タイトル: | 特許公報(B2)_工作物の外観検査装置 |
出願番号: | 2003058569 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 21/952,G01B 11/30 |
野上 良治 坂本 賢志 森川 仁司 海谷 昌生 JP 4082241 特許公報(B2) 20080222 2003058569 20030305 工作物の外観検査装置 光洋機械工業株式会社 000167222 株式会社ジェイテクト 000001247 佐野 章吾 100099977 寒川 潔 100104259 野上 良治 坂本 賢志 森川 仁司 海谷 昌生 20080430 G01N 21/952 20060101AFI20080410BHJP G01B 11/30 20060101ALI20080410BHJP JPG01N21/952G01B11/30 A G01N 21/84 - 21/958 特開平06−074914(JP,A) 特開平04−204145(JP,A) 特開平06−082387(JP,A) 特開平09−087648(JP,A) 特開平05−052527(JP,A) 特開平09−113463(JP,A) 4 2004271214 20040930 12 20050221 豊田 直樹 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、円筒コロ等の工作物の外観の傷を、低コストにて検査することができる工作物の外観検査装置に関する。【0002】【従来の技術】【特許文献1】特開平8−101134号公報【特許文献2】特開昭60−73409号公報軸受部品に用いる円筒コロは表面に傷があると寿命を損なうので、外径部の削り込みを行う研削加工が終了した後に、傷の有無の検査を行っている。【0003】この検査を自動的に行う装置は、図5及び図6に示すように、並行配置された二本の回転ドラムa,aの上に、脱脂洗浄後に乾燥された工作物(円筒コロ)Wを載置し、工作物圧子bで押さえて工作物Wの暴れを防止しながら回転させ、ハロゲンランプやレーザー管等の光源cで工作物外周面の軸方向に沿う線状領域Waを照射し、この反射光をラインセンサカメラdで検出し、これを一定の基準レベルと比較することにより暗く写る傷を判定し、一回転させることにより傷の有無を判定していた。【0004】なお、円筒状工作物の傷の有無を光学的に検査する装置としては次のものがあった。例えば、長尺物の工作物を回転させながら蛍光灯で照射し、数台並べたラインセンサカメラで、その反射光量を電圧に変換して、検査選別を行う機械がある(たとえば上記特許文献1参照)。また、例えば、細長い針状型の工作物に対しては、照明手段としてレーザー光を用いて、同様の光電変換処理にて検査選別を行う機械がある(たとえば上記特許文献2参照)。また、例えば、太短い太鼓形状の工作物に対しては、光源としてハロゲンランプを用いて同様の処理を行う装置がある。【0005】以上に述べた工作物の傷の有無を光学的に検査する装置は、いずれも、検査時に工作物の外周面を清浄に保っておく必要があり、脱脂洗浄後乾燥し、工作物の表面にゴミが付着していない状態にすることが、精度の高い検査に必要不可欠な条件となっている。【0006】しかし、脱脂洗浄能力や乾燥能力を高くした設備導入を行うと割高となり、採算が合わなくなる。【0007】このため、外観検査装置の導入を諦め、作業者の目視検査に頼っているのが現状である。しかし、人間が選別を行うため、製品群内の相対判定、あるいは個人差による判定基準の不明確、相違等の不具合が生じ、工作物表面の傷の見落とし等が発生していた。【0008】ここで、従来の円筒コロの製造後の検査・出荷行程を説明しておく。図7に示すように、研削機出口Aから入口シュート部Bに排出された円筒コロは脱脂洗浄装置Cに入って脱脂洗浄される。これを入口コンベア部Dを通して乾燥部Eに送って乾燥する。この後に、図6の外観検査装置Fによって検査し、その結果に基づいて外観選別部Gで傷のある円筒コロが取り除かれる。そして、防錆処理部Hで防錆油を塗布し、良品梱包部Iで梱包をした後に良品出荷部Jにおいて良品の出荷が行われる。【0009】なお、外観検査装置Fを用いない場合は、乾燥部Eで乾燥させた円筒コロに対して作業者の目視検査Kを行って傷のある円筒コロを取り除き、防錆処理部Hに送っている。【0010】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の検査方法では、脱脂洗浄および乾燥工程のための処理に時間がかかる。また、外観検査装置Fの利用を可能とするために脱脂洗浄能力や乾燥能力を上げた設備導入を行うと採算が合わなくなる一方で、この設備導入に代えて目視検査を行うと傷等の見落とし等が発生するという問題があった。【0011】そこで、本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、脱脂洗浄および乾燥工程なく外観検査ができるように改良して、製造から出荷までの工程時間を短縮するとともに、検査コストの削減と自動検査による信頼性の向上を図ることができる外観検査装置を提供することにある。【0012】【課題を解決するための手段】 本発明に係る工作物の外観検査装置は、工作物を軸線まわりに回転させる工作物回転手段と、工作物表面に防錆油を付着させる防錆油付着手段と、工作物表面に付着した防錆油の膜厚を均一にする膜厚均一化手段と、青色の単色光源で工作物表面を照射する照明手段と、工作物表面からの反射光を検出する線状のセンサ手段と、このセンサ手段からの検出結果から工作物表面の傷の有無を判別する判別手段とを備え、上記工作物回転手段は、所定間隔を開けて並行配置され同一方向に回転する二本の回転ドラムからなり、上記膜厚均一化手段は、この回転ドラムに跨って載置される工作物表面に対して所定間隔を開けて配置され、上記工作物表面に付着した防錆油を均一に均す工作物用ブレードから構成されていることを特徴とする。【0013】 この構成では、工作物表面の傷の有無の判別にあたり、工作物表面に防錆油を均一に塗布しているので、工作物表面に陥没状の傷(凹傷)があると、その傷の部分は傷のない面に比べ防錆油の膜厚が厚くなる。また、工作物表面に突出状の傷(凸傷)がある場合には、その傷の部分は傷のない面に比べ防錆油の膜厚が薄くなる。そして、照明手段として、青色の単色光源を用いているので、凹傷面と凸傷面とでは工作物表面からの反射光の光量差(明度差)が大きくなり、コントラストが強調され、傷の有無の判定が容易となる。このため、脱脂洗浄後乾燥し、工作物表面に埃が付着していない状態にするという従来の工程が不要になり、設備コストを大幅に低減できるとともに、製造から出荷までの工程時間を大幅に短縮できる。また、この防錆油が従来出荷時に塗布された防錆油を兼ねるので、工程の増加もない。【0014】 そして、上記工作物回転手段は、所定間隔を開けて並行配置され同一方向に回転する二本の回転ドラムからなり、上記膜厚均一化手段は、この回転ドラムに跨って載置される工作物表面に対して所定間隔を開けて配置され、上記工作物表面に付着した防錆油を均一に均す工作物用ブレードから構成されているので、これにより、工作物を上記回転ドラムに載置することにより工作物が回転駆動されるとともに、上記工作物用ブレードによって工作物表面に付着した防錆油が均一な膜厚に均されるとともに、工作物表面に付着した埃などが掻き落とされるので、検出精度を高くすることができる。【0015】また、上記防錆油付着手段を、二本の回転ドラムに防錆油を塗布する防錆油塗布手段と、上記回転ドラムに対して所定間隔を開けて配置され、上記回転ドラムに塗布された防錆油を回転ドラム表面に均一に均す回転ドラム用ブレードとから構成すると、回転ドラムブレードによって、回転ドラムの外周表面に防錆油が均一に付着され、ドラムの回転に伴い工作物にスムーズにムラなく防錆油を供給することができる。【0016】なお、このように回転ドラムを介して防錆油を工作物表面に供給することにより、防錆油によってドラム上のゴミ等を洗浄することができ、回転ドラムを清浄に保つことができる。【0017】また、他の好適な実施態様として、上記工作物回転手段に工作物を搬入する前工程に、研削加工によって工作物に付着した油滴を吹き飛ばすエアーブロー手段と、油滴除去後の工作物を溶剤を混合した防錆油で洗浄する洗浄手段とが設けられる。この前処理によって、研削工程で付着した研削油と研削カスとが除去され、その後に工作物に付着させる防錆油への研削油の混入を最小限に抑制することができる。【0018】上記照明手段の単色光の光源としては、使用する防錆油に対して光透過率が低い色のLEDが使用することが可能である。【0019】そして、本発明に係る工作物の外観検査方法は、研削加工によって工作物に付着した研削油の油滴をエアーを吹き付けて除去する工程と、油滴除去後の工作物を軸線まわりに回転させながら溶剤を混合した防錆油で洗浄するとともに、この防錆油に対して透過率の低い単色光源で工作物表面を照射し、その反射光を検出して工作物表面の傷の有無を判別する工程とを有することを特徴とする。【0020】【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1および図2に基づいて説明する。図1は、本発明の外観検査装置が組み込まれる研削機以降の検査・出荷ラインを示す図で、Aは研削機出口、Bは入口シュート部、Lはエアーブロー部、Dは入口コンベア部、Mは防錆洗浄部、Nは外観検査部、Gは外観選別部、Iは良品梱包部、Jは良品出荷部である。【0021】この検査・出荷ラインを図2にブロック図で示す。これを図7の従来の検査・出荷ラインと比較すると、従来の脱脂洗浄装置Cと乾燥部Eに代わって、エアーブロー部Lと防錆洗浄部Mが入り、外観検査装置Fは本発明特有の外観検査部Nに置き換えられ、従来設けられていた防錆処理部Hが廃止されている。なお、同一の符号が付された他の部分は従来と同様である。【0022】そこで、次に、この検査・出荷ラインにおける本発明特有の部分について説明する。【0023】エアーブロー部Lは、研削機による工作物Wの外径の削り込み時に付着し、油滴となっている研削油を吹き飛ばすもので、工作物Wの全周にエアー圧が作用するように、例えば工作物を転がり得る状態で移動させながら、上方からエアーを吹き付け、研削油をトレイ10(図1参照)等に落とし込む。【0024】防錆洗浄部Mは、溶剤である灯油を混合して流動性を高くした防錆油で工作物を洗浄することにより、エアーブロー後にも残っている研削油を除去するものである。【0025】 外観検査部Nの構成を図3及び図4に示す。1は所定間隔で並行配置された二本の回転ドラムを示しており、また、2は工作物表面に付着する防錆油を均一に均すための工作物用ブレード(膜厚均一化手段)を示している。工作物用ブレード2は、樹脂製の部材で構成され、回転ドラム1,1の上にこれらを跨いで載置される工作物Wの表面から所定間隔を開けて配置される。より詳細には、該ブレード2の工作物Wに対向する面(図示例ではブレード2の下端面)が防錆油を均一に均すための作用面とされ、この作用面と工作物表面との間隔を調節することによって工作物表面に形成される防錆油の膜厚の調整が可能とされる。また、この工作物用ブレード2は、工作物Wの回転に伴う振れ(暴れ)を防止する工作物圧子としても機能する。【0026】3は防錆油塗布手段である防錆油塗布用ノズルであって、本実施形態では、一対の防錆油塗布用ノズルが上記2つの回転ドラム1,1に対向配置され、2つの回転ドラム1,1のそれぞれに防錆油4を吹き付ける構成が採用される。5,5は樹脂製の回転ドラム用ブレードで、回転ドラム1,1に吹き付けられた防錆油4を回転ドラム1,1の外周全体に延ばし広げる。【0027】工作物用ブレード2と回転ドラム用ブレード5には、防錆油4をドラムの外周に延ばし広げる作用と、ドラムに付着したゴミを防錆油4と共に掻き取る作用があるので、これらを考慮して、防錆油4が、工作物Wの外観検査を受ける位置(線状の検査領域)Waにできるだけ均一に、しかも、上記検査領域Waにゴミが混入しないように供給できるように、その配置が選択される。また、本実施形態では、上記工作物用ブレード2と回転ドラム用ブレード5の材質として樹脂製のものを用いたが、上述した作用とともに工作物表面に傷が付かないように表面にある程度の弾性を有する材質であれば他の材質のものを用いることもできる。【0028】ドラム外周面の動きに対して、回転ドラム用ブレード5は、防錆油塗布用ノズル9の下流側、工作物用ブレード2は上記線状の検査領域Waの上流になるのが好ましいが、構成全体の作用として上述した防錆油4の供給が行われればよい。【0029】なお、回転ドラム用ブレード5には過剰に供給された防錆油が、掻き取ったゴミが混入した状態で溜まるので、これを除去する機構、例えば図示しない防錆油排出溝を形成してもよい。【0030】6は照明手段で、検査する工作物Wの軸線に沿う外観検査する線状の検査領域Waを照射する。この光源には、防錆油に対して透過率の低い単色光源が使用される。これは、例えば、LEDの中で、使用する防錆油に対して光の透過率が低い色で発光するものが選択される。具体的には、防錆油の種類や工作物表面に形成される防錆油の膜厚などに応じて適宜決定されるが、本願出願人が実施した実験(灯油を混合した防錆油で油膜の厚さが0.1ミリ程度の場合)では、この単色光源としては青色の単色光源が最適であった。【0031】照明手段6の構造は、例えば、図4に示すように、ケース内に収納されるプリント基板61に青色LED62を直線配列で植設し、その前側に集光レンズ63を配置して、工作物外周面の線状の検査領域Waが強い光(図中二点鎖線で示す)で照射されるようにする。【0032】7は線状のセンサ手段であるラインセンサカメラで、照明手段6によって照射された工作物Wの線状の検査領域Waから反射する光を検出する。工作物Wの軸方向が長い場合は複数台のラインセンサカメラを工作物表面に対向して平行配置する。【0033】8は判別手段で、上記線状のセンサ手段7からの検出信号を電気的に処理する信号処理部8aと、この信号処理部8aで得られた処理値を予め設定された値(所定のしきい値)と比較して、工作物表面の傷の有無を判別する判別部8bとを備える。【0034】工作物Wに塗布された防錆油に、外観検査装置の周囲の景色が映り込み、これが信号処理部8aの出力に明暗差として現れるので、この影響を排除するため、上記判別部8bでは、この映り込みによる影響を少なくするソフトウェア処理が行われる。これは、それまでのラインセンサカメラの出力における映り込み画像による明暗差分を検出し、これによって上記設定された値(上記しきい値)に補正を加えるものである。【0035】9は外観検査部Nの制御部で、工作物Wの回転速度と、ラインセンサカメラの撮影間隔の同期を取る等の制御が行われる。【0036】次に、上記図1から図4を用いて説明した検査・出荷ラインにおいて、研削機から出た工作物Wが、出荷されるまでの各部における処理操作について説明する。【0037】工作物Wである円筒コロは、その最終工程で、スーパーフィニッシュと呼ばれている研削機により、研削油を使用して外径部の削り込みが行われる。【0038】この研削油は、加工面が細かいために発生する表面張力にて、油滴となって工作物Wの表面に付着しており、これに光を当てると傷と同様に暗くなり、そのままでは外観検査部Nにおいて、油滴を傷として認識する誤判定が起きる。【0039】そこで、研削機から入口シュート部Aに排出された工作物Wをエアーブロー部Lに所定の移送手段で運び、ここで、エアーの吹き付けを行い、付着している研削油を吹き飛ばす。【0040】ここで、油滴を除去するのは、後の防錆洗浄部Mでの洗浄工程において、洗浄を行う防錆油に研削油が混合するのを最小限にするためである。【0041】次に工作物Wは入口コンベア部Dを通って防錆洗浄部Mに入り、溶剤である灯油を混合して流動性を高くした防錆油で洗浄される。【0042】この防錆油は、工作物Wに上手く馴染み、エアーブロー後に、研削油の油滴が僅かに残っていても、これを吸収して流し去り、研削油の油滴を完全に除去することができる。また、工作物の表面に研削油とともに付着している研磨カスをも流し去ることができる。【0043】防錆洗浄された工作物Wは、外観検査部Nに移送され、2本の回転ドラム1,1の上に乗せられる。そして、工作物圧子2にて押さえられ、回転ドラム1,1によって回転させられる。【0044】これに同期して、防錆油塗布手段3,3である防錆油ノズルは、2本の回転ドラム1,1のそれぞれに防錆油4を吹き付けて塗布する。回転ドラム1,1に塗布された防錆油は、回転に伴って発生する遠心力でムラが発生し易い。しかし、回転ドラム1,1に取り付けられた樹脂製の回転ドラム用ブレード5,5は、防錆油4を回転ドラム1,1の外周面に均し広げて、防錆油をムラが出来ない様に均等に付着させる。また、この回転ドラム用ブレード5,5は、回転ドラム1,1に塗布された防精油を掻き取る作用を持つので、回転ドラム上に付着したゴミ等の汚れを除去し、工作物Wにゴミ等で汚れていない防錆油4を供給できる。【0045】回転ドラム1,1に付着した防錆油は、回転に伴って工作物Wにスムーズに移り、その外周面の全面に付着する。この防錆油も遠心力にてムラが発生し易いのであるが、工作物用ブレード2は、上記回転ドラム用ブレード5,5と同様の作用により、防錆油を広げてムラなく均一に付着させる。【0046】このようにして防錆油が付着し回転している工作物Wの検査領域Waに対して、例えば青色LEDを光源とする照明手段6が照射する。そして、その反射光が、線状のセンサ手段7であるラインセンサカメラで検出され、この検出信号が判別手段8で電気的に処理され、予め設定された値(しきい値)と比較されて工作物表面の傷の有無が判別される。【0047】以上の工作物Wの回転速度と、ラインセンサカメラの撮影間隔とは、制御部9による同期が取られ、工作物表面を所定の解像度で検出が行われる。【0048】外観検査が終了した工作物Wは、外観選別部Gに送られる。ここには、外観検査部Nの判別手段8から判別結果が送られていて、傷有りの場合は不良品トレイ等に排出する選別が行われ、不良品はNG排出シュート11から排出される。【0049】外観選別部Gから送られた良品の工作物Wは、良品梱包部Iに搬送され、良品梱包部Iで梱包されて、良品出荷部Jにて出荷される。【0050】以上に説明した図2の本発明の工程を、図7に示した従来の工程と比較する。本発明装置では、従来の脱脂洗浄装置Cと乾燥部Eが廃止されている。これらは処理に時間がかかるとともに、必要な能力を得ようとすると設備費が高額になるものであった。これに代わり本発明では、エアーブロー部Lと防錆洗浄部Mが入っているが、これらは処理時間が短く、設備費も低額のものである。【0051】さらに、本発明では外観検査のために付着させた防錆油を出荷用に、そのまま用いるので、従来設けていた防錆処理部Hが不要になっている。【0052】このような相違により、本発明では、検査から出荷までの工程時間と設備費を大きく低減できる。【0053】なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。【0054】たとえば、上述した実施形態では、外観検査部Nの回転ドラム1,1は、複数の工作物Wを、図3のように、同軸状態で隙間なく乗せることができるので、工作物Wの搬送を隙間なく行い、連続測定することも可能である。この場合に、外観検査部Nの制御部9は、図示しない搬送装置から送られる工作物Wの搬送タイミング信号によって、個々の工作物Wを区別して計測の制御を行う。【0055】また、二本の回転ドラム1,1は、工作物Wの形状によっては工作物Wに過剰に付着した防錆油4が回転ドラム1,1に戻り難くなることもあるため、工作物軸心に対する回転ドラム設置角度を選択できる支持構造を採用することが好ましい。【0056】また、本発明の外観検査部Nには、照明手段6と線状のセンサ手段7を必要に応じて増加し、所定の位置に配置すると共に、制御部9と判別手段8のソフトウェアを追加することにより、外径測定ユニット、全長測定ユニット、端面ヌスミ検査ユニット等の検査項目を追加することができる。【0057】さらに、上述した実施形態では、防錆油塗布用ノズルが回転ドラム1,1の軸方向の略全長にわたって設けられている場合を図示したが、このノズルは回転ドラム1,1の上流側(工作物Wの搬入方向の上流側)の一部に臨んで設けられるように構成されてもよい。要は、回転ドラム1,1の回転および回転ドラム用ブレード5,5の作用によって防錆油4が工作物Wの全体に付着するように設けられればよい。【0058】【発明の効果】 本発明は、工作物表面に光を照射してその反射光の強弱によって傷の有無を判定するにあたり、工作物表面に防錆油を均一に付着させるとともに、照射する光として青色の単色光源からの光を照射するので、傷のある部分の反射光のコントラストが鮮明になるので、従来の脱脂洗浄後乾燥し、工作物表面に埃が付着していない状態にする工程を不要にすることができる。また、この防錆油を出荷用の防錆油として用いることができるので、検査・出荷にかける設備費と工数を大きく低減できる。【0059】また、本発明の工作物回転手段を、並行配置した二本の回転ドラムで構成し、上記膜厚均一化手段を、上記工作物表面に付着した防錆油を均一に均す工作物用ブレードで構成することにより、工作物に付着した防錆油を均一化すると共に、工作物に付着した埃を工作物用ブレードで掻き落とすことによって、検査精度を保つことができる。【0060】また、本発明は防錆油付着手段を、二本の回転ドラムに防錆油を塗布する防錆油塗布手段と、回転ドラムに塗布された防錆油を回転ドラム表面に均一に均す回転ドラム用ブレードとから構成することにより、簡単な構成で、防錆油を回転ドラムの外周表面に均一に延ばし拡げると共に、回転ドラムに付着した埃を除去することができ、ここから回転に伴って防錆油をスムーズかつムラなく工作物に供給することができる。【0061】また、本発明は、外観検査の前に、エアーブロー手段により、工作物に付着した研削油の油滴を吹き飛ばし、この後に、工作物を溶剤を混合した防錆油で洗浄することにより、研削機で付着した研削油と研削カスを除去し、外観検査の精度を高く保つことができる。【0062】 また、光源としてLEDを使用することで、本発明の効果が得られる照明手段を低コストかつコンパクトな構造で得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の外観検査装置が組み込まれる検査・出荷ラインを示す概略構成図である。【図2】同外観検査装置が組み込まれる検査・出荷ラインの処理手順を示すブロック図である。【図3】同外観検査装置の外観検査部を示す斜視図である。【図4】同外観検査装置の外観検査部を示す側面図である。【図5】従来の外観検査装置の概略構成を示す斜視図である。【図6】従来の外観検査装置の概略構成を示す側面図である。【図7】従来の検査・出荷ラインにおける処理手順を示すブロック図である。【符号の説明】 1 回転ドラム 2 工作物用ブレード(膜厚均一化手段) 3 防錆油塗布用ノズル(防錆油塗布手段) 4 防錆油 5 回転ドラム用ブレード 6 照明手段 7 線状のセンサ手段(ラインセンサカメラ) 8 判別手段 8a 信号処理部 8b 判別部 9 外観検査部の制御部 A 研削機出口 B 入口シュート部 L エアーブロー部 D 入口コンベア部 M 防錆洗浄部 N 外観検査部 G 外観選別部 I 良品梱包部 J 良品出荷部 W 工作物 Wa 線状の検査領域 工作物を軸線まわりに回転させる工作物回転手段と、工作物表面に防錆油を付着させる防錆油付着手段と、工作物表面に付着した防錆油の膜厚を均一にする膜厚均一化手段と、青色の単色光源で工作物表面を照射する照明手段と、工作物表面からの反射光を検出する線状のセンサ手段と、このセンサ手段からの検出結果から工作物表面の傷の有無を判別する判別手段とを備え、 上記工作物回転手段は、所定間隔を開けて並行配置され同一方向に回転する二本の回転ドラムからなり、上記膜厚均一化手段は、この回転ドラムに跨って載置される工作物表面に対して所定間隔を開けて配置され、上記工作物表面に付着した防錆油を均一に均す工作物用ブレードから構成されていることを特徴とする工作物の外観検査装置。 上記防錆油付着手段は、二本の回転ドラムに防錆油を塗布する防錆油塗布手段と、上記回転ドラムに対して所定間隔を開けて配置され、上記回転ドラムに塗布された防錆油を回転ドラム表面に均一に均す回転ドラム用ブレードとから構成され、回転ドラムの外周に拡がった防錆油を回転に伴って工作物に供給することを特徴とする請求項1に記載の工作物の外観検査装置。 研削加工によって工作物に付着した研削油の油滴を吹き飛ばすエアーブロー手段と、油滴除去後の工作物を溶剤を混合した防錆油で洗浄する洗浄手段を有し、これらによって洗浄した工作物を上記工作物回転手段に搬入して検査を行うことを特徴とする請求項2に記載の工作物の外観検査装置。 上記照明手段の光源としてLEDが使用されていることを特徴とする請求項1に記載の工作物の外観検査装置。