タイトル: | 公開特許公報(A)_1,3−アダマンタンジオールの製造方法 |
出願番号: | 2003319327 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C29/124,C07C35/37,C07B61/00 |
椎木 啓文 田中 典宏 田中 健次 山口 真男 JP 2005082566 公開特許公報(A) 20050331 2003319327 20030911 1,3−アダマンタンジオールの製造方法 株式会社トクヤマ 000003182 椎木 啓文 田中 典宏 田中 健次 山口 真男 7C07C29/124C07C35/37C07B61/00 JPC07C29/124C07C35/37C07B61/00 300 4 OL 8 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AB46 4H006AB84 4H006AC41 4H006BA28 4H006BA36 4H006BB12 4H006BC31 4H006BD70 4H006BE60 4H006FC36 4H006FE12 4H039CA60 4H039CD20 本発明は、機能性材料や電子材料の原料として有用な1,3−アダマンタンジオールを製造する方法に関する。 アダマンタン誘導体は耐熱性に優れ、透明性が高い特徴を有することから、耐熱性高分子等の高機能性材料や、半導体用レジスト等の電子材料に応用することが期待されている化合物である。中でも1,3−アダマンタンジオールは、機能性高分子を始めとする種々のアダマンタン誘導体を合成する原料として重要である。 1,3−アダマンタンジオールをアダマンタンから直接合成する方法としては、イミド化合物及びコバルト化合物の存在下、アダマンタンを酸素酸化させる方法(例えば、特許文献1参照)や、ルテニウム化合物の存在下、アダマンタンを次亜塩素酸類により酸化させる方法(例えば、特許文献2参照)などが報告されている。しかしながら、これらの方法を用いた場合、通常、目的物はアダマンタノール、アダマンタノン等との混合物として得られ、収率は前記イミド化合物を使用した反応の場合58%であり、前記ルテニウム触媒を使用した反応の場合55%であり、どちらも満足できるものではない。 また、別法として1,3−ジブロモアダマンタンから1,3−アダマンタンジオールを得る方法が提唱されている(例えば、特許文献3参照)。該方法では、1,3−ジブロモアダマンタンをピリジンの存在下、水と反応させ1,3−アダマンタンジオールを89%の収率で取得している。特開平9−327626号公報特開2000−219646号公報特開2000−327604号公報 しかしながら、原料として1,3−ジブロモアダマンタンを用いる上記方法には、次のような問題がある。即ち、第一に、原料の1,3−ジブロモアダマンタンを製造するためには、臭素ガスを直接アダマンタンと反応させるために特殊な設備が必要であり、工業的規模で1,3−ジブロモアダマンタンを製造するのは困難である。また、1,3−アダマンタンジオールを製造する反応は、150℃の高温下、0.5〜1MPaの加圧条件下で行う必要があるため、装置に対する制約が多く、また、安全性確保の点で注意が必要であった。例えば、上記反応圧力はグラスライニング反応器の仕様限界値に近いため、上記反応にグラスライニング反応器使用することは難しく、また、ステンレスの反応器を用いた場合には圧力的には問題ないものの、副生する臭化水素によるステンレスの腐食に対する対策が必要であり、フッ素樹脂ライニング製の反応器を用いた場合にもフッ素樹脂の熱劣化に対する注意が必要であった。更に、高温条件下では溶媒であるピリジンが分解し、急激な圧力上昇が起こる可能性もたった。そこで、本発明は、温和な条件で1,3−アダマンタンジオールを効率よく製造する方法を提供することを目的とする。 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、クロロスルホン酸とアダマンタンを接触させて生成する1,3−ジクロロアダマンタンを原料として選択し、これを硫酸と接触させることで高収率、高純度で1,3−ジアダマンタンジオールを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、1,3−ジクロロアダマンタンを硫酸及び水と混合して反応させることを特徴とする1,3−アダマンタンジオールの製造方法である。なお、1,3−ジクロロアダマンタンを原料として、大気圧下、1,3−アダマンタンジオールを製造した例はこれまで知られていない。 本発明の製造方法によれば、工業的に容易に入手可能な1,3−ジクロロアダマンタン及び硫酸を用いて、例えば大気圧下60℃といった温和な条件で、1,3−アダマンタンジオールを高収率で製造することができる。 本発明では、1,3−ジクロロアダマンタンを硫酸及び水と混合して反応させることにより1,3−ジクロロアダマンタンをアルコール化して1,3−アダマンタンジオールを製造する。 本発明で原料として使用する1,3−ジクロロアダマンタンは、試薬或いは工業的に入手可能な1,3−ジクロロアダマンタンが特に制限なく使用できるが、より入手が容易なアダマンタンを基礎原料として使用でき、しかも他の反応試剤も入手が容易であり、アダマンタンから1,3−アダマンタンジオールまでのトータル収率が高く、操作も簡便であるという理由下から、アダマンタンとクロロスルホン酸とを混合して塩素化して得た1,3−ジクロロアダマンタンを使用するのが好適である。 上記塩素化反応において、使用するアダマンタンとクロロスルホン酸の量比は、特に制限されるものではないが、クロロスルホン酸の量があまり少ないと反応が十分に進行しなくなるため、クロロスルホン酸の量はアダマンタン1モルに対して4モル以上であることが好ましい。このとき、反応条件は、特に限定されるものではないが、−5℃〜30℃の温度で3〜24時間反応させるのが好適である。また、反応圧力も特に限定されるものではないが、特殊な装置を要さず操作も簡便であることから通常、常圧下で実施される。 アダマンタンとクロロスルホン酸との混合は、如何なる方法により行ってもよいが、通常は、アダマンタンまたはその溶液に、クロロスルホン酸を滴下することにより行われる。このとき、上記混合は溶媒の不存在下あるいは有機溶媒または無機溶媒中で実施することができる。溶媒としてはハロスルホン酸に対して不活性なものであれば制限なく使用できる。例えば、有機溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒が好適に使用でき、無機溶媒としては、濃硫酸等が好適に使用できる。 アダマンタンとハロスルホン酸との反応に用いる設備(装置)は、ハロスルホン酸が水分と反応して分解し酸性ガスを発生するのを防ぐため、大気との接触を断つ構造であることが好ましい。また、設備(装置)内部は、あらかじめ窒素等の不活性ガスで十分置換・乾燥しておき、反応中は乾燥剤を使用するか、窒素等の不活性ガスを通気することにより、水分の浸入を防いだ状態で反応を実施するのが望ましい。 このようにして得られた反応液から、1,3−ジクロロアダマンタンを分離するには、如何なる方法を用いてもよいが、通常、反応液と氷水とを混合して反応を停止した後、反応を有機溶媒存在下で行なった場合には必要に応じて有機溶媒を追加した後に水層と有機層を分離することにより、また反応を無溶媒あるいは無機溶媒の存在下で行なった場合には生成物を有機溶媒で抽出することにより好適に行うことができる。このとき抽出に用いる有機溶媒としては、反応時に使用できるとした有機溶媒が好適に使用できる。また、反応を、有機溶媒の不存在下、あるいは無機溶媒の存在下で行った場合には、ジクロロアダマンタンは反応液から析出するので、ろ過により分離しても良い。分離は、温度があまり高いとトリクロロ体への反応が進行する可能性があるため、常温以下の温度で実施するのが好ましい。このようにして得られた抽出溶液又は析出物を水洗した後、乾燥することにより粗1,3−ジクロロアダマンタン(通常、淡褐色の粉末)を得ることができる。上記粗1,3−クロロアダマンタンには、通常1,3−ジクロロアダマンタンが85〜95重量%程度含まれており、その他に1−クロロアダマンタンが1〜5重量%程度、1,2−ジクロロアダマンタン及び1,4−ジクロロアダマンタンが合計で0.5〜8重量%程度、1,3,5−及び1,3,6−等のトリクロロアダマンタンが合計で0.5〜6重量%程度、分子量300以上の高分子量不純物が0.4〜2重量%程度含まれている。このようにして得られた粗1,3−ジクロロアダマンタンは、そのまま或いは精製して使用することができる。 本発明の製造方法において、1,3−ジクロロアダマンタンを硫酸及び水と混合して反応させるが、このときの反応方法は特に限定されず、(1)1,3−ジクロロアダマンタンを、当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上の水の存在下に硫酸と混合して反応される方法又は(2)1,3−ジクロロアダマンタンを、水の含有量が当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル未満である硫酸と混合して得られた中間体と、当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上の水とを混合して反応させる方法が採用できる。なお、上記(1)の方法においては、反応をより完全に進行させるために反応液を更に過剰量の水と混合する処理(反応後水処理ともいう)を行なうのが好適である。この場合における過剰量の水との混合及び上記(2)の方法における1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上の水との混合(後段の反応)は、前段の反応で副生する塩酸若しくは塩化水素を中和するために行なう「塩基性水溶液を用いた処理」或いはその後引き続いて行なわれる「水洗処理」として行なうこともできる。また、前記(2)の方法における後段の反応を行なうに際しては、前段の反応終了の反応液と水とを混合してもよいし、中間体を含む有機層を分離してこれと水とを混合させてもよい。 上記(1)の方法、特に水が過剰量共存する場合、硫酸は主として1,3−ジクロロアダマンタンの加水分解触媒として作用するものと考えられる。また、(2)の方法、特に水の含有量が極めて少ない硫酸を用いた場合においては、1,3−ジクロロアダマンタンと硫酸の作用により1,3−ジクロロアダマンタンの塩素原子が塩化水素として脱離することにより硫酸イオンを対アニオンとするアダマンチルカチオン(反応中間体)が形成され、これが水と反応して1,3−アダマンタンジオールが形成するものと考えられる。また、(1)及び(2)の方法において硫酸に含まれる水のモル数が1,3−ジクロロアダマンタンのモル数とほぼ同程度である場合には、上記した2の機構が複合して反応が進行するものと考えられる。 したがって、本発明の方法では、硫酸としては、それに含まれる水の含有量に拘わらず、試薬あるいは工業的に入手可能な硫酸が何等制限無く使用できる。一般的に入手可能な硫酸の濃度は96〜98質量%(残部は水)であるが、例えば発煙硫酸を用いて濃度98〜100質量%に調整された硫酸も使用可能である。しかしながら、取扱いが容易であり、反応収率も高いという理由から、水を加えて10〜98質量%、特に20〜96質量%の濃度に調整した硫酸を使用するのが好適である。 本反応に使用する硫酸の量は特に限定されないが、原料となる1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して0.05〜500モル、特に0.2〜300モルの範囲から適宜選択すればよいが、反応効率および経済性を考慮すると、前記(1)の方法を採用する場合には1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して0.5〜300モル、特に1〜250モルの範囲であるのが好適であり、前記(2)の方法を採用する場合には1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して0.5〜300モル、特に1〜250モルの範囲であるのが好適である。 本発明の方法において硫酸と1,3−ジクロロアダマンタンとの混合は溶媒の非存在下行なうことも可能であるが、有機溶媒の存在下で行なうこともできる。このとき使用できる有機溶媒としては、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル等のエステル類、アセトニトリル等の二トリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類が挙げられ、中でも、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類が好適に使用される。本発明においては、耐硫酸性(硫酸に対する安定性の高さ)の観点からハロゲン化炭化水素の存在下で行うのが好適である。ハロゲン化炭化水素は1,3−ジクロロアダマンタンに対する溶解性が高いので、ハロゲン化炭化水素を溶媒として使用することにより1,3−ジクロロアダマンタンと硫酸或いは硫酸及び水とがより効果的に接触するようになり、溶媒と硫酸との副反応が抑制され副生成物が少なくなるものと思われる。 また水の使用量は、トータルで1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上になる量であれば特に限定されないが、収率の観点から1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して4モル以上となる量であるのが好適である。但し、前記したように、本発明の製法における反応では塩化水素が副成する為、これを処理するために後処理工程として塩基性水溶液による中和処理及び水洗{これら処理は前記(2)の方法における後段の反応、前記(1)の方法において好適に行なわれる反応後水処理ともなる。}を行なうのが通常であり、これら処理において過剰量の水と接触することとなる。 本発明の反応条件は特に限定されないが、好適な条件を示せば次のとおりである。即ち、1,3−ジクロロアダマンタンを“当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上の水及び硫酸”又は“水の含有量が当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル未満である硫酸”と混合して反応させる場合における1,3−ジクロロアダマンタンの仕込み濃度(反応開始時における全反応液に占める1,3−ジクロロアダマンタンの質量%)は、0.001〜98質量%、特に0.05〜90質量%であるのが好適である。該仕込み濃度の最適値は使用する硫酸の濃度や有機溶媒の量にもよるが、あまり低いと経済的ではなく、高いとアダマンタンの分散性が低いため反応時間が長くなる。このときの反応試剤の仕込み順序(反応器への導入順序)は特に制限されないが、反応容器に有機溶媒、1,3−ジクロロアダマンタン、硫酸の順に導入するのが一般的である。 このとき、反応温度は、低すぎると反応が進行せず、高すぎると1,3−ジクロロアダマンタンの昇華、あるいは樹脂状化合物の副生を助長するため、−100〜200℃、好ましくは−90〜190℃、さらに好ましくは−80℃〜180℃の範囲から適宜選択すればよい。また、反応圧力は、通常大気圧下で十分進行するが、加圧下、減圧下で行ってもよい。反応時間は、反応温度に依存するが、通常0.1〜500時間の範囲である。なお、反応に際しては攪拌を行なうのが好適であり、撹拌翼としては、ファウドラー翼、半月翼、タービン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、アンカー翼等が使用できる。 上記反応に際しては、大気圧下で反応を行なうことが可能であるため、耐圧性反応設備を使用する必要がなく、ガラス製反応装置を使用することも可能である。なお、反応時に塩化水素が発生するため、反応器はガス抜き管を介して水トラップ、アルカリトラップ等の除害外装置に接続しているのが好適である。 このような反応後、必要に応じて中和処理等の後処理を行なうことによって得られた1,3−アダマンタンジオールを含有する反応液から目的物を回収する方法は特に限定されない。例えば、1,3−アダマンタンジオールが析出している場合はそのままろ過、乾燥してもよい。また、溶解している場合は、上述の有機溶媒を用いて抽出後、アルカリ洗浄、水洗を施した後、再結晶、再沈、晶析、蒸留、クロマトグラフィーにより単離、精製後、乾燥すればよい。該乾燥方法は、減圧乾燥、温風乾燥、調湿乾燥、凍結乾燥、風乾があげられる。 以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。 実施例1 300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン1g(4.875mmol)、70質量%硫酸28.6g、塩化メチレン10mlを加え大気圧下還流し、10時間攪拌した。反応後、塩化メチレン10mlを追加し分液した。塩化メチレン相を2N−水酸化ナトリウム水溶液10ml、次いで水10mlで洗浄後、塩化メチレンを濃縮し、塩化メチレンから再結晶し、得られた白色結晶を減圧乾燥することにより1,3−アダマンタンジオールを単離した。単離された1,3−アダマンタンジオールの収量は0.71g、であり、収率は86%であった。また、ガスクロマトグラフィー(以後、GCと略す)分析を行ったところ、その純度は98%であった。 実施例2 300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン1g(4.875mmol)、98質量%硫酸28.6g、クロロホルム10mlを加え大気圧下還流し、10時間攪拌した。反応後、クロロホルム10mlを追加し分液した。クロロホルム相を2N−水酸化ナトリウム水溶液10ml、次いで水10mlで洗浄後、クロロホルムを濃縮し、クロロホルムから再結晶し、得られた白色結晶を減圧乾燥することにより1,3−アダマンタンジオールを単離した。単離された1,3−アダマンタンジオールの収量は0.67g、であり、収率は82%であった。また、GC分析似より求めた純度は98%であった。 実施例3 300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン1g(4.875mmol)、20質量%硫酸50g、アセトニトリル10mlを加え60℃で、大気圧下、15時間攪拌した。反応後、アセトニトリルを留去し、クロロホルム20mlを追加し分液した。クロロホルム相を2N−水酸化カリウム水溶液10ml、次いで食塩水10mlで洗浄後、クロロホルムを濃縮し、ヘプタンを加え晶析し、得られた白色結晶を減圧乾燥することにより1,3−アダマンタンジオールを単離した。単離された1,3−アダマンタンジオールの収量は0.70g、であり、収率は85%であった。また、GC分析似より求めた純度は97%であった。 比較例1 1,3−ジブロモアダマンタン1.5g(5.1mmol)、ピリジン1ml(12.4mmol)、水0.4mlを100℃で大気圧下、30時間反応した。この時、GCにて反応を追跡したところ、1,3−アダマンタンジオールへの転化は見られず、1,3−ジクロロアダマンタンのみ検出された。 比較例2 1,3−クロロアダマンタン1.05g(5.1mmol)、ピリジン1ml(12.4mmol)、水0.4mlを100℃で大気圧下、300時間反応した。この時、GCにて反応を追跡したところ、1,3−アダマンタンジオールへの転化は見られず、1,3−ジクロロアダマンタンのみが検出された。1,3−ジクロロアダマンタンを硫酸及び水と混合して反応させることを特徴とする1,3−アダマンタンジオールの製造方法。1,3−ジクロロアダマンタンを、当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上の水の存在下に硫酸と混合することを特徴とする請求項1に記載の方法。1,3−ジクロロアダマンタンを、水の含有量が当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル未満である硫酸と混合して得られた中間体と、当該1,3−ジクロロアダマンタン1モルに対して2モル以上の水とを混合することを特徴とする請求項1に記載の方法。1,3−ジクロロアダマンタンと硫酸との混合をハロゲン化炭化水素の存在下で行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の方法。 【課題】 耐熱性高分子等の高機能性材料や半導体用レジスト等の電子材料の原料として重要である1,3−アダマンタンジオールを温和な条件で効率よく製造する方法を提供すること。 【解決手段】 たとえばアダマンタンをクロロスルホン酸でハロゲン化して得られる1,3−ジクロロアダマンタンを原料として用い、当該1,3−ジクロロアダマンタンを硫酸及び水と混合して反応させる。こうすることにより、例えば大気圧下60℃といった温和な条件で、1,3−アダマンタンジオールを高収率で製造することが可能となる。【選択図】 なし