タイトル: | 公開特許公報(A)_ジペンタエリスリトールの製造方法 |
出願番号: | 2003181553 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C41/09,C07C43/13,C07B61/00 |
奥原 敏夫 石▲崎▼ 謙一 JP 2005015379 公開特許公報(A) 20050120 2003181553 20030625 ジペンタエリスリトールの製造方法 東亞合成株式会社 000003034 奥原 敏夫 石▲崎▼ 謙一 7 C07C41/09 C07C43/13 C07B61/00 JP C07C41/09 C07C43/13 B C07B61/00 300 2 OL 7 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC43 4H006BA08 4H006BA10 4H006BA11 4H006BA12 4H006BA14 4H006BA30 4H006BA31 4H006BA33 4H006BA35 4H006BA75 4H006GN05 4H006GP01 4H006GP10 4H039CA61 4H039CG10 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ジペンタエリスリトール(以下D−PEと略す)の製造方法に関するものであり、詳しくは酸触媒を用いたペンタエリスリトール(以下PEと略す)の脱水縮合反応によるD−PEの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】D−PEは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、及びアルキッド樹脂等の原料として、またそのアクリル酸エステルは高密度架橋剤、インキ、コーティング材料、及び接着剤等の原料として多岐に使用されている。【0003】一般に、D−PEはホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとをアルカリの存在下で反応させてPEを製造する際に副生するものであり、これを分離精製して得ている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、この方法では製造設備が大型になり、かつ副生する蟻酸ナトリウム、ビスペンタエリスリトールモノホルマール、過剰な原料等からPE、D−PEを分離回収せねばならず、精製工程が複雑である。またD−PEの生産可能量はPEの生産量に依存しており、例えばPEの産生量の10〜15%程度がD−PEの産生量である。【0004】D−PEの収率を向上させるために、アクロレインのようなα,β−不飽和カルボニル化合物、多価アルコール(例えばPE)、及びホルムアルデヒドとをアルカリ存在下で反応させる方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。【0005】また、ジルコニウム触媒下で尿素類とペンタエリスリトールとを反応させてD−PEを得る方法(例えば特許文献3参照)、炭酸エステルとペンタエリスリトールとを反応させてD−PEを得る方法(例えば特許文献4参照)が提案されている。【0006】一方、PEをリン酸又は硫酸等を用いてポリペンタエリスリトール混合物を合成する方法も知られているが(例えば特許文献5参照)、D−PEの選択率が低く、ポリペンタエリスリトール混合物から目的のD−PEを回収することが困難である。PEからD−PEを合成するときの選択性を高めるために、硫酸触媒存在下、140〜210℃で無溶媒かつ溶融状態で反応させる方法も提案されている(例えば特許文献6参照)。【0007】更に酸触媒でPEからD−PEを合成する際、極性溶剤存在下で行い、かつPEの転化率が25%以上となる前に、反応液の温度を低下させPEの一部を結晶化させて、D−PEの濃度を高めた反応液を取り出すこと方法も提案されている(例えば特許文献7参照)。かかる酸触媒とは、リン酸、硫酸等の鉱酸、金属硫酸塩、金属リン酸塩、モンモリロナイト等の粘土鉱物である。【0008】アルコールの脱水エーテル化の触媒としてヘテロポリ酸を使用するものが開示されていて(例えば特許文献8参照)、ヒドロキシル基を1つ含むもの、2つ含むもの、及び3つ含むものに適用できると記載されている。また、アルキレングリコールモノアルキルエーテルをヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸の酸性塩の存在下に加熱してアルキレングリコールジアルキルエーテルを製造する方法が知られている(例えば出願文献9参照)。【0009】【特許文献1】特開昭57−139028号公報(特許請求の範囲)【特許文献2】特開平10−291951号公報(特許請求の範囲、p9〜12)【特許文献3】特開平7−258139号公報(特許請求の範囲)【特許文献4】特開平7−157450号公報(特許請求の範囲)【特許文献5】米国特許第2462047号明細書(特許請求の範囲)【特許文献6】特開平4−208242号公報(特許請求の範囲)【特許文献7】特開平4−145040号公報(特許請求の範囲、p3左上)【特許文献8】特開平5−25076号公報(特許請求の範囲、p2右)【特許文献9】特開昭60−120829号公報(特許請求の範囲)【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のD−PE製造法が有する欠点を克服し、簡便な反応装置で、PEからD−PEを効率よく製造する方法を提供することを課題とするものである。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸触媒の存在下、PEから縮合反応にてD−PEを製造するに際し、酸触媒としてヘテロポリ酸を用いることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、酸触媒としてヘテロポリ酸を用いることを特徴とするPEからD−PEの製造方法である。【0012】【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。【0013】○ヘテロポリ酸本発明で触媒として使用されるヘテロポリ酸としては、Mo、W、及びV等から選ばれる少なくとも一種の酸化物と、P、Si、As、Ge、B、Ti、及びCe等から選ばれる少なくとも一種のオキシ酸とが縮合して得られるものが例示できる。後者に対する前者の原子比は、2.5〜12である。ヘテロポリ酸は、単量体のみならず。二量体、又は三量体等の重合体、あるいは各々の原子を2種以上配位させた混合へテロポリ酸も使用可能である。また、これらへテロポリ酸のナトリウム、カリウム、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、セシウム、又はアンモニウム等の部分あるいは完全中和した塩であっても良い。これらへテロポリ酸の具体例としては、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、リンモリブドニオブ酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸、ゲルマニウムタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸、ホウモリブドタングステン酸、ホウモリブドバナジン酸、ホウモリブドタングストバナジン酸、及びコバルトモリブデン酸等が挙げられ、これらの上記の塩も挙げられる。本発明で用いるヘテロポリ酸としては、酸が好ましい。本発明で用いるヘテロポリ酸としては、これらのものを単独で用いてもよく、複数種を混合して用いても良い。本発明で用いるヘテロポリ酸としては、酸化物を構成する金属元素がモリブデン及び/又はタングステンが更に好ましく、オキシ酸がリン及び/又はケイ素であるものが更に好ましい。すなわち、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、及び/又はケイモリブデン酸等が好適である。【0014】本発明で用いるヘテロポリ酸の使用量は通常の脱水エーテル化反応に使用される量であれば特に限定がなく用いることができる。例えば、PEの質量に対し、ヘテロポリ酸が0.1〜200質量%であり、好ましくは1〜100質量%であり、更に好ましくは2〜25質量%である。【0015】本発明のヘテロポリ酸を利用したD−PEの製造は、従来の酸触媒によるPEの脱水エーテル化反応と同様、溶液またはPEが溶融した状態で行うことができる。本発明のD−PE製造方法において溶媒を用いる場合は、PEの溶解性が高くかつ反応温度領域でも酸触媒に対し安定なものであれば限定なく用いることができる。即ち、水、スルホラン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が例示でき、水、及び/又はスルホランが好適である。【0016】本発明のD−PE製造方法における反応温度は、使用する触媒種、溶媒の有無、及び溶媒の種類によって異なるが、一般的に50℃〜250℃が例示でき、100℃〜230℃が好ましく、更に好ましくは120〜200℃程度である。反応温度が50℃以下であると反応時間が長くなり効率が低下する恐れがあり、250℃以上では不純物の副生が増加する恐れがある。【0017】また、本発明のD−PE製造方法における反応時間は0.05〜40時間が好ましく、0.1〜30時間がより好適である。本発明のD−PE製造方法においては、目的とする合成温度にするために加圧下に行っても良い。また減圧下に行っても良い。本発明のD−PE製造方法においては、PEからD−PE合成時にできる生成水を除きながら行っても行わなくてもよく、好ましくは生成水を除かないで行うものである。【0018】本発明のD−PE製造方法において、PEの転化率が50%にならないときに終了させることが、D−PEの選択率が高くなることから好ましく、PEの転化率が25%以上にしてから終了させることが好ましい。なお、PEの転化率およびD−PEの選択率とはPEの転化率(%)=100−(反応停止時のPE量/PEの仕込み量)×100D−PEの選択率(%)=(D−PE生成量×2/(PEの仕込み量−反応停止時のPE量))×100から算出した。ここの「反応停止時のPE量」や「PEの仕込み量」等は、モル値である。【0019】本発明のD−PE製造方法において反応終了後のD−PEの精製方法は、分別晶析法等の一般的な分離手段により分離精製することができる。【0020】本発明のD−PE製造方法において得られたD−PEは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、及びアルキッド樹脂等の原料として用いることができる。またそのD−PEのアクリル酸エステルは高密度架橋剤、インキ、コーティング材料、及び接着剤等の原料として使用することもできる。【0021】【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り実施例に限定されるものではない。【0022】<実施例1>ポリテトラフルオロエチレン製内筒を備えたステンレス製20mlの耐圧反応器にPE 3g(22mmol)、リンタングステン酸0.3g(0.1mmol)、及び水 0.2mlとを仕込み、磁気攪拌器で内容物を攪拌しながら、190℃で15分間反応させた。表1に反応条件を記載した。反応終了後、内容物の一部を取り出し、室温、減圧下で乾燥させた。この乾燥物から得た分析試料(約7mg)に乾燥ピリジン(200μl)、及びN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(300μl)とを加え、60℃で30分間加温した。このシリル化された試料をガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す。○表1中の略号についてH+:触媒中の水素イオン含有量を示す。○ガスクロマトグラフィーの分析条件カラム:SE−30(3φ×2m)カラム温度:150℃キャリヤーガス:ヘリウム検出器:FID【0023】<実施例2〜3>実施例1と同様の装置を用い、表1に示した触媒、溶媒を仕込み、磁気攪拌器で内容物を攪拌しながら、190℃で30分間反応させた。反応終了後、生成物を実施例1と同様な前処理後、ガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す。【0024】<実施例4>実施例1と同様の装置を用い、表1に示した触媒、溶媒を仕込み、磁気攪拌器で内容物を攪拌しながら、170℃で12時間反応させた。反応終了後、生成物を実施例1と同様な前処理後、ガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す。【0025】<実施例5>磁気攪拌装置、冷却管を備えた30mlの2つ口フラスコに、3g(22mmol)のPE、リンタングステン酸0.2g(0.067mmol)、スルホラン18mlを仕込み、内容物を攪拌しながら、150℃で1時間反応させた(表1にこれらの条件を記載)。反応終了後、生成物を実施例1と同様な前処理後、ガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す。【0026】<実施例6>実施例5のリンタングステン酸0.2g(0.065mmol)をケイタングステン酸0.19g(0.068mmol)とした以外は同様な条件で反応(表1にこれらの条件を記載)、分析を行った。これらの結果を表2に示す。【0027】<比較例1〜2>実施例1と同様の装置を用い、表1に示した触媒、溶媒を仕込み、磁気攪拌器で内容物を攪拌しながら、190℃で15分間反応させた。反応終了後、生成物を実施例1と同様な前処理後、ガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す【0028】<比較例3>実施例1と同様の装置を用い、表1に示した触媒、溶媒を仕込み、磁気攪拌器で内容物を攪拌しながら、190℃で15時間反応させた。反応終了後、生成物を実施例1と同様な前処理後、ガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す【0029】<比較例4>実施例5と同様の装置を用い、表1に示した触媒、溶媒を仕込み、磁気攪拌器で内容物を攪拌しながら、150℃で1時間反応させた。反応終了後、生成物を実施例1と同様な前処理後、ガスクロマトグラフィーにより分析し、D−PEの収率および選択率を求めた。これらの結果を表2に示す【0030】【表1】【0031】【表2】【0032】【発明の効果】本発明によれば、簡便な反応装置を用いることができ、且つ比較的低温かつ短時間の反応で、PEから効率良くD−PEを得ることができる。 ヘテロポリ酸を触媒として用いるペンタエリスリトールからジペンタエリスリトールの製造方法。 Mo、W、及びVから選ばれる少なくとも一種の酸化物と、P、Si、As、Ge、B、Ti、及びCeから選ばれる少なくとも一種のオキシ酸とが縮合して得られるヘテロポリ酸を触媒として用いる請求項1記載のペンタエリスリトールからジペンタエリスリトールの製造方法。 【課題】本発明は、従来のジペンタエリスリトール(D−PE)製造法が有する欠点を克服し、簡便な反応装置で、ペンタエリスリトール(PE)からD−PEを効率よく製造する方法を提供することを課題とするものである。【解決手段】酸触媒の存在下、PEから縮合反応にてD−PEを製造するに際し、酸触媒としてヘテロポリ酸を用いることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、酸触媒としてヘテロポリ酸を用いることを特徴とするPEからD−PEの製造方法である。【選択図】 なし