タイトル: | 公開特許公報(A)_フッ素樹脂中の重金属の定量方法 |
出願番号: | 2003278352 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N1/28,G01N21/31,G01N21/73,G01N27/62,G01N31/00,G01N31/12,G01N33/44 |
須 藤 和 冬 田 中 一 博 米 重 嘉 寛 JP 2005043246 公開特許公報(A) 20050217 2003278352 20030723 フッ素樹脂中の重金属の定量方法 株式会社三井化学分析センター 501021139 鈴木 俊一郎 100081994 牧村 浩次 100103218 須 藤 和 冬 田 中 一 博 米 重 嘉 寛 7G01N1/28G01N21/31G01N21/73G01N27/62G01N31/00G01N31/12G01N33/44 JPG01N1/28 XG01N21/31 610ZG01N21/73G01N27/62 VG01N31/00 TG01N31/00 YG01N31/12 ZG01N33/44 3 OL 10 2G042 2G043 2G052 2G059 2G042AA01 2G042BC11 2G042BC13 2G042CA07 2G042CB06 2G042DA04 2G042EA01 2G042FA01 2G042FA04 2G042FA19 2G042FB01 2G042FB02 2G042GA03 2G042HA02 2G043AA01 2G043BA04 2G043CA05 2G043DA02 2G043EA08 2G043EA13 2G052AA18 2G052AB01 2G052AB27 2G052FD09 2G052GA13 2G052GA15 2G052GA24 2G059AA01 2G059BB08 2G059CC03 2G059DD03 2G059EE01 2G059EE06 本発明は、フッ素樹脂中の重金属の定量方法に関し、さらに詳しくは、フッ素樹脂中に微量不純物(重金属)として含まれるHg、またはHgとCdおよび/またはPb、特にHgの含有量を高精度で測定することができるようなフッ素樹脂中の重金属の定量方法に関する。 最近、我が国の電機メーカーがヨーロッパなどへ製品輸出に伴い、製品原料中に表記の重金属が含有しないことの証明が求められるようになった。一部の電機メーカーでは、重金属の定量分析に使用される合成樹脂試料の前処理、分析装置などの分析法を指定し、各金属の検出下限値の明記を求めるようになった。 一般に、重金属の含有量を検出下限〜数ppmのレベルで測定するには、原子吸光分析装置、ICP発光分光分析装置またはICP質量分析装置などの装置が用いられる。これらの装置を用いて重金属を測定するには、(水)溶液を装置に導入する必要がある。したがって、製品や原料である合成樹脂は、下記のような方法(1)〜(6)で溶液にされる。これは、一般に、「前処理」と称されている。(1)乾式灰化法 試料に濃硫酸を添加・加熱し、試料を炭化させた後、電気炉に入れて灰化する。灰化した試料を放冷した後、硝酸などの酸で溶解・希釈し、メスフラスコで定容とする。(2)湿式灰化法 試料を、硝酸や過酸化水素などの酸化剤と硫酸などの鉱酸とともに加熱し、分解する。分解した試料を放冷後、希釈し、メスフラスコで定容とする。この湿式灰化法は、揮散し易い、金属の分析に用いられるが、試料の分解には長時間を要する。(3)マイクロ波分解法 試料をフッ素樹脂製の密閉容器に入れ、湿式分解に用いられる酸化剤および酸を添加し、マイクロ波分解する。このマイクロ波分解法は、揮散し易い、金属の分析に用いられるが、試料の分解は短時間で完了し、密閉容器内で試料が分解されるため揮散することはない。(4)アルカリあるいは酸融解法 試料と酸化ホウ素、炭酸ソーダ、硫酸水素カリなどの融解剤を添加して低融点塩を形成し、放冷後、純水あるいは酸に溶解する。(5)酸素フラスコ燃焼法 ガラス製または石英製のフラスコに、吸収液として過酸化水素水、純水、硝酸などを入れ、純酸素をフラスコ内に充満させておく。次に、導火線付き試料の導火線に点火し、このフラスコ内に装入して密閉し、完全燃焼させる。発生したガスを吸収した吸収液をメスフラスコで定容とする。このような酸素フラスコ燃焼法に類似した方法として、フラスコ内に加圧酸素を充満させる「酸素ポンプ法」がある。(6)燃焼ガス吸収法 石英製燃焼管に、石英製または白金製ボートに載せた試料を装入し、酸素混合ガスを流通させて加熱燃焼させる。発生ガスを吸収液に吸収させたり、ボートに残った残さを酸などに溶解し、メスフラスコで定容とする。 上記のような前処理を施して得られた検液は、原子吸光分析装置、ICP発光分光分析装置またはICP質量分析装置などによる測定に供される。 上記の前処理方法のうち、揮発し易い重金属、特にHgの前処理に適した方法は、(2)湿式灰化法、(3)マイクロ波分解法および(5)酸素フラスコ燃焼法である。しかしながら、この(2)湿式灰化法あるいは(3)マイクロ波分解法による前処理において、BSEN1122:2001「プラスチック・カドミウムの定量−湿式分解」では、フッ素樹脂はその対象から外されている。また、フッ素樹脂の前処理として可能な方法は、(1)乾式灰化法、(4)アルカリあるいは酸融解法、(5)酸素フラスコ燃焼法および(6)燃焼ガス吸収法である。 したがって、フッ素樹脂中のCd、PbおよびHgの重金属の定量、特にHgの定量に供するフッ素樹脂の前処理方法として、上記(5)の酸素フラスコ燃焼法が考えられる。 本願発明者らは、フッ素樹脂中に微量不純物として含まれる重金属のうち、Cd、PbおよびHgの少なくとも1種、特にHgの含有量を高精度で測定できる重金属の定量方法として、上記(5)の酸素フラスコ燃焼法を採用し、フッ素樹脂であるPTFE粉末に対し、吸収液として超純水または5%過酸化水素水を用いる酸素フラスコ燃焼法による前処理を施し、得られた検液を誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)で分析し、PTFE中のCd、PbおよびHgの含有量を測定したところ、Cd、PbおよびHgのいずれも満足できるような回収率は得られなかった。 そこで、本願発明者らは、フッ素樹脂の前処理としての酸素フラスコ燃焼法について、さらに鋭意研究し、PTFE粉末またはPFA粉末に対し、吸収液として特定濃度の硝酸たとえば10%硝酸を用いる酸素フラスコ燃焼法による前処理し、得られた検液をICP−AESで分析し、PTFEまたはPFA中のCd、PbおよびHgの含有量を測定したところ、いずれのフッ素樹脂においても、これらの重金属について満足できる回収率が得られ、Cd、PbおよびHgの含有量を高精度で測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂中に微量不純物として含まれるHg、またはCdおよび/またはPb、特にHgの含有量を高精度で測定することができるフッ素樹脂中の重金属の定量方法を提供することを目的としている。 本発明に係るフッ素樹脂中の重金属の定量方法は、 フッ素樹脂中に微量不純物として含まれる重金属のうち、Hg、またはHgとCdおよび/またはPbとを定量するに際し、該定量に供するフッ素樹脂試料に対して、0.1〜80%硝酸吸収液を用いる酸素フラスコ燃焼法により前処理を行なうことを特徴としている。 本発明によれば、PTFE、PFA等のフッ素樹脂中に微量不純物として含まれるHg、またはHgとCdおよび/またはPb、特にHgの含有量を高精度で測定することができる。 以下、本発明に係るフッ素樹脂中の重金属の定量方法について具体的に説明する。 本発明に係るフッ素樹脂中の重金属の定量方法では、フッ素樹脂中のHg、またはHgとCdおよび/またはPbの含有量を測定する。 フッ素樹脂としては、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、ETFE樹脂(エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体)、ECTFE(エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体)などが挙げられる。 本発明においては、フッ素樹脂試料に対し、酸素フラスコ燃焼法による前処理を行なうが、その際に、特定の吸収液を使用する。本発明で用いられる吸収液は硝酸であり、その濃度は通常0.1〜80%、好ましくは1〜60%、さらに好ましくは5〜30%であることが望ましい。フッ素樹脂試料に対して、上記範囲内の濃度の硝酸を吸収液として酸素フラスコ燃焼法による前処理を行なうと、得られた検液を原子吸光分析装置、ICP発光分析装置またはICP質量分析装置を使用して、フッ素樹脂中のCd、Pb、Hgの含有量を高精度で測定することができる。 原子吸光分析装置、ICP発光分析装置およびICP質量分析装置としては、特に制限はなく、従来公知の分析装置を用いることができる。 以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。[実施例1]〔前処理:酸素フラスコ燃焼法〕 内部に濾紙を粘着させたセロハン製カプセル内にPTFE粉試料を50mg入れ、さらに、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、このカプセルを封じて燃焼用試料とした。 次いで、燃焼用フラスコに10%HNO3 吸収液を入れ、純酸素を充満させた後、共栓の先端のPtバスケットに燃焼用試料をセットして導火線付き試料とし、その導火線を点火し、その試料をフラスコ内に装入して密閉し、完全燃焼させた。その後、このフラスコを数回振り混ぜ、30分間放置し、発生したガスを吸収した吸収液をメスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液を誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)で分析した。 その結果を表1に示す。Cd、PbおよびHgは満足できる回収率であった。[実施例2]〔前処理:酸素フラスコ燃焼法〕 内部に濾紙を粘着させたセロハン製カプセル内にPFAペレット試料を50mg入れ、さらに、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、このカプセルを封じて燃焼用試料とした。 次いで、燃焼用フラスコに10%HNO3 吸収液を入れ、純酸素を充満させた後、共栓の先端のPtバスケットに燃焼用試料をセットして導火線付き試料とし、その導火線を点火し、その試料をフラスコ内に装入して密閉し、完全燃焼させた。その後、このフラスコを数回振り混ぜ、30分間放置し、発生したガスを吸収した吸収液をメスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。その結果を表2に示す。Cd、PbおよびHgは満足できる回収率であった。[実施例3]〔前処理:酸素フラスコ燃焼法〕 内部に濾紙を粘着させたセロハン製カプセル内にPTFE粉試料を50mg入れ、このカプセルを封じて燃焼用試料とした。 次いで、燃焼用フラスコに10%HNO3 吸収液を入れ、純酸素を充満させた後、共栓の先端のPtバスケットに燃焼用試料をセットして導火線付き試料とし、その導火線を点火し、その試料をフラスコ内に装入して密閉し、完全燃焼させた。その後、このフラスコを数回振り混ぜ、30分間放置し、発生したガスを吸収した吸収液をメスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表3に示す。[比較例1]〔前処理:酸素フラスコ燃焼法(超純水)〕 内部に濾紙を粘着させたセロハン製カプセル内にPTFE粉試料を50mg入れ、さらに、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、このカプセルを封じて燃焼用試料とした。 次いで、燃焼用フラスコに超純水を吸収液として入れ、純酸素を充満させた後、共栓の先端のPtバスケットに燃焼用試料をセットして導火線付き試料とし、その導火線を点火し、その試料をフラスコ内に装入して密閉し、完全燃焼させた。その後、このフラスコを数回振り混ぜ、30分間放置し、発生したガスを吸収した吸収液をメスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表4に示す。Cd、PbおよびHgのいずれも満足できる回収率ではなかった。[比較例2]〔前処理:酸素フラスコ燃焼法(5%過酸化水素水)〕 内部に濾紙を粘着させたセロハン製カプセル内にPTFE粉試料を50mg入れ、さらに、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、このカプセルを封じて燃焼用試料とした。 次いで、燃焼用フラスコに5%過酸化水素水を吸収液として入れ、純酸素を充満させた後、共栓の先端のPtバスケットに燃焼用試料をセットして導火線付き試料とし、その導火線を点火し、その試料をフラスコ内に装入して密閉し、完全燃焼させた。その後、このフラスコを数回振り混ぜ、30分間放置し、発生したガスを吸収した吸収液をメスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表5に示す。Cd、PbおよびHgのいずれも満足できる回収率ではなかった。[比較例3]〔前処理:乾式灰化法〕 白金製皿にPTFEペレット試料500mgを精秤し、濃硫酸2mlで湿らせ、加熱した。しかし、硫酸ヒュームが発生し、その発生が治まった後も試料は炭化も灰化もされていなかった。そこで、その試料を500℃の電気炉で加熱分解し、放冷後、希硝酸に加温しながら溶解させ、メスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表6に示す。[比較例4]〔前処理:乾式灰化法〕 白金製皿にPTFEペレット試料500mgを精秤し、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、濃硫酸2mlで湿らせ、加熱した。しかし、硫酸ヒュームが発生し、その発生が治まった後も試料は炭化も灰化もされていなかった。そこで、その試料を500℃の電気炉で加熱分解し、放冷後、希硝酸に加温しながら溶解させ、メスフラスコで定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表7に示す。CdおよびPbは満足できる回収率であったが、Hgは満足できる回収率ではなかった。[比較例5]〔前処理:燃焼ガス吸収法〕 石英ボートにPTFEペレット試料500mgを精秤し、二重石英燃焼管中でアルゴンと酸素との混合ガスを通じながら900℃で燃焼分解し、分解ガスを5%過酸化水素水(吸収液)に吸収させた。更に、この石英ボートを希硝酸で加温洗浄し、希硝酸を吸収液とともに定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表8に示す。[比較例6]〔前処理:燃焼ガス吸収法〕 石英ボートにPTFEペレット試料500mgを精秤し、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、二重石英燃焼管中でアルゴンと酸素との混合ガスを通じながら900℃で燃焼分解し、分解ガスを5%過酸化水素水(吸収液)に吸収させた。更に、この石英ボートを希硝酸で加温洗浄し、希硝酸を吸収液とともに定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表9に示す。CdおよびPbは満足できる回収率であったが、Hgは満足できる回収率ではなかった。[比較例7]〔前処理:燃焼ガス吸収法〕 石英ボートにPFAペレット試料500mgを精秤し、Cd、PbおよびHgの各金属標準液の所定量(20ppm)を添加し、二重石英燃焼管中でアルゴンと酸素との混合ガスを通じながら900℃で燃焼分解し、分解ガスを10%硝酸(吸収液)に吸収させた。更に、この石英ボートを希硝酸で加温洗浄し、希硝酸を吸収液とともに定容(50ml)とし、検液とした。この検液をICP-AESで分析した。 その結果を表10に示す。CdおよびPbは満足できる回収率であったが、Hgは満足できる回収率ではなかった。 フッ素樹脂中に微量不純物として含まれる重金属のうち、Hg、またはHgとCdおよび/またはPbとを定量するに際し、該定量に供するフッ素樹脂試料に対して、0.1〜80%硝酸吸収液を用いる酸素フラスコ燃焼法により前処理を行なうことを特徴とするフッ素樹脂中の重金属の定量方法。 前記フッ素樹脂が、PTFEまたはPFAであることを特徴とする請求項1に記載の重金属の定量方法。 前記定量は、原子吸光分析装置、ICP発光分光分析装置またはICP質量分析装置を用いて行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の重金属の定量方法。 【解決手段】 【0051】 本発明のフッ素樹脂中の重金属の定量方法は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂中に微量不純物として含まれる重金属のうち、Hg、またはHgとCdおよび/またはPbとを定量するに際し、該定量に供するフッ素樹脂試料に対して、0.1〜80%硝酸吸収液を用いる酸素フラスコ燃焼法により前処理を行なうことを特徴としている。 【効果】 【0052】 本発明によれば、PTFE、PFA等のフッ素樹脂中に微量不純物として含まれるHg、またはHgとCdおよび/またはPb、特にHgの含有量を高精度で測定することができる。【選択図】なし