生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_チロシンホスファターゼ阻害剤
出願番号:2003321643
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/80,A61P3/04,A61P3/10,A61P25/00,A61P25/16,A61P25/28,A61P35/00,A61P37/02,A61P37/04,A61P37/06,A61P37/08,A61P43/00


特許情報キャッシュ

直木 洋 溝口 亨 加藤 葉子 久保田 仁志 竹腰 英夫 JP 2005089322 公開特許公報(A) 20050407 2003321643 20030912 チロシンホスファターゼ阻害剤 株式会社サン・クロレラ 596120326 高良 尚志 100095522 直木 洋 溝口 亨 加藤 葉子 久保田 仁志 竹腰 英夫 7A61K35/80A61P3/04A61P3/10A61P25/00A61P25/16A61P25/28A61P35/00A61P37/02A61P37/04A61P37/06A61P37/08A61P43/00 JPA61K35/80 AA61P3/04A61P3/10A61P25/00A61P25/16A61P25/28A61P35/00A61P37/02A61P37/04A61P37/06A61P37/08A61P43/00 111 5 OL 7 4C088 4C088AA16 4C088AC16 4C088CA01 4C088NA14 4C088ZA02 4C088ZA16 4C088ZA70 4C088ZB07 4C088ZB08 4C088ZB09 4C088ZB13 4C088ZB26 4C088ZC20 4C088ZC35 本発明は、レセプター型の膜貫通チロシンホスファターゼであるCD45、非膜貫通の細胞質型チロシンホスファターゼであるPTP1C、PTP1B、及び48kDaT−細胞チロシンホスファターゼ(PTP−TC)等のチロシンホスファターゼを阻害するためのチロシンホスファターゼ阻害剤に関する。 レセプター型の膜貫通チロシンホスファターゼであるCD45は、T−細胞レセプターが副次的メッセンジャー経路と結合してIL−2を産生し、T−細胞が特定の抗原に対して増殖反応を示す上で、必須であることが示されている。CD45のチロシンホスファターゼ活性の阻害は、免疫調整因子としての役割を果し、腫瘍性疾患、糖尿病、免疫機能不全、増殖障害、脳疾患、各種アレルギー、自己免疫疾患等の治療や、発ガン予防等に有用であると考えられる。 細胞質型チロシンホスファターゼであるPTP1Cは、HCP、SHP、SH−PTP1としても知られており、二つのsrc homology−2(SH2)ドメインが含まれている。SH2ドメインには二つの役割があるものと考えられている。一つは活性化(すなわち、自己リン酸化成長因子レセプター上において、細胞質信号伝達分子と特定のホスフォチロシル残基との間の相互作用を促進する促進因子としての役割であり、もう一つはホスファターゼ活性の自己調整因子としての役割である。その機能は免疫調整作用と関連しており、PTP1Cの阻害は、自己免疫疾患の治療に有用であると考えられる。 細胞質型のチロシンホスファターゼであるPTP1Bは、単一の触媒性ドメインと疎水性カルボキシルターミナル部で構成されており、後者は酵素を小胞体に位置させる役目を果たす。PTP1Bは、チロシンキナーゼのリン酸化状態をコントロールすることによって、チロシンキナーゼの調整に関与している。PTP1Bは卵巣癌や乳癌等のいくつかの腫瘍性疾患、糖尿病、肥満症、アルツハイマー病、パーキンソン病等と関連性があり、PTP1Bの阻害は、卵巣癌や乳癌等の腫瘍性疾患、糖尿病、肥満症、アルツハイマー病、パーキンソン病等の治療に有用であると考えられる。 48kDa細胞質型のチロシンホスファターゼであるT−細胞チロシンホスファターゼ(以下、PTP−TCとも言う。)は、各種のキナーゼと共に、細胞質信号伝達、細胞成長、及び分化にとって必要なリン酸化作用の臨界レベルを調整している。PTP−TCは48kDa細胞質型ホスファターゼであり、単一の触媒性ドメインと非触媒性C−ターミナル部で構成されており、後者はホスファターゼ活性の調整と位置限定に重要な役割を果している。PTP−TCの阻害は、T細胞増殖調整剤として有用であると考えられる。 プロテインチロシンホスファターゼ阻害作用を有する化合物としては、特許文献1記載のピロール化合物のほか、特許文献2及び特許文献3にそれぞれ記載された化合物が知られているが、多様な局面で、CD45、PTP1C、PTP1B及びPTP−TC等のチロシンホスファターゼ活性を阻害する上で、更なるCD45、PTP1C、PTP1B及びPTP−TC等のチロシンホスファターゼを阻害するチロシンホスファターゼ阻害剤に対する要望は強い。特開2002−121186号公報WO99/46244WO99/58520 本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、CD45、PTP1C、PTP1B及びPTP−TC等のチロシンホスファターゼ活性を阻害する新規チロシンホスファターゼ阻害剤を提供することにある。 本発明者は、レセプター型の膜貫通チロシンホスファターゼであるCD45、非膜貫通型チロシンホスファターゼであるPTP1C、細胞質型のチロシンホスファターゼであるPTP1B、及び、48kDa細胞質型のチロシンホスファターゼであるT−細胞チロシンホスファターゼ(PTP−TC)等のチロシンホスファターゼを阻害する上で有用な物質について研究を行った結果、本発明を完成したものである。 すなわち、本発明のチロシンホスファターゼ阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してチロシンホスファターゼを阻害する方法を提供するものである。 また本発明のCD45阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してCD45を阻害する方法を提供するものである。 更に、本発明のPTP1C阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してPTP1Cを阻害する方法を提供するものである。 また本発明のPTP1B阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してPTP1Bを阻害する方法を提供するものである。 また更に本発明のPTP−TC阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してPTP−TCを阻害する方法を提供するものである。 本発明のチロシンホスファターゼ阻害剤は、本発明のCD45阻害剤は、CD45のチロシンホスファターゼ活性を阻害し免疫調整因子としての役割を果し、腫瘍性疾患、糖尿病、免疫機能不全、増殖障害、脳疾患、各種アレルギー、自己免疫疾患等の治療や、発ガン予防に有用である。また、本発明のPTP1C阻害剤は、自己免疫疾患の治療に有用である。更に、本発明のPTP1B阻害剤は、卵巣癌や乳癌等の腫瘍性疾患、糖尿病、肥満症、アルツハイマー病、パーキンソン病等の治療に有用である。また更に、本発明のPTP−TC阻害剤は、T細胞増殖調整剤として有用である。 本発明におけるクロレラとは、クロレラ属(Chlorella) に属する単細胞緑藻類であって、例えば、Chlorella pyrenoidosa、Chlorella ellipsoidea 、Chlorella vulgaris 、Chlorella regularis 等を挙げることができる。本発明に最も適しているのは、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)である。 本発明のチロシンホスファターゼ阻害剤(CD45阻害剤、PTP1C阻害剤、PTP1B阻害剤及びPTP−TC阻害剤を含む。以下同じ。)におけるクロレラの細胞壁破砕物は、例えば次のようにして得ることができる。すなわち、先ずクロレラ濃度10乃至25重量%のクロレラ粉体・水懸濁液を10℃以下に調整する。次にこの懸濁液を、下記のような連続湿式微粉砕機に送入し、破砕直後のスラリーが40℃以下になるよう微粉砕する。次いで、このようにして得られたクロレラスラリーを、直ちに10℃以下に冷却することにより、細胞壁が破砕されたクロレラを、品質劣化を生じさせることなく得ることができる。 上記連続湿式微粉砕機は、冷却外套を持つ密閉シリンダー中に多数の直径0.5乃至1.5mmのグラスビーズが封入されたものである。そのグラスビーズ容量は密閉シリンダー容量の80乃至85%であり、グラスビーズを流入液体と混和・回転することにより、流入液体中の物質を摩砕するものである。 このようにして細胞壁が破砕されたクロレラは、そのまま用いることもできるが、例えば、真空乾燥後粉砕を行う等の適宜の処理を施した後に使用してもよい。 本発明のチロシンホスファターゼ阻害剤は、経口適用が望ましい。経口適用の形態に特に限定はないが、好ましくは、栄養食品、栄養補助食品、粉末、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、又は飲料用液体の形態である。 また種々の形態を形成する上で、各種賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、可塑剤等を適宜用いることができる。 賦形剤の例としては、糖類(乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニトール),デンプン(バレイショ,コムギ,トウモロコシ),無機物(炭酸カルシウム,硫酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,塩化ナトリウム),結晶セルロース,植物末(カンゾウ末,ゲンチアナ末)等を挙げることができる。 結合剤の例としては、デンプンのり液,アラビアゴム,ゼラチン,アルギン酸ナトリウム,メチ/レセルロース(MC),エチルセルロース(EC),ポリビニルピロリドン(PVP),ポリビニルアルコール(PVA),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC),カルポキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。 崩壊剤の例としては、デンプン,寒天,ゼラチン末,結晶セルロース,CMC・Na,CMC・Ca,炭酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。 滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム,タルク,水素添加植物油,マクロゴール,シリコーン油等を挙げることができる。 コーティング剤の例としては、糖衣(白糖,HPC,セラック),膠衣(ゼラチン,グリセリン,ソルビトール),フイルムコーティング〔ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),EC,HPC,PVP〕,腸溶性コーティング〔ヒドロキシプロビルメチルセルロースフタレート(HPMCP),セルロースアセテートフタレート(CAP)〕等を挙げることができる。 着色剤の例としては、水溶性食用色素,レーキ色素)等を挙げることができる。矯味剤の例としては、乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニトール)等を挙げることができる。矯臭剤の例としては、芳香性精油類),光線遮断剤(酸化チタン)等を挙げることができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル類,植物油,ポリエチレングリコール)等を挙げることができる。 クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)乾燥粉末の製造 冷却外套を持つ密閉シリンダー中にその密閉シリンダー容量の80乃至85%の容量の多数の直径0.5乃至1.5mmのグラスビーズが封入されており、そのグラスビーズを流入液体と混和・回転することにより流入液体中の物質を摩砕する連続湿式微粉砕機(商品名:ダイノーミル[KD型] WAB, Inc.製)に、10℃以下に調整されたクロレラ・ピレノイドサ濃度10乃至25重量%のクロレラ・ピレノイドサ粉体・水懸濁液を送入して、破砕直後のスラリーが40℃以下になるよう微粉砕し、次いで、このようにして得られたクロレラ・ピレノイドサスラリーを、直ちに10℃以下に冷却し、真空乾燥後、粉砕することにより、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末(株式会社サン・クロレラ製の細胞壁破砕クロレラ粉末)が得られた。 CD45阻害活性の測定 fynキナーゼにより燐酸化された基質ポリ(Glu:Tyr,4:1)(Sigma[米国]から入手)を用いてマイクロプレートウエルを一夜コートした。反応は、室温で、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末および/または溶媒並びにイミダゾール緩衝液(pH7.2)によるCD45(MDS Pharma Services[米国]から入手したヒト組替えCD45)の適切な濃度の希釈液を加えることにより開始し、20分間行った。 Spectrafluor Plus(Tecan[オーストリア]) を用いてpoly (Glu: Tyr〜P)のELISA定量により測定を行ったところ、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ(乾燥粉末)によるCD45の50%阻害濃度は、0.678μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)であった。すなわち、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサは強いCD45阻害作用を有していた。 PTP1C阻害活性の測定 fynキナーゼにより燐酸化された基質ポリ(Glu:Tyr,4:1)(Sigma[米国]から入手)を用いてマイクロプレートウエルを一夜コートした。反応は、室温で、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末および/または溶媒並びにイミダゾール緩衝液(pH7.2)によるPTP1C(UBI[米国]から入手)の適切な濃度の希釈液を加えることにより開始し、30分間行った。 Spectrafluor Plus(Tecan[オーストリア]) を用いてpoly (Glu: Tyr〜P)のELISA定量により測定を行ったところ、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ(乾燥粉末)によるPTP1Cの50%阻害濃度は、1.56μg/mlであった。すなわち、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサは強いPTP1C阻害作用を有していた。 PTP1B阻害活性の測定 基質チロシンホスフォペプチド(UBI[米国]から入手)を用いてマイクロプレートウエルを一夜コートした。反応は、室温で、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末および/または溶媒並びにイミダゾール緩衝液(pH7.2)によるPTP1B(UBI[米国]から入手)の適切な濃度の希釈液を加えることにより開始し、30分間行った。 Spectrafluor Plus(Tecan[オーストリア]) を用いてチロシンホスフォペプチドのELISA定量により測定を行ったところ、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ(乾燥粉末)によるPTP1Bの50%阻害濃度は、65.3μg/mlであった。すなわち、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサはPTP1B阻害作用を有していた。 PTP−TC阻害活性の測定 基質チロシンホスフォペプチド(UBI[米国]から入手)を用いてマイクロプレートウエルを一夜コートした。反応は、室温で、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末および/または溶媒並びにイミダゾール緩衝液(pH7.2)によるPTP−TC(New England Biolabs[米国]から入手)の適切な濃度の希釈液を加えることにより開始し、30分間行った。 Spectrafluor Plus(Tecan[オーストリア]) を用いてチロシンホスフォペプチドのELISA定量により測定を行ったところ、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ(乾燥粉末)によるPTP−TCの50%阻害濃度は、114μg/mlであった。すなわち、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサはPTP−TC阻害作用を有していた。 クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるチロシンホスファターゼ阻害剤。 クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるCD45阻害剤。 クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるPTP1C阻害剤。 クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるPTP1B阻害剤。 クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるPTP−TC阻害剤。 【課題】 CD45、PTP1C、PTP1B及びPTP−TC等のチロシンホスファターゼ活性を阻害する、糖尿病、免疫機能不全、増殖障害、脳疾患、各種アレルギー、自己免疫疾患、腫瘍性疾患、肥満症、アルツハイマー病、パーキンソン病等の治療並びにT細胞増殖調整、発ガン予防等に有用な新規チロシンホスファターゼ阻害剤を提供すること。 【解決手段】 細胞壁を破砕したクロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)の乾燥粉末を含有してなる、CD45、PTP1C、PTP1B、及びPTP−TCを含むチロシンホスファターゼの阻害剤。【選択図】 なし


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