タイトル: | 公開特許公報(A)_蒸留装置の制御方法 |
出願番号: | 2003193553 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,B01D3/42,C07C7/04,C07C15/08 |
橋本 祐樹 赤松 耕二 高橋 勝彦 JP 2005028224 公開特許公報(A) 20050203 2003193553 20030708 蒸留装置の制御方法 三菱化学株式会社 000005968 鎌田 文二 100074206 東尾 正博 100084858 鳥居 和久 100087538 橋本 祐樹 赤松 耕二 高橋 勝彦 7 B01D3/42 C07C7/04 C07C15/08 JP B01D3/42 C07C7/04 C07C15/08 2 1 OL 7 4D076 4H006 4D076AA13 4D076AA22 4D076AA24 4D076BB03 4D076EA04Y 4D076EA05Y 4D076EA15Y 4D076EA17Y 4D076FA04 4D076FA12 4D076FA16 4D076HA11 4D076JA03 4H006AA02 4H006AD11 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、蒸留装置を安定して運転するための制御方法に関するものである。【0002】【従来の技術】蒸留装置の一例を、この発明の一実施形態を示す図1を参照して説明すると、蒸留塔1内にて高揮発分(低沸成分)を蒸発させて蒸留塔1上部から抜き出し、その抜き出した高揮発分の蒸気を熱交換器2により凝縮させて還流タンク(還流ドラム)3に貯蔵し、その一部を蒸留塔1内に流量制御弁4を介し還流して蒸留塔1内の蒸気と接触させて、揮発し易い成分と揮発しにくい成分(低沸成分と高沸成分)とに蒸留する。【0003】このとき、還流タンク3内の液相の一部は、流量制御弁5を介して、クエンチ塔などの次工程に所要量(留出量)が送られ、蒸留塔1下部からは高沸成分が排出され、その一部は熱交換器6を経て加熱された後、蒸留塔1内に戻されて熱源となる。また、高沸成分の一部は流量制御弁7を介して次工程に送られたり、燃料油とされる。図中、8は、各種の熱源からの熱媒体流量制御弁であり、その流量によって、前記蒸留塔1への熱量を制御する。9は、塔1への原料aの送り込み量制御弁である。【0004】このような蒸留装置において、安定した運転を行うには、蒸留塔1内部の液面(塔底液面)と還流タンク3の液面(還流ドラム液面)が所定の高さ(所定の液量)であることが必要である。【0005】従来、その両液面制御は、蒸留塔1への熱量(塔熱源)、還流タンク3から蒸留塔1への還流量及び高沸成分の次工程などへの排出量(缶出量)、蒸留塔1へのフィード量(原料送り込み量)、留出量のいずれか2つを用いて別々に制御している。例えば、塔底液面(蒸留塔内部液量)は塔熱源の熱量、缶出量及びフィード量の一つを操作変数として制御し、還流ドラム液面(凝縮液量)は留出量又は還流量を操作変数として制御している(特許文献1、2参照)。【0006】【特許文献1】特開平11−137901号公報 段落0006【特許文献2】特開2002−177701号公報 段落0002第8行乃至第13行【0007】この制御において、塔熱源、還流量、留出量、フィード量、缶出量と塔底液面、還流ドラム液面との間には、図3に示すように、相関関係に高低の差がある。例えば、塔熱源の熱量が増えれば、蒸発量が増加し、塔底液面が下がるとともに、還流ドラム液面が上昇する、などのように、塔熱源は塔底液面及び還流ドラム液面と相関関係が高い一方、 留出量は塔底液面、缶出量は還流ドラム液面とそれぞれ相関関係が低い。このため、一般には、 塔底液面を、還流ドラム液面に影響の少ない缶出量で制御し(缶出量を操作変数とし)、 還流ドラム液面を、塔底液面に影響の少ない留出量で制御している(留出量を操作変数としている)。【0008】【発明が解決しようとする課題】しかし、上記塔底液面及び還流ドラム液面を別個に制御する方法において、フィード量に対する缶出量が少ない場合には、その缶出量で塔底液面を有効に制御できず、すなわち塔底液面制御に缶出量を使えず、塔熱源又はフィード量を操作変数とせざるを得ない場合がある。この場合、フィード量は前工程の操業状態に影響されて、その調整が容易ではないうえに、塔熱源及びフィード量は、塔底液面と還流ドラム液面とに高い相関関係があるため、 それらでもって塔底液面を制御すると、還流ドラム液面も変動し、 その液面制御が困難となる。すなわち、安定な操業ができなくなる恐れがある。【0009】また、缶出量を次工程需要見合いで操作したい場合もあり、この場合にも、塔熱源又はフィード量で塔底液面を制御することとなる。しかし、フィード量及び塔熱源による制御は、上述のように、還流ドラム液面が変動し、安定した操業ができない恐れがある。【0010】このように、塔熱源、還流量、フィード量などを用いた塔底液面と還流ドラム液面の別々の制御では、塔底液面と還流ドラム液面は干渉し合って変動要因が多く、その変動を把握しにくく、適切に制御することが困難で、安定した操業を行い得ない。【0011】この発明は、このような実情の下、塔底液面と還流ドラム液面の同時制御を容易に行い得るようにすることを課題とする。【0012】【課題を解決するための手段】この発明は、図3において、装置全体の液滞留量(塔底液量と還流タンクの貯留液量を加えた量)は、塔熱源及び還流量に影響されにくいとともに、制御し易い留出量及び缶出量等により制御できて、その挙動を把握し易い点に鑑み、その液滞留量を制御変数とすることとしたのである。【0013】具体的には、蒸留塔内にて高揮発分を蒸発させて蒸留塔上部から抜き出し、その抜き出した高揮発分の蒸気を凝縮させて還流タンクに貯蔵し、その還流タンクの凝縮液の一部を前記蒸留塔内に還流して高揮発分からの蒸気と接触させる蒸留装置において、前記蒸留塔内部の液量(塔底液量)と前記還流タンク内の凝縮液量を加えた装置全体の液滞留量を所定の範囲とするとともに、蒸留塔内部の液量又は還流タンク内の液量を所定の範囲となるように制御することとしたのである。【0014】すなわち、図3において、液滞留量と相関関係の低い塔熱源又は還流量と、塔底液面又は還流ドラム液面の操作変数、好ましくは一方の制御変数と相関関係の低い、留出量又は缶出量で制御する。例えば、PX(パラキシレン)蒸留系において、缶出量が固定の場合は、下記1〜4の制御変数と操作変数を採用して、その液滞留量と還流ドラム液面又は塔底液面を所定の範囲内となるように制御することにより、塔底液面又は還流ドラム液面を間接的に制御する。【0015】1.制御変数:液滞留量、塔底液面、 操作変数:塔熱源、留出量還流量を操作変数として製品組成の間接的な指標である還流比(還流量/留出量)、あるいは塔頂温度も制御したい場合であり、一般的には塔熱源は液滞留量に対して相関が低く、留出量は塔底液面に対して相関が低いため、相互の干渉が抑えられ液面の制御がし易くなることを狙うこととなる。【0016】2.制御変数:液滞留量、還流ドラム液面、 操作変数:塔熱源、留出量還流量操作に関しては1と同様であり、1は理想的であるが、実プロセスにおいては、塔底部の液量は還流ドラムのそれよりも液量がずっと少なく、外乱(フィード量、フィード組成、熱源変動など)に対してより敏感であり、挙動の把握が難しいことが多い。このため、1の制御変数と操作変数の組合わせと比較すると、相互干渉という観点からすると劣るかもしれないが、還流ドラム液面のほうが挙動を把握しやすいことを重要視して制御を構成する場合に適したものとなる。後記の実施形態が相当する。【0017】3.制御変数:液滞留量、還流ドラム液面、 操作変数:還流量、留出量塔熱源の下限制約がある場合であり、PXの例では、加熱炉で燃料を燃焼させ、塔底流体と熱交換することで熱の供給を行っているが、運転ロードが低くなると、燃料を加熱炉へ供給するバーナーの下限能力にあたり、熱源を固定して運転せざるを得ない場合がある。このため、操作変数として塔熱源ではなく還流量を選択することがある。なお、塔熱源を操作し、塔底温度を制御したい場合も、この組み合わせとなる。【0018】4.制御変数:液滞留量、塔底液面、 操作変数:還流量、留出量塔熱源に関しては3と同様の場合であり、塔底液面の挙動を比較的把握しやすい時には、還流ドラム液面ではなく塔底液面を選択する方が、干渉が抑えられ良い。【0019】また、留出量が固定の場合(留出は次工程の反応器へフィード、缶出は製品となる場合など。)は、下記1、2の制御変数と操作変数を採用して、その液滞留量と還流ドラム液面を所定の範囲内となるように制御することにより、塔底液面を間接的に制御する。【0020】1.制御変数(液滞留量、還流ドラム液面)、操作変数(塔熱源、缶出量)上記2と同様の選定理由による。2.制御変数(液滞留量、還流ドラム液面)、操作変数(還流量、缶出量)上記3と同様の選定理由による。【0021】上記塔底液量と還流タンク内の凝縮液量は、適宜な手段により検出することができるが、最も簡便な、上記蒸留塔内部及び還流タンク内に設けた液面センサによって得るようにし得る。また、液滞留量、塔底液面及び還流ドラム液面の所定の範囲(幅)は、蒸留対象物、塔熱源の温度、フィード量変動(生産量変動)、塔熱源変動、蒸留塔底容量、還流ドラム容量などに基づき、実操業、実験でもって最適なものを選定する。【0022】【実施の形態】上述の図1に示す蒸留装置において、還流タンク3及び蒸留塔1下部にそれぞれ液面センサ11、12を付設し、その両センサ11、12に液滞留量センサ13を接続し、両液面センサ11、12からの検出値に基づき、液滞留量センサ13において、装置全体の液滞留量を算出する。この算出値(液滞留量)が所要範囲内の値、及び塔底液面又は還流タンク液面が所要範囲内の値となるように、塔熱源、還流量、留出量、フィード量、缶出量のいずれかを適宜に操作変数に採用して制御する。例えば、相互干渉を考慮した制御に好適である多変数制御演算装置を利用して、液滞留量と還流ドラム液面が所要範囲内の値となるように、塔熱源と留出量を操作変数として制御する。【0023】なお、液滞留量と塔底液面が所要範囲内の値となるように制御する場合には、塔熱源と留出量を操作変数とする。いずれの制御においても、塔熱源に代えて還流量を採用できる。【0024】この蒸留装置をPX蒸留系に適用し、図2に示すように、液面管理上下限値、液滞留量基準値を定めて操業したところ、液滞留量制御後には、塔底液面及び還流タンクの液面が管理範囲内に抑えられた。これにより、自動運転が可能となった。図中、OXはオルトキシレンである。【0025】なお、この発明は、PX蒸留系に限定されないことは勿論である。【0026】【発明の効果】この発明は、以上のように装置全体の液滞留量を制御変数としたので、蒸留装置の安定した操業を行うことができる。【図面の簡単な説明】【図1】一実施形態の概略図【図2】同実施形態による経過時間に対する塔底液面、還流タンク液面及び液滞留量の関係図【図3】操作変数の相関関係表【符号の説明】1 蒸留塔2 熱交換器3 還流タンク4、5、8、9 流量制御弁11、12 液面センサ13 液滞留量センサ 蒸留塔内にて高揮発分を蒸発させて蒸留塔上部から抜き出し、その抜き出した前記高揮発分の蒸気を凝縮させて還流タンクに貯蔵し、その還流タンクの凝縮液の一部を前記蒸留塔内に還流して前記高揮発分の蒸気と接触させる蒸留装置において、上記蒸留塔内部の液量と上記還流タンク内の凝縮液量を加えた装置全体の液滞留量を所定の範囲となるようにするとともに、前記蒸留塔内部の液量又は前記還流タンク内の液量を所定の範囲となるように制御することを特徴とする蒸留装置の制御方法。 上記蒸留塔内部の液量と上記還流タンク内の凝縮液量を、上記蒸留塔内部及び上記還流タンク内に設けた液面センサによって得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の蒸留装置の制御方法。 【課題】安定した操業を行う。【解決手段】蒸留塔1上部から抜き出した高揮発分の蒸気を凝縮させて還流タンク(ドラム)3に貯蔵し、その還流タンクの凝縮液の一部を前記塔内に還流して前記高揮発分の蒸気と接触させる。このとき、蒸留塔内部液量(液面)と還流タンク内の凝縮液量(液面)を加えた装置全体の液滞留量及び前記両液量の一方が所定の範囲となるように制御する。例えば、相互干渉を考慮した制御に好適である多変数制御演算装置を利用して、液滞留量と還流ドラム液面が所要範囲内の値となるように、塔熱源と留出量を操作変数として制御する。塔底液面と比較すると、液滞留量は塔熱源に影響されにくく、液滞留量と還流ドラム液面との干渉が抑えられるため、液滞留量と還流タンク液面を有効に制御でき、塔底液面も許容範囲内に収まって、安定した操業を行い得る。その蒸留塔内部の液量と還流ドラムの液量は、蒸留塔内部及び還流タンク内に設けた液面センサ11、12によって得る。【選択図】 図1