タイトル: | 特許公報(B2)_パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン及びその製造方法 |
出願番号: | 2003055024 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 25/24,C07C 17/263,C07B 61/00 |
西田 雅一 小野 泰蔵 JP 4110245 特許公報(B2) 20080418 2003055024 20030228 パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン及びその製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 須藤 政彦 100102004 西田 雅一 小野 泰蔵 20080702 C07C 25/24 20060101AFI20080612BHJP C07C 17/263 20060101ALI20080612BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080612BHJP JPC07C25/24C07C17/263C07B61/00 300 C07C 25/24 C07B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平01−140121(JP,A) 国際公開第03/016246(WO,A1) 特開2002−338534(JP,A) 6 2004262842 20040924 12 20041124 品川 陽子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、ヘキサフルオロプロペン三量体にトリメチルパーフルオロアリールシラン、即ち、パーフルオロアリール置換有機金属化合物を反応させることによりパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを製造する方法、及び該方法により製造されたパーフルオロオレフィンに関するものである。【0002】【従来の技術】パーフルオロアリール化合物は、芳香環の水素が全てフッ素で置換した化合物の総称であり、フッ素原子の強い電子求引性によって通常の芳香族化合物にない特異な性質を示す。このパーフルオロアリール化合物の具体的な応用例としては、例えば、パーフルオロアリールボラン化合物によるオレフィン合成などの触媒反応が特に知られている(非特許文献1)。【0003】一方、パーフルオロ炭素化合物の撥水性と撥油性を共に持つというフルオラス性の利用により、反応生成物と触媒及び反応試薬を効率よく分離する技術が最近開発され、グリーンケミストリーやコンビナトリアルケミストリーなどの観点から近年大いに注目されている(非特許文献2)。【0004】このフルオラス相利用技術としては、含フッ素化合物を溶媒として用いることや、フルオラス・タグあるいはフルオラス・ポニーテールと呼ばれる修飾基を分離剤や触媒に導入して元の化合物のフルオラス性を向上させるという方法が知られている。これまで、C6 F13CH2 CH2 基やC8 F17CH2 CH2 基で代表される直鎖のフルオロアルカン基がこれらの用途で用いられているが、パーフルオロアリール基を有する化合物については、ほとんど用いられていない。【0005】そこで、立体的に嵩高いパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを合成し、脂肪族炭素と芳香族炭素の融合を行うことにより、パーフルオロアリール含有基のフルオラス性の向上を図ると共に、パーフルオロアリール部位の反応性を制御することが可能になる。その結果、パーフルオロアリール基を有する化合物について、分離剤や触媒として用いることにより、これまでにないフルオラス相利用技術の発展が期待できる。【0006】上記のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンは、立体的に嵩高い置換基を数多く持つため、合成は極めて難しいとされ、その合成方法は、これまで知られていなかった。合成方法としては、工業的利用のため、簡便で高収率のものが望ましい。そのためには、簡便なパーフルオロアリール基の導入反応を開発する必要がある。【0007】パーフルオロアリール基の導入方法として、近年、トリアルキルパーフルオロアリールシランが注目されており、パーフルオロイミノ結合のような活性化された二重結合上にあるフッ素原子との置換反応が報告されている(非特許文献3)が、高度分枝状パーフルオロオレフィンのように立体的に嵩高い化合物の炭素−炭素二重結合とトリアルキルパーフルオロアリールシランとの反応は知られていない。【0008】【非特許文献1】E.Y.−X.Chen,T.J.Marks,ケミカル・レビュー,100巻、1391〜1434ページ、2000年【非特許文献2】D.P.Curran,アンゲバンテ・ヘミィ・インターナショナル・エディション,37巻,1174〜1196ページ,1998年【非特許文献3】西田雅一,小野泰蔵,阿部隆,日本化学会誌,817〜820ページ,2000年【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に鑑み、パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを簡便に高収率で製造する方法、及び新規のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを提供することを目的とするものである。【0010】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。(A)下記一般式(1)[(CF3 )2 CF]2 C=C(CF3 )Ar (1)(式中のArは、下記式【0011】【化4】【0012】で表されるnが1〜15のパーフルオロアリール基である)で表されることを特徴とするパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン。(B)パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)である前記(A)記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン。(C)下記一般式(2)[(CF3 )2 CF][(CF3 )2 CAr]C=CF(CF3 ) (2)(式中のArは、下記式【0013】【化5】【0014】で表されるnが1〜15のパーフルオロアリール基である)で表されることを特徴とするパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン。【0025】(D)前記(A)から(C)のいずれかに記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを製造する方法であって、ヘキサフルオロプロペン三量体と、下記一般式(3)【0026】【化6】【0027】(式中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとを非プロトン性極性溶媒、又は非プロトン性極性溶媒及びフッ素系非極性溶媒の混合溶媒でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法。(E)トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランが、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランである前記(D)記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法。(F)ヘキサフルオロプロペン三量体に対して容積比1:5〜1:0.01の量の非極性溶媒を用い、二層分離した不均一条件で行うことを特徴とする前記(D)又は(E)記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法。【0028】【発明の実施の形態】 次に、本発明を更に詳細に説明する。 本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンは、上記一般式(1)、(2)で表されることを特徴とするものである。【0029】 本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンは、ヘキサフルオロプロペン三量体と上記一般式(3)で表されるトリアルキルパーフルオロアリールシランとを非プロトン性極性溶媒中でフッ化物イオンを触媒として反応させることより製造されるものである。【0030】上記ヘキサフルオロプロペン三量体としては、例えば、パーフルオロ−(4−メチル−3−イソプロピル−2−ペンテン)(以下、「トリマーA」という。)、パーフルオロ−(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)(以下、「トリマーB」という。)、パーフルオロ−(2,4−ジメチル−3−ヘプテン)(以下、「トリマーC」という。)等が使用される。これらの中でも、収率が良好である点から、上記トリマーA及び上記トリマーBが好ましい。【0031】上記ヘキサフルオロプロペン三量体は、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、上記トリマーAのみであってもよいし、上記トリマーBのみであってもよいし、上記トリマーA及び上記トリマーBの混合物であってもよいし、これらに上記トリマーCが混合していてもよい。上記トリマーCが混合している場合、反応溶液における純度を高めるために、上記トリマーCは少量であることが好ましい。【0032】 上記一般式(3)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランにおけるR1、R2又はR3は、同一あるいは異なる炭素数1〜3のアルキル基であれば差し支えないが、いずれもメチル基であることが好ましい。上記トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとしては、特に限定されるものではないが、反応性が高く、副産物が比較的少ない点から、ペンタフルオロフェニルトリメチルシランが好ましい。【0033】本発明のパーフルオロアリール置換パーフルオロオレフィンの製造方法に用いられる非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されず、例えば、グライム系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等が挙げられる。上記グライム系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、これらの更に高次の同族体であってもよい。【0034】上記非プロトン性極性溶媒としては、一般に、反応速度が速い点から、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)が好ましい。【0035】本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法において、原料のヘキサフルオロプロペン三量体に対して使用される非プロトン性極性溶媒の容積比は、通常、1:5〜1:0.01であることが好ましく、1:2〜1:0.5であることが特に好ましい。【0036】本発明の方法では、非プロトン性極性溶媒の使用量を最小限に抑えることが可能であり、原料のヘキサフルオロプロペン三量体に対して使用される非プロトン性極性溶媒の容積比が1:0.1〜1:0.01であっても反応は速やかに進行するので、本発明の方法は、パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを、環境負荷を低減させて製造できること、また、製造したパーフルオロオレフィンの単離精製も容易となること、精製工程でのエネルギー効率を改善できること、等の利点を有する。【0037】本発明のパーフルオロアリール置換パーフルオロオレフィンの製造方法では、非プロトン性極性溶媒及びフッ素系非極性溶媒の混合溶媒を用いた製造も可能である。非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されず、前述と同等のものを用いることができる。フッ素系非極性溶媒としては、FC72(登録商標)(パーフルオロヘキサンを主成分とするパーフルオロカーボン)などを始めとするパーフルオロカーボンやパーフルオロハイドロカーボンを用いることができる。【0038】本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法では、フッ化物イオンが触媒として使用される。上記フッ化物イオンとしては、フッ化物イオンを発生する化合物を用いることにより触媒として機能させることができる。【0039】このような化合物としては、フッ化物イオンを発生し得るものであれば特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウムフルオライド、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムトリメチルシリルジフルオライド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスタネイト、ピリジニウム(ポリフッ化水素)、トリエチルアミン(3フッ化水素)等が挙げられる。このれらうち、ピリジニウム(ポリフッ化水素)は、Olah試薬とも称される。【0040】本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法において、通常、反応温度の下限は−80℃、上限は100℃であり、好ましい下限は0℃、好ましい上限は50℃であり、一般に室温で反応を行うことができるので、加熱する必要は特になく、簡便で、省エネルギー化を図ることができるが、特に、これらの温度に限定されるものではない。【0041】本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法における反応時間は、反応温度や有機金属化合物の仕込みモル比などにより異なるが、いずれも数分〜数時間あれば、反応はほとんど完結する。しかしながら、収率及び副生成物の発生を考えると、反応時間は、30分〜5時間の範囲が好ましく、30分〜2時間の範囲が特に好ましい。【0042】 本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法において、ヘキサフルオロプロペン三量体に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比は、上記一般式(1)、(2)における、式中のnを決定する重要な要素となる。【0043】パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)(一般式(1)において、n=1のパーフルオロオレフィン)を選択的に得るためには、ヘキサフルオロプロペン三量体に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比を1:0.5〜1.0にする必要がある。1:1.1以上の場合、同時にn=2以上のパーフルオロオレフィン類が生成し、パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)の収率の低下が見られる。【0044】一般式(2)及び(3)において、n=1のパーフルオロオレフィン類を選択的に得るためには、ヘキサフルオロプロペン三量体に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比を1:0.5〜1.0にする必要がある。1:1.1以上の場合、同時にn=2以上のパーフルオロオレフィン類が生成し、n=1のパーフルオロオレフィン類については収率の低下が見られる。【0045】 一般式(1)、(2)において、n=2のパーフルオロオレフィン類を得るためには、ヘキサフルオロプロペン三量体に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比を1:1.1〜3.3に、好ましくは1:1.9〜2.5にする必要がある。【0046】 一般式(1)、(2)において、n=3のパーフルオロオレフィン類を得るためには、ヘキサフルオロプロペン三量体に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比を1:3.3以上にする必要がある。この際、生成物が反応系外へ沈殿することで撹拌が困難となり反応の進行が妨げられるため、非プロトン性極性溶媒及とフッ素系非極性溶媒との混合溶媒を用いることが望ましい。特に、ヘキサフルオロプロペン三量体に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比を1:5.0以上にする場合には混合溶媒の使用は必須である。【0047】本明細書において、上記パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを選択的に得る反応における「選択的」とは、目的とする生成物が、高収率で得られることを意味する。【0048】本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンは、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素との融合によって、フルオラス相利用技術におけるフルオラス・タグあるいはフルオラス・ポニーテールとして利用される。更には、本発明の化合物は、特徴的な共役二重結合を持つことから、例えば、界面活性剤、医薬、農薬等の合成中間体として利用されるだけでなく、液晶材料や有機ELなどの電子材料の合成中間体としての用途を有するものとして有用である。【0049】更に、本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンにおける高分子量の化合物については、撥水撥油を保持するような適当な修飾を行うことで製品化が可能であり、例えば、不活性媒体、カラム充填剤、表面処理剤等としての用途で利用することができる。【0050】【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例中に記載の19F−NMR(282.24MHz)は、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、フルオロホルム(CFCl3 )を内部標準として測定したものである。19F−NMRにおける化学シフト値は、フルオロホルムより高磁場での吸収をマイナスとし、δppmで表した。ガスクロマトグラフィーの測定には、キャピラリーカラム(NB−1、 0.25μm、1.5mmφ×60m)を用い、検出器にはFIDを用いた。また、分取ガスクロマトグラフィーには、Fomblinを液相とするパックドカラムを用いた。質量分析スペクトル(MS)は、ガスクロマトグラフィー−四重極質量分析計(GC−MS)及び直接導入−四重極質量分析計(DI−MS)で、イオン化電位は70eVで測定した。【0051】実施例1パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)の合成パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)を主成分とするヘキサフルオロプロペン三量体混合物(10重量%のパーフルオロ(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)を含む)の1mmol(452mg)とトリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの1.1mmol(266mg)を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに1mlのジメチルホルムアミド、更に、12mmgの酸性フッ化カリウム(KHF2 )を加えた。反応容器にテフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で1時間激しく攪拌した。真空ラインを用いて透明な下層のパーフルオロカーボン層から低沸点留分を除いた後、1mmHgの真空度でガラス・チューブ・オーブンを用いて精製することにより、パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)を58%の収率で、同時に副生成物としてパーフルオロ−(2−ビフェニリル−4−メチル−3−イソプロピル−2−ペンテン)を19%の収率で得た。【0052】パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)には、19F−NMRから、二つの回転異性体(A)と(B)が確認された。それぞれの19F−NMRデータは、以下の通りである。【0053】回転異性体(A)の19F−NMR:−55.40(3F,doublet,J=68.6Hz),−70.56(6F,broad singlet),−71.13(6F,doublet,J=39.2Hz),−138.89(2F,broard singlet) ,−149.87(1F,triplet,J=21.5Hz)−160.37(2F,multiplet),−162.54(1F,quartet doublet,J=70.3,11.9Hz),−164.60(1F,septet multiplet,J=39.2Hz)【0054】回転異性体(B)の19F−NMR:−64.44(3F,septet triplet,J=15.5,7.9Hz),−69.76(6F,multiplet),−71.53(6F,doublet,J=39.2Hz),−138.56(2F,broard singlet) ,−149.36(1F,triplet,J=21.5Hz),−157.66(1F,septet doublet,J=39.2,11.6Hz),−158.99(1F,multiplet),−160.67(2F,multiplet)【0055】これらの二つの回転異性体については、回転異性体(B)が、より安定であるために、時間とともにほとんど大部分が回転異性体(B)へと変化した。回転異性体(B)の13C−NMR及びGC−MSデータは、以下の通りである。【0056】13C−NMR:95.65,96.76,107.02,119.57,119.65,132.23,134.86,137.65,142.72,143.54,145.35【0057】MS(m/z,%):598(M,8.1),579(M−F,3.1),529(M−CF3 ,7.4),241(10),217(12),69(100)【0058】実施例2パーフルオロ−(3−イソプロピル−2−ビフェニリル−4−メチル−2−ペンテン)及びパーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ターフェニリル−2−ペンテン)の合成パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)を主成分とするヘキサフルオロプロペン三量体混合物(10重量%のパーフルオロ−(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)を含む)の0.5mmol(229mg)とトリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの1.6mmol(395mg)を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに1mlのジメチルホルムアミド、更に11mgの酸性フッ化カリウム(KHF2 )を加えた。反応容器にテフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で1時間激しく攪拌した。真空ラインを用いて析出した白色の固体から低沸点留分を除いた後、1mmHgの真空度でガラス・チューブ・オーブンを用いて精製することにより、パーフルオロ−(3−イソプロピル−2−ビフェニリル−4−メチル−2−ペンテン)を38%の収率で、パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ターフェニリル−2−ペンテン)を51%の収率で得た。【0059】パーフルオロ−(2−ビフェニリル−3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)には、19F−NMRから、二つの回転異性体(C)と(D)が確認された。それぞれの19F−NMRデータは、以下の通りである。【0060】回転異性体(C)の19F−NMR:−54.86(3F,doublet,J=68.3Hz),−70.57(6F,broad singlet),−71.09(6F,doublet,J=39.2Hz),−133.64(2F,multiplet),−136.96(2F,multiplet),−137.88(2F,multiplet),−148.87(1F,triplet,J=21.5Hz)−160.40(2F,multiplet),−162.53(1F,quartet doublet,J=68.5,11.9Hz),−164.45(1F,septet multiplet,J=39.2Hz)【0061】回転異性体(D)の19F−NMR:−63.92(3F,septet triplet,J=16.1,7.9Hz),−69.71(6F,multiplet),−71.49(6F,doublet,37.26Hz),−137.02(2F,multiplet),−137.22(1F,multiplet),−138.04(2F,broad singlet),−138.56(1F,broad singlet),−149.34(1F,triplet,J=21.5Hz),−157.58(1F,septet doublet,J=39.0,11.6Hz),−158.71(1F,multiplet),−160.46(2F,multiplet)【0062】これらの二つの回転異性体については、回転異性体(D)が、より安定であるために、時間とともにほとんど大部分が回転異性体(D)へと変化した。回転異性体(D)の13C−NMR及びGC−MSデータは、以下の通りである。【0063】13C−NMR:95.60,96.75,101.56,108.90,113.86,119.50,119.65,131.99,135.00,138.05,142.91,143.16,143.86,143.94,144.50【0064】MS(m/z,%):746(M,12.4),727(M−F,3.7),677(M−CF3 ,4.0)439(10),389(16),69(100)【0065】パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ターフェニリル−2−ペンテン)には、19F−NMRから、二つの回転異性体(E)と(F)が確認された。それぞれの19F−NMRデータは、以下の通りである。【0066】回転異性体(E)の19F−NMR:−54.80(3F,doublet,J=70.2Hz),−70.57(6F,broad singlet),−71.09(6F,doublet,J=39.0Hz),−133.47(2F,broad singlet),−136.4〜−137.5(6F,multiplet),−137.86(2F,multiplet),−149.54(1F,triplet,J=17.5Hz)−160.47(2F,multiplet),−162.52(1F,quartet doublet,J=70.3,13.8Hz),−164.45(1F,septet multiplet,J=38.9Hz)【0067】回転異性体(F)の19F−NMR:−63.86(3F,septet multiplet,J=15.66Hz),−69.66(6F,multiplet),−71.45(6F,doublet,J=37.0Hz),−136.47(2F,broad singlet),−136.52(2F,multiplet),−136.83(4F,multiplet),−137.35(2F,multiplet),−149.54(1F,triplet multiplet,J=21.45Hz),−157.58(1F,septet doublet,J=38.9,11.9Hz),−158.69(1F,multiplet),−160.44(2F,multiplet)【0068】これらの二つの回転異性体については、回転異性体(F)が、より安定であるために、時間とともにほとんど大部分が回転異性体(F)へと変化した。回転異性体(F)の13C−NMR及びGC−MSデータは、以下の通りである。【0069】13C−NMR:95.59,96.75,101.78,101.83,108.75,114.08,114.14,119.50,119.55,132.04,134.94,138.02,142.86,143.19,143.78,144.24,144.30,144.39,144.57【0070】MS(m/z,%):894(M,7.8),875(M−F,2.8),825(M−CF3,5.2),69(100)【0071】実施例3パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ポリフェニレン−2−ペンテン)の合成パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)を主成分とするヘキサフルオロプロペン三量体混合物(10重量%のパーフルオロ−(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)を含む)の0.2mmol(95mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの2.2mmol(525mg)、及びFC72(登録商標)の2.5ccを、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに1mlのジメチルホルムアミド、更に、5mmgの酸性フッ化カリウム(KHF2 )を加えた。反応容器にテフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で3時間激しく攪拌した。真空ラインを用いて析出した白色固体から低沸点留分を除いた後、1mmHgの真空度でガラス・チューブ・オーブンを用いて精製することにより、パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ポリフェニレン−2−ペンテン)のオリゴマーを427mgの収量で得た。【0072】パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ポリフェニレン−2−ペンテン)の19F−NMRデータは、以下の通りである。【0073】19F−NMR:−63.85(3F,multiplet),−69.67(6F,multiplet),−71.44(6F,doublet,J=38.9Hz),−136.5〜−138.0(23F,broad singlet),−149.56(1F,multiplet),−157.69(1F,multiplet),−158.69(1F,multiplet),−160.43(2F,multiplet)【0074】上記の19F−NMRデータから、実施例3で得られた化合物は、一般式(1)において、nの平均が6.25であるパーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−ポリフェニレン−2−ペンテン)であることがわかった。【0086】【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン及びその製造方法に係るものであり、本発明により、1)パーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを簡便な方法で収率良く得ることができる、2)本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンは、撥水性と撥油性を共に持つというフルオラス性の向上により、フルオラス相利用技術における分離剤及び触媒に対する修飾剤(フルオラス・タグあるいはフルオラス・ポニーテール)として用いることができる、3)また、本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンは、分子中の共役二重結合による構造の特異性から、例えば、界面活性剤、医薬、農薬等のみならず、液晶材料や有機ELなどの電子材料の合成中間体として有用である、4)更に、本発明のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンにおける高分子量の化合物については、例えば、不活性媒体、カラム充填剤、表面処理剤等として有用である、という格別の効果が奏される。 下記一般式(1)[(CF3)2CF]2C=C(CF3)Ar (1)(式中のArは、下記式で表されるnが1〜15のパーフルオロアリール基である)で表されることを特徴とするパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン。 パーフルオロ−(3−イソプロピル−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテン)である請求項1記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン。 下記一般式(2)[(CF3)2CF][(CF3)2CAr]C=CF(CF3) (2)(式中のArは、下記式で表されるnが1〜15のパーフルオロアリール基である)で表されることを特徴とするパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィン。 請求項1から3のいずれかに記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンを製造する方法であって、ヘキサフルオロプロペン三量体と、下記一般式(3)(式中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとを非プロトン性極性溶媒、又は非プロトン性極性溶媒及びフッ素系非極性溶媒の混合溶媒でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法。 トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランが、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランである請求項4記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法。 ヘキサフルオロプロペン三量体に対して容積比1:5〜1:0.01の量の非極性溶媒を用い、二層分離した不均一条件で行うことを特徴とする請求項4又は5記載のパーフルオロアリール置換高度分枝状パーフルオロオレフィンの製造方法。