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タイトル:公開特許公報(A)_カルボジイミド化合物および重合体、ゲル状組成物、イオン伝導性組成物、電気化学素子、表面修飾基材
出願番号:2003286033
年次:2005
IPC分類:7,C08F20/34,C07C267/00,C08J7/16,H01B1/06,H01G9/035,H01G9/038,H01M6/06,H01M6/18,H01M10/40,H01M14/00,C08L101:00


特許情報キャッシュ

相澤 和佳奈 JP 2005054055 公開特許公報(A) 20050303 2003286033 20030804 カルボジイミド化合物および重合体、ゲル状組成物、イオン伝導性組成物、電気化学素子、表面修飾基材 三菱製紙株式会社 000005980 相澤 和佳奈 7C08F20/34C07C267/00C08J7/16H01B1/06H01G9/035H01G9/038H01M6/06H01M6/18H01M10/40H01M14/00C08L101:00 JPC08F20/34C07C267/00C08J7/16C08J7/16H01B1/06 AH01G9/00 301DH01G9/02 311H01M6/06 AH01M6/18 EH01M10/40 BH01M14/00 PC08L101:00 7 OL 14 4F073 4H006 4J100 5G301 5H024 5H029 5H032 4F073AA32 4F073BA07 4F073BA34 4F073CA41 4F073CA45 4F073FA03 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB46 4J100AL65P 4J100BA46P 4J100CA01 4J100CA03 4J100DA55 4J100JA43 5G301CA30 5G301CD01 5H024AA02 5H024AA12 5H024GG01 5H029AK03 5H029AL06 5H029AM03 5H029AM07 5H029AM16 5H029HJ02 5H032AA06 5H032CC06 5H032CC16 5H032EE14 5H032EE20 本発明は、重合性不飽和炭化水素基とカルボジイミド基を分子内に有する化合物と、該化合物を重合してなる重合体、該重合体を含有してなるゲル状組成物、イオン伝導性組成物、および該イオン伝導性組成物を含有してなる電気化学素子、該化合物で処理された表面修飾基材に関するものである。 ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のように、エステル結合を有する樹脂は、塗料、化粧板、工業機材、住宅基材、電子材料等の分野において広汎に使用されている樹脂である。しかし、これらの樹脂は、分子内に多くのエステル結合を持っているため、高温や多湿等の過酷な条件下で、長期にわたって使用した場合、水によるエステル結合の加水分解反応のために分子量が低下する。また、加水分解で生じたカルボキシル基がさらに加水分解反応を促進するため、樹脂強度の低下やクラックの発生等の耐久性の問題を有している。 また、近年、二次電池、キャパシタ、エレクトロクロミック表示素子等の電気化学素子においては、高性能化、高容量化が急速に進行している。電気化学素子は、水系電解液を用いた素子と、非水系電解液を用いた素子に大別される。内部に水分が混入すると、非水系電解液を用いた素子の性能は低下するという問題がある(例えば、特許文献1)。 電気化学素子においては、安全性を高めるために、電解液を固体化した、全固体電解質やゲル状電解質等の高分子電解質が提案されている。高分子電解質としては、ポリアルキレンオキサイド基を構造単位に持つ重合体が知られている。しかし、これらポリアルキレンオキサイド基を有する重合体をベースとする電解質は、水分と電解質塩との反応により発生する酸によって、分解されて劣化するという問題がある。(例えば、非特許文献1、特許文献2〜3参照) 電気化学素子の性能低下抑制、樹脂の分解抑制のために、カルボジイミド化合物が用いられている(例えば、特許文献4)。カルボジイミド化合物は、脱水能を有すると共に、樹脂が分解して発生した活性水素基と反応して、樹脂を再生することによって、樹脂の劣化を抑制する機能を有する。しかし、低分子カルボジイミド化合物は、樹脂から遊離する、電気化学素子中では電気化学反応に悪影響を及ぼすといった問題がある。 そこで、カルボジイミド基を樹脂中に固定するために、分子内にカルボジイミド基を有する架橋剤が開発されている。例えば、多官能イソシアネート化合物を高分子量のポリカルボジイミド化合物に一旦変換し、次いでポリカルボジイミド化合物の末端に残留したイソシアネート基に、イソシアネート基との反応性を有する水酸基、アミノ基、エポキシ基等と重合性不飽和炭化水素基を同一分子内に含有する化合物とを反応させる方法(特許文献5〜6)、ポリカルボジイミド化合物の末端に残留したイソシアネート基に、重合性不飽和炭化水素基を有する一官能イソシアネート化合物であるm−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネートとを反応させる方法(特許文献7)、m−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネートを2分子間でカルボジイミド化させる方法(特許文献8)などが挙げられる。 特許文献5〜6の方法では、分子構造内にウレタン結合、尿素結合、アミド結合が生じるため、電気化学素子中では電気化学反応に悪影響を及ぼす。また、特許文献7〜8記載の化合物は、重合性不飽和炭化水素基の反応性が低いという問題があった。Advanced Materials,10,439(1998)特開2002−280062号公報(第2頁)WO96/08051号公報(第2〜9頁)特公平5−74195号公報(第2頁)特許3348343号公報(第1〜2頁)特開平9−309871号公報(第2頁)特開2000−128928号公報(第2頁)特開平9−124582号公報(第2頁)特開平9−136869号公報(第2頁) 本発明の課題は、樹脂の劣化を抑制し、機械的強度を保持することが可能な官能基を有し、かつ重合速度が高い化合物を提供することにある。また、該化合物を用いて得られる安定性の高い重合体、該重合体を用いてなるゲル状組成物、イオン伝導性組成物、該イオン伝導性組成物を用いてなる電気化学素子、および表面修飾基材を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(1)下記一般式[I]で示されるカルボジイミド化合物、〔一般式[I]において、R1は、水素原子あるいはアルキル基を表し、R2はジイソシアネートの残基を表し、lは2〜6の整数、mは1以上の整数を表す。〕(2)重合成分の一成分として、上記(1)記載の化合物を重合してなる重合体、(3)上記(2)記載の重合体を含有してなるゲル状組成物、(4)上記(2)記載の重合体を含有してなるイオン伝導性組成物、(5)上記(4)記載のイオン伝導性組成物を含有してなる電気化学素子、(6)一般式[I]で示される化合物がグラフト重合されていることを特徴とする表面修飾基材、を発明するに至った。 本発明において、重合性不飽和炭化水素基を置換基として有するイソシアネート化合物と、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物とを、特定の触媒の共存下で反応させることにより、一般式[I]で示される化合物を容易に合成できる。これらの化合物は、高い反応性を有する重合性不飽和炭化水素基を有しているので、重合体を容易に製造することができる。本発明のカルボジイミド化合物は、分子中に、ウレタン結合、尿素結合、アミド結合等を含まないので、電気化学素子の内部に使用することも可能である。 カルボジイミド基は脱水剤として作用することが知られており、樹脂中のエステル基を加水分解する水分を補足して樹脂の劣化を抑制する。また、エステル基等の加水分解で生じるカルボキシル基に代表される活性水素基に対して高い反応性を有し、これを捕捉することにより加水分解反応の加速を効果的に防止できる。 一般式[I]で示される化合物を重合してなる本発明の重合体は、カルボジイミド基の作用により、樹脂の劣化が抑制される。そのため、本発明の重合体は、塗料、化粧板、工業機材、住宅基材、電子材料等の分野で有用に使用できる。 以下、発明の実施の形態に関して詳しく説明する。本発明のカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基を少なくとも一つ有し、さらに重合性不飽和炭化水素基を有する化合物である。中でも、カルボジイミド基を分子内に2〜5個有する化合物が好ましい。本発明のカルボジイミド化合物は、末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物と、重合性不飽和炭化水素基を有するイソシアネート化合物とを反応させることにより得ることができる。 末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の合成方法として、カルボジイミド基を有さないイソシアネート化合物を、適当な触媒の存在下でカルボジイミド化させる方法を用いることができる。カルボジイミド基を有さないイソシアネート化合物には、モノイソシアネート、ポリイソシアネート化合物が上げられる。例えば、モノイソシアネートとしてはメチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等、ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。 本発明において、重合性飽和炭化水素基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、一般式[II]、一般式[III]で示される化合物を上げることができる。〔一般式[II]において、R3は、水素原子あるいはアルキル基を表し、mは2〜6の整数を表す。〕〔一般式[III]において、R4は、水素原子あるいはアルキル基を表す。〕 本発明において、一般式[I]で示される化合物を合成する際のカルボジイミド化触媒としては、有機リン化合物やフェノール化合物を使用することが好ましい。 有機リン化合物の具体例としては、以下のような物が挙げられる。例えば、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド及びこれらの二重結合異性体等のフォスフォレンオキシド類を挙げることができる。フェノール化合物としては、p−ニトロフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール等の比較的低pHの水酸基を有するフェノール化合物が好ましい。 上記触媒によって、カルボジイミド化反応が進行する。触媒は、原料のイソシアネート化合物に対して0.01〜10質量%添加することが好ましい。中でも、0.1〜1質量%が特に好ましい。使用量が少なすぎる場合は、カルボジイミド化反応の速度が遅くなって収率が低下する。一方、使用量が多すぎる場合は、生成物中に残留する触媒の量が無視できなくなり、本発明のカルボジイミド化合物を重合して得られる重合体の樹脂物性に悪影響を与える。 本発明において、カルボジイミド化反応に使用する溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等、活性水素原子を含有しない種々の有機溶媒を使用することができる。その中でも、炭酸エステル類は比較的高い誘電率を有する有機溶剤であり、反応を迅速に進める点で特に優れている。 反応温度については、40℃〜200℃で実施できるが、その中でも60℃〜130℃の範囲が好ましい。反応温度が低い場合は、反応速度が低く、反応に長時間が必要となるため、合成面から実用的でない。反応温度が高すぎると、分子内の重合性不飽和炭化水素基の熱重合が起こるという問題が発生する。 本発明において、カルボジイミド化反応は、重合性不飽和炭化水素基の熱重合抑制剤を共存させて行っても良い。この熱重合抑制剤としては、例えば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,5−ジニトロフェノール等のフェノール系化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系、p−フェニレンジアミン、4−アミノジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−i−プロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、4,4′−ジクミル−ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン等のアミン系化合物、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルナフチルアミン、N−ニトロソジナフチルアミン、p−ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p−ニトロソジフェニルアミン、α−ニトロソ−β−ナフトール等のニトロソ化合物、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸銅、亜硝酸鉄、亜硝酸トリメチルアンモニウム、亜硝酸n−ヘキシル、亜硝酸1−オクチル等の亜硝酸塩およびエステル、ピペリジン−1−オキシル、ピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のニトロキシド、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、酢酸銅、サリチル酸銅、チオシアン酸銅、硝酸銅、塩化銅等の銅塩、酢酸クロム、酸化クロム等のクロム化合物、チオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、1,3−ジエチルチオ尿素、1,3−ジ−i−プロピルチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素、ジメチロールチオ尿素等のチオ尿素化合物、沃素、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム、沃化セシウム、沃化カルシウム、沃化チタン等の沃化物、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム等の臭化物等が例示できる。これらの重合禁止剤は単独であるいは同時に二種類以上で用いられる。使用量は、重合性不飽和基を有するイソシアネート化合物に対して0.01〜20質量%が好ましい。 本発明においては、上記熱重合防止剤として、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,5−ジニトロフェノールを好適に用いることができる。これらのニトロフェノール化合物は、反応終了後、塩基性水溶液で洗浄することによって、容易に抽出除去することができる。 本発明の重合体は、本発明のカルボジイミド化合物を重合成分として含有しているが、下記の分子内に1つの重合性不飽和炭化水素基を含有する化合物を共重合させて、所望の機械的強度、透明性、帯電性、イオン伝導性等を持たせることができる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等のエーテル結合を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド基を有する不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、メタクリロイルイソシアネート化合物、アクリロイルイソシアネート化合物、スチリルイソシアネート系化合物、イソプロペニルベンジルイソシアネート化合物等の含窒素不飽和単量体;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族不飽和単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレンキサイド基を含有する不飽和単量体等と共重合することができる。 また、分子内に2以上の重合性不飽和炭化水素基を有する化合物である、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、カルボジイミド基を含有し、かつ重合性不飽和炭化水素基を分子内に2以上有する化合物等を共重合させることもできる。 本発明の重合体において、本発明のカルボジイミド化合物の含有量は、1〜100質量%、好ましくは5〜95質量%、さらに好ましくは10〜80質量%である。本発明のカルボジイミド化合物の含有量が、1質量%未満となると、樹脂劣化抑制能が不足してしまう。 本発明の重合体において、その重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が用いられ、場合によっては触媒を使用しても良い。このうち、ラジカル重合が最も容易な方法である。触媒としては、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル等の過酸化物や、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)等のアゾ化合物等に代表される熱分解型重合開始剤や、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル等の増感剤を用いることができる。増感剤は、紫外線等の活性線を照射することで、ラジカルを発生することができる。 本発明のゲル状組成物は、本発明の重合体と媒体とを含んでなる。媒体としては、水、有機媒体を使用できるが、重合体中にカルボジイミド基を含有しているので、活性水素基を含有しない媒体を用いることが望ましい。本発明のゲル状組成物は、媒体中に本発明のカルボジイミド化合物、その他の重合性不飽和炭化水素基含有単量体を溶解させた後、重合させることによって得ることができる。また、予め、本発明のカルボジイミド化合物、場合によってはその他の重合性不飽和炭化水素基単量体を重合させた後、媒体を吸収させることによって得ることも可能である。 本発明のイオン伝導性組成物は、本発明の重合体と電解質とを含んでなる組成物である。本発明のイオン伝導性組成物において、電解質の含有量は、電解質の種類やイオン伝導性組成物が使用される電気化学素子の種類、性能にもよるが、重合体1gに対して、0.01〜20mmol、好ましくは5〜10mmolである。 本発明のイオン伝導性組成物は、十分なイオン伝導度を有するが、さらに高いイオン伝導度が必要な場合、溶媒を含有させて、ゲル状イオン伝導性組成物とすることができる。この場合、溶媒の含有量は、10〜99質量%、より好ましくは50〜98質量%、最も好ましくは60〜95質量%である。溶媒の含有量は、電解質の種類、所望のイオン伝導性、ゲル状組成物の機械的強度を考慮して決定される。 本発明のイオン伝導性組成物は、電解質および必要に応じて溶媒の存在下で、本発明の重合体の製造を行うことにより製造することができる。また、本発明の重合体の製造後に、電解質や溶媒を含浸・添加させることにより製造することもできる。 本発明のイオン伝導性組成物係わる電解質としては、金属陽イオン、アンモニウムイオン、アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ばれる陽イオンと、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、テトラフェニルホウ素酸イオン、硝酸イオン、有機酸イオン、過マンガン酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、チオ硫酸イオン、AsF6−、PF6−、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7, 7, 8, 8−テトラシアノ−p−キノジメタンイオン、X1SO3−、[(X1SO2) (X2SO2)N]− 、[(X1SO2) (X2SO2) (X3SO2)C]−及び[(X1SO2) (X2SO2)YC]−から選ばれる陰イオンとからなる化合物が挙げられる。ここで、X1、X2、X3及びYは電子吸引性基である。好ましくは、X1、X2、およびX3 は各々独立して炭素数が1〜6のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はシアノ基である。X1、X2、およびX3は各々同一であっても、異なっていても良い。これらの電解質は単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。 更に、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等のポリアルキレンオキサイド化合物、ポリアルキレンオキサイドを構造単位に持つ変性ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアルキレンオキサイドを構造単位に持つ変性ポリフォスファゼン等のイオン導電性ポリマーも配合することできる。 本発明のイオン伝導性組成物に添加しても良い溶媒としては、水、塩化チオニル、塩化スルフリル、液体アンモニア等の無機溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオフェン、硫化ジエチル等の硫黄化合物、アセトニトリル、ジエチルアミン、アニリン等の窒素化合物、無水酢酸、無水酪酸等の酸無水物、アセタール、シクロヘキサノン等のケトン、エステル、フェノール、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系化合物を使用することができるが、活性水素基を持たない溶媒を使用することが好ましい。これらの溶媒は、単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。 本発明のイオン伝導性組成物は、電気絶縁性多孔質薄膜と一体化させても良い。電気絶縁性多孔質薄膜としては、多孔質フィルム、不織布等を用いることができる。多孔質フィルムとは、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を延伸法等で多孔質フィルムとしたもの等を用いることができる。不織布としては、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、フッ素樹脂繊維、再生繊維、半合成繊維、天然繊維等から構成される。不織布を構成する繊維は、フィブリル化されていても良い。 電気絶縁性多孔質薄膜として用いることができる不織布は、乾式法と湿式法のいずれの方法でも製造できるが、薄膜化に対応するためには、湿式法で製造した不織布を用いることが好ましい。湿式抄紙法は、通常、繊維を分散助剤、増粘剤などを用いて水中に均一に分散してスラリーとし、該スラリー中に水を添加して水性スラリーとし、該スラリーから抄紙機を用いてシート化し、不織布を得る方法である。湿式法としては、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、さらには2種以上を組み合わせたコンビネーションマシンなどを用いることができる。 電気絶縁性多孔質薄膜とイオン伝導性組成物を一体化させる方法としては、(イ)本発明の重合体に電解質をドープし、絶縁性多孔質薄膜に直接塗布する方法、(ロ)本発明の重合体と電解液を混合した溶液に、絶縁性多孔質薄膜に直接塗工・含浸させる方法、(ハ)本発明のカルボジイミド化合物、その他の重合体原料、電解質を絶縁性多孔質薄膜に直接塗工・含浸させた後、重合反応を行う方法、(ニ)本発明のカルボジイミド化合物、その他の重合体原料を絶縁性多孔質薄膜に直接塗工・含浸させた後、重合反応を行い、次いで電解液で膨潤させる方法、(ホ)本発明のカルボジイミド化合物、その他の重合体原料を電解液に溶解し、絶縁性多孔質薄膜に直接塗工・含浸させた後、重合反応を行う方法、等を上げることができる。 本発明の電気化学素子としては、例えば、アルカリ電池、リチウム一次電池、リチウム二次電池、湿式太陽電池、キャパシタ、エレクトロクロミック素子等の化学発光素子、液晶表示素子等と挙げることができる。 本発明の表面修飾基材において、基材としては、高分子に代表される有機基材、ガラス、セラミック、金属等の無機基材、有機材料と無機材料の複合材料等を用いることができる。基材の形状は、繊維、織物、編み物、不織布、板、棒、フィルム、シート、多孔性フィルムおよびシート並びに、所定の成形体のいずれであっても良い。 本発明の表面修飾基材において、基材の表面を重合体で被覆させる方法としては、基材に少なくとも本発明のカルボジイミド化合物を含有する処理液を塗布し、次いで表面で重合させる方法、本発明のカルボジイミド化合物を重合成分とする重合体を含有する処理液を、基材に塗布し、次いで乾燥させる方法等が挙げられる。 上記塗布方法としては、ディップコーティング、ロッドコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、スクリーンコーティング、グラビアロールコーティング、スクリーン印刷コーティング、スプレーコーティング等を挙げることができる。 該処理液に用いることができる媒体としては、水、塩化チオニル、塩化スルフリル、液体アンモニア等の無機溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオフェン、硫化ジエチル等の硫黄化合物、アセトニトリル、ジエチルアミン、アニリン等の窒素化合物、無水酢酸、無水酪酸等の酸無水物、アセタール、シクロヘキサノン等のケトン、エステル、フェノール、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系化合物を使用することができるが、活性水素基を持たない溶媒を使用することが好ましい。これらの溶媒は、単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。 本発明の表面修飾基材に係わる重合方法としては、本発明の重合体で示したラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の方法を用いることができる。 本発明の表面修飾基材に係わるグラフト処理の方法としては、例えばモノマーと重合開始剤を含む溶液に基材を浸漬した後に加熱する方法、基材にモノマーを塗布した後に活性光線を照射する方法、基材に活性光線を照射した後にモノマーを接触させる方法、増感剤とモノマーを含む溶液に基材を浸漬し、次いで活性光線を照射する方法等がある。活性光線としては、紫外線、放射線(α線、γ線、電子線、X線、中性子線)等を使用することができる。カルボジイミド化合物の合成 4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート 100gと、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン1−オキシド 1gとを、ジメチルカーボネート200mlに溶解し、窒素気流中で24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート 60gと、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン1−オキシド 1gとを添加し、窒素気流中24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、ロータリーエバポレータで、35℃に加熱しながらジメチルカーボネートを減圧留去した。残留した油状物をジエチルエーテル600mlに溶解し、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液100mlで6回洗浄後、ジエチルエーテル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、ロータリーエバポレータで、25℃に加熱しながらジエチルエーテルを減圧留去して、目的のカルボジイミド化合物を油状物として得た。イオン伝導性ゲル状組成物の調製 下記構成で非水系電解液iを調製した。六フッ化リン酸リチウム 12.7質量部エチレンカーボネート 31.9質量部ジエチルカーボネート 55.4質量部 上述のカルボジイミド化合物 5質量部、非水系電解液i 94.8質量部に溶解し、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.2質量部を添加した(反応液A)。反応液Aを窒素雰囲気下、80℃で4時間保持したところ、透明なイオン伝導性組成物を得た。このイオン伝導性組成物を密閉容器に入れ、80℃で14日間加熱したが、ゲルの崩壊は確認されなかった。また、このイオン伝導性ゲル状組成物のイオン伝導度は、5.0×10−3S/cm(室温)であった。リチウム電池の作製と評価 コバルト酸リチウム20質量部、アセチレンブラック2質量部、PVDFのN−メチルピロリドン溶液(呉羽化学工業製、クレハKFポリマー L♯1120)18質量部、N−メチルピロリドン12質量部を混合して、アルミニウム箔上に塗布し、乾燥して、リチウムイオン二次電池用正極を得た。 カーボン粉末20質量部、PVDFのN−メチルピロリドン溶液(呉羽化学工業製、クレハKFポリマー L♯1120)17.5質量部、N−メチルピロリドン12質量部を混合して、銅箔上に塗布し、乾燥して、リチウムイオン二次電池用負極を得た。 正極、市販リチウム電池用セパレータ、負極を積層し、電池用セル缶に組み込んだ後、反応液Aを注入した。セル缶を封じた後、80℃で4時間加熱して、リチウムポリマー二次電池を得た。得られたリチウムポリマー二次電池に対して、0.1Cで充放電を行ったところ、容量は337mAhであった。また、このリチウムポリマー二次電池を80℃で2週間保存した後の容量は321mAhであった。電気絶縁性薄膜とイオン伝導性組成物の一体化 実施例1で得られたカルボジイミド化合物 2.5質量部、アルキレンオキサイド基含有メタクリレート(NKエステル M−20G、新中村化学工業(株)製) 7.5質量部、非水系電解液i 89質量部、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 1質量部とを、均一混合した。該混合液に、ポリプロピレン製微多孔膜(15g/m2、厚み50μm、空隙率67%)を含浸・絞液し、露点−80℃のアルゴン雰囲気下で、アルミ袋に入れ密封した後、90℃で2時間保持した後、室温まで冷却して、電気絶縁性薄膜とイオン伝導性組成物を一体化させた複合型ポリマー電解質を調製した。得られた複合型ポリマー電解質は、54g/m2、厚み52μmであった。リチウム電池の作製と評価 実施例1と同様の方法で調製したリチウム電池用正極および負極を用いて、正極、上記複合型ポリマー電解質、負極を積層し、電池用セル缶に組み込み、セル缶を封じた。得られたリチウムポリマー電池に対して、0.1Cで充放電を行ったところ、容量は356mAhであった。また、このリチウムポリマー電池を80℃で2週間保存した後の容量は311mAhであった。 (比較例1)イオン伝導性組成物の調製 ポリエチレンオキサイド基含有メタクリレート(商品名;130A、共栄社化学(株)製) 5質量部、ポリエチレンオキサイド基含有メタクリレート(商品名;TMP−6EO−3A、共栄社化学(株)製) 5質量部、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.2質量部、非水電解液i 89.8質量部に溶解し、反応液aを得た。反応液aを窒素雰囲気下、80℃に6時間保持して、透明なイオン伝導性ゲル状組成物を得た。このイオン伝導性ゲル状組成物を密閉容器に入れ、80℃で加熱したが、1日でゲルは崩壊した。リチウムポリマー電池の作製と評価 実施例1と同様の方法で調製したリチウム電池用正極および負極を用いて、正極、市販リチウム電池用セパレータ、負極を積層し、電池用セル缶に組み込んだ後、反応液aを注入した。セル缶を封じた後、80℃で4時間加熱して、リチウムポリマー二次電池を得た。得られたリチウムポリマー二次電池に対して、0.1Cで充放電を行ったところ、容量は385mAhであった。また、このリチウムポリマー電池を80℃で2週間保存した後の容量は193mAhであった。 (比較例2)イオン伝導性組成物の調製 ポリエチレンオキサイド基含有メタクリレート(商品名;130A、共栄社化学(株)製) 5質量部、ポリエチレンオキサイド基含有メタクリレート(商品名;TMP−6EO−3A、共栄社化学(株)製) 5質量部、ジシクロヘキシルカルボジイミド 1質量部、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.2質量部、非水電解液i 89質量部に溶解し、反応液bを得た。反応液bを窒素雰囲気下、80℃に6時間保持して、透明なイオン伝導性ゲル状組成物を得た。このイオン伝導性ゲル状組成物を密閉容器に入れ、80℃で加熱したが、7日間でゲルは崩壊した。リチウムポリマー電池の作製と評価 実施例1と同様の方法で調製したリチウム電池用正極および負極を用いて、正極、市販リチウム電池用セパレータ、負極を積層し、電池用セル缶に組み込んだ後、反応液bを注入した。セル缶を封じた後、80℃で4時間加熱して、リチウムポリマー二次電池を得た。得られたリチウムポリマー二次電池に対して、0.1Cで充放電を行ったところ、容量は371mAhであった。また、このリチウムポリマー電池を80℃で2週間保存した後の容量は198mAhであった。 (比較例3)カルボジイミド化合物の合成 4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート 100gと、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン1−オキシド 1gとを、ジメチルカーボネート200mlに溶解し、窒素気流中で24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 60gと、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン1−オキシド 1gとを添加し、窒素気流中24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、ロータリーエバポレータで、35℃に加熱しながらジメチルカーボネートを減圧留去した。残留した油状物をジエチルエーテル600mlに溶解し、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液100mlで6回洗浄後、ジエチルエーテル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、ロータリーエバポレータで、25℃に加熱しながらジエチルエーテルを減圧留去して、目的のカルボジイミド化合物を油状物として得た。イオン伝導性組成物の調製 上述のカルボジイミド化合物 5質量部、非水系電解液i 94.8質量部に溶解し、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.2質量部を添加した(反応液c)。反応液cを窒素雰囲気下、80℃で4時間保持したところ、透明なイオン伝導性組成物を得た。このイオン伝導性組成物を密閉容器に入れ、80℃で14日間加熱したが、ゲルの崩壊は確認されなかった。また、このイオン伝導性ゲル状組成物のイオン伝導度は、4.1×10−3S/cm(室温)であった。リチウムポリマー電池の作製と評価 実施例1と同様の方法で調製したリチウム電池用正極および負極を用いて、正極、市販リチウム電池用セパレータ、負極を積層し、電池用セル缶に組み込んだ後、反応液cを注入した。セル缶を封じた後、80℃で4時間加熱して、リチウムポリマー二次電池を得た。得られたリチウムポリマー二次電池に対して、0.1Cで充放電を行ったところ、容量は371mAhであった。また、このリチウムポリマー電池を80℃で2週間保存した後の容量は248mAhであった。 実施例1および2と、比較例1〜3の結果から、本発明のイオン伝導性組成物は、カルボジイミド基の効果により、長期間安定であることが確認された。また、低分子カルボジイミドを用いた比較例2のイオン伝導性組成物よりも、カルボジイミド基が重合体中に存在する実施例のイオン伝導性組成物の方が長期間安定であることが確認された。また、比較例3のウレタン結合を有するカルボジイミド化合物を用いた場合より、本発明のカルボジイミド化合物を用いた重合体の方が、電池が安定であることを確認した。重合体分散液の調製とその塗布品の作製 実施例1で得られたカルボジイミド化合物 49質量部、トルエン 150質量部に、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)1質量部を添加し、窒素雰囲気下、80℃で3時間、強制撹拌して、乳白色の重合体溶液を得た。該重合体溶液に市販のポリエチレンシート(厚さ 200μm)を浸漬した後、90℃で2時間、真空乾燥し、カルボジイミド基含有重合体で被覆されたシートを得た(質量増加率 7.0質量%)。グラフト重合フィルムの作製 実施例1で得られたカルボジイミド化合物 50質量部、光重合開始剤(商品名;IRGACURE 651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製) 0.1質量部、トルエン 49.9質量部とからなる処理液に、市販のポリエチレンシート(厚み 200μm)を浸漬したあと、脱酸素下で低圧水銀灯を用いて、低波長紫外線を1分間照射し、次いで90℃で2時間、真空乾燥して、グラフト重合による表面処理を施したシートを得た。グラフト重合による質量増は、9.5質量%であった。 本発明のカルボジイミド化合物は、実施例で述べた用途の他、湿式太陽電池、画像表示材料等の電気化学素子、塗料、化粧板、工業機材、住宅基材、電子材料等の分野において使用することができる。下記一般式[I]で示されるカルボジイミド化合物。〔一般式[I]において、R1は、水素原子あるいはアルキル基を表し、R2はジイソシアネートの残基を表し、lは2〜6の整数、mは1以上の整数を表す。〕重合成分の一成分として、請求項1記載の化合物を重合してなる重合体。請求項2記載の重合体を含有してなるゲル状組成物。請求項2記載の重合体を含有してなるイオン伝導性組成物。請求項4記載のイオン伝導性組成物を含有してなる電気化学素子。請求項2記載の重合体で表面が被覆されていることを特徴とする表面修飾基材。一般式[I]で示される化合物がグラフト重合されていることを特徴とする表面修飾基材。 【課題】樹脂の劣化を抑制することが可能な官能基を有する化合物を提供することを課題とする。また、該化合物を用いて安定性の高い重合体、ゲル状組成物、表面修飾基材、イオン伝導性組成物、該イオン伝導性組成物を用いてなる電気化学素子を提供することを課題とする。【解決手段】カルボジイミド基と重合性不飽和炭化水素基とが同一分子内に共存している化合物、および該化合物を重合してなる重合体。この重合体によって、安定なゲル状組成物、イオン伝導性組成物、電気化学素子、表面修飾基材を提供することができる。【選択図】 なし


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