生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_インジェクション装置及びインジェクション方法
出願番号:2003148627
年次:2007
IPC分類:G01N 30/24,B01J 4/02,G01N 35/10


特許情報キャッシュ

矢嶋 一賀 村上 佳裕 繁田 知秀 上川 忠文 JP 3921183 特許公報(B2) 20070223 2003148627 20030527 インジェクション装置及びインジェクション方法 アステラス製薬株式会社 000006677 株式会社大日本精機 591017892 前田 弘 100077931 小山 廣毅 100094134 竹内 宏 100110939 嶋田 高久 100110940 竹内 祐二 100113262 今江 克実 100115059 藤田 篤史 100115691 二宮 克也 100117581 原田 智雄 100117710 後藤 高志 100121500 井関 勝守 100121728 矢嶋 一賀 村上 佳裕 繁田 知秀 上川 忠文 20070530 G01N 30/24 20060101AFI20070510BHJP B01J 4/02 20060101ALI20070510BHJP G01N 35/10 20060101ALI20070510BHJP JPG01N30/24 ZG01N30/24 EG01N30/24 JB01J4/02 BG01N35/06 C G01N 30/24 B01J 4/02 G01N 35/10 特開平 9−311095(JP,A) 特開2002−286737(JP,A) 特開平 9− 89906(JP,A) 特開平 7− 35769(JP,A) 5 2004354058 20041216 9 20050314 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、インジェクション装置及びインジェクション方法に関し、特に、微少量のサンプル液のインジェクション対策に係るものである。【0002】【従来の技術】従来より、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCともいう。)は、広範囲の分野に利用されている。このHPLCは、例えば、特許文献1に示すように、カラムに移動相を供給して試料サンプルの分離精製等を行うように構成されている。【0003】そして、新規トレーサを汎用的に自動合成するためには、分離精製工程において、上述したHPLCを利用することが必須条件となる。【0004】【特許文献1】特開2002−350412号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】上述したHPLCを用いた分離精製操作において、最も難しいとされるのは、分離の対象とする微量の反応混合液(サンプル液)に気泡を混入させることなく、その全液量をサンプル容器から吸引し、HPLCのシステムにインジェクションする操作である。【0006】従来、このような場合には、手動等で行われているのが現状であった。したがって、このインジェクションでは、混合液(サンプル液)の全量を使用しようとすると、気泡を抜く操作に時間がかかるという問題があった。【0007】また、サンプル液の全量を吸引しない場合には、サンプル容器の周壁や底に残るサンプル液をも回収して使用する必要がある。このことから、混合液量と比較して多量の洗浄液を用い、これらの洗浄液も同時に注入するため、HPLCに注入する全量が多くなる。その結果、HPLCにより分取する液量が多くなり、この後の操作に時間がかかってしまうという問題点があった。【0008】特に、PET(Positron Emission Tomography)用のトレーサは短半減期核種であるC−11(半減期20.4min)などを用いるため、迅速に効率よくトータルの合成を行なう必要がある。したがって、上記インジェクションに時間を要すると、高効率の合成を行うことができないという問題があった。【0009】本発明は、斯かる点に鑑みて成されたもので、正確に微量のサンプル液の全量を、気泡が混入することなく、サンプル容器から吸引し、HPLCなどにインジェクションする操作が可能となる装置及び方法を提供することを目的とするものである。【0010】具体的に、本発明は、低ボリューム(約100μl以下)のサンプル液の全量を吸引し、エアー(気泡)を入れることなくHPLCなどにサンプル液の全量を注入することを目的とするものである。【0011】【課題を解決するための手段】〈発明の概要〉本願発明者らは、従来、貴重なサンプル液を全て(ほぼ100%)分離精製装置にインジェクションする機構は、望まれているにもかかわらず、一般に知られているものはほとんどない点に着目し、本発明を成したものである。【0012】特に、PET用のトレーサを対象とするときは、全てのサンプル液を打ち込むことが重要であると同時に、シャープなピークを得て、分取を迅速に行なう必要があることから、打ち込む液量をできる限り、必要最低限に抑える必要がある。そこで対象となる液量は100μl(マイクロリットル)以下の微量サンプルとなるが、この条件ではサンプル容器から全量を吸引する際に気泡の混入が起こることにより、分離・精製が困難となる。このように、従来、貴重なサンプル液を全て分離精製装置にインジェクションする機構又は装置は皆無であった。【0013】本発明者は、永年の鋭意研究の結果、100μl以下の微量な液体を対象に、その全量のサンプル液をHPLCなどの分離・精製する装置にインジェクションすることが可能な機構及び方法を開発したものである。【0014】〈解決手段〉具体的に、第1の発明は、サンプル液をサンプル容器からサンプル導入装置へ注入するためのインジェクション装置を対象としている。そして、上記サンプル液を吸引するためのノズルと、上記ノズルにサンプル液を吸引する一方、該ノズルからサンプル液を吐出させる吸引吐出機構と、上記サンプル液の下端を検知する検知手段とを備えている。更に、上記ノズルをサンプル容器に挿入した状態において、上記サンプル容器のサンプル液を空気と共にノズルに吸引するように上記吸引吐出機構を制御する吸引制御手段を備えている。加えて、上記ノズルの下端が検知手段の検知レベルより所定高さ上昇した位置において、ノズルよりサンプル液を吐出させ、ノズルの先端にサンプル液の液玉を上記検知手段の検知レベルまで形成した後、該液玉を一旦ノズル内に吸引し、該サンプル液をサンプル導入装置に注入するように上記吸引吐出機構を制御する吐出制御手段を備えている。【0015】第2の発明は、上記第1の発明において、上記サンプル導入装置が、サンプル液中の成分を分離・精製する装置である構成としている。【0016】第3の発明は、上記第2の発明において、上記サンプル導入装置が、液体クロマトグラフィーである構成としている。【0017】第4の発明は、サンプル液をサンプル容器からサンプル導入装置へ注入するためのインジェクション方法を対象としている。先ず、上記サンプル液を吸引するためのノズルをサンプル容器に挿入して該サンプル容器のサンプル液を空気と共にノズルに吸引する吸引工程を備えている。そして、上記ノズルの下端を検知する検知手段の検知レベルにノズルを移動させた後、ノズルを所定高さだけ上昇させる位置調整工程を備えている。更に、上記ノズルの下端が検知手段の検知レベルより所定高さ上昇した位置において、ノズルよりサンプル液を吐出させてノズルの先端にサンプル液の液玉を検知手段が検知するまで形成する液玉形成工程を備えている。加えて、上記液玉を一旦ノズル内に吸引する再吸引工程を備えている。その上、上記サンプル液をノズル内に再吸引したノズルをサンプル導入装置に挿入してノズルのサンプル液をサンプル導入装置に注入する注入工程を備えている。【0018】第5の発明は、上記第4の発明において、上記サンプル導入装置が、液体クロマトグラフィーである構成としている。【0019】すなわち、本発明では、サンプル液をノズルに吸引した後、ノズルの先端にサンプル液の液玉を形成して気泡抜きの工程を備え、空気を放出させた後、サンプル液をサンプル導入装置に吐出させる。【0020】【発明の効果】したがって、本発明によれば、貴重なサンプル液の全て(ほぼ100%)を分離・精製する装置などにインジェクションすることができる。【0021】特に、本発明は、100μl以下の微量サンプル液に気泡の混入を確実に抑制することができる。【0022】この結果、PET用のトレーサを対象とするとき、全てのサンプル液を打ち込むことができるため、多量の洗浄液(サンプル回収液)を必要とせず、HPLCなどに注入する量が少なく、シャープなピークを得て、分離・精製を迅速に行なうことができる。【0023】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。【0024】図1〜図6に示すように、本実施形態のインジェクション装置1は、HPLCに反応混合液であるサンプル液2をインジェクションするための装置である。【0025】上記インジェクション装置1は、サンプル液2をサンプル容器であるサンプル瓶3から吸入し、サンプル導入装置であるHPLCの注入口4へ注入するためのノズル5を備えている。【0026】上記ノズル5は、駆動機構6に設けられている。該駆動機構6は、ノズル5の移動機構61と、サンプル液2の吸引吐出機構62とを備え、コントローラ7によって制御されるように構成されている。【0027】上記移動機構61は、図示しないが、ノズル5を移動させるアームを備え、該ノズル5を上下方向及び左右方向の2次元方向(X−Z軸方向)に移動させるように構成されている。【0028】上記吸引吐出機構62は、図示しないが、パルスモータを備え、サンプル液2をノズル5に吸引する一方、該サンプル液2をノズル5より吐出するように構成されている。【0029】更に、上記インジェクション装置1は、検知手段である液面センサ8を備えている。該液面センサ8は、ノズル5の下端及びサンプル液2の液玉21の下端を検知し、検知信号をコントローラ7に出力するように構成されている。この液面センサ8は、例えば、注入口4の上部に設置されている。【0030】上記コントローラ7には、移動機構61を制御するための位置調整手段71と、サンプル液2の吸引制御手段72と、サンプル液2の吐出制御手段73とを備えている。【0031】上記位置調整手段71は、ノズル5をサンプル瓶3及び注入口4に対して降下及び上昇させると共に、ノズル5をサンプル瓶3と注入口4との間で往復移動させるように移動機構61を制御する。【0032】上記吸引制御手段72は、サンプル液2をサンプル瓶3などからノズル5に吸引するように吸引吐出機構62を制御する。【0033】上記吐出制御手段73は、サンプル液2をノズル5から注入口4などに吐出するように吸引吐出機構62を制御する。【0034】尚、上記注入口4は、HPLCのカラム(図示省略)に導管41によって接続されている。【0035】〈作用〉次に、上述したインジェクション装置1によるサンプル液2のインジェクション方法について説明する。【0036】先ず、図1に示すように、約100μl(マイクロリットル)の微量の反応混合液であるサンプル液2が収納されたサンプル瓶3を設置する。【0037】続いて、位置調整手段71によって移動機構61を制御し、ノズル5を降下させて上記サンプル瓶3に挿入する。【0038】次いで、吸引制御手段72によって吸引吐出機構62を制御し、図2に示すように、サンプル瓶3のサンプル液2を吸引する(吸引工程)。その際、サンプル液2が微量であり、全量を吸引する必要から、空気もノズル5に吸引することになる。つまり、気泡がノズル5にサンプル液2と共に吸引されることになる。【0039】その後、図3に示すように、上記位置調整手段71によって移動機構61を制御し、ノズル5を上昇させて上記サンプル瓶3より抜き出し、図4に示すように、液面センサ8の上方に移動させる。つまり、この液面センサ8が、例えば、HPLCの注入口4の上部に設置されているので、上記ノズル5を注入口4の上方に移動させる。【0040】続いて、図7に示すように、上記位置調整手段71によって移動機構61を制御し、上記ノズル5の下端が液面センサ8の検知レベルSLに位置するようにノズル5を降下させた後、ノズル5を所定高さだけ上昇させる(位置調整工程)。例えば、図8に示すように、上記ノズル5を検知レベルSLより0.5mmだけ上昇させる。【0041】引き続いて、図5及び図9に示すように、吐出制御手段73によって吸引吐出機構62を制御し、上記ノズル5の下端が液面センサ8の検知レベルSLより所定高さ上昇した位置において、ノズル5よりサンプル液2を落下しないように吐出させ、ノズル5の先端にサンプル液2の液玉21を形成する。そして、この液玉21は、液面センサ8が検知する大きさまで形成する(液玉形成工程)。上記液玉21の形成によって、ノズル5に吸い込まれた気泡が外部に放出され、サンプル液2から気泡が放出されることになる。尚、上記位置調整工程におけるノズル5の上昇高さは、液玉21が形成され得る程度であればよい。【0042】その後、図10に示すように、吸引制御手段72によって吸引吐出機構62を制御し、上記液玉21を一旦ノズル5内に吸引する(再吸引工程)。その際、サンプル液2は、ノズル5に空気が入らないように、その下端がノズル5の下端にほぼ一致するまで吸引される。【0043】最後に、図6に示すように、上記位置調整手段71によって移動機構61を制御し、上記ノズル5を降下させて注入口4に挿入した後、吐出制御手段73によって吸引吐出機構62を制御し、ノズル5のサンプル液2を注入口4に吐出させる(吐出工程)。この注入口4のサンプル液2は、導管41を流れてHPLCのカラムに流れるので、分離したい成分を含む移動相を採取し、濃縮して当該成分を得る。【0044】〈実施形態の効果〉以上のように、本実施形態によれば、微量のサンプル液2の全量を吸引し、空気を入れることなくサンプル液2の全量をHPLCの注入口4にインジェクションすることができる。【0045】特に、100μl以下の微量サンプル液2への気泡の混入を確実に抑制することができる。【0046】この結果、PET用のトレーサを対象とするとき、全てのサンプル液を打ち込むことができるため、多量の洗浄液(サンプル回収液)を必要としない。この結果、HPLCに注入する量を少なくすることができるので、シャープなピークを得て、分離・精製を迅速に行なうことができる。【0047】【発明の他の実施の形態】上記実施形態においては、インジェクション装置1をHPLCに設けるようにしたが、本発明は、液体クロマトグラフィーの他、各種のインジェクション装置及びインジェクション方法に適用し得ることは勿論である。したがって、サンプル液も実施形態に限定されるものではない。【図面の簡単な説明】【図1】本発明のインジェクション装置の概略構成を示す構成図である。【図2】サンプル液の全量の吸引後を示すインジェクション装置の一部省略構成図である。【図3】ノズルの上昇時を示すインジェクション装置の一部省略構成図である。【図4】ノズルの液面センサへの移動を示すインジェクション装置の一部省略構成図である。【図5】液玉の形成時を示すインジェクション装置の一部省略構成図である。【図6】ノズルの注入口への降下時を示すインジェクション装置の一部省略構成図である。【図7】ノズルの検知レベルへの降下時を示すインジェクション装置の要部の拡大構成図である。【図8】ノズルの検知レベルから所定高さの上昇時を示すインジェクション装置の要部の拡大構成図である。【図9】液玉の形成時を示すインジェクション装置の要部の拡大構成図である。【図10】液玉の吸引時を示すインジェクション装置の要部の拡大構成図である。【符号の説明】1 インジェクション装置2 サンプル液21 液玉3 サンプル瓶(サンプル容器)4 注入口5 ノズル6 駆動機構61 移動機構62 吸引吐出機構7 コントローラ71 位置調整手段72 吸引制御手段73 吐出制御手段8 液面センサ(検知手段) サンプル液をサンプル容器からサンプル導入装置へ注入するためのインジェクション装置であって、上記サンプル液を吸引するためのノズルと、上記ノズルにサンプル液を吸引する一方、該ノズルからサンプル液を吐出させる吸引吐出機構と、上記サンプル液の下端を検知する検知手段と、上記ノズルをサンプル容器に挿入した状態において、上記サンプル容器のサンプル液を空気と共にノズルに吸引するように上記吸引吐出機構を制御する吸引制御手段と、上記ノズルの下端が検知手段の検知レベルより所定高さ上昇した位置において、ノズルよりサンプル液を吐出させ、ノズルの先端にサンプル液の液玉を上記検知手段の検知レベルまで形成した後、該液玉を一旦ノズル内に吸引し、該サンプル液をサンプル導入装置に注入するように上記吸引吐出機構を制御する吐出制御手段とを備えていることを特徴とするインジェクション装置。 請求項1において、上記サンプル導入装置は、サンプル液中の成分を分離・精製する装置であることを特徴とするインジェクション装置。 請求項2において、上記サンプル導入装置は、液体クロマトグラフィーであることを特徴とするインジェクション装置。 サンプル液をサンプル容器からサンプル導入装置へ注入するためのインジェクション方法であって、上記サンプル液を吸引するためのノズルをサンプル容器に挿入して該サンプル容器のサンプル液を空気と共にノズルに吸引する吸引工程と、上記ノズルの下端を検知する検知手段の検知レベルにノズルを移動させた後、ノズルを所定高さだけ上昇させる位置調整工程と、上記ノズルの下端が検知手段の検知レベルより所定高さ上昇した位置において、ノズルよりサンプル液を吐出させてノズルの先端にサンプル液の液玉を検知手段が検知するまで形成する液玉形成工程と、上記液玉を一旦ノズル内に吸引する再吸引工程と、上記サンプル液をノズル内に再吸引したノズルをサンプル導入装置に挿入してノズルのサンプル液をサンプル導入装置に注入する注入工程とを備えていることを特徴とするインジェクション方法。 請求項4において、上記サンプル導入装置は、液体クロマトグラフィーであることを特徴とするインジェクション方法。


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