生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_カンジタ症予防・治療用組成物
出願番号:2003341764
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/78,A23L1/30,A61K9/10,A61P31/10


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田口 裕基 新井 亮 小宮 真由美 滝沢 登志雄 石橋 弘子 井上 重治 山口 英世 安部 茂 JP 2005104919 公開特許公報(A) 20050421 2003341764 20030930 カンジタ症予防・治療用組成物 安部 茂 501239103 ヱスビー食品株式会社 000116297 秋元 輝雄 100062225 田口 裕基 新井 亮 小宮 真由美 滝沢 登志雄 石橋 弘子 井上 重治 山口 英世 安部 茂 7A61K35/78A23L1/30A61K9/10A61P31/10 JPA61K35/78 AA61K35/78 CA61K35/78 NA61K35/78 QA61K35/78 UA23L1/30 BA61K9/10A61P31/10 4 1 OL 12 特許法第30条第1項適用申請有り 4B018 4C076 4C088 4B018MD61 4B018MD66 4B018ME09 4B018ME14 4C076AA22 4C076BB01 4C076BB31 4C076CC31 4C076FF11 4C088AB15 4C088AB38 4C088AB40 4C088AB57 4C088AB73 4C088AB81 4C088AC01 4C088BA07 4C088BA08 4C088MA07 4C088MA23 4C088MA52 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZB35 本発明は、カンジタ症予防・治療用組成物に関するものであり、さらに詳しくは、経口摂取したり、局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物に関するものである。 従来、カンジタ症がカンジタアルビカンス(Candida albicans)というかびが皮膚や粘膜に増殖することにより起因する皮膚粘膜病変(カンジタ性間擦疹、カンジタ性指間びらん、カンジタ性ひょう疽、カンジタ性爪囲炎、カンジタ性おむつ皮膚炎、カンジタ性口角炎・口唇炎、カンジタ性臍炎、消化管炎症性疾患など)が起こることが知られている。カンジタアルビカンスは人間の皮膚や腸管や気管内に存在し、高齢者、入院患者ではその分離率が増加することが知られている。また、カンジタアルビカンスはアトピー性皮膚炎など多様な疾患の誘因となる可能性が議論されている。また、例えば白血病の直接の死因の約50%はカンジタ菌感染症であり、エイズにおける直接の死因の大多数もカンジタ菌感染症であるいわれている。 これらの病変の治療には合成医薬品が使用される(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、病変が軽い場合は、塩化ベンゼトニウムなどの消毒液を外用するだけで治癒する場合があり、通常は抗真菌剤(例えば、非特許文献2参照)を外用し、湿疹を併発している場合はステロイド剤も使用される。ひょう疽の場合は抗菌剤も使用される。 天然由来のスターアニス、アニス、フェンネル、スイートフェンネル、シナモン、シナモンバークなどを歯磨、マウスウオッシュなどの口腔用組成物に配合して芳香や呈味性を改善する提案がある(特許文献1参照)。特集真菌症治療薬の新しい展開、現在の標準的治療法、吉田 稔、「化学療法の領域」Vol.19,No.2,2003、頁201〜204。抗真菌剤 難波宏彰、「薬局」、Vol.45,No.1,1994、頁681〜683。特公昭59−36882号公報 本発明の目的は、従来のように合成医薬品を使用せず、天然由来のスパイス類やハーブ類を利用して経口摂取したり、局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物を提供することである。 すなわち、本発明の請求項1は、経口摂取および/または局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物であって、必須成分としてスパイス類および/またはハーブ類から選ばれる少なくとも1種をカンジタ菌発育抑止活性が認められる有効量含有することを特徴とするカンジタ症予防・治療用組成物である。 本発明の請求項2のカンジタ症予防・治療用組成物は、請求項1記載のカンジタ症予防・治療用組成物において、前記スパイス類およびハーブ類が、レモングラス、オレガノ、バジル、スペアミント、タイム、コリアンダー、アニスシード、カレー粉、ターメリック、クミン、ワサビ、クローブ、セージから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。 本発明の請求項3のカンジタ症予防・治療用組成物は、請求項1あるいは請求項2記載のカンジタ症予防・治療用組成物において、水懸濁液の形態に製剤・調製されていることを特徴とする。 本発明の請求項4のカンジタ症予防・治療用組成物は、請求項1あるいは請求項2記載のカンジタ症予防・治療用組成物において、食品の形態に加工・調製されていることを特徴とする。 本発明の請求項1のカンジタ症予防・治療用組成物は、経口摂取および/または局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物であって、必須成分としてスパイス類および/またはハーブ類から選ばれる少なくとも1種をカンジタ菌発育抑止活性が認められる有効量含有することを特徴とするものであり、従来のように合成医薬品を使用せず、天然由来のスパイス類やハーブ類を積極的に利用して日常の食生活で食品の形態や経口用製剤などとして経口摂取したり、注射液などとして局部に外用するなど適用してカンジタ症を予防・治療することができる。 本発明の請求項2のカンジタ症予防・治療用組成物は、前記スパイス類およびハーブ類が、レモングラス、オレガノ、バジル、スペアミント、タイム、コリアンダー、アニスシード、カレー粉、ターメリック、クミン、ワサビ、クローブ、セージから選ばれる少なくとも1種であるので、安価で入手が容易である上、高いカンジタ症予防・治療効果が得られる。 本発明の請求項3のカンジタ症予防・治療用組成物は、水懸濁液の形態に製剤・調製されているので、保存性に優れる上、輸送など取り扱い性にも優れ、また容易に経口摂取したり、局部に適用したりできる。 本発明の請求項4のカンジタ症予防・治療用組成物は、固体状あるいは液体状あるいは両者を組み合わせた状態などの食味・食感のよい美味しい食品(菓子、ガムなどを含む)の形態に加工・調製されているので、日常の食生活で抵抗なく習慣的に容易に経口摂取して、自然に容易にカンジタ症を予防・治療することができる。 以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。 図1A、B、Cは、マウスの舌の顕微鏡写真であり、Aは健康なマウスの舌の顕微鏡写真であり、Bは口腔カンジタ症にかかったマウスの舌の顕微鏡写真であり、Cは本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いて治療した後のマウスの舌の顕微鏡写真である。 図2Aは、図1Bに示した口腔カンジタ症にかかったマウスの舌の断面顕微鏡写真であり、図2Bは図1Cに示した本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いて治療した後のマウスの舌の断面顕微鏡写真である。口腔カンジタ症にかかったマウスの舌には、カンジタ菌本体1、菌糸2および白苔(炎症)3が見られるのに対して、本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いて治療した後のマウスの舌にはカンジタ菌本体1および菌糸2が見られず、白苔(炎症)3が緩和されていることが判る。4は皮下組織、5は表皮細胞を示す。 スパイス類およびハーブ類は、世界に350種類以上あるといわれており、風邪薬、胃腸薬、湿布薬、化粧品、香水、バス・トイレタリー、アロマテラピーなどとして使用されている。本発明においてはこれらの中から有効なスパイス類およびハーブ類を選択して使用することができる。スパイス類およびハーブ類としては具体的には、例えばシソ科(ミント、サボリー、バジル、シソ、マジョラム、オレガノ、セージ、タイム、ローズマリーなど)、ナス科(トウガラシ、パプリカなど)、ゴマ科(ゴマなど)、キク科(タラゴンなど)、コショー科(コショーなど)、ニクズク科(ナツメッグ、メースなど)、クスノキ科(ローレル、シナモン、カシアなど)、モクレン科(スターアニスなど)、アブラナ科(マスタード、ワサビ、ホースラディッシュなど)、マメ科(フェネグリークなど)、ミカン科(サンショなど)、フトモモ科(クローブ、オールスパイスなど)、セリ科(ディル、セロリー、キャラウェイ、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、アニスなど)、ユリ科(ガーリック、オニオンなど)、ショウガ科(ジンジャー、ターメリック、カルダモンなど)、ラン科(バニラビーンズなど)、あるいはこれらの2種以上の組み合わせを挙げることができる。 これらは葉、種子、果実、根・根茎、樹皮、花などの部位を使用できる。 これらの中でも、レモングラス、オレガノ、バジル、スペアミント、タイム、コリアンダー、アニスシード、カレー粉、ターメリック、クミン、ワサビ、クローブ、セージは、安価で入手が容易である上、高いカンジタ症予防・治療効果が得られるので好ましく使用できる。 スパイス類およびハーブ類は、生のまま使用することも、乾燥して使用することも(ホール、あらびき、パウダーなど)、精油など抽出したもの、あるいはこれらをシーズニングしたもの、あるいはこれらの2種以上の組み合わせを使用することもできる。 スパイス類およびハーブ類を水懸濁液の形態に製剤・調製するには、例えば、生ハーブについては、生ハーブ:ドライアイス=2:1(体積比)で混合させながらコーヒミルなどで磨砕した後、氷冷下にホモジナイザーでさらに粉砕した後、滅菌蒸留水を加えて十分に攪拌し、メッシュで濾過して製剤・調製する。乾燥スパイス類を水懸濁液の形態に製剤・調製するには、例えば、滅菌蒸留水を加えて、氷冷下にホモジナイザーで粉砕した後、メッシュで濾過して製剤・調製する。ワサビなどは市販のおろし器によりすりおろし、これに滅菌蒸留水を加えて攪拌した後、メッシュで濾過して製剤・調製する。 スパイス類およびハーブ類を食物の形態に製剤・調製するには、例えば、生ハーブ、乾燥スパイス類を原料に配合、混合してその食物を製造する常法にしたがって固体状あるいは液体状あるいは両者を組み合わせた状態などにしたり、常法にしたがって作った食物に添着、積層、振りかけ、混合などして作ったりする例を挙げることができる。 本発明において組成物全体に対するスパイス類およびハーブ類の配合量は、カンジタ菌発育抑止活性が認められる有効量であればよく、スパイス類およびハーブ類の種類、形態などによっても異なるので、特に限定できない。通常、配合量の下限値はカンジタ菌発育抑止活性が認められる最小配合量で、下限値未満ではカンジタ菌発育抑止活性が認められなくなる値として決められ、上限値は副作用、経済性などを考慮して決められる。 以下、実施例および比較例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。 生ハーブ、乾燥スパイス、ワサビを用いてそれぞれ下記のように処理してサンプル調整液を作った。(1)生ハーブ 生ハーブサンプル(レモングラス、オレガノ、バジル、セージ、スペアミント、タイム)にドライアイス(2:1体積比)を配合し、混合させながらコーヒーミルで磨砕し、氷温下にてホモジナイザイを用いて1分間破砕した後、ホモジネート5gに対して滅菌蒸留水を加えて充分に攪拌し、ナイロン(登録商標)網(100メッシュ)で濾過し、濾液をサンプル調整液とした。(2)乾燥スパイス 乾燥スパイスサンプル(コリアンダー、アニスシード、クローブ、カレー粉、ターメリック)5gに滅菌蒸留水適量を配合し、氷温下にてホモジナイザイを用いて1分間破砕した後、ナイロン(登録商標)網(100メッシュ)で濾過し、濾液をサンプル調整液とした。(3)ワサビ ワサビをおろし器ですりおろし、2gを採取して滅菌蒸留水適量を配合して充分に攪拌し、ナイロン(登録商標)網(100メッシュ)で濾過し、濾液をサンプル調整液とした。 各サンプル調整液を原液とし滅菌蒸留水適量を配合して希釈し必須成分濃度が0.016、0.08、0.4、2、10および50質量%の希釈液を作成した。 RPMI1640培地中に5×103 cells/100μlに調整したカンジタアルビカンス(Candida albicans)菌液を96穴マイクロプレートに100μl注ぐ。 それぞれの前記希釈液をそれに加え(検体数5)、37℃、16時間培養した。培養後、発育状態を顕微鏡にて観察し、菌数の増減、消滅を測定し、下記の評価基準により評価した結果を表1に示す。評価基準;○○○:菌消滅○○ :菌大幅減○ :菌減少△ :菌数変化なし× :菌数増×× :菌数大幅増(比較例1) 前記希釈液を加えなかった以外は実施例1と同様にして培養後、発育状態を顕微鏡にて観察し、菌数の増減、消滅を測定し評価した結果を表1に示す。 モデルマウスの口腔内および胃内にカンジタアルビカンス(Candida albicans)菌を下記定着方法により定着させた。[モデルマウスの作成方法およびカンジタ菌の定着方法](1)5週齢、ICR系雌性マウス(日本チャールス・リバー(株)より購入)、1群5匹で計25匹を、1週間予備飼育した。(2)感染前日に副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロン(三鷹製薬社製)を100mg/kgとなるように皮下投与し、給水(滅菌水道水)液中に0.83mg/mlとなるように塩酸テトラサイクリン(武田薬品社製)を添加して自由摂取させた。(3)カンジダ菌(Candida albicans:TIMM2640株)を、感染直前に細胞数が2.5×107 個/mlとなるように、2.5%ウシ胎児血清(ギブコ社製)を含むRPMI1640液体培地(ギブコ社製)に懸濁して接種菌液を調製した。(4)動物を麻痺させる目的で、精神安定剤であるクロルプロマジン塩酸塩(和光純薬社製)適量を生理食塩水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。(5)マウスの左右大腿部に麻酔薬を注射し、マウスの動きが麻痺した段階で、調製した接種菌液を綿棒に充分染み込ませて、舌と口腔内に塗り付け、3時間麻痺を持続させてカンジタ菌を定着させた。(6)同様にマウスを麻痺させ、調製した接種菌液を注射にて胃内に投与し、感染定着させた(1×106 cells/0.1ml)。 そして口腔内および胃内にそれぞれの前記希釈液を感染後3日目から7日目まで12時間毎(1日2回)投与し(検体数5)、3日目および7日目に各日2回目投与4時間後に効果を調べた。 口腔内については目視観察により確認した。 胃内については3日目および7日目にふん便を回収し、これをGS培地にて37℃、24時間培養した後、コロニー数を計測した。またふん便回収時に各個体の体重変化を確認した。体重変化はいずれも2質量%以下であった。菌数の増減、消滅を測定し下記の評価基準により評価した結果を表2に示す。評価基準;○○ :菌大幅減○ :菌減少△ :菌数変化なし× :菌数増(比較例2) それぞれの前記希釈液を投与しなかった以外は実施例2と同様にして評価した結果を表2に示す。 表1および表2から、比較例1および比較例2のように本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いない場合は、カンジタアルビカンス(Candida albicans)菌が増殖するのに対して、実施例1および実施例2の本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いると、菌の増殖を抑制したり、消滅させるのに有効であり、カンジタ症の治療に有効であることが判る。 本発明のカンジタ症予防・治療用組成物は、経口摂取および/または局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物であって、必須成分としてスパイス類および/またはハーブ類から選ばれる少なくとも1種をカンジタ菌発育抑止活性が認められる有効量含有することを特徴とするものであり、従来のように合成医薬品を使用せず、天然由来のスパイス類やハーブ類を積極的に利用して食味・食感のよい美味しい食品の形態に加工・調製するなどして、日常の食生活で抵抗なく習慣的に容易に経口摂取したり、局部に外用するなど適用してカンジタ症を予防・治療することができるので、産業上の利用価値が高い。Aは健康なマウスの舌の顕微鏡写真であり、Bは口腔カンジタ症にかかったマウスの舌の顕微鏡写真であり、Cは本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いて治療した後のマウスの舌の顕微鏡写真である。図1Bに示した口腔カンジタ症にかかったマウスの舌の断面顕微鏡写真である。図1Cに示した本発明のカンジタ症予防・治療用組成物を用いて治療した後のマウスの舌の断面顕微鏡写真である。符号の説明1 カンジタ菌本体2 菌糸3 白苔(炎症)4 皮下組織5 表皮細胞経口摂取および/または局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物であって、必須成分としてスパイス類および/またはハーブ類から選ばれる少なくとも1種をカンジタ菌発育抑止活性が認められる有効量含有することを特徴とするカンジタ症予防・治療用組成物。前記スパイス類およびハーブ類が、レモングラス、オレガノ、バジル、スペアミント、タイム、コリアンダー、アニスシード、カレー粉、ターメリック、クミン、ワサビ、クローブ、セージから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のカンジタ症予防・治療用組成物。水懸濁液の形態に製剤・調製されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のカンジタ症予防・治療用組成物。食品の形態に加工・調製されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のカンジタ症予防・治療用組成物。 【課題】合成医薬品を使用せず、天然由来のスパイス類やハーブ類を積極的に利用して食味・食感のよい美味しい食品の形態に加工・調製するなどして、日常の食生活で抵抗なく習慣的に容易に経口摂取したり、局部に外用するなど適用してカンジタ症を予防・治療できる組成物の提供。【解決手段】経口摂取および/または局部に適用してカンジタ症を予防・治療するための組成物であって、必須成分としてスパイス類および/またはハーブ類から選ばれる少なくとも1種をカンジタ菌発育抑止活性が認められる有効量含有する組成物を用いる。【選択図】図1


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