タイトル: | 公開特許公報(A)_リモネンの抽出方法 |
出願番号: | 2003194875 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C7/04,A61K7/06,A61K31/015,A61K35/78,A61P17/00,A61P17/14,C07C7/08,C07C7/10,C07C13/19,C11B9/02 |
奥田 俊男 中田 孝之 奥住 守彦 武富 良悟 小林 柾樹 野村 篤志 JP 2005029491 公開特許公報(A) 20050203 2003194875 20030710 リモネンの抽出方法 株式会社遠隔医療研究所 599088678 アルプス薬品工業株式会社 393031450 有限会社宮古沖縄アロエ研究所 503319009 鎌田 文二 100074206 東尾 正博 100084858 鳥居 和久 100087538 奥田 俊男 中田 孝之 奥住 守彦 武富 良悟 小林 柾樹 野村 篤志 7 C07C7/04 A61K7/06 A61K31/015 A61K35/78 A61P17/00 A61P17/14 C07C7/08 C07C7/10 C07C13/19 C11B9/02 JP C07C7/04 A61K7/06 A61K31/015 A61K35/78 K A61P17/00 A61P17/14 C07C7/08 C07C7/10 C07C13/19 C11B9/02 3 OL 7 4C083 4C088 4C206 4H006 4H059 4C083AA111 4C083AA112 4C083AD531 4C083AD532 4C083CC37 4C083CC38 4C083DD23 4C083DD27 4C083EE22 4C088AB62 4C088AC04 4C088BA08 4C088CA03 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA92 4C206AA01 4C206AA02 4C206BA04 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA83 4C206NA14 4C206ZA92 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB14 4H006AD11 4H006AD13 4H006AD16 4H006BB14 4H006BB15 4H006BC50 4H059BA02 4H059BC23 4H059CA12 4H059CA18 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、リモネンの抽出方法およびこの方法で得られるリモネン含有外用剤の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】リモネン(Limonene、1,8(9)−p−メンタジエン)は、モノテルペン系炭化水素であり、そのエナンチオマーd−R体は、オレンジ様の香りを発するものであることが知られている。【0003】また、このようなリモネンは、柑橘類の果皮油の大部分を占める精油成分であり、食品用着香剤として利用できるほか、各種の機能性成分を有し、たとえば中枢神経の興奮を沈静化する作用や、発癌抑制作用なども認められ、また、男性ホルモンであるテストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素5α−リダクターゼを阻害する作用があり、すなわち男性ホルモンによる副作用を抑制する頭皮発毛剤や前立腺肥大予防薬としての使用形態もある。【0004】医薬以外に工業的なリモネンの用途としては、工業的印刷の前に行われる脱脂の際に用いる溶媒、電子および印刷工業での洗浄、塗料の溶媒などであり、またリモネンは、食品香料や芳香性の食品添加物、家庭用の洗浄剤、香料にも利用されている。【0005】このようなリモネンは、植物果実である柑橘類に含まれており、これを含有する植物からの抽出物としては、ライム油、レモン油、オレンジ油、マンダリン油、ベルガモット油、カラウェー油、ウイキョウ油等があげられる。(例えば、特許文献1参照。)。【0006】ところで、我国では香酸柑橘類として、レモンの他、ユズ、スダチ、カボス、金柑などが知られているが、四季橘(しききつ)(学名:シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis))と呼ばれる植物は、四季なり金柑とも呼ばれているが、主として観賞用の植物である。【0007】また、四季橘は、フィリピン、マニラ、タイなどの東南アジア地域の原産地では、カラマンシ(英名:カラモンディン)と呼ばれ、ライムの代用に広く食されている。【0008】【特許文献1】特開2000−282099号公報(段落[0028]、第2文)【0009】【発明が解決しようとする課題】しかし、カラマンシは、外国で食品として知られており、また我国では観賞用植物として利用されているが、その用途は食品および観賞用に限られており、その特定成分の有効利用は図られていなかった。【0010】また、上記したリモネン抽出用の植物果実の含有量はあまり高くなく、特に抽出と濃縮工程に要する技術と所要時間が不適当であるため、製造効率が悪いという問題点があった。【0011】そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、リモネンを製造する工程を改良し、特に原料からの抽出と高濃度化工程をできるだけ効率よく行ない、より簡易かつ確実な方法で高濃度のリモネンを製造することである。【0012】【課題を解決するための手段】本願の発明者らは、我国では食品として利用価値が乏しく、外国でも食品以外には利用されていなかった果実して、シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果実に着目し、その成分を調べたところ、予想を越える高濃度のリモネンを含有するものであることを発見し、この発明を完成させたのである。【0013】換言すれば、上記したリモネンを簡易かつ確実に製造するという課題を解決するために、この発明は、シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮を抽出原料として、分別蒸留(例えば還流循環もしくは常圧蒸留)または有機溶剤による抽出により精油成分を分取することからなるリモネンの抽出方法としたのである。【0014】この発明のリモネンの抽出方法では、抽出原料として用いるシトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮に、4400ppm程度という高濃度のリモネンが含有されており、この濃度は通常の温州みかんに含まれているリモネン濃度400ppmの11倍、バレンシアオレンジ550ppmの12.6倍、レモン950ppmの4.6倍、スウィーティー1200ppmの3.7倍という高濃度の含有量であるために、従来製法における濃縮工程が大幅に簡略化される。【0015】分別蒸留(例えば還流循環もしくは常圧蒸留)または有機溶剤による通常の抽出工程によって、精油成分を従来の3.7〜11倍という高濃度にしたリモネンを簡単かつ確実に分取することができる。【0016】このように高濃度のリモネンを簡単かつ確実に分取する際には、シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮を抽出原料とし、還流循環または常圧蒸留により得られた留出液を分離し、精油成分を分取することが好ましい抽出方法である。【0017】上記の抽出方法によれば、油溶性抽出物にリモネンは高濃度に含まれるから、シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮の油溶性抽出物を有効成分として含有する外用剤は、希釈または低倍率の濃縮により簡単に所要濃度のリモネンを含有させることができ、外用剤の製造効率は向上する。【0018】また、外用剤は、必要に応じてリモネンを高濃度に含む油溶性抽出物を配合するだけで確実にリモネンの作用が発揮され、たとえば、男性ホルモンによる副作用を抑制する頭皮用発毛作用などが奏される。【0019】【発明の実施の形態】この発明に用いるシトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)は、フィリピン等の原産地名をカラマンシ(またはカナマンシ)、英名をカラモンディン(calamondin)、日本名は四季橘と呼ばれる四季咲き性の柑橘類であり、春夏秋冬に花をつけ結実する多年生植物である。その果実は、柔軟多汁で酸味が多いため、我国では食用に適さないとされており、直系の大きさは、2〜3cmで金柑に似ており、四季なり金柑とも別称される。【0020】このシトロフォチュネラ ミチス(以下、カラマンシと称する。)の果皮を原料として、リモネンを分離するには、抽出効率を上げるために果皮を細かく粉砕し、これを分別蒸留または有機溶剤による抽出処理して精油成分を分取することが好ましい。【0021】有機溶剤を用いてリモネンを抽出するには、アルコール類(エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等)の他、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、イソプロピルエーテルなどの周知の有機溶剤を抽出溶剤に用いて分離し、水層部分と油層部分のうち、後者からリモネンを含む液体を分離すればよい。【0022】そのような分離操作は、好ましくは抽出液を蒸留すると共に、蒸発した溶媒はエバポレーターを用いて取り除けばよい。【0023】有機溶剤は、前記のいずれを用いてもよいが、分液状態はあまり良好でないので、通常、振とう機で30分程度振とうし、その後に1時間程度(n−ヘキサンを溶剤に用いた場合)放置するか、または3日間(エタノールを溶媒に用いた場合)程度の時間をかけて放置した後で、吸引ろ紙ろ過を行なう。この吸引ろ過は、速やかに行なうことが困難である場合もあるが、その場合は所要の時間をかけて徐々に行なう。【0024】無溶媒で分離する方法としては、加熱還流による閉鎖系の蒸留システムである還流循環方法または常圧蒸留によって留出液を分離する方法を採用できる。【0025】図1に工程を示すように、加熱による還流循環では、定法である精油定量装置(日局)を用いた方法を採用することができ、ホットプレートなどで加熱すると共に、2時間程度を目安に還流循環させ、分離した精油状成分から留出液を取り、イソプロピルエーテルなどで抽出される成分を回収する。【0026】また、図2に工程を示すように、常圧蒸留では、約90%留出液を取って分離し、前記同様にイソプロピルエーテルで抽出し、精油分を回収した。【0027】また、この発明のリモネン含有外用剤の例としては、シャンプー、化粧水、乳液、クリームその他の化粧品、薬用育毛剤などの医薬品や医薬部外品などが挙げられるが、その他にもリモネンの男性ホルモンによる副作用抑制性などの有効性が発揮される用途であれば周知の外用剤に対して例外なく適用できる。たとえばシャンプーに添加する場合には、通常のシャンプーを主成分として、カラマンシ抽出液を0.5mg〜200mg/l程度配合することが好ましい。この場合における配合量が0.5mg/l未満の少量では、脱毛防止や発毛促進などの作用が弱く、200mg/lを越える多量では、皮膚に対する刺激性が現れて好ましくない。【0028】【実施例】シトロフォチュネラ ミチスの果皮500gの粉砕物を抽出原料とし、精油定量装置(日局)を用い、ホットプレートで加熱しながら2時間の還流循環を行なって、精油状部分2.75gを分離した。【0029】また、還流により分離されなかった水性部分を1時間常圧で蒸留し、360.3g(360ml)の留出液を得て、これを100mlのイソプロピルエーテルで2回抽出し、これを45〜50℃、20〜12Kpaで濃縮し、振とう機で30分振とうさせた後、室温で1晩放置し、溶媒留出後の温度を15〜25℃、12〜3Kpaに保ち、計0.06gの精油成分を得た。このようにして還流循環および常圧蒸留により得られた精油成分は、合計2.81gであった。【0030】また、得られた精油成分をガスクロマトグラフィーにより調べ、そのチャートを図3に示し、標準品と実施例(表4中にD−2の記号で示す。)のテルペン類物質の保持時間(Retention Time)を比較して含有成分および含有量を調べた結果を図4に示した。【0031】図4の結果からも明らかなように、実施例の抽出方法によって得られたカラマンシ抽出液(精油)中には、リモネンが高濃度で含まれていることがわかる。【0032】ガスクロマトグラフ質量分析法によって、カラマンシのリモネン濃度を計算したところ、4400ppmであった。【0033】次に、抽出されたリモネンを着香料または有効成分として配合してリモネン含有のシャンプーを製造した。【0034】すなわち、通常のシャンプー液に、実施例の抽出方法で得られたカラマンシ抽出液を1mg/lの割合で配合し、脱毛予防または発毛促進用のシャンプーを製造した。【0035】このようにして得られたシャンプーは、使用時に所定濃度のリモネンが頭皮などに作用して、5α−リダクターゼの活性を阻害し、テストステロンが活性型テストステロン(DHT)に変換され難くなり、そのために皮脂腺が刺激されず皮脂量が少なくなると共に、細胞のエネルギー発生源であるアデニルサイクラーゼが活発に働くので、毛髪の発育が良好になる。【0036】【発明の効果】この発明は、以上説明したように、4400ppm程度にもなる高濃度のリモネンを含有するシトロフォチュネラ ミチスの果皮を抽出原料とし、還流循環もしくは常圧蒸留による分別蒸留または有機溶剤による抽出によって、精油成分を分取するリモネンの抽出方法としたので、従来法における濃縮工程が大幅に簡略化されて、原料からの抽出と高濃度化工程が効率よく行なえ、簡易かつ確実な方法で高濃度のリモネンを抽出して得ることができる。【0037】また、従来法におけるリモネンの濃縮工程が簡略化されて、原料からの抽出と高濃度化工程を効率よく行なえるようになり、得られたリモネンを着香料または有効成分として配合すれば、簡易かつ確実に高濃度のリモネン含有の外用剤を製造できる。【図面の簡単な説明】【図1】還流循環による無溶媒分離法の工程図【図2】常圧蒸留による無溶媒分離法の工程図【図3】実施例で得た成分のガスクロマトグラフによるチャートの図表【図4】標準品と実施例のテルペン類物質の含有成分を示す図表 シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮を抽出原料とし、分別蒸留または有機溶剤による抽出により精油成分を分取することからなるリモネンの抽出方法。 シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮を抽出原料とし、還流循環または常圧蒸留により得られた留出液を分離し、精油成分を分取することからなるリモネンの抽出方法。 請求項1または2に記載の方法でリモネンを抽出し、これを着香料または有効成分として配合するリモネン含有外用剤の製造方法。 【課題】リモネンを製造する工程を改良し、特に原料からの抽出と高濃度化工程をできるだけ効率よく行ない、より簡易かつ確実な方法で高濃度のリモネンを製造することである。【解決手段】シトロフォチュネラ ミチス(Citrofortunella mitis)の果皮を抽出原料として、還流循環または常圧蒸留による分別蒸留、または有機溶剤による抽出により精油成分を分取することからなるリモネンの抽出方法とする。抽出原料の果皮に、4400ppm程度という高濃度のリモネンが含有されており、従来の3.7〜11倍という高濃度にしたリモネンを簡単かつ確実に分取することができるので、従来製法における濃縮工程が大幅に簡略化される。【選択図】 なし