生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_芳香族フッ素化合物の製造方法
出願番号:2003346607
年次:2005
IPC分類:7,C07C253/30,C07C255/35


特許情報キャッシュ

廣田 幸逸 JP 2005112745 公開特許公報(A) 20050428 2003346607 20031006 芳香族フッ素化合物の製造方法 株式会社日本触媒 000004628 廣田 幸逸 7C07C253/30C07C255/35 JPC07C253/30C07C255/35 1 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AC30 4H006BC00 4H006BE61 4H006QN30 本発明は芳香族フッ素化合物の製造方法に関し、詳しくは芳香族ハロゲン化合物を原料とし、これをフッ素化剤によりフッ素化して対応する芳香族フッ素化合物を高収率で製造する方法に関する。 芳香族ハロゲン化合物とフッ素化剤とのハロゲン交換反応により対応する芳香族フッ素化合物を製造することは一般に知られている。 例えば、芳香族ハロゲン化合物をベンゾニトリル中で190〜400℃の温度範囲で自然発生圧下にフッ素化剤とハロゲン交換反応させて対応する芳香族フッ素化合物を製造する方法が知られている(特許文献1、2)。特公昭62−24417号公報特公平3−13206号公報 工業的規模での生産では、目的物である芳香族フッ素化合物を高収率で得られることが望ましく、芳香族フッ素化合物を従来より高い収率で製造する方法を開発することは当該分野の技術者にとって継続的な課題である。 かくして、本発明の目的は、芳香族ハロゲン化合物とフッ素化剤とのハロゲン交換反応により高収率で芳香族ハロゲン化合物を製造する方法を提供することにある。 本発明者らの研究によれば、原料である芳香族ハロゲン化合物を粉砕などにより適宜特定範囲の平均粒子径に調整した後、ハロゲン交換反応に供すると芳香族フッ素化合物を従来よりも高収率で製造できることがわかった。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。 すなわち、本発明は、一般式(1)(式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子を示し、−Aは−CN、−NO2、−COFまたは−COClのいずれかを示し、aはAの置換数であって、0、1または2であり、bはXの置換数であって、2以上の整数である(ただし、a+b≦6である)。)または一般式(2)(式中、Xは一般式(1)におけると同意義であり、cはXの置換数であって、1〜4の整数であり、−Z−は−O−または(式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である。)を示す。)で表される芳香族ハロゲン化合物を有機溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化して、一般式(3)(式中、A、Xおよびaは一般式(1)におけると同意義であり、Fはフッ素原子を示し、dはFの置換数であって、1以上の整数であり、b−dは残存Xの置換数である(ただし、a+b≦6である。)または一般式(4)(式中、−Z−およびXは一般式(2)におけると同意義であり、Fはフッ素原子を示し、eはFの置換数であって、1〜4の整数であり、c−eは残存Xの置換数である。)で表される芳香族フッ素化合物を製造するにあたり、原料芳香族ハロゲン化合物を平均粒子径20〜200μmの範囲の粒子として反応に供することを特徴とする芳香族フッ素化合物の製造方法である。 本発明の方法によれば、芳香族フッ素化合物を従来よりも高収率で製造することができる。また、短時間でハロゲン交換反応を終了できるので、芳香族フッ素化合物の生産性が向上し、芳香族フッ素化合物を工業的に有利に製造することができる。 本発明において原料として使用する芳香族ハロゲン化合物は、前記一般式(1)または(2)により表されるものであり、通常、常温で固体状である。一般式(1)において、Aが複数ある場合、これらは同一でも、異なっていてもよい。 一般式(3)におけるb−dは、残存X、すなわち未フッ素置換のハロゲン原子の置換数を意味し、換言すれば原料芳香族ハロゲン化合物のハロゲン原子b個のうち、d個がフッ素置換され、残りのb−d個がハロゲン原子であることを意味する。同様に、一般式(4)におけるc−eは、残存X、すなわち未フッ素置換のハロゲン原子の置換数を意味し、換言すれば原料芳香族ハロゲン化合物のハロゲン原子c個のうちe個がフッ素置換され、残りのc−e個がハロゲン原子であることを意味する。本発明においては、原料芳香族ハロゲン化合物のハロゲン原子の全てがフッ素交換される(すなわち、b=d、c=eの場合)のが好ましい。 上記芳香族ハロゲン化合物の代表例としては、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,4,6−トリクロロベンゾニトリル、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、テトラクロロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸アミド、N−アルキルテトラクロロ無水フタル酸アミド(アルキル基:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルなど)、N−フェニルテトラクロロ無水フタル酸アミド、2,3,4−トリクロロニトロベンゼン、ペンタクロロニトロベンゼンなどを挙げることができる。なかでも、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、ペンタクロロベンゾニトリルおよび2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。 本発明の目的物は上記芳香族ハロゲン化合物とフッ素化剤とのハロゲン交換反応によって得られる前記一般式(3)または(4)で表される芳香族フッ素化合物である。 上記芳香族フッ素化合物の代表例としては、1,3,5−トリフルオロベンゼン、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、テトラフルオロ無水フタル酸、テトラフルオロ無水フタル酸アミド、N−アルキルテトラフルオロ無水フタル酸アミド(アルキル基:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルなど)、N−フェニルテトラフルオロ無水フタル酸アミド、2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン、ペンタフルオロニトロベンゼンなどを挙げることができる。なかでも、3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル、ペンタフルオロベンゾニトリルおよび2,6−ジフルオロベンゾニトリルが好ましい。 本発明の特徴は、芳香族ハロゲン化合物を平均粒子径20〜200μm、好ましくは40〜170μm、より好ましくは50〜150μmの範囲の粒子として反応に供する点にある。具体的には、例えば、芳香族ハロゲン化合物を有機溶媒やフッ素化剤とともに、あるいは予め有機溶媒やフッ素化剤を反応容器に仕込んだ後に、平均粒子径20〜200μmの範囲の粒子として反応容器に仕込む。このようにすることにより、目的物である芳香族フッ素化合物の収率を向上させることができる。なお、本発明における平均粒子径は、レーザー光回折散乱法を利用した測定装置、堀場製作所製LA−920を用いて求めた。 平均粒子径が200μmを超えると、目的物である芳香族フッ素化合物の収率が低下する。これは芳香族ハロゲン化合物の有機溶媒への溶解性あるいは溶解速度が低下するとともに、反応時のフッ素化剤との接触効率が低下するためと考えられる。一方、平均粒子径を20μmより小さくすると、有機溶媒の表面に浮遊し、有機溶媒中に十分に分散されなかったり、あるいは分散に時間がかかり、甚だしい場合には、溶解しない状態(ままこ状)となって反応収率が低下する。さらには、微粒子状にするために多大なエネルギーが必要となったり、また多量の粉塵が発生して、原料のロスや作業環境の悪化などの問題が生じる。 なお、平均粒子径20〜200μmの芳香族ハロゲン化合物粒子は、ボールミル、ハンマーミルなどの粉砕機で機械的に粉砕する方法、粉砕したものを篩い分けする方法などの一般に知られている粒子径調整手段を適宜選択して容易に得ることができる。また、芳香族ハロゲン化合物の製造時の精製条件を最適化して上記平均粒子径範囲に調整してもよい。 本発明における芳香族ハロゲン化合物とフッ素化剤とのハロゲン交換反応は、芳香族ハロゲン化合物を平均粒子径20〜200μmの範囲の粒子として使用する点を除けば、一般に知られている方法に従って行うことができる。 フッ素化剤としては、この種の反応に一般に用いられているフッ素化剤を用いることができる。具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属フッ化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウムなどのアルカリ土類金属フッ化物;N−フルオロペンタクロロピリジニウム塩、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムフルオライドなどの有機塩基とフッ素との塩などを挙げることができる。なかでも、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属フッ化物、特にスプレードライした微粒子状のフッ化カリウムが好適に用いられる。 フッ素化剤はシリカなどの無機化合物を含有していてもよい。この無機化合物の代表例としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどの元素の酸化物を挙げることができる。具体的には、微粉砕した、シリカ;ゼオライト、珪藻土などのシリカおよびアルミナの混合物;チタニア、ジルコニアを主成分とする化合物を挙げることができる。なかでも、四塩化ケイ素を原料として気相法で合成した微粒子状シリカが好ましい。 フッ素化剤の使用量については、フッ素原子により置換される原料化合物の芳香族塩素化合物に含まれる塩素原子に対し、少なくとも等モルである必要があり、一般には、塩素原子1個に対して、フッ素原子が1〜1.5個となるようにフッ素化剤を用いる。 有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン(TMSO2)、N,N−ジメチルスルホキシド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホン(DMSO2)、ベンゾニトリルなどの非プロトン性極性溶媒を用いることができる。なかでも、ベンゾニトリルが好適に用いられる。有機溶媒と芳香族ハロゲン化合物との仕込み割合については、有機溶媒100質量部に対して、芳香族ハロゲン化合物を1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部の割合で用いるのが一般的である。 反応温度は、通常、150〜400℃であり、好ましくは180〜380℃、より好ましくは200〜360℃である。圧力については、特に制限はないが、上記温度範囲で常圧下還流しながら反応を行ってもよいし、自然発生圧力下で行ってもよい。あるいは、窒素ガスなどにより圧力を高くして反応させてもよい。反応容器には特に制限はないが、一般には、SUS316などの耐薬品性の素材を使用し、攪拌翼を配設した耐圧性反応容器を用いるのがよい。反応時間は、通常、3〜30時間であり、好ましくは6〜25時間、更に好ましくは8〜20時間である。 本発明の有利な実施態様を示している以下の実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。 以下の実施例および比較例において、平均粒子径は堀場製作所製LA−920を用いて求めた。実施例1 特願2002−87918号に記載の気相塩素化方法に準じて製造したペンタクロロベンゾニトリルを篩い分けすることにより平均粒子径73μmのペンタクロロベンゾニトリル粒子を得た。 1LのSUS製オートクレーブにベンゾニトリル300g、上記ペンタクロロベンゾニトリル粒子90.3g(0.328モル)およびスプレードライフッ化カリウム100g(1.721モル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、340℃で18時間反応を行った。 反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物であるペンタフルオロベンゾニトリル60.5g(0.313モル)と有効成分である3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゾニトリル2.9g(0.013モル)とが含まれていた。ペンタフルオロベンゾニトリルおよび3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゾニトリルの収率は、それぞれ、96.5モル%および3.0モル%であった。実施例2 実施例1におけると同様にして製造したテトラクロロベンゾニトリルを篩い分けすることにより平均粒子径114μmのテトラクロロベンゾニトリル粒子を得た。 1LのSUS製オートクレーブにベンゾニトリル300g、上記テトラクロロベンゾニトリル粒子104.1g(0.391モル)およびスプレードライフッ化カリウム100g(1.721モル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、280℃で20時間反応を行った。 反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物であるテトラフルオロフタロニトリル75.7g(0.378モル)と有効成分である4−クロロ−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル2.5g(0.011モル)とが含まれていた。テトラフルオロフタロニトリルおよび4−クロロ−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルの収率は、それぞれ、96.7モル%および2.9モル%であった。比較例1 実施例1におけると同様にして製造したペンタクロロベンゾニトリルを乳鉢で十分粉砕することにより平均粒子径10.6μmのペンタクロロベンゾニトリル粒子を得た。 100mLのSUS製オートクレーブにベンゾニトリル15g、上記ペンタクロロベンゾニトリル粒子4.5g(0.0164モル)およびスプレードライフッ化カリウム5.2g(0.0895モル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、320℃で12時間反応を行った。 反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物であるペンタフルオロベンゾニトリル4.87g(0.0252モル)と有効成分である3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゾニトリル1.33g(0.0059モル)とが含まれていた。ペンタフルオロベンゾニトリルおよび3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゾニトリルの収率は、それぞれ、76.9モル%および18モル%であった。 原料ペンタクロロベンゾニトリルの平均粒子径が小さすぎるため、ままこ状態となり収率が低下した。比較例2 3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリルをベンゼンで再結晶し、析出した結晶をろ別して、平均粒子径235μmの3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル粒子を得た。 100mLのSUS製オートクレーブにベンゾニトリル50g、上記3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル粒子17.4g(0.0654モル)およびスプレードライフッ化カリウム16.7g(0.2878モル)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、攪拌下、260℃で18時間反応を行った。 反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応液中には目的物である3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリル6.22g(0.0311モル)と有効成分である3−クロロ−4,5,6−トリフルオロフタロニトリル1.62g(0.0075モル)とが含まれていた。3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリルおよび3−クロロ−4,5,6−トリフルオロフタロニトリルの収率は、それぞれ、75.8モル%および18.3モル%であった。 原料3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリルの平均粒子径が大きいため収率が低下した。一般式(1)(式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子を示し、−Aは−CN、−NO2、−COFまたは−COClのいずれかを示し、aはAの置換数であって、0、1または2であり、bはXの置換数であって、2以上の整数である(ただし、a+b≦6である)。)または一般式(2)(式中、Xは一般式(1)におけると同意義であり、cはXの置換数であって、1〜4の整数であり、−Z−は−O−または(式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である。)を示す。)で表される芳香族ハロゲン化合物を有機溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化して、一般式(3)(式中、A、Xおよびaは一般式(1)におけると同意義であり、Fはフッ素原子を示し、dはFの置換数であって、1以上の整数であり、b−dは残存Xの置換数である(ただし、a+b≦6である。)または一般式(4)(式中、−Z−およびXは一般式(2)におけると同意義であり、Fはフッ素原子を示し、eはFの置換数であって、1〜4の整数であり、c−eは残存Xの置換数である。)で表される芳香族フッ素化合物を製造するにあたり、原料芳香族ハロゲン化合物を平均粒子径20〜200μmの範囲の粒子として反応に供することを特徴とする芳香族フッ素化合物の製造方法。 【課題】 芳香族ハロゲン化合物(例えば、ペンタクロロベンゾニトリル)とフッ素化剤(例えば、フッ化カリウム)とのハロゲン交換反応により対応する芳香族フッ素化合物(例えば、ペンタフルオロベンゾニトリル)を高収率で製造する方法を提供する。【解決手段】 芳香族ハロゲン化合物を平均粒子径20〜200μmの範囲の粒子として反応に供する。【選択図】 なし


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