、上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体からは、下記一般式(9)で表される化合物と下記一般式(10)で表される化合物とが分離生成され、上記一般式(2)で表されるマレイミド付加体からは、n+1個の下記一般式(11)で表される化合物とn+2個の下記一般式(10)で表される化合物とが分離生成される。 式中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ上記一般式(1)および(2)で説明したものと基本的に同一である。 上記一般式(9)、(10)および(11)で表される化合物としては、具体的には、例えば、それぞれ上記で例示したチオール基含有化合物(A)、ビスマレイミド化合物(B)およびチオール基含有化合物(C)が挙げられるが、これらに限定されない。 また、上記一般式(9)および(11)で表される化合物は、チオール基を有しているため反応性が高く、ゴム組成物、樹脂組成物等に配合した場合、配合時における低温での反応やロール混練時におけるゴムのやけが生起して作業性が低下したり、加硫時においてゴムの加硫が過度に進行して加硫戻りが生起したりする問題があった。 一方、上記一般式(10)で表される化合物は、ゴム加硫時に加硫を遅くしたり、単独重合反応を起こすなどの問題があった。 これに対し、本発明においては、本発明のマレイミド付加体をゴムもしくは樹脂組成物に配合した後に、熱解離により上記一般式(9)、(10)および(11)で表される化合物を分離生成させることにより、上述した配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけ、加硫戻りおよび単独重合反応等を防ぐことが可能となった。すなわち、上記一般式(1)および(2)で表されるマレイミド付加体は、熱解離温度以下においては、上記一般式(9)および(11)で表される化合物のチオール基の保護基として機能しているということになる。 したがって、本発明のマレイミド付加体は、熱解離後に分離生成する上記式(9)および(11)で表される化合物の性質を考慮して製造されるのが好ましい。具体的には、例えば、硫黄加硫ゴムの加硫促進剤として働く2−メルカプトベンゾチアゾールを用いた、上記式(4)、(5)、(6)および(7)等で表されるマレイミド付加体は、ゴム組成物の加硫促進剤として用いた場合、配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけおよび加硫戻りを防ぐことが可能となり、作業性が向上するため好ましい。また、後述の実施例で明らかにするように、2−メルカプトベンゾチアゾールと4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドとを別々に添加した組成物と比較して、耐熱老化性が良好となる結果が得られている。 上述したように、上記式(1)および(2)で表される本発明のマレイミド付加体は、熱解離温度以下においては、上記一般式(9)および(11)で表される化合物のチオール基の保護基として機能し、さらに、上記一般式(10)で表される化合物のマレイミド基の保護基としても機能している。 本発明の第3の態様に係るゴム組成物(以下、単に「本発明のゴム組成物」という。)は、上述した本発明のマレイミド付加体を含有するゴム組成物であって、ゴム成分および本発明のマレイミド付加体、必要に応じて添加することができる各種添加剤を含有する組成物である。 本発明のゴム組成物の原料として用いるゴム成分は、特に限定されず、具体的には、天然ゴム(NR)系、イソプレンゴム(IR)系、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)系、天然ゴム/スチレン・ブタジエン共重合ゴム(NR/SBR)系、天然ゴム/ブタジエンゴム(NR/BR)系、天然ゴム/アクリロニトリルブタジエンゴム(NR/NBR)系、天然ゴム/クロロプレンゴム(NR/CR)系、ハロゲン化ブチルゴム、ポリ塩化ゴム、ハロゲン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム、エポキシ化天然ゴム、マレイン化ブチルゴム、マレイン化エチレンプロピレンゴム等が好適に例示される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記添加剤としては、充填剤、可塑剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫助剤等の各種添加剤が挙げられる。 充填剤としては、具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、けいそう土などのシリカ類;カーボンブラック、ホワイトカーボン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、トリメリット酸エステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、アロマオイル、ワックス等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 老化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、スチレン化フェノール(SP)等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫剤としては、具体的には、例えば、硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(DPTT)などの有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物;亜鉛華、マグネシアなどの金属酸化物;キノンジオキシム等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのチウラム類;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)などのチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ)などのスルフェンアミド類;ベンゾチアゾルジスルフィドなどのジスルフィド類;ヘキサメチレンテトラミンなどのアルデヒド・アンモニア類;ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫遅延剤としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸などの有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体などのニトロソ化合物;トリクロルメラニンなどのハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫助剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 本発明のゴム組成物において、上述した本発明のマレイミド付加体の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。マレイミド付加体の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明のゴム組成物中に、マレイミド付加体の熱解離部位が十分に存在することになり、熱解離により分離生成する上記一般式(9)〜(11)で表される化合物と上記ゴム成分との反応が進行し易くなる理由から好ましい。 本発明の第4の態様に係る樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」という。)は、上述した本発明のマレイミド付加体を含有する樹脂組成物であって、樹脂および本発明のマレイミド付加体、必要に応じて配合することができる各種配合剤を含有する組成物である。 本発明の樹脂組成物の原料として用いる樹脂は、特に限定されず、具体的には、熱解離により分離生成する上記一般式(9)〜(11)で表される化合物のチオール基と反応して架橋形成し得るエポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、オキセタン基、酸無水物基を有する樹脂が好適に例示される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記配合剤としては、上述した充填剤、可塑剤および老化防止剤以外に、触媒、溶剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、難燃剤、揺変性付与剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤および帯電防止剤等の各種配合剤が挙げられ、通常用いられるものを用いることができる。 また、本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で本発明のマレイミド付加体以外の硬化剤を1種または2種以上を含有することがでる。この硬化剤としては、具体的には、例えば、アミン類、チオール類、酸無水物類等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 本発明の樹脂組成物において、上述した本発明のマレイミド付加体の含有量は、上記樹脂(主剤)100質量部に対して、1〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜200質量部であり、さらに好ましくは10〜100質量部である。マレイミド付加体の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の樹脂組成物中に、マレイミド付加体の熱解離部位が十分に存在することになり、熱解離により分離生成する上記一般式(9)〜(11)で表される化合物と上記樹脂との反応が進行し易くなる理由から好ましい。 本発明のゴム組成物および樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを適宜加え、減圧下でロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて十分に混練して得られる。 本発明のゴム組成物および樹脂組成物は、各種接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材等に用いることができる。 以下に、実施例を用いて本発明のマレイミド付加体およびゴム組成物ならびに樹脂組成物ついてより詳細に説明する。だたし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1) メチルエチルケトン50g中に、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド35.8g(0.1mol)と2−メルカプトベンゾチアゾール16.7g(0.1mol)とトリエチルアミン1g(0.01mol)とを添加して、室温(25℃)で2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを90℃で減圧除去し、下記式(6)で示されるマレイミド付加体(付加体1)を51.0g(反応収率97%)で得た。 得られた付加体1の化学シフトは、1 H−NMR(重クロロホルム)δ(ppm):3.1−3.5、4.0、4.5、6.9、7.2−7.6であった。(実施例2) メチルエチルケトン100g中に、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド42.96g(0.12mol)と2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン27.20g(0.10mol)とトリエチルアミン1g(0.01mol)とを添加して、室温(25℃)で2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを90℃で減圧除去し、下記式(8)で示されるマレイミド付加体(付加体2)を70.0g(反応収率100%)で得た。 得られた付加体2の化学シフトは、1 H−NMR(重クロロホルム)δ(ppm):0.9、1.3、1.7、3.2−3.6、4.0、4.5、6.9、7.3−7.6であった。(比較例1〜4、実施例3および4) 実施例1および2で得られたマレイミド付加体(付加体1および付加体2)を、下記表1に示す組成成分(質量部)で、ポリイソプレンゴム(ゴム成分)、硫黄(加硫剤)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(加硫促進剤)と混合し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて実施例3および4のゴム組成物を得た。 また、マレイミド付加体を添加せずに、下記表1に示す組成成分(質量部)で、ポリイソプロピレンゴム、硫黄、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(以下、単に「M」という。)、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド(以下、単に「BMI」という。)を混合し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて比較例1〜4のゴム組成物を得た。 上記各組成成分としては、以下に示すものを用いた。・ポリイソプレンゴム:Nipol IR2200(日本ゼオン社製)・硫黄:粉末硫黄(軽井沢精錬所製)・N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド:ノクセラーCZ−G(大内新興化学社製) 得られた各ゴム組成物について、引張特性およびレオメータ試験を以下に示す方法により評価した。<引張特性> 引張特性の評価は、得られた各ゴム組成物に180℃×10分の条件で加硫を施した加硫ゴム組成物について、加硫直後(ブランク)および耐熱老化(100℃×4日間間放置)後に行った。 この評価は、JIS K6301−1995に準拠して、引張試験(引張応力の測定)および硬さ試験を行い、100%モジュラス(M100 )[MPa]、200%モジュラス(M200 )[MPa]、300%モジュラス(M300 )[MPa]、破断強度(TB )[MPa]および破断伸び(EB )[%]を測定することにより行った。その結果を下記表1に示す。 下記表1に示すように、実施例3および4のゴム組成物は、比較例1〜3に示す既存のタイヤに使う配合のゴム組成物や比較例4に示すゴム組成物よりも、引張特性に優れ、さらに老化後の変化率が小さいことから耐熱老化性に優れていることが分かった。<レオメータ試験> レオメータ試験は、比較例1、2、実施例3および4で得られたゴム組成物に180℃×10分の条件で加硫を施した加硫ゴム組成物について、加硫時間(min)とトルク(Nm)との関係をSRIS−3102(日本ゴム協会規格)の試験法に準拠して測定することにより行った。 この試験により、実施例3および4で得られたゴム組成物は、比較例1および2で得られたゴム組成物と比較して、トルクの減少を伴う加硫戻り(T−3)が抑えられた結果となった。ここで、「T−3」とは、加硫時間により変化するトルクが、最大トルクから3%下がった時間を表す。その結果を下記表2に示す。 下記一般式(1)で表されるマレイミド付加体。(式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R2 は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表す。) 下記一般式(2)で表されるマレイミド付加体。(式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R3 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、nは1〜5の整数を表す。また、複数のR1 およびR3 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。) 請求項1または2に記載のマレイミド付加体を含有するゴム組成物。 請求項1または2に記載のマレイミド付加体を含有する樹脂組成物。 【課題】従来のゴム組成物で問題であった加硫促進剤の配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけ、および加硫戻りによる作業性の低下を解決することができるマレイミド付加体、および、それを含有するゴム組成物ならびに樹脂組成物の提供。 【解決手段】下記式(1)で表されるマレイミド付加体。 【化1】(式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R2 は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表す。)【選択図】なし


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特許公報(B2)_マレイミド付加体およびそれを含有する組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_マレイミド付加体およびそれを含有する組成物
出願番号:2003346908
年次:2010
IPC分類:C07D 403/14,C08K 5/378,C08L 21/00,C08L 101/00


特許情報キャッシュ

崔 源文 JP 4525044 特許公報(B2) 20100611 2003346908 20031006 マレイミド付加体およびそれを含有する組成物 横浜ゴム株式会社 000006714 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 崔 源文 20100818 C07D 403/14 20060101AFI20100729BHJP C08K 5/378 20060101ALI20100729BHJP C08L 21/00 20060101ALI20100729BHJP C08L 101/00 20060101ALI20100729BHJP JPC07D403/14C08K5/378C08L21/00C08L101/00 CA/REGISTRY(STN) 特開2003−252872(JP,A) 特開昭58−016232(JP,A) 3 2005112749 20050428 21 20060920 鈴木 智雄 本発明は、マレイミド付加体およびそれを含有する組成物に関する。より詳しくは、チオール化合物およびビスマレイミド化合物の保護基として用いることができるマレイミド付加体およびそれを含有するゴム組成物ならびに樹脂組成物に関する。 ゴム組成物に配合することができる化合物として、1分子中に1個以上のチオール基(メルカプト基)を有する化合物が知られている。しかしながら、チオール基は、非常に反応性の高い置換基であることから、金属酸化物やアミン化合物等の触媒の存在下において、エポキシ基、イソシアネート基およびゴム分子中の二重結合等と容易に反応し、また自己酸化反応などにより高分子量化を起こすなど、作業性の低下等の原因となることがあった。 特に、チオール基を有する化合物を加硫促進剤としてゴム組成物に配合した場合には、配合時における低温での反応やロール混練時におけるゴムのやけが生起して作業性が低下したり、加硫時においてゴムの加硫が過度に進行して加硫戻りが生起したりする問題があった。 一方、ビスマレイミド化合物をゴム組成物に配合することで、ゴムの耐熱性が上がるばかりでなく、動的貯蔵弾性率(E′)が高くなり、該ゴム組成物をトレッドに用いると操縦安定性が上がることが知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。 しかしながら、ビスマレイミド化合物をゴム組成物に配合した場合には、加硫時において、ビスマレイミド化合物の単独重合が生起したり、ビスマレイミド化合物により加硫反応が阻害されたり、ビスマレイミド化合物と加硫促進剤との反応によりビスマレイミド化合物自体が分解、ガス化したりする問題があった。特開2000−248115号公報特開2001−64443号公報 そこで、本発明は、従来のゴム組成物における上述した種々の問題を解決することができるマレイミド付加体、該マレイミド付加体を含有するゴム組成物および樹脂組成物の提供を目的とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の式で表されるのマレイミド付加体を含有する組成物が、上述した種々の問題を解決することができ、さらに耐熱老化性に優れることを見出し、本発明を達成するに至った。すなわち、本発明は、下記(1)に示すマレイミド付加体、下記(2)に示すゴム組成物および下記(3)に示す樹脂組成物を提供するものである。 (1)下記一般式(2)で表されるマレイミド付加体(第2の態様)。 式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R3 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、nは1〜5の整数を表す。また、複数のR1 およびR3 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。上記有機基は、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルカノイルオキシ基、アラルキルオキシ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子団により置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール基である。 (2)上記(1)に記載のマレイミド付加体を含有するゴム組成物(第3の態様)。 (3)上記(1)に記載のマレイミド付加体を含有する樹脂組成物(第4の態様)。 1分子中にチオール基を2個有する化合物(C)(以下、単に「チオール基含有化合物(C)」という場合がある。)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られる上記(1)に記載のマレイミド付加体の製造方法。 以下に説明するように、本発明によれば、従来のゴム組成物で問題であった加硫促進剤の配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけ、および加硫戻りによる作業性の低下を解決することができ、さらに耐熱老化性に優れるマレイミド付加体、および、それを含有するゴム組成物ならびに樹脂組成物の提供することができるため有用である。 以下に、本発明を詳細に説明する。 第1の態様に係るマレイミド付加体(以下、単に「本発明の第1のマレイミド付加体」という。)は、下記一般式(1)で表されるマレイミド付加体である。 上記一般式(1)中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。 R1 の炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−へキシレン基、1,8−オクチレン基、1,10−デシレン、1,12−ドデシレン基等が挙げられ; 炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基としては、具体的には、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基等が挙げられ; 炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基としては、具体的には、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2−メチル−1、4−フェニレン基、4−メチル−1,3−フェニレン、ビフェニル−4,4′−ジイル基、ジフェニルメタン−4,4′−ジイル基、ジフェニルスルホン−3,3′−ジイル基[スルホニルビス(1,3−フェニレン)基]、下記式(3)で表される置換基等が挙げられる。 炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基としては、具体的には、例えば、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイル基等が挙げられる。 これらのうち、上記一般式(1)中のR1 としては、1,6−へキシレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、ジフェニルメタン−4,4′−ジイル基、ジフェニルスルホン−3,3′−ジイル基であることが、得られる硬化物の分子骨格が剛直になり、耐熱性が向上する理由から好ましい。 また、これら以外に、上記一般式(1)中のR1 としては、後述するマレイミド化合物(B)の具体例からマレイミド基を除いた2価の残基であってもよい。 上記一般式(1)中、R2 は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。 ここで、有機基とは、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルカノイルオキシ基、アラルキルオキシ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子団により置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール基等のことであり、オキシアルキル基、脂肪族炭化水素基、芳香族基、複素環基であることが好ましく、これらを組み合わせて形成される置換基であってもよい。これらのうち、後述する熱解離が生起し易いといった理由から、芳香族基または複素環基であることが好ましい。また、分岐して置換基を有する場合の置換基は、特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。 このようなR2 としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2メチル−1−プロピル基、1−ブチル基、フェニル基、2−チアゾール基、2−チアゾリン基、2−ベンゾチアゾール基、2−ベンゾオキサゾール基、2−ベンズイミダゾール基等が挙げられ、これら以外に、後述するチオール基含有化合物(A)の具体例からチオール基を除いた1価の残基であってもよい。 これらのうち、フェニル基、2−チアゾリン基、2−ベンゾチアゾール基、2−ベンゾオキサゾール基、2−ベンズイミダゾール基であることが好ましい。 また、本発明の第1のマレイミド付加体は、チオール基含有化合物(A)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られるマレイミド付加体であることが好ましい。以下に、チオール基含有化合物(A)およびビスマレイミド化合物(B)について詳述する。 <チオール基含有化合物(A)> 上記チオール基含有化合物(A)は、活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基と1個のチオール基とで構成される化合物であれば特に限定されず、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。 ここで、有機基は、上記一般式(1)中のR2 で説明したものと基本的に同一である。また、分岐して置換基を有する場合の置換基は、ビスマレイミド化合物(B)との反応に影響をおよぼさないものであれば特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。 このようなチオール基含有化合物(A)としては、具体的には、例えば、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、n−ヘキサデカンチオール、tert−ヘキサデカンチオール、n−オクタデカンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、ベンゼンチオール(チオフェノール)、4−ブロモベンゼンチオール、3−クロロベンゼンチオール、4−クロロベンゼンチオール、2−フルオロベンゼンチオール、3−フルオロベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール、3−メトキシベンゼンチオール、4−メトキシベンゼンチオール、4−ニトロチオフェノール、3,4−ジクロロベンゼンチオール、2,3−ジクロロベンゼンチオール、2,6−ジクロロベンゼンチオール、3,5−ジクロロベンゼンチオール、2,4−ジクロロベンゼンチオール、2,4−ジメチルベンゼンチオール、2,5−ジメチルベンゼンチオール、2−ナフタレンチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブロモ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオール等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 これらのうち、芳香族性のチオール基を有する化合物(以下、単に「芳香族性チオール」という場合がある。)もしくはチオール基を含有する複素環式化合物(以下、単に「複素環式チオール」という場合がある。)であることが、後述する熱解離特性を利用する際に有効であるため好ましい。 具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブロモ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾールであることが、後述する熱解離後に加硫促進剤として働く理由からも好ましく、2−メルカプトベンゾチアゾールを用いることがより好ましい。 <ビスマレイミド化合物(B)> 上記ビスマレイミド化合物(B)は、上記チオール基含有化合物(A)と反応し、上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体が得られるビスマレイミド化合物であれば特に限定されない。 このようなビスマレイミド化合物(B)として、具体的には、例えば、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドへキサン、N,N′−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレン−2−メチルジマレイミド、N,N′−(1,1′−ビフェニル−4,4′−ジイル)ビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジイル)ビスマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N′−(メチレンビス(2−クロロ−4,1−フェニレン))ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(商品名:BMI−70(ケイアイ化成社製))、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(商品名:BMI−80(ケイアイ化成社製))、N,N′−(スルホニルビス(1,3−フェニレン))ジマレイミド、N,N′−(4,4′−トリメチレングリコールジベンゾエート)ビスマレイミド等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、マレイミド変性高分子化合物(樹脂、ゴム等)であってもよい。 これらのうち、1,6−ビスマレイミドへキサン、1,2−ビスマレイミドエタン、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドであることが経済的な理由から好ましい。 上記チオール基含有化合物(A)と上記ビスマレイミド化合物(B)との反応は、有機溶媒中に、チオール基含有化合物(A)のチオール基に対して、ビスマレイミド化合物(B)のマレイミド基が1.1倍当量以上となるようにチオール基含有化合物(A)およびビスマレイミド化合物(B)を加え、室温〜150℃、1〜24時間攪拌して行うことが好ましい。 ここで、有機溶媒は、上記チオール基含有化合物(A)および上記ビスマレイミド化合物(B)がともに溶解するものであれば特に限定されず、その具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N, N−ジメチルホルムアミドが好適に挙げられる。これらのうち、メチルエチルケトン、N, N−ジメチルホルムアミドであることが溶解性が高い理由から好ましい。 反応終了後、減圧下で有機溶剤を濃縮除去することにより上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体が得られる。 以上より、上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体の具体例としては、上記で例示したチオール基含有化合物(A)およびビスマレイミド化合物(B)それぞれの具体例の組合せが挙げられる。 それらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾールと1,6−ビスマレイミドへキサンとの反応物である下記式(4)に示される化合物、2−メルカプトベンゾチアゾールとN,N′−1,3−フェニレンジマレイミドとの反応物である下記式(5)に示される化合物、2−メルカプトベンゾチアゾールと4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドとの反応物である下記式(6)に示される化合物および2−メルカプトベンゾチアゾールとN,N′−(スルホニルビス(1,3−フェニレン))ジマレイミドとの反応物である下記式(7)に示される化合物等が後述する熱解離し易い理由から好ましく挙げられる。 これらのうち、下記式(5)、(6)で示される化合物が経済的な理由から好ましい。 本発明の第2の態様に係るマレイミド付加体(以下、単に「本発明の第2のマレイミド付加体」という。)は、下記一般式(2)で表されるマレイミド付加体である。 上記一般式(2)中、nは1〜5の整数を表し、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。 ここで、R1 は、上記一般式(1)中で説明したものと基本的に同一である。また、複数のR1 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。 上記一般式(2)中、R3 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。また、複数のR3 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。 R3 の炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基としては、例えば、上記一般式(1)中のR2 で例示した活性水素基を有さない炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基からさらに水素1原子を除いた基が挙げられる。 このようなR3 としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基等の2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;1,3,5−トリアジン−2,6−ジイル基、1,3,4−トリアジン−2,5−ジイル基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基等が挙げられ、これら以外に、後述するチオール基含有化合物(C)の具体例からチオール基を除いた2価の残基であってもよい。これらのうち、1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3,5−トリアジン−2,6−ジイル基、1,3,4−トリアジン−2,5−ジイル基であることが好ましい。 また、本発明の第2のマレイミド付加体は、チオール基含有化合物(C)と、ビスマレイミド化合物(B)とを反応させて得られるマレイミド付加体であることが好ましい。ここで、ビスマレイミド化合物(B)は、上述した第1のマレイミド付加体において説明したものと基本的に同一である。以下に、チオール基含有化合物(C)について詳述する。 <チオール基含有化合物(C)> 上記チオール基含有化合物(C)は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基と2個のチオール基とで構成される化合物であれば特に限定されず、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいることが好ましい。 ここで、有機基は、上記一般式(2)中のR3 で説明したものと基本的に同一である。また、分岐して置換基を有する場合の置換基は、ビスマレイミド化合物(B)との反応に影響をおよぼさないものであれば特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。 このようなチオール基含有化合物(C)としては、具体的には、例えば、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 これらのうち、芳香族性チオールもしくは複素環式チオールであることが、後述する熱解離特性を利用する際に有効であるため好ましい。 具体的には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンであることが、この化合物が個体で臭気がないため取り扱い易く、後述する熱解離し易いといった理由からより好ましい。 上記チオール基含有化合物(C)と上記ビスマレイミド化合物(B)との反応は、ビスマレイミド化合物(B)のマレイミド基に対して、チオール基含有化合物(C)のチオール基が0.55〜0.95倍当量、好ましくは0.6〜0.9倍当量となる量比で、有機溶媒中、室温〜150℃、1〜24時間攪拌して行うことが好ましい。 ここで、有機溶媒は、上記チオール基含有化合物(C)および上記ビスマレイミド化合物(B)がともに溶解するものであれば特に限定されず、その具体例としては、上記で例示した有機溶剤が挙げられる。 反応終了後、減圧下で有機溶剤を濃縮除去することにより上記一般式(2)で表されるマレイミド付加体が得られる。 以上より、上記一般式(2)で表されるマレイミド付加体の具体例としては、上記で例示したチオール基含有化合物(C)およびビスマレイミド化合物(D)それぞれの具体例の組合せが挙げられる。 それらのうち、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンと4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドとの反応物である下記式(8)に示される化合物が後述する熱解離し易い理由から好ましく挙げられる。 本発明の第1のマレイミド付加体および第2のマレイミド付加体(以下、単に「本発明のマレイミド付加体」という場合がある。)は、100〜250℃、好ましくは140〜200℃で加熱されることにより熱解離を生起する効果を有する。 この熱解離は、本発明のマレイミド付加体におけるマレイミド化合物からなる部位において生起するものであって、熱解離時間は、1〜60分であることが好ましく、1〜30分であることがより好ましい。 したがって、本発明のマレイミド付加体である上記一般式(1)および(2)で表されるマレイミド付加体は、熱解離させることにより、上記一般式(1)で表されるマレイミド付加体からは、下記一般式(9)で表される化合物と下記一般式(10)で表される化合物とが分離生成され、上記一般式(2)で表されるマレイミド付加体からは、n+1個の下記一般式(11)で表される化合物とn+2個の下記一般式(10)で表される化合物とが分離生成される。 式中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ上記一般式(1)および(2)で説明したものと基本的に同一である。 上記一般式(9)、(10)および(11)で表される化合物としては、具体的には、例えば、それぞれ上記で例示したチオール基含有化合物(A)、ビスマレイミド化合物(B)およびチオール基含有化合物(C)が挙げられるが、これらに限定されない。 また、上記一般式(9)および(11)で表される化合物は、チオール基を有しているため反応性が高く、ゴム組成物、樹脂組成物等に配合した場合、配合時における低温での反応やロール混練時におけるゴムのやけが生起して作業性が低下したり、加硫時においてゴムの加硫が過度に進行して加硫戻りが生起したりする問題があった。 一方、上記一般式(10)で表される化合物は、ゴム加硫時に加硫を遅くしたり、単独重合反応を起こすなどの問題があった。 これに対し、本発明のマレイミド付加体をゴムもしくは樹脂組成物に配合した後に、熱解離により上記一般式(9)、(10)および(11)で表される化合物を分離生成させることにより、上述した配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけ、加硫戻りおよび単独重合反応等を防ぐことが可能となった。すなわち、上記一般式(1)および(2)で表されるマレイミド付加体は、熱解離温度以下においては、上記一般式(9)および(11)で表される化合物のチオール基の保護基として機能しているということになる。 したがって、本発明のマレイミド付加体は、熱解離後に分離生成する上記式(9)および(11)で表される化合物の性質を考慮して製造されるのが好ましい。具体的には、例えば、硫黄加硫ゴムの加硫促進剤として働く2−メルカプトベンゾチアゾールを用いた、上記式(4)、(5)、(6)および(7)等で表されるマレイミド付加体は、ゴム組成物の加硫促進剤として用いた場合、配合時における低温での反応、ロール混練時におけるゴムのやけおよび加硫戻りを防ぐことが可能となり、作業性が向上するため好ましい。また、後述の実施例で明らかにするように、2−メルカプトベンゾチアゾールと4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミドとを別々に添加した組成物と比較して、耐熱老化性が良好となる結果が得られている。 上述したように、上記式(1)および(2)で表される本発明のマレイミド付加体は、熱解離温度以下においては、上記一般式(9)および(11)で表される化合物のチオール基の保護基として機能し、さらに、上記一般式(10)で表される化合物のマレイミド基の保護基としても機能している。 第3の態様に係るゴム組成物(以下、単に「本発明のゴム組成物」という。)は、上述した本発明のマレイミド付加体を含有するゴム組成物であって、ゴム成分および本発明のマレイミド付加体、必要に応じて添加することができる各種添加剤を含有する組成物である。 本発明のゴム組成物の原料として用いるゴム成分は、特に限定されず、具体的には、天然ゴム(NR)系、イソプレンゴム(IR)系、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)系、天然ゴム/スチレン・ブタジエン共重合ゴム(NR/SBR)系、天然ゴム/ブタジエンゴム(NR/BR)系、天然ゴム/アクリロニトリルブタジエンゴム(NR/NBR)系、天然ゴム/クロロプレンゴム(NR/CR)系、ハロゲン化ブチルゴム、ポリ塩化ゴム、ハロゲン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム、エポキシ化天然ゴム、マレイン化ブチルゴム、マレイン化エチレンプロピレンゴム等が好適に例示される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記添加剤としては、充填剤、可塑剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫助剤等の各種添加剤が挙げられる。 充填剤としては、具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、けいそう土などのシリカ類;カーボンブラック、ホワイトカーボン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、トリメリット酸エステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、アロマオイル、ワックス等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 老化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、スチレン化フェノール(SP)等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫剤としては、具体的には、例えば、硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(DPTT)などの有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物;亜鉛華、マグネシアなどの金属酸化物;キノンジオキシム等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのチウラム類;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)などのチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ)などのスルフェンアミド類;ベンゾチアゾルジスルフィドなどのジスルフィド類;ヘキサメチレンテトラミンなどのアルデヒド・アンモニア類;ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫遅延剤としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸などの有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体などのニトロソ化合物;トリクロルメラニンなどのハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 加硫助剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。 本発明のゴム組成物において、上述した本発明のマレイミド付加体の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。マレイミド付加体の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明のゴム組成物中に、マレイミド付加体の熱解離部位が十分に存在することになり、熱解離により分離生成する上記一般式(9)〜(11)で表される化合物と上記ゴム成分との反応が進行し易くなる理由から好ましい。 第4の態様に係る樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」という。)は、上述した本発明のマレイミド付加体を含有する樹脂組成物であって、樹脂および本発明のマレイミド付加体、必要に応じて配合することができる各種配合剤を含有する組成物である。 本発明の樹脂組成物の原料として用いる樹脂は、特に限定されず、具体的には、熱解離により分離生成する上記一般式(9)〜(11)で表される化合物のチオール基と反応して架橋形成し得るエポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、オキセタン基、酸無水物基を有する樹脂が好適に例示される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記配合剤としては、上述した充填剤、可塑剤および老化防止剤以外に、触媒、溶剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、難燃剤、揺変性付与剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤および帯電防止剤等の各種配合剤が挙げられ、通常用いられるものを用いることができる。 また、本発明の樹脂組成物は、本発明のマレイミド付加体以外の硬化剤を1種または2種以上を含有することがでる。この硬化剤としては、具体的には、例えば、アミン類、チオール類、酸無水物類等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 本発明の樹脂組成物において、上述した本発明のマレイミド付加体の含有量は、上記樹脂(主剤)100質量部に対して、1〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜200質量部であり、さらに好ましくは10〜100質量部である。マレイミド付加体の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の樹脂組成物中に、マレイミド付加体の熱解離部位が十分に存在することになり、熱解離により分離生成する上記一般式(9)〜(11)で表される化合物と上記樹脂との反応が進行し易くなる理由から好ましい。 本発明のゴム組成物および樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを適宜加え、減圧下でロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて十分に混練して得られる。 本発明のゴム組成物および樹脂組成物は、各種接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材等に用いることができる。 以下に、実施例を用いて本発明のマレイミド付加体およびゴム組成物ならびに樹脂組成物ついてより詳細に説明する。だたし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(参考例1) メチルエチルケトン50g中に、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド35.8g(0.1mol)と2−メルカプトベンゾチアゾール16.7g(0.1mol)とトリエチルアミン1g(0.01mol)とを添加して、室温(25℃)で2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを90℃で減圧除去し、下記式(6)で示されるマレイミド付加体(付加体1)を51.0g(反応収率97%)で得た。 得られた付加体1の化学シフトは、1 H−NMR(重クロロホルム)δ(ppm):3.1−3.5、4.0、4.5、6.9、7.2−7.6であった。(実施例2) メチルエチルケトン100g中に、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド42.96g(0.12mol)と2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン27.20g(0.10mol)とトリエチルアミン1g(0.01mol)とを添加して、室温(25℃)で2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを90℃で減圧除去し、下記式(8)で示されるマレイミド付加体(付加体2)を70.0g(反応収率100%)で得た。 得られた付加体2の化学シフトは、1 H−NMR(重クロロホルム)δ(ppm):0.9、1.3、1.7、3.2−3.6、4.0、4.5、6.9、7.3−7.6であった。(比較例1〜4、参考例3および実施例4) 参考例1および実施例2で得られたマレイミド付加体(付加体1および付加体2)を、下記表1に示す組成成分(質量部)で、ポリイソプレンゴム(ゴム成分)、硫黄(加硫剤)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(加硫促進剤)と混合し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて参考例3および実施例4のゴム組成物を得た。 また、マレイミド付加体を添加せずに、下記表1に示す組成成分(質量部)で、ポリイソプロピレンゴム、硫黄、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(以下、単に「M」という。)、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド(以下、単に「BMI」という。)を混合し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて比較例1〜4のゴム組成物を得た。 上記各組成成分としては、以下に示すものを用いた。・ポリイソプレンゴム:Nipol IR2200(日本ゼオン社製)・硫黄:粉末硫黄(軽井沢精錬所製)・N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド:ノクセラーCZ−G(大内新興化学社製) 得られた各ゴム組成物について、引張特性およびレオメータ試験を以下に示す方法により評価した。<引張特性> 引張特性の評価は、得られた各ゴム組成物に180℃×10分の条件で加硫を施した加硫ゴム組成物について、加硫直後(ブランク)および耐熱老化(100℃×4日間間放置)後に行った。 この評価は、JIS K6301−1995に準拠して、引張試験(引張応力の測定)および硬さ試験を行い、100%モジュラス(M100 )[MPa]、200%モジュラス(M200 )[MPa]、300%モジュラス(M300 )[MPa]、破断強度(TB )[MPa]および破断伸び(EB )[%]を測定することにより行った。その結果を下記表1に示す。 下記表1に示すように、参考例3および実施例4のゴム組成物は、比較例1〜3に示す既存のタイヤに使う配合のゴム組成物や比較例4に示すゴム組成物よりも、引張特性に優れ、さらに老化後の変化率が小さいことから耐熱老化性に優れていることが分かった。<レオメータ試験> レオメータ試験は、比較例1、2、参考例3および実施例4で得られたゴム組成物に180℃×10分の条件で加硫を施した加硫ゴム組成物について、加硫時間(min)とトルク(Nm)との関係をSRIS−3102(日本ゴム協会規格)の試験法に準拠して測定することにより行った。 この試験により、参考例3および実施例4で得られたゴム組成物は、比較例1および2で得られたゴム組成物と比較して、トルクの減少を伴う加硫戻り(T−3)が抑えられた結果となった。ここで、「T−3」とは、加硫時間により変化するトルクが、最大トルクから3%下がった時間を表す。その結果を下記表2に示す。 下記一般式(2)で表されるマレイミド付加体。(式中、R1 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい非環状脂肪族基、炭素数5〜18の分岐していてもよい環状脂肪族基、炭素数6〜18の分岐していてもよい芳香族基もしくは炭素数7〜24の分岐していてもよいアルキル芳香族基を表し、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。R3 は、炭素数1〜24の分岐していてもよい有機基を表し、nは1〜5の整数を表す。また、複数のR1 およびR3 はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。前記有機基は、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルカノイルオキシ基、アラルキルオキシ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子団により置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール基である。) 請求項1に記載のマレイミド付加体を含有するゴム組成物。 請求項1に記載のマレイミド付加体を含有する樹脂組成物。


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