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タイトル:公開特許公報(A)_マグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法
出願番号:2003194225
年次:2005
IPC分類:7,G01N21/35


特許情報キャッシュ

齋藤 吉俊 後藤 潔 藤岡 裕二 JP 2005030820 公開特許公報(A) 20050203 2003194225 20030709 マグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法 新日本製鐵株式会社 000006655 八田 幹雄 100072349 野上 敦 100102912 奈良 泰男 100110995 齋藤 悦子 100111464 宇谷 勝幸 100114649 藤井 敏史 100124615 齋藤 吉俊 後藤 潔 藤岡 裕二 7 G01N21/35 JP G01N21/35 Z 6 1 OL 11 2G059 2G059AA05 2G059BB08 2G059EE02 2G059EE12 2G059HH01 2G059HH06 2G059JJ01 2G059MM12 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、RH,DH等の二次精錬炉、溶鋼鍋,転炉、溶銑予備処理ランス等に使用されるマグネシア含有不定形耐火物を使用する技術において、水酸化マグネシウムの生成量を事前に予測し、マグネシアの水和による乾燥中の亀裂発生を抑制するための評価方法に関するものである。【0002】【従来の技術】マグネシアは高耐火性、高塩基度スラグに対する高耐食性などの優れた性質を有するため、不定形耐火物を構成する原料にも広く用いられている。しかしながら、マグネシアを不定形耐火物に使用した場合、その施工体の乾燥時には高温・高圧下の水蒸気にさらされ、マグネシアは水と容易に反応(MgO+H2O→Mg(OH)2)して体積膨張し亀裂発生や劣化を招くことがあるため、その水和特性は不定形耐火物の性能に大きな影響を与えやすい。実際、マグネシアを含む不定形耐火物は、養生や乾燥過程においてマグネシアの水和反応に伴う体積膨張が起因で物性の低下や亀裂の発生が起き、窯炉の寿命の低下を招くことがある。【0003】一般にマグネシア含有不定形耐火物の消化試験は非特許文献1に準じて、耐消化性、水和の評価を行ってきた。この方法は、オートクレーブ(高温・高圧容器)で消化試験を行ったあとの圧縮強度を測定して、それらの値から消化に伴う圧縮強度の低下率を算出して評価する方法である。さらに、オートクレーブ試験後の亀裂や崩壊状態の観察、オートクレーブ試験前後の線変化率の測定等で行ってきた。【0004】しかしながら、これらの評価方法で顕著な差異が認められるような場合、実際にはかなり大きな亀裂発生を招くケースが多く、実際には、これらの評価方法では差異が認められないような場合でも、亀裂発生の有無や亀裂の程度に差が見られることが多かった。また、生成する量的な問題から、マグネシアの水和物をX線回折で検出することが極めて困難であり、亀裂の発生とマグネシアの水和の定量的な関係を把握することは困難であった。【0005】さらに、不定形耐火物中のマグネシウムの分析方法としては、化学分析による方法のほか、蛍光X線分析法、電子線マイクロアナライザーによる方法などが知られているが、これらの方法ではマグネシウムの形態(酸化物、水酸化物、炭酸塩等)を調べることはできなかった。またマグネシウムの形態を調べる方法としては、X線回折による方法が知られているが、X線回折では結晶性が低いと検出できないという問題があった。【0006】このように、実機の不定形耐火物をライニングした大型窯炉の状況を十分に反映したものではなかった。そのため、実機での亀裂を予測できるような評価方法の確立が求められてきた。【0007】【非特許文献1】JIS−R2211の「塩基性耐火れんがの消化性の試験方法」【0008】【発明が解決しようとする課題】従来の不定形耐火物の耐消化性の評価方法では、実機での亀裂発生を予測することが極めて困難であることが明らかになった。本発明は、上記のような点を鑑みて、マグネシアの水和反応を適切に抑制し、実機における不定形耐火物の消化による劣化を抑制することを可能にする評価方法を提供するものである。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水熱処理による消化試験後の試料の赤外線吸収スペクトルより、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積から、試料中の水酸化マグネシウム量を推定することができ、この水酸化マグネシウム量からマグネシア含有不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測できることを突き止め、この知見をもとに本発明を完成したものである。【0010】本発明の要旨とするところは、以下の通りである。【0011】(1)水硬性のマグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、試料中の水酸化マグネシウム量を推定し、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とするマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【0012】(2)マグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、予め測定した水酸化マグネシウムの検量線から、概試料中の水酸化マグネシウム量を求め、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とする前記(1)記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【0013】(3)マグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料に既知物質を内部標準試料として添加して、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積と内部標準試料の特性吸収帯のピーク高さ又はピーク面積との比較から水酸化マグネシウム量を推定し、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とする前記(1)記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【0014】(4)マグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、他の波数領域に観測される不定形耐火物成分の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積との比較から水酸化マグネシウム量を推定し、劣化・亀裂発生を予測することを特徴とする前記(1)記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【0015】(5)消化試験を110℃以上170℃以下、飽和水蒸気圧0.14MPa以上0.8MPa以下、3時間以上60時間以下で行うことを特徴とする前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【0016】(6)消化試験後の試料中の水酸化マグネシウム量が0.5質量%以下の時に劣化・亀裂発生なしと予測することを特徴とする前記(1)から(5)のいずれか1項に記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【0017】なお、耐火物中に水酸化マグネシウムが生成すると、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に起因する吸収帯が波数約3698cm−1に観測される。吸収帯の波数は、測定装置の分解能条件、共存する成分などによって変動するが、変動範囲は一般的な測定条件である分解能4cm−1では±2cm−1程度である。【0018】【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細を説明する。【0019】赤外分光分析法は、試料に赤外線を照射し、分子振動のうち、双極子能率の変化を起こす振動に起因する吸収スペクトルを測定する方法で、有機化合物に対する官能基の定性及び定量分析、芳香族置換体の分析、高分子化合物の分析、一部無機化合物の分析に広く用いられている。水酸化マグネシウムの赤外線吸収スペクトルには、3698cm−1付近に水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する、鋭い吸収帯が観測される。約3698cm−1の吸収帯は水酸化マグネシウム固有のもので、例えば水酸化カルシウムのO−H伸縮振動は約3643cm−1に観測され、水酸化アルミニウムはスペクトルパターンが全く異なる。このように、最大吸収波数、吸収帯の数や強度比、吸収帯の半値幅などのスペクトルパターンから化合物の定性分析が行われる。一方、定量分析は吸収帯の強度がLambert−Beerの法則に従うことを利用する。【0020】log(I0/I) =act (1)ここでI0は照射(基準)光量、Iは透過(試料透過)光量、log(I0/I)は吸光度(常用対数)、aはモル吸光係数、cは濃度[質量%]、tは光路長[cm]を示す。【0021】モル吸光係数aは各吸収帯固有の係数で、一定である。光路長tは、固体試料測定の場合、試料量を意味するため、あらかじめ試料量を測定しておけば、既知となる。すなわち、吸収帯の強度を吸光度で測定すれば、その強度と濃度は比例関係となる。吸収帯の強度はピーク高さ、またはピーク面積の何れを用いても良い(前記(1)に係る本発明)。【0022】不定形耐火物のような固体試料の赤外線吸収スペクトル測定法としては、試料を粉末とし、その粉末試料の一定量を赤外線に透明な臭化カリウムや塩化ナトリウム、塩化カリウムなどと混合して加圧・成型する錠剤法、試料粉末と上記赤外線透明材料を混合して赤外線を照射し、拡散反射される赤外線を分光する拡散反射法、測定する吸収帯に影響を与えない吸収スペクトルを持つ液体(例えば流動パラフィンなどの炭化水素)と試料を混合してペーストを作り、ペーストを赤外線透過窓材に塗付、あるいは2枚の赤外線透過窓材で挟んで測定する液膜法があるが、錠剤法が最も簡便で、定量性も良い。一般的な錠剤法は、試料と臭化カリウムを粉砕・混合して加圧・成型する。試料と臭化カリウムの量は、13mmφ程度の大きさの錠剤を成型する場合、臭化カリウム約300mgに対し、試料量0.1から10mg程度が良いが、錠剤の大きさ、試料中の測定する成分量、吸収帯のモル吸光係数などによって比率を変えても良い。【0023】吸収帯の強度から水酸化マグネシウム量を求めるには、上記のほかに、▲1▼あらかじめ試薬の水酸化マグネシウムを用いて、試薬量とO−Hに基因する吸収帯の強度から検量線を作成しておき、次に一定量の試料を秤量して、その赤外線吸収スペクトルを測定し、試料中の水酸化マグネシウムに基因するO−H吸収帯の強度を算出し、検量線からこの吸収帯強度に相当する水酸化マグネシウム量を求め、試料の不定形耐火物の重量に占める割合を算出する検量線法(前記(2)に係る本発明)、▲2▼既知の他物質を内部標準として一定量添加し、水酸化マグネシウムのO−H吸収帯の強度と内部標準との強度比から定量する内部標準法(前記(3)に係る本発明)、▲3▼不定形耐火物の構成成分で、水酸化マグネシウムのO−H吸収帯と波数位置の異なる吸収帯を利用し、その強度と水酸化マグネシウムのO−H吸収帯の強度比から求める方法(前記(4)に係る本発明)などがあるが、検量線法が最も精度が良い。【0024】次に水酸化マグネシウム量を求める方法を具体的に述べる。水熱処理による消化試験を行ったマグネシア含有不定形耐火物を粉砕し、その一定量を秤量して赤外線吸収スペクトルを測定する。赤外吸収スペクトルの測定法は、前記の赤外線に透明な臭化カリウムや塩化ナトリウム、塩化カリウムなどと混合して加圧・成型する錠剤法、試料粉末と上記赤外線透明材料を混合して赤外線を照射し、拡散反射される赤外線を分光する拡散反射法、測定する吸収帯に影響を与えない吸収スペクトルを持つ液体(例えば流動パラフィンなどの炭化水素)と試料を混合してペーストを作り、ペーストを赤外線透過窓材に塗付、あるいは2枚の赤外線透過窓材で挟んで測定する液膜法の何れでも良い。消化試験後のマグネシア含有不定形耐火物中に水酸化マグネシウムが生成すると、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する吸収帯が波数約3698cm−1に観測される。吸収帯の強度は、Lambert−Beerの法則に従うため、この吸収態の強度を測定すれば、一定試料量であれば試料間で水酸化マグネシウム量の比較ができ、試料中の水酸化マグネシウム量を推定することができる。あるいは、予め測定した水酸化マグネシウムの検量線から、概試料中の水酸化マグネシウム量を求めても良い。また、試料に既知物質を内部標準試料として添加して、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積と内部標準試料の特性吸収帯のピーク高さ又はピーク面積との比較から水酸化マグネシウム量を求めても良い。さらに、他の波数領域に観測される不定形耐火物成分の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積との比較から水酸化マグネシウム量を推定しても良い。他の波数領域として、4000〜3800cm−1および3600cm−1〜590cm−1の何れかを使用することができる。【0025】以上のような方法により、水熱処理による消化試験を行ったマグネシア含有不定形耐火物中の水酸化マグネシウム量を測定することができ、劣化・亀裂発生を好適に予測することができる。【0026】図1に水熱処理による消化試験を行ったマグネシア含有不定形耐火物(化学組成:Al2O3=90質量%,MgO=7質量%)と、試薬の水酸化マグネシウムの赤外吸収スペクトルを示す。マグネシア含有不定形耐火物の試料量は1.0mg、水酸化マグネシウムは0.5mgで測定し、スペクトルを0.01mg相当に換算した。消化試験を行ったマグネシア含有不定形耐火物中には、水酸化マグネシウムと一致する、約3698cm−1の吸収帯が観測される。この吸収帯の強度から消化試験後のマグネシア含有不定形耐火物中の水酸化マグネシウム量を算出すると、約1.3質量%と推定される。【0027】消化試験後のマグネシア含有不定形耐火物で観測される約3698cm−1の吸収帯が、水酸化マグネシウムのものかどうかを検証するために、「鉄と鋼」(第88巻(2002)、第9号、P507−512)に示される高温赤外分光法で吸収帯の温度変化を観測した。図2に消化試験後のマグネシア含有不定形耐火物、図3に水酸化マグネシウム(試薬)の高温赤外吸収スペクトルを示す。水酸化マグネシウムは、加熱すると脱水して酸化マグネシウムとなることから、約3698cm−1の吸収帯が水酸化マグネシウムのO−H吸収帯であるならば、脱水に伴って、約3698cm−1の吸収帯は消失するはずである。消化試験後のマグネシア含有不定形耐火物と試薬の水酸化マグネシウムの高温赤外吸収スペクトルを測定し、約3698cm−1の吸収帯強度の温度変化を検討した結果、耐火物、試薬とも約3698cm−1の吸収帯強度の温度変化は一致し、約300℃から強度が減少し始め、約400℃で消失した。【0028】消化とは、原材料が水や水蒸気と反応して水酸化物を生成する現象すなわち水和現象であり、酸化物から水酸化物変化する際の体積膨張から亀裂や欠陥の発生、崩壊を招くことがある。例えば、酸化マグネシウムの水和反応で水酸化マグネシウムができるときには、約2.2倍の体積膨張をおこす。【0029】オートクレーブによる消化試験の方法は、基本的にはJIS−R2211に準ずる。消化試験の温度や時間は、材料の種類、窯炉のライニング厚みや乾燥設備に応じて、実機を反映する最適な条件を探索して決定すべきであり、特に限定するものではない。一般的には、温度110〜170℃程度、圧力0.14〜0.8MPa、3〜60時間程度の保持を行うことが多い。これよりも、温度が高い場合あるいは長時間の試験を行う場合、Mg(OH)2の生成量が多くなり、試料の崩壊が激しく、相互比較が困難な場合がある。また、温度が低すぎる場合あるいは短時間の試験では、ほとんど水和反応が進まないため、やはり相互の比較が困難になる。【0030】水熱処理試験の方法として、この他にも、鋳込み成形したブロックを乾燥機や恒温槽中に保持して、現れる亀裂の程度や線変化率で耐消化性の判定基準とする方法もある(「耐火物」,41,690,(1980))。さらに、「耐火物」(42,9,488〜493(1990))等のように、一度に多くのサンプルを同時におさめて能率よくかつ精度面でも優れた消化試験方法が提案されており、いずれの水熱処理試験を用いても構わない。【0031】本発明の対象とする不定形耐火物は、マグネシア−ライム質、アルミナ−マグネシア質、粘土質、ろう石質、マグネシア質、マグネシア・クロム質、ドロマイト質、マグネシア・カーボン質、アルミナ・カーボン質、アルミナ・炭化珪素・カーボン質、アルミナ・マグネシア・カーボン質など、微量でもマグネシアを含有するものであれば、限定するものではない。水硬性とは、主にアルミナセメントのような水和反応によって硬化する結合材を用いたもので、1質量%程度の少量でも水を添加することで硬化が促進されるものであれば、いずれでもよく特に限定するものではない。施工法も流し込み、こて塗り、吹き付け、振動施工、打ち込み、圧入等のいずれに用いられるものでも構わない。化学組成や形状も特に規定しない。【0032】不定形耐火物又はプレキャストブロックの施工水分量は、特に限定するものではないが、3質量%未満では流動性が不足し施工が困難である。8質量%を超えると、乾燥後の気孔率が高く、実炉における耐用性が不十分になる。したがって、水分量を3〜8質量%とすることが好ましい。【0033】【実施例】以下に本発明を実施例によって説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。溶鋼鍋の壁を対象として評価を行った。溶鋼鍋の一般壁用のアルミナ−マグネシア質キャスタブルを使用した。耐消化すなわちマグネシアの水和抑制対策として,シリカ0.02〜0.15質量%をマグネシアにコーティングし、亀裂発生への影響を比較した。これらの材料の主要な組成を表1に示す。シリカのコーティング方法は、「耐火物」(47,599−600〔12〕(1995))に記載の方法に従い、マグネシアクリンカーを回転式混合装置に装入し、有機溶媒で希釈した有機シリカ化合物の溶液を添加、混合装置内で均質に表面に付着させた後、150℃に設定した恒温槽で加熱処理を行い、コーティング層を安定化させた。施工水分量は6%である。試験用の試料のサイズは40×40×160mm、養生は20℃で24時間、混練時の温度及び水温は15℃である。オートクレーブによる消化試験は125℃で15時間行った。【0034】本発明であるオートクレーブ試験後試料の赤外分光分析のほかに、比較例として、オートクレーブ試験前後での線変化率の測定を併せて実施した。線変化率の測定は、JIS−R2208に準じて行った。【0035】これらの材料を実機の溶鋼鍋に適用し、ガスバーナーで乾燥を行った後の亀裂状況を調査した結果も表1に併せて示す。【0036】【表1】【0037】従来まで行ってきた比較例の線変化率の評価では、マグネシアの水和抑制剤の量が異なる試料A〜Dの間でほとんど差は認められなかった。しかしながら、実機で溶鋼鍋壁の乾燥後の状況を見ると、試料A及びBをライニングした場合には幅5mm程度の亀裂が全周にわたって認められ、溶鋼やスラグが浸透する可能性が高く、使用上好ましくなかった。【0038】これに対して、試料A及びBよりもマグネシアの水和抑制剤の量が多く添加された場合を見ると、試料Cでは幅1mm以下程度の微亀裂、試料Dではほとんど亀裂は認められず良好であった。このように、ラボのオートクレーブ試験前後の線変化率を用いた亀裂発生予測方法では、実機での亀裂発生を予測することができなかった。【0039】次に、本発明の赤外分光分析を用いた評価法の適用を試みた。オートクレーブ試験後試料の赤外分光分析のスペクトルを見ると、試料A及びBでは、3698cm−1付近に鋭いピークが認められ、マグネシア→水酸化マグネシウムの水和が進んでいることが明らかになった。一方、試料A及びBよりもマグネシアの水和抑制剤の量が多く添加された試料C及びDの赤外分光分析のスペクトルを見ると、3698cm−1付近に明瞭なピークは認められなかった。したがって、試料A及びBと比べると、マグネシア→水酸化マグネシウムの水和反応が進んでいないことがわかった。実際に、実機で溶鋼鍋壁の乾燥後の状況を見ると、赤外分光分析で水酸化マグネシウムに相当する3698cm−1付近に鋭いピークが認められた試料A及びBでは顕著な亀裂が認められたのに対し、3698cm−1付近に顕著なピークが認められなかった試料C及びDではほとんど亀裂は認められず、本発明の赤外分光分析のピークに基づいた亀裂発生予測方法が従来法に比べて有効であることが明らかになった。【0040】【発明の効果】本発明により、マグネシアを含む不定形耐火物の耐消化性を高精度に評価することが可能になった。【図面の簡単な説明】【図1】は、水熱処理による消化試験を行ったマグネシア含有不定形耐火物と、試薬の水酸化マグネシウムの赤外吸収スペクトルを示す図面である。【図2】は、消化試験後のマグネシア含有不定形耐火物の高温赤外吸収スペクトルを示す図面である。【図3】は、水酸化マグネシウム(試薬)の高温赤外吸収スペクトルを示す図面である。 水硬性のマグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、試料中の水酸化マグネシウム量を推定し、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とするマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。 マグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、予め測定した水酸化マグネシウムの検量線から、概試料中の水酸化マグネシウム量を求め、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とする請求項1記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。 マグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料に既知物質を内部標準試料として添加して、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積と内部標準試料の特性吸収帯のピーク高さ又はピーク面積との比較から水酸化マグネシウム量を推定し、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とする請求項1記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。 マグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、他の波数領域に観測される不定形耐火物成分の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積との比較から水酸化マグネシウム量を推定し、劣化・亀裂発生を予測することを特徴とする請求項1記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。 消化試験を110℃以上170℃以下、飽和水蒸気圧0.14MPa以上0.8MPa以下、3時間以上60時間以下で行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。 消化試験後の試料中の水酸化マグネシウム量が0.5質量%以下の時に劣化・亀裂発生なしと予測することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。 【課題】マグネシアの水和反応を適切に抑制し、実機における不定形耐火物の消化による劣化を抑制する。【解決手段】水硬性のマグネシア含有不定形耐火物の水熱処理による消化試験を行い、試験後の試料の赤外線吸収スペクトルを測定し、水酸化マグネシウムのO−H伸縮振動に基因する波数約3698cm−1の吸収帯のピーク高さ又はピーク面積に基づいて、試料中の水酸化マグネシウム量を推定し、前記不定形耐火物の劣化・亀裂発生を予測することを特徴とするマグネシア含有不定形耐火物の耐消化性評価方法。【選択図】 図1


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