タイトル: | 公開特許公報(A)_プラスチックの熱分解方法及び装置 |
出願番号: | 2003319049 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C10G1/10,C07C4/22,C07C15/46,C08J11/12,H05B6/74,H05B6/80 |
菅澤 正己 小林 悟 長野 義信 菊川 伸行 小寺 洋一 二タ村 森 指宿 堯嗣 JP 2005082769 公開特許公報(A) 20050331 2003319049 20030910 プラスチックの熱分解方法及び装置 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 菅澤 正己 小林 悟 長野 義信 菊川 伸行 小寺 洋一 二タ村 森 指宿 堯嗣 7C10G1/10C07C4/22C07C15/46C08J11/12H05B6/74H05B6/80 JPC10G1/10C07C4/22C07C15/46C08J11/12H05B6/74 AH05B6/80 Z 4 OL 9 3K090 4F301 4H006 4H029 3K090AA01 3K090AB20 3K090BA01 3K090BA10 3K090PA00 4F301AA12 4F301AA13 4F301AA14 4F301AA15 4F301AA25 4F301AA26 4F301AA27 4F301CA10 4F301CA26 4F301CA45 4F301CA53 4H006AA02 4H006AC26 4H006BA95 4H029CA04 4H029CA11 4H029CA12 本発明は、プラスチックの熱分解方法及び装置に関するものである。 現代社会にあって、廃棄物処理は社会的に必要な重要な基盤技術となっている。廃棄物処理に関しては、単に埋めたてや廃棄処理ではなく、リサイクル、リユースをめざす処理が必要とされている。 プラスチック廃棄物では、プラスチック廃棄物が特定のポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレンなどの特定の種類に限定される場合には、分解温度などの反応条件が特定の範囲とすることができること、得られる分解生成物も特定の成分のものが得られやすいことから、リサイクルを目指す上からは、有意義な技術であると言うことができる。 例えば、廃棄ポリスチレンの処理についても、従来から研究が進められてきた。ポリスチレンの熱分解に関しては、330〜370℃において、塊状の状態で分解でき最大で、55%程度のスチレンモノマーが得られることが報告されている(非特許文献1)。 ポリマースチレンに水を共存させて水素化触媒を添加して芳香族炭化水素を製造する方法(特許文献1)、ポリスチレン廃棄物を溶剤に溶解させて、これを加水分解して分解油と分解ガスとし、分解油の一部を溶解工程に溶剤として戻す方法(特許文献2)、ポリスチレンを溶剤に溶解させて,過熱水蒸気雰囲気中で加熱した銅粉末上に滴下することにより熱分解する方法(引用文献3)がある。これらの方法は回収されるモノマーの収率が高くならないことが問題とされてきた。 これらの方法に対して、ポリスチレンを400℃で熱分解し、触媒により得られる回収油を改質する方法(引用文献4)、ポリスチレン樹脂廃棄物を芳香族炭化水素又はその水素化物からなる液状溶媒に溶解させラジカル重合開始剤の存在下に330〜350℃で加熱して熱分解させ、蒸気成分からスチレンモノマーを回収する方法(引用文献5)、熱分解溶剤や熱分解促進剤の存在下に熱処理してモノマー回収する方法(特許文献6)が知られている。 ポリエチレンの熱分解(非特許文献2)、ポリプロピレンの熱分解(非特許文献3)に記載されている。 ポリオレフイン系プラスチック廃棄物を固体触媒の存在下に熱分解して液体燃料を製造することが知られている(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11)。 塩化ビニルの熱分解方法に関しては、特許文献12、特許文献13が知られている。 ポリカーボネートの分解に関しては、特許文献14、ポリアミドの分解に関しては、特許文献15、ポリエステルの分解に関しては、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、ポリウレタンの分解に関しては、特許文献21、特許文献22などが知られている。 これらの熱分解は、得られる熱分解製品の回収モノマーの濃度を高めることが困難であり、又装置の大型化は避けることができず、取り扱い連続的操業する必要があるなどの問題点が存在する。 加熱処理手段として簡便な方法として、マイクロ波を利用する方法が各分野で行われている。マイクロ波による物質の加熱は、被加熱物質固有の誘電率(ε)と誘電体損失角(tanδ)の損失係数(ε×tanδ)に比例して被加熱物質自身が発熱するので、従来の電熱方式に比べると短時間で、均一に比加熱物質を加熱できる。加熱手段としては、家庭用レンジ最もポピュラーな例である。そして、これを用いて化学反応を行うと、反応時間の短縮や選択的な反応の進行や副生成物抑止が可能となるため近年多くの研究が進められている(例えば、特許文献23 特開2003−4544)。ポリスチレンなどのプラスチックを分解してモノマーを生成させる際にマイクロ波加熱することも知られている(特許文献24 特表2000−516274)。この方法では、プラスチックの分解に際してマイクロ波を照射するものであり、場合によりマイクロ波吸収体を存在させるものである。マイクロ波吸収性ということから検討してみると、プラスチックは、マイクロ波吸収性が低く、加熱分解に必要とする熱量をプラスチックには与えることができない。マイクロ波照射による熱分解では無理がある。また、この方法ではマイクロ波吸収体の存在下にマイクロ照射を行う熱分解方法が記載されている。この場合のマイクロ波吸収体の作用に関しては、分解プロセスの促進と記載されているものの、反応に際しては、その使用量などの点でも、質量比でプラスチックに比較して、0.5〜50質量%、好ましくは、0.5〜5質量%とするなどと比較的に少ない量を添加するものである。この反応においては、0.5から5質量%では、反応を短い時間で進めるという点から見て十分ではなく、反応が長引く結果、コーキングを避けることができないことが懸念される。特開昭47−31936号公報特開昭49−2878号公報特開昭49−93326号公報特開平6−220458号公報特開2001−240696号公報特開2000−327831号公報特公昭51−26475号公報特公昭51−23988号公報特開平9−302358号公報特開平10−292178号公報特開平10−8067号公報特開平7−157776号公報特開平9−71683号公報特開2003−231774号公報特開2003−171356号公報特開2003−160521号公報特開2003−155372号公報特開2003−147121号公報特開2003−128600号公報特開2003−96467号公報特開2003−160691号公報特開2003−55500号公報特開2003−4544号公報特表2000−516274号公報日本化学雑誌 1975 1241頁日本化学会誌 1973年 2414頁日本化学会誌 1975年 1241頁 本発明の課題は、利用後に回収されたプラスチック廃棄物や製造工程や成形工程から回収されたプラスチックにマイクロ波照射を行ってプラスチックを構成する原料物質(モノマー)或いは原料物質に類似する物質(モノマーの二、三量体などを主とする生成物)にまで分解する方法及び装置を提供することである。 本発明者等は、プラスチックを、マイクロ波発熱体(マイクロ波吸収物質)の存在下に、マイクロ波照射を行うこと、プラスチックを、相互に十分に接触をさせた状態で、マイクロ波照射を行うことにより、原料物質(モノマー)或いは原料物質に類似する物質(ダイマー、トリマー)などを主とする生成物にまで分解できることを見出した。即ち、本発明のマイクロ波吸収物質は、熱媒体であると同時に、原料物質(モノマー)、及び原料物質に類似する物質(ダイマー、トリマー)を主とする生成物を、従来知られている分解方法と比較して多く含んだ状態で得られることから見て、触媒的に作用を行っているものと考えられることを、見出して、本発明を完成させたものである。また、この場合に、分解反応は、マイクロ波発熱体の表面で短時間に行われるので、コーキングを起こすことなく、反応を進行させることができる。 さらに本発明者らは、そのマイクロ波によるプラスチック分解反応において、マイクロ波発熱体に関しては、よく知られているSiCなどのマイクロ波吸収材料よりも非常に効率の良いマイクロ波発熱材料である炭化硼素を粒体で分散させることによってプラスチック分解反応が非常に急速に行われることをみいだし、この作用と合わせて本発明の技術を確立した。 本発明によれば、以下の発明が提供される。(1)プラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する方法において、プラスチックをマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態として、マイクロ波照射を行い、プラスチックの原料物質(モノマー)及び原料物質(ダイマー以上)の化合物を主とする生成物を主とする生成物を製造することを特徴とするプラスチックの熱分解方法。(2)プラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する装置において、プラスチックをマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた反応槽、及び反応槽にマイクロ波照射手段が組み合わされていることを特徴とすることを特徴とするプラスチックの熱分解装置。 本発明によれば、従来の外部加熱による熱分解方法やマイクロ波照射による熱分解方法と比較して、大規模な分解装置を用いることなく、プラスチックを熱分解してモノマーや、その二量体及び三量体の成分を多く含む熱分解生成物を得る方法及び装置が得られる。 本発明による処理対象物質であるプラスチックは、単一の個々のプラスチックである。具体的は、ポリスチレン、ポリ(α-エチルスチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンフタレート、ポリイソブチレン、ポリカーボネート、ポリアミドなどである。これらの処理対象物質には、可塑剤や充填材を含有していてもよい。 これらのプラスチックは、利用後に回収されたプラスチック廃棄物や製造工程や成形工程から回収されたプラスチックが用いられる。 プラスチック廃棄物などの場合には、回収された状態では、各種のプラスチックが混合された状態で回収される場合がある。このような場合には、各プラスチックに分けて、単一のプラスチックとすることが必要である。 これらの処理対象物は、マイクロ波照射による熱分解に際して、前処理を行う。これらの処理対象物が汚れている場合には、洗浄操作により、汚れを除去することが必要である。回収された処理対象物質は、種々な形状のものがあり、処理をほどこすにあたって、均一な処理をほどこすことができず、これらのことから粉砕を行って、ある程度の大きさにそろえることが必要である。 粉砕に先立って、プラスチックの成型物などは、かさばるので圧縮することにより容量を小さくして、その後、粉砕する。 形状は、削りくず状、片状、粒状、粉末状、チップ状、シート状のいずれでもよく、組合せでもよい。 破砕粉砕手段は、任意のものを適宜利用できるが、固定刃を備えた回転軸が回転している円筒状内部にホッパーから供給し、回転刃の作用で切断するなどの装置が利用される。 破砕粉砕されたプラスチックの大きさは、マイクロ照射において共存するマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態に保つ必要があり、そのために、これらの混合物ができるだけ隙間のない状態とするように相互に接触する状態とすることが必要である。また、このように接触する状態にたもつことは、マイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態マイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態がマイクロ波照射により加熱された結果、マイクロ波発熱体が加熱された状態にあるときに、両者の表面が接触している部分を介して、その有する熱量が容易にプラスチックに伝えられること、また、熱分解反応がこれらの接触している状態の部分で生起することなどの理由によるものである。 このようなことから、マイクロ波発熱体に粉砕されたプラスチックが取り囲まれている状態とすることが必要であり、マイクロ波発熱体の粒径に応じたプラスチックの粒径とすることが必要である。 また、本発明では、加熱されたマイクロ波発熱体が有する熱量により、プラスチックを熱分解するために必要な熱量を供給される必要があるために、そのためのマイクロ波発熱体を存在させる必要がある。 これらのことから、プラスチックとマイクロ波発熱体の割合は、重量比で1対2から1対5程度の割合に保つことが必要である。また、このような割合の状態で、できるだけ十分に混合している状態に保つために、破砕されたプラスチックと破砕されたプラスチックの間隙が、マイクロ波発熱体による埋められていることが必要であり、マイクロ波発熱体の粒径に応じた大きさにプラスチックを粉砕することが必要である(図1の状態を参照)。 マイクロ波発熱体は、マイクロ波吸収性能を有する物質が用いられる。 このようなことから、炭化硼素、シリコンカーバイド、グラファイト、カーボン、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、鉄の酸化物などの磁性体が用いられる。これらの中でも、炭化硼素は、プラスチックと分散させて用いるマイクロ波発熱体としては特別に効率の良い物質であることを本発明者等は見出し、本発明におけるマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態を作り出す素材として最適である。さらに、炭化硼素は、セラミック、フェライトなどの誘電体、磁性体、導電体と混合して得られる炭化硼素混合物とすることによって、その発熱性能をより高めても良い。 マイクロ波発熱体は,市販のものを購入して用いてもよく、球状、小片状、破砕状のものが用いられる。また、触媒的に作用することから、総外部表面積が多い粒状、粉末状でなければならない。 マイクロ波照射に先立って、マイクロ波発熱体と破砕されたプラスチックが存在させた状態で、その間隙を埋めるようにして充填される状態で、予熱することが、熱分解反応を良好に進めるうえで、好ましい。 予熱には、熱風を、直接、送込むこと、又は、装置の外部から熱を供給すること、場合によっては、マイクロ波を照射して加熱することにより、行われる。予熱することによりポリスチレンを溶融状態とする。 予熱の程度としては、およそ、150℃から200℃程度に加熱することにより行われる。予熱工程を設けることにより、破砕されたプラスチックの間隙は、マイクロ波加熱体によって密に埋め尽くされ、マイクロ波加熱体の有する熱量が破砕されたプラスチックに伝えやすくし、マイクロ波の照射の効果を、一層、際だたせることができる。 マイクロ波は、一般的な工業規格であるISM周波数を用いる。特に、2.45GHzのマイクロ波発信器は電子レンジ等で広く使用されていることから、これを用いて行うことができる。 マイクロ波は、溶融したプラスチックとマイクロ波発熱体が十分に混合したところに照射される。この時照射は、マイクロ波発熱体に均一に照射するようにする。ここで、マイクロ波発熱体が発熱し、接触したプラスチックが分子の末端から順次分解される。 マイクロ波発熱体は、マイクロ波を受けてそれ自身が激しく発熱する物であるが、プラスチックを含む系全体の温度上昇を目指す物ではない。むしろ、マイクロ波発熱体のみが高温で、プラスチックは低温であるのが望ましい。このため、マイクロ波吸収性が特段に優れているとともに、プラスチックよりも吸収性能が特段に良くなければならない。すなわち、プラスチックよりも発熱体が高温であり、プラスチックが発熱体に接触した瞬間に分解する必要がある。これにより、通常の加熱等で得られる確率的切断と異なり、プラスチック分子が端から切断するのである。これはまた、プラスチック分子が分解温度で長時間曝されないことから、重合化が進行せず、コーキング防止につながっている。 本発明により得られる生成物には、プラスチックを構成するモノマーがある。これは、気体物質として得られる。この気体物質では、さらに分解が進む結果、気体物質を構成する他の物質が得られることがある。又、このモノマーのニ量体や三量体を含む化合物を液状生成物として得ることができる。ポリスチレンを例に挙げて述べれば、気体物質としては、ポリスチレンを構成するスチレンが得られる。そして、このスチレンの分解が促進され、エチレンやベンゼンなどが気体物質に含まれることがある。また、液状物質は、スチレンの二量体や三量体を従来の分解法に比較して多く含まれることになる。また、これらには量は、従来の方法と比較して、少ないものの、三量体以上の成分が含まれる。 前記のように分解しているとき、モノマーなどの生成物はその温度ではガスとなって系外に出る。この時、効率よくガスを取り出すため、窒素などのパージガスを吹き込むのはより好ましい。また、液状の熱分解生成物が得られる。これらは、プラスチックの分解生成物であり、プラスチックを構成するモノマーより、液状体が付着したマイクロ波発熱体は、ナフサなどの炭化水素又はTHFなどの炭化水素溶剤と接触させることにより、両者を分離することができる。炭化水素溶剤により洗浄した場合には、分離されたプラスチック分解性生成物と炭化水素溶剤の混合物は、反応生成物であるプラスチック熱分解生成物に混合させ、熱分解生成物とすることができる。又は、液状体が付着したマイクロ波発熱体を、加熱して液状体を気化させてマイクロ波発熱体と分離することもできる。この場合には、気化された液状体は炭化水素であり、これを再び冷却することにより、気化された炭化水素は回収することができる。 マイクロ波発熱体は、再び粉砕されたポリスチレンと混合して再使用することができる。 ポリスチレンのマイクロ波による熱分解 ポリスチレンをペレットに粉砕して1gを、500μm以下に微粉した。炭化硼素粒子(平均粒子径1.5mm)3gと混合して、マイクロ波照射用反応容器に充填した。また、中央部に、ホウ珪酸ガラス製の5ccバイアル瓶に入れて、ガラススリーブで被覆したファイバー温度計を反応容器中央部に設置し、反応中の温度を測定できるようにした。バイアル瓶は導波管中央に配置し、積極的に強電界にさらすようにした(図1)。 炭化硼素とポリスチレンの混合物に熱風を吹き付けて、150℃以下の状態で溶融固化処理を施した。 マイクロ波照射は、周波数2.45GHzのマイクロ波発信器を用い、マイクロ波の導入は矩形導波管(WRJー2)により行った。反応容器は導波管途中に設けたアプリケータ部に配置した。 アプリケータ前段でスリースタブを用いて反射波をなくし、導波管終端部には水負荷を配して試料には進行波のみが照射されるようにした。 反応時間は10分で、中央部の温度履歴が次に示すハンダ浴槽の温度履歴にあうようにマイクロ波パワーを調整した。その昇温履歴は、図2に示すとおりであった。 反応に際して中央部の温度は375℃、外壁部の温度も375℃であり、反応に際して温度は同一に制御されていることを確認した。 得られた反応生成物についてのポリスチレンの残さ分の重量測定を行うと共に、残さ分をTHFに溶解させて、GPCにより分子量分布を求め、分布の変化から熱分解反応の進行の様子を調べた。また、反応生成物の気化成分は窒素ガスを吹き込みながら系外に取り出し、冷却によって回収した。その成分をガスクロマトグラフイーより分析を行った。 反応生成物の分析結果は以下の通り。 マイクロ波照射による気化成分のガスクロマトグラフイーの分析結果では、スチレンのモノマーがほとんどであり、重量収率は70%であった。 GPC分析による残差物の分子量分布の結果は、図3の通りであった。図3によると、マイクロ波照射による熱分解反応では、ポリスチレンの低分子化及び重合化は起こっていない。原料ポリスチレンの分子量分布のままで量が減少している。すなわち、低分子化された部分がいきなりモノマーに移行している。比較例 ハンダ浴槽に、試料瓶に同様にポリスチレンと炭化硼素を充填し、同じく温度計を設置して、加熱処理を行った。試料瓶の中心部が375℃になるように槽の温度を調節したため、試料瓶外壁は400℃であった。これは、マイクロ波加熱と同じ条件は作れないため、少なくとも反応温度がマイクロ波加熱より下回らない、すなわち、より分解が進む方向で、設定したものである。 温度計による昇温履歴は、図2に示すとおりであった。 GPC分析の結果、図3の通りであった。 実施例と比較して、ポリスチレンの高分子領域が低分子量に移行しており、絶対量はそれほど減っていないことが分かる。これは、スチレン全体が加熱され、分子の切断が確率的にあらゆる所で生じていることを表している。反応は10分程度であったため、モノマーが充分生成するところまでいっていないとともに、コーキングもそれほど進行しなかったと考えられる。マイクロ波照射によるプラスチックの分解装置(右半分)を示す。参照のため左半分にハンダ槽による分解加熱装置を示す。マイクロ波加熱およびハンダ槽加熱による温度変化,マイクロ波加熱によるマイクロ波パワーの変化を示す。マイクロ波加熱およびハンダ槽加熱によるポリスチレンの分子量分布の変化を示す。符号の説明1 反応容器2 半田槽容器3 光フアイバー温度計4 ガラススリーブ プラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する方法において、プラスチックをマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態として、マイクロ波照射を行い、プラスチックの原料物質(モノマー)及び原料物質(ダイマー以上)の化合物を主とする生成物を製造することを特徴とするプラスチックの熱分解方法。 マイクロ波発熱体が、粉体もしくは粒体である炭化硼素もしくは炭化硼素混合物であることを特徴とする請求項1記載のマプラスチック熱分解法。 プラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する装置において、プラスチックをマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた反応槽、及び反応槽にマイクロ波照射手段が組み合わされていることを特徴とするプラスチックの熱分解装置。 マイクロ波発熱体が、粉体もしくは粒体である炭化硼素もしくは炭化硼素混合物であることを特徴とする請求項1記載のマプラスチック熱分解法。 【課題】 利用後に回収されたプラスチック廃棄物や製造工程や成形工程から回収されたプラスチックにマイクロ波照射を行ってプラスチックを構成する原料物質(モノマー)或いは原料物質に類似する物質(モノマーの二、三量体などを主とする生成物)にまで分解する方法及び装置を提供。【解決手段】 プラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する方法において、プラスチックをマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態として、マイクロ波照射を行い、プラスチックの原料物質(モノマー)及び原料物質(ダイマー以上)の化合物を主とする生成物を製造することを特徴とするプラスチックの熱分解方法。【選択図】 なし