生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
出願番号:2003183205
年次:2005
IPC分類:7,C07C213/10,C07C67/03,C07C67/54,C07C213/06,C07C219/08,C07B61/00


特許情報キャッシュ

福井 友基 徳田 正徳 坂井 春夫 JP 2005015398 公開特許公報(A) 20050120 2003183205 20030626 (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 宮崎 昭夫 100123788 金田 暢之 100088328 伊藤 克博 100106297 石橋 政幸 100106138 福井 友基 徳田 正徳 坂井 春夫 7 C07C213/10 C07C67/03 C07C67/54 C07C213/06 C07C219/08 C07B61/00 JP C07C213/10 C07C67/03 C07C67/54 C07C213/06 C07C219/08 C07B61/00 300 7 OL 11 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC48 4H006AD11 4H006AD40 4H006AD41 4H006BA10 4H006BA11 4H006BA72 4H006BC10 4H006BC31 4H006BC34 4H006BC50 4H006BT12 4H006BU32 4H039CA66 4H039CD30 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとのエステル交換反応により目的の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法はよく知られている。ここで、原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがアクリル酸アルキルエステルである場合、アクリル酸エステルが製造され、一方、原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸アルキルエステルである場合、メタクリル酸エステルが製造される。このエステル交換反応では、触媒として、アルカリ金属化合物、チタンアルコキシド、有機スズ化合物などが用いられている。【0003】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとのエステル交換反応では、用いる触媒の種類、反応原料、反応条件によっては、アルキルアルコールの他にも副生物が生成する。このような副生物としては、原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや目的生成物の(メタ)アクリル酸エステルの二重結合部分に原料のアルコールや副生するアルキルアルコールが付加した、いわゆるマイケル付加物が挙げられる。【0004】下記一般式(I)で表されるエステル交換反応においては、【0005】【化1】下記一般式(1)〜(4)で表されるマイケル付加物が副生する場合がある。【0006】【化2】(一般式(I)、一般式(1)〜(4)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はアルキル基を表し、R3はアルキル基または下記一般式(5)で表されるアミノアルキル基を表す。)【0007】【化3】(一般式(5)中、R4、R5はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R7はアルキレン基を表す。)特に、触媒としてアルカリ金属化合物を用いた場合や、原料アルコールとしてアルキルアミノアルコールを用いた場合、すなわち上記一般式(I)で表されるエステル交換反応においてR3が上記一般式(5)で表されるアミノアルキル基である場合に、マイケル付加物は多く生成する傾向がある。【0008】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとのエステル交換反応において副生するマイケル付加物は、熱により(メタ)アクリル酸エステルとアルコールとに分解し、目的生成物である(メタ)アクリル酸エステルよりも沸点が低い低沸点の不純物となる。そのため、不純物としてマイケル付加物を含む(メタ)アクリル酸エステルを蒸留精製すると、マイケル付加物が分解反応を起こし、製品の純度を落としてしまうことがあった。【0009】特許文献1には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルキルアミノアルコールとのエステル交換反応により(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステルを製造する際に生成するマイケル付加物を触媒、具体的には、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素カリウム、リン酸三カリウム等により分解することを特徴とする(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステルの製造方法が開示されている。また、特許文献1には、触媒を添加する前に、原料である未反応の(メタ)アクリル酸エステルおよびアルキルアミノアルコールの含有率を蒸留によって1重量%以下としておくことにより、さらにマイケル付加物の分解反応を速やかに進ませることが可能となると記載されている。特許文献1の実施例においては、エステル交換反応後に蒸留を行い、次いで、触媒によるマイケル付加物の分解反応を行い、触媒を中和除去し、さらに、分解反応時に生成する分解物を留去させるための蒸留を行っている。特許文献1に記載の方法では、高純度の(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステルを簡便に製造することができるとは必ずしも言えない。また、(メタ)アクリル酸エステルは重合性が高いため、熱を加える必要がある蒸留やマイケル付加物の分解反応を行う時間は短いことが望ましい。さらに、マイケル付加物の分解反応が十分に進行していなければ、その後の蒸留中に分解反応が起こり、製品の純度が低下することもある。【0010】また、特許文献2には、アルキル(メタ)アクリレートとアルキルアミノアルコールとを触媒の存在下にエステル交換反応させてアルキルアミノ(メタ)アクリレートを生成させる反応工程(1)と、未反応のアルキル(メタ)アクリレートおよびアルキルアミノアルコールや触媒を分離する目的で、反応工程(1)で生成したアルキルアミノ(メタ)アクリレートを留出させる蒸留工程(2)と、軽沸点物分離塔で軽沸点成分を分離した後、精留塔でマイケル付加物等の高沸点副反応物を分解反応が起こらないような条件で分離することにより、蒸留工程(2)で得られた留出液を精留する精留工程(3)と、精留工程(3)で得られる缶出液中のマイケル付加物を熱分解させ、原料および/またはアルキルアミノ(メタ)アクリレートとして回収する回収工程(4)とを有するアルキルアミノ(メタ)アクリレートの製造法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、高純度の(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステルを簡便に製造することができるとは必ずしも言えない。また、(メタ)アクリル酸エステルは重合性が高いため、熱を加える必要がある蒸留やマイケル付加物の分解反応を行う時間は短いことが望ましい。【0011】また、特許文献3には、マイケル付加物の生成が少ない(メタ)アクリル酸エステルの製造方法として、原料としてアルキル(メタ)アクリレートと、炭素数3〜20のアルコールまたはフェノール類とを用い、ジアルキルスズオキサイドと目的の(メタ)アクリル酸エステルに対応する(メタ)アクリル酸とを接触させて得られる反応物の存在下でエステル交換反応させる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法が開示されている。【0012】【特許文献1】特開平6−271517号公報【特許文献2】特開平11−222469号公報【特許文献3】特開2001−187763号公報【0013】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルコール等の低沸点不純物の含有量が少ない、高純度の(メタ)アクリル酸エステルを簡便に製造する方法を提供することである。【0014】【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本発明により達成できる。【0015】▲1▼(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、(メタ)アクリル酸エステル(1)という。)とアルコールとのエステル交換反応により、目的の(メタ)アクリル酸エステル(以下、(メタ)アクリル酸エステル(2)という。)を製造する方法であって、エステル交換反応により得られた(メタ)アクリル酸エステル(2)を蒸留精製する前に、酸を添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0016】▲2▼前記酸が有機酸である前記▲1▼の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0017】▲3▼前記酸がカルボン酸である前記▲2▼の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0018】▲4▼前記(メタ)アクリル酸エステル(1)がアクリル酸アルキルエステルであり、前記酸がアクリル酸である前記▲3▼の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0019】▲5▼前記(メタ)アクリル酸エステル(1)がメタクリル酸アルキルエステルであり、前記酸がメタクリル酸である前記▲3▼の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0020】▲6▼前記酸の添加量が、(メタ)アクリル酸エステル(2)100質量部に対して、0.01〜1質量部である前記▲1▼〜▲5▼のいずれかの(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0021】▲7▼前記アルコールがアルキルアミノアルコールである前記▲1▼〜▲6▼のいずれかの(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。【0022】なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、常用されるように「アクリル」および「メタクリル」を意味する。また、原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)がアクリル酸アルキルエステルである場合、製造される(メタ)アクリル酸エステル(2)はアクリル酸エステルであり、一方、原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)がメタクリル酸アルキルエステルである場合、製造される(メタ)アクリル酸エステル(2)はメタクリル酸エステルである。【0023】本発明では、(メタ)アクリル酸エステル(1)とアルコールとのエステル交換反応により得られた(メタ)アクリル酸エステル(2)に酸を添加して蒸留する。エステル交換反応により得られた(メタ)アクリル酸エステル(2)には、不純物として、副生物であるマイケル付加物が含まれている。蒸留精製する前に酸を添加することにより、蒸留中のマイケル付加物の分解が抑制され、原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)、アルコールなど、目的生成物である(メタ)アクリル酸エステル(2)よりも沸点が低い低沸点成分(低沸点不純物)の含有量が少ない、高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。【0024】例えば、マイケル付加物の含有量が目的の(メタ)アクリル酸エステル(2)に対して1000〜2000ppmであった場合、酸を添加しないで蒸留精製する従来の方法では低沸点不純物の含有量が合計で700〜1500ppmになっていたのに対し、酸を添加して蒸留精製する本発明の方法では低沸点不純物の含有量をさらに低減できる。【0025】酸を添加することでマイケル付加物の分解が抑制される理由は明確ではないが、酸がエステル交換反応用触媒を変質させ、マイケル付加物の分解反応に対する触媒作用を低下させているためと推定している。【0026】しかも、本発明によれば、このような高純度の(メタ)アクリル酸エステルを簡便に製造することができる。また、(メタ)アクリル酸エステルは重合性が高い化合物であるが、本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステルの重合を十分に防止しつつ、高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。【0027】【発明の実施の形態】原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)は、原料アルコールとエステル交換反応するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが好ましく用いられる。【0028】本発明は、炭素数2〜20のアルコールを原料とするエステル交換反応に好適であるが、原料のアルコールは特に限定されず、目的とする(メタ)アクリル酸エステル(2)に応じて適宜決めればよい。【0029】原料のアルコールとしては、例えば、アルカノール類、アルコキシアルカノール類、アルケノキシアルカノール類、アルケノール類、フェノキシアルカノール類、シクロアルカノール類、アルキルシクロアルカノール類、シクロアルキルアルカノール類、フェニルアルカノール類、アルキルフェニルアルカノール類、ハロアルカノール類、シアノアルカノール類、アミノアルカノール類などが挙げられ、具体的には、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、トリデカノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、シクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、4−ターシャリーブチルシクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどが挙げられる。【0030】中でも、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノールなどのアルキルアミノアルコールを用いて反応を行う場合に、より高い本発明の効果が得られる。【0031】原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)と原料のアルコールとの仕込み混合比率は適宜決めることができる。通常、(メタ)アクリル酸エステル(1)の使用量は、目的生成物である(メタ)アクリル酸エステル(2)の生産性の点から、アルコール1モルに対して0.1モル以上が好ましく、0.3モル以上がより好ましく、また、アルコール1モルに対して10モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましい。本発明においては、原料アルコールとして多価アルコールを用いることもできるが、その場合、(メタ)アクリル酸エステル(1)の使用量は、上記の値に多価アルコールの価数を乗じた量とすることが好ましい。【0032】また、エステル交換反応を行っている間、原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)および/または原料のアルコールを適宜反応器内に添加することもできる。【0033】本発明においては、通常、触媒の存在下、(メタ)アクリル酸エステル(1)とアルコールとを反応させる。【0034】本発明において用いる触媒は特に限定されず、公知の触媒いずれも用いることができる。触媒としては、例えば、チタンアルコキシド等の有機チタン化合物、ジアルキルスズオキサイドなどの有機スズ化合物、強酸性イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。中でも、マイケル付加物の生成を抑制する点から、有機スズ化合物を用いることが好ましい。触媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。【0035】触媒の使用量は適宜決めることができるが、(メタ)アクリル酸エステル(1)とアルコールの総量100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、また、(メタ)アクリル酸エステル(1)とアルコールの総量100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。【0036】本発明においては、溶媒を使用してもよく、使用しなくてもよい。溶媒を使用する場合、副生するアルキルアルコールと共沸組成を形成する溶媒が用いられる。このような溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、2,3−ジメチルブタン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。副生するアルキルアルコールがメタノールである場合は、中でも、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好ましく用いられる。溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。【0037】エステル交換反応の反応温度は適宜決めることができるが、通常、60〜150℃が好ましい。【0038】反応圧力は特に限定されず、減圧、常圧、加圧いずれの圧力下においてもエステル交換反応を行うことができる。【0039】エステル交換反応の形式は特に限定されず、例えば、回分式反応、連続式反応など一般に用いられる方法で行うことができる。【0040】本発明においては、(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止する目的で、反応液に重合防止剤を添加してエステル交換反応を行うこともできる。また、反応器内と同様、(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止する目的で、蒸留塔内に重合防止剤を供給することもできる。例えば、重合防止剤を原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)などの適当な溶媒で希釈したものを蒸留塔へ導入することができる。【0041】本発明において用いる重合防止剤は特に限定されず、通常用いられるものいずれも用いることができる。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、N−オキシル化合物などが挙げられる。重合防止剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。重合防止剤の使用量は適宜決めることができる。【0042】また、本発明においては、(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止する目的で、反応液中へのエアーバブリング等によって、反応器内に、または、蒸留塔の底部に酸素含有ガスなどを導入することもできる。【0043】なお、エステル交換反応は平衡反応であるため、反応を進行させるために、生成物を系外に除去しながら反応を行うことが好ましい。例えば、副生するアルコールを(メタ)アクリル酸エステル(1)との共沸混合物として系外に除去しながらエステル交換反応を行うことが好ましい。【0044】このようにして(メタ)アクリル酸エステル(1)とアルコールとのエステル交換反応を行い、目的生成物である(メタ)アクリル酸エステル(2)を製造する。得られる(メタ)アクリル酸エステル(2)には、未反応の(メタ)アクリル酸エステル(1)、未反応の原料アルコール、触媒、副生物であるマイケル付加物、共沸溶媒などが含まれる。そのため、(メタ)アクリル酸エステル(2)を製造した後、通常、蒸留などにより(メタ)アクリル酸エステル(2)を精製する。本発明においては、この蒸留精製の前に、(メタ)アクリル酸エステル(2)に酸を添加する。【0045】酸を添加する時の未反応(メタ)アクリル酸エステル(1)、未反応の原料アルコールの含有率は特に限定されるものではないが、マイケル付加物の分解反応は平衡反応であるため、それぞれ1質量%以下の場合に特に効果的である。【0046】蒸留精製前に添加する酸は特に限定されないが、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、原料に対応する(メタ)アクリル酸を用いることが特に好ましい。原料に対応する(メタ)アクリル酸とは、原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)がアクリル酸アルキルエステルの場合はアクリル酸であり、原料の(メタ)アクリル酸エステル(1)がメタクリル酸アルキルエステルの場合はメタクリル酸である。原料に対応する(メタ)アクリル酸を用いることにより、さらに優れたマイケル付加物の分解抑制効果を得ることができる。原料に対応する(メタ)アクリル酸は、場合により既に反応液に含まれていたり、未反応の原料アルコールと反応して(メタ)アクリル酸エステル(2)に変化したりすることから、不純物の種類が増えないという点で好ましい。酸は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。【0047】酸の添加量は、効果が表れる必要量の点から、(メタ)アクリル酸エステル(2)100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましい。また、酸の添加量は、多すぎると不純物になるため製品品質の点から、(メタ)アクリル酸エステル(2)100質量部に対して1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましい。【0048】本発明においては、エステル交換反応により得られた(メタ)アクリル酸エステル(2)に酸を添加した後に蒸留を行い、まず目的生成物である(メタ)アクリル酸エステル(2)よりも沸点が低い低沸点成分を分離し、次に、目的生成物である(メタ)アクリル酸エステル(2)よりも沸点が高い高沸点成分を分離する。なお、マイケル付加物は、通常、高沸点成分である。【0049】蒸留条件は、目的生成物に応じて適宜決めればよい。【0050】このようにして得られた(メタ)アクリル酸エステルは、特に原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(1)、アルコール等の低沸点不純物の含有量が少ない、高純度のものである。【0051】【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0052】実施例および比較例において、反応液中の成分分析は、ガスクロマトグラフィーにより行なった。また、転化率は以下のようにして算出した。【0053】転化率(%)=(反応した原料アルコールのモル数/供給した原料アルコールのモル数)×100<実施例1>20段オルダーショウ蒸留塔(理論段数15段)を備えた還流装置を用い、2Lの側管付き四つ口フラスコに、アクリル酸メチル1183.3g(13.7モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール551.9g(6.2モル)、フェノチアジン1.76gおよびジブチルスズオキサイド22.1gを仕込み、エステル交換反応を行った。エステル交換反応は、常圧下、反応温度80℃〜100℃で、蒸留塔の下から15段目を65℃に保ちながら、反応で生成するメタノールをアクリル酸メチルとの共沸により系外へ除去しながら行った。同時にメタノールとの共沸により系外へ除去された量に相当するアクリル酸メチル168.9gを系内に逐次供給した。【0054】反応時間6時間にて反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、原料アルコールであるN,N−ジメチルアミノエタノールの転化率は95.9%であった。また、この反応液中のマイケル付加物の含有量は合わせて1100ppmであった。【0055】次に、この反応液にアクリル酸2.0gを添加した後、減圧下で蒸留し、未反応のアクリル酸メチル、N,N−ジメチルアミノエタノール等の低沸点成分を除去し、さらに蒸留して高沸点成分を分離して目的生成物であるアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル596.7gを得た。蒸留は以下のようにして行った。【0056】蒸留は、反応に用いた装置と同様の20段オルダーショウ蒸留塔(理論段数15段)を用い、圧力は減圧5〜10torr、フラスコ内の液温は80〜100℃で行った。【0057】ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルの純度は99.81%であった。また、低沸点不純物であるアクリル酸メチルの含有量は170ppm、N,N−ジメチルアミノエタノールの含有量は290ppmであった。得られたアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルは、低沸点不純物含有量の少ない、品質良好なものであった。【0058】<実施例2>実施例1と同様にしてエステル交換反応を行った(反応時間6時間)。反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、原料アルコールであるN,N−ジメチルアミノエタノールの転化率は95.9%であった。また、この反応液中のマイケル付加物の含有量は合わせて1100ppmであった。【0059】次に、この反応液にアクリル酸1.0gを添加した後、実施例1と同様にして蒸留を行い、目的生成物であるアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル596.6gを得た。【0060】ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルの純度は99.79%であった。また、低沸点不純物であるアクリル酸メチルの含有量は190ppm、N,N−ジメチルアミノエタノールの含有量は280ppmであった。得られたアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルは、低沸点不純物含有量の少ない、品質良好なものであった。【0061】<比較例1>実施例1と同様にしてエステル交換反応を行った(反応時間6時間)。反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、原料アルコールであるN,N−ジメチルアミノエタノールの転化率は95.9%であった。また、この反応液中のマイケル付加物の含有量は合わせて1100ppmであった。【0062】次に、この反応液にアクリル酸を添加せずに、実施例1と同様にして蒸留を行い、目的生成物であるアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル596.5gを得た。【0063】ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルの純度は99.52%であった。また、低沸点不純物であるアクリル酸メチルの含有量は370ppm、N,N−ジメチルアミノエタノールの含有量は480ppmであった。得られたアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルは、実施例1および2と比較して、低沸点不純物含有量が多く、品質面で劣っていた。【0064】【発明の効果】本発明によれば、特に原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルコール等の低沸点不純物の含有量が少ない、高純度の(メタ)アクリル酸エステルを簡便に製造することができる。 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、(メタ)アクリル酸エステル(1)という。)とアルコールとのエステル交換反応により、目的の(メタ)アクリル酸エステル(以下、(メタ)アクリル酸エステル(2)という。)を製造する方法であって、エステル交換反応により得られた(メタ)アクリル酸エステル(2)を蒸留精製する前に、酸を添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 前記酸が有機酸である請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 前記酸がカルボン酸である請求項2に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 前記(メタ)アクリル酸エステル(1)がアクリル酸アルキルエステルであり、前記酸がアクリル酸である請求項3に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 前記(メタ)アクリル酸エステル(1)がメタクリル酸アルキルエステルであり、前記酸がメタクリル酸である請求項3に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 前記酸の添加量が、(メタ)アクリル酸エステル(2)100質量部に対して、0.01〜1質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 前記アルコールがアルキルアミノアルコールである請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【課題】特に原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルコール等の低沸点不純物の含有量が少ない、高純度の(メタ)アクリル酸エステルを簡便に製造する方法を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとのエステル交換反応により得られた、目的の(メタ)アクリル酸エステルを蒸留精製する前に、酸を添加する。【選択図】 なし


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