タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリアミドの劣化度評価方法 |
出願番号: | 2003180109 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N21/75,G01N21/27,G01N21/33,G01N33/44 |
鈴木 秀幸 相模 博生 福本 圭子 豊田 政洋 渡辺 健市 横地 恒之 山崎 恵美子 JP 2005017041 公開特許公報(A) 20050120 2003180109 20030624 ポリアミドの劣化度評価方法 トヨタ自動車株式会社 000003207 愛三工業株式会社 000116574 株式会社デンソー 000004260 豊田合成株式会社 000241463 アイシン精機株式会社 000000011 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 島村 直己 100101904 鈴木 秀幸 相模 博生 福本 圭子 豊田 政洋 渡辺 健市 横地 恒之 山崎 恵美子 7 G01N21/75 G01N21/27 G01N21/33 G01N33/44 JP G01N21/75 Z G01N21/27 Z G01N21/33 G01N33/44 4 OL 11 2G054 2G059 2G054AA04 2G054CE01 2G054EA04 2G054GA02 2G054GA03 2G059AA05 2G059BB08 2G059BB15 2G059EE12 2G059HH02 2G059HH03 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はポリアミドの劣化の程度を測定する方法に関する。【0002】【従来の技術】ポリアミドはアミド結合を有し、高分子鎖どうしがNHとCOとの間で水素結合により結ばれているため、高結晶性、高融点を示す。ポリアミドは、耐摩擦性、弾性、耐薬品性、染色性に優れており繊維材料として大量に使用されるほか、機械的特性、耐摩耗性、耐熱性、耐油性にも優れていることから、機械部品、電気部品等のエンジニアリングプラスチックやその他の成形品に広く利用されている。【0003】上述のようにポリアミド材料は優れた特性を有する高分子化合物であるが、時間の経過とともに外力や化学変化等により徐々に劣化してくる。そのような劣化したポリアミド材料がどの程度劣化しているか、どのような要因により劣化したのか、そしてどの程度の強度を有しているのかを把握することは、例えば、ポリアミドの劣化のメカニズムの解明やポリアミド材料の耐久性等の評価等のために非常に重要である。【0004】ポリアミドの劣化としては、剪断等の外力により高分子鎖が切断される機械的要因による劣化の他に、紫外線、熱又は加水分解等の作用により高分子鎖が化学変化又は結合開裂する化学的要因による劣化が挙げられる。これらの種々の作用によりポリアミド材料は劣化し、その結果、その機械的強度等が低下する。【0005】一般的に、ポリアミドの劣化の度合いは、例えば、所定の形状及び寸法の試験片を用いる引張試験(例えば、ASTM−D638−84)等の強度試験で測定される強度により評価されている。【0006】しかしながら、上記のような強度試験を実施するためには所定の形状及び寸法の試験片を準備する必要があったり、測定操作等が煩雑であり、また、実際のポリアミド成形品等は曲面を有していたりするため試験片を準備できない場合が多く、その場合上記強度試験を行うことができないなど実用上の問題がある。また、上記強度試験では局所的に劣化しているような試験片(例えば、表面のみが劣化しているポリアミド材料等)についてその劣化箇所のみをピンポイントで評価することは不可能である。さらに、上記強度試験ではポリアミド材料の強度劣化が機械的剪断等の物理的(機械的)要因によるものなのか、又は加水分解等による化学的要因によるものなのかその原因・メカニズムを判断することができない。【0007】化学的要因によるポリアミドの劣化を評価する方法としては、ポリアミドが化学的劣化により化学変化して生じた物質を定量する方法が考えられる。ポリアミド中の特定の物質を定量する方法としては、例えば可視紫外線吸収スペクトル分析によりその物質の特性吸収波長領域の吸光度を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、化学変化により生じる物質がその物質に特徴的な特性吸収波長領域を有することが必要であり、また、その特性吸収波長領域の吸光度が弱かったり、又はポリアミドの特性吸収波長領域と干渉したりする場合には採用できないなど解決すべき課題が多く残されている。【0008】【特許文献1】特開平9−281046号公報【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明は、どのような試験片形状でも適用でき、また局所的な劣化度を測定することができ、さらには化学的要因による劣化を正確に且つ容易に評価できるポリアミド系樹脂の劣化度評価方法を提供することを目的とする。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミドの加水分解等による化学的劣化により生じるポリアミド鎖の末端アミノ基の量と機械的強度との間に相関関係があること、及び前記アミノ基を特定のアルデヒド化合物を用いて誘導体化することにより前記末端アミノ基を正確に定量できることを見出し本発明を完成させるに至った。【0011】即ち、本発明は以下の発明を包含する。(1)一般式(I):【化3】(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)で表されるアルデヒド化合物とポリアミド系樹脂とを反応させ、反応生成物の可視紫外線吸光度を測定することを含むポリアミド系樹脂の劣化度評価方法。【0012】(2)前記式(I)のアルデヒド化合物が4−ベンジルオキシベンズアルデヒドである前記(1)記載の方法。【0013】(3)一般式(II):【化4】(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)で表されるアルデヒド化合物とポリアミド系樹脂とを反応させ、反応生成物の可視紫外線吸光度を測定することを含むポリアミド系樹脂の劣化度評価方法。【0014】(4)前記式(II)のアルデヒド化合物が10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドである前記(3)記載の方法。【0015】【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に記述する。【0016】化学的要因によるポリアミドの劣化としてはポリアミドの加水分解が考えられ、その場合、ポリアミド鎖中のアミド結合は加水分解等により切断されてポリアミド鎖は低分子量化し、その結果、ポリアミドの機械的強度が低下するものと思われる。【0017】この加水分解によりポリアミド鎖中のアミド結合はアミノ基とカルボキシル基とになる。したがって、ポリアミド系樹脂中に含まれるアミノ基を定量することによりポリアミド系樹脂の化学的劣化の度合い、ひいては強度劣化の度合いを評価・推測することができる。【0018】本明細書でいう「ポリアミド系樹脂」とは、1種以上のポリアミドを含有する樹脂を意味し、例えば、1種類のポリアミドからなる単成分樹脂だけでなく、2種以上のポリアミドを含む樹脂、及び樹脂構成成分としてポリアミドとポリアミド以外の他の高分子化合物とを含むポリマーブレンド等の多成分樹脂等、さらにはそれらの成形品及び繊維等の成形物をも含む意味である。また、ポリアミド鎖は他の高分子鎖と化学結合して、例えば、ブロックポリマー等を形成したものであってもよい。【0019】本発明の方法で用いることのできるポリアミドとしては、高分子鎖中にアミド結合を有するものであれば特に限定されるものではなく、天然高分子及び合成高分子のいずれのものでも用いることができる。【0020】合成高分子のポリアミドとしては、例えば、ナイロンが挙げられる。ナイロンはジアミン化合物とジカルボン酸化合物との縮合重合により得られるか、又はラクタム化合物の開環重合等により得ることができる。【0021】上記ジアミン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、ビス−p−アミノシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン等が挙げられる。【0022】上記ジカルボン酸の具体例としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げられる。【0023】上記ラクタム化合物の具体例としては、例えば、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。【0024】上記構成成分を単独で又は二種以上の混合物で、或いは他のモノマーをさらに混合して重合に供され、そうして得られるポリアミドホモポリマー及び/又はコポリマーを含む樹脂を本発明の方法で用いることができる。【0025】上記構成成分から直鎖型の脂肪族ナイロン、又はノーメックス(登録商標)及びケブラー(登録商標)等の主鎖に芳香環を有するナイロン等を得ることができる。上記構成成分から得られるナイロンのうち直鎖型の脂肪族ナイロンは下記式で表される。【0026】【化5】(式中、m、n及びxは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。)通常、上記式(a)及び(b)のナイロンは、それぞれ「ナイロン m (n+2)」及び「ナイロン(n+1)」と呼ばれる。【0027】本発明の方法で用いることのできるナイロンの具体例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン116、ナイロン612等が挙げられる。【0028】本発明の方法では、分解したポリアミド鎖の末端に生じるアミノ基の量を定量することによりポリアミド系樹脂の劣化度を評価する。【0029】ポリアミド中のある特定の物質又は官能基の含有量を定量する方法として、その物質に固有の特性吸収を検出する可視紫外線吸収スペクトル分析による方法が知られている(例えば、特開平11−132942号公報)。本発明の方法では、ポリアミドの加水分解等により生じる末端アミノ基の特性吸収を検出することが考えられるが、しかしながら、アミノ基は無修飾のままでは可視紫外線吸収スペクトル分析装置では感度が弱いため検出することはできない。アミノ基を定量する方法としては、検出に適した可視紫外線特性吸収を有する原子団等でアミノ基を修飾し、その修飾アミノ基を検出する方法が知られている(例えば、特開平9−281046号公報)。【0030】本発明者らは劣化ポリアミド系樹脂中のアミノ基を容易に検出できる方法について鋭意検討したところ、下記式:【化6】(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)又は、【化7】(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)で表されるアルデヒド化合物でアミノ基を修飾することにより、アミノ基を可視紫外線吸収吸光度分析で感度よく正確に定量できることを見出した。【0031】R1〜R6における置換基の具体例は以下のとおりである。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等が挙げられ、フッ素が好ましい。【0032】炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。あるいは、R1とR2、R3とR4、R5とR6のそれぞれが一緒になって、アルキレン基−(CH2)n−(nは、1〜20、好ましくは1〜4の整数。)を形成してもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。【0033】式(I)及び(II)のアルデヒド化合物は市販のものを用いてもよいし、又は公知の化学合成技術により容易に製造することができる。【0034】式(I)又は(II)のアルデヒド化合物は劣化ポリアミド系樹脂中の末端アミノ基と選択的且つ定量的に反応して、下記式(I’):【化8】(式中、R1、R2、R3及びR4は前記と同義である。)又は、下記式(II’):【化9】(式中、R5及びR6は、前記と同義である。)で表されるイミンを形成する。【0035】上記式(I)及び(II)で表されるアルデヒド化合物は、230nm以上の波長領域に可視紫外線吸収の特性があるため、ポリアミドによる可視紫外線吸収(〜230nm)の干渉を受けずに吸光度を測定することが可能である。【0036】本発明の方法で用いられる式(I)表されるアルデヒド化合物の具体例としては、例えば、4−ベンジルオキシベンズアルデヒドが挙げられる。【0037】本発明の方法で用いられる式(II)表されるアルデヒド化合物の具体例としては、例えば、10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒド、9−アントラアルデヒドが挙げられる。【0038】式(I)及び(II)で表されるアルデヒド化合物による劣化ポリアミド系樹脂のアミノ基の修飾は、公知のイミン合成法により行うことができ、例えば、以下のようにして行うことができる。【0039】劣化度を測定するポリアミド系樹脂を溶媒に溶解する。溶媒としては、ポリアミド系樹脂を溶解し、ポリアミド系樹脂やアルデヒド化合物と化学反応しないものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール等のフッ素系溶剤等が挙げられる。【0040】次いで、これに式(I)又は(II)で表されるアルデヒド化合物を添加し、ポリアミド系樹脂中のアミノ基と式(I)又は(II)で表されるアルデヒド化合物との誘導体化反応を行なう。【0041】この誘導体化反応は、通常、10〜50℃、好ましくは20〜30℃で、0.1〜100時間、好ましくは20〜30時間行なう。上記カップリング反応により得られるカップリング生成物を常法により精製して上記式(I’)又は(II’)のイミン化合物を得る。【0042】次いで、式(I)又は(II)のアルデヒド化合物とポリアミド系樹脂とを反応させて得られたイミン化合物を、一般的な可視紫外線吸光度測定法により吸光度を測定する。測定波長は、ポリアミド系樹脂の吸収波長と干渉しない波長領域であれば特に限定されないが、用いるアルデヒド化合物の特性吸収波長が好ましい。例えば、アルデヒド化合物として4−ベンジルオキシベンズアルデヒドを用いた場合には、320〜340nmで測定するのが好ましく、また、10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドを用いた場合には、240〜260nmで測定するのが好ましい。【0043】可視紫外線吸光度測定により測定される式(I)又は(II)の化合物に由来する特性吸収波長の吸光度が大きいほどポリアミド系樹脂中のアミノ基量が多いことを意味し、即ち、加水分解等によりポリアミドのアミド結合が開裂してポリアミド系樹脂の劣化が進んでいることを意味する。実際、本発明の方法により評価したポリアミド系樹脂の劣化度と従来の劣化評価方法である引張試験等により測定された強度試験結果との間には密接な相関関係が認められた。【0044】【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0045】実施例1:ナイロン66の劣化度評価(1)ポリアミド系樹脂ポリアミド系樹脂としてナイロン66を用いた。ナイロン66は未劣化のものと、それを加水分解して劣化させた加水分解品(200℃で2時間、5時間又は8時間加水分解したもの)とを用いた。【0046】(2)ナイロン66とアルデヒド化合物とのカップリング反応(誘導体化反応)アルデヒド化合物として10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドを用いた。ヘキサフルオロイソプロパノール20mlに未劣化ナイロン66又は加水分解処理ナイロン66(0.2g)と10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒド(0.2g)とを添加して室温で24時間反応させた。得られた生成物をクロロホルムで過剰の10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドを洗浄することにより精製してイミン化合物を得た。【0047】(3)イミン化合物の可視紫外線吸光度測定上記(2)で得られたイミン化合物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して濃度0.01g/10mlの吸光度測定用試料を調製し、これを測定波長249nmで吸光度を測定した。その結果を図1に示す。【0048】また、未劣化ナイロン66及び加水分解処理ナイロン66について、ASTM−D638−84に準拠して下記の条件で引張強度試験を行なった。引張強度試験の結果も図1に併せて示す。試験片厚さ :3.2mmダンベル平行部長さ:50mm試験速度 :10mm/min(チャック間距離:114mm)試験温度 :23℃【0049】図1の結果より、吸光度が大きいものほど、即ち、加水分解により生成したアミノ基の量が多いものほど引張強度が低下しており、本発明の方法によりポリアミド系樹脂の劣化度を化学的な側面から正確に評価できることが分かる。【0050】実施例2:ナイロン6の劣化度評価(1)ポリアミド系樹脂ポリアミド系樹脂としてナイロン6を用いた。ナイロン6は未劣化のものと、それを加水分解して劣化させた加水分解品(200℃で2時間、5時間又は8時間加水分解したもの)とを用いた。【0051】(2)ナイロン6とアルデヒド化合物とのカップリング反応(誘導体化反応)アルデヒド化合物として10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドを用いた。ヘキサフルオロイソプロパノール20mlに未劣化ナイロン6又は加水分解処理ナイロン6(0.2g)と10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒド(0.2g)とを添加して室温で24時間反応させた。得られた生成物をクロロホルムで過剰の10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドを洗浄することにより精製してイミン化合物を得た。【0052】(3)イミン化合物の可視紫外線吸光度測定上記(2)で得られたイミン化合物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して濃度0.01g/10mlの吸光度測定用試料を調製し、これを測定波長249nmで吸光度を測定した。その結果を図2に示す。【0053】また、未劣化ナイロン6及び加水分解処理ナイロン6について、ASTM−D638−84に準拠して下記の条件で引張強度試験を行なった。引張強度試験の結果も図2に併せて示す。試験片厚さ :3.2mmダンベル平行部長さ:50mm試験速度 :10mm/min(チャック間距離:114mm)試験温度 :23℃【0054】図2の結果より、吸光度が大きいものほど、即ち、加水分解により生成したアミノ基の量が多いものほど引張強度が低下しており、本発明の方法によりポリアミド系樹脂の劣化度を化学的な側面から正確に評価できることが分かる。【0055】【発明の効果】本発明により、ポリアミド系樹脂の劣化度を正確に且つ容易に評価できる方法が提供される。従来の劣化度評価方法は引張試験等により強度を評価するものであるので劣化の原因までは判断できなかったが、本発明の方法はポリアミド系樹脂の化学的な劣化を評価するため、本発明の方法によりポリアミド系樹脂の劣化の原因やメカニズム等の解析が可能となる。また、本発明の方法は寸法や形状に関係なく微量のポリアミド試料があれば実施することができ、例えば、従来では劣化度を測定することが不可能であった曲面を有するポリアミド樹脂成形品等でも劣化度を測定することができる。【図面の簡単な説明】【図1】未劣化及び劣化ナイロン66の可視紫外線吸光度測定結果と引張試験の試験結果とを示すグラフである。【図2】未劣化及び劣化ナイロン6の可視紫外線吸光度測定結果と引張試験の試験結果とを示すグラフである。 一般式(I):(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)で表されるアルデヒド化合物とポリアミド系樹脂とを反応させ、反応生成物の可視紫外線吸光度を測定することを含むポリアミド系樹脂の劣化度評価方法。 前記式(I)のアルデヒド化合物が4−ベンジルオキシベンズアルデヒドである請求項1記載の方法。 一般式(II):(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)で表されるアルデヒド化合物とポリアミド系樹脂とを反応させ、反応生成物の可視紫外線吸光度を測定することを含むポリアミド系樹脂の劣化度評価方法。 前記式(II)のアルデヒド化合物が10−メチルアントラセン−9−カルボキシアルデヒドである請求項3記載の方法。 【課題】どのような試験片形状でも適用でき、また局所的な劣化度を測定することができ、さらには化学的要因による劣化を正確に且つ容易に評価できるポリアミド系樹脂の劣化度評価方法を提供する。【解決手段】一般式(I):【化1】(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基及びアリール基からなる群より選択される基である。)で表されるアルデヒド化合物とポリアミド系樹脂とを反応させ、反応生成物の可視紫外線吸光度を測定することを含むポリアミド系樹脂の劣化度評価方法。【選択図】 なし