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タイトル:公開特許公報(A)_キャッツクローを含有した機能性食品
出願番号:2003270216
年次:2005
IPC分類:7,A23L1/30,A61K35/78,A61P3/06,A61P3/10,A61P7/00


特許情報キャッシュ

小川 博 JP 2005021122 公開特許公報(A) 20050127 2003270216 20030701 キャッツクローを含有した機能性食品 トワ商事株式会社 300022526 樺澤 襄 100062764 樺澤 聡 100092565 山田 哲也 100112449 小川 博 7A23L1/30A61K35/78A61P3/06A61P3/10A61P7/00 JPA23L1/30 BA61K35/78 CA61P3/06A61P3/10A61P7/00 5 1 OL 17 4B018 4C088 4B018MD48 4B018ME03 4B018ME04 4B018MF01 4C088AB14 4C088BA08 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA51 4C088ZC33 4C088ZC35 4C088ZC61 本発明は、キャッツクローを含有した機能性食品に関する。 キャッツクロー(Uncaria tomentosa Rubiaceae)は、双子葉類、アカネ科、カギカズラ属の木本生のつる植物である。そして、このキャッツクローは、ペルーの中央アマゾン地帯、特にサン・マルテイン、フニン、パスコ、マドレ・デ・ディオスなどに自生しており、葉の付け根に猫の爪のような太いトゲが2つ生えていることから、キャッツ・クロー(cat's claw)と呼ばれている。 従来からアマゾンの原住民は、キャッツクローの樹皮を集めて、このキャッツクローの樹皮を健康維持のために煎じてお茶として飲んでいたとされている。最近では、このキャッツクローの作用として、抗炎症作用、免疫増強作用あるいは鎮痛作用などを中心とした研究が進み、抗炎症作用の有効成分としてオキシンドールアルカロイド類が考えられている。その他として、このキャッツクローの作用としては、関節炎、喘息、リウマチ、皮膚病などにも有効であるといわれている(例えば、特許文献1ないし5参照。)。特開2003−171289号公報(第3−5頁)特開2002−360220号公報(第2−3頁)特開2003−155250号公報(第2−3頁)特開2003−159030号公報(第2−4頁)特開2002−161044号公報(第2−4頁) しかしながら、上記キャッツクローについては、いずれも生活習慣病をはじめとする各種疾患予防への有効性が大きく期待されているものの、詳細な検討がされていない。また、このキャッツクローを食品として摂取する場合には、このキャッツクローの摂取の安全性は重要である。従来から、キャッツクローについての急性投与実験による急性毒性についての安全性は明らかであるが、亜慢性や慢性投与実験による安全性については検討されていない。 本発明は、このような点に鑑みなされたもので、中性脂肪減少作用、血糖値低下作用、白血球増加作用およびHDL−C上昇作用を有するキャッツクローを含有した機能性食品を提供することを目的とする。 請求項1記載のキャッツクローを含有した機能性食品は、キャッツクローを含有し、中性脂肪減少作用を有するものである。 そして、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、中性脂肪の減少を期待できる。 請求項2記載のキャッツクローを含有した機能性食品は、キャッツクローを含有し、血糖値低下作用を有するものである。 そして、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、血糖値の低下を期待できる。 請求項3記載のキャッツクローを含有した機能性食品は、キャッツクローを含有し、白血球増加作用を有するものである。 そして、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、白血球増加作用を期待できる。 請求項4記載のキャッツクローを含有した機能性食品は、キャッツクローを含有し、HDL−C上昇作用を有するものである。 そして、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、HDL−C上昇作用を期待できる。 請求項5記載のキャッツクローを含有した機能性食品は、請求項1ないし4いずれか記載のキャッツクローを含有した機能性食品において、キャッツクローとして、このキャッツクローから抽出したエキスを含有しているものである。 そして、キャッツクローから抽出したエキスを含有した機能性食品とすることにより、キャッツクローの摂取がより容易になる。 請求項1記載のキャッツクローを含有した機能性食品によれば、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、中性脂肪の減少を期待できる。 請求項2記載のキャッツクローを含有した機能性食品によれば、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、血糖値の低下を期待できる。 請求項3記載のキャッツクローを含有した機能性食品によれば、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、白血球増加作用を期待できる。 請求項4記載のキャッツクローを含有した機能性食品によれば、キャッツクローを含有した機能性食品を摂取することにより、HDL−C上昇作用を期待できる。 請求項5記載のキャッツクローを含有した機能性食品によれば、請求項1ないし4いずれか記載のキャッツクローを含有した機能性食品の効果に加え、キャッツクローから抽出したエキスを含有した機能性食品とすることにより、キャッツクローの摂取がより容易になる。 以下、本発明の実施の一形態のキャッツクローを含有した機能性食品を説明する。 まず、このキャッツクローを含有した機能性食品としては、乾燥させたキャッツクローに含水アルコール(70%アルコール)を加えて浸漬させてから抽出した溶液を噴霧乾燥させて粉末としたキャッツクローエキスパウダである。すなわち、このキャッツクローエキスパウダは、キャッツクローの乾燥物(チップ)を粉砕してから、この粉砕したキャッツクローのチップを、含水アルコールに浸漬してエキス分を抽出する。さらに、この抽出液は、そのまま減圧下に濃縮乾固してもよく、抽出液にデキストリン、ソルビトールなどの乾燥助剤を加えて噴霧乾燥する。 次いで、キャッツクローの含水アルコール抽出エキス乾燥物は、これを含有した中性脂肪減少作用、血糖値低下作用、白血球増加作用およびHDL−C上昇作用を有する機能性食品、すなわち中性脂肪減少剤あるいは血糖値低下剤として提供される。そして、これら中性脂肪減少剤あるいは血糖値低下剤として提供される形態としては、散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル、液剤、シロップ状のいずれであっても良く、これらは適宜助剤、賦香料とともに賦形されてもよい。用いられる賦形剤、希釈剤としては、ゼラチン、糖類、澱粉類、脂肪酸およびその塩、油脂、タルク、生理食塩水、その他のマスキング剤などが挙げられる。これらのものをそのまま服用してもよいが、各種料理品、菓子、キャンデなどの食品に混ぜて服用するのも好都合である。 以下、本発明のキャッツクローエキスパウダを、エルカンプーレエキスパウダおよびマカエキスパウダの実験例とともにさらに詳細に説明する。 まず、キャッツクローエキスパウダとしては、乾燥キャッツクローに含水アルコール(70%アルコール)を加えて浸漬抽出した溶液を噴霧乾燥粉末としたもの(トワ商事株式会社製)を用いた。 また、エルカンプーレエキスパウダとしては、双子葉類、リンドウ科、リンドウ属の多年生の植物であるエルカンプーレ(Gentianella alborosea(Gilg) Fabris,Gentianaceae)の乾燥薬草(根・茎・葉)に含水アルコール(70%アルコール)を加えて浸漬抽出した溶液にデキストリンを加え、噴霧乾燥粉末としたもの(トワ商事株式会社製)を用いた。 さらに、マカエキスパウダとしては、双子葉類、アプラナ科、マメグンバイナズナ属の一年生または越年性の植物であるマカ(Lepidium peruvianum Chacon,以前はLepidium meyenii-Walp,Cruciferae)の乾燥物に含水アルコール(60%アルコール)を加えて浸漬抽出した溶液にデキストリンを加え、噴霧乾燥粉末としたもの(トワ商事株式会社製)を用いた。 ここで、これらキャッツクローエキスパウダ、エルカンプーレエキスパウダおよびマカエキスパウダそれぞれの一般成分組成は、表1に示す一般成分組成であった。 次いで、これらキャッツクローエキスパウダ、エルカンプーレエキスパウダおよびマカエキスパウダを用いて、キャッツクロー、エルカンプーレおよびマカの長期間投与による安全性、ならびに長期間に亘って投与することにより得られる生体に対する有効な生理作用を明らかにすることを目的とした実験をした。(実験動物および飼育方法) 実験動物として5週齢の雄性ウィスターラット(平均体重:106g、日本エスエルシー株式会社から購入)を使用した。これらラットは、4週齢にて購入し、1週間予備飼育して馴化した後、実験に供与した。1群を8匹ずつとし、対照群と実験群3群(エルカンプーレ群、キャッツクロー群、マカ群)の計4群に分けた。これらラットを、温度22.0±2.0℃、湿度55.0±5.0%、12時間の明暗(明期は午前8時から午後8時まで、暗期は午後8時から午前8時まで)切り替えの条件下で飼育した。なお、これらラットの飼育は、動物実験「近畿大学医学部動物実験の指針」に則した。(実験飼料の調製と投与方法) 対照群には、AIN−93組成に準拠したミルクカゼインをタンパク源とする表2に示す飼料組成を有する純化食(対照食)を投与した。 そして、飼料投与開始1ケ月間は、エルカンプーレ群に対して、対照食に質量比で1%のエルカンプーレエキスパウダを添加して調製した実験飼料を投与した。また、キャッツクロー群に対しては、対照食に質量比で1%のキャッツクローエキスパウダを添加して調製した実験飼料を投与した。さらに、マカ群に対しては、対照食に質量比で1%のマカエキスパウダを添加して調製した実験飼料を投与した。 次いで、飼料投与開始2ケ月目以降は、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダそれぞれを質量比で2%添加して調製した表2に示す飼料組成を有する実験飼料を投与した。このとき、これら実験飼料の最終組成はコーンスターチにて調整した。 これら飼料はいずれも、飲水(水道水)とともに自由摂取させ、1日おきに体重および飼料摂取量を測定し、これら飼料を6ケ月間継続投与した。(採血条件、血清の分離および尿の採集) 実験開始から1ヶ月後および3ケ月後に、無絶食下で午前中に、ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、大日本製薬株式会社製)を腹腔内投与した後、鎖骨下静脈から一部採血(約1.0ml)をした。このとき、これら採血した血液を室温で1時間放置した後、遠心分離(2500rpm,20分間、4℃)して血清とした。 さらに、3ケ月後の一部採血では、血清とともに抗凝固剤(EDTA−K)存在下で血液検査項目測定用の試料を得た。 また採血と採尿との相互間の影響が現れないようにするため、尿は採血より3日後の午前中から24時間の間に採集した(24時間蓄尿)。そして、これら採集した尿は、低速遠心分離(2000rpm,20分間,20℃)して不溶物を除去した後、メンブランフィルタ(0.22μm,ミリポア株式会社;Millipore Corp.,MA,USA製)を通して分析した。 また、実験開始から6ケ月後に、無絶食下で午前中に、ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、大日本製薬株式会社製)を腹腔内投与した後、腹部大動脈から全採血をした。このとき、血清ならびに血液検査項目測定用試料のそれぞれは上記の試料と同様にした。さらに、尿は、採血と採尿との相互間の影響が現れないようにするため、採血より3日前の午前中から24時間の間に採集した(24時間蓄尿)。(血清、血液および尿の検査項目) まず、血清の検査項目としては、総タンパク(TP;ビューレット法)、アルブミン(ALB;ブロムクレゾールグリーン法)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASTまたはGOT;日本臨床化学会(JSCC)標準化対応法)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALTまたはGPT;JSCC標準化対応法)を測定し、この血清の検査項目としては、乳酸脱水素酵素(LDH;JSCC標準化対応法)、アルカリフォスファターゼ(ALP;JSCC標準化対応法)、尿素窒素(BUN;ウレアーゼUV法)、クレアチニン(CRN;酵素法)、尿酸(UA;ウリカーゼ−ペルオキシダーゼ法)、総コレステロール(TC;酵素法)を測定し、この血清の検査項目としては、中性脂肪(TG;酵素比色法)、高比重リボタンパクコレステロール(HDL−C;直接法)、ナトリウム(イオン選択電極法)、カリウム(イオン選択電極法)、カルシウム(o−クレゾールフタレインコンプレックス(o−CPC)法)、塩素(イオン選択電極法)、グルコース(GLU;へキソキナーゼUV法)を測定した。 また、血液の検査項目としては、白血球数(WBC;自動血球計数法)、赤血球数(RBC;自動血球計数法)、へモグロビン(Hb;自動測定法)、ヘマトクリット値(Ht)、血小板数(PLT;自動血球計数法)を測定した。 さらに、尿の検査項目としては、総タンパク(TP;ピロガロールレッド法)、クレアチニン(CRN;酵素法)、ナトリウム(イオン選択電極法)、カリウム(イオン選択電極法)、カルシウム(o−CPC法)、塩素(イオン選択電極法)を測定した。 なお、血清の検査項目のなかでγ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP;JSCC標準化対応法)も測定したが、ほとんど活性が無かった。さらに、飼料投与開始1ケ月後の一部採血においては実験動物であるラットが小さく、採血量が少ないため、血球算定などの血液検査項目を測定しなかった。したがって、血球算定などの血液検査項目は、飼料投与3ケ月後と6ケ月後とにおいて測定した。(各種臓器の摘出および湿重量の測定) 飼料投与6ケ月後の全採血時に各種臓器、すなわち脳、心臓、肝臓、腎臓(左右)、脾臓、脳下垂体、副腎(左右)、胸腺、精巣(左右)を摘出し、湿重量を測定した。(統計処理) 実験値は、すべて平均値±標準誤差(The means±SEM)で表した。有意差検定は、StatView(登録商標)統計解析プログラム(ver.4.5,株式会社ヒューリンクス製)を用いて分散分析およびシェフェ(Scheffe)の解析を用いた。そして、危険率5%以下を有意とした。 次に、上記実施例での実験結果および考察について説明する。(体重および飼料摂取量の経時的変動) 図1に示すように、飼料投与開始より1ケ月後までの成長曲線は、対照群、エルカンプーレ群およびキャッツクロー群の3群間それぞれに有意な差は認められなかった。これに対して、図4に示すように、マカ群では、他の3群、すなわち対照群、エルカンプーレ群およびキャッツクロー群に比べ、飼料投与開始3週間頃から成長曲線が若干大きくなり、飼料摂取量も多くなる傾向があった。 また、図2(a)および図2(b)に示すように、飼料投与開始より2〜3ケ月後までの成長曲線は、対照群、エルカンプーレ群およびキャッツクロー群の3群間に有意な差は認められなかった。これに対して、マカ群では、対照群に比べ成長曲線が大きくなる傾向、すなわち飼料摂取量が多くなる傾向が認められた。さらに、図5(a)および図5(b)に示すように、マカ群は、エルカンプーレ群およびキャッツクロー群に比べ、成長曲線および飼料摂取量のそれぞれが有意に大きかった。 さらに、図3(a)ないし図3(c)に示すように、飼料投与開始より4〜6ケ月後までの成長曲線は、対照群、エルカンプーレ群およびキャッツクロー群の順に小さくなっているが、これら3群の間には有意な差は認められなかった。これに対して、マカ群では、対照群に比べ成長曲線が大きい傾向を示しているが、飼料摂取量には有意な差が認められなかった。さらに、このマカ群は、図6(a)ないし図6(c)に示すように、エルカンプーレ群およびキャッツクロー群に比べると、成長曲線が有意に大きいが、飼料摂取量には有意な差が認められなかった。 これらの結果、対照群に比べると、エルカンプーレエキスパウダおよびキャッツクローエキスパウダの投与による有意な成長曲線の低下や、飼料摂取量の低下は認められず、これらエルカンプーレエキスパウダおよびキャッツクローエキスパウダの投与は順調な生育を与えることが明らかであった。 同時に、これらエルカンプーレエキスパウダおよびキャッツクローエキスパウダの投与によって、下痢や強度の軟便も認められず、排便作用に異常をきたすこともなかった。また、マカエキスパウダを投与した場合には、他の3群に比べ、飼料投与3週間目頃より11週間目付近まで飼料摂取量増加が認められるとともに、成長促進作用が観察できた。この後、このマカエキスパウダを投与した場合には、他の3群に比べ、飼料摂取量に有意差は認められないが、成長曲線が大きいまま推移することが明らかとなった。(血清の検査項目に対する影響) 飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ヶ月後の採血により得られた血清の検査項目のうち、タンパク・酵素活性関連項目、すなわちTP,ALB,AST,ALT,LDH,ALPを表3に示した。 また、窒素化合物・脂質関連項目、すなわちBUN,CRN,UA,TC,TG,HDL−Cを表4に示すとともに、電解質・糖関連項目、すなわちナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、GLUを表5に示した。なお、血清量の関係からHDL−Cの測定は、飼料投与3ヶ月後および6ケ月後のみとした。 この結果、表3に示すように、血清タンパク・酵素活性関連項目では、TP,ALBにおいて、日内変動によると考えられる差はあるものの、すべての実験群で対照群との間に異常と考えられる値は認められなかった。また、AST,ALTにおいては、飼料投与6ケ月後、マカ群が他の3群に比較べ有意な低値あるいは低値傾向を示したが、日内変動の範囲である可能性が高い。さらに、LDHにおいては、日内変動によると考えられる差はあるものの、すべての実験群で対照群との間に有意な差は認められなかった。 これに対し、ALPにおいては、対照群ならびにすべての実験群で加齢によると考えられる活性の減少が認められた。また、飼料投与1ヶ月後および3ケ月後では、各群の間によって有意差があるが、有意差に統一性が無く、日内変動の範囲であると考えられる。そして、飼料投与6ケ月後では、すべての実験群で対照群との間に有意差は認められなくなった。 これらの結果、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダのいずれの投与によっても血清中の肝臓機能関連酵素活性への影響は認められなかった。したがって、これらエルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの摂取による肝臓機能障害が無いことが明らかになった。 また、マカエキスパウダを投与した場合には、このマカエキスパウダを投与してから6ケ月後のAST,ALT活性は、他の3群に比べて有意な低値あるいは低値傾向を示しており、日内変動の可能性が高い一方で、肝臓保護作用および肝臓機能亢進作用の可能性があると考えられた。さらに、LDHやALP活性に関しては、酵素活性の変動幅が大きく日内変動の範囲の差であり、実験群では対照群に比べ何ら異常値は認められなかった。 次いで、表4に示すように、血清窒素化合物・脂質関連項目では、BUNにおいて、飼料投与1ヶ月後および6ケ月後では実験群はいずれも対照群に対し有意な低値あるいは低値傾向が認められた。また、CRN,UAにおいては、実験群はいずれも対照群との間に有意な差は認められなかった。 これに対し、TCにおいては、飼料投与1ケ月後ではキャッツクロー群が他の3群に比べ有意な高値を示すとともに、飼料投与3ケ月後ではキャッツクロー群およびマカ群が、他の2群に比べ有意な高値を示したが、飼料投与6ケ月後では、これらキャッツクロー群およびマカ群とも対照群との間に有意な差は認められなかった。しかしながら、エルカンプーレ群は、飼料投与6ケ月後では、他の3群に比較べ有意な低値を示した。さらに、図7に示すように、すべての群において加齢による上昇が認められた。 また、図8に示すように、TGにおいては、すべての群で加齢によると考えられる減少が認められ、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後のいずれにおいても、キャッツクロー群が他の3群に比べ有意な低値を示した。さらに、HDL−Cにおいては、飼料投与3ヵ月後および6ケ月後において、キャッツクロー群、マカ群が他の2群に比べ有意な高値あるいは高値傾向を示した。 以上のことから、飼料投与1ヶ月後および6ケ月後において、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与により認められたBUNの有意な低値あるいは低値傾向は、食餌由来の蛋白質が同量であることを考えると、これらエルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与によって、腎臓からの尿素排泄が亢進された可能性が考えられる。しかしながら、飼料投与3ケ月後ではすべての群でほとんど差がないことを考えると、日内変動の範囲内の可能性もある。いずれにせよ、これらエルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与によるBUNの異常値は認められないことが明らかとなった。 さらに、図7に示すように、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与によって、飼料投与3ヶ月後および6ケ月後では、他の2群に比べTCの有意な高値あるいは高値傾向が認められた。ここで、TCとHDL−Cとは良く相関することから、HDL−Cを併せてみると、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与によって、飼料投与3ヶ月後および6ケ月後では、他の2群に比べHDL−Cも有意な高値あるいは高値傾向を示している。したがって、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与によるTC上昇(高値)は、HDL−C上昇(高値)作用を伴うものであると考えられる。逆に、エルカンプーレエキスパウダの投与は、TCおよびHDL−Cいずれも高値は認められないが、TCに対するHDL−Cの比が他の3群より高値であるため、抗動脈硬化作用の面からはキャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダと遜色が無いと考えられる。 さらに、図8に示すように、TGに関しては、キャッツクローエキスパウダの投与によって、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後のいずれの場合にも他の3群に比べて有意な低値が観察された。したがって、キャッツクローエキスパウダの投与によって血中のTG、すなわち中性脂肪が減少することが明らかとなった。なお、この中性脂肪減少作用は、抗肥満作用とも関連が深い。 次いで、表5に示すように、血清電解質・糖関連項目では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素において、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後のいずれにおいても、日内変動による若干の差はあるものの、実験群はいずれも対照群との間にも有意差は認められなかった。なお、カリウムは、飼料投与6ケ月後のすべての群において、飼料投与1ヶ月後および3ケ月後に比べ高値となっており、加齢による上昇が考えられた。 また、図9に示すように、GLUにおいては、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後のいずれにおいても、エルカンプーレ群、キャッツクロー群では、対照群に対し低値傾向が認められた。 以上のことから、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与による血清電解質への影響はほとんど観察されず、血清電解質のバランスは6ケ月間に亘って安定して維持されることが明らかとなった。また、血糖値に関しては、図9に示すように、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後のいずれにおいても、エルカンプーレエキスパウダおよびキャッツクローエキスパウダの投与によって低下傾向が観察され、血糖値低下作用が示唆された。 ここで、エルカンプーレエキスパウダには、試験管内(invitro)実験においてではあるが、マンジフェリン(Mangeferin)およびベリディフォリン(Bellidifolin)といった血糖値低下作用に関与することが明らかなキサントン系化合物が含有されていることが明かとなった。(尿の検査項目に対する影響) 飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後の24時間蓄尿における尿検査項目、すなわちTP,CRN、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素を表6に示した。 この結果、表6に示すように、24時間蓄尿による尿検査項目では、TP,CRNにおいては、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、日内変動による若干の差はあるものの、実験群はいずれも対照群との間にも有意な差は認められなかった。なお、TPの尿中排泄は、加齢による減少であり、CRNの尿中排泄は、加齢による上昇であると観察される。 さらに、ナトリウムにおいては、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、日内変動による若干の差はあるものの、実験群はいずれも対照群との間にも有意な差は認められなかった。なお、ナトリウムの場合にも、尿中排泄は加齢による減少と観察された。そして、カリウムおよび塩素においては、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、マカ群が他の3群に比べ有意な高値あるいは高値傾向を示した。 また、尿中カリウムの排泄に関しては、エルカンプーレエキスパウダ(233mg/100g)およびキャッツクローエキスパウダ(700mg/100g)に比べ、マカエキスパウダは、カリウム含量が比較的高い(1600mg/100g)ことに関連が深いと考えられる。そして、カルシウムにおいては、飼料投与後1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、実験群はいずれも対照群との間にも有意な差が認められず、変動幅が大きいことから日内変動の範囲内であると考えられる。 以上のことから、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与による尿中TP,CRNおよびミネラル類の排泄に対する異常値は認められず、TP,CRNおよびミネラル類の24時間尿中排泄の異常は無いことが明らかとなった。なお、飼料投与1ヶ月後、3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、エルカンプーレエキスパウダを投与した場合には、エルカンプーレエキスパウダに含有されるフラボノイド類などの色素類に基づくものと考えられるわずかに黄緑色に着色した尿の排泄が観察された。(血液の検査項目に対する影響) 飼料投与3ヶ月後および6ケ月後の血液の検査項目、すなわちWBC、RBC、Hb、HtおよびPLTを表7に示した。 この結果、表7に示すように、血液検査では、WBCにおいて飼料投与3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、キャッツクロー群が他の3群に比べ有意な高値あるいは高値傾向を示した。すなわち、血液検査においてWBCが増加したことにより、キャッツクローエキスパウダが白血球増加作用、すなわち免疫増強作用を有すると考えられる。その他のRBC、Hb、Ht、PLTの項目においては、飼料投与3ヶ月後および6ケ月後いずれの場合においても、若干の差はあるものの、実験群はいずれも対照群との間にも有意な差は認められなかった。 以上のことから、キャッツクローエキスパウダの投与によるWBCの高値は基準値内にあるので、むしろ抗炎症作用に関与する可能性が考えられる。さらに、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの投与によるWBC、RBC、Hb、HtおよびPLTの異常値は認められないことが明らかとなった。(各種臓器に対する影響) 飼料投与6ケ月後に摘出した各種臓器、すなわち脳、心臓、肝臓、腎臓(左)、腎臓(右)、脾臓、脳下垂体、副腎(左右)、胸腺、睾丸(左)、睾丸(右)の体重100g当たりの比重量を表8および表9に示した。 この結果、表8に示すように、脳、心臓、肝臓、腎臓(左)、腎臓(右)、牌臓では、脳と牌臓において、キャッツクロー群が他の3群に比べ有意な高値あるいは高値傾向を示したが、剖検でも浮腫が認められず異常はなかった。また、その他の臓器に関して、実験群はいずれも対照群との間にも差はほとんど認められなかった。 さらに、表9に示すように、脳下垂体、副腎(左右)、胸腺、睾丸(左)、睾丸(右)では、睾丸(左右)において、キャッツクロー群が他の3群に比べ有意な高値あるいは高値傾向を示しており、剖検でも異常が認められなかったことから、むしろ加齢による生殖器萎縮の抑制と考えられる。また、その他の臓器に関して、実験群はいずれも対照群との間にも差はほとんど認められなかった。また、甲状腺を摘出していないが、剖検時に観察したところ、実験群はいずれも対照群に比べ肥大などの異常は認められなかった。 これらの結果、エルカンプーレエキスパウダ、キャッツクローエキスパウダおよびマカエキスパウダの6ケ月間の投与によって、脳、心臓、肝臓、腎臓(左)、腎臓(右)、牌臓、脳下垂体、副腎(左右)、胸腺、睾丸(左)、睾丸(右)および甲状腺の異常は認められないことが明らかとなった。本発明のキャッツクローを含有した機能性食品を投与開始してから1ケ月までのラットの成長曲線を示すグラフである。同上キャッツクローを含有した機能性食品の投与開始1ケ月から3ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフである。 (a)投与開始1ケ月から2ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフ (b)投与開始2ケ月から3ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフ同上キャッツクローを含有した機能性食品の投与開始3ケ月から6ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフである。 (a)投与開始3ケ月から4ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフ (b)投与開始4ケ月から5ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフ (c)投与開始5ケ月から6ヶ月までのラットの成長曲線を示すグラフ同上キャッツクローを含有した機能性食品を投与開始してから1ケ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフである。同上キャッツクローを含有した機能性食品を投与開始1ケ月から3ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフである。 (a)投与開始1ケ月から2ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフ脂肪 (b)投与開始2ケ月から3ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフ同上キャッツクローを含有した機能性食品を投与開始3ケ月から6ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフである。 (a)投与開始3ケ月から4ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフ (b)投与開始4ケ月から5ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフ (c)投与開始5ケ月から6ヶ月までのラットの飼料摂取量を示すグラフ同上キャッツクローを含有した機能性食品の摂取に対する血清全コレステロール量を示すグラフである。同上キャッツクローを含有した機能性食品の摂取に対する血清中性脂肪量を示すグラフである。同上キャッツクローを含有した機能性食品の摂取に対する血清グルコース量を示すグラフである。 キャッツクローを含有し、 中性脂肪減少作用を有する ことを特徴としたキャッツクローを含有した機能性食品。 キャッツクローを含有し、 血糖値低下作用を有する ことを特徴としたキャッツクローを含有した機能性食品。 キャッツクローを含有し、 白血球増加作用を有する ことを特徴としたキャッツクローを含有した機能性食品。 キャッツクローを含有し、 HDL−C上昇作用を有する ことを特徴としたキャッツクローを含有した機能性食品。 キャッツクローとして、このキャッツクローから抽出したエキスを含有している ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載のキャッツクローを含有した機能性食品。 【課題】中性脂肪減少作用、血糖値低下作用、白血球増加作用およびHDL−C上昇作用を有するキャッツクローを含有した機能性食品を提供する。 【解決手段】キャッツクローの乾燥物に含水アルコールを加えて浸漬させてからキャッツクローのエキスを抽出する。キャッツクローのエキスを抽出した溶液を噴霧乾燥して粉末としてキャッツクローエキスパウダとする。キャッツクローエキスパウダの摂取によって中性脂肪減少作用、血糖値低下作用、白血球増加作用およびHDL−C上昇作用を期待できる。 【選択図】図1


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