生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_発泡試験方法とその装置および脱墨方法
出願番号:2003089874
年次:2009
IPC分類:G01N 33/00,D21C 5/02


特許情報キャッシュ

泉谷 丈夫 後藤 至誠 小野木 晋一 渡部 啓吾 宮西 孝則 JP 4296818 特許公報(B2) 20090424 2003089874 20030328 発泡試験方法とその装置および脱墨方法 日本製紙株式会社 000183484 小田 淳子 100126169 山田 淳 100130812 泉谷 丈夫 後藤 至誠 小野木 晋一 渡部 啓吾 宮西 孝則 20090715 G01N 33/00 20060101AFI20090625BHJP D21C 5/02 20060101ALI20090625BHJP JPG01N33/00 CD21C5/02 G01N 33/00 D21C 5/02 特開2000−282382(JP,A) 国際公開第2004/078312(WO,A1) 3 2004294367 20041021 10 20060322 黒田 浩一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、第1には界面活性剤の希釈水溶液または界面活性剤を含む水系の発泡性を評価する試験方法に関し、第2には発泡試験に供する試験装置に関し、第3には起泡性と泡切れが共に優れた脱墨剤の選定方法に関し、更に第4には該脱墨剤を添加する脱墨方法に関するものである。尚、水系とは、水溶液、水懸濁液を指す。【0002】【従来の技術】界面活性剤の分子構造は、1分子内に親水基(疎油基)と疎水基(親油基)、また親水基と疎水基を結ぶ連結基から構成されており、固体、液体および気体の内の2相が互いに接触してできる境界面である界面の性質を変化させる特性を有している。このため、界面活性剤は、洗浄、湿潤・浸透、乳化・分散・可溶化、起泡・消泡、殺菌、柔軟化、平滑・湿潤、帯電防止、防水・撥水、防錆など各種の作用を示し、その作用を利用して、洗剤、化粧品、脱墨剤、医薬品、農薬、繊維、プラスチック、紙パルプ、エネルギーなど広範囲な産業分野に使用されている。界面活性剤の世界の年間生産量は約1,000万トンと推定されており、日本はその約10%を占めていると言われている。【0003】紙パルプ産業における界面活性剤の利用状況も、次のように多岐にまたがっている。▲1▼消泡剤:パルプスラリー中には原料の木材に由来するリグニン誘導体や有機カルボン酸などの樹脂成分が含まれている。また、このパルプを原料として紙を製造する抄紙工程では、サイズ剤や紙力剤などが添加される。このため、パルプの蒸解・洗浄・漂白工程や抄紙工程、更には排水処理工程などで発泡が起こり、種々のトラブルを引き起こす。このトラブルを防止する目的で消泡剤が使用されている。▲2▼顔料分散剤:コート紙は、原紙表面に塗工液を塗布し、これを乾燥して製造されている。この塗工液は、顔料と接着剤(澱粉、合成ラテックスなど)などを混合した固形分濃度70%前後の液である。この塗工液には高濃度かつ低粘度で適度の流動性が要求されるため、顔料の分散時に分散剤が添加使用されている。▲3▼脱樹脂剤:レーヨン、セロファン、ニトロセルロースなどの原料である溶解パルプを製造する際、高温(130〜150℃)、高圧下でパルプから脂肪酸、樹脂酸、色素、タンニン、ヘミセルロースなどを除去する脱樹脂と称する処理があるが、この用途に脱樹脂剤が使用されている。▲4▼フェルト洗浄剤:抄紙工程では、パルプスラリーを連続的にワイヤーで濾過して湿紙を作り、これをフェルトと呼ばれる毛布上に乗せ、プレスロールの間を通すことにより搾水する。そのため、フェルトは常に均一な多孔性で柔軟性がなくてはならない。しかし、フェルトには製紙工程に存在する各種の汚れが付着する。この汚れとしては、パルプ原料に由来する樹脂ピッチやタール状物質、製紙用添加剤である紙力剤、サイズ剤、填料、歩留り向上剤、微細繊維、スライムなどが挙げられる。これらの汚れをフェルトから除去する目的でフェルト洗浄剤が使用されている。▲5▼ピッチコントロール剤:原木中に含まれる樹脂による工程の汚染や紙品質への悪影響などのピッチトラブルが問題となる。一般に針葉樹は広葉樹よりも樹脂量が多いが、酸性物質や油脂の含有率が高く、アルカリによる鹸化で比較的容易に系外に除去される。しかし、広葉樹の樹脂には不鹸化物が多く、ピッチトラブルを起こしやすい。また、古紙中に含まれる印刷インキ樹脂や接着剤、不溶性金属塩、金属セッケンなどからなる粘着物質(スティッキー)や、サイズ剤や消泡剤などの添加剤などによっても種々のピッチトラブルが発生する。このピッチトラブルを防止するためにピッチコントロール剤が使用されている。▲6▼脱墨剤:古紙の脱墨工程は二つの工程から成っている。古紙をパルパーで離解するパルピング工程と、剥離したインキを系外へ除去するフローテンション工程である。脱墨剤はパルピング工程で添加され、機械力によるパルプからのインキ剥離を補助する働きが求められる。続いてフローテンション工程ではパルプスラリー中に気泡を連続的に注入し、インキ粒子を気泡に吸着させ、その凝集体をフローテーター液面上に濃縮させた後、系外へ除去する。従って、脱墨剤には発泡、消泡、インキの凝集と気泡への吸着を助ける働きが必要となる。【0004】これらの界面活性剤の泡立ち挙動(以下、発泡性と記述する)を正確に把握するためには、泡の立ち易さ(以下、起泡力と記述する)と泡の持続性(以下、泡安定性と記述する。泡持続性が劣ると泡切れが良い。)の両面から検討する必要がある。【0005】起泡力は一般に単位液体体積から得られる泡体積として定義されるが、この起泡力の評価には以下に示すように、泡沫が形成された後に行われる静的な試験方法と、泡沫を形成させながら行われる動的な試験方法とがあり、各種の試験方法が文献に整理されている(非特許文献1参照。)。(1)静的な試験方法▲1▼Pouring Method(流下法)・Ross-Milesの方法:J.Ross,G.D.Miles Oil & Soap 18,99(1941)・A.S.T.M.Standard D 1173-53(1992)・JIS K 3362-90・I.S.O. Standard 696-1975(E)▲2▼Shaking Method(振とう法)・A.S.T.M.Standard D 3601-88・JIS K 2234-87▲3▼Beating Method(かきまぜ法)・DIN Standard 53902 Part 1・M.F.Cox,J.Am.Oil Chem.Soc.,66,1637((1989)▲4▼Rotating Method(回転法)・H.H.Beh,K.C.James,Cosmet.Toilet.,92,21(1977)▲5▼Stirring Method(撹拌法)・A.S.T.M.Standard D 3519-88・J.R.Hart,M.T.Degeorge,J.Soc.Cosmet.Chem.,31,223(1980)・JIS K 2241-86・L.E.Weeks,J.C.Harris,E.L.Brown,J.Am.Oil Chem.Soc.,31,254((1954)・G.R.Bhat,D.L.Harper,"Surfactants in Solution",K.L.Mittal(Ed.),Vol.10,Plenum Press,New York(1989) p.381・X.Domingo,L.Fiquet,H.Meijer,Tenside Surf.Det.,29,16(1992)(2)動的な試験方法▲1▼Air Injection Method(送気法)・A.Schlachter,H.Dierkes,Seifen-Ole-Fette-Waches,53,207(1951)・JIS K 2518-91・A.S.T.M.Standard D 1881-86・S.Ross,G.Nishioka,"Foams",R.J.Akers(Ed.),Academic Press,London(1976) p.17・J.B.M.Hudales,H.N.Stein,J.Colloid Interface Sci.,140,307(1990)・A.S.T.M.Standard D 3427-86・矢野 弥、木村和三郎、油化学,11,138(1962)▲2▼Circuration Method(循環法)・A.F.N.O.R.Draft T 73-412・D.R.Karsa,J.Adamson,R.P.Hadfield,Comun.Jorn.Com.Esp.Deterg.,22,509 (1991)【0006】【非特許文献1】田村隆光著 「起泡と消泡の試験法」 油化学 第42巻 第10号 1993年 P737【0007】一方、一旦発生した泡が消滅するまでの過程は泡安定性として取り扱われ、前記の起泡力の試験方法で泡を発生させ、泡発生を止めた後、泡体積の経時変化を測定し、これを基準として泡安定性を評価しているのが従来の方法である。発生した泡では、経時とともに気体と液体の分布状態が変わる結果、泡物性が変化し、泡は不安定となり、最終的には泡は消滅する。この過程は、排液、合一、気体の移行などが複雑に絡み合った現象である。【0008】しかし、界面活性剤を使用している工程における発泡性の殆どは、起泡力に基づく発泡と、泡安定性に基づく破泡または消泡とが、同時に進行する結果として観察されるものであり、単なる起泡力の測定や泡安定性の測定では、実際に工程で生じる泡立ち現象を正確には再現できないという問題がある。このため、界面活性剤を室内試験で予め的確に選定することは困難であり、結局、実際の工程で種々の界面活性剤の使用テストを行い、適切な界面活性剤を選定しているというのが現状であった。【0009】紙パルプ産業で使用されている古紙用の脱墨剤には、前記のように、インキ剥離を補助する作用や起泡性、インキの凝集と気泡への吸着を助ける作用、消泡性(泡切れ)などが優れていることが要求されている。この内、泡切れに関しては、生産する脱墨パルプの歩留り(換言すれば収率)に影響し、最終の泡切れが良いと歩留りが高くなる。これに関連する従来の技術としては、例えば、本発明の出願人が自ら先に出願している特願2002-97278号などを挙げることができる。該出願は、古紙中の灰分の歩留りを高め、これにより脱墨パルプの収率を上げることを目的としたものである。この出願では、界面が形成されて0.04秒後と1秒後の動的表面張力が、それぞれ特定の範囲内にある界面活性剤をフローテーション工程以前に添加すること、あるいは、該界面活性剤を主剤とし、静的表面張力が特定の範囲にある非イオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤を助剤として添加することにより、泡の表面強度を低下させ、灰分の歩留りを高める技術が示されている。このように、脱墨剤の起泡性と泡切れは重要な特性であるが、前述の従来の試験方法では、起泡性に優れ、かつ泡切れに優れた脱墨剤を正確に選定することは困難であった。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、第1には界面活性剤の希釈水溶液または該界面活性剤を含む水系の発泡性を評価する試験方法の提供にあり、第2には発泡試験に用いる装置の提供にあり、第3には起泡性と泡切れが優れた脱墨剤の選定方法の提供にあり、更に第4には該脱墨剤を添加する高収率の脱墨方法の提供にある。【0011】【課題を解決するための手段】前記第1と第2の課題は、次の手段で解決できる。(1)送気用コンプレッサーまたはガスボンベ(2)空気またはその他のガスの圧力調整器(3)空気またはその他のガスのフローメーター(4)送気孔を有する気体導入部位(5)気体導入部位が底部に設置された泡体積測定可能な容器から構成された発泡試験装置を用いて、容器内に界面活性剤を含む水系を入れ、この水系に対して、1回の送気と1回の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を、容器底部にある送気孔を通じて行い、最後サイクル終了時点の泡体積を測定し、界面活性剤の発泡性を評価する。前記第3の課題は、各構成部を特定した上記の発泡試験装置を用いて、脱墨剤の水希釈液を泡体積測定可能な容器に入れ、この水系に対し、1回10秒間の送気と1回20秒間の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を容器底部にある送気孔を通じて行い、最後の送気流量直後の泡体積(V1 ml)と、最後のサイクル終了時点の泡体積(V2 ml)を測定し、V1と下記の式で計算される泡体積減少率とにより脱墨剤を選定することにより解決できる。 泡体積減少率=(V1−V2)/20【0012】【発明の実施の形態】本発明者らは、紙パルプ製造工程中の界面活性剤を含む水系の発泡性解明に取り組んだ。特に、脱墨パルプの収率の向上を目的とした、フローテーション脱墨法における脱墨剤を含有する水系の発泡性の解明と優れた脱墨剤を選定できる試験方法について研究した結果、従来からの動的試験方法の一つである送気法を改良した試験方法で、水系の発泡性を正確に評価できることを見いだして、本発明を完成するに至った。【0013】本発明の発泡試験装置について説明する。発泡試験装置の主要部は、送気用コンプレッサーまたはガスボンベ、空気またはその他のガスの圧力調整器、空気またはその他のガスのフローメーター、送気孔を有する気体導入部位、気体導入部位が底部に設置された泡体積測定可能な容器から構成されている。圧力調整器以降の構成図の一例を図1に示す。【0014】図1に従って説明する。泡体積測定可能な容器(1)の底部から容器内の水系へ気体を吹き込む。この気体には空気または水系への溶解度が低い気体(窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)が用いられる。空気の場合はコンプレッサーで圧力を高め、圧力調整器(4)で一定の圧力にした後、ガスフローメーター(3)を通して一定流量で水系に吹き込む。窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの気体はボンベで入手可能であり、ボンベに封入されているガスを圧力調整器(4)で一定の圧力にした後、ガスフローメーター(3)を通して一定流量で水系に吹き込む。泡体積測定可能な容器(1)の底部にある送気孔を有する気体導入部位(5)は、ガラス管などの管でも良いが、多くの細孔を有するガラスボールフィルターなどの散気管が好ましい。泡体積測定可能な容器(1)とは、その底部に散気孔を有する気体導入部位を設置でき、かつ泡体積を測定できるものであれば特に限定はないが、メスシリンダーが好ましい。【0015】発泡試験装置における上記の一連の操作は手動で行っても良いが、圧力ガス発生(コンプレッサー起動またはボンベバルブ開)−圧力調整−流量調整−送気時間設定−送気止め時間設定などの一連の操作をシーケンスに組み、自動化することも可能である。【0016】本発明の界面活性剤を含む水の発泡試験方法について説明する。該発泡試験が対象とする水系は、少なくとも界面活性剤を成分として含むものである。界面活性剤は、紙パルプ産業で使用されている消泡剤、顔料分散剤、脱樹脂剤、フェルト洗浄剤、ピッチコントロール剤などである。これらの希釈水溶液、またはこれらの界面活性剤を含有する工程水を対象とする。工程水とは、紙パルプ製造工程内の水系という意味である。工程水の具体例としては、パルプスラリー、パルプ搾水、抄紙原料スラリー、抄紙白水、洗浄水、各種排水、古紙スラリー、脱墨フロス水などを挙げることができ、少なくとも界面活性剤を含有していれば他の成分を含有していても、発泡試験の対象とすることができる。【0017】上記の発泡試験装置を用いて、界面活性剤を含む水系を泡体積測定可能な容器に入れ、この水系に対し、1回の送気と1回の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を、容器底部にある送気孔を通じて行う。最後のサイクルが終了した時点の泡体積を測定する。この泡体積により、発泡性を評価する。【0018】発泡試験に供する界面活性剤を含有する水系の温度に特に限定はないが、紙パルプ製造工程における発泡性を評価することが目的であるから、工程における水系の実際の温度で試験することが好ましく、この温度に調節した水系を容器に入れる。【0019】水系へ吹き込む気体の種類、気体圧力、気体流量、散気管の種類、送気時間、送気止め時間、サイクル数などは、試験に供する水系の状態や性状に応じて、適宜選定して試験をすることができる。一例として、容器として1L容メスシリンダーを用いる場合、供試液200ml、気体は空気、圧力は0.4kgf/cm2、流量は1.6ml/分、散気管はガラスボールフィルター503G(木下理化工業株式会社製)、送気時間は10秒間、送気止め時間は20秒間、サイクル数は4回の条件を挙げることができる。【0020】次に、起泡性と泡切れが優れた脱墨剤の選定を目的とした、脱墨剤の水希釈液の発泡試験方法について説明する。この脱墨剤は市販されている製品の他に、既存製品の発泡剤、抑泡剤、凝集剤、脂肪酸、剥離剤などを助剤として添加したものも含まれ、また既存製品同士を適当な比率で混合したものも含まれる。【0021】この試験では容器として1L容メスシリンダーを用いる。気体は空気、圧力は0.4kgf/cm2、流量は1.6ml/分、散気管はガラスボールフィルター503G(木下理化工業株式会社製)、送気時間は10秒間、送気止め時間は20秒間、サイクル数は4回の条件である。【0022】脱墨剤の水希釈水溶液(脱墨剤濃度100ppm)を含む水系200mlを1L容メスシリンダーに入れ、この水系に対し、10秒間の送気と20秒間の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を容器底部にあるガラスボールフィルターを通じて行い、最後の送気流量直後の泡体積(V1 ml)と、最後のサイクル終了時点の泡体積(V2 ml)とを測定し、V1と下記の式で計算される泡体積減少率で脱墨剤を選定する。V1が多いほど起泡性が高く、泡減少率が高いほど泡切れが良好である。泡体積減少率(ml/sec.)=(V1−V2)/20【0023】次に前記の方法で選定される起泡性と泡切れが優れた脱墨剤を使用する脱墨方法について説明する。本発明の脱墨対象の古紙は、現状処理されている古紙であれば良く、新聞古紙(新聞100%)、雑誌古紙、チラシ、電話帳などである。これらの単独でも良く、これらが配合されたものでも良い。【0024】これら古紙原料の脱墨処理時の発泡性は、脱墨剤やパルプ繊維以外の含有成分、例えば、填料や顔料などの無機成分、澱粉やCMCなどの水溶性高分子有機物、ラテックス由来の乳化剤、などの影響を受ける。このため、各古紙原料毎に適した脱墨剤があり、この脱墨剤を含む水のV1値と泡体積減少率の適切な範囲がある。新聞古紙/チラシ古紙=50/50〜99/1におけるこのV1と泡体積減少率は、それぞれ400〜800mlかつ0.03〜0.25、好ましくは600〜700mlかつ0.05〜0.10である。雑誌古紙/新聞古紙=50/50〜99/1におけるこのV1と泡体積減少率は、それぞれ200〜650mlかつ0.05〜0.50、好ましくは250〜600mlかつ0.07〜0.45である。チラシ100%では200〜300ml、0.35〜0.50、好ましくは200〜250ml、0.40〜0.45である。【0025】選定された脱墨剤を、従来の添加場所、添加量で古紙懸濁液に添加し、公知の方法で脱墨処理を行う。【0026】【実施例】次に、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。発泡試験の条件を次に示す。(1)発泡試験装置:図1に示す装置を用いた。(2)送気気体:空気であり、コンプレッサーを用いて送気した。(3)空気圧力:0.4kgf/cm2(4)空気流量:1.6ml/分(5)散気管:ガラスボールフィルター503G(木下理化工業株式会社製)【0027】【実施例1】発泡試験装置の容器内に、表1に示す界面活性剤(脱墨剤)の100ppm水溶液(液温40℃)を200ml入れ、前記の条件で発泡試験を行った。送気10秒間、送気止め20秒間を1サイクルとし、この操作を4サイクル行った。試験終了時の泡体積を表1に示す。【0028】【比較例1】送気、送気止めを1サイクルのみ(従来の送気法)とした以外は、実施例1と同様に試験を行った。試験終了後の泡体積を表1に示す。【0029】【表1】【0030】表1では供試した界面活性剤をA〜Dの4群に分けている。これは比較例1の泡体積の結果から、泡体積の多少により分けたものであり、各群の泡体積は、A群で50〜150ml、B群で150〜250ml、C群で250〜350ml、D群で350〜450mlとした。表1に示す結果から、A群、B群、C群、D群の比較例の泡体積の範囲は、それぞれ135〜150ml(範囲R=15ml)、165〜230ml(R=65ml)、275〜335ml(R=60ml)、375〜445ml(R=70ml)であるのに対して、実施例ではA群、B群、C群、D群でそれぞれ130〜210ml(R=80ml)、215〜495ml(R=280ml)、495〜900ml(R=405ml)、690〜1050ml(R=360ml)であり、実施例では範囲Rが大きくなっている。従って、実施例による発泡試験により、従来の試験方法では差が無い界面活性剤の発泡性を比較評価をすることが可能であることが解る。【0031】【実施例2】起泡性に優れかつ泡切れが良い脱墨剤の選定を目的とした実施例である。発泡試験装置の容器内に、実施例1で評価した界面活性剤(脱墨剤)15種類の100ppm水溶液(液温40℃)を200ml入れ、前記の条件で発泡試験を行った。送気10秒間、送気止め20秒間を1サイクルとし、4サイクル目の送気終了直後の泡体積と4サイクル終了後(4サイクル目の送気止め20秒経過後)の泡体積を測定し、泡体積減少率を計算した。結果を表2に示す。【0032】【表2】【0033】表2では供試した15種類の脱墨剤を、4サイクル目送気終了直後の泡体積が大きい順に並べた。この泡体積が大きいほど起泡性が高い脱墨剤と言える。また、泡体積減少率が大きいほど泡切れに優れた(換言すれば、泡安定性に劣る)脱墨剤と言える。このようにして、古紙の種類に応じて、適切な脱墨剤を選定することができる。【0034】【発明の効果】本発明の装置を用いた発泡試験により、紙パルプ製造工程中の界面活性剤を含む水系の発泡性を正確に測定できる。また、本発明の脱墨剤の選定方法により、起泡性が優れかつ泡切れ性が良い脱墨剤を選定できる。脱墨工程において、この脱墨剤を使用する収率の向上が期待できる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の発泡試験装置の、圧力調整器以降の一例を示す図である。【符号の説明】1 泡体積測定可能な容器2 容器1を置く台3 空気またはその他のガスのフローメーター4 空気またはその他のガスの圧力調整器5 送気孔を有する気体導入部位 界面活性剤を含む水の発泡試験方法であって、少なくとも界面活性剤を含む水系を泡体積測定可能な容器に入れ、この水系に対し、1回の送気と1回の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を、容器底部にある送気孔を通じて行い、最後のサイクルが終了した時点の泡体積を測定することを特徴とする界面活性剤含有水の発泡試験方法。 水系の発泡試験に供する試験装置であって、(1)送気用コンプレッサーまたはガスボンベ(2)空気またはその他のガスの圧力調整器(3)空気またはその他のガスのフローメーター(4)送気孔を有する気体導入部位(5)気体導入部位が底部に設置された泡体積測定可能な容器から構成され、容器に水系を入れ、この水系に対し、1回の送気と1回の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を容器底部にある送気孔を通じて行い、水系の発泡性を試験することを特徴とする発泡試験装置。 請求項1記載の発泡試験方法を利用した脱墨剤の選定方法であって、界面活性剤として脱墨剤を含む水系を泡体積測定可能な容器に入れ、この水系に対し、1回10秒間の送気と1回20秒間の送気止めを1サイクルとし、この4サイクルの操作を容器底部にある送気孔を通じて行い、最後の送気流量直後の泡体積(V1 ml)と、最後のサイクル終了時点の泡体積(V2 ml)とを測定し、V1と下記の式で計算される泡体積減少率で脱墨剤を選定することを特徴とする脱墨剤の選定方法。 泡体積減少率(ml/sec.)=(V1−V2)/20


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る