タイトル: | 公開特許公報(A)_基板上に付着あるいは埋め込まれた固体試料の剥離試験方法 |
出願番号: | 2003205516 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,H01L21/60,G01N19/04,B23K1/00 |
大澤 義征 宝泉 俊寛 竹内 敦史 JP 2005026594 公開特許公報(A) 20050127 2003205516 20030630 基板上に付着あるいは埋め込まれた固体試料の剥離試験方法 株式会社レスカ 592158202 大澤 義征 宝泉 俊寛 竹内 敦史 7 H01L21/60 G01N19/04 B23K1/00 JP H01L21/60 321Y G01N19/04 A H01L21/92 604T B23K1/00 A 4 3 書面 6 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、基板上に付着あるいは埋め込まれたBGA球などの固体試料が基板に付着する強度を固体試料の基板からの剥離によって測定する試験方法に関する。【0002】【従来の技術】LSIや液晶表示デバイスなどのエレクトロニクス機器の実用化および信頼性の向上には、錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)系合金による鉛(Pb)フリーはんだ、およびSn−Pb系共晶はんだ等で作製されたBGA(Ball Grid Array)の付着信頼性を評価することが必要不可欠である。また、はんだ付けされた界面状態が強さや腐食性などの性質に直接影響を及ぼすため,基板との界面状態が重要となる。BGAとは、図1にあるような、電極を有した基板上に、はんだ球が格子状に配列されたものをいう。図中、(1)ははんだ球、(2)は合金層による多層電極、(3)は金属配線、(4)はIC素子、(5)は樹脂等の絶縁板をそれぞれ表す。また、これらのBGAは金属多層膜で形成された(2)の多層電極に接続される。合金層の存在の有無によってはんだのぬれ性やはんだ付け界面の強度に大きく影響を及ぼすことになる。また、はんだ球と合金層電極間の応力集中を緩和させて、はんだ球(1)との付着強度を改善する働きもある。一般的に合金は固くて脆い性質を持つことから,はんだ球の付着強度が最も弱い部分は(2)の合金層との界面である。そのため,はんだ球の信頼性評価をする上で、付着強度の最も弱いはんだバンプ球の接合界面での剥離を評価する必要がある。通常、(2)の合金層による電極部は基板表面より底部に作製されており、はんだ球は埋め込まれる形態となる。そのため、はんだ球と電極界面は、基板表面より低い部分となり、ここでの付着力の解析が重要になる。最終的には、このBGAにはさまざまなデバイスが接続される。【0003】従来のBGAの主な剥離試験方法としては、図2に示す通り、▲1▼シェアモード法、▲2▼溶融モード法、▲3▼プルモード法の3種類がある。シェアモード法は、電極の金属部にワイヤを接続して該ワイヤを垂直方向に引っ張ることによってはんだ球(1)の電極(2)への付着強度を測定するワイヤリード法と共に古くから行われていた方法で、はんだ球の側面に計測機器に接続された測定プローブとしの短冊板を当て、該短冊板を水平方向に押してはんだ球を合金層からなる電極から剥離する力を測定することによってはんだ球の電極への付着強度を評価するものである(例えば、特許文献1参照)。【0004】【特許文献1】特開昭57−2550(第1−2頁、第1−2図)【0005】溶融モード法ははんだ球が溶融する温度まで加熱された、測定プローブとしての溶融ロッドをはんだ球内に挿入して、該はんだ球を溶融させ、さらに溶融したはんだ球と挿入された溶融ロッドを冷却して固化させ、その後、はんだ球内で固化させた溶融ロッドを電極に対して垂直方向に引っ張ってはんだ球の合金層電極への付着強度を測定するものである(例えば、特許文献2参照)。【0006】【特許文献2】特開平8−111417(第2−3頁、第1図)【0007】特許文献2に開示された方法は一つのはんだ球の付着強度を測定する毎にはんだ球の加熱と冷却を繰り返すものであるが、電極上で配列されたはんだ球に合わせて配列された測定プローブとしてのロッドを配し、加熱装置ではんだ球を溶融させ、自重でロッドをはんだ球内に挿入して冷却、固化させた後、ロッドを電極に対して垂直方法に引っ張って付着強度も測定する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。【0008】【特許文献3】特開2000−349118(第2−5頁、第3−5図)【0009】上述のようにプルモード法は、はんだ球を加熱溶融した後に該はんだ球と電極との付着強度を測定する方法であり、はんだ球に一度、溶融と固化工程を加えることによりはんだ球と電極との本来の付着強度を求めることにはならないという理由から提案された方法として、はんだ球を微小なアームで摘み、その後、アームを電極に対して垂直方向に引っ張ることによってはんだ球と電極との付着強度を測定する方法(例えば、特許文献4参照)やはんだ球とプローブとを接着剤で接着する接着剤法(例えば、特許文献5参照)が提案されている。【0010】【特許文献4】特開2001−118887(第2図)【特許文献5】特開平11−274248(請求項4)【0011】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シェアモード法は,はんだ球と基板との界面へのせん断方向への破壊試験のため、はんだ球が基板に埋め込まれている場合には埋め込み部にはんだが残ってしまう欠点ある。さらに、ガラスエポキシ樹脂プリント配線基板の銅箔をエッチングして形成された細い円状の銅ランドを基材のガラスエポキシ樹脂積層板から剥離試験する場合には測定が困難である。また、溶融モード法は,加熱したプローブをはんだ球の頂点付近に接触させ溶融接合後上方向への引張りによって界面から剥離させる方法であるが,はんだボールを溶融・冷却し測定するため界面に温度履歴が残り、真の剥離荷重とは云えない。また、プルモード法はアームによってはんだ球をつまみ,上方向へ引張り接合界面から剥離させる方法であるが、微細なアームが必要となるため縮小化傾向のBGAはんだ球への対応が困難になってくる。【0012】接着剤を利用してBGAはんだ球やAu球とプローブを接着し、プローブを測定機器に接続してBGAボール等の基板からの剥離強度を測定する接着剤法はBGA球を摘むための特別な摘み器具を必要とせず、簡単に小さいBGA球にも対応が可能である。また、溶融モード法のようにBGA球に熱履歴を与えないのでBGA球と基板間の付着力を正確に求めることが可能な方法と云える。しかし、はんだは瞬間接着剤やエポキシ樹脂系接着剤などの有機系接着剤にとっては難接着性物質の一つであり、プローブ面で界面破壊する場合が多く、特に付着力が高いBGAはんだ球やAu球の場合には測定が不可能である。【0013】上述の通り、はんだ球と基板との界面付着力の試験評価には多くの評価方法が存在しているがBGA球の縮小化に適しておらず、また、剥離がBGはんだ球と電極界面で生じにくく、真の付着力解析に適している手法であるとは言えなかった。【0014】さらに、これらの剥離方法は、本質的に異なる機構の剥離方法であり、得られた付着強度データの相関性が不明確であるなどの欠点があった。そこで、はんだ球の微細化に対応可能で温度履歴の影響が無く、かつ、標準的な解析手法を有する付着強度試験法が強く望まれている。【0015】【課題を解決するための手段】この発明は、上述の接着剤法を発展させた方法で、基板上に付着あるいは埋め込まれている固体試料を低融点はんだとプローブを用いる手法として、あらかじめ低融点はんだ製の小球を溶融固着したプローブをBGAはんだ球などの固体試料の直上に設置し、低融点はんだ球を外部からの加熱で溶解し、プローブをBGAはんだ球と固着させ、垂直方向に引っ張って剥離をおこなう方法に関する。【0016】この発明でプローブの一端に予め小球として溶融固着される低融点はんだとしてはインジウム(In)と錫(Sn)がIn:Sn=52:48の組成で融点が117℃の比較的高温で溶解する低融点はんだからIn、ビスマス(Bi)およびSnがIn:Bi:Sn=51:33:16の組成で融点が60℃の低融点はんだまで、様々の融点の低融点はんだが市販されており、それらを固体試料の大きさ、形状および融点などによって使い分けて使用することができる。その他の低融点はんだに関してはフリップチップボンディング技術において詳細に検討されている(例えば、非特許文献1参照)。【0017】【非特許文献1】山森 弘毅、他2名、「低融点はんだバンプを用いるフリップチップボンディング技術」、電子技術総合研究所葉報、第64巻、臨時号、p.45(2001)【0018】本発明の基板上に付着あるいは埋め込まれている固体試料に対して、プローブを用いて引き上げる事により基板から固体試料を剥離する剥離強度を測定する機構において、固体試料とプローブとを低融点はんだを用いて接着し、該プローブを引っ張って固体試料の剥離強度を測定することを特徴とする基板上に付着あるいは埋め込まれた固体試料の剥離試験方法を適用する測定装置としては、市販されている▲1▼シェアモード法、▲2▼溶融モード法、▲3▼プルモード法、の何れかの測定装置に簡単な付属装置を取り付けるだけで使用できる。【0019】この発明の剥離試験方法によるとBGAはんだ球などの固体試料は熱履歴などの影響を受けることなく、固体試料が形成された初期の状態を維持して基板上から完全に界面破壊で剥離することが可能となるので、剥離に要する力を記録することによって剥離荷重とひずみとの関係から求められる剥離曲線を解析することから最大剥離荷重を求めることができる。また、剥離曲線の積分値から剥離仕事を算出することや最大剥離強度および剥離仕事を固体試料の付着面積で除することで単位面積あたりの剥離強度および剥離仕事を求めることができる。【0020】【発明の実施の形態】この発明の実施の一形態を、図面を用いて詳細に説明するが、この例に限定されるものではない。図3において、プローブ6は図2の溶融ロッド7がこれに相当し、今後プローブ6はこれを指す。9は低融点はんだ球で、あらかじめ図4の左側図のようにプローブ先端に低融点はんだを球状に溶着しておく。次に中央図のようにプローブを下降させ、はんだ球とプローブ先端の低融点はんだ球を接触させる。次にホットプレート10、トーチ11で低融点はんだを溶融し、右側図のようにはんだ球とプローブとを低融点はんだで接着する。冷却後、プローブを上昇させ、はんだ球と基板との界面の剥離荷重を測定する。【0021】はんだ球とプローブ先端に固着させた低融点はんだとは組成的に類似の物質であり、瞬間接着剤やエポキシ樹脂系接着剤のような有機系接着剤を使用して接着した場合とは異なり、非常に強固に接着するので、プローブとはんだ球との界面で剥離が生じることはない。【0022】図4は金(Au)球が周囲をパシベーション膜で取り囲まれた基板表面の状態であるが、この場合には従来のプルモード法等の剥離試験方法では剥離荷重測定が不可能で有ったが本発明方法では測定が可能となる。また、図5はガラスエポキシ樹脂プリント配線基板の銅箔をエッチングして形成された銅ランドをランドプル試験法で測定する方法を本発明方法で実施する場合を例示するものであるが、低融点はんだはAuや銅ランドとは非常に強固に接着するので測定が可能となる。【0023】【発明の効果】この発明は、BGAはんだ球など、基板上に付着あるいは埋め込まれている固体試料と基板との付着強度の試験において、界面剥離を容易に生じさせる手法である。また、この発明は前述の溶融モード法と似ているようであるが,次示の通り大きな違いがある。即ち、鉛フリーのはんだ球の溶融温度は非常に高く,Sn,Ag,Cu系のはんだの融点は217℃以上であり、プローブと溶着させるためには245℃以上にしなければならないがこの発明では低融点はんだを用いることにより150℃以下の温度で溶着させる事ができるので溶着時の界面にあたえる温度履歴を最小にすることが出来る。また、有機系接着剤も比較して強い接着力を与えることができる。【図面の簡単な説明】【図1】BGAとしての基本構造の概念図である。【図2】従来のはんだ球等の基板上の付着物強度試験方法の概念図である。【図3】本発明に係る付着試験法の実施の形態の説明図である。【図4】周囲をパシベーション膜で囲まれているAuボールの説明図である。【図5】ランドプル試験の説明図である。【符号の説明】1 はんだ球2 合金層による電極3 金属配線4 IC素子5 樹脂等の絶縁板6 プローブ7 溶融ロッド8 アーム9 低温はんだ球10 ホットプレート11 トーチ12 制御熱電対13 Auボール14 パシベーション15 ランド 基板上に付着あるいは埋め込まれている固体試料に対して、プローブを用いて引き上げる事により基板から固体試料を剥離する剥離強度を測定する機構において、固体試料とプローブとを低融点はんだを用いて接着し、該プローブを引っ張って固体試料の剥離強度を測定することを特徴とする基板上に付着あるいは埋め込まれた固体試料の剥離試験方法。 基板上に付着あるいは埋め込まれている固体試料がBGA(Ball Grid Arry)はんだ球、Au球等の球状ボンディング部材であることを特徴とする請求項1に記載の基板上に付着あるいは埋め込まれた個体試料の剥離試験方法。 基板上に付着あるいは埋め込まれている固体試料がガラスエポキシ樹脂プリント配線基板の銅箔をエッチングして形成された円状の銅ランドであって、該銅ランドを基材のガラスエポキシ樹脂積層板からプルテスト試験方式で剥離することを特徴とする請求項1に記載の基板上に付着あるいは埋め込まれた個体試料の剥離試験方法。 プローブにより固体試料を基板から剥離する場合に得られる、剥離荷重とひずみとの関係から求められる剥離曲線の剥離荷重の最大値を最大剥離荷重とする解析方法、あるいは剥離曲線の積分値から剥離仕事を算出する方法、あるいは最大剥離強度および剥離仕事を固体試料の付着面積で除することで単位面積あたりの剥離強度および剥離仕事とすることを特徴とする請求項1に記載の基板上に付着あるいは埋め込まれた固体試料の剥離試験方法。 【課題】基板上の電極に付着あるいは埋め込まれたBGAはんだ球などの固体試料と基板との付着強度を剥離試験で正確、確実に測定する方法を提供する。【解決手段】電極上に付着あるいは埋め込まれているBGAはんだ球1にプローブ6の先端に予め溶融固着した低融点はんだ球9を外部に設置した熱源11で加熱して溶融し、BGAはんだ球1とプローブ6とを強固に固着させ、プローブを垂直方向に引っ張ってBGAはんだ球1を電極から剥離する剥離試験によって付着力の評価を可能とした。また、この発明の方法ではガラスエポキシ樹脂プリント配線基板の銅箔をエッチングして形成された細い円状の銅ランドと基材のガラスエポキシ樹脂積層板との剥離荷重の測定を可能にした。【選択図】図3