生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ジメチルカーボネート合成触媒
出願番号:2003113664
年次:2010
IPC分類:B01J 27/053,B01J 27/18,C07C 68/04,C07C 69/96,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

大空 弘幸 小林 一登 清木 義夫 安武 聡信 飯嶋 正樹 尾口 彰 JP 4508545 特許公報(B2) 20100514 2003113664 20030418 ジメチルカーボネート合成触媒 三菱重工業株式会社 000006208 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 大空 弘幸 小林 一登 清木 義夫 安武 聡信 飯嶋 正樹 尾口 彰 20100721 B01J 27/053 20060101AFI20100701BHJP B01J 27/18 20060101ALI20100701BHJP C07C 68/04 20060101ALI20100701BHJP C07C 69/96 20060101ALI20100701BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100701BHJP JPB01J27/053 ZB01J27/18 ZC07C68/04 AC07C69/96 ZC07B61/00 300 B01J 21/00-38/74 特開2001−031629(JP,A) 3 2004313984 20041111 8 20060112 西山 義之 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ジメチルカーボネートを合成するために用いられるジメチルカーボネート合成触媒に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハンドリングが容易で、高転化率が期待できるジメチルカーボネート合成触媒に関する。【0002】【従来技術】ジメチルカーボネート(以下、DMCともいう)は、ガソリン等のオクタン値を高める燃料添加剤、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネートの原料、あるいはカルボニル化剤等として極めて有用な化合物である。さらには、燃料電池用の原料としての使用が期待されるため、様々な方法で、その合成が試みられている。【0003】従来から知られているジメチルカーボネートの合成方法としては、二酸化炭素とメタノールを原料とし、高圧条件下で反応させてジメチルカーボネートを得る方法がある。しかし、反応時に生成する水が原因となって、収率や選択率が低いという問題があった。【0004】また、工業的製法としては、毒性の強い有機塩素化合物であるホスゲンまたは一酸化炭素(CO)とメタノールを原料とするエステル化反応によりジメチルカーボネートを得るプロセスが一般的に知られている。【0005】一方、近年では、超臨界状態のCO2と、アセトンジメチルアセタール(2,2−ジメトキシプロパンともいう)とを原料として、ジメチルカーボネートを得る合成スキームが開発されている。かかる合成スキームでは、アセトンジメチルアセタールに、30MPa、180℃、ジブチルすず触媒の下で、超臨界状態のCO2を反応させる。しかし、ジブチルすず触媒もまた毒性が強く、比較的高価であり、反応条件も厳しいため、工業的に有利な方法であるとはいえない。さらには、かかる反応によるジメチルカーボネートの収率は5%程度であり、経済的に不利であった。【0006】さらなる従来技術として、特許文献1に一酸化炭素と亜硝酸メチルとを原料とし、白金族金属またはその化合物からなる固体触媒の存在下で、気相反応による炭酸ジメチルの製造を連続的に行う方法が開示されている。しかし、かかる方法は、毒性のあるCOを原料として用いるため、ハンドリング性に問題がある。【0007】特許文献2には、白金金属を含んでいる不均一触媒上で、一酸化炭素と亜硝酸メチルとを連続気相反応させることにより、ジメチルカーボネートを製造する方法が開示されている。しかし、かかる方法も、毒性のあるCOを原料として用いるため、ハンドリング性に問題がある。【0008】また、特許文献3には、炭酸エチレンとエタノールを原料として、エステル交換反応によりジメチルカーボネートを製造する方法が開示されている。しかし、かかる方法は、反応選択性が反応温度等の操作条件に大きく作用されるため、反応条件をシビアにコントロールするためのシステムが大掛かりになるという点で問題がある。【0009】【特許文献1】特開平6−025104号公報【特許文献2】特開平7−069995号公報【特許文献3】特開平10−036297号公報【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、アセトンジメチルアセタールと超臨界状態のCO2とからジメチルカーボネートを得るための触媒であって、転化率が高くハンドリングが容易かつ経済的なジメチルカーボネート合成触媒を提供することを目的とする。【0010】【課題を解決するための手段】本発明は、アセトンジメチルアセタールと超臨界状態のCO2とからジメチルカーボネートを得るためのジメチルカーボネート合成触媒であって、固体酸点を有する化合物からなる担体に、強酸を担持させてなるものである。【0011】前記強酸が、SO42-またはPO43-から選択される一以上の化合物を含むことが好ましい。好ましい強酸であるSO42-またはPO43-としては、H2SO4、H3PO4、(NH4)2SO4、(NH4)3PO4由来のものを用いることができる。【0012】また、前記固体酸点を有する化合物が、ZrO2、Al2O3、TiO2から選択される一以上であることが好ましい。従って、これらを単独で用いて担体としても、これらのうちの2以上を混合して担体としてもよい。また、ZrO2、Al2O3、TiO2から選択される一以上からなる担体の比表面積が40〜200m2/gであることが好ましい。【0013】本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒は、安価で取り扱いやすく、ジメチルカーボネートの収率が従来の方法と比較してはるかに高いため、工業的に有利に用いられる。また、このジメチルカーボネート合成触媒を用いて実施される、メタノールとCO2とからジメチルカーボネートを得るシステムは、不要な副生成物等を排出することなく、クリーンで効率が良いため、ジメチルカーボネートの大量生産に応用することができる。【0014】【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施の形態を挙げて詳細に説明する。【0015】本発明の一実施形態によれば、固体酸点を有する化合物からなる担体に、強酸を担持させてなるジメチルカーボネート合成触媒を提供する。アセトンジメチルアセタールとCO2とからジメチルカーボネートを得る反応においては、CO2を活性化吸着し、メタノールを脱水させることができる触媒が必要とされる。【0016】固体酸点を有する化合物とは、種々の固体、特には金属の酸化物(Al2O3、V2O5等)、硫化物(ZnS等)、硫酸塩(NiSO4、CuSO4等)、リン酸塩(AlPO4、Tiリン酸塩等)、塩化物(AlCl3、CuCl2等)、粘土鉱質、ゼオライトなどをいい、固体酸が酸塩基触媒作用を行うものをいう。本実施形態においては、特に、ZrO2、Al2O3、TiO2を用いることが好ましい。これらの化合物は高比表面積でかつ、適度な酸点を有するため、SO42-またはPO43-を安定担持させるのに有効だからである。これらの化合物を担体として用いるときは、単独で用いてもよく、これらのうちの2以上を混合して用いても良い。【0017】さらに、このような固体酸点を有する化合物の中でも、比表面積が大きいものを用いることが好ましい。比表面積が大きい化合物は、CO2の吸着能が高く、反応促進に寄与するからである。具体的には、比表面積が40〜200m2/gのものを用いることが好ましく、70〜150m2/gのものを用いることがさらに好ましい。しかし、本発明は、これよりも比表面積の大きいものを排除するものではない。【0018】担持させる強酸としては、SO42-またはPO43-を用いることが好ましい。しかし、これ以外にも強酸であれば、前記担体に担持させることができる。SO42-またはPO43-としては、H2SO4、H3PO4、(NH4)2SO4、(NH4)3PO4由来のものを用いることができる。【0019】固体酸点を有する化合物に対し、SO42-またはPO43-が、0.1〜6重量%となるように担持させることがさらに好ましく、2〜4重量%となるように担持させることがさらに好ましい。【0020】次に、本発明に係るジメチルエーテル改質触媒を、その製造方法により説明する。固体酸点を有する化合物からなる担体は、次のようにして調製する。具体的には、担体として、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)のうち少なくとも一種類を含む水酸化物または酸化物を調製する。これらは、上記金属塩にアンモニア水等のアルカリを添加することにより沈澱させて得られる。このとき、金属塩とアルカリの混合比は、モル比で1:1〜1:15とすることが好ましく、モル比で1:2〜1:6とすることがさらに好ましい。【0021】さらにこのような沈殿を酸化物とするには、これらの水酸化物を熱分解するなど、通常用いられる方法により実施することができる。なお、これらの熱分解に必要な温度は300℃以上であるが、好ましくは反応条件から担体として安定に保つことができる温度である400℃〜800℃の範囲である。【0022】このようにして調製される担体は、酸化物でも、水酸化物でもよく、固体酸点を有するものであれば使用することができる。特に、触媒成型が比較的行い易く、成型強度が保てるという理由から、酸化物であるZrO2、Al2O3、TiO2を用いることが好ましい。【0023】担体へ添加するSO42-またはPO43-の前駆物質としては、500℃程度で焼成することによりSO42-またはPO43-となるものであれば如何なる物質でも良い。例えば硫酸、硫酸アンモニウム、リン酸、リン酸アンモニウムなどを用いることができるが、これらには限定されない。【0024】触媒成分の添加方法としては、SO42-またはPO43-の前駆物質を約0.01〜10モル濃度、好ましくは約0.1〜5モル濃度で含む水溶液に、水酸化物或いは酸化物からなる担体を浸せきさせ、もしくは水溶液を含浸させて処理する方法等を採用することができる。次いで、強酸を担持させて得られた触媒は焼成される。焼成条件は、SO42-またはPO43-の前駆物質による処理後に、約400〜800℃、好ましくは約450〜700℃で約0.5〜30時間焼成して安定化させるのが好ましい。上記手法により調製された触媒は、酸性点を有するSO42-またはPO43-を含む金属酸化物となる。【0025】次に、本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒を用いたジメチルカーボネートの合成システムについて説明する。以下に、ジメチルカーボネートの合成スキームを示す。【0026】【化1】【0027】システムの起動時は、出発物質として、アセトンジメチルアセタールと超臨界状態のCO2を等モル必要とする。式(1)に示すように、本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒の存在下で、これらを反応させる。この反応により、約20〜40%の転化率で目的のジメチルカーボネートを生成し、同時に副反応物であるアセトン(ジメチルケトン)を生成する。【0028】二酸化炭素の臨界温度は31.3℃、臨界圧は7.3MPaである。従って、本発明に係る触媒を用いた反応では、CO2が超臨界状態にある条件下でアセトンジメチルアセタールと反応させることができる。具体的には、反応温度が150〜200℃、反応圧力が10〜30MPaの範囲で、本発明の触媒を用いた反応が実施されることが好ましい。【0029】このようにして、システムが通常運転に入れば、アセトンジメチルアセタールを、副生成物のアセトンから製造することができる。このため、アセトンジメチルアセタール自体を別途、供給する必要はない。式(1)で表される反応に使用される超臨界状態のCO2と、式(2)で表される反応に使用されるメタノールとをシステムに随時供給することにより、式(1)(2)で表される反応を進行させ、ジメチルカーボネートを得ることができる。【0030】本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒を用いた上記のシステムは、別途処理が必要となる副生成物を排出することなく、安価で供給しやすいCO2とメタノールのみを原料としてジメチルカーボネートを得ることができるクリーンなシステムであり、ジメチルカーボネートの工業的な大量生産に好ましく使用できる。【0031】より具体的には、本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒を用いたジメチルカーボネートの合成システムは、メタノール合成プラントの一部として組み込むことができる。この場合、製品メタノール及びメタノール合成原料ガスのオフガスから、CO2を得ることができる。【0032】【実施例】次に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例は本発明を制限するものではない。【0033】<実施例1>触媒1の調製オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)2kgを純水15Lに溶解させ、撹拌しながらアンモニア水をpH10になるまで徐々に滴下し、生成した水酸化ジルコニウムを一昼夜熟成後、ろ過、洗浄して、110℃で真空乾燥し、約800gの水酸化ジルコニウムの白色粉末担体を得た。この複合金属水酸化物の担体を0.5モル濃度の硫酸中に浸漬、過剰の硫酸をろ過した後、乾燥し600℃で3時間焼成し、触媒1(SO42-/ZrO2)を得た。【0034】<実施例2>触媒2の調製オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)2kgを純水15Lに溶解させ、撹拌しながらアンモニア水をpH10になるまで徐々に滴下した。生成した水酸化ジルコニウムを一昼夜熟成後、ろ過、洗浄、110℃で真空乾燥し、更に650℃で焼成して、650gの酸化ジルコニウムの白色粉末約担体を得た。この複合金属水酸化物の担体を1モル濃度のリン酸中に浸漬、過剰のリン酸をろ過した後、乾燥し550℃で3時間焼成して、触媒2(PO43-/ZrO2)を得た。【0035】<実施例3>触媒3及び触媒4の調製実施例2で、担体成分として使用したオキシ塩化ジルコニウムの代わりに、それぞれ4塩化チタン、硝酸アルミニウムを用いたこと以外は実施例2と同様の方法で触媒3及び4を得た。【0036】<実施例4>触媒5の調製ジルコニア市販オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)2kgと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)2.33kgを純水15Lに溶解させ、撹拌しながらアンモニア水をpH10になるまで徐々に滴下し、生成した水酸化ジルコニウム・水酸化アルミニウム(Zr(OH)x・Al(OH)x)複合金属水酸化物を一昼夜熟成後、ろ過、洗浄、110℃で真空乾燥し、白色粉末担体約1500gを得た。この複合金属水酸化物の担体を2モル濃度のリン酸中に導入、過剰のリン酸をろ過した後、乾燥し550℃で3時間焼成して、触媒5(PO43-/ZrO2・Al2O3)を得た。【0037】<実施例5>触媒6の調製実施例4で担体成分として使用したオキシ塩化ジルコニウムの代わりに4塩化チタンを用いたこと以外は実施例4と同様の方法で触媒6を得た。【0038】<比較例>比較触媒1及び比較触媒2の調製実施例2で調製した担体の酸化ジルコニウムを比較触媒1として、また実施例3で調製した担体の酸化アルミニウムを比較触媒2とした。【0039】 これらの触媒の組成と、その表面積について表1に示す。【表1】【0040】<実施例6>触媒のジメチルカーボネート合成活性評価実施例1〜5及び比較例において調製した触媒を用いてジメチルカーボネート合成活性を評価した。合成反応は、オートクレーブを用いて、原料である二酸化炭素(CO2)と、メタノールと、アセトンジメチルアセタール(ADA)とを、それぞれ、21.3g、3.2g、3.2gとなるように混合し、触媒量を0.5gとして、185℃、30MPaの条件下で実施した。結果は、反応して生成したジメチルカーボネート(DMC)の濃度により評価した。触媒1〜6及び比較触媒1及び2を用いて反応させた場合のジメチルカーボネートの収率比を触媒の活性比較として表2に示す。【0041】【表2】【0042】表2の結果より、従来型の触媒と比較して、本発明にかかる触媒は収率を大幅に上昇させることがわかった。【0043】【発明の効果】本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒は、CO2の超臨界条件下で使用可能であり、アセトンジメチルアセタールと超臨界状態のCO2とから、従来の5倍以上である約27%の高転化率で、ジメチルカーボネートを得ることができる。また、本発明に係るジメチルカーボネート合成触媒は、固体酸触媒を用いるため、従来のホスゲンやCOを用いる場合と異なり毒性がなく、ハンドリングが容易であり、さらにコストの点でも有利である。【0044】さらに、かかるジメチルカーボネート合成触媒を用いることで、メタノール、CO2を原料とし、反応中間体としてアセトンジメチルアセタールを経由してジメチルカーボネートを生成するシステムを構築することができる。かかるシステムは、従来の方法では反応平衡上不可能であったため、本発明のクリーンなシステムは、工業的にジメチルカーボネートを製造する際に非常に有利となる。さらに、このようなシステムは、燃料電池用の原料を得るためのシステムに組み込むことができ、効率の良い燃料電池の運転を実施するためにも有望である。 固体酸点を有する化合物からなる担体に、SO42−またはPO43−から選択される一以上の化合物を含む強酸を担持させてなる、アセトンジメチルアセタールと超臨界状態のCO2とからジメチルカーボネートを得るためのジメチルカーボネート合成触媒。 前記固体酸点を有する化合物が、ZrO2、Al2O3、TiO2から選択される一以上である請求項1に記載のジメチルカーボネート合成触媒。 前記ZrO2、Al2O3、TiO2から選択される一以上からなる担体の比表面積が40〜200m2/gである請求項2に記載のジメチルカーボネート合成触媒。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る