タイトル: | 公開特許公報(A)_痔疾治療剤 |
出願番号: | 2003116499 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K38/22,A61K9/06,A61K47/38,A61P1/00 |
加川 隆三郎 鮫島 輝行 JP 2004026808 公開特許公報(A) 20040129 2003116499 20030422 痔疾治療剤 天藤製薬株式会社 592066572 岩谷 龍 100077012 加川 隆三郎 鮫島 輝行 JP 2002129915 20020501 7 A61K38/22 A61K9/06 A61K47/38 A61P1/00 JP A61K37/24 A61K9/06 A61K47/38 A61P1/00 11 OL 9 4C076 4C084 4C076AA06 4C076AA09 4C076BB29 4C076BB31 4C076CC16 4C076CC18 4C076EE32 4C076FF01 4C076FF68 4C084AA02 4C084AA03 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA22 4C084BA23 4C084CA18 4C084CA53 4C084CA56 4C084CA59 4C084DB54 4C084MA05 4C084MA28 4C084MA63 4C084NA10 4C084NA14 4C084ZA662 4C084ZA892 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、肛門裂創、裂肛、痔瘻等の痔疾を治療する新規な痔疾治療剤に関する。【0002】【従来の技術】痔疾は肛門部又は直腸内に発生する特異な疾病ないし疾患であり、大きく分けて痔核、裂肛、痔瘻があり、その症状は出血、疼痛、腫れ、痒み等の症状を特徴とするものである。痔核とは、通常、肛門静脈叢が静脈瘤様に変化したものをいう。便秘、妊娠、喘息、長時間の座業、飲食等の原因で肛門部静脈叢にうっ血を繰り返すことにより、次第に痔核が形成される。痔核の発生部位により内痔核と外痔核がある。裂肛とは、例えば、過進展により急速にできた肛門上皮の裂創をいう。肛門裂創、痔裂、切れ痔、裂け痔等とも呼ばれており、排便時の肛門痛と出血が主な症状である場合が多い。痔瘻とは、直腸下部と肛門周囲皮膚とがバイパス状に交通された病態で、多くの場合、肛門周囲膿瘍が排膿された後に形成される。例えば、肛門腺から侵入した細菌が、内外括約筋間に感染巣を形成、炎症が様々な方向に波及して膿瘍を生じ、排膿されて瘻孔を形成している。また、痔疾には肛門内域の潰瘍性疾患も挙げられる。【0003】痔疾患の一つである急性裂肛の治療の多くは、抗炎症薬、局所麻酔薬、血管収縮薬、収斂剤等が単独又は配合剤として投与されている。抗炎症薬、局所麻酔薬、血管収縮薬、収斂剤等成分は痔疾患の症状の改善を目的としたものであり、保存的療法であり、厳密には治療を目的としたものではない。これらの薬剤は効果面において未だに十分に満足すべきものではなく、さらなる改善が望まれている。また、難治性にまで至った慢性裂肛では、外科的療法や内肛門括約筋の弛緩を目的としたニトログリセリン軟膏やニフェジピン軟膏等の治療薬が投与されている。ニトログリセリン軟膏はニトログリセリンが体内で代謝され、非コリンアドレナリン性抑制神経の伝達物質であるNO(一酸化窒素)となって平滑筋を弛緩させる作用を発揮する。カルシウム拮抗薬であるニフェジピンは筋肉の興奮収縮関連物質であるCaの平滑筋への流入を抑制して、血管平滑筋を弛緩させる。しかしながら、ニトログリセリン軟膏やカルシウム拮抗薬であるニフェジピン軟膏は、通常どのような投与経路をとっても全身作用が発現される。このような場合、循環器系の疾患を有している者は、既に使用している場合があり、薬理作用を分離またはコントロールしにくいという問題がある。また、ニトログリセリンにおいては頭痛等の副作用頻度が高く使用においてはかかる観点からも注意を有する。一方、痔瘻については外科的療法が主であり、効果的な治療薬はない。すなわち、痔瘻については、外科的療法においては手術後に開口部の治りが悪く難治性となる場合があり、このような場合に適した治療法は見当たらない。【0004】【発明が解決しようとする課題】このような現状において、従来の痔疾治療剤では十分な効果が得られているとはいい難い。そこで、本発明では有効性の高い痔疾治療剤を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく、従来痔疾治療に使用されたことがなかった種々の抗炎症薬、局所麻酔薬、血管収縮剤、収斂薬、溽瘡(床づれ)治療薬、皮膚潰瘍治療薬、抗癌薬、抗水虫薬、抗菌薬などについて痔疾治療効果を鋭意検討した結果、塩基性線維芽細胞増殖因子、特にトラフェルミンが従来の痔疾治療剤よりも優れた治療効果を奏し、しかも痔疾治癒時間を短くして、有効性の高い理想的な痔疾治療効果を有することを見いだし、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、塩基性線維芽細胞増殖因子を有効成分として含有する痔疾治療剤である。本発明における痔疾治療剤の用途は、本発明の痔疾治療剤を直接痔疾患部に投与して痔疾の治療を行うことや、痔疾手術の効果が不充分であり、手術後に本発明の痔疾治療剤を直接痔疾患部に投与して痔疾治療を行うことを含む。【0006】すなわち、本発明は、(1) 塩基性線維芽細胞増殖因子と医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする痔疾治療剤、(2) 対象疾患が裂肛である前記(1)に記載の痔疾治療剤、(3) 対象疾患が痔瘻である前記(1)に記載の痔疾治療剤、(4) 剤形が親水性の半固形製剤である前記(1)から(3)のいずれかに記載の痔疾治療剤、(5) 親水性の半固形製剤がゲルであることを特徴とする前記(4)に記載の痔疾患治療剤、(6) 製剤全体に対して、ヒドロキシプロピルセルロースを1〜15質量%含んでいることを特徴とする前記(5)に記載の痔疾患治療剤、(7) 剤形が疎水性の半固形製剤である前記(1)から(3)のいずれかに記載の痔疾治療剤、(8) 塩基性線維芽細胞増殖因子がトラフェルミンであることを特徴とする前記(1)から(7)に記載の痔疾治療剤、(9) 塩基性線維芽増殖因子の裂肛治療有効成分としての利用、(10) 塩基性線維芽細胞増殖因子の痔瘻治療有効成分としての利用、(11) 塩基性線維芽細胞増殖因子がトラフェルミンであることを特徴とする前記(9)または(10)に記載の利用、に関する。【0007】【発明の実施の形態】本発明の痔疾治療剤の有効成分として使用される塩基性線維芽細胞増殖因子は、bFGFと略称され、特にそれ以上の制限はない。従って、本発明の有効成分は、塩基性線維芽細胞を増殖させる作用を有する化合物であればどのようなものであってもよい。上記塩基性線維芽細胞増殖因子としては、好ましくは、例えばWO87/01728(特表昭63−500843号公報)、WO89/04832(特表平2−504468号公報)、WO86/07595(特表昭63−500036号公報)、WO87/03885(特表昭63−501953号公報)、ヨーロッパ特許出願公開第237966号明細書(特開昭63−226287号公報)、ヨーロッパ特許出願公開第281822号明細書(特開平2−193号公報)、ヨーロッパ特許出願公開第326907号明細書(特開平2−209894号公報)、ヨーロッパ特許出願公開第394951号明細書(特開平3−61494号公報)、ヨーロッパ特許出願公開第493737号明細書(特開平5−124975号公報)などに記載のものが挙げられる。これらのbFGFのうち、WO87/01728に記載の遺伝子工学的手法で製造した下記の配列番号1の154個のアミノ酸配列を有するポリペプチドおよび配列番号2の153個のアミノ酸配列を有するポリペプチドが、安定性及び材料として必要な量を常時供給することが容易であるという点から特に好ましい。配列番号1のアミノ酸配列を有する塩基性線維芽細胞増殖因子は、具体的には特表昭63−500843号公報の実施例に記載されているように、ヒトの腎臓のmRNAから調製されたλgt10cDNAライブラリーからウシの1.4kb塩基性副断片を用いてヒトのbFGFのcDNAクローンを調製し、発現ベクターを構築して前記クローンを発現することによって得られる。なお、塩基性線維芽細胞増殖因子には、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列において、一若しくは数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列からなり、かつ塩基性線維芽細胞増殖因子として作用し得るものも範囲内に含まれる。また、上記塩基性線維芽細胞増殖因子は、一種類のものを単独に使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列の蛋白質が65%以上と配列番号2に記載のアミノ酸配列の蛋白質が35%以下である混合物を使用してもよい。またさらに、塩基性線維芽細胞増殖因子として市販されている製品、例えば、科研製薬株式会社製のトラフェルミン、またはその製剤フィブラストスプレー250若しくはフィブラストスプレー500の凍結乾燥製品を使用してもよい。本発明の痔疾治療剤としては、上記塩基性線維芽細胞増殖因子をそのまま使用してもよいが、通常は本発明の痔疾治療剤は、塩基性線維芽細胞増殖因子と医薬上許容できるキャリア(増量剤、賦形剤など)と自体公知の方法に従って混合することによって製造される。【0008】医薬上許容できるキャリアとは、疎水性基剤または親水性基剤のいずれでもよく、疎水性基剤としては、例えば、常温で液状であるヤシ油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、トウモロコシ油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ミリスチン酸イソプロピル、流動パラフィン、あるいは常温で半固形状の白色ワセリン、精製ラノリン、ゲル化炭化水素、若しくはモノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤やステアリルアルコールやセタノールなどの高級アルコールの1種または2種以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではなく医薬上許容されるものであればよい。親水性基剤としては、例えば、精製水、生理食塩水、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、1,3―ブチレングリコール、プロピレングリコール、エタノールの1種又は2種以上の組み合わせ、更に水溶性高分子であるヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルメロース、カルメロースナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく医薬上許容されるものであればよい。これらの中で疎水性の半固形剤としては、白色ワセリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、流動パラフィンが好ましい。また、親水性の半固形剤としては、精製水、生理食塩水、注射用水、前記製品添付溶解液あるいはポリエチレングリコールとゲル化剤であるヒドロキシプロピルセルロースとの組み合わせが好ましい。好ましいゲルの製造は、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子の凍結乾燥製品を、第14改訂 日本薬局方に記載の粘度約1,000〜4,000cpsのヒドロキシプロピルセルロースと混合し、精製水、生理食塩水、注射用水あるいは前記製品添付溶解液を加えてゲル化してゲルを得る。この際、ヒドロキシプロピルセルロースは、製剤全体に対して、約1〜15質量%、好ましくは1〜5質量%使用するのがよい。なお、ゲルは塩基性線維芽細胞増殖因子の凍結乾燥製品の水溶液とヒドロキシプロピルセルロースの水溶液とを混合しても製造できる。また、安定性を考慮した場合、塩基性線維芽細胞増殖因子の凍結乾燥製品は用時溶解して使用するのが好ましい。【0009】本発明の痔疾治療剤には、所望により通常痔疾治療剤として用いられている他の有効成分を含有させることができる。このような有効成分としては、例えば、酢酸プレドニゾロン、ヒドロコルチゾンまたはベタメサゾンなどの副腎皮質ホルモン剤、例えば、リドカインまたはジブカインなどの局所麻酔剤、例えば、インドメタシン、アスピリン、サリチル酸ナトリウムなどの解熱鎮痛消炎剤、例えば、塩化リゾチームまたはグリチルレチン酸などの消炎剤、例えば、クロタミトン等の鎮痒剤、例えば、アラントイン等の創傷治癒剤、例えば、肝油、エルゴカルシフェロール、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、トコフェロールまたは酢酸トコフェロールなどのビタミン剤、例えば、スルフイソミジン、スルフイソミジンナトリウム、ホモスルファミンまたはスルファジアジンなどのサルファ剤、塩酸クロルヘキシジン、セトリミド、塩化デカリニウムまたは塩化ベンザルコニウムなどの殺菌剤、例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、抗生物質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。【0010】本発明で用いる剤形は、軟膏剤、ゲル、坐剤、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、乳剤、貼布剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは坐剤、軟膏剤、ゲル等の患部の投与部位に的確に投与できる剤形がよい。軟膏剤、液剤等は通常、肛門周辺に塗布するが、所望により注入用容器に収納することにより肛門、直腸内に注入することもできる。ゲルとしては、ポリグリコール酸・乳酸、ポリ酸無水物などの生体分解性合成高分子、多糖類あるいは蛋白質などの天然高分子の生体内分解吸収性高分子であるゼラチンを架橋処理することにより水不溶性とした架橋ゼラチンゲル製剤などを用いることができる。坐剤としては、例えば、基剤型坐剤、ゼラチンカプセル坐剤、錠剤型坐剤等の形態を使用することができる。また、本発明の製剤は凍結乾燥製剤とすることもできる。凍結乾燥製剤に用いられる安定化基剤としては、特に限定はされないが、好ましくはグルコン酸塩を用いる。グルコン酸塩としては、グルコン酸カリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸塩ナトリウム等が挙げられる。特に好ましくはグルコン酸マグネシウムを用いる。グルコン酸塩は単独又は二種以上の混合物として用いることができ、また、従来より使用されてきた他の安定化基剤と配合使用してもよい。さらに、本発明の痔疾治療剤は、徐放化剤をさらに配合した徐放性製剤であってもよい。徐放化剤として、ゼラチン、ゼラチンを例えばグルタルアルデヒドまたは水溶性カルボジイミドなどの架橋剤で処理した架橋ゼラチンゲルなどが挙げられる。これらは、公知手段に従って製造される。【0011】投与方法は、特に限定されるものではないが、本発明においては、肛門投与が好ましい。具体的には、軟膏またはゲルを肛門部に直接塗布する。痔疾治療剤が患部に直接適用されることにより、患部の出血、疼痛、腫れ、痒み等を効果的に治療することができる。また、本発明の痔疾治療剤は、外科的療法と組み合わせて用いることができる。そのような外科的方法には、例えば、開放術式(Lay open法)、括約筋温存術式(coring out術式)、痔瘻結紮療法(Seton法)などが挙げられ、これら外科的療法の後に本発明の痔疾治療剤を術後患部に塗布してもよい。【0012】投与量は、痔疾の種類、症状等により異なるため一概にいえず、医師がこれらを状況判断して決定すべきものであるが、通常は有効成分に換算して約5μg/day〜約60μg/day、好ましくは約20μg/day〜約40μg/dayを1日に約1〜2回に分けて投与するのがよい。【0013】【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、以下の開示は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の技術的範囲を何等限定するものではない。【0014】製剤例1下記実施例1から5において、トラフェルミンスプレーを使用した。トラフェルミンスプレーとしては科研製薬株式会社から発売されたフィブラストスプレー500を現品説明書に記載の用法、容量で使用した。【0015】製剤例2トラフェルミン凍結乾燥品500μgとワセリン10gとを混合してトラフェルミン含有軟膏を作製し、実施例6に1日1回約0.6gを使用した。【0016】製剤例3科研製薬製フィブラストスプレー500のトラフェルミン凍結乾燥品(500μg)をフィブラストスプレー500の添付溶解液(5mL)に溶かし、これに精製水(4mL)を加えて均一に混和し、更に第14改訂 日本薬局方に記載の粘度1,000〜4,000cpsのヒドロキシプロピルセルロース (0.3g)を加えて、室温下でゲル化させゲルを得た。これを14等分(2週間分)し、1日1回約0.6gを就寝前に肛門管内に注入あるいは患部へ塗布した。【0017】実施例1他院にて2回痔瘻手術を受けた患者。治癒不良のため、初回手術より1年10ヶ月後、受診した。他院における手術は原発口の処理がなされておらず、陰嚢にまで延びる痔瘻の瘻管と3個の2次口(肛門周囲の皮膚の瘻孔)を形成していた。シートン法による痔瘻根治術をおこない痔瘻は治癒したが、手術部位に難治創を形成した。その後の9ヶ月間に3回の形成外科的再縫合手術を行ったが、いずれも抜糸後に創が開いた。その後、6ヶ月間、アクトシン軟膏を使用し保存的に治療した。難治創は少し縮小したが、著しい改善はみられなかった。そこで製剤例1の使用を開始したところ、使用開始から3日間で完全に治癒した。【0018】実施例2脱肛および6時の痔瘻根治術(痔瘻根治術は、Lay open法:2次口までの瘻管を開放する術式)を行った患者。約2ヵ月半経過しても、Lay openの部位が上皮化せず、分泌液により肛門がねちゃねちゃして不快であるとの訴えがあった。製剤例1の使用を開始したところ、はじめ赤い肉芽の増殖を認めた。その後肉芽は少し黒色調となり、高さを減じ、周辺から上皮化が進んできて、1週間で完全治癒した。【0019】実施例3骨盤直腸窩痔瘻の患者にシートン法(Seton法)による根治術を行った。シートンが完成して1ヵ月後(手術より3ヵ月後)、肛門管内の創は完全に治癒したが、肛門周囲皮膚のゴムによって切断された部位の上皮化が遅れていた。製剤例1の使用を開始したところ、2週間で完全治癒した。【0020】実施例4骨盤直腸窩膿瘍、敗血症の診断にてドレナージの緊急手術を行った患者。ドレナージより10日後にシートン法(Seton法)による根治術を行った。ゴム脱落(術後2ヶ月)直後より製剤例1の使用を開始したところ、2週間で完全治癒した。通常、シートン法による骨盤直腸窩痔瘻の治療は、完治までに長期(6ヶ月以上)を要するが、これを2ヶ月半に短縮可能であった。【0021】実施例5肛門狭窄を認めない6時方向の裂肛の女性患者。従来の痔疾用薬と緩下剤を使用し、2ヶ月治療したが、まったく改善を認めなかった。製剤例1を1日1回、0.35ccずつ肛門管内に注入したところ、1週間で完全治癒した。【0022】実施例6排便時の痛みと出血を訴える裂肛の男性患者に製剤例2を1日当たり約0.6gづつ患部に丁寧に塗布したところ、10日後に肛門痛と出血が消失した。【0023】実施例75時方向IILS型の痔瘻患者をシートン法(Seton法)による根治術を施した。患部のゴム輪の脱落をその後(術後約3週間)認めたが、シートン法による切断部位の上皮化はその後不良であった。術後約3ケ月でも上皮化が不良であったので、製剤例3で得たゲルを、1日当たり約0.6gを患部に塗布し治療した結果、約2週間後に治癒した。【0024】実施例8明らかな肛門狭窄を認めない裂肛の30代女性患者2名に、1ヶ月間、他剤を投与し治療を試みたが全く改善が認められなかった。これらに製剤例3のゲル、1日当たり約0.6gを肛門管内に注入或いは患部へ塗布したところ、2週間後に患部が治癒した。【0025】【配列表】【0026】【発明の効果】塩基性線維芽細胞増殖因子を有効成分として含有することにより、有効性の高い痔疾治療剤を提供することができる。 塩基性線維芽細胞増殖因子と医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする痔疾治療剤。 対象疾患が裂肛である請求項1に記載の痔疾治療剤。 対象疾患が痔瘻である請求項1に記載の痔疾治療剤。 剤形が親水性の半固形製剤である請求項1から3のいずれかに記載の痔疾治療剤。 親水性の半固形製剤がゲルであることを特徴とする請求項4に記載の痔疾患治療剤。 製剤全体に対して、ヒドロキシプロピルセルロースを1〜15質量%含んでいることを特徴とする請求項5に記載の痔疾患治療剤。 剤形が疎水性の半固形製剤である請求項1から3のいずれかに記載の痔疾治療剤。 塩基性線維芽細胞増殖因子がトラフェルミンであることを特徴とする請求項1から7に記載の痔疾治療剤。 塩基性線維芽増殖因子の裂肛治療有効成分としての利用。 塩基性線維芽細胞増殖因子の痔瘻治療有効成分としての利用。 塩基性線維芽細胞増殖因子がトラフェルミンであることを特徴とする請求項9または10に記載の利用。 【課 題】有効性の高い痔疾治療剤を提供することを目的とする。【解決手段】塩基性線維芽細胞増殖因子と医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする痔疾治療剤。【選択図】 なし