生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_塩酸エピナスチンの結晶多形
出願番号:2003093181
年次:2010
IPC分類:C07D 487/04


特許情報キャッシュ

佐々木 涼介 池田 伸 鈴木 良信 中村 良輔 JP 4402361 特許公報(B2) 20091106 2003093181 20030331 塩酸エピナスチンの結晶多形 大日本印刷株式会社 000002897 平木 祐輔 100091096 佐々木 涼介 池田 伸 鈴木 良信 中村 良輔 20100120 C07D 487/04 20060101AFI20091224BHJP JPC07D487/04 150 C07D 487/04 国際公開第01/040229(WO,A1) 特開2003−286287(JP,A) 1 2004300042 20041028 5 20060315 鳥居 福代 【0001】本発明は抗アレルギーおよび抗ヒスタミン作用によって特徴付けられる治療学的に有用な塩酸エピナスチンの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】3−アミノ−9,13b−ジヒドロ−1H−ジベンズ[c,f]イミダゾ[1,5−a]アゼピン・塩酸塩(以下、塩酸エピナスチンと称する)は抗アレルギー及び抗ヒスタミン作用によって特徴付けられる治療学的に有用な化合物である。結晶化法についてはメタノール−エーテル溶液から結晶化する方法が知られている(特許文献1)。この方法において得られた結晶の評価データの融点しか記載が無く、結晶多形の有無は確認されていない。またジメチルホルムアミドから結晶化する方法が知られている(特許文献2)。この方法においても結晶の評価データは融点しか記載が無く、結晶多形の有無は確認されていない。さらには水から結晶化する方法が知られている(特許文献3)。この方法においては示差走査熱量測定(以下、DSCと称する)結果から結晶多形が存在し低融点結晶、高融点結晶を判別できることが述べられている。しかしながら、純度の低い結晶では融解温度が純物質に比べ低いことから結晶化溶媒の差から生ずる不純物含量の影響を否定できず、測定対象物の純度を同一にしなければ融点による結晶多形の判別は意味を成さない。【0003】【特許文献1】特開平3−66311号公報【0004】【特許文献2】特開平4−346988号公報【0005】【特許文献3】WO 01/40229【0006】【発明が解決しようとする課題】通常、結晶多形が存在する化合物は結晶形によって種々の性質が相違するため、たとえ同一化合物であっても全く異なる作用効果を持つことがある。結晶多形が存在する化合物を医薬品として用いる場合、医薬品として要求される均一な品質及び一定の作用効果を確保するためには、単一の結晶性の化合物を常に一定して提供することが必要である。【課題を解決する為の手段】【0007】本発明者らは上記の問題を解決すべく高品質の塩酸エピナスチンを使い得られた、融点が高くかつ安定性に優れた結晶を粉末X線回折法により評価した結果、2種の結晶多形が存在することを見出した。すなわち本発明は(1)粉末X線回折図形で回折角(2θ)において10.3、12.8、13.1、15.4、17.2、20.7、21.1、21.5度に強い回折ピークを示す塩酸エピナスチン結晶多形。(2)高品質の塩酸エピナスチンを非プロトン性極性溶媒から結晶化することを特徴とする粉末X線回折図形で10.3、12.8、13.1、15.4、17.2、20.7、21.1、21.5に強い回折ピークを示す塩酸エピナスチン結晶多形の製造方法。である。【0008】以下本発明を詳細に説明する。塩酸エピナスチンは特許文献2に記載の方法で製造できる化合物である。本発明者らは高品質の塩酸エピナスチンを原料とし種々の溶媒にて再結晶をおこなった結晶を粉末X線回折法により評価し、結晶多形が存在することを見出した。粉末X線回折図形で回折角(2θ)において10.3、12.8、13.1、15.4、17.2、20.7、21.1、21.5度に強い回折ピークを示す塩酸エピナスチン結晶多形は安定な結晶であり、医薬品として用いる場合、保存により品質が変化することなく常に一定した作用効果を発揮することができる。本発明の結晶多形は非プロトン性極性溶媒から再結晶することで製造できる。【0009】本発明の塩酸エピナスチンの結晶多形は以下の図1に示すとおりである。【図1】【0010】再結晶溶媒の非プロトン性極性溶媒としてはアセトニトリル、アセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、またはこれらの混合溶媒が使用できる。【0011】実施例の原料は液体クロマトグラフィー純度99.9%の塩酸エピナスチンを使用した。また、実施例における液体クロマトグラフィー純度は、下記条件にて液体クロマトグラフィー分析を行い、各成分ピークの面積%を用いたものであり純度の指標とした。装置:LC−2000Plus series(日本分光株式会社)カラム:Inertsil ODS−3移動層:20mmol−KH2PO4(リン酸にてpH=2.5に調整)水溶液/アセトニトリル=40/60の混合液に、更に20mmol濃度となる様にオクタンスルホン酸ナトリウムを加えたもの。検出波長:240nm【0012】【比較例】比較例1塩酸エピナスチン5.0gをメタノール10mlに加熱溶解した後、ジエチルエーテル50mLを加え攪拌しながら5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、乾燥することにより結晶3.8gを得た。得られた塩酸エピナスチンの結晶多形は以下に示すとおりである。【図2】【0013】【実施例】実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。【0014】実施例1塩酸エピナスチン5.0gをジメチルスルホキシド10mlに加熱溶解した後、アセトン25mLを加え攪拌しながら5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、乾燥することにより結晶3.6gを得た。得られた結晶の粉末X線回折図形は回折角(2θ)において10.3、12.8、13.1、15.4、17.2、20.7、21.1、21.5度に強い回折ピークを示した。融点は272℃(日本薬局方 融点測定法;第1法)、液体クロマトグラフィー純度99.9%で原料の塩酸エピナスチンと純度は同じであった。【0015】実施例2塩酸エピナスチン1.0gをアセトニトリル/N−メチル−2−ピロリドン(2/1)の混合液15mlに加熱溶解した後、攪拌しながら5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、乾燥することにより結晶0.7gを得た。得られた結晶の粉末X線回折図形は回折角(2θ)において10.3、12.8、13.1、15.4、17.2、20.7、21.1、21.5度に強い回折ピークを示した。融点は272℃(日本薬局方 融点測定法;第1法)液体クロマトグラフィー純度99.9%で原料の塩酸エピナスチンと純度は同じであった。【0016】【発明の効果】医薬品として優れた塩酸エピナスチン結晶多形を提供できる。 下記式Iで表される塩酸エピナスチンをアセトニトリルもしくはN−メチル−2−ピロリドンまたはこれらの混合溶媒から結晶化することを特徴とする、粉末X線回折図形で回折角(2θ)において10.3、12.8、13.1、15.4、17.2、20.7、21.1、21.5度に強い回折ピークを示す塩酸エピナスチン結晶多形の製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る