生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アミノ酸組成物及び補液
出願番号:2003155397
年次:2010
IPC分類:A61K 31/198,A23L 1/305,A61K 31/401,A61K 31/405,A61K 31/4172,A61P 3/00


特許情報キャッシュ

阿部 岳 澤井 保子 JP 4528925 特許公報(B2) 20100618 2003155397 20030530 アミノ酸組成物及び補液 独立行政法人理化学研究所 503359821 明治乳業株式会社 000006138 阿部 岳 598114815 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 阿部 岳 澤井 保子 20100825 A61K 31/198 20060101AFI20100805BHJP A23L 1/305 20060101ALI20100805BHJP A61K 31/401 20060101ALI20100805BHJP A61K 31/405 20060101ALI20100805BHJP A61K 31/4172 20060101ALI20100805BHJP A61P 3/00 20060101ALI20100805BHJP JPA61K31/198A23L1/305A61K31/401A61K31/405A61K31/4172A61P3/00 A61K 31/00 - 31/327 A61P 1/00 - 43/00,171 A23L 1/27 - 1/308 CAPLUS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 米国特許第05719119(US,A) 米国特許第05719134(US,A) 米国特許出願公開第2002/0106436(US,A1) 国際公開第91/009524(WO,A1) 特開平11−302163(JP,A) 特開平05−058889(JP,A) 特開平03−500775(JP,A) 特開平08−073351(JP,A) 特開平11−302164(JP,A) 特許第2518692(JP,B2) 阿部 岳,スズメバチ栄養液の運動への作用,ミツバチ科学,1995年 1月10日,16巻1号,pp.1-8 3 2004352696 20041216 11 20060529 清野 千秋 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、スズメバチ(Vespa 属)の幼虫が分泌するだ液中に含まれるアミノ酸類で構成される組成物の知見から得られたアミノ酸組成物に関し、さらに詳しくは、激しい運動に伴う血中アミノ酸の減少を補い、運動機能の向上と運動後の疲労軽減及び疲労回復効果を有し、さらに、強い負荷に伴う無酸素運動下で体脂肪を運動エネルギーに利用するプロセスを促進する働きを向上させる効果を有するアミノ酸組成物及びそれを含有する補液に関する。【0002】【従来の技術】本発明者らは、種々のスズメバチの幼虫が分泌するだ液について研究し、スズメバチ栄養液が運動時に疲労物質の生成を抑制し、血糖値の低下を防ぎ、さらに運動能力の向上をもたらすことを明らかにしている(特許文献1)。さらに、その作用機作は運動時のエネルギーとして脂肪の利用を促進する働きであることを明らかにした(非特許文献1)。この栄養液の主成分であるVAAM(Vespa Amino Acid Mixture) は、上記の作用の他にも運動を伴う疲労の回復など様々な効果が示唆されている(特許文献2〜5)。【0003】一方、運動による疲弊で血液中のアミノ酸バランスが大きく崩れることが知られている(非特許文献2)。これは運動に伴うストレスによる体組織の磨耗、破壊の結果もたらされるものと考えられている。しかしながら、今日に至るまで、その生理的な意味と重大性に付いて全く注意が向けられていない。【0004】本発明者はさらに運動後の血中アミノ酸濃度とVAAMのアミノ酸組成について検討した結果、VAAMのアミノ酸組成は運動による疲弊で減少する血中アミノ酸と極めて高い相関を示していることを見出した。つまり、疲弊により、減少の激しいアミノ酸ほどVAAM中に多く含まれていることが明らかになった。従って、これらのアミノ酸の補填は運動機能の向上と疲労の改善に不可欠であると考えられる(特許文献6)。一方、トレハロースは運動時のマウス血清非エステル化脂肪酸(NEFA) の濃度を著しく増加させることが明らかになっている(特許文献7)。ところで、スズメバチの栄養液の中にはかなりの量のトレハロースが含まれている(非特許文献3) 。そこで、トレハロースとVAAMを同時に投与したところ、更に強い運動機能の向上が図れることを見出した(特許文献8)。【0005】このようにVAAMは有酸素持久運動下で体脂肪を運動エネルギーに利用するプロセスを促進する働きを持っている。しかし、この作用はマラソンのような長時間の運動には極めて有効であるが、短時間の強い運動負荷に対しては必ずしも有効でない場合がある。そこで短時間の強負荷運動に、より有効なアミノ酸混合物に対する強い要望がある。【0006】【特許文献1】特許第2518692号【特許文献2】特開平4−95026号公報【特許文献3】特開平4−112825号公報【特許文献4】特開平6−336426号公報【特許文献5】特開平6−336432号公報【特許文献6】特開平9−249556号公報【特許文献7】特開平5−186353号公報【特許文献8】特開2000−72669【非特許文献1】阿部ら、Jap. J. Physical Fitness & Sports Med.44, 225 (1995)【非特許文献2】T.Bazzarreら、J. Am. Collage Nutr. 11, 531 (1992)【非特許文献3】阿部ら、Comp. Biochem. Physiol. 99C, 79 (1991)【0007】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、VAAM等のアミノ酸組成物において必ずしも充分とはいえない、強い負荷に伴う無酸素運動下で体脂肪を運動エネルギーに利用するプロセスを促進する働きを向上させる効果を有するアミノ酸組成物を提供することである。本発明の他の目的は、VAAMの持つ運動機能向上作用を出来るだけ維持したまま、無酸素運動による乳酸値の上昇を出来るだけ抑制するようなアミノ酸組成物を提供することである。本発明のさらに他の目的は、上記アミノ酸組成物を含む補液を提供することである。【0008】【課題を解決するための手段】本発明は以下に示すアミノ酸組成物及び補液を提供するものである。1.アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。2.アラニン(12モル以下)、アルギニン(5モル以下)、アスパラギン酸(1モル以下)、グルタミン酸(4モル以下)、グリシン(7〜20モル)、ヒスチジン(5モル以下)、イソロイシン(3〜9モル)、ロイシン(2〜12モル)、リジン(5〜11モル)、メチオニン(5モル以下)、フェニルアラニン(0.5〜5モル)、プロリン(4〜30モル)、セリン(5モル以下)、スレオニン(2〜15モル)、トリプトファン(5モル以下)、チロシン(1〜9モル)、バリン(4〜8モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。3.アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。【0009】4.アラニン(12モル以下)、アルギニン(5モル以下)、アスパラギン酸(1モル以下)、グリシン(7〜20モル)、ヒスチジン(5モル以下)、イソロイシン(3〜9モル)、ロイシン(2〜12モル)、リジン(5〜11モル)、メチオニン(5モル以下)、フェニルアラニン(0.5〜5モル)、プロリン(4〜30モル)、セリン(5モル以下)、スレオニン(2〜15モル)、トリプトファン(5モル以下)、チロシン(1〜9モル)、バリン(4〜8モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。5.アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。6.アラニン(12モル以下)、アルギニン(5モル以下)、アスパラギン酸(1モル以下)、グルタミン酸(4モル以下)、グリシン(7〜20モル)、ヒスチジン(5モル以下)、イソロイシン(3〜9モル)、ロイシン(2〜12モル)、リジン(5〜11モル)、メチオニン(5モル以下)、フェニルアラニン(0.5〜5モル)、プロリン(4〜30モル)、セリン(5モル以下)、スレオニン(2〜15モル)、チロシン(1〜9モル)、バリン(4〜8モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。【0010】7.アラニン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。8.アラニン(12モル以下)、アルギニン(5モル以下)、グルタミン酸(4モル以下)、グリシン(7〜20モル)、ヒスチジン(5モル以下)、イソロイシン(3〜9モル)、ロイシン(2〜12モル)、リジン(5〜11モル)、フェニルアラニン(0.5〜5モル)、プロリン(4〜30モル)、セリン(5モル以下)、スレオニン(2〜15モル)、トリプトファン(5モル以下)、チロシン(1〜9モル)、バリン(4〜8モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。9.アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。【0011】10.アラニン(8.4〜15.6モル)、アルギニン(2.4〜4.6モル)、アスパラギン酸(1モル以下)、グルタミン酸(2.2〜10.4モル)、グリシン(13.3〜24.9モル)、ヒスチジン(1.8〜11.9モル)、イソロイシン(3.1〜5.9モル)、ロイシン(4.3〜8.1モル)、リジン(6.0〜11.2モル)、メチオニン(1モル以下)、フェニルアラニン(2.6〜5.0モル)、プロリン(12.6〜23.4モル)、セリン(1.7〜3.3モル)、スレオニン(5.0〜9.4モル)、トリプトファン(1.5〜2.9モル)、チロシン(4.2〜7.8モル)、バリン(8.2〜15.4モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。11.アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。12.アラニン(8.4〜15.6モル)、アルギニン(2.4〜4.6モル)、アスパラギン酸(1モル以下)、グリシン(13.3〜24.9モル)、ヒスチジン(1.8〜11.9モル)、イソロイシン(3.1〜5.9モル)、ロイシン(4.3〜8.1モル)、リジン(6.0〜11.2モル)、メチオニン(1モル以下)、フェニルアラニン(2.6〜5.0モル)、プロリン(12.6〜23.4モル)、セリン(1.7〜3.3モル)、スレオニン(5.0〜9.4モル)、トリプトファン(1.5〜2.9モル)、チロシン(4.2〜7.8モル)、バリン(8.2〜15.4モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。【0012】13.アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。14.アラニン(8.4〜15.6モル)、アルギニン(2.4〜4.6モル)、アスパラギン酸(1モル以下)、グルタミン酸(2.2〜10.4モル)、グリシン(13.3〜24.9モル)、ヒスチジン(1.8〜11.9モル)、イソロイシン(3.1〜5.9モル)、ロイシン(4.3〜8.1モル)、リジン(6.0〜11.2モル)、メチオニン(1モル以下)、フェニルアラニン(2.6〜5.0モル)、プロリン(12.6〜23.4モル)、セリン(1.7〜3.3モル)、スレオニン(5.0〜9.4モル)、チロシン(4.2〜7.8モル)、バリン(8.2〜15.4モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。15.アラニン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンからなるアミノ酸組成物。16.アラニン(8.4〜15.6モル)、アルギニン(2.4〜4.6モル)、グルタミン酸(2.2〜10.4モル)、グリシン(13.3〜24.9モル)、ヒスチジン(1.8〜11.9モル)、イソロイシン(3.1〜5.9モル)、ロイシン(4.3〜8.1モル)、リジン(6.0〜11.2モル)、フェニルアラニン(2.6〜5.0モル)、プロリン(12.6〜23.4モル)、セリン(1.7〜3.3モル)、スレオニン(5.0〜9.4モル)、トリプトファン(1.5〜2.9)、チロシン(4.2〜7.8モル)、バリン(8.2〜15.4モル)、及びグルタミン(0.01〜20モル)を上記のモル比で含むアミノ酸組成物。17.上記1〜16のいずれか1項記載のアミノ酸組成物を含有する補液。【0013】【発明の実施の形態】VAAMは運動時に必要な様々な身体機能を総合的に活性化する働きのあることが明らかにされている。VAAMに不足している機能は強い負荷に伴う無酸素運動を向上させる働きである。そこで、VAAMの持つ運動機能向上作用を出来るだけ維持したまま、無酸素運動による乳酸値の上昇を出来るだけ抑制するよう、アミノ酸混合物の工夫を行った。マウスを用い、従来よりも強い運動負荷(遊泳あるいは瞬発運動)をかけ、試行錯誤の繰り返しにより、出来るだけ無酸素運動に対応できるアミノ酸組成物を検討した。その結果、従来のVAAMが有酸素持久運動に対応するものであるのに対して、これにグルタミンを含有させることにより強力な負荷が短時間に掛かる無酸素運動に対しても有効なアミノ酸組成物となることを見出し本発明を完成するに至った。以下本発明を詳細に説明する。【0014】本発明に使用する基本となるアミノ酸組成物は、特許文献1〜8、非特許文献1〜3に記載されているような組成物であり、特に好ましいものは、VAAMである。基本となるアミノ酸組成物100モルに対するグルタミンの添加量は0.01〜20モル、好ましくは1.0〜15モル、さらに好ましくは2.0〜10モルである。グルタミンの添加量が0.01モル未満では添加効果が充分でなく、また20モルを超えると、血中乳酸値が上昇するという問題がある。【0015】本発明のアミノ酸組成物には、特許文献8に示されるようにトレハロースを添加しても良い。本発明のアミノ酸組成物に添加されるトレハロースは、アミノ酸組成物とトレハロースの質量比で、好ましくは0.45〜1.6:0.5〜5.0、更に好ましくは0.8〜1.6:1.0〜4.0である。【0016】本発明のアミノ酸組成物は上記アミノ酸の他に、タウリン(Tau)(好ましくは3モル%以下)、リン酸エタノールアミン(P-EtAm)(好ましくは2モル%以下)、シスチン(Cys)(好ましくは0.5モル%以下)、β−アラニン(β−Ala)(好ましくは1モル%以下)、γ−アミノ酪酸(GABA) (好ましくは0.5モル%以下)、オルニチン(Orn)又はエタノールアミン(EtAm) (好ましくは3モル%以下)、アンモニア(NH3)(好ましくは2モル%以下)、1−メチルヒスチジン(1-MeHis)(好ましくは3モル%以下)、3−メチルヒスチジン(3-MeHis)(好ましくは1モル%以下)を含んでいてもよい。本発明に使用するアミノ酸組成物中のアミノ酸は、特にL−アミノ酸であることが好ましい。【0017】本発明のアミノ酸組成物を製造するにあたっては、市販の上記アミノ酸を上記の所定割合で混合すれば良い。また補液として使用する場合にはこれを、蒸留水に溶解すれば良い。通常は粉末状で均一に混合して組成物としておき、必要時に蒸留水に溶解すれば良い。本発明の組成物を製造、保存する温度は特に限定されないが、室温以下で製造、保存することが好ましい。本発明の組成物は微弱な苦味を呈し、マウスに経口投与した場合20g/kgでも全く毒性を発現せず、LD50は20g/kgを遥かに上まわる。【0018】本発明の組成物は、医薬又は飲料等の食品として有用である。医薬として用いる場合の投与形態は特に限定されないが、経口投与、直腸投与、注射、輸液による投与等の一般的投与経路を経ることができる。経口投与の場合には、上記組成を有する組成物として、あるいは医薬上許容される担体、賦形剤とともに錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤等の製剤として用いてもよい。ただし、錠剤や散剤等の固形製剤では吸収に時間がかかる場合もあるので、液剤等による経口投与が好ましい。その場合には、適当な添加物、例えば塩化ナトリウム等の塩類、緩衝剤、キレート剤等とともに水溶液として投与することが好ましい。また、注射剤としては、適当な緩衝剤、等張剤等を添加し、滅菌蒸留水に溶解したものを用いて、例えば静脈内に点滴静注すればよい。食品として用いる場合には、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料や粉末飲料、例えば、スプレードライ法、凍結乾燥法、ミクロファインパウダー法等により作成した粉末をカプセル化したもの、あるいは錠剤の形態とすることができる。【0019】本発明の組成物は極めて低毒性であり、投与量は非常に広範に設定できる。投与量は、投与方法、使用目的により異なるが、組成物の固形分として通常、1回1〜12g、一日の投与量として3〜18g、好ましくは1回に2〜4g、1日投与量として6〜12gである。本発明の組成物を、運動開始前、運動中、または運動後の補液として使用する場合、0.8〜3.8質量%溶液として、1日当たり200〜500mlを1〜3回投与すればよい。注射剤としては0.8〜3.8質量%溶液として1回あたり100〜400ml、好ましくは150〜300mlを投与すればよい。【0020】【実施例】以下に本発明を試験例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。動物;12〜16時間、絶食したマウスddY♂(6〜8週令)に各種アミノ酸栄養液を37.5μl/g体重あたり経口投与し、30分間静置後35℃の流水プールで遊泳運動をさせた。負荷遊泳の場合には尾に0.3gあるいは0.47gのおもりを付けた。血液代謝物質の分析時には遊泳30分後のマウスを直ちに採血して行った。栄養液;以下のようなアミノ酸組成のGVAAM及びポジティブ・コントロールにVAAM、CAAM(Casein amino acid mixture)及びGCAAMを用いた。【0021】【表1】【0022】血液生化学分析1.血中乳酸値運動時の疲労物質である血中乳酸値は採血した血液を6%PCAで除蛋白した上清を用いて以下のようなLactate Dehydrogenase法によって生成するNADH の280nmの吸収を測定した。Lactate + NAD →(Lactate Dehydrogenase)→ Pyruvate + NADH2.血糖値血中乳酸値と同様PCA処理した上清を用い、以下のようなHexokinase 法で測定した。D-Glucose + ATP →(Hexokinase)→ D-Glucose-6-P + ADPD-Glucose-6-P + NADP →(G6P Dehydrogenase)→ D-Gluconate-6-P +NADPH +H生成するNADPHをOD280nmで測定した。3.遊離脂肪酸値採血後30分静置し、3000RPMで遠心分離し、その上清(血清)を用いた。測定は以下のような酵素法を用いて行った。【0023】【化1】【0024】結果1.負荷遊泳運動による負荷の増加に対する運動能力の向上作用VAAMは従来から有酸素呼吸で行われる総合的な持久運動機能の向上を計ることが知られている。そこで、無酸素呼吸運動を行わせるために、マウスを用いて、遊泳運動時に尾に重りを負荷し、その重量を変えることによって無酸素運動の割合を増加した。0.3g負荷によって、VAAM+グルタミン(GVAAM)、CAAM+グルタミン(GCAAM)、VAAM、CAAMの4種類のアミノ酸栄養液を経口投与し、強制負荷遊泳を行った。その結果、GVAAM群が最も長時間泳ぐことが出来、次にVAAM群、そしてGCAAM群、CAAMの順であった(図1)。【0025】そこで、更にGVAAM群とVAAM群に付いて比較検討を行った。再度、1群10匹で、0.3gの負荷で遊泳を行い、有意な差でGVAAM群がVAAM群よりも長時間泳げることが分かった(図2)。無酸素呼吸量を増やすために、更に遊泳時の負荷を0.47gに上げ、両者を比較したところ、軽負荷時と同様に有意にGVAAM群が長時間の遊泳をした(図3)。これらのことから、運動負荷が大きくなり、無酸素呼吸運動の割合が増加するほどアミノ酸組成物GVAAMはVAAMに較べ運動能力を向上促進することが明らかとなった。【0026】2.負荷遊泳運動時の血中疲労物質、血糖、遊離脂肪酸の変動これまでにVAAMは有酸素持久運動時に脂肪の燃焼を促進し、疲労物質の上昇を抑制し、更に血糖値の低下を抑えた。つまり、VAAMは脂肪の運動エネルギーへの変換を促進し、長距離走などの有酸素持久運動の向上を促した。そこで、0.47gの強負荷遊泳運動下で、運動機能と密接に関係している血液生化学的因子をVAAMと比較したところ、遊離脂肪酸値(NEFA値)はGVAAMがVAAMに較べて、有意に低く(図4)、VAAMの方が強負荷状態では脂肪燃焼力が優れていることを示した。このことはVAAMが運動エネルギーを脂肪燃焼促進で生産するのとは異なり、GVAAMは強負荷運動下でVAAMとは異なった作用機序で運動エネルギーを生産していることを示唆している。血中乳酸値はGVAAM群がVAAM群より低く(図5)、血糖値はGVAAM群が有意にVAAMより高い値を示した(図6)。これらの結果は、強負荷酸欠運動状態に於いて、GVAAMが乳酸値の低下を促すと同時に血糖値の上昇を促し、運動機能の向上をもたらすことを示している。これは従来のVAAMが示す有酸素持久運動時の脂肪エネルギーを使ってのパフォーマンスの向上とはその作用機序に基本的な違いがあることを示唆している。【0027】【発明の効果】本発明のアミノ酸組成物は、VAAMのような運動機能亢進作用の強いアミノ酸組成物に、糖源性のアミノ酸であるグルタミンを加えたものであり、無酸素強負荷運動に対して、VAAMよりも更に有効な運動機能向上効果を奏し、無酸素呼吸時の運動機能に対しても強い促進効果がある。【図面の簡単な説明】【図1】マウスにGVAAM、GCAAM、VAAM又はCAAMを経口投与し、0.3gの負荷を与え遊泳させた結果を示す図面である。【図2】マウスにGVAAM又はVAAMを経口投与し、0.3gの負荷を与え遊泳させた結果を示す図面である。【図3】マウスにGVAAM又はVAAMを経口投与し、0.47gの負荷を与え遊泳させた結果を示す図面である。【図4】マウスにGVAAM又はVAAMを経口投与し、0.47gの負荷を与え遊泳させた後の遊離脂肪酸値(NEFA値)を示す図面である。*は、有意差(p<0.05)があることを示している。【図5】マウスにGVAAM又はVAAMを経口投与し、0.47gの負荷を与え遊泳させた後の血中乳酸値を示す図面である。【図6】マウスにGVAAM又はVAAMを経口投与し、0.47gの負荷を与え遊泳させた後の血糖値(グルコース)を示す図面である。*は、有意差(p<0.05)があることを示している。 強い負荷に伴う無酸素運動下で体脂肪を運動エネルギーに利用するプロセスを促進する働きを向上させる補液を製造するためのアミノ酸組成物の使用であって、 該アミノ酸組成物が(A)アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる基本アミノ酸組成物、及び(B)グルタミンからなり、上記基本アミノ酸組成物はアラニン(12モル以下)、アルギニン(5モル以下)、アスパラギン酸(1モル以下)、グルタミン酸(4モル以下)、グリシン(7〜20モル)、ヒスチジン(5モル以下)、イソロイシン(3〜9モル)、ロイシン(2〜12モル)、リジン(5〜11モル)、メチオニン(5モル以下)、フェニルアラニン(0.5〜5モル)、プロリン(4〜30モル)、セリン(5モル以下)、スレオニン(2〜15モル)、トリプトファン(5モル以下)、チロシン(1〜9モル)、及びバリン(4〜8モル)を上記のモル比で含み、基本アミノ酸組成物100モルに対するグルタミンの添加量が0.01〜20モルであることを特徴とする使用。 アミノ酸組成物100モルに対するグルタミンの添加量が、1.0〜15モルである請求項1記載の使用。 アミノ酸組成物100モルに対するグルタミンの添加量が、2.0〜10モルである請求項1記載の使用。


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