| タイトル: | 特許公報(B2)_4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体のエステル化方法 |
| 出願番号: | 2003078891 |
| 年次: | 2009 |
| IPC分類: | C07C 279/18 |
新井 英雄 村山 諭利恵 大友 勇二 中川 陽 村上 薫 JP 4251892 特許公報(B2) 20090130 2003078891 20030320 4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体のエステル化方法 関東化学株式会社 591045677 葛和 清司 100102842 新井 英雄 村山 諭利恵 大友 勇二 中川 陽 村上 薫 20090408 C07C 279/18 20060101AFI20090318BHJP JPC07C279/18 C07C 279/18 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開昭57−053454(JP,A) 特開昭59−039851(JP,A) 特開昭62−103058(JP,A) 特開平03−200764(JP,A) 特開平05−310704(JP,A) 特開平09−309873(JP,A) 国際公開第94/013631(WO,A1) 国際公開第96/020917(WO,A1) Journal of Organic Chemistry,1999年,Vol.64, No.19,p.6984-6988 Journal of Organic Chemistry,1999年,Vol.64, No.19,p.6989-6992 Chemistry Letters,1982年,No.12,p.1891-1894 4 2004284982 20041014 8 20060301 福島 芳隆 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体のエステル化方法、さらに詳しくはメシル酸ナファモスタットなどの医薬品合成時のエステル化反応に関する。【0002】【従来の技術】医薬品や農薬に用いられる化合物には分子内にエステル基を有する化合物が多く、これらの化合物は一般に▲1▼エステルのアルコール交換反応、▲2▼酸塩化物、酸無水物などとアルコールの反応、▲3▼酸の塩とアルコールの反応、▲4▼ケテンあるいはイソシアン酸塩とアルコールの反応などにより合成され、硫酸、トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド(以下DMCと略)やN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCCと略)などがエステル化剤として用いられている。【0003】エステル化剤として用いられるDMCは、穏和な条件で反応を行なえるということからエステル化、ハロゲン化、アミド化など多くの種類の有機合成反応で使用されている。また、DMCは水により分解し、さらに水とピリジンが共存すると急速に分解するという性質から、多くのDMCを用いた有機合成反応には反応溶媒として塩化メチレンなどの非プロトン性溶媒が用いられている(例えば非特許文献1)。したがって、塩素系溶媒などの廃溶剤の処理が、環境面において問題となっている。【0004】一方で、膵臓疾患の医薬品としてメシル酸ナファモスタット(例えば特許文献1)やメシル酸カモスタット(例えば特許文献2)の製造のエステル化反応においては、DCCをエステル化剤、溶媒にピリジンなどを用いて行なわれている。しかしながら、特許文献1ではエステル化反応後に抽出や濾過、洗浄などといった操作が必要であり、メシル酸ナファモスタットの製造全体を見ると製造工程が煩雑であった。また、その前駆体である6’−アミジノ−2’−ナフチル−4−グアニジノベンゾエート炭酸塩の収率も高いといえるものではなかった。【0005】一方、特許文献2では溶媒がピリジンでなければ反応が進行せず、副生成物が混在するという問題があった。さらに特許文献2をメシル酸ナファモスタットの製造に応用するとナファモスタットのp−トルエンスルホン酸塩の溶解性が悪く、塩交換反応が完全には行なえない結果、メシル酸ナファモスタットを収率良く製造することができなかった。また、血栓溶解作用を有する置換アミジノナフチルエステル誘導体の製造において、エステル化剤としてDCC、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)やジフェニルホスホリルアジド(以下、DPPAと略)等を用いて、エステル化する反応がある(特許文献3)。かかる文献では、DCCを用いた反応において、無水または含水ピリジン等の溶媒を用いてエステル化を行っているが、有機溶媒を多量に含むものであった。【0006】【特許文献1】特公昭61−1063号公報【特許文献2】特開平9−309873号公報【特許文献3】WO96/20917【非特許文献1】2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロライドのカタログ、白鳥製薬(株)【0007】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、上記問題点を解消するとともに、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体のエステル化反応を環境に優しく、特にメシル酸ナファモスタット合成におけるエステル化反応を高反応率で提供し、反応後の処理を簡便にする方法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、かかるエステル化反応において水溶性エステル化剤を用いて水を含む溶媒中で行うことにより、エステル化反応における廃溶剤という問題を解消するばかりか、さらに驚くべきことに高反応率かつ副生成物の少ないエステル化を行なう方法を確立し、本発明を完成するに至った。【0009】すなわち、本発明は、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体と水酸基を有する有機化合物とのエステル化物を合成する方法であって、水を含む溶媒中で水溶性エステル化剤を用いてエステル化することを含む、前記方法に関する。また、本発明は、さらにピリジンを含む、前記方法に関する。さらに、本発明は、水溶性エステル化剤が、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリドである、前記方法に関する。また、本発明は、4−グアニジノ安息香酸の誘導体が4−グアニジノ安息香酸塩酸塩で、水酸基を有する有機化合物が6−アミジノ−2−ナフトールメタンスルホン酸塩である、前記方法に関する。さらに、本発明は、前記方法を含む、メシル酸ナファモスタットの合成方法に関する。【0010】本発明の4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体のエステル化反応によれば、かかるエステル化反応を高収率かつ副生成物の生成も少なく行うことができる。本発明の4−グアニジノ安息香酸等のエステル化反応は、そのメカニズムは明確ではないが、水溶性エステル化剤存在下、水を溶媒とすることで、出発原料およびエステル化剤の溶解による均一化を図ることができ、DMCの塩素イオンの遊離などにより、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体のエステル化物を高反応率で副生成物を少なく合成することができ、さらに廃溶剤の問題も解消するものである。したがって、コストおよび時間を削減しつつ4−グアニジノ安息香酸等のエステルを高反応率で得られることから実用上意義深いものといえる。さらに、かかるエステル化反応を用いることによりメシル酸ナファモスタットを低コスト、高収率かつ短時間で合成することができ、メシル酸ナファモスタットの製造に大きく貢献するものである。【0011】【発明の実施の形態】本発明におけるエステル化方法は、たとえば、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体、水酸基を有する有機化合物およびエステル化剤を水に溶解させ、ピリジン存在下によりエステル化反応を行なうことができる。本発明における4−グアニジノ安息香酸の誘導体とは、4−グアニジノ安息香酸の塩酸塩、メタンスルホン酸塩および硫酸塩などの4−グアニジノ安息香酸の水溶性の塩、4−グアニジノ−3−メチル安息香酸の塩酸塩、メタンスルホン酸塩および硫酸塩などの4−グアニジノ−3−メチル安息香酸の水溶性の塩などのことをいう。メシル酸ナファモスタットやメシル酸カモスタットなどの医薬品の合成には、4−グアニジノ安息香酸の塩酸塩が好適に用いられる。4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体の量は特に制限されないが、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体自体が未反応として残らない、エステル化反応を効率よく進行させるためには、水酸基を有する有機化合物の1.0〜1.5当量が好ましく、より好ましくは1.1〜1.3当量である。【0012】本発明における水酸基を有する有機化合物とは、水酸基を有する脂肪族または芳香族の化合物のことをいい、たとえば、6−アミジノ−2−ナフトールメタンスルホン酸塩(以下AMNと略)、p−ヒドロキシフェニル酢酸N,N’−ジメチルカルバモイルメチルエステルなどが挙げられる。メシル酸ナファモスタットの合成の場合はAMNが、メシル酸カモスタットの合成の場合にはp−ヒドロキシフェニル酢酸N,N’−ジメチルカルバモイルメチルエステルが好適に用いられる。【0013】本発明で用いられる水溶性エステル化剤は、エステル化が進行するものであれば特に限定はない。たとえば、DMC、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドなどが挙げられる。高反応率かつエステル化反応後の処理が容易ということからDMCが好適である。エステル化剤の使用量は、使用するエステル化剤自体の活性により異なるが、水酸基を有する有機化合物に対して1.0当量以上であればよく、好ましくは1.5〜6.0当量、より好ましくは2.0〜5.0当量である。あまり多く使用してもエステル化反応率は変わらないため、あまり実用的ではない。エステル化反応の温度は、エステル化反応が進行する温度であればよく、15〜50℃が好ましく、20〜35℃がより好ましい。エステル化反応の時間は、エステル化反応が完結する時間であればよく、0.5〜15時間が好ましく、1〜8時間がより好ましく、1〜4時間が最も好ましい。【0014】本発明で用いられる水を含む溶媒とは、水や水を含んだアセトン、ピリジン、DMFおよびメタノールなどの水混和性溶媒などのことをいう。エステル化反応を高反応率で行なうためには水が好ましい。かかる水は、水道水、純水、超純水などその種類に特に限定されない。価格の面および不純物の面から純水が特に好ましい。水の使用量は、水酸基を有する有機化合物に対して15〜150倍重量が好ましく、25〜100倍重量がさらに好ましく、30〜60倍重量がもっとも好ましい。水の量が少なすぎると反応時に析出する結晶により攪拌効率が低下する傾向があり、水の量が多すぎると反応率が低下する傾向があるため、適切な量に設定する必要がある。【0015】本発明のエステル化反応においては、使用するエステル化剤、たとえばDMCの場合は、塩酸等が発生する。かかる塩酸等を捕捉するため反応系にピリジンなどの捕捉剤をさらに加えることが好ましい。捕捉剤の使用量は、エステル化物を高反応率で得るために水酸基を有する有機化合物に対して1〜10当量が好ましく、2.5〜6当量がより好ましい。さらに、エステル化剤:ピリジンの比率としては、1:1〜1:3が好ましく、1:2〜1:2.5がより好ましい。【0016】また、エステル化反応は、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体、水酸基を有する有機化合物、溶媒ならびにエステル化剤を含んだ容器にピリジンを添加しても、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体、水酸基を有する有機化合物、溶媒ならびにピリジンを含んだ容器にエステル化剤を添加しても行うことができる。より高いエステル化反応率を得るためには、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体、水酸基を有する有機化合物、溶媒ならびにエステル化剤を含んだ容器にピリジンを添加することが好ましい。添加方法に特に制限はないが、滴下する方法が好ましい。【0017】本発明のエステル化反応終了後の後処理は、その後の反応への使用の有無により異なってくるが、メシル酸ナファモスタットを合成する場合には、反応終了後反応液中の沈殿物を加熱溶解させるだけでその後の炭酸塩化に用いることができる。この点、従来と比較して抽出や濾過、洗浄などといった操作が不要となり、全体的にみてメシル酸ナファモスタットの合成が簡易になる。本発明におけるメシル酸ナファモスタットの合成方法は、本発明のエステル化反応を含むものであれば公知のいずれの方法も用いることができる。たとえば、本発明のエステル化反応後、炭酸水素ナトリウムによる炭酸塩化をし、さらにメタンスルホン酸によるメシル酸塩化を行うことによりメシル酸ナファモスタットを合成することができる。【0018】【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中のHPLC測定条件は、カラム;Mightysil RP−8 GP C8 5μm 4.6×250mm(登録商標、関東化学株式会社製)、溶離液;アセトニトリル:0.1mol/l酢酸(0.03mol/lヘプタスルホン酸ナトリウム)=3:7(関東化学株式会社製)、検出器;UV250nm、流速;1.2ml/minで行なった。また、使用した純水は関東化学株式会社製のものを使用した。【0019】〔実施例1〕 AMNとGBAのエステル化反応【化1】2Lの四つ口フラスコにAMN20g(70.8mmol,1.0eq)、GBA18.3g(1.2eq)を純水800mlで洗い入れ溶解させた。次いでDMC24.0g(2.0eq)を純水200mlで洗い入れ溶解させた。ピリジン22.4g(4.0eq)を室温下で滴下し、同温度で1〜2時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、91%以上の反応率でp−グアニジノ安息香酸6−アミジノ−2−ナフチルエステルが得られた。図1は、HPLCのクロマトグラムを示し、3.2min付近はGBAおよびピリジン、4.5min付近はAMN、5.0min付近は副生成物、6.3min付近はp−グアニジノ安息香酸6−アミジノ−2−ナフチルエステルを示す。比較例1の結果(図3)と比較して、副生成物が少なく、高反応率で目的物を得ることができた。【0020】〔実施例2〕メシル酸ナファモスタットの合成【化2】【0021】(1)炭酸塩化実施例1で得られた反応液を加熱溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を注加し、室温で1〜2時間攪拌した。攪拌後、反応液を遠心機にて振り切り、結晶を水及びアセトンで洗浄した。【0022】(2)メシル酸塩化(1)で得られた結晶に水を加え、メタンスルホン酸20.4g(3.0eq)を攪拌下、室温で滴下した。これをアセトンに注加して1〜2時間晶析した。晶析後、遠心機にて振り切り、得られた結晶を室温下減圧乾燥させた。粗収率86.1%、HPLC純度98.90%で粗メシル酸ナファモスタットを得た。さらに水などによる洗浄、再結晶などによりトータル収率50.9%、HPLC純度99.93%でメシル酸ナファモスタットを得た(図2)。【0023】〔比較例1〕溶媒に塩化メチレンを用いて実施例1と同様にAMNとGBAのエステル化を行なった。用いたDMCは18.0g(1.5eq)、塩化メチレンは358.5ml、ピリジンは16.8g(3.0eq)として、その他は実施例1に従った。反応液をHPLC測定した結果、50%の反応率でp−グアニジノ安息香酸6−アミジノ−2−ナフチルエステルが得られた。図3は、HPLCのクロマトグラムを示し、3.2min付近はGBAおよびピリジン、4.5min付近はAMN、5.0minおよび6.8min付近は副生成物、6.3min付近のピークはp−グアニジノ安息香酸6−アミジノ−2−ナフチルエステルを示す。【0024】〔比較例2〕(1)炭酸塩化比較例1で得られた反応液からデンカントにより塩化メチレンを除き、実施例2(1)と同様に10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて炭酸塩化を行なった。【0025】(2)メシル酸塩化(1)で得られた結晶を実施例2(2)と同様にしてメシル酸塩化を行った。粗収率84.2%、HPLC純度95.76%で粗メシル酸ナファモスタットを得た。さらに水などによる洗浄、再結晶などによりトータル収率23.3%、HPLC純度99.92%でメシル酸ナファモスタットを得た(図4)。【0026】【発明の効果】本発明は反応溶媒に水を用いることにより廃溶剤を排出することなく、副生成物を少なく、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体と水酸基を有する有機化合物のエステル化物を高反応率で合成することができ、さらにエステル化反応後の処理を簡易に行なうことができる。これにより、メシル酸ナファモスタットの合成を低コスト、高収率かつ短時間で行うことができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明におけるAMNと4−グアニジノ安息香酸塩酸塩のエステル化物のクロマトグラムを示す。【図2】本発明におけるメシル酸ナファモスタットのクロマトグラムを示す。【図3】塩化メチレン溶媒によるAMNと4−グアニジノ安息香酸塩酸塩のエステル化物のクロマトグラムを示す。【図4】塩化メチレン溶媒によるメシル酸ナファモスタットのクロマトグラムを示す。 4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体と水酸基を有する有機化合物とのエステル化物を合成する方法であって、水を含む溶媒中で2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリドを用いてエステル化することを含み、4−グアニジノ安息香酸またはその誘導体が、4−グアニジノ安息香酸の水溶性の塩又は4−グアニジノ−3−メチル安息香酸の水溶性の塩であり、水酸基を有する有機化合物が、6−アミジノ−2−ナフトールメタンスルホン酸塩又はp−ヒドロキシフェニル酢酸N,N’−ジメチルカルバモイルメチルエステルである、前記方法。 さらにピリジンを含む、請求項1に記載の方法。 4−グアニジノ安息香酸の誘導体が4−グアニジノ安息香酸塩酸塩で、水酸基を有する有機化合物が6−アミジノ−2−ナフトールメタンスルホン酸塩である、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。 請求項3に記載の方法を含む、メシル酸ナファモスタットの合成方法。