生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_半導体結晶のストリエーション検知方法
出願番号:2003197331
年次:2005
IPC分類:7,G01N33/20,C30B15/00,C30B29/42,C30B33/00,G01N1/32


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谷 毅彦 JP 2005037155 公開特許公報(A) 20050210 2003197331 20030715 半導体結晶のストリエーション検知方法 日立電線株式会社 000005120 谷 毅彦 7 G01N33/20 C30B15/00 C30B29/42 C30B33/00 G01N1/32 JP G01N33/20 M C30B15/00 Z C30B29/42 C30B33/00 G01N1/32 B 4 1 OL 6 2G052 2G055 4G077 2G052AA13 2G052AB01 2G052AD32 2G052AD52 2G052EC12 2G052EC14 2G052EC17 2G052GA32 2G055AA05 2G055BA05 2G055CA30 2G055EA06 2G055FA02 2G055FA09 4G077AA02 4G077BE44 4G077BE46 4G077GA01 4G077GA05 4G077GA06 4G077PA16 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、半導体結晶を評価するための半導体結晶のストリエーション検知方法に関するものである。【0002】【従来の技術】GaAs半導体は、ショットキーゲート電界効果トランジスタ(MESFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、種々の受発光デバイスの作製に用いられている。【0003】この半導体結晶は、一般に液体封止チョクラルスキー法(LEC法)等の引き上げ法により製造され、引き上げ方位を主面とするウェハに切り出されて基板として用いられる。半導体結晶中に分布する不純物濃度は均一であることが望ましいが、実際には故意に濃度勾配をつけた場合を除いて、不純物濃度の変動は避けることができない。【0004】LEC法等の引き上げ法により化合物半導体結晶を製造する場合、固液界面近傍での結晶成長速度は微小に変動しており、それに対応して不純物の偏析係数も微小に変動している。これらの変動は固液界面近傍での温度や拡散層の微小変動に基づいて起こっていると考えられる。この偏析係数の微小変動により不純物濃度分布の微小な変動が生じる。この不純物濃度分布の変動は、結晶の引き上げ方向に平行な面を適切な化学処理を施すことにより、縞状の模様として観察される。この縞状の模様は成長縞(ストリエーション)と呼ばれている。【0005】ストリエーションは基本的に等温度面すなわち固液界面に対応して存在すると考えられており、結晶成長中の固液界面形状を現している。この固液界面形状は、結晶中の熱流や転位伝播を知るための重要な情報であり、結晶の高品質化や歩留まり向上のためにはなくてはならないものである。【0006】ストリエーションを顕在化させる化学的な処理、つまり半導体結晶のストリエーション検知方法として、一般的にエッチングする方法や陽極酸化法が用いられている。【0007】このうち陽極酸化法は、図2に示すように、試料とする半導体結晶のウェハ1を陽極とし、容器10に入れた電解液11、例えば水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液中で白金等の陰極12に対向させ、両極間に電源13の電圧を印加して、電解により陽極の半導体結晶をエッチングする方法である。この方法において、エッチングは半導体結晶の不純物濃度変動に対応して起こり、この結果、図3および図4に示すようなストリエーションが検知される。【0008】しかし、陽極酸化法では、試料の電流密度を均一にすることが難しく試料全面に渡って均一なストリエーションを得ることが難しい。すなわち、化合物半導体結晶は、通常LEC法等の引き上げ法により製造されるため、結晶成長は一方向凝固となる。このため、結晶の成長方向には不純物の偏析により大きな濃度変動が存在する。特に、図3に示すような成長方向に平行に切り出したウェハには結晶の頭部側と尾部側で不純物濃度に大きな差が存在し、一般に頭部側より尾部側の方が高い。このようなウェハに陽極酸化反応を適用した場合、従来の方法では不純物濃度が高い尾部側で反応が集中して起こってしまうため図5に示すような不均一なストリエーション像を得るのみであり、ウェハ全面でストリエーションを観察できないという問題があった。【0009】この問題を改善する方法として、成長方向に平行に切り出したウェハの不純物濃度の高い側を上方にして、電解液中に浸漬する部分を徐々に増大または減少させながら陽極酸化反応を行う方法(特開平2−111688号:特許文献1参照)、成長方向に平行に切り出したウェハの一部に光を照射して、当該光照射部分でのみ陽極酸化反応を行う工程をウェハ全面で繰り返す方法(特開平2−216431号公報:特許文献2参照)が提案されている。【0010】【特許文献1】特開平2−111688号公報【0011】【特許文献2】特開平2−216431号公報【0012】【発明が解決しようとする課題】上記したように、陽極酸化法では、試料の電流密度を均一にすることが難しく試料全面に渡って均一なストリエーションを得ることが難しい。この問題を改善する方法として、特許文献1及び特許文献2の方法が提案されているが、特許文献1の方法はウェハの駆動機構が必要であり、駆動を精密に制御しなければ鮮明なストリエーション像が得られない。また特許文献2の方法は光源とスリットおよびそれらの駆動機構が必要であり、特許文献1の方法と同様、駆動を精密に制御しなければ鮮明なストリエーション像が得られない。特許文献1および特許文献2の方法は、鮮明なストリエーション像を得るために複雑で高価な装置が必要であり、簡便、且つ実用的なストリエーション検出方法でない。【0013】一方、簡便なストリエーション検出方法としてエッチング法があるが、従来のエッチング法では、ABエッチングや硫酸−過酸化水素水エッチングが用いられており、鮮明なストリエーションが得にくいという問題がある。特に、ABエッチングはCrを含むため、廃液の処理に手間がかかるという問題もある。【0014】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、従来のエッチング法を改善し、半導体結晶のストリエーションを容易、且つ簡便に顕在化させることのできる半導体結晶のストリエーション検知方法を提供することにある。【0015】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。【0016】請求項1の発明に係る半導体結晶のストリエーション検知方法は、半導体結晶のストリエーションを露呈させるエッチングにおいて、酸化還元電位が2.0V(標準水素電極基準)以上であるエッチング液を用い、エッチング中に半導体のバンドギャップのエネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を照射しながらエッチングすることを特徴とする。【0017】請求項2の発明は、請求項1記載の半導体結晶のストリエーション検知方法において、上記エッチング液として、硫酸、過酸化水素及びフッ酸を含む液を用いることを特徴とする。【0018】請求項3の発明は、請求項1記載の半導体結晶のストリエーション検知方法において、上記エッチング液として、硫酸、過酸化水素及びオゾン水を含む液を用いることを特徴とする。【0019】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体結晶のストリエーション検知方法において、ストリエーションを検知する半導体がGaAs、半絶縁性GaAs、InP等のIII−V族化合物半導体であることを特徴とする。【0020】<作用>光照射下のエッチングによってストリエーションが露呈するメカニズムは、半導体結晶中の不純物濃度の差によってエッチングレートが異なるためである。このエッチングレート差は、結晶表面の正孔濃度に依存すると考えられている。正孔濃度が高いほどエッチングレートは速くなる。正孔は、次のメカニズムで表面に発生する。【0021】n型半導体結晶がエッチング液と接触する場合を考える。この時、エッチング液の酸化還元電位はこの半導体のフェルミレベルよりも正電位側にあるとする。半導体と液が接触すると、半導体のフェルミレベルは、液の酸化還元電位に一致するまで動き、エネルギーバンドが正電位側に曲がり、表面に空乏層が形成される。ここに光が照射されると、結晶中で電子−正孔対が生成し、空乏層の電界によって、正孔は表面に、電子は結晶中に集まる。【0022】したがって、エネルギーバンドが正電位側に曲がるほど表面の正孔濃度は高くなる。光照射条件が同じであるならば、表面の正孔濃度は、フェルミレベルと液の酸化還元電位の電位差によって決まる。フェルミレベルは、結晶中の不純物の種類と濃度で決まる。これが、結晶中の不純物濃度によって、エッチングレートが異なる理由である。【0023】したがって、エッチングレート差を発生させるためには、よりエネルギーバンドを正電位側に曲げればよい。このためには、エッチング液の酸化還元電位を正電位側に高くすればよい。酸化還元電位を高くするためには、HF(フッ酸)やオゾンの添加が有効である。【0024】本発明において、エッチング液に酸化還元電位が2.0V(標準水素電極基準)以上のものを使用する理由は、酸化還元電位が2.0V未満のエッチング液では部分的にしかストリエーションが露呈せず、酸化還元電位が2.0V以上のエッチング液において、試料全面にわたり鮮明なストリエーションが露呈するためである。【0025】【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。【0026】図1中1はLEC法により製造した結晶から成長方向に平行に切り出したウェハであり、透明容器2に入れたエッチング液3中に浸漬され、外部の光源4からの光の照射の下で、半導体結晶がエッチングされる。これによりウェハ全面にストリエーションが露呈せられる。【0027】本実施形態で用いるエッチング液3は、具体的には、硫酸と過酸化水素の混合液にフッ酸又はオゾン水を添加することにより、酸化還元電位が2.0V(標準水素電極基準)以上としたエッチング液である。【0028】また、本実施形態で用いる光源4は、例えば白色電球、水銀ランプ、キセノンランプ、レーザー光等であり、照射光には当該半導体結晶のバンドギャップ以上のエネルギーの光を用いる。そして、透明容器2には、レンズ効果をなくすため、直方体のものを用いる。【0029】かかる条件下で、酸化還元電位が2.0V以上のエッチング液を用い、エッチング中に半導体のバンドギャップのエネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を照射しながらエッチングすることにより、試料全面にわたり鮮明なストリエーションが露呈する。【0030】<実施例1>LEC法を用いて[100]方向に引き上げ成長した直径150mmの半絶縁性GaAs結晶を、引き上げ方向に平行に切断し、これを試作例の試料とした。この試料を#1000のアルミナでラッピングした後、研磨液に次亜塩素酸系水溶液、研磨布にスェードタイプ研磨布を用い、鏡面研磨を施した。【0031】そして、この試作例に係るウェハの半導体結晶のストリエーションを検知するためのエッチング液を、次の方法で作成した。まず硫酸と過酸化水素を体積比5:1で混合し、次いで、その溶液にフッ酸を徐々に添加し、酸化還元電位(標準水素電極基準)が1.0V、1.5V、2.0V、2.5Vの4種のエッチング液を作成した。【0032】この4種のエッチング液を用い、上記の鏡面研磨した試料(ウェハ1)を、光源4からの光照射の下で、40分間エッチングした。そして、微分干渉顕微鏡で、これらの試料の表面のストリエーションの露呈具合を観察した。【0033】その結果、酸化還元電位が1.0V、1.5Vのエッチング液(比較例1)では、ストリエーションは、極薄い縞であり、また部分的にしか露呈していなかった。一方、酸化還元電位が2.0V以上のエッチング液(実施例1)では、試料全面にわたって、鮮明なストリエーションが得られた。【0034】<実施例2>エッチング液として、硫酸と過酸化水素を体積比5:1で混合し、フッ酸の代わりにオゾン水を添加し、酸化還元電位(標準水素電極基準)が1.0V、1.5V、2.0V、2.5Vの4種のエッチング液を作成した。これ以外は上記試作例と同じにして、半導体結晶のストリエーション検知を行った。【0035】その結果、上記試作例と同様の結果が得られた。すなわち、酸化還元電位が1.0V、1.5Vのエッチング液(比較例2)では、ストリエーションは、極薄い縞であり、また部分的にしか露呈していなかった。一方、酸化還元電位が2.0V以上のエッチング液(実施例2)では、試料全面にわたって、鮮明なストリエーションが得られた。【0036】【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。【0037】本発明に係る半導体結晶のストリエーション検知方法は、半導体結晶のストリエーションを露呈させるエッチングにおいて、酸化還元電位が2.0V(標準水素電極基準)以上であるエッチング液を用い、エッチング中に半導体のバンドギャップのエネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を照射しながらエッチングするものであり、大型結晶の縦切り試料全面に渡って、鮮明なストリエーションを露呈させることができる。【0038】従って、本発明によれば、大型結晶の縦切り試料全面に渡って鮮明にストリエーションを露呈させる簡便で実用的な方法が提供される。本発明のストリエーション検知方法によれば、結晶成長中の固液界面の正確な情報を簡易に得ることができるため、結晶成長条件の把握が容易となり、高品質な結晶を高歩留まりで得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明による半導体結晶のストリエーション検知方法を示す概略図である。【図2】従来の陽極酸化法によるストリエーション方法を示す概略図である。【図3】半導体結晶中のストリエーションを説明するための、結晶の引き上げ方向に平行な断面図である。【図4】半導体結晶中のストリエーションを説明するための、結晶の引き上げ方向に垂直な断面図である。【図5】引き上げ方向に平行なウェハに従来の方法を用いて得られたストリエーション像を示す図である。【符号の説明】1 ウェハ2 透明容器3 エッチング液4 光源 半導体結晶のストリエーションを露呈させるエッチングにおいて、酸化還元電位が2.0V(標準水素電極基準)以上であるエッチング液を用い、エッチング中に半導体のバンドギャップのエネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を照射しながらエッチングすることを特徴とする半導体結晶のストリエーション検知方法。 請求項1記載の半導体結晶のストリエーション検知方法において、上記エッチング液として、硫酸、過酸化水素及びフッ酸を含む液を用いることを特徴とする半導体結晶のストリエーション検知方法。 請求項1記載の半導体結晶のストリエーション検知方法において、上記エッチング液として、硫酸、過酸化水素及びオゾン水を含む液を用いることを特徴とする半導体結晶のストリエーション検知方法。 請求項1〜3のいずれかに記載の半導体結晶のストリエーション検知方法において、ストリエーションを検知する半導体がGaAs、半絶縁性GaAs、InP等のIII−V族化合物半導体であることを特徴とする半導体結晶のストリエーション検知方法。 【課題】従来のエッチング法を改善し、半導体結晶のストリエーションを容易、且つ簡便に顕在化させることのできる半導体結晶のストリエーション検知方法を提供すること。【解決手段】半導体結晶のストリエーションを露呈させるエッチングにおいて、酸化還元電位が2.0V(標準水素電極基準)以上であるエッチング液3を用い、エッチング中に半導体のバンドギャップのエネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を照射しながらエッチングする。【選択図】 図1


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