タイトル: | 特許公報(B2)_ヨウ化イソプロパミド含有製剤 |
出願番号: | 2003181415 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 31/165,A61K 47/10,A61P 11/02 |
的場 博 北河 和隆 槙野 正 JP 4393119 特許公報(B2) 20091023 2003181415 20030625 ヨウ化イソプロパミド含有製剤 武田薬品工業株式会社 000002934 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 的場 博 北河 和隆 槙野 正 JP 2002253359 20020830 20100106 A61K 31/165 20060101AFI20091210BHJP A61K 47/10 20060101ALI20091210BHJP A61P 11/02 20060101ALI20091210BHJP JPA61K31/165A61K47/10A61P11/02 A61K 31/165 A61K 9/00 - 9/72 A61K 47/00 -47/48 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) WPI 特開2004−026810(JP,A) 特開平08−325142(JP,A) 特開平09−020670(JP,A) 4 2004143141 20040520 12 20051101 三輪 繁 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、風邪薬成分として鼻汁抑制作用を有するヨウ化イソプロパミドを含有する経口投与用組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、他成分との配合性の悪いヨウ化イソプロパミドの経時安定性を向上させた、薬効に優れる製剤およびその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】ヨウ化イソプロパミドは、抗コリン剤として知られており、分泌抑制作用により鼻水を抑制する成分として、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳成分、気管支拡張などとともに風邪薬に配合される。特に鼻炎症状への有効性について特許文献1および特許文献2に詳細に述べられている。一方、ヨウ化イソプロパミドは単独では安定性は良好であるが、配合性が悪いことが知られており、ヨウ化イソプロパミドを含有する風邪薬の開発においても配合性の問題がみられる。しかし、ヨウ化イソプロパミドを安定化させた製剤は現在のところほとんどなく、わずかに特許文献3においてヨウ化イソプロパミドの配合変化を抑制するために、ヨウ化イソプロパミドをポリビニルピロリドンの溶液に添加した後、他成分と配合する方法が報告されている。しかし、この方法では薬物を含む顆粒が黄色に着色する問題や、実際に安定化にそれほど大きな効果が得られないなどの問題を有している。【0003】【特許文献1】特開平7−188040号公報【特許文献2】特開2001−233785号公報【特許文献3】特願平8−325142号公報【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヨウ化イソプロパミドを含有する風邪薬製剤において、ヨウ化イソプロパミドの経時的安定性の高い、薬効に優れた商品価値の高い製剤を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、製造法が簡単でかつ安価で、ヨウ化イソプロパミドの安定性に優れた製剤を得るため鋭意検討を行った結果、予想外にも賦形剤として配合されている乳糖がヨウ化イソプロパミドの安定性に関与していることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)ヨウ化イソプロパミドを安定に含有する製剤、(2)二糖類を含有しないことを特徴とする上記(1)記載の製剤、(3)二糖類が乳糖である上記(2)記載の製剤、(4)糖アルコールを含有することを特徴とする上記(2)または(3)記載の製剤、(5)糖アルコールがD-マンニトールである上記(4)記載の製剤、(6)ヨウ化イソプロパミドを含む薬効成分に、乳糖を含有しない添加剤を配合することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1記載のヨウ化イソプロパミド含有製剤の製造方法、(7)二糖類を配合しないことを特徴とするヨウ化イソプロパミド含有製剤の安定化方法、(8)糖アルコールを配合することを特徴とする上記(7)記載のヨウ化イソプロパミド含有製剤の安定化方法、を提供する。【0006】【発明の実施の形態】本発明のヨウ化イソプロパミド含有製剤は、乳糖などの二糖類を添加剤として配合しないことにより、製剤中におけるヨウ化イソプロパミドの安定性を大きく改善したことを特徴とする。風邪薬として使用される本発明のヨウ化イソプロパミド含有製剤には、薬効成分として鼻汁抑制作用を有するヨウ化イソプロパミド以外に、例えば、消炎鎮痛解熱薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、血管収縮薬、去痰薬、中枢興奮薬、ビタミン類などが適宜配合される。また製剤化を行うための添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、界面活性剤、香料、滑沢剤、着色剤、抗酸化剤などが適宜組合せて用いられる。【0007】ヨウ化イソプロパミドを含む従来の風邪薬製剤について、安定性の検討を行った結果、錠剤の外観変化が大きく、またヨウ化イソプロパミド含量の低下も確認された。すなわち、ヨウ化イソプロパミドに、解熱鎮痛薬としてアセトアミノフェン、抗ヒスタミン薬としてメキタジン、鎮咳薬としてリン酸ジヒドロコデイン、血管収縮薬として塩酸プソイドエフェドリン、去痰薬としてグアイフェネシン、中枢興奮薬として無水カフェイン、ビタミン類としてヘスペリジンを加え、さらに賦形剤として乳糖、トウモロコシデンプン、結合剤として結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウムを添加して風邪薬製剤を調製して経時安定性の検討を行ったところ、温度、湿度を変化させた加速、過酷試験においてヨウ化イソプロパミドの含量の低下がみられ、賦形剤として配合されている乳糖がヨウ化イソプロパミドの安定性に関与していることが明らかになった。このため、上記検討製剤の組成から乳糖を抜いた製剤、および乳糖などの二糖類に代わる賦形剤として糖アルコールであるD-マンニトールを添加した製剤について経時安定性を検討した結果、安定な錠剤を得ることができた。すなわち、本発明に係るヨウ化イソプロパミド含有製剤においては、ヨウ化イソプロパミドとの配合性が悪いため、乳糖などの二糖類は賦形剤として適しておらず、これに代わる賦形剤成分として糖アルコールを配合することによってヨウ化イソプロパミドの安定性を改善したものである。糖アルコールとしては、D-マンニトールのほかに粉末還元麦芽糖水アメ(マルチトール)、エリスリトール、キシリトール等が使用できるが、特にこれらに限定されない。【0008】本発明製剤で使用することができる他の添加剤としては、例えば、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチンなどが、崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなどが、矯味剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5'−グアニル酸ナトリウムなどが、界面活性剤としては、ポリソルベート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウムなどが、香料としては、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油などが、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールなどの添加剤を用いることができる。【0009】本発明のヨウ化イソプロパミド含有製剤は、自体公知の一般的な方法で製造することができ、例えば、ヨウ化イソプロパミドに消炎鎮痛解熱薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、血管収縮薬、去痰薬、中枢興奮薬、ビタミン類などを適宜組み合わせた薬効成分に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、界面活性剤、香料、滑沢剤、着色剤、抗酸化剤など添加剤を適宜組合せて配合することによって製造することができるが、造粒操作は攪拌造粒法および流動層造粒法、あるいは乾式造粒法などいずれの方法によっても可能である。また、本発明の製剤の剤形としては、錠剤(含フィルムコート錠)、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、チユアブル剤、発泡剤、口腔内崩壊錠、ドライシロップ剤などが挙げられる。これらは、日本薬局方第14改正の製剤総則に記載されている方法により製造できる。【0010】【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。〔実施例1〕表1に示すようにアセトアミノフェン、メキタジン、ヨウ化イソプロパミド、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸プソイドエフェドリン、グアイフェネシン、無水カフェインおよびヘスペリジンに、トウモロコシデンプン、結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを加えて流動層造粒機(パウレック製、FD-5S型)に入れ、給気温度70℃で、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒後、乾燥して造粒末を製造した。パワーミル(昭和化学機械製、スクリーンサイズ2mmφ)で粉砕して整粒末を得た後、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを加えて、タンブラー混合機(昭和化学機械製、TM-60S型)に入れ、10rpmで3分間混合した。そして、ロータリー打錠機(菊水製作所製、コレクト12HUK、30pm)で8.5mmφR面杵で重量270mg/錠、圧縮圧12KN/杵の条件で打錠して素錠を得た。得られた素錠をフィルムコーティング装置(パウレック製、ドリアコーターDRC‐500型)に入れ、表2の処方で調製したフィルムコーティング液を、回転数8rpm、給気温度70℃、給気量4m3/min、液供給速度12g/min、スプレー空気量4000Nl/hr、の条件で操作してフィルムコート錠を得た。【表1】【表2】【0011】〔実施例2〕表3に示すようにアセトアミノフェン、メキタジン、ヨウ化イソプロパミド、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸プソイドエフェドリン、グアイフェネシン、無水カフェインおよびヘスペリジンに、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを加えて〔実施例1〕と同様に造粒して素錠を製造した後、フィルムコーティングを行いフィルムコート錠を得た。【表3】【0012】〔実施例3〕表4に示すようにアセトアミノフェン、d-マレイン酸クロルフェニラミン、ヨウ化イソプロパミド、リン酸ジヒドロコデイン、dl‐塩酸メチルエフェドリン、トラネキサム酸、無水カフェイン、ヘスペリジンにトウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウムを加えて流動層造粒機(パウレック製、FD‐5S型)に入れ、給気温度70℃で、ポリビニルピロリドン水溶液を噴霧して造粒後、〔実施例1〕と同様にして素錠を製造した。そして、表5のフィルム処方で調製したフィルムコーティング液を、同様に操作してフィルムコート錠を得た。【表4】【表5】【0013】〔対照例1〕表6に示すようにアセトアミノフェン、メキタジン、ヨウ化イソプロパミド、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸プソイドエフェドリン、グアイフェネシン、無水カフェインおよびヘスペリジンに、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを加えて流動層造粒機(パウレック製, FD‐5S型)に入れ、給気温度70℃で、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース6%水溶液を噴霧して造粒後、乾燥して造粒末を製造した。その後、〔実施例1〕と同じ方法で素錠を製造後、フィルムコーティングを行い、フィルムコート錠を得た。【表6】【0014】〔対照例2〕表7に示すようにアセトアミノフェン、メキタジン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸プソイドエフェドリン、グアイフェネシン、無水カフェインおよびヘスペリジンに、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを加えて流動層造粒機(パウレック製, FD‐5S型)に入れ、給気温度70℃で、結合剤としてヨウ化イソプロパミドを溶解したポリビニルピロリドン水溶液を噴霧して造粒後、乾燥して造粒末を製造した。その後、〔実施例1〕と同じ方法で素錠を製造後、フィルムコーティングを行い、フィルムコート錠を得た。【表7】【0015】〔対照例3〕表8に示すようにアセトアミノフェン、d‐マレイン酸クロルフェニラミン、ヨウ化イソプロパミド、リン酸ジヒドロコデイン、dl‐塩酸メチルエフェドリン、トラネキサム酸、無水カフェイン、ヘスペリジンに乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウムを加えて流動層造粒機(パウレック製、FD‐5S型)に入れ、給気温度70℃で、ポリビニルピロリドン水溶液を噴霧して造粒後、〔実施例1〕と同様にして素錠を製造した。そして、表5のフィルム処方で調製したフィルムコーティング液を、同様に操作してフィルムコート錠を得た。【表8】【0016】安定性試験フィルムコーティング錠各80錠を瓶に入れて密栓し、40℃、50℃、60℃に保存し、経時的に取り出して、ヨウ化イソプロパミド含量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。【0017】安定性試験結果その結果、表9に示すように実施例1、実施例2および実施例3では対照例1、対照例2および対照例3に比べ、各温度保存条件下でヨウ化イソプロパミド含量は安定であった。【表9】【0018】【発明の効果】本発明のヨウ化イソプロパミド含有製剤は、ヨウ化イソプロパミドの経時的安定性に優れていて、長期にわたって製剤の外観変化も見られず、薬効的にも優れており、また本発明の製剤自体は公知の方法で容易に製造できるので商品価値の高い製剤である。 D−マンニトールまたは粉末還元麦芽糖水アメを含有し、二糖類を含有しないことを特徴とするヨウ化イソプロパミドを安定に含有する製剤(但し、フマル酸エメダスチン、塩酸シュードエフェドリン、塩酸メトキシフェナミン、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化リゾチーム、ヨウ化イソプロパミド、結晶セルロース、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロースおよびショ糖脂肪酸エステルからなる錠剤を除く)。 二糖類が乳糖である請求項1記載の製剤。 ヨウ化イソプロパミドを含む薬効成分に、D−マンニトールまたは粉末還元麦芽糖水アメを含有し、二糖類を含有しない添加剤を配合することを特徴とする請求項1または2記載のヨウ化イソプロパミド含有製剤の製造方法。 D−マンニトールまたは粉末還元麦芽糖水アメを配合し、二糖類を配合しないことを特徴とするヨウ化イソプロパミド含有製剤の安定化方法。